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特開2024-180633ポリテトラフルオロエチレン粉末の製造方法、及び、ポリテトラフルオロエチレン粉末
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180633
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ポリテトラフルオロエチレン粉末の製造方法、及び、ポリテトラフルオロエチレン粉末
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/12 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
C08J3/12 A CEW
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024182155
(22)【出願日】2024-10-17
(62)【分割の表示】P 2023144462の分割
【原出願日】2023-09-06
(31)【優先権主張番号】P 2022153635
(32)【優先日】2022-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】迎 弘文
(72)【発明者】
【氏名】石井 健二
(72)【発明者】
【氏名】仲上 綾音
(57)【要約】
【課題】乾燥等の後処理を必要とせずに、ポリテトラフルオロエチレンを微粉砕することが可能なポリテトラフルオロエチレン粉末の製造方法、及び、当該ポリテトラフルオロエチレン粉末を提供する。
【解決手段】粉砕機を用い、前記粉砕機が備える粉砕部材の表面温度を35℃未満としてポリテトラフルオロエチレンを粉砕する粉砕工程を含むポリテトラフルオロエチレン粉末の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕機を用い、前記粉砕機が備える粉砕部材の表面温度を35℃未満としてポリテトラフルオロエチレンを粉砕する粉砕工程を含むポリテトラフルオロエチレン粉末の製造方法。
【請求項2】
前記粉砕部材が、前記ポリテトラフルオロエチレンを擂潰することが可能な擂潰部材である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記粉砕工程において、対向配置された少なくとも一対の前記擂潰部材により前記ポリテトラフルオロエチレンを擂潰する請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ポリテトラフルオロエチレンが、融点以上の温度に加熱した履歴のあるポリテトラフルオロエチレンである請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記粉砕工程を乾式で実施する請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
前記粉砕機は投入口と排出口とを有し、前記粉砕工程を連続で実施する請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
前記粉砕工程を複数回繰り返す請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
更に、ポリテトラフルオロエチレンを粗粉砕する粗粉砕工程を含み、粗粉砕工程で得られた粗粉を前記粉砕工程に供する請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
鱗片状のポリテトラフルオロエチレン粒子を含むポリテトラフルオロエチレン粉末。
【請求項10】
333℃未満の温度領域に1つ以上の融点を有する請求項9に記載のポリテトラフルオロエチレン粉末。
【請求項11】
メディアン径が110μm以下である請求項9又は10に記載のポリテトラフルオロエチレン粉末。
【請求項12】
下記条件で成形して得られた試験片で測定したL表色系におけるLが70以上である請求項9又は10に記載のポリテトラフルオロエチレン粉末。
(成形条件)
φ120mmの金型に54gのポリテトラフルオロエチレン粉末を投入し、ヒートプレス機により、370℃にて30分間保持し、ポリテトラフルオロエチレンを溶融状態にした後、3MPaの負荷を1分間与え圧縮成形し、金型を冷却することで試験片を作製する。
【請求項13】
下記条件で成形して得られた試験片で測定したL表色系におけるLの、前記ポリテトラフルオロエチレン粉末で測定したLに対する変化率が25%以下である請求項9又は10に記載のポリテトラフルオロエチレン粉末。
(成形条件)
