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特開2024-180610大腸癌に対する薬物療法の感受性の検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180610
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】大腸癌に対する薬物療法の感受性の検査方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6827 20180101AFI20241219BHJP
   C12Q 1/6851 20180101ALI20241219BHJP
   C12Q 1/6886 20180101ALI20241219BHJP
【FI】
C12Q1/6827 Z ZNA
C12Q1/6851 Z
C12Q1/6886 Z
C12Q1/6827 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024181463
(22)【出願日】2024-10-17
(62)【分割の表示】P 2021522870の分割
【原出願日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】P 2019103299
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、次世代がん医療創生研究事業「大腸がんに対する抗EGFR抗体薬の効果を予測する新規バイオマーカー・DNAメチル化状態診断キットの開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(71)【出願人】
【識別番号】512212427
【氏名又は名称】株式会社理研ジェネシス
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石岡 千加史
(72)【発明者】
【氏名】高橋 信
(72)【発明者】
【氏名】大内 康太
(72)【発明者】
【氏名】沖田 啓
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 辰朗
(72)【発明者】
【氏名】仲村 順子
(72)【発明者】
【氏名】津矢田 明泰
(57)【要約】
【課題】大腸癌の薬物療法に対する応答性の指標となることが従来知られていなかったメチル化部位を指標とする、新たな大腸癌に対する薬物療法の感受性の検査方法を提供すること。
【解決手段】大腸癌患者から採取されたDNAにおける領域(i)~(xvi)に含まれるCpGサイトからなる群より選択される少なくとも1箇所におけるメチル化を指標とする、大腸癌に対する薬物療法の感受性の検査方法(領域(i)~(xvi)は本明細書に記載の通り)。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大腸癌患者から採取されたDNAにおける下記領域(i)~(xvi)に含まれるCpGサイトからなる群より選択される少なくとも1箇所におけるメチル化を指標とする、大腸癌に対する薬物療法の感受性の検査方法。
領域(i)第2番染色体207307150~207309004番目の領域
領域(ii)第2番染色体241758282~241760510番目の領域
領域(iii)第3番染色体150802997~150805168番目の領域
領域(iv)第4番染色体141347993~141348489番目の領域
領域(v)第4番染色体186048714~186050048番目の領域
領域(vi)第5番染色体17216679~17219240番目の領域
領域(vii)第6番染色体37663982~37664539番目の領域
領域(viii)第6番染色体39281183~39282332番目の領域
領域(ix)第7番染色体42273390~42277951番目の領域
領域(x)第10番染色体13039715~13043422番目の領域
領域(xi)第10番染色体81664401~81665076番目の領域
領域(xii)第10番染色体88126287~88127189番目の領域
領域(xiii)第11番染色体61595807~61596627番目の領域
領域(xiv)第14番染色体23820337~23822266番目の領域
領域(xv)第17番染色体44895317~44896749番目の領域
領域(xvi)第19番染色体39520228~39523159番目の領域。
【請求項2】
第2番染色体の207307150番目、207307490番目、207307544番目、207307622番目、207307732番目、207308004番目、207308087番目、207308244番目、207308375番目、207308829番目、207309003番目、241758282番目、241758399番目、241758805番目、241758901番目、241759279番目、241759414番目、241760025番目、241760164番目、241760190番目、241760509番目、
第3番染色体の150802997番目、150803295番目、150803307番目、150803666番目、150803669番目、150804058番目、150804063番目、150804313番目、150804490番目、150804696番目、150804719番目、150805167番目、
第4番染色体の141347993番目、141348043番目、141348167番目、141348307番目、141348488番目、186048714番目、186048907番目、186049687番目、186049926番目、186050047番目、
第5番染色体の17216679番目、17216922番目、17217093番目、17217877番目、17218089番目、17218278番目、17218308番目、17218547番目、17218778番目、17219020番目、17219128番目、17219226番目、17219239番目、
第6番染色体の37663982番目、37664451番目、37664538番目、39281183番目、39281421番目、39281450番目、39281541番目、39281694番目、39281885番目、39282164番目、39282316番目、39282331番目、
第7番染色体の42273390番目、42275601番目、42275813番目、42275870番目、42275872番目、42276004番目、42276814番目、42276816番目、42276819番目、42276848番目、42276881番目、42276890番目、42276941番目、42276981番目、42277044番目、42277066番目、42277071番目、42277347番目、42277375番目、42277394番目、42277410番目、42277807番目、42277950番目、
第10番染色体の13039715番目、13041989番目、13043313番、13043421番目、81664401番目、81664567番目、81664583番目、81664698番目、81664955番目、81665075番目、88126287番目、88126291番目、88126299番目、88126306番目、88126853番目、88127188番目、
第11番染色体の61595807番目、61595956番目、61596068番目、61596307番目、61596333番目、61596405番目、61596626番目、
第14番染色体の23820337番目、23821149番目、23821229番目、23821435番目、23821445番目、23821570番目、23821596番目、23821902番目、23822017番目、23822265番目、
第17番染色体の44895317番目、44896017番目、44896080番目、44896147番目、44896162番目、44896166番目、44896168番目、44896212番目、44896223番目、44896424番目、44896748番目、
第19番染色体の39520228番目、39521931番目、39522418番目、39522548番目、39522747番目、39522944番目、39523083番目、及び39523158番目の塩基からなる群より選択される少なくとも1箇所のメチル化の検出を行い、その検出結果を大腸癌に対する薬物療法の感受性の指標とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
下記領域(i’)~(iv’)、領域(viii’)~(x’)、領域(xii’)~(xvi’)に含まれるCpGサイトからなる群より選択される少なくとも1箇所におけるメチル化を指標とする、請求項1又は2に記載の方法:
領域(i’)第2番染色体207307490~207308376番目の領域
領域(ii’)第2番染色体241758805~241760510番目の領域
領域(iii’)第3番染色体150802997~150804720番目の領域
領域(iv’)第4番染色体141348167~141348308番目の領域
領域(viii’)第6番染色体39281541~39282165番目の領域
領域(ix’)第7番染色体42275870~42276817番目の領域
領域(x’)第10番染色体13041989~13043422番目の領域
領域(xii’)第10番染色体88126287~88126307番目の領域
領域(xiii’)第11番染色体61595807~61596334番目の領域
領域(xiv’)第14番染色体23821596~23822266番目の領域
領域(xv’)第17番染色体44895317~44896425番目の領域
領域(xvi’)第19番染色体39520228~39523084番目の領域。
【請求項4】
第2番染色体の207308141番目、207308149番目、207308153番目、207308172番目、207308177番目、207308181番目、207308185番目、207308244番目、207308247番目、207308267番目、241758885番目、241758889番目、241758896番目、241758901番目、241758919番目、241758922番目、241758931番目、241758936番目、241758940番目、241759003番目、241759005番目、241759009番目、
第3番染色体の150804417番目、150804420番目、150804474番目、150804479番目、150804486番目、150804490番目、150804496番目、150804504番目、150804507番目、
第4番染色体の141348224番目、141348232番目、141348272番目、141348282番目、141348289番目、141348307番目、141348318番目、141348324番目、186049623番目、186049636番目、186049659番目、186049670番目、186049685番目、186049687番目、186049689番目、186049705番目、
第5番染色体の17216904番目、17216916番目、17216922番目、17216940番目、17216949番目、17216952番目、17217003番目、17217011番目、17217017番目、17217023番目、
第6番染色体の37664352番目、37664366番目、37664419番目、37664424番目、37664451番目、37664460番目、39281692番目、39281694番目、39281723番目、39281729番目、39281735番目、39281738番目、39281797番目、39281806番目、39281808番目、39281813番目、
第7番染色体の42276764番目、42276767番目、42276769番目、42276783番目、42276810番目、42276814番目、42276816番目、42276819番目、42276825番目、42276852番目、42276862番目、42276874番目、
第10番染色体の13043231番目、13043247番目、13043285番目、13043288番目、13043313番目、13043321番目、13043333番目、81664567番目、81664573番目、81664583番目、81664598番目、81664600番目、81664606番目、81664614番目、81664636番目、81664656番目、88126243番目、88126250番目、88126259番目、88126285番目、88126287番目、88126291番目、88126299番目、88126306番目、88126310番目、
第11番染色体の61595796番目、61595807番目、61595815番目、61595818番目、61595820番目、61595829番目、61595843番目、61595852番目、
第14番染色体の23822015番目、23822017番目、23822043番目、23822054番目、23822073番目、23822075番目、23822079番目、
第17番染色体の44896314番目、44896316番目、44896324番目、44896386番目、44896390番目、44896401番目、44896424番目、44896443番目、44896450番目、
第19番染色体の39522493番目、39522510番目、39522533番目、39522537番目、39522548番目、39522550番目、39522552番目、39522582番目、39522587番目、39522591番目及び39522608番目の塩基からなる群より選択される少なくとも1箇所のメチル化の検出を行い、その検出結果を大腸癌に対する薬物療法の感受性の指標とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法であって、
第2番染色体207308134番目~207308268番目の領域
第2番染色体241758885番目~241759011番目の領域
第3番染色体150804402番目~150804508番目の領域
第4番染色体141348215番目~141348329番目の領域
第4番染色体186049616番目~186049706番目の領域
第5番染色体17216901番目~17217025番目の領域
第6番染色体37664344番目~37664472番目の領域
第6番染色体39281671番目~39281814番目の領域
第7番染色体42276764番目~42276875番目の領域
第10番染色体13043227番目~13043334番目の領域
第10番染色体81664566番目~81664662番目の領域
第10番染色体88126243番目~88126334番目の領域
第11番染色体61595787番目~61595864番目の領域
第14番染色体23821996番目~23822092番目の領域
第17番染色体44896309番目~44896451番目の領域
第19番染色体39522493番目~39522609番目の領域
に含まれるCpGサイトからなる群より選択される少なくとも1箇所におけるメチル化を指標とする、方法。
【請求項6】
前記CpGサイトは、メチル化された前記CpGサイトを含むDNAをバイサルファイト処理して得られるDNAにおいて、配列番号1~48からなる群より選択される少なくとも1の配列のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする領域内に位置する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法であって、
(1)前記領域(i)~(xvi)のうち少なくとも2領域について各領域に含まれるCpGサイトを複数検出し、検出したCpGサイトのメチル化の頻度を測定する工程
(2)上記工程(1)において測定した各領域について、メチル化の頻度があらかじめ設定された値以上だった場合、当該領域を高メチル化領域と判定する工程
