(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180538
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】眼の屈折異常を処置するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20241219BHJP
G02C 11/04 20060101ALI20241219BHJP
G02C 7/04 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A61F9/007 180
G02C11/04
G02C7/04
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024178758
(22)【出願日】2024-10-11
(62)【分割の表示】P 2020563411の分割
【原出願日】2019-05-03
(31)【優先権主張番号】62/669,580
(32)【優先日】2018-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519222900
【氏名又は名称】アキュセラ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】窪田 良
(72)【発明者】
【氏名】アミタヴァ グプタ
(57)【要約】
【課題】好適な眼の屈折異常を処置するための方法および装置を提供すること。
【解決手段】紫光エネルギーの源等の光エネルギーの源は、眼に接触するように構成される構造体に結合される。光源および構造体は、近視等の屈折異常の進行を抑止するために、治療用量の紫光エネルギーを眼に提供するように配列される、光源は、様々に構成され得、放射性同位体および燐光性材料を備え得る。眼に接触するように構成される構造体は、コンタクトレンズまたは植え込み体を備え得る。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(相互参照)
本出願は、2018年5月10日に出願され、「METHODS AND APPARATUSES OF TREATING REFRACTIVE ERROR OF THE EYE」と題された米国特許出願第62/669,580号の優先権を主張し、その開示全体が、参照によって本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
眼の屈折異常の視覚補正の先行手法は、少なくともいくつかの側面において理想的なものではない。眼鏡およびコンタクトレンズは、視覚を補正し得るが、これらの補正デバイスは、近視および他の屈折異常の発症および重症度を減少させないことがある。同様に、ほとんどの外科的な手法は、屈折異常を有する眼という結果となり得る眼の発達の、根底となる原因に対処していない。
【0003】
上記の観点から、眼の屈折異常を処置する改善された方法および装置が必要とされる。理想的には、そのような方法および装置は、近視等の眼の屈折異常の進行および発症に少なくとも部分的に対処し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(概要)
本開示の実施形態は、紫光等の光を用いた屈折異常の処置のための改善された方法および装置を提供する。いくつかの実施形態において、紫光エネルギーの源等の光エネルギーの源は、眼に接触するように構成される構造体に結合される。光源および構造体は、近視等の屈折異常の進行または発症を抑止するために、治療用量の紫光エネルギーの等の光を眼に提供するように配列される。光源は、多くの方法で構成され得、放射性同位体および燐光性材料を備え得る。眼に接触するように構成される構造体は、コンタクトレンズまたは植え込み体を備え得る。
【0005】
第1の側面において、眼の屈折異常を処置する装置は、眼に接触する構造体と、構造体に結合される光源とを備える。光源は、眼の屈折異常を処置するために、光エネルギーを眼の網膜に向けるように構成される。
【0006】
いくつかの実施形態において、光源は、紫光を発する。
【0007】
