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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180575
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】美容処置装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 23/02 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
A61H23/02 341
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024180346
(22)【出願日】2024-10-15
(62)【分割の表示】P 2022507306の分割
【原出願日】2021-03-12
(31)【優先権主張番号】P 2020066293
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】500214532
【氏名又は名称】株式会社アンプリー
(71)【出願人】
【識別番号】515027082
【氏名又は名称】リズム株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520116159
【氏名又は名称】井沢 良弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】井沢 良弘
(57)【要約】
【課題】超音波振動を人体に効果的に伝達させることが可能な美容処置装置を提供する。
【解決手段】美容処置装置は、人体に対面する処置面と、少なくとも3つのヘッド部と、発振部とを備える。ヘッド部は、前記処置面において互いに間隔を空けて並ぶとともに、超音波振動子を有し、前記超音波振動子とともに振動するように構成される。発振部は、前記超音波振動子を振動させるように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体に対面する処置面と、
前記処置面において互いに間隔を空けて並ぶとともに、超音波振動子を有し、前記超音波振動子とともに振動するように構成される少なくとも3つのヘッド部と、
前記超音波振動子を振動させる発振部と、
を備える、
美容処置装置。
【請求項2】
前記少なくとも3つのヘッド部は、前記処置面において多角形状を為すように並ぶ、
請求項1に記載の美容処置装置。
【請求項3】
前記ヘッド部を4つ備える、
請求項1又は2に記載の美容処置装置。
【請求項4】
前記発振部は、前記超音波振動子に20kHz~3MHzの電気的信号を印加するように構成される、
請求項1から3のいずれかに記載の美容処置装置。
【請求項5】
前記少なくとも3つのヘッド部は、前記人体に接触させるための電極部をさらに有し、
前記電極部に所定の電圧を印加するように構成される電圧印加部
をさらに備える、
請求項1から4のいずれかに記載の美容処置装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波振動を利用する美容処置装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、把持部のヘッド部分に接触子が設けられ、この接触子の内部に超音波振動子が取り付けられた美顔器を開示する。特許文献1によれば、このような美顔器は、把手部を手で持ち、接触子を顔肌に接触させて使用することで、接触子の超音波振動によって肌に刺激を与え、美容液の浸透を促す。これにより、肌細胞を活性化させ、顔肌の手入れを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3200262号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような美顔器では、ヘッド部分の中央に配置された接触子から超音波振動が人体に伝達される。超音波振動は機械的な振動であるため、超音波振動子の振動は接触子が設けられるヘッドの部の中央部分に集中し、ヘッド部全体で効果的に人体に振動を付与することができない。
【0005】
本発明は、超音波振動を人体に効果的に伝達させることが可能な美容処置装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る美容処置装置は、人体に対面する処置面と、少なくとも3つのヘッド部と、発振部とを備える。ヘッド部は、前記処置面において互いに間隔を空けて並ぶとともに、超音波振動子を有し、前記超音波振動子とともに振動するように構成される。発振部は、前記超音波振動子を振動させるように構成される。