(3)上記工程(1)において測定した領域のうち、あらかじめ設定された割合以上の領域が、工程(2)において高メチル化領域と判定された場合、大腸癌に対する薬物療法の感受性なしと判定する工程
を含む、方法。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法であって、
(1)前記領域(i)~(xvi)のうち少なくとも2領域について各領域に含まれるCpGサイトを複数検出し、検出したCpGサイトのメチル化の頻度を測定する工程
(2)上記工程(1)において測定した各領域について、メチル化の頻度があらかじめ設定された値以上だった場合、当該領域を高メチル化領域と判定する工程
(3) 上記工程(1)において測定した領域のうち、あらかじめ設定された割合未満の領域が、工程(2)において高メチル化領域と判定された場合、大腸癌に対する薬物療法の感受性有りと判定する工程
を含む、方法。
【請求項9】
前記工程(1)における各領域におけるメチル化の頻度の測定がリアルタイムPCRにより行われ、かつリアルタイムPCRにより測定されたCt値と、コントロール反応のCt値との差であるΔCt値があらかじめ設定された値未満の場合に当該領域を高メチル化領域とする、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
工程(1)において領域(i)~(xvi)のうち少なくとも8領域についてメチル化の頻度を測定する、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記大腸癌患者から採取されたDNAが、当該大腸癌患者から採取した大腸組織、血液、血清、血漿、糞便、腸管洗浄液又は浣腸洗浄液から調製したものである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
大腸癌に対する薬物療法が抗EGFR抗体を用いるものである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
抗EGFR抗体がセツキシマブ及びパニツムマブからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
大腸癌患者から採取されたDNAにおける下記領域(i)~(xvi)に含まれるCpGサイトからなる群より選択される少なくとも1箇所におけるメチル化を解析するためのプライマーセットを含む、大腸癌に対する薬物療法の感受性の有無の指標となり得る情報を取得するためのキット
領域(i)第2番染色体207307150~207309004番目の領域
領域(ii)第2番染色体241758282~241760510番目の領域
領域(iii)第3番染色体150802997~150805168番目の領域
領域(iv)第4番染色体141347993~141348489番目の領域
領域(v)第4番染色体186048714~186050048番目の領域
領域(vi)第5番染色体17216679~17219240番目の領域
領域(vii)第6番染色体37663982~37664539番目の領域
領域(viii)第6番染色体39281183~39282332番目の領域
領域(ix)第7番染色体42273390~42277951番目の領域
領域(x)第10番染色体13039715~13043422番目の領域
領域(xi)第10番染色体81664401~81665076番目の領域
領域(xii)第10番染色体88126287~88127189番目の領域
領域(xiii)第11番染色体61595807~61596627番目の領域
領域(xiv)第14番染色体23820337~23822266番目の領域
領域(xv)第17番染色体44895317~44896749番目の領域
領域(xvi)第19番染色体39520228~39523159番目の領域。
【請求項15】
プライマーセットが、メチル化特異的PCR法、シーケンシング法、及び質量分析法からなる群より選択される少なくとも1つの方法によりCpGサイトのメチル化を解析するためのプライマーセットである請求項14に記載のキット。
【請求項16】
プライマーセットが、下記の少なくとも1つの領域を、当該領域に含まれるCpGサイトがメチル化されている場合にバイサルファイト処理後に増幅できるプライマーセットを含む、請求項14又は15に記載のキット:
第2番染色体207308134番目~207308267番目を含む領域
第2番染色体241758885番目~241759011番目を含む領域
第3番染色体150804402番目~150804508番目を含む領域
第4番染色体141348215番目~141348329番目を含む領域
第4番染色体186049616番目~186049705番目を含む領域
第5番染色体17216901番目~17217025番目を含む領域
第6番染色体37664344番目~37664472番目を含む領域
第6番染色体39281671番目~39281814番目を含む領域
第7番染色体42276765番目~42276874番目を含む領域
第10番染色体13043227番目~13043334番目を含む領域
第10番染色体81664566番目~81664662番目を含む領域
第10番染色体88126244番目~88126334番目を含む領域
第11番染色体61595787番目~61595864番目を含む領域
第14番染色体23821996番目~23822092番目を含む領域
第17番染色体44896309番目~44896450番目を含む領域
第19番染色体39522494番目~39522608番目を含む領域。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年5月31日に出願された、日本国特許出願第2019-103299号明細書(その開示全体が参照により本明細書中に援用される)に基づく優先権を主張する。本発明は、大腸癌に対する薬物療法の感受性の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大腸癌は、大腸(結腸、直腸、肛門)に発生する癌腫の総称である。大腸癌は、癌のなかでも罹患数及び死亡数が多く、その治療方法について研究が続けられている。また癌治療の研究の試みの一つとして、治療の効果を最大にし、副作用をできるだけ少なくするために、「個別化医療」の検討がされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、下記Target IDで表される24の遺伝子cg01791410、cg01802453、cg02484469、cg02916312、cg03839709、cg05218346、cg07005523、cg01068327、cg07258916、cg01360792、cg09767602、cg11092616、cg12646649、cg13261931、cg16041660、cg16958716、cg11188046、cg18412834、cg20012008、cg20265733、cg20339230、cg21787291、cg24792289、cg27628784をマーカー遺伝子とし、これらのマーカー遺伝子の特定の位置の塩基がメチル化されているか否かを指標に、大腸癌患者の抗EGFR抗体を用いたがん薬物療法に対する応答性を予測する方法が記載されている(引用文献1、実施例8等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2016/060278A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、大腸癌の薬物療法に対する応答性の指標となることが従来知られていなかったメチル化部位を指標とする、新たな大腸癌に対する薬物療法の感受性の検査方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる状況の下、本発明者らは鋭意研究した結果、後述する領域(i)~(xvi)に含まれるCpGサイトからなる群より選択される少なくとも1箇所におけるメチル化を指標とすることにより、大腸癌に対する薬物療法の感受性を効率的に検査できることを見出した。本発明はかかる新規の知見に基づく。
【0007】
従って、本発明は以下の項を提供する:
項1.大腸癌患者から採取されたDNAにおける下記領域(i)~(xvi)に含まれるCpGサイトからなる群より選択される少なくとも1箇所におけるメチル化を指標とする、大腸癌に対する薬物療法の感受性の検査方法。
領域(i)第2番染色体207307150~207309004番目の領域
領域(ii)第2番染色体241758282~241760510番目の領域
領域(iii)第3番染色体150802997~150805168番目の領域
領域(iv)第4番染色体141347993~141348489番目の領域
領域(v)第4番染色体186048714~186050048番目の領域
領域(vi)第5番染色体17216679~17219240番目の領域
領域(vii)第6番染色体37663982~37664539番目の領域
領域(viii)第6番染色体39281183~39282332番目の領域
領域(ix)第7番染色体42273390~42277951番目の領域
領域(x)第10番染色体13039715~13043422番目の領域
領域(xi)第10番染色体81664401~81665076番目の領域
領域(xii)第10番染色体88126287~88127189番目の領域
領域(xiii)第11番染色体61595807~61596627番目の領域
領域(xiv)第14番染色体23820337~23822266番目の領域
領域(xv)第17番染色体44895317~44896749番目の領域
領域(xvi)第19番染色体39520228~39523159番目の領域。
【0008】
項2.第2番染色体の207307150番目、207307490番目、207307544番目、207307622番目、207307732番目、207308004番目、207308087番目、207308244番目、207308375番目、207308829番目、207309003番目、241758282番目、241758399番目、241758805番目、241758901番目、241759279番目、241759414番目、241760025番目、241760164番目、241760190番目、241760509番目、
第3番染色体の150802997番目、150803295番目、150803307番目、150803666番目、150803669番目、150804058番目、150804063番目、150804313番目、150804490番目、150804696番目、150804719番目、150805167番目、
第4番染色体の141347993番目、141348043番目、141348167番目、141348307番目、141348488番目、186048714番目、186048907番目、186049687番目、186049926番目、186050047番目、
第5番染色体の17216679番目、17216922番目、17217093番目、17217877番目、17218089番目、17218278番目、17218308番目、17218547番目、17218778番目、17219020番目、17219128番目、17219226番目、17219239番目、
第6番染色体の37663982番目、37664451番目、37664538番目、39281183番目、39281421番目、39281450番目、39281541番目、39281694番目、39281885番目、39282164番目、39282316番目、39282331番目、
第7番染色体の42273390番目、42275601番目、42275813番目、42275870番目、42275872番目、42276004番目、42276814番目、42276816番目、42276819番目、42276848番目、42276881番目、42276890番目、42276941番目、42276981番目、42277044番目、42277066番目、42277071番目、42277347番目、42277375番目、42277394番目、42277410番目、42277807番目、42277950番目、
第10番染色体の13039715番目、13041989番目、13043313番、13043421番目、81664401番目、81664567番目、81664583番目、81664698番目、81664955番目、81665075番目、88126287番目、88126291番目、88126299番目、88126306番目、88126853番目、88127188番目、
第11番染色体の61595807番目、61595956番目、61596068番目、61596307番目、61596333番目、61596405番目、61596626番目、
第14番染色体の23820337番目、23821149番目、23821229番目、23821435番目、23821445番目、23821570番目、23821596番目、23821902番目、23822017番目、23822265番目、
第17番染色体の44895317番目、44896017番目、44896080番目、44896147番目、44896162番目、44896166番目、44896168番目、44896212番目、44896223番目、44896424番目、44896748番目、
第19番染色体の39520228番目、39521931番目、39522418番目、39522548番目、39522747番目、39522944番目、39523083番目、及び39523158番目の塩基からなる群より選択される少なくとも1箇所のメチル化の検出を行い、その検出結果を大腸癌に対する薬物療法の感受性の指標とする、項1に記載の方法。
【0009】
項3.下記領域(i’)~(iv’)、領域(viii’)~(x’)、領域(xii’)~(xvi’)に含まれるCpGサイトからなる群より選択される少なくとも1箇所におけるメチル化を指標とする、項1又は2に記載の方法:
領域(i’)第2番染色体207307490~207308376番目の領域
領域(ii’)第2番染色体241758805~241760510番目の領域
領域(iii’)第3番染色体150802997~150804720番目の領域
領域(iv’)第4番染色体141348167~141348308番目の領域
領域(viii’)第6番染色体39281541~39282165番目の領域
領域(ix’)第7番染色体42275870~42276817番目の領域
領域(x’)第10番染色体13041989~13043422番目の領域
領域(xii’)第10番染色体88126287~88126307番目の領域
領域(xiii’)第11番染色体61595807~61596334番目の領域
領域(xiv’)第14番染色体23821596~23822266番目の領域
領域(xv’)第17番染色体44895317~44896425番目の領域
領域(xvi’)第19番染色体39520228~39523084番目の領域。
【0010】
項4.第2番染色体の207308141番目、207308149番目、207308153番目、207308172番目、207308177番目、207308181番目、207308185番目、207308244番目、207308247番目、207308267番目、241758885番目、241758889番目、241758896番目、241758901番目、241758919番目、241758922番目、241758931番目、241758936番目、241758940番目、241759003番目、241759005番目、241759009番目、
第3番染色体の150804417番目、150804420番目、150804474番目、150804479番目、150804486番目、150804490番目、150804496番目、150804504番目、150804507番目、
第4番染色体の141348224番目、141348232番目、141348272番目、141348282番目、141348289番目、141348307番目、141348318番目、141348324番目、186049623番目、186049636番目、186049659番目、186049670番目、186049685番目、186049687番目、186049689番目、186049705番目、