いくつかの実施形態において、構造体は、コンタクトレンズを備え、随意に、光源は、コンタクトレンズに埋め込まれるか、コンタクトレンズの前面に位置するか、またはコンタクトレンズの後面に位置するかのうちの1または複数である。
【0008】
いくつかの実施形態において、光エネルギーは、約360nmから約400nmまでの範囲内の波長を備える紫光エネルギーを備える。
【0009】
いくつかの実施形態において、光エネルギーは、紫光エネルギーを備え、光源は、約0.1mW/cm2から5mW/cm2までの範囲内の照度で、紫光エネルギーを網膜に向けるように構成される。
【0010】
いくつかの実施形態において、光源は、0.1ニットから10ニットまでの範囲、随意に0.5ニットから10ニットまでの範囲内の光エネルギーで、眼の瞳孔を照射する。
【0011】
いくつかの実施形態において、コンタクトレンズは、眼の網膜に光を反射させるための光源前方の構造体、眼の網膜上に光を集光するための光源後方の構造体、眼の網膜上に光を集光するための光源後方のレンズ構造体、または眼の網膜に向けて光を回折させるための光源後方の回折構造体のうちの1または複数を備える。
【0012】
いくつかの実施形態において、コンタクトレンズは、レンズ本体を備え、レンズ本体は、ソフトコンタクトレンズ、ハイドロゲルコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズ、硬質ガス透過性コンタクトレンズ、ポリメチルメタクリレートコンタクトレンズ、または角膜矯正コンタクトレンズのうちの1または複数を備える。
【0013】
いくつかの実施形態において、光エネルギーは、光エネルギー紫光エネルギーを備え、コンタクトレンズは、眼の角膜の曲率変化を促進するために十分な量で、紫光エネルギーを角膜上および網膜に向けるように構成される。
【0014】
いくつかの実施形態において、構造体は、眼の角膜に適合するようにサイズ設定される後方曲率半径を備える後面と、眼の視覚を補正するように構成される前方曲率半径を備える前面とを備えるコンタクトレンズを備え、随意に、前面は、眼の乱視を補正するために前方曲率半径に対して配向される第2の前方曲率半径を備える。
【0015】
いくつかの実施形態において、眼に接触する構造体は、植え込み型構造体を備え、植え込み型構造体は、光源上に配置されるカバーを備え、随意に、植え込み体は、植え込み体を受容した人によってオンおよびオフにされるように構成される。
【0016】
いくつかの実施形態において、光源は、放射発光光源、発光ダイオード、レーザダイオード、放射性材料、または燐光性材料のうちの1または複数を備え、随意に、放射性材料は、トリチウムまたはラジウムを備える。
【0017】
いくつかの実施形態において、眼に接触する構造体は、360nmで少なくとも40%の透過率を備える光透過性材料を備える。
【0018】
いくつかの実施形態において、光源は、眼に接触する構造体上にパターンで配列され、パターンは、眼に接触する構造体における空間的パターン、コンタクトレンズの光学的使用部分に位置する空間的パターン、瞳孔が収縮するときに網膜に光を透過させるためのコンタクトレンズの内側部分における空間的パターン、円形パターン、または放射状パターンのうちの1または複数を備え、随意に、眼に接触する構造体は、コンタクトレンズを備える。
【0019】
いくつかの実施形態において、装置は、眼の角膜を受容するように形づくられる後面を備えるコンタクトレンズを備え、コンタクトレンズ材料は、源から網膜に向けて紫光を透過させるように構成される屈折率を備え、コンタクトレンズは、屈折率と後面とを組み合わせて眼の屈折異常を補正するように形づくられる前面を備え、随意に、コンタクトレンズは、3次より高い光学収差を備える高次収差を補正するように構成され、随意に、コンタクトレンズは、老眼を補正するように構成される多焦点コンタクトレンズを備える。
【0020】
別の側面において、方法は、前述の請求項うちのいずれか一項の装置で眼を処置することを備える。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
眼の屈折異常を処置するための装置であって、前記装置は、
前記眼に接触する構造体と、
前記構造体に結合される光源と
