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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018059
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】蓋体
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20240201BHJP
   B65D 43/06 20060101ALN20240201BHJP
【FI】
B65D81/34 U
B65D43/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121119
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000239138
【氏名又は名称】株式会社エフピコ
(74)【代理人】
【識別番号】100124143
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 嘉久
(72)【発明者】
【氏名】西岡 愛充
(72)【発明者】
【氏名】清水 裕貴
【テーマコード(参考)】
3E013
3E084
【Fターム(参考)】
3E013AA05
3E013AE06
3E013BA02
3E013BA24
3E013BB06
3E013BC01
3E013BC04
3E013BD02
3E013BD11
3E013BE01
3E013BF02
3E013BF22
3E013BF32
3E013BG20
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AA34
3E084AB06
3E084BA01
3E084CA01
3E084CB01
3E084CB10
3E084CC03
3E084DA01
3E084FC03
3E084GB12
3E084KA01
3E084LB02
(57)【要約】
【課題】カール状開口端部を持つ紙容器用の蓋体であって、閉蓋状態で電子レンジ加熱した直後において把持部の温度が抑えられ、かつ、経時的に速やかに低温化し、調理直後から食するまでの素手での取り扱い性に優れる。
【解決手段】天面21と、該天面21外縁から垂下する蓋体壁面22と、該蓋体壁面の下端から外方に延在する溝底部23と、該溝底部外縁より続き前記円筒状紙容器の側壁を挟持する嵌合部24とを有し、該嵌合部24は、嵌合内壁24a、容器本体のカール状開口端部を覆う環状嵌合上部と、嵌合外壁24dとを有しており、かつ、前記環状嵌合上部には、その環状構造の周方向に沿って、周方向を長辺とする凸条突起部24cを間欠的に有している。
【選択図】 図3


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口部とその上端にカール状開口端部を有する円筒状紙容器用の蓋体であって、
天面と、該天面外縁から垂下する蓋体壁面と、該蓋体壁面の下端から外方に延在する溝底部と、該溝底部外縁より続き前記円筒状紙容器の側壁を挟持する嵌合部とを有しており、
該嵌合部が、前記溝底部外縁より上方に延び容器内壁面に当接する嵌合内壁と、前記カール状開口端部を覆う環状嵌合上部と、該環状嵌合上部外縁から下方に延びて容器外壁上部に当接する嵌合外壁とを有するものであり、更に、前記環状嵌合上部に、その環状構造の周方向に沿って凸条突起部を間欠的に有することを特徴とする蓋体。
【請求項2】
前記嵌合部の環状嵌合上部に形成された凸条突起部が、平面視の周方向に沿って凸条突起部と、非凸条部とが交互に配列された形状を有している請求項1記載の蓋体。
【請求項3】
凸条突起部が、周方向断面視で略台形、平面視略長方形の形状を有しており、底辺部長辺が4~10mm、上端部長辺が3~8mm、平面視略長方形状における短辺が0.5~2mm、底辺から上端部までの高さ(凸条突起部高さ(h))が0.5~2mmである請求項2記載の蓋体。
【請求項4】
環状嵌合上部の幅(w)に対する凸条突起部の幅(d)の比率[(d)/(w)]は、0.15~0.8の範囲である請求項3記載の蓋体。
【請求項5】
凸条突起部の幅(d)の中心が、環状嵌合上部の幅(w)の中心よりも外方に位置する請求項4記載の蓋体。
【請求項6】
