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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180641
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】通信装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/04 20090101AFI20241219BHJP
   H04W 72/0457 20230101ALI20241219BHJP
   H04W 76/15 20180101ALI20241219BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20241219BHJP
   H04W 28/06 20090101ALI20241219BHJP
   H04W 72/566 20230101ALI20241219BHJP
【FI】
H04W28/04 110
H04W72/0457 110
H04W76/15
H04W84/12
H04W28/06 110
H04W72/566
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024182495
(22)【出願日】2024-10-18
(62)【分割の表示】P 2021515975の分割
【原出願日】2020-04-09
(31)【優先権主張番号】P 2019081245
(32)【優先日】2019-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 茂
(57)【要約】
【課題】複数の周波数帯域を用いた通信において、データの再送を効率的に行うことをできるようにする。
【解決手段】無線通信装置は、1つの送信先に対して複数の周波数帯域で送信するデータに、一連のシーケンス番号を設定し、複数の周波数帯域で前記データを送信し、複数の周波数帯域のうち、データの送信が最も早く終了した周波数帯域で、複数の周波数帯域で送信したデータに関する受領確認を示す受領確認情報を受信させる。本技術は、無線通信システムに適用することができる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの送信先に対して複数の周波数帯域で送信するデータに、一連のシーケンス番号を設定するシーケンス管理部と、
前記複数の周波数帯域で前記データを送信する無線送信部と、
前記複数の周波数帯域のうち、前記データの送信が最も早く終了した周波数帯域で、前記複数の周波数帯域で送信した前記データに関する受領確認を示す受領確認情報を受信させる通信制御部と
を備える無線通信装置。
【請求項2】
前記通信制御部は、前記複数の周波数帯域のうち、利用可能な状態となった周波数帯域で、所定の送信待ち時間が経過した後に、前記データを順次送信させる
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記シーケンス管理部は、前記データの優先順位に応じて、前記優先順位の高い前記データから、前記一連のシーケンス番号を設定する
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記シーケンス管理部は、前記データに、前記優先順位が同じデータ群における前記データの位置を表す情報を付加する
請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記シーケンス管理部は、前記データの位置が、前記データ群において最後である場合、前記データの位置を表す情報として、エンドフラグを付加する
請求項4に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記シーケンス管理部は、前記データの位置が、前記データ群において最初である場合、前記データの位置を表す情報として、スタートフラグを付加する
請求項4に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記シーケンス管理部は、前記データの位置が、前記データ群において中間である場合、前記データの位置を表す情報として、中間フラグを付加する
請求項4に記載の無線通信装置。
【請求項8】
所定の長さの前記データからなるA-MPDUフレームを構築するフレーム構築部をさらに備える
請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記フレーム構築部は、前記A-MPDUフレームが所定の長さに満たない場合、末尾にパディングを付加して、前記A-MPDUフレームを構築する
請求項8に記載の無線通信装置。
【請求項10】
前記フレーム構築部は、利用可能な状態となった周波数帯域で送信する前記データとして、前記優先順位が同じデータ群からなるA-MPDUフレームを構築する
請求項8に記載の無線通信装置。