を備え、前記光源は、前記眼の前記屈折異常を処置するために、前記眼の網膜に光エネルギーを向けるように構成される、装置。
(項目2)
前記光源は、紫光を発する、項目1に記載の装置。
(項目3)
前記構造体は、コンタクトレンズを備え、随意に、前記光源は、前記コンタクトレンズに埋め込まれるか、前記コンタクトレンズの前面に位置するか、または前記コンタクトレンズの後面に位置するかのうちの1または複数である、項目1に記載の装置。
(項目4)
前記光エネルギーは、約360nmから約400nmまでの範囲内の波長を備える紫光エネルギーを備える、項目1に記載の装置。
(項目5)
前記光エネルギーは、紫光エネルギーを備え、前記光源は、約0.1mW/cm2から5mW/cm2までの範囲内の照度で前記紫光エネルギーを前記網膜に向けるように構成される、項目1に記載の装置。
(項目6)
前記光源は、0.1ニットから10ニットまでの範囲、随意に、0.5ニットから10ニットまでの範囲内の光エネルギーで前記眼の瞳孔を照射する、項目1に記載の装置。
(項目7)
前記コンタクトレンズは、前記眼の前記網膜に光を反射させるための前記光源前方の構造体、前記眼の前記網膜上に光を集光するための前記光源後方の構造体、前記眼の前記網膜上に光を集光するための前記光源後方のレンズ構造体、または前記眼の前記網膜に向けて光を回折させるための前記光源後方の回折構造体のうちの1または複数を備える、項目1に記載の装置。
(項目8)
前記コンタクトレンズは、レンズ本体を備え、前記レンズ本体は、ソフトコンタクトレンズ、ハイドロゲルコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズ、硬質ガス透過性コンタクトレンズ、ポリメチルメタクリレートコンタクトレンズ、または角膜矯正コンタクトレンズのうちの1または複数を備える、項目1に記載の装置。
(項目9)
前記光エネルギーは、光エネルギー紫光エネルギーを備え、前記コンタクトレンズは、前記眼の角膜の曲率変化を促進するために十分な量で、前記紫光エネルギーを前記角膜上および前記網膜に向けるように構成される、項目1に記載の装置。
(項目10)
前記構造体は、前記眼の角膜に適合するようにサイズ設定される後方曲率半径を備える後面と、前記眼の視覚を補正するように構成される前方曲率半径を備える前面とを備え、随意に、前記前面は、前記眼の乱視を補正するために、前記前方曲率半径に対して配向される第2の前方曲率半径を備える、項目1に記載の装置。
(項目11)
前記眼に接触する前記構造体は、植え込み型構造体を備え、前記植え込み型構造体は、前記光源上に配置されるカバーを備え、随意に、前記植え込み体は、前記植え込み体を受容した人によってオンおよびオフにされるように構成される、項目1に記載の装置。
(項目12)
前記光源は、放射発光光源、発光ダイオード、レーザダイオード、放射性材料、または燐光性材料のうちの1または複数を備え、随意に、前記放射性材料は、トリチウムまたはラジウムを備える、項目1に記載の装置。
(項目13)
前記眼に接触する前記構造体は、360nmで少なくとも40%の透過率を備える光透過性材料を備える、項目1に記載の装置。
(項目14)
前記光源は、前記眼に接触する前記構造体上にパターンで配列され、前記パターンは、前記眼に接触する前記構造体における空間的パターン、コンタクトレンズの光学的使用部分に位置する空間的パターン、瞳孔が収縮するときに前記網膜に光を透過させるための前記コンタクトレンズの内側部分における空間的パターン、円形パターン、または放射状パターンのうちの1または複数を備え、随意に、前記眼に接触する前記構造体は、コンタクトレンズを備える、項目1に記載の装置。
(項目15)
前記装置は、前記眼の角膜を受容するように形づくられる後面を備えるコンタクトレンズを備え、コンタクトレンズ材料は、前記源から前記網膜に向けて紫光を透過させるように構成される屈折率を備え、前記コンタクトレンズは、前記屈折率と前記後面とを組み合わせて前記眼の屈折異常を補正するように形づくられる前面を備え、随意に、前記コンタクトレンズは、3次より高い光学収差を備えるより高次収差を補正するように構成され、随意に、前記コンタクトレンズは、老眼を補正するように構成される多焦点コンタクトレンズを備える、項目1に記載の装置。