第5番染色体の17216904番目、17216916番目、17216922番目、17216940番目、17216949番目、17216952番目、17217003番目、17217011番目、17217017番目、
第6番染色体の37664352番目、37664366番目、37664419番目、37664424番目、37664451番目、37664460番目、39281692番目、39281694番目、39281723番目、39281729番目、39281735番目、39281738番目、39281797番目、39281806番目、39281808番目、39281813番目、
第7番染色体の42276764番目、42276767番目、42276769番目、42276783番目、42276810番目、42276814番目、42276816番目、42276819番目、42276825番目、42276852番目、42276862番目、42276874番目、
第10番染色体の13043231番目、13043247番目、13043285番目、13043288番目、13043313番目、13043321番目、13043333番目、81664567番目、81664573番目、81664583番目、81664598番目、81664600番目、81664606番目、81664614番目、81664636番目、81664656番目、88126243番目、88126250番目、88126259番目、88126285番目、88126287番目、88126291番目、88126299番目、88126306番目、88126310番目、
第11番染色体の61595796番目、61595807番目、61595815番目、61595818番目、61595820番目、61595829番目、61595843番目、61595852番目、
第14番染色体の23822015番目、23822017番目、23822043番目、23822054番目、23822073番目、23822075番目、23822079番目、
第17番染色体の44896314番目、44896316番目、44896324番目、44896386番目、44896390番目、44896401番目、44896424番目、44896443番目、44896450番目、
第19番染色体の39522493番目、39522510番目、39522533番目、39522537番目、39522548番目、39522550番目、39522552番目、39522582番目、39522587番目、39522591番目及び39522608番目の塩基からなる群より選択される少なくとも1箇所のメチル化の検出を行い、その検出結果を大腸癌に対する薬物療法の感受性の指標とする、項1に記載の方法。
【0011】
項5.項1~4のいずれか一項に記載の方法であって、
第2番染色体207308134番目~207308268番目の領域
第2番染色体241758885番目~241759011番目の領域
第3番染色体150804402番目~150804508番目の領域
第4番染色体141348215番目~141348329番目の領域
第4番染色体186049616番目~186049706番目の領域
第5番染色体17216901番目~17217025番目の領域
第6番染色体37664344番目~37664472番目の領域
第6番染色体39281671番目~39281814番目の領域
第7番染色体42276764番目~42276875番目の領域
第10番染色体13043227番目~13043334番目の領域
第10番染色体81664566番目~81664662番目の領域
第10番染色体88126243番目~88126334番目の領域
第11番染色体61595787番目~61595864番目の領域
第14番染色体23821996番目~23822092番目の領域
第17番染色体44896309番目~44896451番目の領域
第19番染色体39522493番目~39522609番目の領域
に含まれるCpGサイトからなる群より選択される少なくとも1箇所におけるメチル化を指標とする、方法。
【0012】
項6.前記CpGサイトは、メチル化された前記CpGサイトを含むDNAをバイサルファイト処理して得られるDNAにおいて、配列番号1~48からなる群より選択される少なくとも1の配列のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする領域内に位置する、項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【0013】
項7.項1~6のいずれか一項に記載の方法であって、
(1)前記領域(i)~(xvi)のうち少なくとも2領域について各領域に含まれるCpGサイトを複数検出し、検出したCpGサイトのメチル化の頻度を測定する工程
(2)上記工程(1)において測定した各領域について、メチル化の頻度があらかじめ設定された値以上だった場合、当該領域を高メチル化領域と判定する工程
(3)上記工程(1)において測定した領域のうち、あらかじめ設定された割合以上の領域が、工程(2)において高メチル化領域と判定された場合、大腸癌に対する薬物療法の感受性なしと判定する工程
を含む、方法。
【0014】
項8.項1~6のいずれか一項に記載の方法であって、
(1)前記領域(i)~(xvi)のうち少なくとも2領域について各領域に含まれるCpGサイトを複数検出し、検出したCpGサイトのメチル化の頻度を測定する工程
(2)上記工程(1)において測定した各領域について、メチル化の頻度があらかじめ設定された値以上だった場合、当該領域を高メチル化領域と判定する工程
(3) 上記工程(1)において測定した領域のうち、あらかじめ設定された割合未満の領域が、工程(2)において高メチル化領域と判定された場合、大腸癌に対する薬物療法の感受性有りと判定する工程
を含む、方法。
【0015】
項9.前記工程(1)における各領域におけるメチル化の頻度の測定がリアルタイムPCRにより行われ、かつリアルタイムPCRにより測定されたCt値と、コントロール反応のCt値との差であるΔCt値があらかじめ設定された値未満の場合に当該領域を高メチル化領域とする、項7又は8に記載の方法。
【0016】
項10.工程(1)において領域(i)~(xvi)のうち少なくとも8領域についてメチル化の頻度を測定する、項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【0017】
項11.前記大腸癌患者から採取されたDNAが、当該大腸癌患者から採取した大腸組織、血液、血清、血漿、糞便、腸管洗浄液又は浣腸洗浄液から調製したものである、項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【0018】
項12.大腸癌に対する薬物療法が抗EGFR抗体を用いるものである、項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【0019】
項13.抗EGFR抗体がセツキシマブ及びパニツムマブからなる群より選択される少なくとも一種である、項12に記載の方法。
【0020】
項14.大腸癌患者から採取されたDNAにおける下記領域(i)~(xvi)に含まれるCpGサイトからなる群より選択される少なくとも1箇所におけるメチル化を解析するためのプライマーセットを含む、大腸癌に対する薬物療法の感受性の有無の指標となり得る情報を取得するためのキット
領域(i)第2番染色体207307150~207309004番目の領域
領域(ii)第2番染色体241758282~241760510番目の領域
領域(iii)第3番染色体150802997~150805168番目の領域
領域(iv)第4番染色体141347993~141348489番目の領域
領域(v)第4番染色体186048714~186050048番目の領域
領域(vi)第5番染色体17216679~17219240番目の領域
領域(vii)第6番染色体37663982~37664539番目の領域
領域(viii)第6番染色体39281183~39282332番目の領域
領域(ix)第7番染色体42273390~42277951番目の領域
領域(x)第10番染色体13039715~13043422番目の領域
領域(xi)第10番染色体81664401~81665076番目の領域
領域(xii)第10番染色体88126287~88127189番目の領域
領域(xiii)第11番染色体61595807~61596627番目の領域
領域(xiv)第14番染色体23820337~23822266番目の領域
領域(xv)第17番染色体44895317~44896749番目の領域
領域(xvi)第19番染色体39520228~39523159番目の領域。
【0021】
項15.プライマーセットが、メチル化特異的PCR法、シーケンシング法、及び質量分析法からなる群より選択される少なくとも1つの方法によりCpGサイトのメチル化を解析するためのプライマーセットである項14に記載のキット。
【0022】
項16.プライマーセットが、下記の少なくとも1つの領域を、当該領域に含まれるCpGサイトがメチル化されている場合にバイサルファイト処理後に増幅できるプライマーセットを含む、項14又は15に記載のキット:
第2番染色体207308134番目~207308267番目を含む領域
第2番染色体241758885番目~241759011番目を含む領域
第3番染色体150804402番目~150804508番目を含む領域
第4番染色体141348215番目~141348329番目を含む領域
第4番染色体186049616番目~186049705番目を含む領域
第5番染色体17216901番目~17217025番目を含む領域
第6番染色体37664344番目~37664472番目を含む領域
第6番染色体39281671番目~39281814番目を含む領域
第7番染色体42276765番目~42276874番目を含む領域
第10番染色体13043227番目~13043334番目を含む領域
第10番染色体81664566番目~81664662番目を含む領域
第10番染色体88126244番目~88126334番目を含む領域
第11番染色体61595787番目~61595864番目を含む領域
第14番染色体23821996番目~23822092番目を含む領域
第17番染色体44896309番目~44896450番目を含む領域
第19番染色体39522494番目~39522608番目を含む領域。
【0023】
項17.大腸癌に対する薬物療法の感受性の有無の指標となり得る情報を取得するためのキットを製造するための、大腸癌患者から採取されたDNAにおける下記領域(i)~(xvi)に含まれるCpGサイトからなる群より選択される少なくとも1箇所におけるメチル化を解析するためのプライマーセットの使用:
領域(i)第2番染色体207307150~207309004番目の領域
領域(ii)第2番染色体241758282~241760510番目の領域
領域(iii)第3番染色体150802997~150805168番目の領域
領域(iv)第4番染色体141347993~141348489番目の領域
領域(v)第4番染色体186048714~186050048番目の領域
領域(vi)第5番染色体17216679~17219240番目の領域
領域(vii)第6番染色体37663982~37664539番目の領域
領域(viii)第6番染色体39281183~39282332番目の領域
領域(ix)第7番染色体42273390~42277951番目の領域
領域(x)第10番染色体13039715~13043422番目の領域
領域(xi)第10番染色体81664401~81665076番目の領域
領域(xii)第10番染色体88126287~88127189番目の領域
領域(xiii)第11番染色体61595807~61596627番目の領域
領域(xiv)第14番染色体23820337~23822266番目の領域
領域(xv)第17番染色体44895317~44896749番目の領域
領域(xvi)第19番染色体39520228~39523159番目の領域。
【0024】
項18.プライマーセットが、メチル化特異的PCR法、シーケンシング法、及び質量分析法からなる群より選択される少なくとも1つの方法によりCpGサイトのメチル化を解析するためのプライマーセットである項17に記載の使用。
【0025】
項19.プライマーセットが、下記の少なくとも1つの領域を、当該領域に含まれるCpGサイトがメチル化されている場合にバイサルファイト処理後に増幅できるプライマーセットを含む、項17又は18に記載の使用:
第2番染色体207308134番目~207308267番目を含む領域
第2番染色体241758885番目~241759011番目を含む領域
第3番染色体150804402番目~150804508番目を含む領域
第4番染色体141348215番目~141348329番目を含む領域
第4番染色体186049616番目~186049705番目を含む領域
第5番染色体17216901番目~17217025番目を含む領域
第6番染色体37664344番目~37664472番目を含む領域
第6番染色体39281671番目~39281814番目を含む領域
第7番染色体42276765番目~42276874番目を含む領域
第10番染色体13043227番目~13043334番目を含む領域
第10番染色体81664566番目~81664662番目を含む領域
第10番染色体88126244番目~88126334番目を含む領域
第11番染色体61595787番目~61595864番目を含む領域
第14番染色体23821996番目~23822092番目を含む領域
第17番染色体44896309番目~44896450番目を含む領域
第19番染色体39522494番目~39522608番目を含む領域。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、大腸癌の薬物療法に対する応答性の指標となることが従来知られていなかったメチル化部位を指標とする、新たな大腸癌に対する薬物療法の感受性の検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施例2における各群の無増悪生存期間:PFSをまとめたグラフを示す。
図2】実施例3における各群の無増悪生存期間:PFSをまとめたグラフを示す。
図3】実施例4のKRAS遺伝子が野生型の進行再発大腸がん症例83例における各群の無増悪生存期間:PFSをまとめたグラフを示す。
図4】実施例4のRAS遺伝子が野生型の65症例における各群の無増悪生存期間:PFSをまとめたグラフを示す。
図5】実施例におけるTarget ID cg07319626周辺のDNAメチル化解析結果を示す。
図6】実施例におけるTarget ID cg02610058周辺のDNAメチル化解析結果を示す。
図7】実施例におけるTarget ID cg13803214周辺のDNAメチル化解析結果を示す。
図8】実施例におけるTarget ID cg14235416周辺のDNAメチル化解析結果を示す。
図9】実施例におけるTarget ID cg24642320周辺のDNAメチル化解析結果を示す。
図10】実施例におけるTarget ID cg25203704周辺のDNAメチル化解析結果を示す。
図11】実施例におけるTarget ID cg26129310周辺のDNAメチル化解析結果を示す。
図12】実施例におけるTarget ID cg18960642周辺のDNAメチル化解析結果を示す。
図13】実施例におけるTarget ID cg07413609周辺のDNAメチル化解析結果を示す。
図14】実施例におけるTarget ID cg22738219周辺のDNAメチル化解析結果を示す。
図15】実施例におけるTarget ID cg20629468周辺のDNAメチル化解析結果を示す。
図16】実施例におけるTarget ID cg20649951周辺のDNAメチル化解析結果を示す。
図17】実施例におけるTarget ID cg25303599周辺のDNAメチル化解析結果を示す。
図18】実施例におけるTarget ID cg01557297周辺のDNAメチル化解析結果を示す。