【0007】
上記美容処置装置によれば、各々のヘッド部から出力される超音波振動の間に、干渉を生じさせることができる。これにより、処置面の1か所に超音波振動の強度が集中することが抑制され、処置面の広範囲にわたって超音波振動を発生させることができる。その結果、人体に効果的に超音波振動を伝達することができる。
【0008】
上記美容処置装置において、前記少なくとも3つのヘッド部は、前記処置面において多角形状を為すように並んでもよい。
【0009】
上記美容処置装置によれば、各々のヘッド部から生じる超音波振動をより効果的に干渉させ、強度のムラが少ない超音波振動を人体に伝達することができる。
【0010】
上記美容処置装置は、前記ヘッド部を4つ備えてもよい。
【0011】
上記美容処置装置において、前記発振部は、前記超音波振動子に20kHz~3MHzの電気的信号を印加するように構成されてもよい。
【0012】
上記美容処置装置において、前記少なくとも3つのヘッド部は、前記人体に接触させるための電極部をさらに有してもよく、上記美容処置装置は、前記電極部に所定の電圧を印加するように構成される電圧印加部をさらに備えていてもよい。
【0013】
上記美容処置装置によれば、超音波振動を人体に伝達するためのヘッド部を、他の電気的美容処置を行うための電極部としても使用することができる。これにより、少ない構成で多機能を有する美容処置装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上の側面によれば、超音波振動を効果的に人体に伝達させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る美容処置装置の全体図。
図2】電気的な構成を示すブロック図。
図3】ヘッド部の断面図。
図4A】超音波振動の伝わり方を説明する図。
図4B】超音波振動の伝わり方を説明する図。
図5】美容処置装置による動作の一例を示すフローチャート。
図6】変形例に係る美容処置装置の全体図。
図7A】変形例に係るヘッド部の配置を示す図。
図7B】別の変形例に係るヘッド部の配置を示す図。
図7C】さらに別の変形例に係るヘッド部の配置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る美容処置装置について説明する。
【0017】
<1.美容処置装置の概略>
図1は、本発明の一実施形態に係る美容処置装置1の全体図であり、図2は、その電気的な構成を示すブロック図である。美容処置装置1は、図示しない電源に接続され、スイッチをONにされることにより動作し、美容的トリートメントを施すことができるように構成される。美容処置装置1は、処置面4及びハンドル部3を形成するケーシング2を備える。美容処置装置1のユーザは、ハンドル部3を把持して処置面4を人体に対面させ、処置面4に並ぶ4つのヘッド部5を皮膚に接触させて美容処置装置1を作動させることで、人体への美容的トリートメントを行うことができる。皮膚は、顔の皮膚であってもよいし、顔以外の身体の皮膚であってもよい。美容処置装置1のユーザとは、典型的には美容処置装置1による美容的トリートメントを自身に施す人であるが、例えばエステティシャン等、美容処置装置1による美容的トリートメントを他人に施す人であってもよい。
【0018】
本実施形態に係る美容処置装置1は、超音波振動によるトリートメント(キャビテーション)及び電気的信号によるトリートメントを行うように構成される。電気的信号によるトリートメントとは、例えば無線周波数(Radio Frequency:RF)電波によるRFトリートメント、及び筋電気刺激(Electrical Muscle Stimulation:EMS)によるEMSトリートメントである。トリートメントに使用される超音波振動及び電気的信号は、4つのヘッド部5から出力される。言い換えると、ヘッド部5は、キャビテーションを施すためのヘッドとして機能するとともに、電気的信号によるトリートメントを施すための電極としても機能する。
【0019】
ケーシング2は、これに限定されないが、硬質の樹脂及び金属、またはこれらの組み合わせにより形成される。ケーシング2の表面には操作部8が形成されており、ユーザは、操作部8を操作することにより、美容処置装置1のスイッチのON及びOFFを切り替えたり、美容処置装置1が実行するトリートメントの種類を選択したり、ヘッド部5からの出力の強度を調節したりすることができる。操作部8は、ユーザによる操作を受け付けるものであればその態様は特に限定されず、プッシュ式のボタン、切り替え式のレバー、回転式のダイヤル、タッチパネルディスプレイ、及びこれらの組み合わせ等、任意の態様で実現することができる。