【請求項11】
前記フレーム構築部は、利用可能な状態となった周波数帯域で送信する前記データとして、前記優先順位の高い未送信の前記データからなるA-MPDUフレームを構築する
請求項8に記載の無線通信装置。
【請求項12】
前記フレーム構築部は、利用可能な状態となった周波数帯域で送信する前記データとして、再送用のA-MPDUフレームを構築する
請求項8に記載の無線通信装置。
【請求項13】
前記通信制御部は、前記受領確認情報の要求を送信させる
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項14】
前記通信制御部は、前記複数の周波数帯域で送信した前記データであって、未到達の前記データを再送させる
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項15】
無線通信装置が、
1つの送信先に対して複数の周波数帯域で送信するデータに、一連のシーケンス番号を設定し、
前記複数の周波数帯域で前記データを送信し、
前記複数の周波数帯域のうち、前記データの送信が最も早く終了した周波数帯域で、前記複数の周波数帯域で送信した前記データに関する受領確認を示す受領確認情報を受信させる
無線通信方法。
【請求項16】
1つの送信先に対して複数の周波数帯域で送信されたデータを受信する無線受信部と、
前記複数の周波数帯域で受信した前記データに設定されている一連のシーケンス番号を管理するシーケンス管理部と、
前記データの受信が最も早く終了した周波数帯域で、前記複数の周波数帯域で受信した前記データに関する受領確認を示す受領確認情報を送信させる通信制御部と
を備える無線通信装置。
【請求項17】
前記シーケンス管理部は、前記複数の周波数帯域で受信した前記データに付加された優先順位が同じデータ群における前記データの位置を表す情報に応じて、前記データの前記優先順位を判別する
請求項16に記載の無線通信装置。
【請求項18】
前記データの位置を表す情報に応じて、受信した前記データを出力する出力管理部をさらに備える
請求項17に記載の無線通信装置。
【請求項19】
無線通信装置が、
1つの送信先に対して複数の周波数帯域で送信されたデータを受信し、
前記複数の周波数帯域で受信した前記データに設定されている一連のシーケンス番号を管理し、
前記データの受信が最も早く終了した周波数帯域で、前記複数の周波数帯域で受信した前記データに関する受領確認を示す受領確認情報を送信させる
無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、無線通信装置および方法に関し、特に、複数の周波数帯域を用いた通信において、データの再送を効率的に行うことをできるようにした無線通信装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、キャリアアグリケーション技術やチャネルボンディング技術として、複数の周波数帯域(バンド)を利用してデータを送信する技術が存在していた。その際、アクセス制御は、各周波数帯域でそれぞれ個別に実施されることで、一連のデータ伝送が行われていた。
【0003】
まず、データ送信前にどのデータをどの周波数帯域を利用して送信すべきかが判定される。送信すべき周波数帯域の判定後、データは、各周波数帯域において、周波数帯域毎の送信バッファに格納され、周波数帯域毎のシーケンス番号が設定されて管理されていた(特許文献1参照)。
【0004】
これにより、受領確認が、データ伝送後にその周波数帯域を利用して実施されることで、従来からのアクセス制御技術をそのまま流用できる構成となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-139595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、データ伝送量の増加とともに、アプリケーションが利用する情報量が増加し、複数の周波数帯域を併用してデータを転送する技術が利用されつつある。
【0007】
しかしながら、上述した技術によれば、周波数帯域毎にシーケンス番号が設定されて管理されることから、例えば、特定の周波数帯域において電波伝搬環境が悪化した場合に、他の周波数帯域を用いての受領確認やデータの再送を実施することが困難であった。
【0008】
本技術はこのような状況に鑑みてなされたものであり、複数の周波数帯域を用いた通信において、データの再送を効率的に行うことをできるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本技術の一側面の無線通信装置は、1つの送信先に対して複数の周波数帯域で送信するデータに、一連のシーケンス番号を設定するシーケンス管理部と、前記複数の周波数帯域で前記データを送信する無線送信部と、前記複数の周波数帯域のうち、前記データの送信が最も早く終了した周波数帯域で、前記複数の周波数帯域で送信した前記データに関する受領確認を示す受領確認情報を受信させる通信制御部とを備える。