図19】実施例におけるTarget ID cg12379948周辺のDNAメチル化解析結果を示す。
図20】実施例におけるTarget ID cg14730085周辺のDNAメチル化解析結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(1.大腸癌に対する薬物療法の感受性の検査方法)
本発明は、大腸癌患者から採取されたDNAにおける下記領域(i)~(xvi)に含まれるCpGサイトからなる群より選択される少なくとも1箇所におけるメチル化を指標とする、大腸癌に対する薬物療法の感受性の検査方法を提供する:
領域(i)第2番染色体207307150~207309004番目(好ましくは、207307490~207308376番目)の領域
領域(ii)第2番染色体241758282~241760510番目(好ましくは、241758805~241760510番目)の領域
領域(iii)第3番染色体150802997~150805168番目(好ましくは、150802997~150804720番目)の領域
領域(iv)第4番染色体141347993~141348489番目(好ましくは、141348167~141348308番目)の領域
領域(v)第4番染色体186048714~186050048番目の領域
領域(vi)第5番染色体17216679~17219240番目の領域
領域(vii)第6番染色体37663982~37664539番目の領域
領域(viii)第6番染色体39281183~39282332番目(好ましくは、39281541~39282165番目)の領域
領域(ix)第7番染色体42273390~42277951番目(好ましくは、42275870~42276817番目)の領域
領域(x)第10番染色体13039715~13043422番目(好ましくは、13041989~13043422番目)の領域
領域(xi)第10番染色体81664401~81665076番目の領域
領域(xii)第10番染色体88126287~88127189番目(好ましくは、88126287~88126307番目)の領域
領域(xiii)第11番染色体61595807~61596627番目(好ましくは、61595807~61596334番目)の領域
領域(xiv)第14番染色体23820337~23822266番目(好ましくは、23821596~23822266番目)の領域
領域(xv)第17番染色体44895317~44896749番目(好ましくは、44895317~44896425番目)の領域
領域(xvi)第19番染色体39520228~39523159番目(好ましくは、39520228~39523084番目)の領域。
【0029】
なお、本発明の検査方法はインビトロで行われる。
【0030】
(1.1.用語の説明)
本発明は、大腸癌患者から採取されたDNAを測定対象とする。本発明において、大腸癌とは、大腸(結腸(盲腸を含む)及び直腸)に発生する癌腫であって、肛門管に発生する癌腫も含む。本発明の対象となるのはヒトである。本発明において、大腸癌患者には、大腸癌に罹患しているヒトに加えて、罹患の疑いがあり、がん薬物療法応答性を調べる必要のあるヒトも含む。また、本発明において、大腸癌患者には、外科的手術により大腸癌が既に取り除かれたヒトも含まれる。
【0031】
本発明において、DNAは、前記大腸癌患者から採取された試料から抽出される。DNAを抽出する試料としては、特に限定されないが、例えば、当該大腸癌患者から採取した大腸組織、血液、血清、血漿、糞便、腸管洗浄液、浣腸洗浄液等が挙げられる。これらの試料からDNAを抽出する方法も特に限定されず、公知の方法を用いて、または公知の方法に基づき行うことができる。例えば、EZ DNA Methylation-GOLD QIAampKit(ZYMO RESEARCH)、QIAamp DNA Micro Kit(QIAGEN)、NucleoSpinR Tissue(TAKARA)等の市販のキットを用いて行うことができる。
【0032】
本発明において大腸癌に対する薬物療法は特に限定されず、化学療法、分子標的薬を用いた治療法、これらの組合せ等が挙げられる。化学療法に用いる薬剤は、特に限定されず、例えば、オキサリプラチン、イリノテカン、フルオロウラシル、トリフルリジン・チピラシル塩酸塩等が挙げられる。分子標的薬も特に限定されず、例えば、抗EGFR抗体、抗VEGF抗体、経口マルチキナーゼ阻害剤等が挙げられる。
【0033】
本発明において、「抗EGFR抗体」とは、EGFR(上皮成長因子受容体)に特異的な抗体又はその免疫学的に活性な断片を示す。抗EGFR抗体としては、特に限定されないが、例えば、セツキシマブ、パニツムマブ等が挙げられる。
【0034】
本発明において、大腸癌に対する薬物療法の感受性とは、上記したような、がん薬物療法に対する患者の感受性を意味し、がん薬物療法が奏功する場合に感受性、奏功しない場合を抵抗性と表現する。
【0035】
DNAメチル化は、通常、DNAを構成するシトシンのピリミジン環の5位炭素原子又はアデニンのプリン環の6位窒素原子で起こりうる。哺乳動物成体の体細胞組織では、典型的には、DNAメチル化は、CpGサイト(シトシンとグアニンとが隣り合っているジヌクレオチド部位)で生じやすい。本発明において、DNA上の各領域を「第X番染色体Y~Z番目の領域」と示す場合、レファレンス配列は、「hg19」である。検査対象となるがん患者の試料中のDNAの塩基配列がレファレンス配列に収録されている塩基配列に対し、塩基配列の付加、置換及び/又は欠失を伴う場合、TargetID及び塩基の位置は、当該付加、置換及び/又は欠失を加味して、上記「hg19」に収録されているヒトゲノム配列における位置に対応する位置を意味する。また、本発明において、「第X番染色体Y番目の塩基のメチル化の検出」には、第X番染色体Y番目の塩基がシトシンであってかつ当該シトシンのメチル化を検出する場合だけでなく、第X番染色体Y番目の塩基がグアニンであって、相補鎖における対応するシトシンのメチル化を検出する場合も含む。本発明においては、「メチル化の検出」とは、そうでないことが示されてない限り、ある位置に存在するシトシンのメチル化の有無を確認することを意味する。
【0036】
(1.2.メチル化の検出方法、メチル化の頻度の測定方法)
CpGサイトのメチル化を検出する方法は限定されないが、例えば、後述するビーズアレイを用いてβ値を計算する方法、リアルタイムPCRを用いてΔCt値を求める方法等が挙げられる。また、本発明において、メチル化の頻度をメチル化の指標とすることができる。本発明において所定の領域に含まれるCpGサイトのメチル化の頻度を測定する方法は限定されないが、例えば、後述するビーズアレイを用いてβ値を計算して領域内の所定の位置のメチル化を検出し、検出結果からメチル化の頻度を算出する方法、メチル化の頻度の指標としてΔCt値を用いるリアルタイムPCRにより頻度の測定を行う方法等が挙げられ、リアルタイムPCRを用いる方法等が好ましい。
【0037】
ビーズアレイを用いてβ値を計算してCpGサイトのメチル化を検出する場合、例えば、イルミナ社のビーズアレイ(Infinium(登録商標)HumanMethylation450 BeadChipまたはInfinium methylationEPIC BeadChip)を用いた方法を用いてメチル化を検出することができる。この方法では、バイサルファイト処理によりDNA中のメチル化されていないシトシン(非メチル化シトシン)をウラシルに変換することで、メチル化シトシンを非メチル化シトシンと区別する。そして、サイトごとに特異的な、メチル化用プローブ(Mタイプ)と非メチル化用プローブ(Uタイプ)の2つのビーズに固定化されたプローブをハイブリダイゼーション後、ラベル化ddNTPを使った1塩基伸長反応を行い、この蛍光強度シグナルから、メチル化と非メチル化の割合を計算する。これにより、網羅的なDNAメチル化分析を簡便に行うことができる。かかる方法を用いた場合、メチル化の頻度の測定は、例えばβ値を用いて行うことができる。具体的には、β値はメチル化の割合(メチル化/メチル化+非メチル化)の指標であり、以下の式により算出される。
β値=(メチル検出用プローブの蛍光値の最大値)/(非メチル検出用プローブの蛍光値の最大値+メチル検出用プローブの蛍光値の最大値+100)。
本発明において、β値の基準値は適宜設定されうるが、例えば、0.4より大きい場合を高メチル化とすることが好ましく、0.3より大きい場合を高メチル化とすることがより好ましい。
【0038】
また、本発明の別の好ましい実施形態においては、リアルタイムPCRを使用することができる。具体的には、メチル化DNA配列に特異的なフォワードプライマー、リバースプライマー及び/又はプローブを用いてリアルタイムPCR(メチル化特異的PCR)を行う。バイサルファイト処理により非メチル化DNAはシトシンがウラシルに変換され、メチル化DNA配列に特異的なフォワードプライマー及びリバースプライマーとは配列が異なることとなるためPCR増幅が起こらず、メチル化DNAのみがPCRで増幅される。
【0039】
PCR増幅産物の検出にはプローブを用いる。典型的な実施形態において、プローブとしては、両端には蛍光物質と消光物質が標識されているものを使用することができる。反応前には消光物質によって蛍光の発生は抑制されているが、PCR反応中にDNAポリメラーゼの活性によりプローブが分解されると蛍光物質が遊離し蛍光を発するようになる。プローブの分解により生ずる蛍光シグナルを検出し、蛍光強度が一定量に達した際のサイクル数であるCycle threshold(Ct)値を算出する。メチル化特異的PCRにおいては、メチル化DNA配列にはプローブがハイブリダイゼーションし、その後、分解され、発光する。この蛍光シグナルを検出することによりCt値を得ることができる。一方、非メチル化DNA配列にはプローブがハイブリダイゼーションしないため、プローブの分解による蛍光シグナルが検出されず、Ct値は非常に大きくなるか得ることができない。通常、Ct値は検体DNAの量や質によっても影響されるため、その影響を補正するために同一反応内でコントロール領域のリアルタイムPCRを同時に行う。その場合、好ましくは、コントロール用のプライマー、プローブは、DNAメチル化の検出対象の領域とは異なる領域を増幅し、検出できるように設計される。さらに好ましくは、コントロール用のプライマーは、増幅する領域内にCpGサイトを含まないように設計される。従って、コントロール領域は、メチル化の有無に関わらず増幅できることとなる。そしてコントロール反応のCt値と、メチル化検出反応のCt値との差を算出してΔCt値とし、ΔCt値に応じて結果を判定することができる。非メチル化DNAではΔCt値は大きくなり、メチル化DNAではΔCt値は小さくなる。
【0040】
本実施形態において、領域(i)~(xvi)の各領域におけるメチル化の頻度の測定としては、例えば、以下の方法が挙げられる。まず、検出対象とするCpGサイトが全てメチル化されている場合に、バイサルファイト処理後に当該CpGサイトを含む範囲をPCRにより増幅し、検出できるようにプライマー、プローブセットを設計する。さらにコントロール領域も設定してリアルタイムPCRを行い、ΔCt値を算出する。ΔCtが小さい場合はメチル化の頻度が高く、ΔCtが大きい場合はメチル化の頻度が低いとすることができる。したがって、ΔCtが所定の値Tb未満の場合に当該領域を高メチル化領域とすることができる。また、上記方法によりΔCt値を算出し、ΔCtが所定の値Tb以上の場合に当該領域を低メチル化領域とすることもできる。本発明において、ΔCt値の基準値Tbは適宜設定されうるが、例えば、3≦Tb≦7、好ましくは3.5≦Tb≦5、さらに好ましくは3.5≦Tb≦4.5、特に好ましくはTb=4の範囲で適宜設定できる。より具体的には、例えば、ΔCt値6以下を高メチル化とすることが好ましく、4未満を高メチル化とすることがより好ましい。リアルタイムPCRを用いる場合、プライマーセットにより増幅される領域の塩基長は、適宜設定できるが、例えば、75~200塩基、好ましくは90~160塩基、より好ましくは100~150塩基の範囲で設定できる。増幅される領域に含まれるCpGサイトの数は、1箇所又は複数個所(例えば、1箇所以上、好ましくは3箇所以上、より好ましくは5箇所以上、より好ましくは8箇所以上、より好ましくは10箇所以上、より好ましくは13箇所以上、更に好ましくは15箇所以上)とすることができる。増幅される領域の設定方法は特に限定されないが、例えば、後述する(i-1)~(i-11)、(ii-1)~(ii-10)、(iii-1)~(iii-12)、(iv-1)~(iv-5)、(v-1)~(v-5)、(vi-1)~(vi-13)、(vii-1)~(vii-3)、(viii-1)~(viii-9)、(ix-1)~(ix-23)、(x-1)~(x-4)、(xi-1)~(xi-6)、(xii-1)~(xii-6)、(xiii-1)~(xiii-7)、(xiv-1)~(xiv-10)、(xv-1)~(xv-11)、(xvi-1)~(xvi-8)からなる群より選択される1箇所又は複数個所(例えば、1箇所以上、好ましくは3箇所以上、より好ましくは5箇所以上より、より好ましくは8箇所以上、より好ましくは10箇所以上、より好ましくは13箇所以上、更に好ましくは15箇所以上)を含むように設定することができる。
【0041】
別の典型的な実施形態において、本発明の方法としては、領域(i)~(xvi)に含まれるCPGサイトからなる群より選択される少なくとも1箇所におけるメチル化の頻度を指標とする方法が挙げられる。当該実施形態において、本発明の方法は、前記領域(i)~(xvi)に含まれるCPGサイトからなる群より選択される少なくとも1箇所におけるメチル化の頻度を測定する工程を含む。前記(i)~(xvi)の各領域のメチル化の頻度を測定する方法は特に限定されないが、例えば、各領域中のうち、所定の位置のCPGサイトを当該領域の代表的なCPGサイトとし、そのメチル化を検出する方法が挙げられる。ここで、「メチル化の頻度」とは、メチル化されている(またはメチル化されていない)シトシンの割合を示す指標である。たとえば、百分率などで表すことができる。本発明において、CPGサイトにおけるメチル化の頻度とは、CPGサイトを構成する塩基におけるメチル化の頻度と言い換えることができる。一実施形態では、領域内の検出対象のCPGサイトに含まれるシトシン(基準配列のCPGサイトにおけるグリシンに対応する相補鎖のシトシンを含む)の数を、メチル化されているシトシン数(またはメチル化されていないシトシン数)で除すことにより算出される。領域内の検出対象のCPGサイト数が1の場合であっても、メチル化の頻度が算出され得る。この場合、メチル化の頻度は0%、50%および100%のいずれかで示される。
【0042】
当該実施形態において、領域(i)~(xvi)中、測定対象とした領域の数に対し、高メチル化領域と判定された領域の数の割合が基準値Tc以上の場合、大腸癌に対する薬物療法の感受性なしと判定することができる。例えば、基準値Tcは、0.2≦Tc、好ましくは0.2≦Tc≦0.8、より好ましくは0.3≦Tc≦0.7、さらに好ましくは0.4≦Tc≦0.6の範囲で適宜設定できる。より具体的には、例えば、Tc=0.5とすることができる。
【0043】
また、本発明の別の実施形態においては、例えば、前記領域(i)のメチル化の頻度の測定を行う場合、当該領域(i)のメチル化の頻度の測定を、当該領域に含まれる全てのCpGサイトのメチル化の検出を行うのではなく、代表的なCpGサイトのメチル化の検出を行うことにより行うことができる。例えば、領域(i)のメチル化の頻度の測定を、下記(i-1)~(i-11)からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは2箇所以上、より好ましくは6箇所以上、より好ましくは8箇所以上、さらに好ましくは11箇所)の塩基のメチル化の検出を行うことにより行うことができる:
(i-1)第2番染色体207307150番目の塩基
(i-2)第2番染色体207307490番目の塩基
(i-3)第2番染色体207307544番目の塩基
(i-4)第2番染色体207307622番目の塩基
(i-5)第2番染色体207307732番目の塩基
(i-6)第2番染色体207308004番目の塩基
(i-7)第2番染色体207308087番目の塩基
