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特開2024-180537塩基性又は中性の低分子量化合物のための新規な医薬組成物
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  • 特開-塩基性又は中性の低分子量化合物のための新規な医薬組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180537
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】塩基性又は中性の低分子量化合物のための新規な医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/32 20060101AFI20241219BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 31/403 20060101ALN20241219BHJP
   A61K 31/495 20060101ALN20241219BHJP
   A61K 31/4709 20060101ALN20241219BHJP
   A61K 31/454 20060101ALN20241219BHJP
   A61K 31/138 20060101ALN20241219BHJP
   A61K 31/445 20060101ALN20241219BHJP
   A61K 31/58 20060101ALN20241219BHJP
   A61K 31/4422 20060101ALN20241219BHJP
   A61K 31/216 20060101ALN20241219BHJP
   A61K 31/343 20060101ALN20241219BHJP
【FI】
A61K47/32
A61K45/00
A61K9/08
A61K9/10
A61K31/403
A61K31/495
A61K31/4709
A61K31/454
A61K31/138
A61K31/445
A61K31/58
A61K31/4422
A61K31/216
A61K31/343
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024178697
(22)【出願日】2024-10-11
(62)【分割の表示】P 2023064586の分割
【原出願日】2018-08-16
(31)【優先権主張番号】17186559.5
(32)【優先日】2017-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】アルゼンツ ヨヘム
(72)【発明者】
【氏名】クエンツ マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ロス アルフレッド
(72)【発明者】
【氏名】サール ヴィプケ スベア
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッテンバッハ ニコール
(57)【要約】
【課題】親油性で低分子量の、塩基性又は中性、好ましくは塩基性の医薬有効成分(API)を含む、さらなる固体又は液体、好ましくは水性の医薬製剤を提供する。
【解決手段】本発明は、塩基性又は中性の低分子量医薬有効成分、及びポリマーEudragit(登録商標)EPOを、場合により追加の薬学的に許容される賦形剤と共に含む、新規な固体又は液体医薬製剤を提供する。本製剤は経口又は局所投与用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
親油性で、塩基性又は中性の低分子量医薬有効成分、及びEPOを、場合により追加の薬学的に許容される賦形剤と共に含む、固体又は液体医薬製剤。
【請求項2】
水溶液、場合により生理学的条件で水溶液である、請求項1に記載の液体医薬製剤。
【請求項3】
前記低分子量医薬有効成分及びEPOのみを含むことを特徴とする、請求項1および2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
0.000001%(w/w)~20%(w/w)、好ましくは0.00001%(w/w)~10%(w/w)の量の前記低分子量医薬有効成分と、0.01%(w/w)~20%(w/w)、好ましくは0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%(w/w)の量のEPOとを含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記塩基性の低分子量医薬有効成分が正に帯電した分子である、請求項1~4のいずれか一項に記載の液体医薬製剤。
【請求項6】