前記溝底部が、その内縁端と外縁端とに下方を凸とする環状リブを有する請求項5記載の蓋体。
【請求項7】
天面に蒸気抜き孔を有する請求項1記載の蓋体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラタンやドリアなどの加熱加工食品用の電子レンジ対応紙容器に適する蓋体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一人食ニーズの高まりに伴い、スーパーやコンビニエンスストアなどでグラタンやドリアといったなどの本格調理済商品の需要が高まっている。かかるグラタンやドリアは、通常、食する直前に熱々の状態に電子レンジで再加熱されることから耐熱性に優れる耐熱性のある浅型のカップ状紙容器が広く用いられており、その蓋体には、通常、透明樹脂製の蓋体が用いられている。
【0003】
然しながら、グラタン・ドリア容器は、浅型口径容器であってかつ高温に再加熱されるのが通常であるため、電子レンジ調理後の取り出し時には、蓋体縁部も相当に高温になっており、かつ、紙容器の断熱性故に冷めにくく、手で把持して運ぶ際や食する際に、火傷を負ったり、蓋体除去操作が熱さで行いにくい、といった問題を有していた。
【0004】
そこで、従来より、グラタン・ドリア容器用の蓋体として電子レンジ加熱後に片手で容易に把持可能な蓋体として、蓋体外周縁近傍に凹溝を介して指かけ部を形成すると共に、該指かけ部上に突起部を連接した形状とする蓋体が知られている(特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の蓋体は、外周縁スカート部に嵌合凸部を設けることにより紙容器と嵌合させる、所謂、外嵌合方式を採用するものであり、容器本体内壁上端まで加熱蒸気が充満する構造となっており、加熱直後の把持部の高温化は避けられないものであった。更に、特許文献1記載の蓋体の指かけ部上に形成された突起は、平面視ドット状の小突起であり、加熱蒸気が入り込んだ際に、該小突起内空間内に加熱蒸気を温度的に緩和するスぺースもなく結局突起部自体の高温化が避けられないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-155053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明が解決しようとする課題は、カール状開口端部を持つ紙容器用の蓋体であって、閉蓋状態で電子レンジ加熱した直後において把持部の温度が抑えられ、かつ、経時的に速やかに低温化し、調理直後から食するまでの素手での取り扱い性に優れた蓋体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、円筒状紙容器用の蓋体の嵌合部に容器本体の内壁上部と外壁上部を挟持する、所謂、内外嵌合を採用し、かつ、該嵌合部上面に蓋体外縁周に沿って、周方向を長辺とする凸条突起部を間欠的に設けることにより、電子レンジでの加熱調理直後の凸条突起部の温度が高温になり過ぎず、かつ、調理後速やかに低温化することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、上部に開口部とその上端にカール状開口端部を有する円筒状紙容器用の蓋体であって、天面と、該天面外縁から垂下する蓋体壁面と、該蓋体壁面の下端から外方に延在する溝底部と、該溝底部外縁より続き前記円筒状紙容器の側壁を挟持する嵌合部とを有しており、
該嵌合部が、前記溝底部外縁より上方に延び容器内壁面に当接する嵌合内壁と、前記カール状開口端部を覆う環状嵌合上部と、該環状嵌合上部外縁から下方に延びて容器外壁上部に当接する嵌合外壁とを有するものであり、更に、前記環状嵌合上部に、その環状構造の周方向に沿って凸条突起部を間欠的に有することを特徴とする蓋体に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カール状開口端部を持つ紙容器用の蓋体であって、閉蓋状態で電子レンジ加熱した直後において把持部の温度が抑えられ、かつ、経時的に速やかに低温化し、調理直後から食するまでの素手での取り扱い性に優れた蓋体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、紙容器本体の斜視図である。
図2図2は、紙容器本体の平面視直径で切った断面の端面図である。