【0020】
ケーシング2の内部には、美容処置装置1の動作を制御する制御ユニット20が収容される。制御ユニット20は、各ヘッド部5及び操作部8に電気的に接続され、操作部8の操作に応じて美容処置装置1の動作を制御することができる。制御ユニット20は、安定化電源26を介して外部電源(不図示)に接続される電源回路21、発振回路22、制御回路23、出力回路24及び切替回路25を含む。安定化電源26は、交流電圧を直流電圧に変換する。各回路21~25の動作は、後述する。
【0021】
<2.各部の構成>
以下、本実施形態に係る美容処置装置1の各部の構成について、図を参照しながら説明する。
【0022】
[ヘッド部]
図3は、処置面4付近におけるケーシング2の断面図である。処置面4は、本実施形態では平面視円形に形成される。ケーシング2が処置面4を形成する部位には、円形の開口4aが4つ形成される。4つの開口4aは、処置面4の同心円の周上に、互いに一定の間隔を空けて形成される。ヘッド部5は、開口4aを介して処置面4上に部分的に露出するよう、ケーシング2の内側に固定される。つまり、ヘッド部5は、処置面4において互いに一定の間隔を空けて並ぶように配置される。これにより、処置面4上に露出するヘッド部5は、その中心を順に結ぶ図形が多角形状を為す。本実施形態では、ヘッド部5は正方形を為すように並んでいる。
【0023】
[電極部]
ヘッド部5は、それぞれ電極部7を有する。電極部7は、皮膚表面に接触させて電気的信号を出力し、人体に通電するための電極であり、その一部が開口4aを介して処置面4上に部分的に露出するように、ケーシング2の内側に固定される。すなわち、図1においてヘッド部5として処置面4上に露出しているのは、電極部7の一部である。以下、電極部7において処置面4上に現れる面を電極部7の表面、表面と反対側の面を電極部7の裏面と称する。電極部7は導体、典型的にはステンレス、アルミニウム及び合金等の金属から構成される。さらに、電極部7の表面には、適宜クロムメッキ等の処理が施されていてもよい。電極部7は、それぞれ図示しないリード線を介して出力回路24に電気的に接続される。後述するように、電極部7には、出力回路24によって所定の周波数の電圧が印加される。これにより、主として皮下組織を介し、1つの電極部7と、これと対を為す別の電極部7へと電流が流れる。
【0024】
電極部7に印加される電圧の周波数は特に限定されないが、電極部7がRFトリートメントを行う場合は、例えば300kHz~3MHzの周波数とすることができる。また、電極部7がEMSトリートメントを行う場合は、例えば20Hz~20kHzの周波数とすることができる。
【0025】
[超音波振動子]
ヘッド部5は、それぞれ超音波振動子6をさらに有する。超音波振動子6は、電極部7の裏面に化学的方法または機械的方法で固定される。これにより、超音波振動子6は、電極部7と同様に円の周上に互いに一定の間隔を空け、正方形を為すように並ぶ。超音波振動子6は、電圧を印加すると伸縮し、外力を加えると電圧を発生させる圧電体から構成され、圧電体は、典型的には圧電セラミックスである。超音波振動子6は、それぞれ図示しないリード線を介して発振回路22に電気的に接続され、発振回路22によって所定の周波数の電圧を印加されることにより、所定の周期で振動する。本実施形態では、超音波振動子6は、発振回路22によって20KHz以上の電圧を印加されると、超音波周波数帯の振動である超音波振動を発生させる。電極部7は、超音波振動子6とともに振動し、電極部7の表面に接触する皮膚に超音波振動を伝達する。
【0026】
本実施形態の超音波振動子6は、同一の発振回路22により電圧を印加される。すなわち、4つの超音波振動子6は、同期して超音波振動を発生する。これにより、図4Aに示すように、それぞれの超音波振動子6から発生する超音波振動の干渉が皮膚や皮下組織において生じ、処置面4の広い範囲にわたって強度のムラが少ない超音波振動を出力することができる。また、個々の超音波振動子6による超音波振動の強度を、皮膚表面にダメージを生じない程度としつつも、皮膚表面及び皮下組織に超音波振動を効果的に伝達させることができる。超音波振動子6に印加される電圧の周波数は特に限定されないが、例えば20kHz~3Mhzであり、より好ましくは20kHz~100kHzであり、本実施形態では40kHzである。
