(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180599
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】トラクタ
(51)【国際特許分類】
F01N 3/08 20060101AFI20241219BHJP
B60K 13/04 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
F01N3/08 B
B60K13/04 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024180839
(22)【出願日】2024-10-16
(62)【分割の表示】P 2021162217の分割
【原出願日】2021-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】辻 賢一朗
(72)【発明者】
【氏名】中塚 拓希
(72)【発明者】
【氏名】井上 竜一
(57)【要約】
【課題】還元剤タンクをバッテリーと共にエンジンルームにおけるラジエータよりも車体前方側に設けるトラクタにおいて、エンジンルームの車体前後方向長さを短めにしながらバッテリーのメンテナンス作業を行い易くできるようにする。
【解決手段】エンジンルーム15においてエンジンよりも車体前方側に設けられ、エンジンの冷却を行うラジエータと、エンジンが排出する排ガスを還元剤によって浄化処理する排ガス浄化装置と、排ガス浄化装置に供給される還元剤を貯留する還元剤タンク21と、が備えられ、還元剤タンク21は、エンジンルーム15において、ラジエータよりも車体前方側に、車体の幅方向に沿ってバッテリー23と横並び状態で設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンルームにおいてエンジンよりも車体前方側に設けられ、前記エンジンの冷却を行うラジエータと、
前記エンジンが排出する排ガスを還元剤によって浄化処理する排ガス浄化装置と、
前記排ガス浄化装置に供給される還元剤を貯留する還元剤タンクと、が備えられ、
前記還元剤タンクは、前記エンジンルームにおいて、前記ラジエータよりも車体前方側に、車体の幅方向に沿ってバッテリーと横並び状態で設けられているトラクタ。
【請求項2】
前記還元剤タンクの下面が、前記バッテリーの下面よりも下方に位置する請求項1に記載のトラクタ。
【請求項3】
エンジンルームにおいてエンジンよりも車体前方側に設けられ、前記エンジンの冷却を行うラジエータと、
前記エンジンが排出する排ガスを還元剤によって浄化処理する排ガス浄化装置と、
前記排ガス浄化装置に供給される還元剤を貯留する還元剤タンクと、が備えられ、
前記還元剤タンクは、前記エンジンルームにおいて、前記ラジエータよりも車体前方側に、車体の幅方向に沿ってバッテリーと横並び状態で設けられており、
車体フレームよりも車体上方側に設けられ、前記バッテリーの載置台を支持する支持プレートが備えられ、
前記支持プレートは、開口を有し、
前記還元剤タンクの下部が前記開口を通って前記支持プレートよりも下方へ延ばされているトラクタ。
【請求項4】
前記還元剤タンクを支持するタンクケースを備え、
前記タンクケースは、前記開口に入り込む状態で支持プレートに支持される底部を有し、
前記底部は前記還元剤タンクの下部を下方から受け止める請求項3に記載のトラクタ。
【請求項5】
前記タンクケースは、前記底部から前記還元剤タンクの両横側に向かって立ち上がる側板部を有している請求項4に記載のトラクタ。
【請求項6】
前記タンクケースは、両横側の側板部を連結する連結部を有している請求項5に記載のトラクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタに関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタには、エンジンルームにおいてエンジンよりも車体前方側に設けられ、エンジンの冷却を行うラジエータと、エンジンが排出する排ガスを還元剤によって浄化処理する排ガス浄化装置と、排ガス浄化装置に供給される還元剤を貯留する還元剤タンクと、が備えられたものがある。
この種のトラクタにおいて、たとえば特許文献1に示されるように、還元剤タンク(尿素水タンク)をエンジンルームにおいてラジエータよりも車体前方側に設けたものがある。このように還元剤タンクをエンジンルームにおいてラジエータよりも車体前方側に設けることにより、ラジエータがエンジンと還元剤タンクとの間に位置する遮熱壁になり、エンジンから還元剤タンクへの熱伝達がラジエータによって抑制され、還元剤タンクの還元剤が温度上昇によって劣化することの防止が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術を適用した場合、還元剤タンクがバッテリーの上に位置するので、バッテリーのメンテンス作業を行う際、還元剤タンクを取り除く手間が掛かる。