図3図3は、本発明の蓋体の斜視図である。
図4図4は、本発明の蓋体の平面図である。
図5図5は、図4の平面図の部分拡大図である。
図6図6は、本発明の蓋体の正面図である。
図7図7は、本発明の蓋体の端面図である。
図8図8は、本発明の蓋体端面の部分拡大図である。
図9図9は、紙容器本体と蓋体との嵌合部端面を示す端面図である。
図10図10は、紙容器本体及び蓋体の嵌合した状態での斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の蓋体は、前記した通り、上部に開口部を有し、かつ、カール状開口端部を有する紙容器用の蓋体であって、天面と、該天面外縁から垂下する蓋体壁面と、該蓋体壁面から外方に延在する溝底部と、該溝底部外縁より続き前記円筒状紙容器の側壁上部を挟持する嵌合部とを有するものである。
【0013】
ここで、紙容器の側壁上部を挟持する嵌合部とは、所謂、内外嵌合と呼ばれる嵌合方式を持つ構造を有するものであり(例えば、図3における嵌合部24)、該嵌合部は、前記溝底部外縁より上方に延び容器内壁面に当接する嵌合内壁(例えば、図3における嵌合部24a)、前記カール状開口端を覆う環状嵌合上部(例えば、図3における凸条突起部24c及び非突起部24b)、及び該環状嵌合上部外縁から下方に延びて容器外壁上部に当接する嵌合外壁(例えば、図3における嵌合外壁24d)を必須の構成要素とするものである。これにより紙容器側壁上部を内側と外側とから狭窄状に嵌合することによって、電子レンジで加熱した際の蒸気を該嵌合部下端から上方に移動するのを抑え、嵌合部上端の温度上昇を抑制することができる。前記嵌合部が紙容器本体の側壁上部を挟持する状態は、たとえば図9(a)(b)で表すことができる。ここで、図9(a)は、閉蓋状態における図4のA-A端面図であり、図9(b)は、閉蓋状態における図4のB-B端面図である。
【0014】
また、前記嵌合上部は、前記環状嵌合上部に、その環状構造の周方向に沿う凸条突起部(例えば、図3における凸条突起部24c)を間欠的に有することを特徴としている。即ち、嵌合上部は、凸条突起部が非突起部(例えば、図3における非突起部24b)を介して、等間隔乃至略等間隔に蓋体外縁周方向に連設されているものである。
【0015】
斯かる凸条突起部の平面視形状は、略長方形状、楕円形状、多角形状等であってよいが、本発明では該凸条突起内の空間を十分広く確保し、かつ、手で容器を掴む際の把持性に優れる点から、周方向を長辺とする略長方形状であることが好ましい。ここで、凸条突起部は、容器本体壁面頭頂部との間に所定のサイズの内部空間を形成する。そのため仮に加熱された蒸気が嵌合内壁を通過して当該内部空間内に到達しても該内部空間内で蒸気が拡散し把持部での温度上昇を防ぐことができる。
【0016】
斯かる内部空間を十分確保する点から、当該凸条突起部の大きさは、平面視略長方形状における底辺部長辺(凸条突起部長さ(a))が4~10mm、上端部長辺(b)が3~8mm、平面視略長方形状における短辺(凸条突起部幅(d))が0.5~2mm、底辺から上端部までの高さ(凸条突起部高さ(h))が0.5~2mmであることが好ましい。ここで底辺から上端部までの凸条突起部高さ(h)とは、図8(a)に示す通り、断面視で凸状突起部両下端を通る線分に対する垂線の長さが最大となる高さ(h)で表されるものである。ここで、図8(a)は図4のA-A端面図である。
【0017】
上記凸条突起部は、本発明の蓋体の外縁周にそって間欠的に連設されており、周方向における凸条突起部の間の長さ、即ち非突起部の長さ(例えば図5における隙間長さ(c))は1.5~3mmであることが好ましい。
【0018】
また、前記環状嵌合部は、容器本体開口の上端に位置するカール状開口端部の形状に沿って、間隙をできるだけ小さくなるように形成されていることが好ましく、具体的には、その直径方向の幅(嵌合部幅(w))が2.5~5mmであることが好ましい。ここで、環状嵌合部の直径方向の幅(w)とは、例えば、図8(b)に示すように、環状嵌合部の嵌合内壁24aの接線と環状嵌合部の非突起部24b頂点を水平に通る線分との交点xと、嵌合外壁24dに接する垂線と、環状嵌合部の非突起部24b頂点を水平に通る線分との交点yとの直線長さである。ここで、図8(b)は図4のB-B端面図である。
【0019】