(項目16)
項目1~項目15のうちのいずれか一項に記載の装置で眼を処置することを備える方法。
【0021】
(参照による援用)
この明細書中で参照される全ての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願の各々が、参照によって援用されるように具体的かつ個々に示されているかのように、同程度の参照によって本明細書中に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
(図面の簡単な説明)
本発明の新規の特徴は、特に、添付される請求項において述べられる。本発明の特徴および利点のよりよい理解は、本発明の原理が活用される図示的な実施形態を述べる以下の詳細な説明、および付随する図面への参照によって取得される。
【0023】
【
図1A】
図1Aは、いくつかの実施形態による、眼の屈折異常を処置するように構成されるコンタクトレンズを、断面図で示す。
【0024】
【発明を実施するための形態】
【0025】
(詳細な説明)
本明細書中で開示される方法および装置は、視覚補正の従来手法との組み合わせによく適している。例えば、眼に接触する構造体は、コンタクトレンズまたは植え込み体を備え得る。そのような構造体は、通常は、屈折異常を補正し光を眼に集光するように機能し得る一方で、構造体に結合される光源は、眼の屈折異常を処置するために、眼の網膜に向かって紫光等の光を発し得る。いくつかの実施形態では、そのような紫光の発射および眼によって受容される紫光は、眼の機能において感知可能な影響が存在することのないようなレベルに制御され得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、本明細書中で開示される装置および方法は、眼(単数または複数)における屈折異常の進行または発症を防ぐように構成される。いくつかの実施形態では、本明細書中で開示される装置および方法は、眼(単数または複数)における屈折条件を処置または改善するように構成される。いくつかの実施形態では、本明細書中の装置および方法は、眼の角膜の曲率変化を促進し、それによって、例えば紫光等の光によって支援される角膜矯正によって、眼(単数または複数)における屈折条件を改善する。いくつかの実施形態において、本明細書中の装置および方法は、眼の軸方向長さの不適切な増加を抑止し、または眼の軸方向長さの制御された増加量を可能とし、これによって近視等の眼(単数または複数)における屈折異常を低減する。
【0027】
いくつかの実施形態において、眼の屈折異常を処置するための装置は、眼に接触する構造体と、構造体に結合される光源とを備え、光源は、眼の屈折異常を処置するために、眼の網膜に向かって紫光エネルギーを発するように構成される。いくつかの実施形態において、構造体は、コンタクトレンズを備える。光源は、コンタクトレンズの前面もしくはコンタクトレンズの後面、ならびにそれらの組み合わせにおいて、コンタクトレンズに埋め込まれ得る。いくつかの実施形態において、紫光は、約360nmから約400nmの範囲内の波長を備える。いくつかの実施形態において、光源は、輝度が5mW/cm2未満である紫光エネルギーを網膜に向けるように構成される。いくつかの実施形態において、光源は、0,1ニット(カンデラ毎平方メートル)から10ニット、好ましくは0.5ニットから2ニットの範囲内の光エネルギーで、眼の瞳孔を照射する。いくつかの実施形態において、コンタクトレンズは、光を眼の網膜へ反射させるための光源前方の構造体、光を眼の網膜上に集光するための光源後方の構造体、光を眼の網膜上に集光するための光源後方のレンズ構造体、もしくは光を眼の網膜に向けて散乱させるための光源後方の散乱構造体、ならびに、これらの組み合わせを備える。いくつかの実施形態では、コンタクトレンズは、レンズ本体を備え、レンズ本体は、ソフトコンタクトレンズ、ハイドロゲルコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズ、硬質ガス透過性コンタクトレンズ、ポリメチルメタクリレートコンタクトレンズ、もしくは角膜矯正コンタクトレンズ、ならびにこれらの組み合わせを備える。いくつかの実施形態において、コンタクトレンズは、眼の角膜の曲率変化を促進するために十分な量で、紫光エネルギーを角膜上および網膜に向けるように構成される。いくつかの実施形態において、構造体は、眼の網膜に適合するようにサイズ設定された後方曲率半径を備える後面と、眼の視覚を補正するように構成される前方曲率半径を備える前面とを備えるコンタクトレンズを備える。いくつかの実施形態において、前面は、眼の乱視を補正するために、前方曲率半径に対して配向される第2の前方曲率半径を備える。