(i-8)第2番染色体207308244番目の塩基
(i-9)第2番染色体207308375番目の塩基
(i-10)第2番染色体207308829番目の塩基
(i-11)第2番染色体207309003番目の塩基。
特に、上記塩基の位置のうち、少なくとも(i-8)のメチル化の検出を行うことが好ましい。メチル化の検出を行う方法は限定されないが、例えば、後述するビーズアレイを用いてβ値を計算する方法、リアルタイムPCRを用いてΔCt値を計算する方法等が挙げられ、ビーズアレイを用いてβ値を計算する方法が好ましい。本実施形態において、(i-1)~(i-11)のうち1箇所のメチル化の検出を行う場合、当該検出を行う位置を領域(i)のうち代表的な位置と考え、当該位置の塩基がメチル化されているとき(例えば、β値が所定の値以上の場合、ΔCt値が所定の値以下の場合等)領域(i)を高メチル化領域とし、そうでない場合、領域(i)を低メチル化領域とすることができる。また、本実施形態において、(i-1)~(i-11)のうち2箇所以上のメチル化の検出を行う場合、当該位置を領域(i)のうち代表的な位置と考え、それらの位置の塩基のうち所定の割合以上(例えば、半分以上、6割以上、7割以上等)の塩基がメチル化されているとき(例えば、β値が所定の値以上の場合、ΔCt値が所定の値以下の場合等)領域(i)を高メチル化領域とし、そうでない場合、領域(i)を低メチル化領域とすることができる。
【0044】
また、本発明の一実施形態においては、例えば、前記領域(ii)のメチル化の頻度の測定を行う場合、当該領域(ii)のメチル化の頻度の測定を、下記(ii-1)~(ii-10)からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは2箇所以上、より好ましくは6箇所以上、より好ましくは7箇所以上、さらに好ましくは10箇所)の塩基のメチル化の検出を行うことにより行うことができる:
(ii-1)第2番染色体241758282番目の塩基
(ii-2)第2番染色体241758399番目の塩基
(ii-3)第2番染色体241758805番目の塩基
(ii-4)第2番染色体241758901番目の塩基
(ii-5)第2番染色体241759279番目の塩基
(ii-6)第2番染色体241759414番目の塩基
(ii-7)第2番染色体241760025番目の塩基
(ii-8)第2番染色体241760164番目の塩基
(ii-9)第2番染色体241760190番目の塩基
(ii-10)第2番染色体241760509番目の塩基。
特に、上記塩基の位置のうち、少なくとも(ii-4)のメチル化の検出を行うことが好ましい。かかる実施形態において、メチル化の検出を行う方法、どのような場合に領域(ii)を高メチル化領域とし、どのような場合に低メチル化領域とするかについては、領域(i)について前述したのと同様である。
【0045】
また、本発明の一実施形態においては、例えば、前記領域(iii)のメチル化の頻度の測定を行う場合、当該領域(iii)のメチル化の頻度の測定を、下記(iii-1)~(iii-12)からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは2箇所以上、より好ましくは6箇所以上、より好ましくは8箇所以上、さらに好ましくは12箇所)の塩基のメチル化の検出を行うことにより行うことができる:
(iii-1)第3番染色体150802997番目の塩基
(iii-2)第3番染色体150803295番目の塩基
(iii-3)第3番染色体150803307番目の塩基
(iii-4)第3番染色体150803666番目の塩基
(iii-5)第3番染色体150803669番目の塩基
(iii-6)第3番染色体150804058番目の塩基
(iii-7)第3番染色体150804063番目の塩基
(iii-8)第3番染色体150804313番目の塩基
(iii-9)第3番染色体150804490番目の塩基
(iii-10)第3番染色体150804696番目の塩基
(iii-11)第3番染色体150804719番目の塩基
(iii-12)第3番染色体150805167番目の塩基。
特に、上記塩基の位置のうち、少なくとも(iii-9)のメチル化の検出を行うことが好ましい。かかる実施形態において、メチル化の検出を行う方法、どのような場合に領域(iii)を高メチル化領域とし、どのような場合に低メチル化領域とするかについては、領域(i)について前述したのと同様である。
【0046】
また、本発明の一実施形態においては、例えば、前記領域(iv)のメチル化の頻度の測定を行う場合、当該領域(iv)のメチル化の頻度の測定を、下記(iv-1)~(iv-5)からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは2箇所以上、より好ましくは3箇所以上、より好ましくは4箇所以上、さらに好ましくは5箇所)の塩基のメチル化の検出を行うことにより行うことができる:
(iv-1)第4番染色体141347993番目の塩基
(iv-2)第4番染色体141348043番目の塩基
(iv-3)第4番染色体141348167番目の塩基
(iv-4)第4番染色体141348307番目の塩基
(iv-5)第4番染色体141348488番目の塩基。
特に、上記塩基の位置のうち、少なくとも(iv-4)のメチル化の検出を行うことが好ましい。かかる実施形態において、メチル化の検出を行う方法、どのような場合に領域(iv)を高メチル化領域とし、どのような場合に低メチル化領域とするかについては、領域(i)について前述したのと同様である。
【0047】
また、本発明の一実施形態においては、例えば、前記領域(v)のメチル化の頻度の測定は、下記(v-1)~(v-5)からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは2箇所以上、より好ましくは3箇所以上、より好ましくは4箇所以上、さらに好ましくは5箇所)の塩基のメチル化の検出を行うことにより行われ得る:
(v-1)第4番染色体186048714番目の塩基
(v-2)第4番染色体186048907番目の塩基
(v-3)第4番染色体186049687番目の塩基
(v-4)第4番染色体186049926番目の塩基
(v-5)第4番染色体186050047番目の塩基。
特に、上記塩基の位置のうち、少なくとも(v-3)のメチル化の検出を行うことが好ましい。かかる実施形態において、メチル化の検出を行う方法、どのような場合に領域(v)を高メチル化領域とし、どのような場合に低メチル化領域とするかについては、領域(i)について前述したのと同様である。
【0048】
また、本発明の一実施形態においては、例えば、前記領域(vi)のメチル化の頻度の測定を行う場合、当該領域(vi)のメチル化の頻度の測定を、下記(vi-1)~(vi-13)からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは2箇所以上、より好ましくは7箇所以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは13箇所)の塩基のメチル化の検出を行うことにより行うことができる:
(vi-1)第5番染色体17216679番目の塩基
(vi-2)第5番染色体17216922番目の塩基
(vi-3)第5番染色体17217093番目の塩基
(vi-4)第5番染色体17217877番目の塩基
(vi-5)第5番染色体17218089番目の塩基
(vi-6)第5番染色体17218278番目の塩基
(vi-7)第5番染色体17218308番目の塩基
(vi-8)第5番染色体17218547番目の塩基
(vi-9)第5番染色体17218778番目の塩基
(vi-10)第5番染色体17219020番目の塩基
(vi-11)第5番染色体17219128番目の塩基
(vi-12)第5番染色体17219226番目の塩基
(vi-13)第5番染色体17219239番目の塩基。
特に、上記塩基の位置のうち、少なくとも(vi-2)のメチル化の検出を行うことが好ましい。かかる実施形態において、メチル化の検出を行う方法、どのような場合に領域(vi)を高メチル化領域とし、どのような場合に低メチル化領域とするかについては、領域(i)について前述したのと同様である。
【0049】
また、本発明の一実施形態においては、例えば、前記領域(vii)のメチル化の頻度の測定を行う場合、当該領域(vii)のメチル化の頻度の測定を、下記(vii-1)~(vii-3)からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは2箇所以上、さらに好ましくは3箇所)の塩基のメチル化の検出を行うことにより行うことができる:(vii-1)第6番染色体37663982番目の塩基
(vii-2)第6番染色体37664451番目の塩基
(vii-3)第6番染色体37664538番目の塩基。
特に、上記塩基の位置のうち、少なくとも(vii-2)のメチル化の検出を行うことが好ましい。かかる実施形態において、メチル化の検出を行う方法、どのような場合に領域(vii)を高メチル化領域とし、どのような場合に低メチル化領域とするかについては、領域(i)について前述したのと同様である。
【0050】
また、本発明の一実施形態においては、例えば、前記領域(viii)のメチル化の頻度の測定を行う場合、当該領域(viii)のメチル化の頻度の測定を、下記(viii-1)~(viii-9)からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは2箇所以上、より好ましくは5箇所以上、より好ましくは7箇所以上、さらに好ましくは9箇所)の塩基のメチル化の検出を行うことにより行うことができる:
(viii-1)第6番染色体39281183番目の塩基
(viii-2)第6番染色体39281421番目の塩基
(viii-3)第6番染色体39281450番目の塩基
(viii-4)第6番染色体39281541番目の塩基
(viii-5)第6番染色体39281694番目の塩基
(viii-6)第6番染色体39281885番目の塩基
(viii-7)第6番染色体39282164番目の塩基
(viii-8)第6番染色体39282316番目の塩基
(viii-9)第6番染色体39282331番目の塩基。
特に、上記塩基の位置のうち、少なくとも(viii-5)のメチル化の検出を行うことが好ましい。かかる実施形態において、メチル化の検出を行う方法、どのような場合に領域(viii)を高メチル化領域とし、どのような場合に低メチル化領域とするかについては、領域(i)について前述したのと同様である。
【0051】
また、本発明の一実施形態においては、例えば、前記領域(ix)のメチル化の頻度の測定を行う場合、当該領域(ix)のメチル化の頻度の測定を、下記(ix-1)~(ix-23)からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは2箇所以上、より好ましくは12以上、より好ましくは18以上、さらに好ましくは23箇所)の塩基のメチル化の検出を行うことにより行うことができる:
(ix-1)第7番染色体42273390番目の塩基
(ix-2)第7番染色体42275601番目の塩基
(ix-3)第7番染色体42275813番目の塩基
(ix-4)第7番染色体42275870番目の塩基
(ix-5)第7番染色体42275872番目の塩基
(ix-6)第7番染色体42276004番目の塩基
(ix-7)第7番染色体42276814番目の塩基
(ix-8)第7番染色体42276816番目の塩基
(ix-9)第7番染色体42276819番目の塩基
(ix-10)第7番染色体42276848番目の塩基
(ix-11)第7番染色体42276881番目の塩基
(ix-12)第7番染色体42276890番目の塩基
(ix-13)第7番染色体42276941番目の塩基
(ix-14)第7番染色体42276981番目の塩基
(ix-15)第7番染色体42277044番目の塩基
(ix-16)第7番染色体42277066番目の塩基
(ix-17)第7番染色体42277071番目の塩基
(ix-18)第7番染色体42277347番目の塩基
(ix-19)第7番染色体42277375番目の塩基
(ix-20)第7番染色体42277394番目の塩基
(ix-21)第7番染色体42277410番目の塩基
(ix-22)第7番染色体42277807番目の塩基
(ix-23)第7番染色体42277950番目の塩基。
特に、上記塩基の位置のうち、少なくとも(ix-8)のメチル化の検出を行うことが好ましい。かかる実施形態において、メチル化の検出を行う方法、どのような場合に領域(ix)を高メチル化領域とし、どのような場合に低メチル化領域とするかについては、領域(i)について前述したのと同様である。
【0052】
また、本発明の一実施形態においては、例えば、前記領域(x)のメチル化の頻度の測定を行う場合、当該領域(x)のメチル化の頻度の測定を、下記(x-1)~(x-4)からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは2箇所以上、より好ましくは3箇所以上、さらに好ましくは4箇所)の塩基のメチル化の検出を行うことにより行うことができる:
(x-1)第10番染色体13039715番目の塩基
(x-2)第10番染色体13041989番目の塩基
(x-3)第10番染色体13043313番目の塩基
(x-4)第10番染色体13043421番目の塩基。
特に、上記塩基の位置のうち、少なくとも(x-3)のメチル化の検出を行うことが好ましい。かかる実施形態において、メチル化の検出を行う方法、どのような場合に領域(x)を高メチル化領域とし、どのような場合に低メチル化領域とするかについては、領域(i)について前述したのと同様である。
【0053】
また、本発明の一実施形態においては、例えば、前記領域(xi)のメチル化の頻度の測定を行う場合、当該領域(xi)のメチル化の頻度の測定を、下記(xi-1)~(xi-6)からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは2箇所以上、より好ましくは4箇所以上、より好ましくは5箇所以上、さらに好ましくは6箇所)の塩基のメチル化の検出を行うことにより行うことができる:
(xi-1)第10番染色体81664401番目の塩基
(xi-2)第10番染色体81664567番目の塩基
(xi-3)第10番染色体81664583番目の塩基
(xi-4)第10番染色体81664698番目の塩基
(xi-5)第10番染色体81664955番目の塩基
(xi-6)第10番染色体81665075番目の塩基。
特に、上記塩基の位置のうち、少なくとも(xi-3)のメチル化の検出を行うことが好ましい。かかる実施形態において、メチル化の検出を行う方法、どのような場合に領域(xi)を高メチル化領域とし、どのような場合に低メチル化領域とするかについては、領域(i)について前述したのと同様である。
【0054】
また、本発明の一実施形態においては、例えば、前記領域(xii)のメチル化の頻度の測定を行う場合、当該領域(xii)のメチル化の頻度の測定を、下記(xii-1)~(xii-6)からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは2箇所以上、より好ましくは3箇所以上、より好ましくは4箇所以上、さらに好ましくは6箇所)の塩基のメチル化の検出を行うことにより行うことができる:
(xii-1)第10番染色体88126287番目の塩基
(xii-2)第10番染色体88126291番目の塩基
(xii-3)第10番染色体88126299番目の塩基
(xii-4)第10番染色体88126306番目の塩基
(xii-5)第10番染色体88126853番目の塩基
(xii-6)第10番染色体88127188番目の塩基。
特に、上記塩基の位置のうち、少なくとも(xii-4)のメチル化の検出を行うことが好ましい。かかる実施形態において、メチル化の検出を行う方法、どのような場合に領域(xii)を高メチル化領域とし、どのような場合に低メチル化領域とするかについては、領域(i)について前述したのと同様である。
【0055】