前記中性の低分子量医薬有効成分がいかなる電荷も有さない化合物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の液体医薬製剤。
【請求項7】
医用薬剤として使用するための請求項1~6のいずれか一項に記載の液体医薬製剤。
【請求項8】
前記使用が経口又は局所適用のためである、請求項7に記載の使用のための液体医薬製剤。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬製剤を、投与を必要とする患者にこのような投与をするための手段と共に含むバイアルを含み、前記投与を準備及び使用する方法の説明書をさらに含む、キット。
【請求項10】
実質的に本明細書で定義される新規な医薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、低分子量の塩基性又は中性の医薬有効成分(API)を投与するための固体又は液体、好ましくは水性の医薬組成物の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
難水溶性薬物候補は、医薬の発見及び開発においてよくみられる1、2。これらの候補は、粒径の減少や、薬物の溶液、非晶質系又は脂質製剤への製剤化を含むいくつかの戦略によって経口投与用に製剤化することができる3~6。このような製剤化技術は前臨床製剤の供給に使用されているが、化合物の入手可能性が限られており、タイムラインが延長されるため、高度な製剤化アプローチには限界がある。初期段階で広く使用される製剤化戦略は、pH調整による可溶化、共溶媒、シクロデキストリン又は界面活性剤の使用、懸濁液、エマルジョン又は固体分散体としての製剤化である。報告では、発見及び前臨床製剤開発に供された化合物の大部分が、pH調整、共溶媒添加、又はこの2つのアプローチの組み合わせによって製剤化されたことが示されている。固体分散体などのより複雑で準安定性の製剤は、通常、初期開発段階、例えば、前臨床製剤の供給における最初の選択肢ではない。しかしながら、さまざまな製剤化アプローチでより広く利用できる薬物-ポリマー相互作用に関して固体分散体について文献から多くを学ぶことができる9~11。Eudragit(登録商標)EPO(EPO)は、味マスキング、水分保護及び腸溶性フィルムコーティングのための医薬ポリマーとして当技術分野で知られているが12、これは最近、難溶性酸性薬物を非晶質状態で安定化することによる、その溶解度増強に使用された13~17
【0003】
EPOを非晶質化合物の担体として使用すると、溶解度及び生物学的利用能の増強に関して顕著な結果が得られた14、15。EPOは、化合物を非晶質状態で安定化するのに有用であるだけでなく、様々な酸性薬物での可溶化改善も実証された18。これまでにEPOを使用して製剤化された非酸性化合物はごくわずかであり19、20、塩基性及び中性APIの溶解度増強のためにEPOのみを使用した利用可能なデータはない。
【発明の概要】
【0004】
したがって、親油性で低分子量の、塩基性又は中性、好ましくは塩基性のAPIを含む、さらなる固体又は液体、好ましくは水性の医薬製剤が依然として必要とされている。本発明は、このような製剤を提供する。驚くべきことに、一連のモデル化合物の研究に基づいて、EPOを単独の賦形剤として添加すると、塩基性又は中性の低分子APIの安定な水溶液製剤が得られることが分かった。
[本発明1001]
親油性で、塩基性又は中性の低分子量医薬有効成分、及びEPOを、場合により追加の薬学的に許容される賦形剤と共に含む、固体又は液体医薬製剤。
[本発明1002]
水溶液、場合により生理学的条件で水溶液である、本発明1001の液体医薬製剤。
[本発明1003]
前記低分子量医薬有効成分及びEPOのみを含むことを特徴とする、本発明1001および1002の医薬製剤。
[本発明1004]
0.000001%(w/w)~20%(w/w)、好ましくは0.00001%(w/w)~10%(w/w)の量の前記低分子量医薬有効成分と、0.01%(w/w)~20%(w/w)、好ましくは0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%(w/w)の量のEPOとを含むことを特徴とする、本発明1001~1003のいずれかの医薬製剤。
[本発明1005]
前記塩基性の低分子量医薬有効成分が正に帯電した分子である、本発明1001~1004のいずれかの液体医薬製剤。
[本発明1006]
前記中性の低分子量医薬有効成分がいかなる電荷も有さない化合物である、本発明1001~1004のいずれかの液体医薬製剤。
[本発明1007]
医用薬剤として使用するための本発明1001~1006のいずれかの液体医薬製剤。
[本発明1008]
前記使用が経口又は局所適用のためである、本発明1007の使用のための液体医薬製剤。
[本発明1009]