φ120mmの金型に54gのポリテトラフルオロエチレン粉末を投入し、ヒートプレス機により、370℃にて30分間保持し、ポリテトラフルオロエチレンを溶融状態にした後、3MPaの負荷を1分間与え圧縮成形し、金型を冷却することで試験片を作製する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリテトラフルオロエチレン粉末の製造方法、及び、ポリテトラフルオロエチレン粉末に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素樹脂を粉砕する方法として、分散助剤を含有する水に分散したフッ素樹脂の粗粉を湿式の臼式法により粉砕する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-006578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、乾燥等の後処理を必要とせずに、ポリテトラフルオロエチレンを微粉砕することが可能なポリテトラフルオロエチレン粉末の製造方法、及び、当該ポリテトラフルオロエチレン粉末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示(1)は、粉砕機を用い、上記粉砕機が備える粉砕部材の表面温度を35℃未満としてポリテトラフルオロエチレンを粉砕する粉砕工程を含むポリテトラフルオロエチレン粉末の製造方法である。
【0006】
本開示(2)は、上記粉砕部材が、上記ポリテトラフルオロエチレンを擂潰することが可能な擂潰部材である本開示(1)に記載の製造方法である。
【0007】
本開示(3)は、上記粉砕工程において、対向配置された少なくとも一対の上記擂潰部材により上記ポリテトラフルオロエチレンを擂潰する本開示(2)に記載の製造方法である。
【0008】
本開示(4)は、上記ポリテトラフルオロエチレンが、融点以上の温度に加熱した履歴のあるポリテトラフルオロエチレンである本開示(1)~(3)のいずれかとの任意の組合せの製造方法である。
【0009】
本開示(5)は、上記粉砕工程を乾式で実施する本開示(1)~(4)のいずれかとの任意の組合せの製造方法である。
【0010】
本開示(6)は、上記粉砕機は投入口と排出口とを有し、上記粉砕工程を連続で実施する本開示(1)~(5)のいずれかとの任意の組合せの製造方法である。
【0011】
本開示(7)は、上記粉砕工程を複数回繰り返す本開示(1)~(6)のいずれかとの任意の組合せの製造方法である。
【0012】
本開示(8)は、更に、ポリテトラフルオロエチレンを粗粉砕する粗粉砕工程を含み、粗粉砕工程で得られた粗粉を上記粉砕工程に供する本開示(1)~(7)のいずれかとの任意の組合せの製造方法である。
【0013】
本開示(9)は、鱗片状のポリテトラフルオロエチレン粒子を含むポリテトラフルオロエチレン粉末である。
【0014】
本開示(10)は、333℃未満の温度領域に1つ以上の融点を有する本開示(9)に記載のポリテトラフルオロエチレン粉末である。
【0015】
本開示(11)は、メディアン径が110μm以下である本開示(9)又は(10)に記載のポリテトラフルオロエチレン粉末である。
【0016】
本開示(12)は、下記条件で成形して得られた試験片で測定したL表色系におけるLが70以上である本開示(9)~(11)のいずれかとの任意の組合せのポリテトラフルオロエチレン粉末である。
(成形条件)
φ120mmの金型に54gのポリテトラフルオロエチレン粉末を投入し、ヒートプレス機により、370℃にて30分間保持し、ポリテトラフルオロエチレンを溶融状態にした後、3MPaの負荷を1分間与え圧縮成形し、金型を冷却することで試験片を作製する。
【0017】
本開示(13)は、下記条件で成形して得られた試験片で測定したL表色系におけるLの、上記ポリテトラフルオロエチレン粉末で測定したLに対する変化率が25%以下である本開示(9)~(12)のいずれかとの任意の組合せのポリテトラフルオロエチレン粉末である。
(成形条件)
φ120mmの金型に54gのポリテトラフルオロエチレン粉末を投入し、ヒートプレス機により、370℃にて30分間保持し、ポリテトラフルオロエチレンを溶融状態にした後、3MPaの負荷を1分間与え圧縮成形し、金型を冷却することで試験片を作製する。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、乾燥等の後処理を必要とせずに、ポリテトラフルオロエチレンを微粉砕することが可能なポリテトラフルオロエチレン粉末の製造方法、及び、当該ポリテトラフルオロエチレン粉末を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示を具体的に説明する。
【0020】
本開示は、粉砕機を用い、上記粉砕機が備える粉砕部材の表面温度を35℃未満としてポリテトラフルオロエチレンを粉砕する粉砕工程を含むポリテトラフルオロエチレン粉末の製造方法を提供する。
【0021】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は30℃付近に貯蔵弾性率が変化する転移点を有しており、転移点を超える温度では弾性率が低下するため微粉砕が困難となる。本開示の製造方法では、粉砕部材の表面温度を35℃未満とすることで、容易に微粉砕することができる。また、本開示の製造方法は乾式で実施することができるため、乾燥等の後処理が不要であり、工業生産上有利である。更に、分散助剤を使用する必要がないため、分散助剤に起因する着色等の不具合が生じにくいという利点もある。
【0022】
上記粉砕工程では、上記粉砕機が備える粉砕部材の表面温度を35℃未満としてPTFEを粉砕する。上記表面温度は、30℃以下であることが好ましく、25℃以下であることがより好ましく、20℃以下であることが更に好ましい。上記表面温度は、また、1℃以上であることが好ましく、5℃以上であることがより好ましく、10℃以上であることが更に好ましい。