本発明では、前記凸条突起部は蓋体嵌合部上面に位置するが、外方に位置することが加熱蒸気との侵入防止の点から好ましく、具体的には、凸条突起部幅(d)の中間点の位置が、嵌合部幅(w)の中間点よりも外側に位置することが好ましい。
【0020】
更に、嵌合部幅(w)に対する凸条突起部幅(d)の比率[(d)/(w)]は、0.15~0.8の範囲であることが凸条突起部への熱伝導性を低く抑え、かつ、凸条突起部内空間における蒸気拡散効果が良好となる点から好ましい。
【0021】
前記嵌合外壁の下端部は更に紙容器本体の側壁上部を包み込むように断面視で内側に向けて屈曲し、カール状縁部を狭窄状に覆い、スカート部(例えば図6におけるスカート部25a)へ接続している。更に、スカート部下端部はカール状開口端部よりも低い位置となり、該スカート部には、本発明の蓋体における内外嵌合をより強固にし、かつ、蓋体嵌め込みの際にクリック感により確実に装着できるように、内側に凸条に突出した嵌合係止部(例えば、図6における嵌合係止部25b)を有することが好ましい。この嵌合係止部の大きさは、蓋体2の外縁周方向の長さ(例えば、図6における嵌合係止部幅W25b)が20~60mmであることが好ましい。
【0022】
次に、蓋体2の天面(例えば、図3における天面21)は、平面視円形又は楕円形であることが好ましいが、容器本体開口部形状に合わせることが好ましい。なかでも、一人食用ドリア・グラタン容器用途としては、平面視円形の容器本体を用い、かつ、蓋体2の天面形状もこれ適合する平面視円形であることが好ましい。
【0023】
また、天面周縁には外周に沿って上部に凸条となる糸尻状凸条部(例えば、図3における糸尻状凸条部21a)を有することが、蓋体2全体の剛性・強度が高まり嵌合状態が安定し、把持部の高温化防止の効果が良好なものとなる点から好ましい。
【0024】
かかる蓋体天面の糸尻状凸条部の高さ(t2)(図8(b)参照)は、0.8~1.5mmであることが前記した蓋体全体の剛性・強度が良好なものとなる点から好ましい。更に、該糸尻状凸条部21aは、その曲率半径Reが0.4~0.8mmであることが、蓋体全体の強度が強くなり、嵌合の安定性が良好なものとなる点から好ましい。
【0025】
更に、蓋体天面部における糸尻状凸条部は、天面部外縁端に無縁端状に配設されていてもよいが、図3に示すように欠損部21bを介して断続的に形成されることにより、該糸尻状凸条部自体の強度が増し、天面部が外力によって座屈することを効果的に防止できる。
【0026】
また、天面には加熱調理に発生する蒸気を外部へ排出する蒸気孔を有することが好ましい。蒸気孔の形状は、丸型孔、直線状長孔、くの字状長孔、斜線状、S字状長孔、C字状、U字状、舌片状などの各種の形状が挙げられる。また、これらの蒸気孔は、プレスによる切り込み、レーザー照射、超音波照射によって形成することができる。
【0027】
これらの中でも、グラタン・ドリア容器用途では、高温に加熱され排出蒸気量が多くなること、また、本発明の蓋体の周縁部にできるだけ高温蒸気を浸透させず、効率的に天面部の蒸気孔より排出させ易い点から、C字状、U字状、舌片状の切り込み弁であることが好ましい。斯かるC字状、U字状、舌片状の切り込み弁は、天面に複数形成されていることが好ましく、具体的には2~6個の設けられていることが蒸気排出効率の点から好ましい。
【0028】
更に、C字状、U字状、舌片状の切り込み弁を設ける場合には、天面内で該天面より一段低い凹部を、該凹部底面内に切り込み弁を設けてもよいし、また、天面に溝状の凹部を設け、該凹部を横切る様に切り込み弁を設けてもよい。あるいは、下側を頂点とする逆ドーム形状を構成し、これらの溝部、逆ドーム部内に前記切り込み弁を設けてもよい。
【0029】
本発明の蓋体は、前記天面周縁から外方に向けて垂下する蓋体壁面(例えば図3の蓋体壁面22)を有し、蓋体壁面の下端から外方に延在する溝底部(例えば、図3の溝底部23)を有しており、該溝底部外縁は前記嵌合部の嵌合内壁(例えば、図3の嵌合内壁24a)へと繋がっている。
【0030】
本発明では斯かる溝底部を出来るだけ低い位置とすることにより、嵌合部の高さを確保でき、前記嵌合部における紙容器本体胴部乃至カール状開口端部をより強固に狭窄的に嵌合できる点から好ましい。斯かる観点から、溝底部から嵌合部の非突起部24b頂点までの高さ、例えば、図8(b)に示される、溝底部から前記非突起部24b頂点を水平に通る線分との距離t1は、5.5~10mmであることが好ましい。