【0027】
図4Bは、1つのヘッド部5を備える美容処置装置1Aによるキャビテーションを説明する図である。この美容処置装置1Aでは、処置面4の中央にヘッド部5が配置される。ヘッド部5は、処置面4上に露出し、皮膚に接触する接触面を有する接触部7Aと、接触部7Aの接触面と反対側の面に固定される、1つの超音波振動子6を有する。美容処置装置1Aによれば、接触部7Aが超音波振動子6とともに振動するが、処置面4の1か所に超音波振動が集中する。これにより、あたかも「太鼓」のように皮膚表面の特定の部位には超音波振動が集中するが、処置面4全体としての超音波振動の強度のムラが大きく、処置面4に対面する部分であっても超音波振動が十分に伝達しない場合がある。また、超音波振動の減衰により、皮下組織には十分な強度で超音波振動が伝達せず、超音波振動の伝達が効率的でなくなる。そうかといって、出力する超音波振動の強度を強くすると、皮膚の一部分に振幅の大きな超音波振動が集中し、ひいては皮膚にダメージを与えるおそれがある。本実施形態の美容処置装置1によれば、このような事態が抑制される。
【0028】
[制御ユニット]
制御ユニット20は、ケーシング2の内部に収容される。制御ユニット20に含まれる各回路21~25は、図示しない回路基板上に搭載することができる。電源回路21は、安定化電源26を介して図示しない外部電源から電力の供給を受け、制御ユニット20の各部を電力駆動させる。本実施形態では、電源回路21は、操作部8、発振回路22及び制御回路23と電気的に接続される。
【0029】
制御回路23は、発振回路22、出力回路24及び切替回路25の動作を制御する。本実施形態の制御回路23は、CPU(Central Processing Unit)、不揮発性で書き換え可能な記憶装置、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶装置またはROMには、発振回路22、出力回路24及び切替回路25の動作を制御するためのプログラムが格納されており、CPUは、記憶装置またはROMからこれを読み出して実行する。RAMは、CPUの演算に適宜使用される。
【0030】
プログラムには、操作部8を介したユーザの操作により、動作を制御するための情報が組み込まれる。また、プログラムには、キャビテーション、RFトリートメント及びEMSトリートメントといった各トリートメントの継続時間、出力される超音波振動の周波数や強度、及び出力される電気的信号の周波数や強度等を制御するための情報が組み込まれる。プログラムは、実行するトリートメントの種類に応じて、超音波振動または電気的信号を一定の時間継続して出力する制御、またはこれらを所定のサイクルで出力することを、一定の時間または所定の回数だけ繰り返す制御を行う。出力の継続時間、サイクルのパターン、サイクルの繰り返し回数及び繰り返し継続時間といったパラメータは、予め定めることができる。以下、予め定められたパラメータに従って所定のトリートメントを自動で実行することを、美容処置装置1のモードと称する。
【0031】
本実施形態では、美容処置装置1は、キャビテーションモード、RFトリートメントモード及びEMSトリートメントモードの3つのモードを実行する。後述するように、美容処置装置1は、ユーザの操作に従い、所定の順序でこれらのモードを実行するように構成される。しかし、美容処置装置1は、操作部8を介して受け付けられたユーザの操作に従い、これらのモードを単独で実行する機能を備えていてもよい。また、美容処置装置1は、これらのモードの実行途中であっても、操作部8を介してユーザの操作を適宜受け付け、出力の強度の調整、及び実行するモードの変更等を行うように構成されてもよい。
【0032】
発振回路22は、4つの超音波振動子6に電気的に接続され、それぞれの超音波振動子6に所定の周波数での電圧を印加するように構成される。つまり、発振回路22は、本発明の発振部に対応する。発振回路22により、超音波振動子6が電極部7とともに所定の周波数で超音波振動し、人体に超音波振動が伝達される。印加する電圧の大きさ、周波数及び印加する時間は、制御回路23によって制御される。
【0033】
出力回路24は、4つの電極部7に電気的に接続され、対となる電極部7の組み合わせに、所定の周波数での電圧を印加するように構成される。つまり、出力回路24は、本発明の電圧印加部に対応する。出力回路24により、電極部7から人体へと所定の波形の電気的信号が出力される。出力回路24が印加する電圧の大きさ、周波数及び印加する時間は、制御回路23によって制御される。