【0010】
本技術の他の側面の無線通信装置は、1つの送信先に対して複数の周波数帯域で送信されたデータを受信する無線受信部と、前記複数の周波数帯域で受信した前記データに設定されている一連のシーケンス番号を管理するシーケンス管理部と、前記データの受信が最も早く終了した周波数帯域で、前記複数の周波数帯域で受信した前記データに関する受領確認を示す受領確認情報を送信させる通信制御部とを備える。
【0011】
本技術の一側面においては、1つの送信先に対して複数の周波数帯域で送信するデータに、一連のシーケンス番号が設定され、前記複数の周波数帯域で前記データが送信される。前記複数の周波数帯域のうち、前記データの送信が最も早く終了した周波数帯域で、前記複数の周波数帯域で送信した前記データに関する受領確認を示す受領確認情報が受信される。
【0012】
本技術の他の側面においては、1つの送信先に対して複数の周波数帯域で送信されたデータが受信され、前記複数の周波数帯域で受信したデータに設定されている一連のシーケンス番号が管理される。前記データの受信が最も早く終了した周波数帯域で、前記複数の周波数帯域で受信したデータに関する受領確認を示す受領確認情報が送信される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本技術の一実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
図2】従来の送信バッファの構成を示す図である。
図3】従来のデータ伝送のシーケンスを示す図である。
図4】無線通信システムによるデータのシーケンス番号の設定例を示す図である。
図5】無線通信システムにおけるデータ伝送のシーケンスを示す図である。
図6】無線通信システムにおけるデータ伝送の他のシーケンスを示す図である。
図7】通信装置の構成例を示すブロック図である。
図8】無線通信モジュールの構成例を示すブロック図である。
図9】無線通信システムの通信シーケンスを示す図である。
図10】本技術のフレームの構成例を示す図である。
図11】優先順位ブロックACK要求フレームの構成例を示す図である。
図12】優先順位ブロックACKフレームの構成例を示す図である。
図13】優先順位シーケンスの情報エレメントの構成例を示す図である。
図14】送信側の通信装置のデータ送信処理を説明するフローチャートである。
図15図14に続く、送信側の通信装置のデータ送信処理を説明するフローチャートである。
図16】受信側の通信装置のデータ受信処理を説明するフローチャートである。
図17】コンピュータの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本技術を実施するための形態について説明する。説明は以下の順序で行う。
1.無線通信システム
2.通信装置の構成
3.無線通信システムの動作
4.フレーム構成
5.通信装置の動作
6.その他
【0015】
<<1.無線通信システム>>
<無線通信システムの構成>
図1は、本技術の一実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
【0016】
図1の無線通信システムは、通信装置11-1乃至11-4からなる。通信装置11-1乃至11-4は、スマートフォン、携帯電話機、携帯端末、パーソナルコンピュータなどにより構成される。なお、以下、特に区別する必要がない場合、通信装置11-1乃至11-4は、通信装置11と称する。
【0017】
図1において、各通信装置11-1乃至11-4を表す丸を中心とした破線の円は、それぞれの通信装置11-1乃至11-4の無線通信の可能範囲を表している。
【0018】
通信装置11-1の無線通信の可能範囲には、通信装置11-2および11-3が存在する。通信装置11-1は、通信装置11-2および11-3の少なくともどちらか一方と無線通信によりデータの送受信を行うことができる。
【0019】
通信装置11-2の無線通信の可能範囲には、通信装置11-1および11-4が存在する。通信装置11-2は、通信装置11-1および11-4の少なくともどちらか一方と無線通信によりデータの送受信を行うことができる。
【0020】
通信装置11-1は、太線矢印に示されるように、自身の無線通信の可能範囲に存在する通信装置11-2に対して、複数の周波数帯域で、データを送信する。その際、通信装置11-1は、1つの送信先である通信装置11-2に対して複数の周波数帯域で送信するデータに、一連のシーケンス番号を設定する。また、通信装置11-1は、データの送信が最も早く終了した周波数帯域で、複数の周波数帯域で送信したデータに関する受領確認であるブロックACKを受信させる。
【0021】
通信装置11-2は、1つの送信先に対して複数の周波数帯域で送信されたデータを受信する。そして、通信装置11-2は、複数の周波数帯域で受信したデータに設定されている一連のシーケンス番号を管理し、データの受信が最も早く終了した周波数帯域で、複数の周波数帯域で受信したデータに関する受領確認であるブロックACKを送信する。