【0031】
よって、上記蓋体壁面と溝底部と嵌合内壁とにより、環状凹部(例えば図7の環状凹部R)が形成されている。更に、本発明では、環状凹部部分の強度を高めるために溝底部に、下向きに凸条で周方向に無煙端で形成された環状リブを溝底部の内縁側と外縁側とにそれぞれ有することが好ましい。斯かる環状リブは、例えば、図3における内縁側環状リブ23a、外縁側環状リブ23cとして表すことができる。よって、このような環状リブを設ける場合、溝底部の構造は、図3で示す場合、内容物側より内縁側環状リブ23a、溝底部水平部23b、外縁側環状リブ23cの順に並ぶ構造となる。
【0032】
また、蓋体壁面の上方には、内側に膨出したスタック用の凹部(例えば図3の凹部27)を有することが好ましい。かかる凹部は、図3に示すように前記欠損部(図3の欠損部21b)と一体的に形成されていることが好ましい。
【0033】
また、蓋体2のサイズは、容器本体に合わせて適宜選択することができるが、平面視円形の場合、直径方向の嵌合外壁間の長さ(例えば、図6における直径W1)が140~200mmの範囲が挙げられ、また、天面部直径(例えば、図6における直径W2)が100~170mmの範囲が挙げられる。更に、蓋体2の高さ方向の幅(例えば、図6における高さT1)は11~60mmの範囲であることが好ましい。
【0034】
蓋体2が平面視楕円形である場合には、前記直径方向の嵌合外壁間の長さは、長径方向で150~300mm、短径方向で100~200mmであり、蓋体2の高さ方向の幅(例えば、図6における高さT1)は11~60mmの範囲であることが好ましい。
【0035】
上記した蓋体は、例えば、ポリスチレンやポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンなどの合成樹脂であって、かつ電子レンジで使用可能な耐熱性を有する合成樹脂製のシートが使用できる。
【0036】
また、これらのシート素材として、前述の合成樹脂に無機物を分散させたシート、前述のシートを延伸させた延伸シートなどを使用できる。これらの中でも、ポリスチレン、ポリプロピレンなどを一軸延伸、もしくは2軸延伸した延伸シートは電子レンジ加熱に必要な耐熱性も備えるので特に好ましく、とりわけポリプロピレンの延伸シートが耐油性や耐熱性に優れると共に、成形性が良好であり、また、切り込み弁の形成も容易である点から好ましい。
【0037】
次に本発明で用いる紙容器本体1は、上部に開口部を有し、かつ、その上端縁が外側にカールしたカール状開口端部、胴部、及び底部を必須の構成要素とする紙製容器本体である。ここで開口部の平面視形状としては、前記蓋体同様に円形乃至楕円形であり、収容される内容物に応じて適宜形状を選択することができる。ここで、紙容器本体1としては、例えばグラタン、ドリア、パスタ、カレー、ピラフ、フォー、スープ、総菜など様々な食品を収容することができるが、とりわけ一人食用グラタン容器やドリア容器としては用いる場合には円形であることが好ましい。
【0038】
また、グラタンやドリア容器としては、薄型容器が主流であるため、浅型の円筒状容器であることが好ましい。
【0039】
ここで、紙容器本体1の開口部に位置するカール状開口端部は、外に向けてカールさせた形状を有するものであり、部分的にカールさせたものでも、又は半巻き込みのものでも、或いは外巻状に一周以上させたものであってもよいが、カール状開口端部自体の剛性を高めて蓋体を嵌め込んだ際の嵌合強度を確保でき、加熱蒸気の嵌合部への侵入を良好に防止できる点から、外巻状に一周以上させた形状であることが好ましい。
【0040】
また、上記カール状開口端部から続く胴部は、筒状に形成されおり、その内表面には、耐油性のフィルムがラミネートされていることが好ましい。この場合、ラミネートフィルムは、紙基材にラミネートされ容器成型に供されることが好ましく、よって、前記カール状開口端部表面にも連続してラミネートされていることが好ましい。
【0041】
また、紙容器本体1の底部は、開口部と相似形状の底部を形成する形状を有している。