上記表面温度は、上記粉砕部材の、上記PTFEと接する部分の温度であることが好ましい。
【0023】
上記粉砕工程で用いる粉砕機は、粉砕部材を備える。上記粉砕部材は、上記PTFEを粉砕することが可能な部材である。
【0024】
上記粉砕部材は、金属製、セラミック製等であってよいが、温度調節が容易である点で、金属製であることが好ましい。
【0025】
上記粉砕部材は、微粉砕が容易である点で、上記PTFEを擂潰することが可能な擂潰部材であることが好ましい。
上記擂潰部材としては、上下の臼(砥石)の摩擦によって被粉砕物を擂潰(摩砕)する挽き臼の原理を利用したもの、特に、臼を回転させて擂潰する回転式挽き臼の原理を利用したものが好ましい。
上記擂潰部材の形状は、円盤状であることが好ましく、臼状であることがより好ましい。
【0026】
上記粉砕部材が上記擂潰部材である場合、対向配置された少なくとも一対の上記擂潰部材により、上記PTFEを擂潰することが好ましい。この形態においては、上記PTFEを一対の擂潰部材の間隙に投入し、一方の擂潰部材を回転させて、他方の擂潰部材との摩擦により、上記PTFEを擂潰することが好ましい。この際、上記他方の擂潰部材は固定してもよく、回転させてもよい。
【0027】
上記粉砕機は、上記粉砕部材の温度を調節することが可能な温調機能を有することが好ましく、上記粉砕部材を冷却することが可能な冷却機構を備えることがより好ましい。上記冷却機構としては、水冷式、空冷式等の公知のものを採用することができる。
【0028】
上記粉砕機としては、臼式粉砕機が好ましく、例えば、特開2016-215115号公報、特開2016-209813号公報、特開2003-047867号公報等に記載されるような、温調機能を有する臼式粉砕機が挙げられる。
【0029】
上記粉砕機は、粉砕する材料を投入する投入口と、粉砕された材料を排出する排出口とを有することが好ましい。上記粉砕機が投入口と排出口とを有することで、上記粉砕工程を連続して行うことが出来る。材料の投入及び排出を十分に行うことができれば、投入口及び排出口の形状及び大きさは問わない。
【0030】
上記粉砕工程において、上記粉砕部材を回転させて粉砕を行う場合、回転数は45rpm以上であることが好ましく、50rpm以上であることがより好ましく、60rpm以上であることが更に好ましく、また、120rpm以下であることが好ましく、110rpm以下であることがより好ましく、100rpm以下であることが更に好ましい。
【0031】
上記少なくとも一対の擂潰部材を用いる場合、その間隙の大きさは、目的のPTFE粉末の粒子径に応じて設定することができるが、例えば、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、2μm以下であることが更に好ましい。
下限は特に限定されず、擂潰部材同士が接触した状態で擂潰を行ってもよい。この場合、擂潰部材の摩耗が発生しない範囲で接触させることが好ましい。
【0032】
上記粉砕工程において、粉砕されたPTFEの上記粉砕機からの吐出量は、0.5kg/h以上であることが好ましく、1kg/h以上であることがより好ましく、1.5kg/h以上であることが更に好ましく、また、20kg/h以下であることが好ましく、10kg/h以下であることがより好ましく、5kg/h以下であることが更に好ましい。
【0033】
上記粉砕工程は、乾式で実施することが好ましい。乾式で実施するとは、実質的に液体(例えば、水)の不存在下に実施することを意味する。実質的に液体が不存在であるとは、液体の存在量が、上記PTFEに対し、5質量%以下であることを意味する。上記液体の存在量は、3質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが更に好ましい。
【0034】
上記粉砕工程は、実質的に分散助剤の不存在下に実施することが好ましい。実質的に分散助剤が不存在であるとは、分散助剤の存在量が、上記PTFEに対し、0.5質量%以下であることを意味する。上記分散助剤の存在量は、0.1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下であることがより好ましく、0.001質量%以下であることが更に好ましい。
【0035】
上記分散助剤は、上記PTFEを水に分散させることが可能な化合物である。上記分散助剤としては、例えば、アルコール、陰イオン(アニオン)系界面活性剤、非イオン(ノニオン)系界面活性剤が挙げられる。
【0036】
上記粉砕工程は、1回のみ行ってもよく、複数回繰り返してもよい。複数回繰り返す場合、上記PTFEを更に微粉砕することが可能となる。繰り返しの回数は特に限定されず、目的の粒子径に応じて決定すればよいが、例えば、2回以上であってよく、また、5回以下であってよい。
なお、PTFEを上記粉砕機に投入してから、粉砕されたPTFEが吐出されるまでを1回(1パス)と数えるものとする。
【0037】
投入口と排出口とを有する粉砕機を用い、上記粉砕工程を連続で実施することも好ましい。投入口と排出口とを有する粉砕機を直列に複数並べることで、上記の繰り返し操作を連続して行うこともできる。
【0038】
上記粉砕工程で粉砕するPTFEは、高分子量PTFEであってよい。
【0039】