【0022】
このようにすることで、複数の周波数帯域を用いた通信において、データの受領確認を効率的に行うことができる。これにより、データの再送を効率的に行うことができる。
【0023】
<従来の概要>
ところで、近年、データ伝送量の増加とともに、アプリケーションが利用する情報量が増加し、複数の周波数帯域を併用してデータを伝送する技術が利用されつつある。
【0024】
無線LANシステムとしてIEEE802.11に準拠した無線通信規格においては、2.4GHz帯、5GHz帯、920MHz帯、および60GHz帯を利用した規格が定義されており、これら複数の周波数帯域を同時に運用してデータ伝送することが可能となっている。
【0025】
複数の周波数帯域を利用して複数のデータを送信する場合、それぞれの周波数帯域で独立して動作をするため、シーケンス番号は周波数帯域毎に別々に管理され、受領確認もこのシーケンス番号のみで把握する構成になっていた。
【0026】
これにより、一旦設定されたシーケンス番号は、他の周波数帯域のシーケンス番号と混同してしまうことから、これらのデータの受領確認は、その周波数帯域で閉じて実施される必要があった。
【0027】
また、IEEE802.11規格書に定義されているEnhanced Distributed Channel Access(EDCA)によるアクセス制御方法では、送信すべきデータの種類や属性情報Access Category(AC)に応じて、送信待ち時間に差異を設けて、優先順位の高いデータを優先的に送信させる技術が利用されていた。EDCAでは、また、Transmit Identifier(TID)毎にシーケンス番号が設定されていた。
【0028】
<従来の送信バッファの構成>
図2は、従来の送信バッファの構成を示す図である。
【0029】
図2の場合、送信バッファは、優先順位毎に構成され、各優先順位の送信バッファは、上述したEDCAで定義されたカテゴリに応じて、次のようにデータを格納していた。カテゴリは、優先順位が高い順に、Voice、Video、Best Effort、Back Groundから構成される。
【0030】
なお、図2においては、便宜上、4つの優先順位に応じて送信バッファが構成される例が示されているが、優先順位の数は、5つ以上で構成されるようにしてもよいし、3つ以下で構成されるようにしてもよい。
【0031】
優先順位#1の送信バッファ#1は、TIDとしてTID#1が割り当てられており、優先順位が最も高いカテゴリであるVoiceのデータ(AC_VO(Voice))を格納する。送信バッファ#1に格納されるデータには、TID#1として、P:1 D:1、P:1 D:2、P:1 D:3、P:1 D:4とシーケンス番号が順番に設定される。なお、P:1 D:1は、Priority(優先順位)が1番目であるデータ順が1番目のDataを表す。
【0032】
優先順位#2の送信バッファ#2は、TIDとしてTID#2が割り当てられており、優先順位が2番目に高いカテゴリであるVideoのデータ(AC_VI(Video))を格納する。送信バッファ#2に格納されるデータには、TID#2として、P:2 D:1、P:2 D:2、P:2 D:3、P:2 D:4とシーケンス番号が順番に設定される。
【0033】
優先順位#3の送信バッファ#3は、TIDとしてTID#3が割り当てられており、優先順位が2番目に低いカテゴリであるBest Effortのデータ(AC_BE(Best Effort))を格納する。送信バッファ#3に格納されるデータには、TID#3として、P:3 D:1、P:3 D:2、P:3 D:3、P:3 D:4とシーケンス番号が順番に設定される。
【0034】
優先順位#4の送信バッファ#4は、TIDとしてTID#4が割り当てられており、優先順位が最も低いカテゴリであるBack Groundのデータ(AC_BG(Back Ground))を格納する。送信バッファ#4に格納されるデータには、TID#4として、P:4 D:1、P:4 D:2、P:4 D:3、P:4 D:4とシーケンス番号が順番に設定される。
【0035】
以上のように、シーケンス番号がTID毎に設定されていたため、複数の周波数帯域で再送制御を実施する場合、TID毎に同じシーケンス番号が存在することになった。また、例えば、データの受領確認を示すブロックACKを要求する場合も、TID毎のビットマップを設定する必要があった。このように、従来、TID毎にシーケンス番号が設定されていたことから、これらのデータを複数の周波数帯域で送る場合、シーケンス管理が複雑になってしまっていた。
【0036】
<従来の伝送シーケンス>
図3は、従来の伝送シーケンスを示す図である。
【0037】
図3には、上から順に、Band1、Band2、Band3の各周波数帯域における伝送シーケンスが示されている。この伝送シーケンスには、従来のシーケンス番号による優先順位が用いられる。各周波数帯域のシーケンスを示すラインより上は、送信側の通信装置から送信されるデータを表している。各周波数帯域のシーケンスを示すラインより下は、受信側の通信装置から送信されるデータを表している。横軸方向は、時間的な動作の流れを示している。