本発明1001~1006のいずれかの医薬製剤を、投与を必要とする患者にこのような投与をするための手段と共に含むバイアルを含み、前記投与を準備及び使用する方法の説明書をさらに含む、キット。
[本発明1010]
実質的に本明細書で定義される新規な医薬製剤。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】EPOの分子構造を示す図である。
図2】モデル薬物塩基の化学構造及び使用される略語(左から右に、カルベジロール、シンナリジン、メフロキン、ピモジド、タモキシフェン及びテルフェナジンの順)を示す図である。
図3】室温で48時間後のEPO溶液へのCVD、CNZ及びTFDの溶解度を示す図である。
図4】室温で48時間後のEPO溶液へのMFQ、PMZ及びTMXの溶解度を示す図である。
図5】EPOの存在下及びDO単独でのMFQ及びTMXの溶液状態H NMRスペクトルを示す図である。
図6】中性モデル薬物の化学構造及び使用される略語(左から右に、ダナゾール、フェロジピン、フェノフィブラート、グリセオフルビン及びニフェジピンの順)を示す図である。
図7】室温で48時間後のEPO溶液へのDNZ、FLP、FNF及びNFPの溶解度を示す図である。
図8】室温で48時間後のEPO溶液へのGFNの溶解度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
発明の詳細な説明
本発明によると、親油性で、塩基性又は中性であるAPIの、EPOによる可溶化方法が開示される。本発明による発見は、特に塩基及びEPOが8未満のpH値で正電荷を示すため、驚くべきものである。本発明者らは、EPOが塩基性及び中性モデル薬物の薬物溶解度に有益な効果を有することを実証する濃度依存性溶解度データを得た。したがって、本発明によると、前記塩基性又は中性、特に塩基性APIの可溶化の予想外の驚くべき増加が実証された。特に、試験した塩基性薬物の半数が、2%EPOで始まる溶解度増強に関してプラトーを示した。
【0007】
本発明者らは、溶液NMR分光法によってAPI-ポリマー相互作用を詳細に調査した。EPOと合わせたAPIのNMRスペクトルは、芳香族領域のピーク幅の変化を示し、ポリマーとの相互作用を示す。塩基性APIの拡散係数は、ポリマーの存在下でわずかに減少する(表6)。拡散係数の減少は、活性化合物のいくらかの割合がポリマーと会合していることを示唆している。ポリマー自体が薬物の存在下で拡散係数の値を維持していれば、このような結合を容易に定量化することができるだろう。しかしながら、興味深いことにこれは該当せず、APIのためにEPOはそれ自体が拡散に関して変化を受けているようである(表6)。変化したEPO拡散のこのような明確な効果は、試験酸性化合物の以前の研究では証明されなかった18。本発明によると、高分子(EPO)の拡散係数は、これが純水と比較して塩基性薬物の存在下でより速く拡散していることを示している。ポリマーのより速い移動は、溶液中の高分子の立体構造の変化と関連しているにちがいない。したがって、理論に拘束されるものではないが、本NMR結果によって証明される複雑な薬物-賦形剤相互作用が、EPO溶液における驚くほど高い薬物可溶化増強の基礎を形成する可能性がある。
【0008】
Eudragit(登録商標)EPO(EPO)はpH8未満で正に帯電し、様々な製剤化アプローチにおいて、負に帯電した酸性薬物の可溶化剤であることが以前示された。本発明によると、正に帯電した(塩基性)化合物の溶解度も、驚くべきことに、前記化合物を含む水溶液へのEPOの添加によって増強することができる。EPOに豊富に存在する同じ正電荷型のアミノアルキル基を考えると、高い程度の溶解度増強は驚くべきものである。よって、本発明は、特に薬物開発プロセスの初期段階で使用することができる懸濁液及び溶液などの単純な製剤について、EPOの適用分野を広げる。
【0009】
したがって、一実施形態では、本発明は、親油性で、塩基性又は中性の低分子量医薬有効成分、及びEPOを、場合により追加の薬学的に許容される賦形剤と共に含む医薬製剤を提供する。
【0010】
「医薬製剤」という用語は、共に経口投与又は局所投与に適している固体製剤及び液体製剤を含む。一実施形態では、液体医薬製剤が、水性製剤、好ましくは生理学的条件で水性製剤である。
【0011】