ここで、紙容器本体1の開口部内径は、底部直径よりもやや広く構成されていることが、容器強度に優れ、かつ、調理後の把持が容易となる点から好ましい。具体的には、底部直径(D11)に対する開口部内径(D12)の比[(D12)/(D11)]が1.01~1.2の範囲であることが好ましい。即ち、前記胴部は上方に向けて拡開する逆円錐台状であることが好ましい。なお、開口部内径(D12)とは、紙容器1断面における壁面の直線からカール状開口端部へ続く変曲点を、直径方向で結んだ線分長さをいう。
【0042】
また、前記した通り、紙容器本体1は浅型円筒容器であることが好ましく、この場合、底部の直径(D11)と、高さ(H12)との比[(H12)/(D11)]が0.2~0.6であることが好ましい。
更に、本発明では紙容器本体1の底部11は、電子レンジ調理時の加熱効率の点から上底状に構成されていることが好ましく、この際、上底の高さ(H11)は、紙容器本体1の高さ(H12)に対する比率[(H11)/(H12)]で0.1~0.3の範囲であることが好ましい。
【0043】
また、紙容器本体1は、カール状開口端部及び胴部を持つ底なしの紙製筒体と、この内部を覆う樹脂製の有底中容器を前記カール状開口端部で嵌合させたものであってもよい。
【0044】
<実施態様>
本実施態様は、図1に示す円筒状の紙容器本体1を容器本体とするものであり、底部11,胴部12、及びカール状開口端部13を必須の構成要素とするものである。ここで、胴部12は図2に示す様に上方に向けて拡解する逆円錐台の形状を有し折り、底部直径(D11)に対する開口部内径(D12)の比[(D12)/(D11)]は1.05である。更にカール状開口端部13は、図9に示す通り、外巻状に一周以上させた形状となっている。また、底部11は図2に示すように上底状に形成されており、紙容器本体1の高さ(H12)に対する比率[(H11)/(H12)]は0.15である。
【0045】
次に、蓋体2は、図3に示すように天面21と、該天面21外縁から垂下する蓋体壁面22と、該蓋体壁面の下端から外方に延在する溝底部23と、該溝底部23外端より続き前記円筒状紙容器の側壁を挟持する嵌合部24とを有している。かかる嵌合部24は、前記溝底部外縁より上方に延び容器内壁面に当接する嵌合内壁24a、前記カール状開口端部を覆う環状嵌合上部と、該環状嵌合上部外縁から下方に延びて容器外壁上部に当接する嵌合外壁24dとを有する。即ち、紙容器本体1のカール状開口端部は、図9に示す通り、嵌合部24によって内側及び外側から嵌合される構造を有することから優れた嵌合強度を発現し、また、加熱調理時に内容物からの加熱蒸気のカール状開口端部近傍への侵入を良好に食い止めることができる。また、図7に示す様に蓋体壁面22、溝底部23、及び嵌合内壁24bで環状凹部Rを形成しており、この深さを充分深くすることによって嵌合部24の高さが高くなり、加熱蒸気のカール状開口端部近傍への侵入を良好に防止できる。斯かる点から本実施形態では、図8(b)における嵌合部高さ(t1)は7.7mmである。
更に、前記環状嵌合上部には、その環状構造の周方向に沿って平面視細長の凸条突起24cを間欠的に有している。
【0046】
本実施態様における前記凸条突起部は平面視略長方形であり、底辺部長辺(凸条突起部長さ(a))が3mm、上端部長辺(b)は5mm、平面視略長方形状における短辺(凸条突起部幅(d))が1mmである。また、底辺から上端部までの高さ(凸条突起部高さ(h))は1mmである。
【0047】
また、前記凸条突起部は、周方向において等間隔に配列されており、2つの凸条突起部の間の長さ、即ち非突起部24bの長さ(図5における隙間長さ(c))は2.3mmである。
【0048】
また、前記環状嵌合部は、その直径方向の幅(嵌合部幅(w))は、3.6mmである。
【0049】
本発明では、前記した通り、前記凸条突起部は蓋体嵌合部上面に位置するが、できるだけ外方に位置することが加熱蒸気との侵入防止の点から好ましく、本実施態様においては、凸条突起部幅(d)の中間点の位置が、嵌合部幅(w)の中間点よりも外側に位置しており、更に、嵌合部幅(w)に対する凸条突起部幅(d)の比率[(d)/(w)]は、0.28である。
【0050】
前記嵌合外壁24dの下端部は更に紙容器本体の側壁上部を包み込むように、更に具体的には下端部がカール状開口端部よりも低い位置となり、断面視で内側に向けて屈曲し、カール状縁部を狭窄状に覆い、スカート部25aへ接続している。該スカート部には、本発明の蓋体における内外嵌合をより強固にし、かつ、蓋体嵌め込みの際にクリック感により確実に装着できるように、内側に凸条に突出した嵌合係止部25bを有している。斯かる嵌合係止部25bは、蓋体2の外縁周方向に嵌合係止部幅W25bが40mmで配設されている。