【0005】
本発明は、還元剤タンクをバッテリーと共にエンジンルームにおけるラジエータよりも車体前方側に設けるものでありながら、エンジンルームの車体前後方向長さを短めにしながらバッテリーのメンテナンス作業を行い易くできるトラクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるトラクタは、エンジンルームにおいてエンジンよりも車体前方側に設けられ、前記エンジンの冷却を行うラジエータと、前記エンジンが排出する排ガスを還元剤によって浄化処理する排ガス浄化装置と、前記排ガス浄化装置に供給される還元剤を貯留する還元剤タンクと、が備えられ、前記還元剤タンクは、前記エンジンルームにおいて、前記ラジエータよりも車体前方側に、車体の幅方向に沿ってバッテリーと横並び状態で設けられている。
また、本発明によるトラクタは、エンジンルームにおいてエンジンよりも車体前方側に設けられ、前記エンジンの冷却を行うラジエータと、前記エンジンが排出する排ガスを還元剤によって浄化処理する排ガス浄化装置と、前記排ガス浄化装置に供給される還元剤を貯留する還元剤タンクと、が備えられ、前記還元剤タンクは、前記エンジンルームにおいて前記ラジエータよりも車体前方側にバッテリーと横並び状態で設けられている。
【0007】
本構成によると、還元剤タンクとバッテリーとが横並びで位置するので、前後並びで位置するのに比べ、還元剤タンクおよびバッテリーの設置に必要なスペースが短くて済む。
還元剤タンクをバッテリーの横側方に置いたままにしてもバッテリーのメンテナンス作業を行えるので、還元剤タンクおよびバッテリーをエンジンルームにおけるラジエータよりも車体前方側に設けるものでありながら、エンジンルームを短めにしながら、バッテリーのメンテナンス作業を行い易くできる。
【0008】
本発明においては、
前記還元剤タンクから前記排ガス浄化装置に還元剤を供給する還元剤ポンプが、前記バッテリーの横側方において前記還元剤タンクと横並び状態で設けられていると好適である。
【0009】
本構成によると、還元剤タンクと還元剤ポンプとが横並びで位置するので、前後並びで位置するのに比べ、還元剤タンクおよび還元剤ポンプの設置に必要なスペースが短くて済む。還元剤タンクのメンテナンス作業を行う際、還元剤タンクの横側方で還元剤ポンプのメンテナンス作業を行うことができるので、エンジンルームを短めにしながら、還元剤タンクのメンテナンス作業に併せて還元剤ポンプのメンテナンス作業を行い易い。
【0010】
本発明においては、前記バッテリーは、長手方向が車体前後向きになる状態で設けられていると好適である。
【0011】
本構成によると、バッテリーの長手方向が車体横向きであるのに比べ、バッテリーの車体横側方に還元剤タンクの設置スペースを広く得ることができるので、還元剤タンクを設置し易い。
【0012】
本発明においては、
車体フレームよりも車体上方側に設けられ、前記バッテリーの載置台を支持する支持プレートが備えられ、前記還元剤タンクの下部が前記支持プレートよりも下方へ延ばされ、前記還元剤タンクの下角部に切欠き部が設けられていると好適である。
【0013】
本構成によると、還元剤タンクの下部が支持プレートよりも下方へ延びるので、還元剤タンクの横幅を拡大するのに比べ、還元剤タンクとバッテリーとを横並びにするスペースを確保し易くしながら還元剤タンクの容量を増やすことができる。還元剤タンクの下部における容量が増え過ぎないように容量増加が切欠き部によって抑制されるので、フロート式などのセンサによる貯留量の計測を支障なく行わせることができる。
【0014】
本発明においては、前記還元剤タンクから前記排ガス浄化装置に還元剤を供給する還元剤ポンプが、前記バッテリーと前記還元剤タンクとの間に設けられていると好適である。
【0015】
本構成によると、還元剤ポンプの荷重がバッテリーと還元剤タンクとの間に掛かるので、車体横幅方向での重量が還元剤ポンプの荷重によって崩れるとか、大幅に崩れることがないようにしながら還元剤ポンプを設置できる。
【0016】
本発明においては、前記還元剤ポンプからホースが前記バッテリーの下方を通して車体横側部に向けて延ばされていると好適である。
【0017】
本構成によると、還元剤タンクから車体横側部に向けて延びるホースにバッテリーを車体前方側あるいは車体後方側に迂回させずに済むので、ホースをあまり曲げずに済む。
【0018】
本発明においては、