「追加の薬学的に許容される賦形剤」は、本発明による固体又は液体医薬製剤(中間又は最終製品)のいずれかに従って変化し得る。本明細書で使用される「液体医薬製剤」は、所望の純度を有する前記親油性で、塩基性又は中性の低分子量医薬有効成分を、1つ又は複数の任意の「薬学的に許容される担体」と混合することによって、水溶液の形態で調製される。「液体医薬製剤」と組み合わせて使用される「薬学的に許容される担体」は、一般的に使用される投与量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、限定されないが、バッファー、例えば、ホスフェート、シトレート及び他の有機酸;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウムクロリド;ベンゼトニウムクロリド;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルパラベン又はプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)又はポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリシン;グルコース、マンノース又はデキストリンを含む単糖類、二糖類及び他の炭水化物;キレート化剤、例えば、EDTA;さらなるポリオール、例えば、ショ糖、マンニトール、トレハロース又はソルビトール;塩を形成する対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);並びに/或いはイオン性及び非イオン性界面活性剤、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム又はポロキサマーがそれぞれ挙げられる。
【0012】
本発明により得られる「固体医薬製剤」(中間又は最終製品)は、前記塩基性又は中性の低分子量医薬有効成分を投与するため、特に経口又は局所剤形のために多種多様な形態で使用することができる。例示的な剤形には、乾燥で経口摂取され得る若しくは水の添加によって再構成して、ペースト、スラリー、懸濁液若しくは溶液を形成することができる散剤若しくは顆粒剤;錠剤、カプセル剤又は丸剤が含まれる。種々の添加剤を本明細書に記載される分散体(分子的又は分散した微粒子)と混合、粉砕又は造粒して、上記剤形に適した材料を形成することができる。潜在的に有益な添加剤は、一般的に以下のクラスに分類され得る:他のマトリックス材料又は希釈剤、表面活性剤、薬物錯化剤又は可溶化剤、充填剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤及びpH調整剤(例えば、酸、塩基又はバッファー)。他のマトリックス材料、充填剤又は希釈剤の例としては、ラクトース、マンニトール、キシリトール、微結晶セルロース、二リン酸カルシウム及びデンプンが挙げられる。表面活性剤の例としては、ラウリル硫酸ナトリウム及びポリソルベート80が挙げられる。薬物錯化剤又は可溶化剤の例としては、ポリエチレングリコール、カフェイン、キサンテン、ゲンチジン酸及びシクロデキストリンが挙げられる。崩壊剤の例としては、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース及びクロスカルメロースナトリウムが挙げられる。結合剤の例としては、メチルセルロース、微結晶セルロース、デンプン及びガム、例えば、グアーガム及びトラガカントが挙げられる。滑沢剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸カルシウムが挙げられる。pH調整剤の例としては、酸、例えば、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、乳酸、アスパラギン酸、コハク酸、リン酸など;塩基、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、リン酸三ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなど;及び一般に酸と前記酸の塩の混合物を含むバッファーが挙げられる。上記添加剤又は賦形剤に加えて、当業者に知られている本明細書に開示される組成物を使用して経口又は局所剤形を製剤化及び調製するための任意の従来の材料及び手順の使用が有用であり得る。
【0013】
本発明による一実施形態では、医薬有効成分は塩基性である。
【0014】
本発明による別の実施形態では、医薬有効成分は中性である。
【0015】
「生理学的条件」という用語は、約1~8、好ましくは4.0~7.0、より好ましくは5.5~6.5のpH値を意味する。
【0016】
本明細書で使用される「EPO」又は「Eudragit(登録商標)EPO」という用語は、水性媒体中、8未満のpHで正に帯電した、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びメチルメタクリレートで構成されるメタクリル酸共重合体を意味する。好ましい実施形態では、本明細書で使用される「EPO」又は「Eudragit(登録商標)EPO」は、2:1:1のモル比のジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びメチルメタクリレートで構成されるメタクリル酸共重合体を意味する。EPOの化学構造を図1に示す。
【0017】