【0028】
いくつかの実施形態では、眼に接触する構造体は、植え込み型構造体を備え、植え込み型構造体は、光源上に配置されるカバーを備える。植え込み体は、植え込み体を受容した人によってオンおよびオフにされるように構成され得る。
【0029】
光源は、様々に構成され得る、いくつかの実施形態において、光源は、放射線発光光源、発光ダイオード、レーザダイオード、放射性材料、もしくは燐光性材料、ならびに、これらの組み合わせを備える。放射性材料は、例えば、トリチウムまたはラジウムを備え得る。
【0030】
いくつかの実施形態において、眼に接触する構造体は、360nmで少なくとも40%の透過率を備える光透過性材料を備える。
【0031】
いくつかの実施形態において、光源は、眼に接触する構造体における空間的パターンで配列される。空間的パターンは、コンタクトレンズの光学的使用部分、瞳孔が収縮するときに網膜に光を透過させるためのコンタクトレンズの内側部分、または、コンタクトレンズにおける円形パターンもしくは放射状パターン、ならびに、これらの組み合わせで位置し得る。
【0032】
いくつかの実施形態において、装置は、コンタクトレンズを備え、コンタクトレンズは、眼の角膜を受容するように形づくられる後面と、ある屈折率を備えかつ源から網膜に向かって紫光を透過させるように構成されるコンタクトレンズ材料と、屈折率と後面とを組み合わせて眼の屈折異常を補正するように形づくられる前面とを備える。いくつかの実施形態において、コンタクトレンズは、3次より高い光学収差を備える高次収差を補正するように構成され、コンタクトレンズは、老眼を補正するように構成される多焦点コンタクトレンズを備え得る。
【0033】
いくつかの実施形態において、眼を処置する方法は、本明細書中で開示されるようなコンタクトレンズまたは埋め込み物等の、本明細書中で開示されるような装置(単数または複数)によって眼を処置することを備える。
【0034】
図1Aから
図1Bを参照すると、いくつかの実施形態によると装置100は、眼に接触する構造体101を備える。いくつかの実施形態において、構造体101は、コンタクトレンズまたは眼内レンズ(IOL)を備える。いくつかの実施形態において、コンタクトレンズ101は、レンズ本体を含む。レンズ本体の非限定的な例は、ソフトコンタクトレンズ、ハイドロゲルコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズ、硬質ガス透過性コンタクトレンズ、ポリメチルメタクリレートコンタクトレンズ、もしくは角膜矯正コンタクトレンズ、ならびに、これらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、コンタクトレンズは、眼の角膜に適合するようにサイズ設定される後方曲率半径を備える後面101bと、眼の視覚を補正するように構成される前方曲率半径を備える前面101aとを有する。いくつかの実施形態において、前面はまた、眼の乱視を補正するように前方曲率半径に対して配向される第2の前方曲率半径を含む。いくつかの実施形態において、コンタクトレンズ材料は、ある屈折率を有し、源から網膜に向けて紫光を集光するように構成される。いくつかの実施形態において、前面101aは、屈折率と後面101bとを組み合わせて、眼の屈折異常(例えば、近視、遠視、老眼、および乱視)を補正するように形づくられる。いくつかの実施形態において、コンタクトレンズは、例えばコマ等の3次の光学収差、および、例えば球面収差等より高い光学収差を備える高次収差を補正するように構成される。いくつかの実施形態において、コンタクトレンズは、老眼を補正するように構成される多焦点コンタクトレンズを備える。
【0035】
