(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018062
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】氷冷式飲料サーバーにおける氷センサー用ホルダー
(51)【国際特許分類】
B67D 1/08 20060101AFI20240201BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
F25D11/00 102E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121126
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】509219073
【氏名又は名称】株式会社リード
(74)【代理人】
【識別番号】100095647
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】井上 智広
(72)【発明者】
【氏名】金清 明良
【テーマコード(参考)】
3E082
3L045
【Fターム(参考)】
3E082BB01
3E082EE02
3L045AA05
3L045AA07
3L045BA04
3L045CA01
3L045FA02
3L045PA04
(57)【要約】
【課題】氷センサーによって氷厚を制御する氷冷式の飲料サーバーにおいて、クリーニング時などに氷センサーを冷媒パイプから取り外せるような着脱式の氷センサー用ホルダーを提供する。
【解決手段】長さが異なる二本の電極を有した氷センサーを取り付けるホルダーであって、電極を水平方向に向けて前記氷センサーが取り付けられるホルダー本体と、このホルダー本体から電極とは反対側に迫り出す上顎部と、この上顎部に対応してホルダー本体に上下動可能に設けた下顎部と、この下顎部を常時、冷媒パイプを挟持可能に上向きに付勢するバネとを備える。そして、下顎部には上顎部の上方に突出するボタン部が延成され、このボタン部をバネの圧縮方向に押し込むことで冷媒パイプに着脱可能とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
氷冷式の飲料サーバーにおいて冷却水タンク内にスパイラル状に配管され、その表面に氷が生成される冷媒パイプに、長さが異なる二本の電極を有した氷センサーを取り付けるホルダーであって、前記電極を水平方向に向けて前記氷センサーが取り付けられるホルダー本体と、このホルダー本体から前記電極とは反対側に迫り出す上顎部と、この上顎部に対応して前記ホルダー本体に上下動可能に設けた下顎部と、この下顎部を常時上向きに付勢するバネとを備え、前記下顎部からは前記上顎部の上方に突出するボタン部が延成され、このボタン部を押し込むことで前記下顎部が前記バネを圧縮しながら下降する一方、前記ボタン部の押し込みを解除することで前記下顎部が前記バネで上昇して前記冷媒パイプに着脱可能としたことを特徴とする氷センサー用ホルダー。
【請求項2】
ホルダー本体の上部側面には一対の指掛け部を迫り出して設けた請求項1記載の氷センサー用ホルダー。
【請求項3】
ホルダー本体は、長さが異なる複数の電極を一列に並べてなる氷センサーを前記電極同士が上下に列をなす縦向きと、前記電極同士が左右に列をなす横向きとに付け替え可能とした請求項1または2記載の氷センサー用ホルダー。
【請求項4】
ホルダー本体は、一本のネジで氷センサーを取り付けると共に、縦向きと横向きのそれぞれで前記氷センサーが嵌合する凹陥部と左右の切欠きを有して、前記ネジを中心として前記氷センサーが回転することを規制した請求項3記載の氷センサー用ホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、氷冷式サーバーにおいて、冷媒パイプの表面に生成される氷の厚さを検出する氷センサーを前記冷媒パイプに取り付けるホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人による特許文献1には、冷却水タンク内に設けたスパイラル状の冷媒パイプと、この冷媒パイプの内側に設けたスパイラル状の飲料パイプと、前記冷却水を撹拌するアジテータと、前記飲料パイプの外周に非接触状に設けられた遮蔽板とから成る飲料水用サーバーの製氷装置が開示されている。これによれば、冷媒が循環することによって冷媒パイプの表面に生成される氷でタンク内の冷却水を冷やし、もって飲料パイプを流れるビール等の飲料を比較的速く適温まで冷却することができる。
【0003】
また特許文献1には、長さが異なる一対の電極を有して氷厚を検出可能とした氷センサーを備え、この氷センサーを前記電極が水平方向に向くように冷媒パイプの内側に設けることについても開示されている。
【0004】
したがって、冷媒パイプ表面の氷が成長して長いほうの電極に達すれば(過剰氷厚となれば)、その抵抗値が閾値に達したことを検出することにより、冷媒パイプに冷媒を循環させるコンプレッサを停止して過冷却を回避する一方、氷が溶けて短いほうの電極が冷却水に露出するようになれば(過小氷厚となれば)、その抵抗値が閾値を下回ったことを検出し、再度、コンプレッサを稼働させることで、常に氷厚を一定範囲に保持し、冷却効率を安定させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したような氷センサーにより氷厚を制御する氷冷式の飲料サーバーにおいては、経時的に冷却水の不純物が電極に析出して抵抗値を正しく測定できなくなることもあることから、定期的に電極をクリーニングして析出物を除去することが推奨されている。