【0034】
切替回路25は、ヘッド部5が行うトリートメントの種類を切り替えるように構成される回路であり、リレー回路等を用いて適宜構成することができる。切替回路25は、ユーザの操作に応じて、または上述したプログラムが実行するモードに従って、キャビテーションまたは電気的信号によるトリートメントのいずれかを実行するように、回路を切り替える。
【0035】
<3.美容処置装置の動作>
以下、本実施形態に係る美容処置装置1の動作の一例を説明する。図5は、美容処置装置1のモードの実行処理を示すフローチャートである。図5の処理は、美容処置装置1の電源がONになり、ユーザが操作部8を介してトリートメントを開始するための操作を行った時点でスタートし、一連の動作が終了した時点でエンドとすることができる。ユーザは、ステップS1~S3が実行されている間、ハンドル部3を把持し、ヘッド部5を皮膚に接触させつつ、適宜ヘッド部5が皮膚上を移動するように動かす。なお、トリートメントが施される皮膚表面には、化粧水、美容液、及び美容ジェル等が適宜塗布されることが好ましい。
【0036】
ステップS1では、RFトリートメントモードが実行される。RFトリートメントモードでは、制御回路23が出力回路24を介して、電極部7にRFトリートメントを行わせる。すなわち、出力回路24が電極部7に無線周波数帯の電圧を印加し、電極部7から皮下組織へ電気的信号が伝達される。電気的信号の周波数は例えば300kHz~3MHzであり、特に限定されないが、例えば800kHzとすることができる。RFトリートメントによれば、皮下組織の水分が振動して熱が発生し、血行の改善と代謝機能の向上とが図られる。
【0037】
RFトリートメントモードでは、RFトリートメントが、一定時間継続して、または周期的な一時停止を含む所定のサイクルに従って繰り返して実行される。また、RFトリートメントモードでは、電圧を印加する電極部7を適宜変更することにより、通電する部位が変わるようにしてもよい。ステップS1が開始して所定の時間が経過すると、RFトリートメントモードが終了し、キャビテーションモードに切り替わる。すなわち、処理はステップS2に進む。
【0038】
ステップS2では、キャビテーションモードが実行される。キャビテーションモードでは、制御回路23が発振回路22を介して、4つの超音波振動子6を同期して振動させ、4つのヘッド部5にキャビテーションを行わせる。キャビテーションでは、ヘッド部5の超音波振動が皮膚を介して皮下組織に直接伝達されるだけでなく、上述したような超音波振動の干渉波が皮下組織に生じる。これにより、処置面4に対面する皮膚の範囲において超音波振動の強度のムラを抑制することができ、超音波振動を効果的に皮下組織に作用させることができる。そして、RFトリートメントにより温められた皮下組織が振動によってさらに温められ、代謝機能のさらなる向上が図られる。
【0039】
キャビテーションモードでは、ヘッド部5によるキャビテーションが、一定時間継続して、または周期的な一時停止を含みつつ繰り返して実行される。ステップS2が開始して所定の時間が経過すると、キャビテーションモードが終了し、EMSトリートメントモードに切り替わる。すなわち、処理はステップS3に進む。
【0040】
ステップS3では、EMSトリートメントモードが実行される。EMSトリートメントモードでは、制御回路23が出力回路24を介して、電極部7にEMSトリートメントを行わせる。すなわち、出力回路24が電極部7に20Hz~20kHzの電圧を印加し、電極部7から筋肉、毛細血管及びリンパ管を含む皮下組織へと電気的信号が伝達される。これにより、筋肉が収縮するため、筋力が鍛えられ、弛みやしわの改善が図られる。また、毛細血管及びリンパ管の流れが改善し、老廃物の排出及びさらなる代謝の向上が促される。
【0041】
EMSトリートメントモードでは、ヘッド部5によるEMSトリートメントが、一定時間継続して、または周期的な一時停止を含みつつ繰り返して実行される。また、EMSトリートメントモードでは、電圧を印加する電極部7を適宜変更することにより、あたかもヘッド部5が移動しながら皮下組織を刺激するかのような体感を生じさせてもよい。ステップS3が開始して所定の時間が経過すると、EMSトリートメントモードが終了し、美容処置装置1による一連の動作モードの実行処理は終了する。
【0042】