【0038】
なお、図3では、3つの周波数帯域(バンド)を利用する例が示されているが、利用する周波数帯域の数は、4つ以上とされるようにしてもよいし、2以下とされるようにしてもよい。
【0039】
送信側の通信装置では、データが、図2で示された優先順位に応じてそれぞれバッファリングされている状態にある。時刻t1において、Band1が利用可能な状態となる。Band1で、所定の送信待ち時間wに他の通信装置からの信号が検出されなかった場合、アクセス権が獲得され、送信側の通信装置は、時刻t1+wにおいて、優先順位が最も高い最初のデータ(P:1 D:1)を、Band1で送信する。
【0040】
以降、送信側の通信装置は、最初に利用可能な状態となった周波数帯域であるBand1で、(P:1 D:1)と同一優先順位のデータを(P:1 D:2、P:1 D:3、P:1 D:4)の順番に送信する。P:1 D:1乃至P:1 D:4は、P:1 D:1、P:1 D:2、P:1 D:3、P:1 D:4の各MPDU(MAC Protocol Data Unit)からなる、アグリゲートされたA-MPDU(Aggregation MAC Protocol Data Unit)である。なお、P:1 D:1、P:1 D:2、P:1 D:3、P:1 D:4の各MPDUは、同一優先順位のデータ群の各データである。
【0041】
次に、時刻t2において、Band3が利用可能な状態となる。Band3で、所定の送信待ち時間wに他の通信装置からの信号が検出されなかった場合、アクセス権が獲得され、送信側の通信装置は、時刻t2+wにおいて、優先順位が2番目に高い最初のデータ(P:2 D:1)を、Band3で送信する。
【0042】
以降、送信側の通信装置は、2番目に利用可能な状態となった周波数帯域であるBand3で、(P:2 D:1)と同一優先順位のデータを(P:2 D:2、P:2 D:3、P:2 D:4)の順番に送信する。
【0043】
さらに、時刻t3において、Band2が利用可能な状態となる。Band2で、所定の送信待ち時間wに他の通信装置からの信号が検出されなかった場合、アクセス権が獲得され、送信側の通信装置は、時刻t3+wにおいて、優先順位が低い最初のデータ(P:3 D:1)を、Band2で送信する。
【0044】
以降、送信側の通信装置は、3番目に利用可能な状態となった周波数帯域であるBand2で、(P:3 D:1)と同一優先順位のデータを(P:3 D:2、P:3 D:3、P:3 D:4)の順番に送信する。
【0045】
ここで、データ伝送の終了時間について、高速の伝送レート(MCS)で送られる周波数帯域であるBand2では、図3に示されるように、伝送を最も遅く開始したにもかかわらず、他の周波数帯域であるBand1とBand3よりも早くデータ伝送が終了される。
【0046】
このように、送信開始時間が異なる上に、各周波数帯域の伝送路の状態に応じて、利用できる伝送レート(MCS)が異なることや、各データが可変長で構成されることなどから、データ伝送の終了時間は必ずしも一致しない。
【0047】
また、図3において、いくつかの送信されるデータに示されるErrorは、受信側の通信装置において、受信時にエラーが生じ、そのデータが正しく受領されてないことを示す。Band1では、最初と最後のデータ(P:1 D:1、P:1 D:4)が正しく受領されておらず、Band2では、中間のデータ(P:3 D:3)が正しく受領されておらず、Band3では、中間のデータ(P:2 D:2)が正しく受領されていない。
【0048】
さらに、受信側の通信装置は、各周波数帯域で、データの伝送後に、ブロックACK(BA)を送信する。BAは、受信側の通信装置によるデータの受領確認を示す情報である。BAを受信した送信側の通信装置は、各周波数帯域で、それぞれ未到達のデータを再送することができる。
【0049】
すなわち、データ伝送が最も早く終了した周波数帯域であるBand2で、データ伝送の終了後、送信されたデータのいくつかが正しく受信されていた場合、時刻t4において、受信側の通信装置は、BAを送信する。BAを受信した送信側の通信装置は、時刻t5において、データ(P:3 D:3)を再送する。データの再送が終了し、再送されたデータが正しく受信されていた場合、時刻t8において、受信側の通信装置は、Band2でBAを送信する。
【0050】
次に、データ伝送が終了した周波数帯域であるBand1で、データ伝送の終了後、送信されたデータのいくつかが正しく受信されていた場合、時刻t6において、受信側の通信装置は、BAを送信する。BAを受信した送信側の通信装置は、時刻t7において、データ(P:1 D:1)を再送し、時刻t9において、データ(P:1 D:4)を再送する。データの再送が終了し、再送されたデータが正しく受信されていた場合、時刻t10において、受信側の通信装置は、Band1でBAを送信する。