上記PTFEは、テトラフルオロエチレン(TFE)の単独重合体であってもよいし、99.0質量%以上のTFEに基づく重合単位(TFE単位)と、1.0質量%以下の変性モノマーに基づく重合単位(変性モノマー単位)とを含む変性PTFEであってもよい。上記変性PTFEは、TFE単位及び変性モノマー単位のみからなるものであってよい。
【0040】
上記変性PTFEは、変性モノマー単位の含有量が全重合単位に対し0.00001~1.0質量%の範囲であることが好ましい。変性モノマー単位の含有量の下限としては、0.0001質量%がより好ましく、0.001質量%が更に好ましく、0.005質量%が更により好ましく、0.010質量%が殊更に好ましい。変性モノマー単位の含有量の上限としては、0.90質量%が好ましく、0.50質量%がより好ましく、0.40質量%が更に好ましく、0.30質量%が更により好ましく、0.20質量%が殊更に好ましく、0.10質量%が特に好ましい。
本明細書において、上記変性モノマー単位とは、PTFEの分子構造の一部分であって変性モノマーに由来する部分を意味する。
【0041】
上記変性モノマーとしては、TFEとの共重合が可能なものであれば特に限定されず、例えば、ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕等のパーフルオロオレフィン;トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン〔VDF〕等の水素含有フルオロオレフィン;クロロトリフルオロエチレン等のパーハロオレフィン;パーフルオロビニルエーテル:パーフルオロアリルエーテル;(パーフルオロアルキル)エチレン、エチレン等が挙げられる。また、用いる変性モノマーは1種であってもよいし、複数種であってもよい。
【0042】
上記パーフルオロビニルエーテルとしては特に限定されず、例えば、下記一般式(A):
CF=CF-ORf (A)
(式中、Rfは、パーフルオロ有機基を表す。)で表されるパーフルオロ不飽和化合物等が挙げられる。本明細書において、上記「パーフルオロ有機基」とは、炭素原子に結合する水素原子が全てフッ素原子に置換されてなる有機基を意味する。上記パーフルオロ有機基は、エーテル酸素を有していてもよい。
【0043】
上記パーフルオロビニルエーテルとしては、例えば、上記一般式(A)において、Rfが炭素数1~10のパーフルオロアルキル基であるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕が挙げられる。上記パーフルオロアルキル基の炭素数は、好ましくは1~5である。
【0044】
上記PAVEにおけるパーフルオロアルキル基としては、例えば、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等が挙げられる。
【0045】
上記パーフルオロビニルエーテルとしては、更に、上記一般式(A)において、Rfが炭素数4~9のパーフルオロ(アルコキシアルキル)基であるもの、Rfが下記式:
【0046】
【化1】
【0047】
(式中、mは、0又は1~4の整数を表す。)で表される基であるもの、Rfが下記式:
【0048】
【化2】
【0049】
(式中、nは、1~4の整数を表す。)で表される基であるもの等が挙げられる。
【0050】
(パーフルオロアルキル)エチレン(PFAE)としては特に限定されず、例えば、(パーフルオロブチル)エチレン(PFBE)、(パーフルオロヘキシル)エチレン等が挙げられる。
【0051】
パーフルオロアリルエーテルとしては、例えば、一般式(B):
CF=CF-CF-ORf (B)
(式中、Rfは、パーフルオロ有機基を表す。)で表されるフルオロモノマーが挙げられる。
【0052】
上記Rfは、炭素数1~10のパーフルオロアルキル基又は炭素数1~10のパーフルオロアルコキシアルキル基が好ましい。上記パーフルオロアリルエーテルとしては、CF=CF-CF-O-CF、CF=CF-CF-O-C、CF=CF-CF-O-C、及び、CF=CF-CF-O-Cからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、CF=CF-CF-O-C、CF=CF-CF-O-C、及び、CF=CF-CF-O-Cからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、CF=CF-CF-O-CFCFCFが更に好ましい。
【0053】
上記PTFEは、標準比重(SSG)が2.280以下であることが好ましく、2.10以下であることがより好ましい。また、1.50以上であることが好ましく、1.60以上であることがより好ましい。上記SSGは、ASTM D 4895に準拠して成形されたサンプルを用い、ASTM D-792に準拠した水置換法により測定する。
【0054】
上記PTFEは、通常、非溶融二次加工性を有する。上記非溶融二次加工性とは、ASTM D-1238及びD-2116に準拠して、融点より高い温度でメルトフローレートを測定できない性質、言い換えると、溶融温度領域でも容易に流動しない性質を意味する。
【0055】
上記PTFEは、融点以上の温度に加熱した履歴を有することが好ましい。一般に、融点以上の温度に加熱した履歴を有するPTFEを高分子量のまま粉砕するのは容易でない。本開示の製造方法によれば、融点以上の温度に加熱した履歴を有するPTFEであっても、簡便な工程で微粉砕することができる。