また、本発明の一実施形態においては、例えば、前記領域(xiii)のメチル化の頻度の測定を行う場合、当該領域(xiii)のメチル化の頻度の測定を、下記(xiii-1)~(xiii-7)からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは2箇所以上、より好ましくは5箇所以上、より好ましくは7箇所)の塩基のメチル化の検出を行うことにより行うことができる:
(xiii-1)第11番染色体61595807番目の塩基
(xiii-2)第11番染色体61595956番目の塩基
(xiii-3)第11番染色体61596068番目の塩基
(xiii-4)第11番染色体61596307番目の塩基
(xiii-5)第11番染色体61596333番目の塩基
(xiii-6)第11番染色体61596405番目の塩基
(xiii-7)第11番染色体61596626番目の塩基。
特に、上記塩基の位置のうち、少なくとも(xiii-1)のメチル化の検出を行うことが好ましい。かかる実施形態において、メチル化の検出を行う方法、どのような場合に領域(xiii)を高メチル化領域とし、どのような場合に低メチル化領域とするかについては、領域(i)について前述したのと同様である。
【0056】
また、本発明の一実施形態においては、例えば、前記領域(xiv)のメチル化の頻度の測定を行う場合、当該領域(xiv)のメチル化の頻度の測定を、下記(xiv-1)~(xiv-10)からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは2箇所以上、より好ましくは5箇所以上、より好ましくは8箇所以上、さらに好ましくは10箇所)の塩基のメチル化の検出を行うことにより行うことができる:
(xiv-1)第14番染色体23820337番目の塩基
(xiv-2)第14番染色体23821149番目の塩基
(xiv-3)第14番染色体23821229番目の塩基
(xiv-4)第14番染色体23821435番目の塩基
(xiv-5)第14番染色体23821445番目の塩基
(xiv-6)第14番染色体23821570番目の塩基
(xiv-7)第14番染色体23821596番目の塩基
(xiv-8)第14番染色体23821902番目の塩基
(xiv-9)第14番染色体23822017番目の塩基
(xiv-10)第14番染色体23822265番目の塩基。
特に、上記塩基の位置のうち、少なくとも(xiv-9)のメチル化の検出を行うことが好ましい。かかる実施形態において、メチル化の検出を行う方法、どのような場合に領域(xiv)を高メチル化領域とし、どのような場合に低メチル化領域とするかについては、領域(i)について前述したのと同様である。
【0057】
また、本発明の一実施形態においては、例えば、前記領域(xv)のメチル化の頻度の測定を行う場合、当該領域(xv)のメチル化の頻度の測定を、下記(xv-1)~(xv-11)からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは2箇所以上、より好ましくは6箇所以上、より好ましくは8箇所以上、さらに好ましくは11)の塩基のメチル化の検出を行うことにより行うことができる:
(xv-1)第17番染色体44895317番目の塩基
(xv-2)第17番染色体44896017番目の塩基
(xv-3)第17番染色体44896080番目の塩基
(xv-4)第17番染色体44896147番目の塩基
(xv-5)第17番染色体44896162番目の塩基
(xv-6)第17番染色体44896166番目の塩基
(xv-7)第17番染色体44896168番目の塩基
(xv-8)第17番染色体44896212番目の塩基
(xv-9)第17番染色体44896223番目の塩基
(xv-10)第17番染色体44896424番目の塩基
(xv-11)第17番染色体44896748番目の塩基。
特に、上記塩基の位置のうち、少なくとも(xv-10)のメチル化の検出を行うことが好ましい。かかる実施形態において、メチル化の検出を行う方法、どのような場合に領域(xv)を高メチル化領域とし、どのような場合に低メチル化領域とするかについては、領域(i)について前述したのと同様である。
【0058】
また、本発明の一実施形態においては、例えば、前記領域(xvi)のメチル化の頻度の測定を行う場合、当該領域(xvi)のメチル化の頻度の測定を、下記(xvi-1)~(xvi-8)からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは2箇所以上、より好ましくは4箇所以上、より好ましくは6箇所以上、さらに好ましくは8箇所)の塩基のメチル化の検出を行うことにより行うことができる:
(xvi-1)第19番染色体39520228番目の塩基
(xvi-2)第19番染色体39521931番目の塩基
(xvi-3)第19番染色体39522418番目の塩基
(xvi-4)第19番染色体39522548番目の塩基
(xvi-5)第19番染色体39522747番目の塩基
(xvi-6)第19番染色体39522944番目の塩基
(xvi-7)第19番染色体39523083番目の塩基
(xvi-8)第19番染色体39523158番目の塩基。
特に、上記塩基の位置のうち、少なくとも(xvi-4)のメチル化の検出を行うことが好ましい。かかる実施形態において、メチル化の検出を行う方法、どのような場合に領域(xvi)を高メチル化領域とし、どのような場合に低メチル化領域とするかについては、領域(i)について前述したのと同様である。
【0059】
上記方法により各領域に含まれるCpGサイトのうち、複数のCpGサイトのメチル化の検出を行うことにより、領域(i)~(xvi)のうち1つの領域のみのメチル化頻度の測定であっても大腸癌に対する薬物療法の感受性を精度よく検査することができる。その場合、測定した領域が上述した基準で高メチル化領域であった場合に、患者を高メチル化の患者であり大腸癌に対する薬物療法の感受性なしと判断することができる。また、測定した領域が低メチル化領域であった場合に、患者を低メチル化の患者であり大腸癌に対する薬物療法の感受性有りと判断することができる。また、かかる実施形態において、各領域に含まれるCpGサイトのうち、比較的少ない位置の塩基(例えば、1つの領域あたり、1~3箇所、1~2箇所、1箇所等の塩基)のメチル化の検出を行うことにより当該頻度を測定する場合であっても、領域(i)~(xvi)のうち2つ以上の領域のメチル化の頻度を測定し、当該領域のうち所定の割合以上(例えば、半分以上、6割以上、7割以上等)の領域が高メチル化領域であった場合に、患者を高メチル化の患者であり大腸癌に対する薬物療法の感受性なしと判定することにより、精度よく感受性の判定ができる。また、かかる実施形態において、領域(i)~(xvi)のうち2つ以上の領域のメチル化の検出を行い、当該領域のうち所定の割合未満(例えば、半分未満、4割未満、3割未満等)の領域が高メチル化領域であった場合に、患者を低メチル化の患者であり大腸癌に対する薬物療法の感受性有りと判定することによっても、精度よく感受性の判定ができる。
【0060】
また、本発明の別の好ましい実施形態において、下記CpGサイトのメチル化を指標とすることが好ましい:
当該実施形態において、第2番染色体の207308141番目、207308149番目、207308153番目、207308172番目、207308177番目、207308181番目、207308185番目、207308244番目、207308247番目及び207308267番目の塩基からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは3箇所以上、より好ましくは5箇所以上、さらに好ましくは7箇所以上、最も好ましくは10箇所)のメチル化の検出を行うことができる。当該実施形態において、少なくとも第2番染色体207308244番目のメチル化の検出を行うことが好ましい。上記塩基のうち、所定の割合Ta以上の塩基がメチル化されている場合、当該領域を高メチル化領域と判定することができる。基準値Taは、例えば、0.80≦Ta、より好ましくは0.90≦Ta、さらに好ましくは0.95≦Taの範囲で適宜設定できる。
【0061】
当該実施形態において、第2番染色体の241758885番目、241758889番目、241758896番目、241758901番目、241758919番目、241758922番目、241758931番目、241758936番目、241758940番目、241759003番目、241759005番目及び241759009番目の塩基からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは3箇所以上、より好ましくは6箇所以上、さらに好ましくは9箇所以上、最も好ましくは12箇所)のメチル化の検出を行うことができる。当該実施形態において、少なくとも第2番染色体241758901番目のメチル化の検出を行うことが好ましい。検出対象とした塩基のうち、所定の割合Ta以上の塩基がメチル化されている場合、当該領域を高メチル化領域と判定することができる。基準値Taは、前述の実施形態と同様に設定できる(以下も同様)。
【0062】
当該実施形態において、第3番染色体の150804417番目、150804420番目、150804474番目、150804479番目、150804486番目、150804490番目、150804496番目、150804504番目及び150804507番目の塩基からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは3箇所以上、より好ましくは5箇所以上、さらに好ましくは7箇所以上、最も好ましくは9箇所)のメチル化の検出を行うことができる。当該実施形態において、少なくとも第3番染色体150804490番目のメチル化の検出を行うことが好ましい。検出対象とした塩基のうち、所定の割合Ta以上の塩基がメチル化されている場合、当該領域を高メチル化領域と判定することができる。
【0063】
当該実施形態において、第4番染色体の141348224番目、141348232番目、141348272番目、141348282番目、141348289番目、141348307番目、141348318番目及び141348324番目の塩基からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは2箇所以上、より好ましくは4箇所以上、さらに好ましくは6箇所以上、最も好ましくは8箇所)のメチル化の検出を行うことができる。当該実施形態において、少なくとも第4番染色体141348307番目のメチル化の検出を行うことが好ましい。検出対象とした塩基のうち、所定の割合Ta以上の塩基がメチル化されている場合、当該領域を高メチル化領域と判定することができる。
【0064】
当該実施形態において、第4番染色体の186049623番目、186049636番目、186049659番目、186049670番目、186049685番目、186049687番目、186049689番目及び186049705番目の塩基からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは2箇所以上、より好ましくは4箇所以上、さらに好ましくは6箇所以上、最も好ましくは8箇所)のメチル化の検出を行うことができる。当該実施形態において、少なくとも第4番染色体186049687番目のメチル化の検出を行うことが好ましい。検出対象とした塩基のうち、所定の割合Ta以上の塩基がメチル化されている場合、当該領域を高メチル化領域と判定することができる。
【0065】
当該実施形態において、第5番染色体の17216904番目、17216916番目、17216922番目、17216940番目、17216949番目、17216952番目、17217003番目、17217011番目、17217017番目及び17217023番目の塩基からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは3箇所以上、より好ましくは6箇所以上、さらに好ましくは9箇所以上、最も好ましくは10箇所)のメチル化の検出を行うことができる。当該実施形態において、少なくとも第5番染色体17216922番目のメチル化の検出を行うことが好ましい。検出対象とした塩基のうち、所定の割合Ta以上の塩基がメチル化されている場合、当該領域を高メチル化領域と判定することができる。
【0066】
当該実施形態において、第6番染色体の37664352番目、37664366番目、37664419番目、37664424番目、37664451番目及び37664460番目の塩基からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは2箇所以上、より好ましくは4箇所以上、さらに好ましくは5箇所以上、最も好ましくは6箇所)のメチル化の検出を行うことができる。当該実施形態において、少なくとも第6番染色体37664451番目のメチル化の検出を行うことが好ましい。検出対象とした塩基のうち、所定の割合Ta以上の塩基がメチル化されている場合、当該領域を高メチル化領域と判定することができる。
【0067】
当該実施形態において、第6番染色体の39281692番目、39281694番目、39281723番目、39281729番目、39281735番目、39281738番目、39281797番目、39281806番目、39281808番目及び39281813番目の塩基からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは3箇所以上、より好ましくは6箇所以上、さらに好ましくは9箇所以上、最も好ましくは10箇所)のメチル化の検出を行うことができる。当該実施形態において、少なくとも第6番染色体39281694番目のメチル化の検出を行うことが好ましい。検出対象とした塩基のうち、所定の割合Ta以上の塩基がメチル化されている場合、当該領域を高メチル化領域と判定することができる。
【0068】
当該実施形態において、第7番染色体の42276764番目、42276767番目、42276769番目、42276783番目、42276810番目、42276814番目、42276816番目、42276819番目、42276825番目、42276852番目、42276862番目及び42276874番目の塩基からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは3箇所以上、より好ましくは6箇所以上、さらに好ましくは9箇所以上、最も好ましくは12箇所)のメチル化の検出を行うことができる。当該実施形態において、少なくとも第7番染色体42276816番目のメチル化の検出を行うことが好ましい。検出対象とした塩基のうち、所定の割合Ta以上の塩基がメチル化されている場合、当該領域を高メチル化領域と判定することができる。
【0069】
当該実施形態において、第10番染色体の13043231番目、13043247番目、13043285番目、13043288番目、13043313番目、13043321番目及び13043333番目の塩基からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは2箇所以上、より好ましくは4箇所以上、さらに好ましくは6箇所以上、最も好ましくは7箇所)のメチル化の検出を行うことができる。当該実施形態において、少なくとも第10番染色体13043313番目のメチル化の検出を行うことが好ましい。検出対象とした塩基のうち、所定の割合Ta以上の塩基がメチル化されている場合、当該領域を高メチル化領域と判定することができる。
【0070】
当該実施形態において、第10番染色体の81664567番目、81664573番目、81664583番目、81664598番目、81664600番目、81664606番目、81664614番目、81664636番目及び81664656番目の塩基からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは3箇所以上、より好ましくは5箇所以上、さらに好ましくは7箇所以上、最も好ましくは9箇所)のメチル化の検出を行うことができる。当該実施形態において、少なくとも第10番染色体81664583番目のメチル化の検出を行うことが好ましい。検出対象とした塩基のうち、所定の割合Ta以上の塩基がメチル化されている場合、当該領域を高メチル化領域と判定することができる。