以上の実行処理はあくまで一例であるため、ステップS1~S3を実行する順序は適宜変更することができる。また、ステップS1~S3は、所定の回数だけ繰り返して実行されてもよい。さらに、1つのモードから別のモードに遷移する間に、いずれのトリートメントも実行しない待機モードが設けられてもよい。待機モードは、一定時間それが継続した後に次のモードが開始されるように設定されてもよいし、待機モード中にユーザから次のモードを実行する操作が行われた場合に、次のモードが開始されるように設定されてもよい。
【0043】
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
【0044】
<4-1>
上記実施形態では、美容処置装置1の制御ユニット20がケーシング2の内部に収容されていた。しかし、美容処置装置1は、図6のように、プローブ10と、制御ユニット20を収容する制御ボックス200とを備える装置として構成されてもよい。この美容処置装置1によれば、プローブ10は、ハンドル部3及び処置面4を形成するケーシング2並びにヘッド部5を備え、ヘッド部5は制御ボックス200内の制御ユニット20に電気的に接続される。この場合、操作部8が制御ボックス200の表面に形成されてもよい。また、この場合、安定化電源26は制御ボックス200内に収容されてもよい。
【0045】
<4-2>
上記実施形態では、美容処置装置1は外部電源により駆動されるように構成されたが、これに加えてまたはこれに代えて、電池により駆動されるように構成されてもよい。
【0046】
<4-3>
上記実施形態では、美容処置装置1はキャビテーション及び電気的信号によるトリートメントを行うように構成されたが、美容処置装置1は、キャビテーションのみを行うように構成されてもよいし、RFトリートメント及びEMSトリートメントのうち一方を省略してもよい。また、美容処置装置1は、超音波振動子6が固定されたヘッド部5の他に、超音波振動子6が固定されていない電極部7をさらに備えてもよく、超音波振動子6が固定されていない電極部7を使用してRFトリートメント及びEMSトリートメントのうち少なくとも一方を行ってもよい。
【0047】
<4-4>
処置面4上に並ぶヘッド部5の数は、上記実施形態に限られず、3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。ヘッド部5が間隔を空けつつ処置面4上に少なくとも3つ並ぶことで、効果的に個々の超音波振動を干渉させることができる。また、ヘッド部5の形状及び配置は特に限定されない。ヘッド部5は、例えば図7Aに示すように直線上に配置されてもよいし、図7Bに示すように曲線上に配置されてもよいし、図7Cに示すように閉じた図形上に配置されてもよい。超音波振動を効果的に干渉させるという観点では、少なくとも3つのヘッド部5は、多角形状を為すように処置面4上に並ぶことが好ましい。さらに、処置面4の形状は平面視円形に限られず、例えば矩形、その他の多角形及び楕円形等に適宜変更されることができ、ヘッド部5の数、配置及び形状と組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 美容処置装置
2 ケーシング
3 ハンドル部
4 処置面
5 ヘッド部
6 超音波振動子
7 電極部
8 操作部
22 発振回路(発振部)
24 出力回路(電圧印加部)
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
【手続補正書】
【提出日】2024-10-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体に対面する処置面と、
前記処置面において互いに間隔を空けて並ぶとともに、各々、超音波振動子を有し、前記超音波振動子とともに振動するように構成される少なくとも3つのヘッド部と、
前記超音波振動子に20kHz~3MHzの電気的信号を印加するように構成され、前記超音波振動子を振動させる発振部と、
前記電気的信号の周波数を制御する制御回路と
を備える、
美容処置装置。
【請求項2】
前記少なくとも3つのヘッド部は、前記処置面において円の周上に互いに一定の間隔を空けつつ多角形状を為すように並ぶ、
請求項1に記載の美容処置装置。
【請求項3】
前記ヘッド部を4つ備える、
請求項1又は2に記載の美容処置装置。
【請求項4】
前記発振部は、前記少なくとも3つのヘッド部の超音波振動子の超音波振動が、干渉波を生じるように前記超音波振動子を振動させる、
請求項1から3のいずれかに記載の美容処置装置。
【請求項5】
前記少なくとも3つのヘッド部は、前記人体に接触させるための電極部をさらに有し、
前記電極部に所定の電圧を印加するように構成される電圧印加部
をさらに備える、
請求項1から4のいずれかに記載の美容処置装置。