上記加熱としては、成形加工、加熱処理等のための加熱等が挙げられる。
【0056】
上記PTFEは、融点の1つが310℃以上であることが好ましく、320℃以上であることがより好ましく、また、333℃未満であることが好ましい。333℃以上の温度領域にも融点を有してもよい。
融点が上記範囲内にあることは、融点以上の温度に加熱した履歴があることを示す。
本明細書において、融点は、X-DSC7000(株式会社日立ハイテクサイエンス社製)を用い、10℃/分の昇温速度で示差走査熱量測定〔DSC〕を行って得られた融解熱曲線における極小点に対応する温度である。1つの融解ピーク中に極小点が2つ以上ある場合は、それぞれを融点とする。
【0057】
上記PTFEは、架橋されていないことが好ましい。上記架橋は、電離放射線の照射による架橋、例えば、PTFEの融点以上の温度での電離放射線の照射による架橋であってよい。
【0058】
上記PTFEは、更に、充填材を含んでもよい。
上記充填材としては、例えば、ガラス繊維、ガラスビーズ、炭素繊維、球状カーボン、カーボンブラック、グラファイト、シリカ、アルミナ、マイカ、炭化珪素、窒化硼素、酸化チタン、酸化ビスマス、酸化コバルト、二硫化モリブデン、ブロンズ、金、銀、銅、及び、ニッケルからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
なかでも、ガラス繊維、炭素繊維、カーボンブラック、及び、ブロンズからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0059】
上記粉砕工程で用いるPTFEは、粉体状であってよい。
【0060】
上記粉砕工程で用いるPTFEの大きさは、特に制限はなく、粉砕機に投入することが出来れば良く、粒子の最大直径が10mm程度であっても良いし、5mm程度であっても構わない。また、1mm以下でも問題がない。
ただし、粉砕後に一層粒径の小さい粉末を得る観点からは、投入時の粒径は小さい方が好ましい。
上記粉砕工程で用いるPTFEの粒子の最大直径は10mm以下であってよく、5mm以下であってもよく、1mm以下であってもよい。
本明細書において、粒子の最大直径は、1mm以上の粒子に関してはデジタルマイクロスコープを用いて測定を行う。1mm未満の粒子の場合は、メディアン径で評価する。
メディアン径は、ベックマン・コールター製レーザー回折式粒度分布測定装置(LS13 320)を用いて、乾式で、バキューム圧20mHOで測定を行ない、粒度分布積算(体積基準)の50%に対応する粒子径に等しいとする。
【0061】
上記粉砕工程で用いるPTFEは、予め粗粉砕されたものであってもよい。本開示の製造方法は、更に、PTFEを粗粉砕する粗粉砕工程を含み、上記粗粉砕工程で得られた粗粉を上記粉砕工程に供することが好ましい。
【0062】
上記粗粉砕工程で粗粉砕するPTFEとしては、例えば、融点以上の温度に加熱した履歴のないPTFEを成形し、焼成して得られた成形品やその切削屑や切削後の成形品の端材を用いることができる。成形の形状は特に問わない。上記粗粉砕するPTFEとしては、また、成形せずに融点以上に加熱したPTFEを用いることもできる。
【0063】
上記粗粉砕は、粉砕機等で行うことができる。粉砕機は特に限定されず、PTFEをある程度粉砕することができるものであればよい。例えば、カッターミル、エアジェットミル、ハンマーミル、フォースミル、凍結粉砕機等が挙げられる。
【0064】
本開示の製造方法は、上記粉砕工程で得られたPTFE粉末を100~340℃の温度で熱処理する工程を更に含んでもよい。上記熱処理を行うことで、粉砕によって生じた粒子の歪を解消することができる。
【0065】
本開示の製造方法は、電離放射線の照射による脆化処理を含まないことが好ましい。
【0066】
本開示の製造方法では、上記粉砕工程を実施することにより、粒子径の小さいPTFE粉末を得ることができる。
【0067】
本開示の製造方法では、上記粉砕工程を連続して行うことができるため、凍結粉砕等で行われていた方法に比べて、より高い生産性で粒子径の小さいPTFE粉末を提供することができる。
【0068】
本開示の製造方法で得られるPTFE粉末は、D10が50μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることが更に好ましく、また、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることが更に好ましい。
D10は、ベックマン・コールター製レーザー回折式粒度分布測定装置(LS13 320)を用いて、乾式で、バキューム圧20mHOで測定を行ない、粒度分布積算(体積基準)の10%に対応する粒子径に等しいとする。
【0069】
本開示の製造方法で得られるPTFE粉末は、メディアン径(D50)が150μm以下であることが好ましく、110μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることが更に好ましく、90μm以下であることが更により好ましく、80μm以下であることが更により好ましく、70μm以下であることが更により好ましく、50μm以下であることが特に好ましい。下限は特に限定されないが、例えば1μmであってよく、10μmであってもよい。