【0071】
当該実施形態において、第10番染色体の88126243番目、88126250番目、88126259番目、88126285番目、88126287番目、88126291番目、88126299番目、88126306番目及び88126310番目の塩基からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは3箇所以上、より好ましくは5箇所以上、さらに好ましくは7箇所以上、最も好ましくは9箇所)のメチル化の検出を行うことができる。当該実施形態において、少なくとも第10番染色体88126306番目のメチル化の検出を行うことが好ましい。検出対象とした塩基のうち、所定の割合Ta以上の塩基がメチル化されている場合、当該領域を高メチル化領域と判定することができる。
【0072】
当該実施形態において、第11番染色体の61595796番目、61595807番目、61595815番目、61595818番目、61595820番目、61595829番目、61595843番目及び61595852番目の塩基からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは2箇所以上、より好ましくは4箇所以上、さらに好ましくは6箇所以上、最も好ましくは8箇所)のメチル化の検出を行うことができる。当該実施形態において、少なくとも第11番染色体61595807番目のメチル化の検出を行うことが好ましい。検出対象とした塩基のうち、所定の割合Ta以上の塩基がメチル化されている場合、当該領域を高メチル化領域と判定することができる。
【0073】
当該実施形態において、第14番染色体の23822015番目、23822017番目、23822043番目、23822054番目、23822073番目、23822075番目及び23822079番目の塩基からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは2箇所以上、より好ましくは4箇所以上、さらに好ましくは6箇所以上、最も好ましくは7箇所)のメチル化の検出を行うことができる。当該実施形態において、少なくとも第14番染色体23822017番目のメチル化の検出を行うことが好ましい。検出対象とした塩基のうち、所定の割合Ta以上の塩基がメチル化されている場合、当該領域を高メチル化領域と判定することができる。
【0074】
当該実施形態において、第17番染色体の44896314番目、44896316番目、44896324番目、44896386番目、44896390番目、44896401番目、44896424番目、44896443番目及び44896450番目の塩基からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは2箇所以上、より好ましくは4箇所以上、さらに好ましくは6箇所以上、最も好ましくは8箇所以上)のメチル化の検出を行うことができる。当該実施形態において、少なくとも第17番染色体44896424番目のメチル化の検出を行うことが好ましい。検出対象とした塩基のうち、所定の割合Ta以上の塩基がメチル化されている場合、当該領域を高メチル化領域と判定することができる。
【0075】
当該実施形態において、第19番染色体の39522493番目、39522510番目、39522533番目、39522537番目、39522548番目、39522550番目、39522552番目、39522582番目、39522587番目、39522591番目及び39522608番目の塩基からなる群より選択される少なくとも1箇所(好ましくは3箇所以上、より好ましくは5箇所以上、さらに好ましくは8箇所以上、最も好ましくは11箇所)のメチル化の検出を行うことができる。当該実施形態において、少なくとも第19番染色体39522548番目のメチル化の検出を行うことが好ましい。検出対象とした塩基のうち、所定の割合Ta以上の塩基がメチル化されている場合、当該領域を高メチル化領域と判定することができる。
【0076】
本実施形態においても、測定対象とした領域におけるメチル化の頻度は、リアルタイムPCRを用いてΔCt値を計算する方法等により求めることができる。具体的には、例えば、測定対象とする領域を増幅できるようプライマー、プローブセットを設計してリアルタイムPCRを行い、ΔCt値を算出し、ΔCtが所定の値Tb未満の場合に当該領域を高メチル化領域とすることができる。また、上記方法によりΔCt値を算出し、ΔCtが所定の値Tb以上の場合に当該領域を低メチル化領域とすることもできる。基準値Tbは、前述の実施形態と同様に設定できる。
【0077】
また、本発明の別の好ましい実施形態において、下記CpGサイトのメチル化を指標とすることが好ましい:
当該実施形態において、第2番染色体207308134番目~207308268番目の領域
第2番染色体241758885番目~241759011番目の領域
第3番染色体150804402番目~150804508番目の領域
第4番染色体141348215番目~141348329番目の領域
第4番染色体186049616番目~186049706番目の領域
第5番染色体17216901番目~17217025番目の領域
第6番染色体37664344番目~37664472番目の領域
第6番染色体39281671番目~39281814番目の領域
第7番染色体42276764番目~42276875番目の領域
第10番染色体13043227番目~13043334番目の領域
第10番染色体81664566番目~81664662番目の領域
第10番染色体88126243番目~88126334番目の領域
第11番染色体61595787番目~61595864番目の領域
第14番染色体23821996番目~23822092番目の領域
第17番染色体44896309番目~44896451番目の領域
第19番染色体39522493番目~39522609番目の領域
に含まれるCpGサイトからなる群より選択される少なくとも1箇所におけるメチル化を指標とすることができる。
【0078】
当該実施形態において、測定対象とする領域の長さは特に限定されないが、例えば、75~200塩基、好ましくは90~160塩基、より好ましくは100~150塩基の範囲で適宜設定できる。
【0079】
本実施形態においても、測定対象とした領域におけるメチル化の頻度は、リアルタイムPCRを用いてΔCt値を計算する方法等により求めることができる。具体的には、例えば、測定対象とする領域を増幅できるようプライマー、プローブセットを設計してリアルタイムPCRを行い、ΔCt値を算出し、ΔCtが所定の値Tb未満の場合に当該領域を高メチル化領域とすることができる。また、上記方法によりΔCt値を算出し、ΔCtが所定の値Tb以上の場合に当該領域を低メチル化領域とすることもできる。基準値Tbは、前述の実施形態と同様に設定できる。メチル化の頻度は、ビーズアレイを用いてβ値を計算する方法に基づき求めることもできる。
【0080】
本発明の好ましい実施形態において、各領域のメチル化の頻度を測定するためのプローブ、プライマーセットとしては、以下のものが挙げられる:
領域(i)
F-Primer TAGTATTCGAAGTTTCGTTCG (配列番号1)
R-Primer GAACCTAAAAATACTAAAACGACG (配列番号2)
Probe AAACGAACGTACGCCCCGC (配列番号3)
領域(ii)
F-Primer CGGTCGTGTAACGAAGC (配列番号4)
R-Primer CCGAACGCGAACAACTA (配列番号5)
Probe CAAACGAACGAAACGAAAACTACGACG (配列番号6)
領域(iii)
F-Primer AGTAGAGGAGGTAGGCGTC (配列番号7)
R-Primer CGACGAATACTCGACTACG (配列番号8)
Probe CTCGAACCCCGAAACGCAC (配列番号9)
領域(iv)
F-Primer GAGTCGAGGTCGTTATTTTAGC (配列番号10)
R-Primer AATAAACAACGCCCAAACG (配列番号11)
probe CCCCGAACTCAAACGTAAAACG (配列番号12)
領域(v)
F-Primer GGGGAAAGTTTTTATCGC (配列番号13)
R-Primer CTAATAACGTTACCCACAACCG (配列番号14)
probe CCCGAAAAAACTACGAAATAAAACTAACCG (配列番号15)
領域(vi)
F-Primer TCGATTACGATTTCGTTATTTC (配列番号16)
R-Primer ATACGAATACAAATACGAAACCG (配列番号17)
probe CAACTCGTTTACAACGACGCAACC (配列番号18)
領域(vii)
F-Primer TTTGTAAGAGGCGTAAAGTGC (配列番号19)
R-Primer CTATATTCCGAAACAACTAACTCG (配列番号20)
probe CATCCACTCCAAAATCCGAATCG (配列番号21)
領域(viii)
F-Primer GTTTTTTAATTTTTTGGTTTTCGC (配列番号22)
R-Primer CGAACCGCGAAATATACGA (配列番号23)
probe AACGTCGAAAACGCAAACGC (配列番号24)
領域(ix)
F-Primer GAAATTGATGTCGGAGTTGTAC (配列番号25)
R-Primer GACGCGAATAAATAAAAACG (配列番号26)
Probe TACGAACGCGCCGATAACGC (配列番号27)
領域(x)
F-Primer ATTACGGTGTGGGAGTGGTAC (配列番号28)
R-Primer CGAAATACTATACGACCAAACG (配列番号29)
probe CAACATACTAAAAATACCCGCCGACTC (配列番号30)
領域(xi)
F-Primer AGATTCGTTAATAGTTGAGTGTAGGC (配列番号31)
R-Primer CCGAAAACGAAATAAAACG (配列番号32)
probe CACGCGAACCCGATAAAACG (配列番号33)
領域(xii)
F-Primer GTTTTTCGGGAGAGTCGAG (配列番号34)
R-Primer AACTAAACTAAACTAAACTAAAACGAACG (配列番号35)
probe CAAAACGCAAAAACGAACGCG (配列番号36)
領域(xiii)
F-Primer ATGTTGTTTGTCGATTGTGAC (配列番号37)
R-Primer AAAAACAACCGTCTATACAACG (配列番号38)
probe AACCGACGCGAAAAAACCG (配列番号39)
領域(xiv)
F-Primer AGATTAAGGAGGCGTTCGC (配列番号40)
R-Primer CTATCCTCTAACTCAATTACGCG (配列番号41)
Probe CAACTCGAAAAAATCCCGCTCTACAAC (配列番号42)
領域(xv)
F-Primer GGTTTTCGTTAGTAAAGGAGTTATTC (配列番号43)
R-Primer AAAAACGCGATAAACCGAAC (配列番号44)
probe CTTTAACCCGAACGTTCACATAACGAA (配列番号45)
領域(xvi)
F-Primer GTAGTTGTTAGTTTTTCGTTCGTAAC (配列番号46)
R-Primer GAAATCCCACCTTAACCGC (配列番号47)
probe TTACGTCCGATAAATCTACGCGCG (配列番号48)
本明細書において、上記領域(i)についてのフォワードプライマー、リバースプライマーのプライマーセットをプライマーセット1と示す。同様に、上記領域(ii)~(xvi)についてのフォワードプライマー、リバースプライマーのプライマーセットをそれぞれ、プライマーセット2~16と示す。上記領域(i)についてのプローブをプローブ1と示す。同様に、上記領域(ii)~(xvi)についてのプローブをそれぞれプローブ2~16と示す。
【0081】
従って、本発明の好ましい実施形態において、測定対象となる領域は、上記プローブ1~16の少なくとも1種、及び/又はプライマーセット1~16の少なくとも1種を用いて検出されるように設定され得る。または、本発明の好ましい実施形態において、測定対象となる領域は、上記プローブ1~16の少なくとも1種、及び/又はプライマーセット1~16の少なくとも1種(又はプライマーセット1~16の各プライマーを構成するプライマーの少なくとも1種)を用いて検出されるように設定され得る。または、本発明の好ましい実施形態において、指標とするCpGサイトの少なくとも一部が、上記プライマーセット1~16の各プライマーを構成するプライマーのいずれかが、バイサルファイト処理後、ハイブリダイズする領域に含まれることが好ましい。または、本発明の好ましい実施形態において、指標とするCpGサイトは、メチル化された当該CpGサイトを含むDNAをバイサルファイト処理して得られるDNAにおいて、上記プライマーセット1~16及びプローブ1~16のいずれかがハイブリダイズする領域内に位置することが好ましい。本発明において、「ハイブリダイズする」とは、本発明の技術分野において通常設定されるストリンジェントな条件においてハイブリダイズすることを意味する。例えば、本願実施例2の条件においてハイブリダイズすることを意味する。ハイブリダイゼーション時のストリンジェンシーは、温度、塩濃度、プライマーの鎖長、プライマーのヌクレオチド配列のGC含量及びハイブリダイゼーション緩衝液中のカオトロピック剤の濃度の関数であることが知られており、当業者であればSambrook,J. et al. (1998) Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd ed.), ColdSpringHarborLaboratory Press, New Yorkなど公知の情報を参照し、上記の諸条件を考慮の上適宜調整することができる。本発明において、メチル化されたCpGサイトを含むDNAをバイサルファイト処理して得られるDNAにおいて、オリゴヌクレオチドがハイブリダイズする領域とは、当該領域を含むDNAをバイサルファイト処理した後、その結果物における上記領域に対応する領域に、オリゴヌクレオチドがハイブリダイズする領域を示す。バイサルファイト処理により、当該領域に含まれるメチル化されていないシトシンはウラシルに変換され、メチル化シトシンは変換されない。前述のプライマーセット1~16及びプローブ1~16は、これらをハイブリダイズさせようとする領域に含まれるCpGサイトのシトシンが全てメチル化され(従ってバイサルファイト処理により変換されない)、CpGサイトにないシトシンはメチル化されていない(従って、バイサルファイト処理によりウラシルに変換される)ものとし、当該領域のバイサルファイト処理後にハイブリダイズするよう設計されている。上記のように、典型的な実施形態においては、レファレンス配列における、ある領域の塩基配列を基準として、基準の塩基配列中のCpGサイト中のシトシンはそのままに、かつCpGサイトにないシトシンを全てウラシルに変換した塩基配列に対し、あるオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする場合、当該領域を「メチル化されたCpGサイトを含むDNAをバイサルファイト処理して得られるDNAにおいて、オリゴヌクレオチドがハイブリダイズする」領域とすることができる。
【0082】
本発明において、「領域(a)~(c)のメチル化を指標とする、大腸癌に対する薬物療法の感受性の検査方法」には、領域(a)~(c)のみのメチル化を指標とする方法だけでなく、検査結果が異ならない範囲で、領域(a)~(c)及びその他の領域のメチル化の検出を行う工程を含む方法も包含され得る。例えば、「領域(i)~(v)のメチル化を指標とする、大腸癌に対する薬物療法の感受性の検査方法」には、領域(i)~(v)のみのメチル化を指標とする方法だけでなく、検査結果が異ならない範囲で、領域(i)~(v)及びその他の領域(「その他の領域」は、領域(vi)~(xvi)以外の領域であってもよい)のメチル化の検出を行う工程を含む方法も包含され得る。従って、本発明の方法には、領域(i)~(xvi)に含まれるCpGサイトからなる群より選択される少なくとも1箇所におけるメチル化の検出を行い、かつ検査結果に実質的に影響しない領域のメチル化の検出を行う工程を含む方法も包含され得る。