前記バッテリーと前記還元剤ポンプとの間に設けられ、前記還元剤ポンプを連結されて支持するポンプ支持部材が備えられ、前記バッテリーの上面に当て付けられて前記バッテリーを載置台に押し付けて固定する固定部材が備えられ、前記固定部材の一端部を支持する支持部が前記ポンプ支持部材に備えられていると好適である。
【0019】
本構成によると、固定部材は、還元剤ポンプを支持する剛性の高いポンプ支持部材にしっかり支持されつつバッテリーを載置台に押し付け固定するので、固定部材の支持部材にポンプ支持部材を活用して固定部材の支持構造を簡素に得ながらバッテリーを載置台にしっかり固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】還元剤タンク、還元剤ポンプおよびバッテリーを示す正面図である。
【
図3】還元剤タンク、還元剤ポンプおよびバッテリーを示す平面図である。
【
図4】還元剤ポンプに接続されるホースの配置を示す正面図である。
【
図5】還元剤タンク、および、支持プレートの断面を示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一例である実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、トラクタの走行車体に関し、
図1に示される矢印Fの方向を「車体前方」、矢印Bの方向を「車体後方」、矢印Uの方向を「車体上方」、矢印Dの方向を「車体下方」、紙面表側の方向を「車体左方」、紙面裏側の方向を「車体右方」とする。
【0022】
〔トラクタの全体の構成〕
図1に示されるように、トラクタは、操向および駆動可能な左右一対の前車輪1および駆動可能な左右一対の後車輪2によって支持される走行車体3を備えている。走行車体3の車体フレーム4は、エンジン5、エンジン5の後部に連結されたフライホィールハウジング6、フライホィールハウジング6の後部に連結されたクラッチハウジング7、クラッチハウジング7の後部に連結されたミッションケース7a、およびエンジン5の下部に連結された前部フレーム8によって構成されている。走行車体3の前部に、エンジン5を備える原動部9が形成されている。走行車体3の後部に、運転座席10、前車輪1を操向操作するステアリングホィール11を備える運転部12が形成されている。ミッションケース7aの後部に、ロータリ耕耘装置(図示せず)などの作業装置を昇降操作可能に連結するリンク機構13、エンジン5からの動力を取り出して連結された作業装置に出力する動力取出し軸14が備えられている。
【0023】
〔原動部の構成〕
図1に示されるように、原動部9には、エンジンルーム15が備えられている。エンジンルーム15は、エンジンルーム15を上方及び前方から覆うエンジンボンネット16などによって形成されている。
【0024】
図1に示されるように、エンジンルーム15には、エンジン5、エンジン5の冷却を行うラジエータ17、エンジン5が排出する排ガスの浄化処理を行う第1排ガス浄化装置(DPF)18および第2排ガス浄化装置(SCR)19が設けられている。
【0025】
〔ラジエータの構成〕
図1に示されるように、ラジエータ17は、エンジン5よりも車体前方側に設けられている。ラジエータ17とエンジン5との間に位置する回転ファン20の送風作用によって冷却風がエンジンルーム15の外部から内部に導入されてラジエータ17に供給される。
ラジエータ17においては、供給される冷却風とエンジン冷却水との熱交換によってエンジン冷却水の冷却が行われ、冷却したエンジン冷却水がエンジン5に供給されることによってエンジン5の冷却が行われる。
【0026】
〔排ガス浄化装置の構成〕
エンジン5は、ディーゼルエンジンである。
図1に示されるように、第1排ガス浄化装置18は、エンジン5の上方に設けられている。第1排ガス浄化装置18においては、エンジン5が排出する排ガスが装置内に吸引され、吸引された排ガスに含まれるディーゼル微粒子が捕集フィルター(図示せず)によって捕集され、ディーゼル微粒子を減少させる排ガスの浄化処理が行われる。
【0027】
図1に示されるように、第2排ガス浄化装置19は、エンジン5の後方に設けられている。第2排ガス浄化装置19においては、第1排ガス浄化装置18が吐出する排ガスが装置内に導入され、導入された排ガスが還元剤によって浄化処理される。詳しくは、導入された排ガスに還元剤としての尿素水が噴射されて加水分解され、排ガスに含まれる窒素酸化物を減少させる排ガスの浄化処理が行われる。浄化処理された排ガスが第2排ガス浄化装置19に接続された排気管(図示せず)から吐出される。
【0028】
〔還元剤タンク、還元剤ポンプ、バッテリーの構成〕