メディアン径は、ベックマン・コールター製レーザー回折式粒度分布測定装置(LS13 320)を用いて、乾式で、バキューム圧20mHOで測定を行ない、粒度分布積算(体積基準)の50%に対応する粒子径に等しいとする。
【0070】
本開示の製造方法で得られるPTFE粉末は、D90が300μm以下であることが好ましく、250μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることが更に好ましく、150μm以下であることが更により好ましく、また、50μm以上であることが好ましく、60μm以上であることがより好ましく、70μm以上であることが更に好ましい。
D90は、ベックマン・コールター製レーザー回折式粒度分布測定装置(LS13 320)を用いて、乾式で、バキューム圧20mHOで測定を行ない、粒度分布積算(体積基準)の90%に対応する粒子径に等しいとする。
【0071】
本開示は、鱗片状のPTFE粒子を含むPTFE粉末も提供する。
【0072】
上記鱗片状のPTFE粒子は、直径と厚さとの比(直径/厚さ)が、3.0以上であることが好ましく、4.0以上であることがより好ましく、5.0以上であることが更に好ましく、また、20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましく、10以下であることが更に好ましい。
上記比は、PTFE粒子を走査電子顕微鏡(SEM)で観察して画像処理を行い、その直径と厚さより求める。20個の粒子について求め、その平均値を採用する。
【0073】
本開示のPTFE粉末は、融点以上の温度に加熱した履歴を有することが好ましい。
本開示のPTFE粉末は、333℃未満の温度領域に1つ以上の融点を有することが好ましい。上記温度領域は、310℃以上であることが好ましく、320℃以上であることがより好ましい。上記温度領域に融点を有することは、融点以上の温度に加熱した履歴があることを示す。
本開示のPTFE粉末は、333℃以上の温度領域にも融点を有してもよい。
【0074】
本開示のPTFE粉末は、D10が50μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることが更に好ましく、また、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることが更に好ましい。
【0075】
本開示のPTFE粉末は、メディアン径(D50)が150μm以下であることが好ましく、110μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることが更に好ましく、90μm以下であることが更により好ましく、80μm以下であることが更により好ましく、70μm以下であることが更により好ましく、50μm以下であることが特に好ましい。下限は特に限定されないが、例えば1μmであってよく、10μmであってもよい。
【0076】
本開示のPTFE粉末は、D90が300μm以下であることが好ましく、250μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることが更に好ましく、150μm以下であることが更により好ましく、また、50μm以上であることが好ましく、60μm以上であることがより好ましく、70μm以上であることが更に好ましい。
【0077】
本開示のPTFE粉末は、下記条件で成形して得られた試験片で測定したL表色系におけるLが70以上であることが好ましい。
(成形条件)
φ120mmの金型に54gのポリテトラフルオロエチレン粉末を投入し、ヒートプレス機により、370℃にて30分間保持し、ポリテトラフルオロエチレンを溶融状態にした後、3MPaの負荷を1分間与え圧縮成形し、金型を冷却することで試験片を作製する。
【0078】
が上記範囲内にあると、成形時の着色が低減されており、優れた外観が得られる。上記Lは、75以上であることがより好ましく、80以上であることが更に好ましい。上限は特に限定されないが、例えば90であってよい。
上記Lは、コニカミノルタ製分光測色計CM-5を用いて、C光源、視野2°とし、SCI方式で反射光に対するLを測定して求める。
【0079】
本開示のPTFE粉末は、下記条件で成形して得られた試験片で測定したL表色系におけるLの、上記PTFE粉末で測定したLに対する変化率(減少率)が25%以下であることが好ましい。
(成形条件)
φ120mmの金型に54gのポリテトラフルオロエチレン粉末を投入し、ヒートプレス機により、370℃にて30分間保持し、ポリテトラフルオロエチレンを溶融状態にした後、3MPaの負荷を1分間与え圧縮成形し、金型を冷却することで試験片を作製する。
【0080】
上記Lの変化率が上記範囲内にあると、成形時の着色が一層低減されており、一層優れた外観が得られる。上記Lの変化率は、20%以下であることがより好ましい。下限は特に限定されないが、例えば5%であってよい。
上記Lの変化率は、下記方法により求める。
PTFE粉末について、コニカミノルタ製分光測色計CM-5を用いて、φ30mmのCM-5専用シャーレに充填し、C光源、視野2°とし、SCI方式で反射光に対するLを測定し、Lを求める。また、上記PTFE粉末を上述した条件で成形して得られた試験片について、同様にLを測定する。成形の前後のLの測定値を用いて、下記式より変化率を求める。