【0083】
(2.大腸癌患者の治療方法)
本発明は、大腸癌患者の治療方法であって、大腸癌患者から採取されたDNAにおける前記領域(i)~(xvi)に含まれるCpGサイトからなる群より選択される少なくとも1箇所におけるメチル化を指標として大腸癌に対する薬物療法の感受性を判定する工程、及び上記工程で感受性有りと判定された大腸癌患者に対し薬物療法を施す工程を含む、方法を提供する。
【0084】
上記感受性判定で大腸癌に対する薬物療法の感受性有りと判定された大腸癌患者に対し施す薬物療法は特に限定されないが、例えば、大腸癌患者に、大腸癌に対する薬物療法に用いる薬剤の有効量を投与することにより行うことができる。
【0085】
薬剤の投与経路は、特に限定されず、経口投与であっても非経口投与であってもよい。非経口投与としては、例えば、口腔内投与、気道内投与、直腸内投与、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与等が挙げられる。
【0086】
薬剤の製剤形態は、特に限定されず、例えば錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤等の経口投与剤;注射剤(静脈注射、筋肉注射、局所注射等)、含嗽剤、点滴剤、外用剤(軟膏、クリーム、貼付薬、吸入薬)、座剤等の非経口投与剤等の各種製剤形態を挙げることができる。
【0087】
本発明において、薬物療法に用いる薬剤の投与量は、投与経路、患者の年齢、体重、症状等によって異なり一概に規定できないが、有効成分の投与量として、成人に対する1日投与量が通常、約5000mg以下、好ましくは約1000mg以下、より好ましくは500mg以下になる量とすればよい。投与量の下限も特に限定されず、例えば、有効成分の投与量として、成人に対する1日投与量が通常、1mg以上、好ましくは10mg以上、より好ましくは100mg以上の範囲で適宜設定できる。1日1回投与する場合は、1製剤中にこの量が含まれていればよく、1日3回投与する場合は、1製剤中にこの3分の1量が含まれていればよい。
【0088】
(3.その他の実施形態)
以上、本願について特定の実施形態を用いて説明したが、本発明はかかる実施形態に特定されない。前述のように、本発明は、上記領域領域(i)~(xvi)が大腸癌に対する薬物療法の感受性の指標として有用であるという新規知見に基づくものである。従って、本発明は、例えば、以下の実施形態も包含する:大腸癌患者から採取されたDNAにおける下記領域(i)~(xvi)に含まれるCpGサイトからなる群より選択される少なくとも1箇所におけるメチル化を指標とする、大腸癌に対する薬物療法の感受性の判定を補助する方法;大腸癌患者から採取されたDNAにおける前記領域(i)~(xvi)に含まれるCpGサイトからなる群より選択される少なくとも1箇所におけるメチル化を、大腸癌に対する薬物療法の感受性を判定するための指標とする方法;大腸癌患者から採取されたDNAにおける前記領域(i)~(xvi)に含まれるCpGサイトからなる群より選択される少なくとも1箇所におけるメチル化の検出を行うための手段を含む、大腸癌に対する薬物療法の感受性を判定するためのキット;コンピュータに、大腸癌患者から採取されたDNAにおける前記領域(i)~(xvi)からなる群より選択される少なくとも1箇所のメチル化の頻度を示すスコアを取得する第1機能、上記第1機能により取得されたメチル化の頻度を示すスコアが各領域について予め設定された値以下の場合に当該領域を高メチル化領域と判定する第2機能、および上記第1機能によりスコアが取得された領域(i)~(xvi)のうち、半分以上について上記第2機能で高メチル化領域と判定された場合、大腸癌に対する薬物療法の感受性なしと判定する第3機能を実現させるためのプログラム。
【0089】
これらの実施形態における大腸癌患者から採取されたDNA、薬物療法、各領域等の説明;各領域のメチル化の検出方法等の詳細については、前述の通りである。上記キットの実施形態において、メチル化の検出を行うための手段としては、前述した方法に用いるプローブ、プライマーのセット等が例示される。また、本発明のキットには、必要に応じて他の成分を含めることができる。他の成分は、例えば試料を採取するための道具(例えば、注射器。)等が挙げられるが、これに限定されない。上記検査方法を行うための手順を書き記した書面などを含むこともできる。
【0090】
また、以下、実施例を用いて本発明の特定の実施形態をより具体的に説明するが、本発明がかかる実施例に限定されないことも明らかである。
【実施例0091】
参考例1:大腸癌97例を用いた網羅的DNAメチル化解析
抗EGFR抗体薬使用歴を有する大腸癌97例より外科的に切除された大腸癌腫瘍組織のホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPE検体)を用いてInfinium 450K(Illumina)による網羅的DNAメチル化解析を行った。なお、対象症例はSanger法にてKRASエクソン2に変異を認めない症例とした。
【0092】
標的とする486,428個の各CpGサイトについてβ値(メチル化されているプローブ/メチル化されているプロープ+メチル化されていないプローブ)を算出し、特許文献1に記載の方法に従い、β値の分布の標準偏差が0.25を超える3,163のプローブを用いて教師なし階層クラスター解析を行った。
【0093】
上記の結果、解析対象症症例はメチル化レベルの高いHighly-Methylated Colorectal Cancer(HMCC)群(34例)と、メチル化レベルの低いLow-Methylated Colorectal Cancer(LMCC)群(63例)の2群に分類された。
【0094】
実施例1
上記参考例で分類されたLMCC群63症例における各CpGサイトのβ値、HMCC群34症例における各CpGサイトのβ値の統計学的な検討を行った。さらに、上記97症例とは別途、測定、算出した正常大腸粘膜試料(n=10)についてCpGサイトのβ値も測定し、その結果も加味し、さらにメチル化の判定と実際の治療成績との一致性に着目したCpGサイトのさらなる絞りこみ等を行い、上記網羅的DNAメチル化解析で標的とする486,428個ものCpGサイトから、下記の16箇所の塩基のCpGサイトを選抜した。当該選抜の結果、下記表1に記載の16箇所の一部又は全部の塩基のメチル化を指標にすることにより被験者がLMCC群かHMCC群か、すなわち大腸癌に対する薬物療法の感受性を有するか否かを判定することができると考えられる。
【0095】
【表1】
【0096】
実施例2
後ろ向きに収集された抗EGFR抗体薬による治療歴を有する進行再発大腸がん症例83例(RAS遺伝子 変異型症例n=18、RAS遺伝子 野生型症例n=65)のうち、RAS遺伝子が野生型の65症例について、下記手順によりリアルタイムPCRによるDNAメチル化状態の測定を行い、HMCC群及びLMCC群のいずれかに分類した。
【0097】
リアルタイムPCRを用いたメチル化の判定
各症例のDNA試料に対し、下記条件で、バイサルファイト処理を行った後リアルタイムPCRによりΔCt値を求めた:
・Bisulfite処理
- Bisulfiteキット:EZ DNA Methylation Gold Kit
- DNA量:500-600ng/rxn
・メチル化検出系の試薬構成
- qPCRに使用したDNA量:10-50ng/Well
- 使用酵素:GoTaqG2 Hot Start Master Mix(MgCl終濃度2.0mM)
- Target:Primer終濃度l000nM/Probe(FAM)終濃度500nM
- Control:Primer終濃度500nM/Probe(HEX)終濃度250nM
- ACTB Promoter region(GenBank Y00474.1)
・反応温度条件
95℃:2min→(95℃ 15sec→55℃ 30sec→72℃ 1min)x 50cycles
・測定機器:Bio-Rad CFX96
またリアルタイムPCRに使用したtargetプライマープローブセット及びcontrolプライマープローブセットは以下の通り:
【0098】
【表2】
【0099】
上記16個の解析領域用プライマープローブセット及び1個のコントロール用プライマープローブセットを用いたリアルタイムPCRの結果、ΔCt値が4未満である場合、当該解析領域のメチル化が陽性であると判定した。そして、16個の解析領域のうちメチル化陽性の領域が8個以上である症例をHMCC群とし、メチル化陽性の領域が8個未満である症例をLMCC群とした。その上で、各群について抗EGFR抗体薬(セツキシマブもしくはパニツムマブ)による治療成績(無増悪生存期間:PFS及び奏効率)について比較検討した。
【0100】
まず、83例のうちRAS遺伝子変異型群、HMCC群及びLMCC群の割合は下記表3に示す。
【0101】
【表3】
【0102】
また、各群の奏効率を下記表4に示す。
【0103】
【表4】
【0104】
さらに、各群の無増悪生存期間:PFSをまとめたグラフを図1に示す。これらの結果から分かるように、DNAメチル化状態を測定することで、RAS野生型の進行再発大腸がんにおける抗EGFR抗体薬抵抗性群を抽出することができた。
【0105】
実施例3
進行性大腸癌の予後は原発巣の位置により差があることが知られている。そこで、上記実施例2の進行再発大腸がん症例65例について、さらに原発巣の位置(右側結腸及び左側大腸)による分類を行い、いずれの分類方法がより治療効果予測精度に優れるかを検討した。まず、HMCC,LMCC郡の奏効率及び原発巣の位置別の奏効率を下記表5に示す。
【0106】
【表5】
【0107】
さらに、原発巣が左側大腸であるHMCC群(L-HMCC群)、原発巣が右側結腸であるHMCC群(R-HMCC群)、原発巣が左側大腸であるLMCC群(L-LMCC群)、原発巣が右側結腸であるLMCC群(R-LMCC群)のそれぞれの無増悪生存期間:PFSをまとめたグラフを図2に示す。図2に示すように、原発巣が左側大腸の症例のなかにHMCC群及びLMCC群の症例があり、PFSの中央値は両群で統計的に有意な差があった。また、原発巣が右側結腸の症例のなかにもHMCC群及びLMCC群の症例があり、PFSの中央値は両群で統計的に有意な差があった。従って、メチル化を指標にした判定は原発巣の位置とはまた別の指標として有用であることが分かる。また、原発巣の位置、RAS遺伝子変異、メチル化状態のそれぞれについてPFSの違いを解析した結果を表6に示す。
【0108】
【表6】
【0109】
表6に示すように、メチル化状態のハザード比が最も小さいことから、これらの指標のうち、メチル化を指標とする方法が治療効果予測精度に優れることが示唆された。
【0110】
実施例4
測定対象を前述のKRAS遺伝子が野生型の進行再発大腸がん症例83例とし、cg07319626を含む領域をターゲットとするプローブID1のみを用いる(従って、プライマーセット1、プローブ1を用いる)以外、実施例2と同様にして、リアルタイムPCRにより、ΔCt値を求めた。上記リアルタイムPCRの結果、ΔCt値が4未満である症例をHMCC群とし、ΔCt値が4以上の症例をLMCC群とした。その上で、各群について抗EGFR抗体薬(セツキシマブもしくはパニツムマブ)による治療成績(無増悪生存期間:PFS及び奏効率)について比較検討した。
各群の無増悪生存期間:PFSをまとめたグラフを図3に示す。また、KRAS遺伝子が野生型の進行再発大腸がん症例83例のうち、RAS遺伝子が野生型の65症例についてHMCC群及びLMCC群のPFSをまとめたグラフを図4に示す。これらの結果から分かるように、1領域のみのメチル化を指標とすることで、進行再発大腸がんにおける抗EGFR抗体薬抵抗性群を抽出することができた。
【0111】
実施例5
上記実施例で指標として用いた16個のCpGサイトのそれぞれについて、その周辺のCpGサイトのInfinium 450K(Illumina)による網羅的DNAメチル化解析により算出したβ値を示すグラフを図5~20に示す。各図中、各列がそれぞれの症例を示している。また、図中、「Target ID」はCpGサイトのIDであり「CHR」は染色体番号、「MAPINFO」は当該染色体上の何番目の塩基のメチル化を意図しているかを示す。また、各図中、β値が0.4未満を濃い灰色、β値が0.3より大きく0.4以下を薄い灰色、0.3以下を白で示す。
【0112】
図5~20に示すように、前記実施例1で指標として用いた16個のCpGサイトの前後のCpGサイトにおいてもLMCC症例よりもHMCC症例のほうがβ値が大きい傾向にある。従って、例えば、図5~20に示される16領域のうち、1つの領域(例えば、図5に示す第2番染色体207307150~207309004番目の領域(領域(i))のメチル化を指標とすることにより、被験者がLMCC群及びHMCC群のいずれかであるか、従って、大腸癌に対する薬物療法の感受性を有するか否かを判定し得るものと考えられる。例えば、図5においてTargetID cg24399540、TargetID cg27380819、TargetID cg04307977、TargetID cg06123396、TargetID cg09454676、TargetID cg08804846、TargetID cg26258845、TargetID cg07319626、TargetID cg16778809、TargetID cg09553380、TargetID cg21823149を指標にし、β値が0.4以上の場合にCpGサイトを高メチル化領域とし、高メチル化領域が8カ所以上の場合にHMCCと判定すると、PFSの中央値がそれぞれ82日、224日(p = < 0.001)と有意差をもってHMCC群とLMCC群とを分類できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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図14
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図18
図19
図20
【配列表】
2024180610000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-11-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大腸癌患者から採取されたDNAにおける下記領域(i)~(xvi)に含まれるCpGサイトからなる群より選択される少なくとも1箇所におけるメチル化を指標とする、大腸癌に対する薬物療法の感受性の検査方法。
領域(i)第2番染色体207307150~207309004番目の領域
領域(ii)第2番染色体241758282~241760510番目の領域
領域(iii)第3番染色体150802997~150805168番目の領域
領域(iv)第4番染色体141347993~141348489番目の領域
領域(v)第4番染色体186048714~186050048番目の領域
領域(vi)第5番染色体17216679~17219240番目の領域
領域(vii)第6番染色体37663982~37664539番目の領域
領域(viii)第6番染色体39281183~39282332番目の領域
領域(ix)第7番染色体42273390~42277951番目の領域
領域(x)第10番染色体13039715~13043422番目の領域
領域(xi)第10番染色体81664401~81665076番目の領域
領域(xii)第10番染色体88126287~88127189番目の領域
領域(xiii)第11番染色体61595807~61596627番目の領域
領域(xiv)第14番染色体23820337~23822266番目の領域
領域(xv)第17番染色体44895317~44896749番目の領域
領域(xvi)第19番染色体39520228~39523159番目の領域。