図1,2に示されるように、エンジンルーム15において、ラジエータ17よりも車体前方側に、還元剤としての尿素水を貯留する還元剤タンク21、還元剤ポンプ22およびバッテリー23が設けられている。還元剤ポンプ22がバッテリー23からの電力によって駆動され、還元剤タンク21に貯留された尿素水が還元剤ポンプ22によって第2排ガス浄化装置19に供給されるように構成されている。
【0029】
図2,3に示されるように、還元剤タンク21は、バッテリー23と横並び状態で設けられている。還元剤ポンプ22は、バッテリー23の横側方において還元剤タンク21と横並び状態で設けられている。具体的には、還元剤タンク21、還元剤ポンプ22およびバッテリー23は、還元剤タンク21とバッテリー23との間に還元剤ポンプ22が位置する状態で車体横幅方向に並んでいる。本実施形態では、バッテリー23が還元剤ポンプ22の車体右横側に位置し、還元剤タンク21が還元剤ポンプ22の車体左横側に位置しているが、バッテリー23が還元剤ポンプ22の車体左横側に位置し、還元剤タンク21が還元剤ポンプ22の車体右横側に位置する配置構成の採用が可能である。
【0030】
〔バッテリーの構成〕
図2,3に示されるように、バッテリー23は、載置台24に載置され、バッテリー23の上面に当て付けられた固定部材25によって載置台24に押し付け固定されるように構成されている。バッテリー23の平面視形状が長方形状にされ、バッテリー23は、平面視での長手方向が車体前後向きになる状態で載置台24に載置するように構成されている。本実施形態では、
図3,7に示されるように、載置台24は、車体前後方向に間隔を空けて並ぶ三つの分割載置台24aによって構成されている。載置台24は、車体フレーム4を構成する前部フレーム8よりも車体上方側に設けられた支持プレート26に支持されている。バッテリー23は、載置台24を介して支持プレート26に支持される。支持プレート26は、
図2に示されるように、支持プレート26の下面側に備えられた脚体部26aが前部フレーム8に連結されることによって前部フレーム8に支持される。
【0031】
図2,3に示されるように、バッテリー23を載置台24に固定する固定部材25の一端部25aは、バッテリー23と還元剤ポンプ22との間に設けられたポンプ支持部材27に備えられた支持部28に支持されるように構成されている。ポンプ支持部材27は、支持プレート26から上向きに立設され、支持プレート26に支持されている。
図2,6に示されるように、支持部28には、固定部材25の一端部25aを脱着可能に外嵌させるネジ軸部28aと、ネジ軸部28aに外嵌された一端部25aよりも上側においてネジ軸部28aに脱着可能に係合させる押圧部材28bと、が備えられている。押圧部材28bは、ネジ軸部28aに外嵌された一端部25aの抜け止めを行うように、かつ、締込み操作されることによって一端部25aをバッテリー23に押し付け操作するように構成されている。
【0032】
図2,3に示されるように、固定部材25の他端部25bは、バッテリー23に対して還元剤ポンプ側とは反対側に設けられた第2支持部材29に備えられた第2支持部30に支持されるように構成されている。第2支持部材29は、支持プレート26から上向きに延びるように構成されている。第2支持部30には、
図7に示されるように、固定部材25の他端部25bを脱着可能に外嵌させる第2ネジ軸部30aと、第2ネジ軸部30aに外嵌された他端部25bよりも上側において第2ネジ軸部30aに脱着可能に係合させる第2押圧部材30bと、が備えられている。第2押圧部材30bは、第2ネジ軸部30aに外嵌された他端部25bの抜け止めを行うように、かつ、締込み操作されることによって他端部25bをバッテリー23に押し付け操作するように構成されている。
【0033】
固定部材25においては、一端部25aがポンプ支持部材27の支持部28に取付けられて押圧部材28bによってバッテリー23に押し付け操作され、他端部25bが第2支持部材29の第2支持部30に取付けられて第2押圧部材30bによってバッテリー23に押し付け操作されることにより、バッテリー23の上面に当て付けられてバッテリー23を載置台24に押し付けて固定する。
【0034】
〔還元剤タンクの構成〕
図5に示されるように、還元剤タンク21の上部から供給筒21aが前上向きに延ばされている。還元剤タンク21は、還元剤としての尿素水が供給筒21aから供給されることによって尿素水を貯留する。
【0035】
図2,3に示されるように、還元剤タンク21は、タンクケース31に支持されている。タンクケース31には、還元剤タンク21の下部21bを下方から受け止める底部31aと、底部31aから還元剤タンク21の両横側に向かって立ち上がる側板部31bと、が備えられている。両横側の側板部31bにわたり、還元剤タンク21の前側を通って両横側の側板部31bを連結する連結部31cが設けられている。左右の側板部31bが底部31aに支持され、底部31aが支持プレート26に備えられた開口32に入り込む状態で支持プレート26に支持されている。還元剤タンク21は、タンクケース31を介して支持プレート26に支持される。