本発明による一実施形態では、「塩基性の低分子量医薬有効成分(API)」という用語は、正に帯電し、薬理活性を有する任意の低分子量化合物又は小分子を意味する。別の実施形態では、「塩基性」という用語は、化合物が約5~14のpKa値を有することを意味する。
【0018】
本発明による一実施形態では、「中性の低分子量医薬有効成分(API)」という用語は、帯電していない、薬理活性を有する任意の低分子量化合物又は小分子を意味する。別の実施形態では、「中性」という用語は、化合物がイオン化可能な基を有さない及び/又は5未満の塩基性pKa値を有することを意味する。
【0019】
本明細書で定義される中性又は塩基性化合物に関連する「低分子量化合物」又は「小分子」という用語は、約100g/mol~約3000g/mol、好ましくは100g/mol~約1500g/mol、より好ましくは100g/mol~約1000g/molの分子量を有する化合物を意味する。
【0020】
本明細書で使用される「親油性」という用語は、1超のlog P値を意味する。
【0021】
「医薬有効成分(API)」という用語は、その効果を生む任意の薬物の化合物又は成分を意味する。
【0022】
別の実施形態では、本発明による液体医薬組成物は、
水と、
親油性で、塩基性又は中性の低分子量医薬有効成分と、
EPOと
だけを含む。
【0023】
さらに別の実施形態では、本発明による液体、好ましくは水性の医薬組成物は、0.000001%(w/w)~20%(w/w)、好ましくは0.00001%(w/w)~10%(w/w)の量の、親油性で塩基性の低分子量医薬有効成分と、0.01%(w/w)~20%(w/w)、好ましくは0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%又は5%(w/w)の量のEPOとを含む。
【0024】
さらに別の実施形態では、本発明による液体、好ましくは水性の医薬組成物は、0.000001%(w/w)~20%(w/w)、好ましくは0.00001%(w/w)~10%(w/w)の量の、親油性で中性の低分子量医薬有効成分と、0.01%(w/w)~20%(w/w)、好ましくは0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%又は5%(w/w)の量のEPOとを含む。
【0025】
本明細書で使用される「重量%」という用語は、しばしば「%(w/w)」とも示される。
【0026】
さらに別の実施形態では、本発明は、医用薬剤として使用するための本明細書で定義される医薬製剤を提供する。
【0027】
さらに別の実施形態では、本発明は、経口使用のための本明細書で定義される医薬製剤を提供する。
【0028】
さらに別の実施形態では、本発明は、本明細書で定義される医薬製剤を含むバイアルを提供する。
【0029】
さらに別の実施形態では、本発明はキットを提供し、キットは、
本明細書で定義される医薬製剤を、このような投与を必要とする患者に適用するための手段と共に含むバイアル
を含み、
前記投与を準備及び使用する方法の説明書
をさらに含む。
【0030】
さらに別の実施形態では、本発明は、患者を治療する方法であって、本発明による医薬製剤を前記患者に投与するステップを含む方法を提供する。
【0031】
ここで、本発明を添付の実施例により説明するが、これらは決して特許請求の範囲を限定することを意味するものではない。実施例では、以下の塩基性の低分子量モデル化合物を使用した:
ピモジド(PMZ)及びタモキシフェン(TMX)はSigma Aldrich(Buchs、スイス)から入手し、カルベジロール(CVD)はAK Scientific,Inc.(Union City、米国)から入手した。シンナリジン(CNZ)はAlfa Aesar(Karlsruhe、ドイツ)から購入し、メフロキン(MFQ)はF.Hoffmann-La Roche Ltd(Basel、スイス)から入手し、テルフェナジン(TFD)はCarbosynth Ltd(Compton、英国)から入手した。全てのモデル化合物の化学構造を図2に示し、それらの物理化学的特性を表1に列挙する。アミノアルキルメタクリレート共重合体E、Eudragit(登録商標)EPO(EPO)はEvonik(Darmstadt、ドイツ)から入手した。塩酸(0.1M)及び水酸化ナトリウム溶液(0.1M)はMerck KGaA(Darmstadt、ドイツ)から入手した。
【0032】
(表1)様々なモデル化合物の分子量(Mw)、イオン化定数(pKa)及びpH6.0での分配係数(logD)
光度滴定を介して測定されたpKa値(Roche内部データ)
Marvin Suite(V.16.5.30、ChemAxon、Douglas Drake、米国)によって計算された値
【0033】
実施例では、以下の中性の低分子量モデル化合物を使用した:
ダナゾール(DNZ)、フェノフィブラート(FNF)、グリセオフルビン(GFN)及びニフェジピン(NFP)はSigma Aldrich(Buchs、スイス)から入手し、フェロジピン(FLP)はMelrob-Eurolabs(Congleton、英国)から入手した。全ての中性モデル化合物の化学構造を図6に示し、それらの物理化学的特性及び水溶解度を表1aに列挙する。アミノアルキルメタクリレート共重合体E、Eudragit(登録商標)EPO(EPO)はEvonik(Darmstadt、ドイツ)から入手した。塩酸(0.1M)及び水酸化ナトリウム溶液(0.1M)はMerck KGaA(Darmstadt、ドイツ)から入手した。
【0034】
(表1a)様々なモデル化合物の分子量(Mw)、pH6.0での分配係数(logD)及び水溶解度
Marvin Suite(V.16.5.30、ChemAxon、Douglas Drake、米国)によって計算された値
検出限界未満の溶解度値、文献からの水溶解度28
【実施例0035】
実施例1
試料調製
EPO(0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%(w/w))を脱イオン水に溶解し、全ての溶液を25℃で塩酸及び水酸化ナトリウムによってpH6.0に調整することによって、ポリマー溶液を調製した。粒子の非存在について、溶液を慎重に確認した。
【0036】
溶解度及び残留固体分析
以前記載されたように、残留固体の固体状態分析と並行して平衡溶解度を測定する(SORESOS)21ために導入された96ウェルアッセイを使用することによって、EPO溶液への化合物の溶解度を決定した22。手短に言えば、96ウェル平底プレート(Corning Inc.、Durham、米国)に、粉末採取法23を使用してAPIを分注した。攪拌棒及びポリマー溶液(150μl)を添加した後、混合物を室温で48時間ヘッドオーバーヘッド回転(head-over-head rotation)によって攪拌した。混合後、懸濁液を96ウェルフィルタプレートに慎重に移し、液相と固相を遠心分離によって分離した。濾液を回収し、N-メチル-2-ピロリドンで希釈し、Waters(Milford、米国)製の2996 Photodiode Array Detector及びAcquity UPLC BEH C18カラム(2.1×50mm、1.7μm粒径)を装備したWaters Acquity Ultra Performance Liquid Chromatographic(UPLC)システムを使用して濾液中の薬物含有量を決定した。イソクラティックフロー(移動相の組成を表2に列挙する)を、0.75mL/分の流量で0.3分間適用した。その後、溶媒Bの濃度を0.5分以内に100%まで直線的に増加させた。以前記載されたように、一次Geモノクロメーター(Cu Kα照射)、イメージングプレート位置検出素子(IP-PSD)及び96ウェル試料ステージと共にSTOE Stadi P Combi回折計を使用して、粉末X線回折法(XRPD)によって残留固体の固体状態分析を行った21。IP-PSDによって、一次ビームの両側で回折パターンを同時に記録することができ、これらを、結晶方位の統計的な不良に関連する効果を減らすためにソフトウェアSTOE WinXPOWによって合わせた。試料を、1ウェル当たり5分間の曝露時間で96ウェルフィルタプレートにおいて直接分析した。
【0037】
(表2)UPLC分析
移動相A:メタンスルホン酸でpH2.2に調整した0.1%(v/v)トリエチルアミンを含む脱イオン水
移動相B:アセトニトリル
【0038】
1H-NMR分光法
NMR分析用の溶液は、pH6.0で、重水(DO)中0.5%(w/w)EPO溶液に24時間APIを懸濁することによって調製した。次いで、試料を遠心分離し、上清(550μl)を使い捨ての短い5mm NMR管に移した。全てのNMR測定は、300Kの温度で、極低温QCIプローブヘッドを装備したBruker 600MHz Avance II分光計で実施した。分光計の操作及びデータ処理は、Topsin 2.1ソフトウェア(Bruker、Fallanden、スイス)によって行った。全ての試料について、プローブヘッド及び90°パルスのマッチング/チューニングは完全自動化で決定した。残留水が再飽和した全ての試料について、双極勾配パルス対及び2つのスポイル勾配を使用した疑似2D H拡散秩序分光法(DOSY)24で測定した。データポイント(32k)を18ppmの掃引幅で取得し、走査間遅延を1.5秒に設定した。SMSQ10.100形双極勾配を、2.65ガウス/cmから50.35ガウス/cmまで、16の等距離段階で傾斜させた。スペクトルを、lb=1指数フィルタリングで処理し、300msの拡散時間を使用した。拡散係数Dを、Topsin 2.1ソフトウェア(Bruker、スイス)に実装されたT/T緩和モジュールを使用してあてはめた。ほとんどの分子で、少なくとも1つのAPI及び賦形剤に関連するNMRシグナルが目視検査によって特定された。