【0051】
Band1と同じタイミングでデータ伝送が終了した周波数帯域であるBand3で、データ伝送の終了後、送信されたデータのいくつかが正しく受信されていた場合、時刻t6において、受信側の通信装置は、BAを送信する。BAを受信した送信側の通信装置が、時刻t8において、データ(P:2 D:2)を再送する。データの再送が終了し、再送されたデータが正しく受信されていた場合、時刻t9において、受信側の通信装置は、Band3でBAを送信する。
【0052】
以上により、従来のデータ伝送のシーケンスが完了される。
【0053】
図3のデータ伝送のシーケンスの場合、送信が最も遅く開始された周波数帯域であるBand2ですべてのデータの伝送が最も早く終了され、送信が最も早く開始された周波数帯域であるBand1でデータの伝送が最も遅く終了されていた。
【0054】
以上のように、従来の場合、TID毎にシーケンス番号が設定され、各周波数帯域では、TID毎にデータが送信されていた。したがって、送信側の通信装置では、特定の周波数帯域において電波伝搬環境が悪化した場合に、他の周波数帯域を用いての受領確認やデータの再送を実施することが困難であった。
【0055】
すなわち、TID毎にシーケンス番号が設定され、各周波数帯域では、TID毎にデータが送信される。したがって、送信側の通信装置は、データを一旦送信した周波数帯域でしか、そのデータを再送することができなかった。
【0056】
送信側の通信装置は、特定の周波数帯域において電波伝搬環境が悪化した場合に、他の周波数帯域を用いての受領確認や、データの再送を実施することができなかった。したがって、送信側の通信装置は、最初にアクセス権を獲得した周波数帯域で優先順位の高いデータを送信しても、受領確認までに時間がかかり、再送が終了するまでに長い時間を要してしまっていた。
【0057】
また、利用可能な状態となり、アクセス権が獲得された周波数帯域での伝送路の状態によっては、低い伝送レートの符号化方式(MCS)が利用されてしまい、送信側の通信装置は、データの送信が終了するまでに時間を要してしまっていた。
【0058】
すなわち、複数の周波数帯域で、最初に利用可能になった周波数帯域でデータが送信されたとしても、後から利用可能になった周波数帯域で送られるデータの方が先に終了する可能性があった。
【0059】
このような場合、送信の待ち時間を制御することもできるが、送信の待ち時間を制御することにより、優先順位を設定したデータ伝送が実施できなくなってしまう。それは、ユーザが優先順位を設定してバッファにデータを格納したのにも関わらず、最終的に受信先に届けられる順番が変わってしまうからである。
【0060】
そこで、本技術においては、通信装置が、1つの送信先に対して複数の周波数帯域で送信するデータに、一連のシーケンス番号を設定し、複数の周波数帯域でデータを送信し、データ送信が最も早く終了した周波数帯域で、複数の周波数帯域で送信したデータに関する受領確認を示す情報を受信させるようにした。これにより、複数の周波数帯域を用いた通信において、データの受領確認または再送を効率的に行うことをできる。
【0061】
<本技術のシーケンス番号の設定例>
図4は、図1の無線通信システムによるデータのシーケンス番号の設定例を示す図である。
【0062】
図4においては、図2に示された送信バッファ#1乃至送信バッファ#3のうち、図1の無線通信システムの場合にバッファされるデータが示されている。重複する説明については適宜省略する。
【0063】
図1の無線通信システムは、1つの送信先に送信するデータのうち、優先順位が高いデータから一連のシーケンス番号(SN)を割り振る。
【0064】
例えば、優先順位が最も高いデータP:1から、一連のシーケンス番号が設定される。したがって、P:1 D:1には、SN:01が設定され、P:1 D:2には、SN:02が設定され、P:1 D:3には、SN:03が設定され、P:1 D:4には、SN:04が設定される。
【0065】
次に、優先順位が2番目に高いデータP:2に、データP:1から続く一連のシーケンス番号が設定される。したがって、P:2 D:1には、SN:05が設定され、P:2 D:2には、SN:06が設定され、P:2 D:3には、SN:07が設定され、P:2 D:4には、SN:08が設定される。
【0066】
最後に、優先順位が3番目に高いデータP:3に、データP:1とデータP:2から続く一連のシーケンス番号が設定される。したがって、P:3 D:1には、SN:09が設定され、P:3 D:2には、SN:10が設定され、P:3 D:3には、SN:11が設定され、P:3 D:4には、SN:12が設定される。
【0067】
さらに、P:1 D:1、P:2 D:1、P:3 D:1には、PSF(Priority Start Frame)が付加される。PSFは、同一の優先順位であるデータのうちの最初のデータを示す情報である。P:1 D:2、P:2 D:2、P:3 D:2、P:1 D:3、P:2 D:3、P:3 D:3には、PCF(Priority Center Frame)が付加される。PCFは、同一の優先順位であるデータのうちの中間のデータを示す情報である。