【0036】
図2,4,5に示されるように、還元剤タンク21の下部21bは、支持プレート26の開口32を通して支持プレート26よりも下方へ延ばされている。
図5に示されるように、還元剤タンク21の下角部に切欠き部33が設けられている。切欠き部33は、還元剤タンク21の全幅にわたって設けられている。下部21bが支持プレート26よりも下方へ延びることによって還元剤タンク21の容量を増やすことができ、容量が増え過ぎないように容量の増加が切欠き部33によって抑制される。本実施形態では、切欠き部33は、還元剤タンク21の後下角部に設けられているが、前下角部に設けることが可能である。
【0037】
〔還元剤ポンプの構成〕
図2,4に示されるように、還元剤ポンプ22は、支持プレート26の上面側に位置している。
図2,6に示されるように、還元剤ポンプ22は、バッテリー23と還元剤ポンプ22との間に設けられたポンプ支持部材27に支持され、ポンプ支持部材27を介して支持プレート26に支持さるように構成されている。
【0038】
具体的には、
図2,6に示されるように、ポンプ支持部材27には、支持プレート26から上向きに立ち上がる前支柱部27aと、前支柱部27aよりも後側において支持プレート26から上向きに立ち上がる後支柱部27bと、が備えられている。前支柱部27aの上部および後支柱部27bの上部に、還元剤ポンプ22が連結されるポンプ支持部27eが備えられている。前支柱部27aおよび後支柱部27bのポンプ支持部27eには、タンクケース31の還元剤ポンプ側の側板部31bが連結され、ポンプ支持部27eは、側板部31bを介して還元剤ポンプ22を支持する。前支柱部27aの上部と後支柱部27bの上部とに亘り、前支柱部27aと後支柱部27bとを連結する第1連結部27cおよび第2連結部27dが設けられている。第2連結部27dに、固定部材25の一端部25aを支持する支持部28が形成されている。
【0039】
図3,4に示されるように、還元剤ポンプ22の底部に、還元剤ポンプ22と第2排ガス浄化装置19とを接続するホース34が接続されている。ホース34は、還元剤ポンプ22の底部からバッテリー23の下方を通して車体横側部に向けて延ばされている。ホース34は、バッテリー23と支持プレート26との間の空間において、隣り合う分割載置台24aの間を通るように配設される。ホース34は、バッテリー23を前後に迂回させずに還元剤ポンプ22から車体横側部に引き出すことができる。
【0040】
〔別実施形態〕
(1)上記した実施形態では、還元剤ポンプ22が還元剤タンク21と横並び状態で還元剤タンク21とバッテリー23との間に設けられた例を示したが、これに限らず、還元剤ポンプ22は、エンジンルーム15の外部など、還元剤タンク21およびバッテリー23から離れた箇所など、どのような箇所に設けられたものであってもよい。
【0041】
(2)上記した実施形態では、バッテリー23は、長手方向が車体前後向きになる状態で設けられた例を示したが、これに限らず、長手方向が車体横向きになる状態で設けたものであってもよい。
【0042】
(3)上記した実施形態では、還元剤タンク21に、支持プレート26よりも下方へ延びる下部21b、下角部に設けた切欠き部33が備えられた例を示したが、これに限らず、下部21bが支持プレート26よりも下方へ延びておらず、かつ、切欠き部33が備えられていない還元剤タンク21を採用するものであってもよい。
【0043】
(4)上記した実施形態では、ポンプ支持部材27に支持部28が備えられた例を示したが、これに限らず、固定部材25の一端部25aを支持する専用の支持部材を設けたものであってもうよい。
【0044】
(5)上記した実施形態では、ホース34がバッテリー23の下方を通るように構成された例を示したが、これに限らず、バッテリー23の下方を通らず、バッテリー23の前側あるいは後側を通るものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、エンジンが排出する排ガスを還元剤によって浄化処理する排ガス浄化装置が備えられたトラクタに適用できる。
【符号の説明】
【0046】
5 エンジン
8 車体フレーム(前部フレーム)
15 エンジンルーム
17 ラジエータ
19 排ガス浄化装置(第2排ガス浄化装置)
21 還元剤タンク
21b 下部
22 還元剤ポンプ
23 バッテリー
24 載置台
25 固定部材
26 支持プレート
27 ポンプ支持部材
28 支持部
33 切欠き部
34 ホース