の変化率(%)=|{(成形後の試験片のL)-(成形前のPTFE粉末のL)}/(成形前のPTFE粉末のL)×100|
【0081】
本開示のPTFE粉末を構成するPTFEは、高分子量PTFEであってよく、標準比重(SSG)が2.280以下であることが好ましく、2.10以下であることがより好ましい。また、1.50以上であることが好ましく、1.60以上であることがより好ましい。
【0082】
本開示のPTFE粉末を構成するPTFEは、架橋されていないことが好ましい。
【0083】
本開示のPTFE粉末を構成するPTFEは、本開示の製造方法におけるPTFEと同様の組成及び物性を有するものであってよい。
【0084】
本開示のPTFE粉末を構成するPTFEは、成形後の物性や添加剤としての耐摩耗性、耐熱性を考慮すると、溶融流動性を示さないことが好ましい。溶融流動性を示さないとは、粒子を加熱し融点を超えても粒子形状を維持していることを意味する。上記PTFEが溶融流動性を示さないことは、ホットステージを備える顕微鏡等で観察することで確認できる。
【0085】
本開示のPTFE粉末は、更に、充填材を含んでもよい。
上記充填材としては、例えば、ガラス繊維、ガラスビーズ、炭素繊維、球状カーボン、カーボンブラック、グラファイト、シリカ、アルミナ、マイカ、炭化珪素、窒化硼素、酸化チタン、酸化ビスマス、酸化コバルト、二硫化モリブデン、ブロンズ、金、銀、銅、及び、ニッケルからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
なかでも、ガラス繊維、炭素繊維、カーボンブラック、及び、ブロンズからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0086】
本開示のPTFE粉末は、電離放射線の照射による脆化処理を受けていないことが好ましい。
【0087】
本開示のPTFE粉末は、上述した本開示の製造方法により、好適に製造することができる。
【0088】
本開示の製造方法により得られるPTFE粉末、及び、本開示のPTFE粉末は、成形材料として好適に使用し得る。上記PTFE粉末を成形する方法としては、特に限定されないが、圧縮成形、ラム押出成形、ホットコイニング成形、アイソスタティック成形等が挙げられる。なかでも、ラム押出成形、ホットコイニング成形が好ましい。
【0089】
本開示の製造方法により得られるPTFE粉末から得られる成形体、及び、本開示のPTFE粉末から得られる成形体は、ライニングシート、パッキン、ガスケット、ダイヤフラム弁、耐熱電線、車両モータ・発電機等の耐熱絶縁テープ、離型シート、シール材、ケーシング、スリーブ、ベロース、ホース、ピストンリング、バタフライバルブ、角槽、ウェハーキャリア等に好適に用いることができる。
【0090】
本開示の製造方法により得られるPTFE粉末、及び、本開示のPTFE粉末は、電離放射線の照射による脆化処理を伴わずに製造することができるため、耐摩耗性等、従来PTFEが有している特性を保持することができる。そのため、耐摩耗性や耐熱性等を付与するための添加剤としても好適に用いることができる。
【0091】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【実施例0092】
次に実施例を挙げて本開示を更に詳しく説明するが、本開示はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0093】
各種物性は下記方法にて測定した。
【0094】
(融点)
X-DSC7000(株式会社日立ハイテクサイエンス社製)を用い、10℃/分の昇温速度で示差走査熱量測定〔DSC〕を行って得られた融解熱曲線における極小点に対応する温度として求めた。1つの融解ピーク中に極小点が2つ以上ある場合は、それぞれを融点とした。
【0095】
(標準比重(SSG))
ASTM D4895に準拠して成形されたサンプルを用い、ASTM D 792に準拠した水置換法により測定した。
【0096】
(粒度分布)
ベックマン・コールター製レーザー回折式粒度分布測定装置(LS13 320)を用いて、乾式で、バキューム圧20mHOで測定を行ない、得られた粒度分布(体積基準)に基づいて求めた。粒度分布積算の10%に対応する粒子径をD10、50%に対応する粒子径をD50(メディアン径)、90%に対応する粒子径をD90とした。
【0097】
(直径/厚さ比)
粉末中のPTFE粒子を走査電子顕微鏡(SEM)で観察して画像処理を行い、その直径と厚さより求めた。20個の粒子について求め、その平均値を採用した。
【0098】
(L値)
φ120mmの金型に54gのPTFE粉末を投入し、ヒートプレス機により、370℃にて30分間保持し、PTFEを溶融状態にした後、3MPaの負荷を1分間与え圧縮成形し、金型を冷却することで得られた試験片を用い、コニカミノルタ製分光測色計CM-5を用いて、C光源、視野2°とし、SCI方式で反射光に対するLを測定して求めた。
得られたPTFE粉末のL値は、当該PTFE粉末をφ30mmのCM-5専用シャーレに充填し、コニカミノルタ製分光測色計CM-5を用いて、上記試験片と同様の条件で測定した。
【0099】
(L値の変化率(減少率))