【0051】
なお、手に触れた際の切創防止のために、図示しないが、スカート部末端(図3図8図9におけるスカート末端部26)には、微細な凹凸形状が連続的に形成されている。
【0052】
また、天面部21の外縁には、尻状凸条部21aが、欠損部21bを介して断続的に形成されている。これにより、該糸尻状凸条部自体の強度が増し、天面部が外力によって座屈することを効果的に防止できる。本実施態様では、前記欠損部21bは、スタック用凹部27と一体的に形成されている。
ここで、尻状凸条部21aの高さ(t2)は、1mmであり、その曲率半径Reは0.6mmである。
【0053】
また、天面上に形成された蒸気孔30は、本実施態様では、図3に示すようにC型の切り込み弁を4つ設けられている。
【0054】
更に、本実施態様では、前記溝底部23には、下向きに凸条で周方向に無煙端で形成された環状リブを溝底部23の内縁側と外縁側とにそれぞれ有しており、図3に示す様に内縁側のものを内縁側環状リブ23a、外縁側のものを外縁側環状リブ23cとして表すことができる。該溝底部の構造は、図8及び図9の端面図で示す様に、内容物側より内縁側環状リブ23a、溝底部水平部23b、外縁側環状リブ23cの順に並ぶ構造となる。
【0055】
上記した蓋体2は、本実施態様では延伸ポリプロピレンを成形して得ることできる。
【0056】
前記した紙容器本体1と蓋体2とを嵌合させた状態は、図10の斜視図で表すことができ、図4のA-A断面である図9(a)、B-B断面であるである図9(b)に示すように蓋体2嵌合部24a・24dがカール状開口端部13に狭窄的に密着している。更に凸条突起部24cは、前記カール状開口端部13の上端との間に空隙を形成しており、加熱蒸気の温度緩和に寄与している。
【実施例0057】
以下、本発明を実施例及び比較例を掲げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0058】
実施例1
図1に示す紙容器と、延伸ポリプロピレンシートから成形して得られた図3で表される蓋体とを用意した。これらの紙容器と蓋体とは前記実施態様に示した形状を有するものである。
次に、紙容器内に試験用ドリア食品を収容し、前記蓋体で閉蓋し嵌合させた。
この際、確かな作業者には閉蓋時のクリック感により確実な閉蓋が可能であることが確認できた。
次いで1500Wの電子レンジで70秒加熱し、加熱直後の凸条突起部24c表面の温度及びスカート末端部26の表面の温度を温度計にて実測した。
更に、加熱終了後30秒後、60秒後の24c、27の表面温度を実測した。
結果を表1に示す。
【0059】
比較例1
蓋体として、嵌合上部に凸条突起部24cを有しない他は、前記実施態様と同様の形状の蓋体を用い、実施例1と同様にして加熱試験を行い、加熱直後、加熱終了後30秒後、60秒後の嵌合部上部及びスカート末端部の表面温度を実測した。結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
上記の結果から、本発明の蓋体を用いて電子レンジにて調理した場合、加熱直後において嵌合部上部の温度が抑えられ、かつ、その後の温度低下が速やかであることが分かる。
また、スカート末端部においても加熱直後において温度上昇が抑えられ、かつ、その後速やかに温度が低下している。
【符号の説明】
【0062】
1:紙容器本体
11:底部
12:胴部
13:カール状開口端部
2:蓋体
21:天面
21a:糸尻状凸条部
21b:欠損部
22:蓋体壁面
23:溝底部
23a:内縁側環状リブ
23b:溝底水平部
23c:外縁側環状リブ
24:嵌合部
24a:嵌合内壁
24b:非突起部
24c:凸条突起部
24d:嵌合外壁
25a:スカート部
25b:嵌合係止部
26:スカート末端部
27:スタック用凹部
30:蒸気孔
a:凸条突起部長さ
b:非凸条部周方向長さ
c:隙間長さ
d:凸条突起部幅
t1:嵌合部高さ
t2:糸尻状凸条部の高さ
T1:蓋体高さ
h:凸条突起部高さ
R:環状凹部
w:嵌合部幅
25b:嵌合係止部幅
W1:嵌合外壁間の長さ
W2:天面部直径


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10