【0068】
P:1 D:4、P:2 D:4、P:3 D:4には、PEF(Priority End Frame)が付加される。PEFは、同一の優先順位であるデータのうちの最後(区切り)のデータを示す情報である。PSF、PCF、PEFは、同一の優先順位であるデータ群における各データの位置を示す情報、すなわち、同一優先順位におけるデータの位置情報である。
【0069】
なお、図4では、便宜上、優先順位が最も低いデータP:4は、データが格納されていない状態が示されているが、データP:4が送信バッファに格納されている場合、データP:4には、SN:13以降のシーケンス番号が設定される。
【0070】
以上のように、無線通信システムの通信装置が、1つの送信先に複数の周波数帯域で送信を行うデータに一連のシーケンス番号を設定し、一元管理するようにしたので、他の周波数帯域で送られたデータの受領確認を行うことが可能になる。これにより、複数の周波数帯域での受領確認が一度にできるので、再送制御を簡素化することができる。
【0071】
また、優先順位に応じて、一連のシーケンス番号が設定されるので、どの優先順位が高いのかを、シーケンス番号から判定することができる。
【0072】
<本技術の伝送シーケンス>
図5は、本技術の伝送シーケンスを示す図である。
【0073】
図5の伝送シーケンスは、上述した本技術の一連のシーケンス番号が用いられた優先順位による伝送シーケンスである。
【0074】
図5においては、Band2においてデータ伝送が最も早く終了するまでは、図3のシーケンスと基本的に同様のシーケンスである。重複する説明については適宜省略する。
【0075】
図5の場合、利用可能な状態になった周波数帯域で同一優先順位のデータ群を最後(区切り)のデータまで送信することで、Band1では、P:1 D:1乃至P:1 D:4の各MPDUが、アグリゲートされたA-MPDUとして送信される。Band2では、P:2 D:1乃至P:2 D:4の各MPDUが、アグリゲートされたA-MPDUとして送信される。Band3では、P:3 D:1乃至P:3 D:3の各MPDUが、アグリゲートされたA-MPDUとして送信される。
【0076】
送信側の通信装置11は、データ伝送が最も早く終了した周波数帯域であるBand2で、データ伝送の終了後、時刻t24において、本技術のブロックACK要求(BAR)を送信する。BARは、その時点で受信できたデータと受信できなかったデータを判別して、判別結果をデータの送信元に通知することを要求するフレームである。なお、以下、本技術のBARは、従来のBARと区別するため、優先順位ブロックACK要求(Priority BAR:PBAR)と称する。
【0077】
PBARは、例えば、1つの送信先に複数の周波数帯域で送信されたデータについて、そのシーケンス番号のブロックACK情報の返送の要求を含むことができる。この場合、PBARの送信により、送信中や未送信のデータを除く、P:1 D:1、P:1 D:2、P:1 D:3、P:2 D:1、P:2 D:2、P:2 D:3、P:3 D:1、P:3 D:2、P:3 D:3、P:3 D:4についてのブロックACKが要求される。
【0078】
または、PBARは、すべての周波数帯域で送信が予定されている、すべてのデータについて、そのシーケンス番号のブロックACK情報の返送の要求を含むことができる。
【0079】
この場合、PBARの送信により、まだ送信されていない未送信のデータも含めて、P:1 D:1乃至P:1 D:4、P:2 D:1乃至P:2 D:4、およびP:3 D:1乃至P:3 D:4のすべてについて、ブロックACKが要求される。すなわち、PBARの送信により、受信側の通信装置11に対して、受領済みのデータと未受領のデータ、および未受信のデータの応答を求めるようにすることができる。
【0080】
PBARを受信した場合、時刻t25で、受信側の通信装置11は、本技術のブロックACKを送信してくる。なお、以下、PBARに対して受信側の通信装置11から送信されてくる本技術のブロックACKを、従来のブロックACKと区別するために、以降、優先順位ブロックACK(Priority BA:PBA)と称する。PBAには、例えば、すべての周波数帯域のすべてのデータについて、シーケンス番号の受領確認情報が含まれる。
【0081】
受信側の通信装置11から送信されてくるBand2のPBAでは、P:1 D:2、P:1 D:3、P:2 D:1、P:3 D:1、P:3 D:2、P:3 D:3、P:3 D:4が受領済みであり、その他は、未受領として扱われる。
【0082】
PBAの受信により、送信側の通信装置11は、送信済みであるが、未到達のデータは、P:1 D:1、P:2 D:2、P:3 D:3となり、未受信、もしくは受信中のデータが、P:1 D:4、P:2 D:4ということが把握できる。
【0083】