上記の方法により測定した成形前のPTFE粉末のL値と、成形後の試験片のL値とを用いて、下記式よりL値の変化率を求めた。
の変化率(%)=|{(成形後の試験片のL)-(成形前のPTFE粉末のL)}/(成形前のPTFE粉末のL)×100|
【0100】
製造例1(PTFE粉末A-1の作製)
TFEモノマーのみの懸濁重合で得られたホモPTFEの粗粉末を粉砕機で粉砕して得られたPTFEモールディングパウダー(標準比重(SSG):2.159,融点:345.0℃)35gを使用して、φ100mmの金型にて30MPa、1分間の条件で圧縮成形し、370℃で3時間焼成することで成形品を得た。得られた成形品を粉砕機で粉砕しPTFE粉末A-1を得た。PTFE粉末A-1の融点は328℃、顕微鏡を用いて粒子の最大直径を確認したところ1~5mm、粉末のLは97であった。
【0101】
製造例2(PTFE粉末A-2の作製)
製造例1と同様にして成形品を得て、粉砕機で粉砕することでPTFE粉末A-2を得た。PTFE粉末A-2の融点は328℃、メディアン径は208μm、粉末のLは97であった。
【0102】
実施例1
PTFE粉末A-1を、投入口と排出口とを有し、回転可能な擂潰部の直径がφ250mmであり、上下の擂潰部内に水路があり水温調可能である石臼式粉砕機を用いて粉砕を行なった。粉砕機の臼に冷却水を流し、臼表面温度を接触温度計で測定し20℃になった状態で、上下の臼を接触させた状態(クリアランス0mm)で、臼の回転数を75rpmに設定し、PTFE粉末A-1を吐出量2.3kg/hで供給して粉砕操作を行ない、PTFE樹脂粉末B-1を得た。得られたPTFE粉末の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
【0103】
実施例2
粉砕工程を3パス繰り返したこと以外は、実施例1と同様にしてPTFE粉末を得た。得られたPTFE粉末の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
【0104】
実施例3
臼の回転数を120rpmに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてPTFE粉末を得た。得られたPTFE粉末の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
【0105】
実施例4
臼の設定温度を10℃に、臼の回転数を120rpmに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてPTFE粉末を得た。得られたPTFE粉末の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
【0106】
実施例5
臼の回転数を45rpmに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてPTFE粉末を得た。得られたPTFE粉末の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
【0107】
実施例6
臼の設定温度を25℃に、臼の回転数を45rpmに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてPTFE粉末を得た。得られたPTFE粉末の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
【0108】
比較例1
粉砕機として、投入口と排出口とを有し、回転可能な擂潰部の直径がφ250mmであり、上側の擂潰部内をヒーター加熱することができる石臼式粉砕機を用いて臼の設定温度を35℃に、吐出量を2.2kg/hに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてPTFE粉末を得た。得られたPTFE粉末の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
【0109】
比較例2
臼の設定温度を100℃に変更したこと以外は、比較例1と同様にしてPTFE粉末を得た。得られたPTFE粉末の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
【0110】
比較例3
臼の設定温度を150℃に変更したこと以外は、比較例1と同様にしてPTFE粉末を得た。得られたPTFE粉末の各種物性を測定した。結果を表1に示す。
【0111】
比較例4
PTFE粉末A-2 1kgと純水4kg、界面活性剤(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製カデナックスDM10D-W)10gを混ぜて被処理液を作製した。
投入口と排出口とを有し、回転可能な擂潰部の直径がφ250mmである石臼式粉砕機を用い、上下の臼表面が接するまで近づけたところをクリアランス0mmとして、上記被処理液を投入し、臼の回転を1500rpmにして粉砕を行ない、3パス処理することでPTFE粉末を含む懸濁液を得た。得られた懸濁液をろ過し、PTFE湿潤粉末を取り出し、150℃で15時間乾燥することでPTFE粉末を得た。得られたPTFE粉末の各種物性を測定した。結果を表2に示す。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】