【0007】
この点、従来は氷センサーを冷媒パイプにボルトや結束バンド等を用いて強固に固定しており、冷媒パイプの内側に飲料パイプを配置した状態では、これを取り外すことが事実上不可能であったため、そのままブラシ等で電極をクリーニングしていた。
【0008】
しかし、冷媒パイプと飲料パイプとの僅か隙間に手やブラシ等を差し込んで氷センサーをクリーニングするには非常な手間と時間がかかっていた。
【0009】
本発明は上述した課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、氷センサーによって氷厚を制御する氷冷式の飲料サーバーにおいて、クリーニング時などに氷センサーを冷媒パイプから取り外せるような着脱式の氷センサー用ホルダーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成するために本発明では、少なくとも、冷却水タンク内に設けたスパイラル状の冷媒パイプと、この冷媒パイプの内側に設けたスパイラル状の飲料パイプとを備え、前記冷媒パイプの表面に氷を生成し、この氷でタンクの冷却水を介して前記飲料パイプ内の飲料を冷却すると共に、氷センサーによって冷媒循環用のコンプレッサを制御して氷の厚さを一定範囲とする氷冷式の飲料サーバーにおいて、長さが異なる二本の電極を有した氷センサーを前記冷媒パイプに取り付けるホルダーとして、前記電極を水平方向に向けて前記氷センサーが取り付けられるホルダー本体と、このホルダー本体から前記電極とは反対側に迫り出す上顎部と、この上顎部に対応して前記ホルダー本体に上下動可能に設けた下顎部と、この下顎部を常時上向きに付勢するバネとを備え、前記下顎部からは前記上顎部の上方に突出するボタン部が延成され、このボタン部を押し込むことで前記下顎部が前記バネを圧縮しながら下降する一方、前記ボタン部の押し込みを解除することで前記下顎部が前記バネで上昇して前記冷媒パイプに着脱可能とするという手段を用いた。
【0011】
この手段によれば、固定側の上顎部と上下動する下顎部とで冷媒パイプを挟持可能であるところ、その挟持力は下顎部を付勢するバネの弾発力と等しく、弾発力が大きいバネを採用することで、本ホルダーを冷媒パイプに強固に固定することができる。一方、ボタン部を手指で押し込み操作すれば、これに連動して下顎部がバネを圧縮しながら上顎部から離間する方向に下降して、本ホルダーごと氷センサーを冷媒パイプから取り外すことができる。したがって、氷センサーを飲料サーバー外に取り出して、その電極を容易にクリーニングすることができる。
【0012】
また、ホルダー本体の上部側面には一対の指掛け部を迫り出して設けたので、これら指掛け部に人差し指と中指をかけて、親指をボタン部に当てれば、注射器のフィンガーフランジに人差し指と中指を掛けながら、親指でシリンダーを操作するのと同じ要領で、片手で、しかも、冷媒パイプに無理な力をかけずに、ボタン部を容易且つ確実に押し込むことができる。
【0013】
さらに、ホルダー本体は、長さが異なる複数の電極を一列に並べてなる氷センサーを前記電極同士が上下に列をなす縦向きと、前記電極同士が左右に列をなす横向きとに付け替え可能としたので、冷却水タンクにおいて氷が生成される深さに応じて氷センサーの向きを付け替えることができる。つまり、氷の生成位置は冷媒パイプに対して冷媒を上から供給するか下から供給するかによって異なり、前者であれば氷が冷却水タンクの上の方で氷がよく成長するため、この場合は氷センサーを縦向きとし、後者であれば、下の方で氷がよく成長するため、この場合は氷センサーを横向きとする。
【0014】
さらにまた、ホルダー本体は、1本のネジで氷センサーが取り付けられることで、取り付けが容易となる。ただし、この場合、ビスを中心として氷センサーが回転しやすくなるおそれから、縦向きと横向きのそれぞれで前記氷センサーを回り止め可能とする。具体的には、ホルダー本体に氷センサーを縦向きに収容する凹陥部を設けたり、この凹陥部の左右に切欠きを設けて横向きの際に氷センサーを切欠きに係合させるという手段が該当する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ボタン部によってワンタッチで氷センサーを冷媒パイプに着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態を示した氷センサー用ホルダーの正面からの斜視図
【
図2】同、氷センサー用ホルダーの背面からの斜視図
【
図4】同、氷センサーの付け替え方法を示した説明図
【
図7】同、氷センサー用ホルダーの着脱方向を示した背面からの斜視図
【
図8】同、氷センサー用ホルダーの着脱方向を示した正面からの斜視図
【
図9】同、氷センサー用ホルダーを取り付けた状態の使用説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面に従って説明する。
図1と