いくつかの実施形態において、コンタクトレンズ材料は、ある屈折率を有し、紫光を源から網膜に向けて透過させるように構成される。いくつかの実施形態において、眼に接触する構造体101は、350nm、360nm、370nm、380nm、390nm、または400nmのうちの1または複数において、少なくとも30%、40%、50%、または60%の透過率を備える光透過性材料を有する。いくつかの実施形態では、透過率は、350nmから400nmまでの範囲全体において、少なくとも30%、40%、50%、または60%である。
【0036】
いくつかの実施形態において、装置100は、構造体101に結合される光源102を含む。光源102は、複数の光源を備え得る。いくつかの実施形態において、光源は、構造体に埋め込まれ、光源は、構造体の1または複数の場所に埋め込まれ得る。そのような場所は、レンズの光学的使用部分を含み得る。例えば、光源は、コンタクトレンズ101の前面101a上の任意の場所、もしくはコンタクトレンズの後面101b上の任意の場所、ならびにこれらの組み合わせに位置し得る。いくつかの実施形態において、光源は、種々のパターンで空間的に分配され得る。いくつかの実施形態では、空間的パターンは、(例えば瞳孔が収縮するときに)網膜に光を透過させるために、コンタクトレンズの光学的使用部分、コンタクトレンズの内側部分、もしくはその両方に位置し得る。いくつかの実施形態において、光源は、分配され、またはコンタクトレンズにおける円形パターンもしくは放射状パターンであり、かつこれらの組み合わせであり得る。
図1Bに示される場合では、光源は、複数の同心環で分配され、同心環はそれらの間に固定ギャップまたは可変ギャップを有する。いくつかの実施形態において、光源は、ドーナツ状パターンで分配され得る。光源が空間的に分配され得るパターンの非限定的な例は、蜘蛛の巣様パターン、螺旋パターン、渦巻きパターン、および(構造体の中心から光学的に)放射状に散乱するパターンを含む。いくつかの実施形態において、空間的パターンは、構造体の円周にあるかまたは実質的に円周にある(例えば、円周まで3mm、2mm、1mm、0.5mm、0.2mmまたはそれ未満より近い)区域を含み得る。例として、光源は、円周全体を覆う最大の環を有する複数の同心環を含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、光源は、眼の屈折異常を処置するために、眼の網膜に向けて光エネルギーを発するように構成される。
図1Aおよび
図1Bに示される場合、光源は、眼に向けて紫光を発する。
図1Aは、
図1BにおけるA-A’断面を示す。紫光は、約350nmから約400nmまでの範囲内の波長を備え得る。いくつかの実施形態において、光源は、5mW/cm
2未満の放射輝度で紫光エネルギーを網膜に向けるように構成される。紫光の放射輝度は、例えば約0.01mW/cm
2から約5mW/cm
2までの範囲内であり得る。継続して
図1A-
図1Bを参照すると、いくつかの実施形態において、コンタクトレンズ101は、眼の網膜に光を反射させるために、光源前方に構造体103を有する。代替として、または組み合わせて、構造体104は、眼の網膜上に光を集光するために、光源102の後方に位置し得る。構造体104は、眼の網膜上に光を集光するための光源後方のレンズ構造体、もしくは眼の網膜に向けて光を回折させるための光源後方の回折構造体、ならびにこれらの組み合わせを備え得る。代替として、または組み合わせて、光源は、コンタクトレンズ材料の吸収性を減少させるために、レンズの前面より後面の近くに位置し得る。
【0038】
いくつかの実施形態において、眼に接触する構造体101は、光源上に配置されるカバーを備え得る植え込み型構造体を備え、随意に、植え込み体は、例えば植え込み体を受容した人によって、または植え込み体によって検出される環境光の強度等の植え込み体の外部のトリガによって、オンおよびオフにされるように構成される。
【0039】