【0039】
結果
溶解度及び残留固体分析
全ての賦形剤溶液を、インキュベーション前及び平衡化後、pH6.0に調整し、残留固体をXRPDによって分析した。水と比較して、全てのモデル化合物が、様々なEPO溶液で優れた溶解度増強(SE)を示した(図3図4及び表5)。モデル化合物の測定された水溶解度に加えて、pH6.0について調整された溶解度値を表3に示す。この外挿法はヘンダーソン・ハッセルバルヒの式に基づいており、実験的溶解度値が1pH単位の差内にある場合に一般的に信頼できる25
【0040】
(表3)24時間のインキュベーション時間後の薬物溶解度及び水中薬物懸濁液のpH。水溶解度はpH6.0について調整された。
【0041】
(表4)室温で48時間後の2%及び5%EPOの存在下での薬物懸濁液のpH
【0042】
また、EPO(0.5%、2%及び5%)における全ての塩基性化合物について、pH値を48時間後に測定し、表4に示す。pHはほとんどの化合物で変化せず、MFQのみが6.3及び6.4の値へのpH上昇を引き起こした。塩基性化合物が溶解すると、このようなpHシフトが予想された。MFQは、5%のEPO濃度で12mg/mlという最高の総溶解度に達し、それによってpHシフトが引き起こされた。
【0043】
CVD、CNZ及びTFD(図3)の溶解度は2%EPO(w/w)でプラトーに達した。対照的に、MFQ、PMZ及びTMX(図4)は、5%EPOのポリマー濃度まで、溶解度の増加を示した。
【0044】
(表5)水への溶解度(pH6.0)と比較した、EPO溶液(0.1~5%)へのモデル化合物の調整された溶解度増強(SE)係数。SE係数は、ポリマー溶液への化合物の溶解度を、pH6.0の水への調整された溶解度で割ることによって計算した。調整していない値は括弧内に示す。
【0045】
薬物-ポリマー相互作用による真の溶解度増強を、同じpHで、水溶解度を賦形剤の存在下での溶解度と比較することによって計算した。酸性又は塩基性化合物の溶解プロセスは、非緩衝水のpHに影響を及ぼすので、同じpHで両溶解度を測定することは不可能であった。したがって、ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式に従って、水溶解度値を定数pH6.0について外挿して、真の溶解度増強係数を計算した(表5)。調整されていない値も実際には関連しているので、得られた溶解度増強は、分子賦形剤相互作用及びpHシフトの交絡効果である。別の溶解度係数は、薬物溶解中の固体状態変化だった可能性がある。しかしながら、残留固体分析により、試験化合物のいずれも溶媒媒介相転移を示さないことが確認された。よって、実験の過程で初期の多形形態は同じままであった。
【0046】
H-NMR分光法
H-NMRスペクトルを分析して、EPOと溶液中の様々な化合物との間の相互作用を評価した。芳香族環系のプロトンに由来するピーク(調査した全てのAPI分子に存在)が、全てのAPIについてDO中で5.50~8.50ppmの間で観察された。
【0047】
O中での全てのAPIのNMRシグナルが非常に鋭く(図5参照)、API分子が実質的に凝集することなくDOに分散されたことを示している。図5の2つの例に示されるように、全ての薬物が、EPOの存在下でAPI関連シグナルが線幅の変化を示すという点で共通していた。化合物に由来するピークは、ピークの形状が比較的広かったが、依然として明確に観察することができた。
【0048】
DOSYH-NMRを使用して、0.5%EPOを含む及び含まないDO中のAPIの拡散係数を決定した。結果を表6に示す。APIの存在下でのEPOの拡散係数も測定した。
【0049】
(表6)EPOを含む及び含まないDO中のAPIの拡散係数
水溶液中の純粋なEPOの参照値
【0050】
予想通り、はるかに大きいポリマーEPOは、API単独よりも低い純DO中での拡散係数(10~15倍)を示した。APIの拡散係数は、EPOの存在下でわずかに減少した。興味深いことに、EPOの拡散係数は、APIの存在下で増加した。
【0051】
実施例2
試料調製
EPO(0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%(w/w))を脱イオン水に溶解し、全ての溶液を25℃で塩酸及び水酸化ナトリウムによってpH6.0に調整することによって、ポリマー溶液を調製した。粒子の非存在について、溶液を慎重に確認した。
【0052】
溶解度及び残留固体分析