図2は、本発明の一実施形態に係る氷センサー用ホルダーについて、本ホルダーの正背面それぞれの斜視図を示したものである。ここでは、氷センサーを取り付ける側を正面としている。図中、1はホルダー本体、2は上顎部、3は下顎部、4はボタン部であって、それぞれの詳細と組み付け方法は
図3に示した通りである。
【0018】
即ち、ホルダー本体1は、縦に細長いプラスチック製の角材を加工してなる。その片面(正面)は氷センサーの取り付け面として凹陥部1aを形成しており、この凹陥部1aの底面1bには上下2箇所にネジ孔1c・1dを表裏貫通して設けている。また、凹陥部1aの左右には底面1bと連通する切欠き1e・1fを一対形成している。さらに、凹陥部1aの上側は上端を開放した縦溝1gを形成している。
【0019】
上顎部2は、挟持部2aの下部に左右一対の取付部2bを有している。この取付部2bを前記挟持体2aが背面を向くようにホルダー本体上部に左右からビス5で固定する。挟持部2aは下顎部3とで冷媒パイプを挟み込むもので、その下面内径は冷媒パイプの外径に見合った寸法としている。
【0020】
下顎部3は、ホルダー本体1の縦溝1gに上下動可能に収容するスライド部3aを有し、その片面(背面)には挟持部3bを突成すると共に、上部には中間部3cを介してボタン部4を一体成形している。挟持部3bは上述のように上顎部2の挟持部2aとで冷媒パイプを挟み込む部分であり、その上面内径はやはり冷媒パイプの外径に合わせている。
【0021】
ホルダー本体1の縦溝1gは上端が開放されて、上述のように、下顎部3(スライド部3a)を上下動可能に収容するものであるが、その動きを確実ならしめるために、本実施形態では、縦溝1gの左右に案内溝1hを一対形成し、ここに下顎部3のスライド部3aの左右側面に形成した垂直方向の凸条のガイド3dを摺動可能に係合する。また、下顎部3の中間部3cにもガイド3eを設けており、これに対応して上顎部2の挟持部2aの後方にも案内溝2cを形成している。
【0022】
これら部材の組み付け手順は、ホルダー本体1の縦溝1gにコイルスプリング6、下顎部3の順で収容し、最後に上顎部2をビス5で固定する。組み付け完了後、下顎部3は、コイルスプリング6によって常時、上向きに付勢され、その弾発力によって冷媒パイプを強固に挟み込むことができる。なお、下顎部3は、スライド部3aの上面が上顎部2の案内溝2cの両側板部2dの下面と干渉することで、ホルダー本体1(縦溝1g)から抜け止めされる。
【0023】
図4~6は、上記構成からなるホルダーに対する氷センサーCの取付態様を示したものである。ここで対象となる氷センサーCは、細長な基板Bの長手方向に沿って長短2本の電極(ボルト)P1・P2を一列に並べてなる。そして、この氷センサーCをネジ孔1c・1dに対応するネジS一本で簡単にホルダー本体1(凹陥部1a)に取り付け可能としている。本実施形態では、ホルダー本体1に基板Bが嵌合する凹陥部1aと、その左右に基板Bの短辺側の幅に見合った切欠き1e・1fを形成しているため、氷センサーCを縦向き(
図5)にも横向き(
図6)にも取り付けることができる。しかも、何れの向きに取り付けた場合であって、氷センサーCは凹陥部1aや切欠き1e・1fによって姿勢が拘束されるため、ネジSを中心に回転することはない。
【0024】
このように氷センサーCを取り付けた本ホルダーは、
図7に示したように、ボタン部4を押し込むことによって、コイルスプリング6を圧縮させながら、下顎部3が連動して下降する。したがって、ボタン部4をしっかり押し込んで、上顎部2(の挟持部2a)と下顎部3(の挟持部2b)の間隔が十分に開いたなら、本ホルダーを冷媒パイプに取り付けたり、取り付けたものを外したりを自由に行うことができる。この押し込みを解除すれば、コイルスプリング6の弾発力で下顎部3が元の位置に復帰しようとし、前記弾発力に見合った挟持力で冷媒パイプを下顎部3と上顎部2とで強固に挟み込むことができる。
【0025】
ボタン部4の押し込み作業は、冷媒パイプに無理な力がかからないように、ホルダー本体1を手で支えながら、もう片方の手でボタン部4を押し込むこともできるが、本実施形態では、
図3等に示すように、ホルダー本体1の上部に指掛け部8・8を左右一対、側方に迫り出して設けているため、
図8に示すように、これら指掛け部8の下側に人差し指Fと中指Mのそれぞれを掛ければ、親指Tでボタン部4を押し込むことができる。即ち、この実施形態では片手で本ホルダーを着脱(上顎部2と下顎部3を開閉)することができる。
【0026】
なお、氷センサーCの取付向きを縦向きと横向きの何れとするかは、冷媒パイプのどの位置の氷(の厚み)を検出したいかによって決定することができる。即ち、縦向きであれば、
図7に示したように、電極P1・P2が上下に配列されるので、冷媒パイプIの上方側の氷の厚みを検出することができる。そして、氷厚検出後の制御方法は、従来から変更はなく、各電極の抵抗値を閾値と比較するもので、氷の厚さが長い電極P1の先端位置L1に達すれば、その抵抗値が閾値を超えるので、これをトリガーとして冷媒循環用のコンプレッサを停止し、氷の厚さが短い電極P2の先端位置L2よりも内側となれば、その抵抗値は閾値を下回るので、これをトリガーとしてコンプレッサを再稼働する。
【符号の説明】
【0027】
1 ホルダー本体
2 上顎部
3 下顎部
4 ボタン部
6 コイルスプリング
8 指掛け部
C 氷センサー
I 冷媒パイプ