いくつかの実施形態において、コンタクトレンズ101または植え込み体は、眼の角膜の曲率変化を促進するために十分な量で、紫光エネルギーを角膜上および網膜に向けるように構成される。いくつかの実施形態において、光源は、例えば少なくとも12時間、1日、1週間、2週間、1月、またはそれよりも長い、予め決められた期間にわたって、実質的に一定のレベル(例えば25%以内)で光を発するように構成される。いくつかの実施形態では、光は、外部トリガによってトリガされるときに光を発するように構成される。非限定的な例示的トリガは、環境光、まぶたの開閉、光源の温度等を含み得る。いくつかの実施形態では、光源は、患者の眼に対してその空間的場所に実質的に固定されたままであるように構成される。
【0040】
いくつかの実施形態において、光源102は、ある輝度で紫光エネルギーを網膜に向けるように構成される。光源は、放射発光光源、発光ダイオード、レーザダイオード、放射性材料、燐光性材料、もしくは化学発光化合物、ならびに、これらの組み合わせを有し得る。いくつかの実施形態において、放射性材料は、トリチウムおよび/またはラジウムを含む。
【0041】
いくつかの実施形態において、光源から発せられかつ/または眼に達する紫光(例えば、350nmから400nmまでの範囲内の波長を有する)の照度(単位面積当たりのエネルギー)は、特に限定されない。いくつかの実施形態において、照度は、好ましくは、人間の眼および皮膚における効果、ならびに曝露の持続時間を考慮に入れて決定される。近視防止の目的のために長期にわたって眼に向けて光が発せられるとき、照度は、発光時間にも関係し、時間が短い場合に増加され得るが、時間が長い場合には好ましくは減少される。いくつかの実施形態において、照度は、20.0mW/cm2以下であり得る。いくつかの実施形態において、照度は、10.0mW/cm2以下であり得る。いくつかの実施形態において、照度は、80.0mW/cm2以下であり得る。いくつかの実施形態において、照度は、5.0mW/cm2以下であり得る。いくつかの実施形態において、好ましい照度は、3.0mW/cm2以下であり得る。いくつかの実施形態において、照度は、好ましくは2.0mW/cm2以下であり得、好ましくは、時間が増加するにつれて、1.0mW/cm2、0.5mW/cm2以下、0.1mW/cm2以下、または0.05mW/cm2以下まで減少される。照度は、前述の値のうちの任意の2つによって画定される範囲内の量を備え得る。照度は、公知の方法を用いて測定され得る。「照度」は、眼に進入または到達する光の強度またはエネルギーを示すことに留意すべきである。
【0042】
いくつかの実施形態において、眼に接触する構造体は、眼鏡またはゴーグル等の1つのアイウェアを含む。
【0043】
本開示の方法および装置は、スマートコンタクトレンズ、アンテナおよびセンサを有するコンタクトレンズ、統合されたパルスオキシメータを有するコンタクトレンズ、位相マップディスプレイを有するコンタクトレンズ、電気光学コンタクトレンズ、可撓性コンダクタを有するコンタクトレンズ、自律的眼追跡コンタクトレンズ、エレクトロクロミックコンタクトレンズ、動的回折液晶レンズ、自動調節レンズ、プログラム可能な位相マップを有する画像ディスプレイレンズ、涙駆動型マイクロバッテリを有するレンズ、涙膜感知式コンタクトレンズ、マルチカラーLEDアレイを有するレンズ、静電容量感知を有するコンタクトレンズ、まぶたによって眼科用デバイスの重複を検出するレンズ、アクティブ調節を有するレンズ、電気化学センサを有するレンズ、酵素およびセンサを有するレンズ、動的視野調整を含むレンズ、ピルベートを測定するためのレンズ、尿素を測定するためのレンズ、グルコースを測定するためのレンズ、涙液伝導度センサを有するレンズ、位相マップを有する眼近傍ディスプレイを有するレンズ、または電気化学センサチップを有するレンズのうちの1または複数等の、多くのタイプのレンズとの組み合わせに非常に適している。
【0044】
本発明の好ましい実施形態が、本明細書中で示されかつ説明されたが、そのような実施形態は、単に例として提供されることが、当業者にとって明らかであるだろう。本発明から出ることなく、多数の変更物、変化物、代用物が、当業者に思い浮かぶだろう。本明細書中で説明される本発明の実施形態の種々の代替物が、本発明を実用化する際に採用され得ることが理解されるはずである。以下の請求項は、本発明の範囲を画定し、これらの請求項の範囲内の方法および構造体、ならびにそれらの同等物が、請求項によってカバーされることが意図される。
【外国語明細書】