以前記載されたように、残留固体の固体状態分析と並行して平衡溶解度を測定する(SORESOS)21ために導入された96ウェルアッセイを使用することによって、EPO溶液への化合物の溶解度を決定した22。手短に言えば、96ウェル平底プレート(Corning Inc.、Durham、米国)に、粉末採取法23を使用してAPIを分注した。攪拌棒及びポリマー溶液(150μl)を添加した後、混合物を室温で48時間ヘッドオーバーヘッド回転によって攪拌した。混合後、懸濁液を96ウェルフィルタプレートに慎重に移し、液相と固相を遠心分離によって分離した。濾液を回収し、N-メチル-2-ピロリドンで希釈し、Waters(Milford、米国)製の2996 Photodiode Array Detector及びAcquity UPLC BEH C18カラム(2.1×50mm、1.7μm粒径)を装備したWaters Acquity Ultra Performance Liquid Chromatographic(UPLC)システムを使用して濾液中の薬物含有量を決定した。イソクラティックフロー(移動相の組成を表7に列挙する)を、0.75mL/分の流量で0.3分間適用した。その後、溶媒Bの濃度を0.5分以内に100%まで直線的に増加させた。以前記載されたように、一次Geモノクロメーター(Cu Kα照射)、イメージングプレート位置検出素子(IP-PSD)及び96ウェル試料ステージと共にSTOE Stadi P Combi回折計を使用して、粉末X線回折法(XRPD)によって残留固体の固体状態分析を行った21。IP-PSDによって、一次ビームの両側で回折パターンを同時に記録することができ、これらを、結晶方位の統計的な不良に関連する効果を減らすためにソフトウェアSTOE WinXPOWによって合わせた。試料を、1ウェル当たり5分間の曝露時間で96ウェルフィルタプレートにおいて直接分析した。
【0053】
(表7)UPLC分析
移動相A:メタンスルホン酸でpH2.2に調整した0.1%(v/v)トリエチルアミンを含む脱イオン水
移動相B:アセトニトリル
【0054】
結果
全ての賦形剤溶液を、インキュベーション前及び平衡化後、pH6.0に調整し、残留固体をXRPDによって分析した。水と比較して、全てのモデル化合物が、様々なEPO溶液で優れた溶解度増強(SE)を示した(図7図8及び表8)。DNZ及びFNF(図7)の溶解度は、それぞれ3%及び2%EPO(w/w)でプラトーに達した。対照的に、FLP及びNFP(図7)は、5%EPOのポリマー濃度まで、溶解度の増加を示した。GFN(図8)は2%EPO(w/w)で最大溶解度に達し、その溶解度はポリマー濃度と共に増加した。2%EPOより上では、溶解度は再び低下し、最終的にほぼプラトーに達した。残留固体分析により、試験化合物のいずれもその多形形態が変化していないことが確認された。したがって、おそらく、SE(表8)は準安定性多形形態の安定化ではなく、バルク相での薬物-EPO相互作用に起因している。
【0055】
(表8)水への溶解度と比較した、EPO溶液(0.1~5%)へのモデル化合物の溶解度増強(SE)係数。SE係数は、ポリマー溶液への化合物の溶解度を、水への溶解度で割ることによって計算した。
【0056】
引用文献
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-11-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶液中、単独の賦形剤として2:1:1のモル比のジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びメチルメタクリレートで構成されるメタクリル酸共重合体と、親油性で、塩基性又は中性の1種の低分子量医薬有効成分とを混合する工程を含む、経口投与又は局所投与に使用するための親油性で、塩基性又は中性の1種の低分子量医薬有効成分の可溶化方法であって、
該親油性で、塩基性又は中性の1種の低分子量医薬有効成分が、1超のlogP値によって特徴づけられ、
該親油性で、塩基性又は中性の1種の低分子量医薬有効成分の分子量が100g/mol~1000g/molであり、
前記塩基性の低分子量医薬有効成分のpKaが5~14で、正に帯電した分子であり、
前記中性の低分子量医薬有効成分が、いかなる電荷も有さない化合物であり、
水溶液のpHが5.5~6.5である、
該方法。
【請求項2】
前記低分子量医薬有効成分の量が、0.000001%(w/w)~20%(w/w)であり、前記メタクリル酸共重合体の量が、0.01%(w/w)~20%(w/w)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記親油性で、塩基性又は中性の1種の低分子量医薬有効成分が、カルベジロール(CVD)、シンナリジン(CNZ)、メフロキン(MFQ)、ピモジド(PMZ)、タモキシフェン(TMX)、テルフェナジン(TFD)、ダナゾール(DNZ)、フェノフィブラート(FNF)、グリセオフルビン(GFN)、ニフェジピン(NFP)、およびフェロジピン(FLP)から選択される、請求項1または2に記載の方法。