これにより、送信側の通信装置11は、再利用可能な状態になった周波数帯域であるBand2で、その時点ですべての周波数帯域で未到達のデータである、P:1 D:1、P:2 D:2、P:3 D:3を再送することができる。図5の場合、Band2で、時刻t27において、P:1 D:1、P:2 D:2、P:3 D:3の再送が開始されており、再送の終了後、時刻t30において、再送データのBAが受信側から送信される。
【0084】
一方、受信中のデータであるP:1 D:4とP:2 D:4については、受信側の通信装置11でエラーが生じた場合、または、正しく受信された場合、各周波数帯域で、直後の時刻t26においてBAが送信される。これにより、送信側の通信装置11に、データの受信状態が通知されるため、送信側の通信装置11は、エラーとなったP:1 D:4の再送をBand3で行うことができる。
【0085】
図5においては、Band1とBand3でほぼ同時にBAが返送されているが、伝送エラーが発生しにくい周波数帯域であるBand3を利用して、データの再送を行うようにしてもよい。
【0086】
以上のようにして、受信側の通信装置11では、送信側の意図した優先順位に応じて、優先順位が高いデータから受領することができる。
【0087】
<本技術のデータ伝送の他のシーケンス>
図6は、本技術のデータ伝送の他のシーケンスを示す図である。
【0088】
図6の伝送シーケンスは、図5の伝送シーケンスと同様に、上述した本技術の一連のシーケンス番号が用いられた優先順位による伝送シーケンスである。
【0089】
図6においては、最初のP:1 D:1の送信のみが、図3のシーケンスと同じシーケンスである。重複する説明については適宜省略する。
【0090】
時刻t41において、Band1が利用可能な状態となる。Band1で、所定の送信待ち時間wに他の通信装置からの信号が検出されなかった場合、アクセス権が獲得され、送信側の通信装置11は、時刻t41+wにおいて、優先順位が最も高い最初のデータ(P:1 D:1)を、Band1で送信する。
【0091】
次に、時刻t42において、Band3が利用可能な状態となる。Band3で、所定の送信待ち時間wに他の通信装置からの信号が検出されなかった場合、アクセス権が獲得され、送信側の通信装置11は、時刻t42+wにおいて、優先順位が最も高い2番目のデータ(P:1 D:2)を、Band3で送信する。
【0092】
Band1で最初のデータ(P:1 D:1)の送信が終了した時点である時刻t44において、送信側の通信装置11は、優先順位が最も高い3番目のデータ(P:1 D:3)を、Band1で送信する。
【0093】
時刻t43において、Band2が利用可能な状態となる。Band2で、所定の送信待ち時間wに他の通信装置からの信号が検出されなかった場合、アクセス権が獲得され、送信側の通信装置11は、時刻t43+wにおいて、優先順位が最も高い4番目のデータ(P:1 D:4)を、Band2で送信する。
【0094】
Band3で最初のデータ(P:1 D:2)の送信が終了した時点である時刻t45において、送信側の通信装置11は、優先順位が2番目に高い最初のデータ(P:2 D:1)を、Band3で送信する。
【0095】
Band2で最初のデータ(P:1 D:4)の送信が終了した時点である時刻t46において、送信側の通信装置11は、優先順位が2番目に高い2番目のデータ(P:2 D:2)を、Band2で送信する。
【0096】
Band1で2番目のデータ(P:1 D:3)の送信が終了した時点である時刻t47において、送信側の通信装置11は、優先順位が2番目に高い3番目のデータ(P:2 D:3)を、Band1で送信する。
【0097】
Band2で2番目のデータ(P:2 D:2)の送信が終了した時点である時刻t48において、送信側の通信装置11は、優先順位が2番目に高い4番目のデータ(P:2 D:4)を、Band2で送信する。
【0098】
Band3で2番目のデータ(P:2 D:1)の送信が終了した時点である時刻t48において、送信側の通信装置11は、優先順位が3番目に高い最初のデータ(P:3 D:1)を、Band3で送信する。
【0099】
Band2で3番目のデータ(P:2 D:4)の送信が終了した時点である時刻t49において、送信側の通信装置11は、優先順位が3番目に高い2番目のデータ(P:3 D:2)を、Band2で送信する。
【0100】
Band1で3番目のデータ(P:2 D:3)の送信が終了した時点である時刻t50において、送信側の通信装置11は、優先順位が3番目に高い3番目のデータ(P:3 D:3)を、Band1で送信する。
【0101】
最後に、Band3で3番目のデータ(P:3 D:1)の送信が終了した時点である時刻t51において、送信側の通信装置11は、優先順位が3番目に高い4番目のデータ(P:3 D:4)を、Band3で送信する。
【0102】
以上のように、利用可能な状態になった周波数帯域で優先順位の高い未送信のデータを逐次送信することで、図6の場合、Band1では、P:1 D:1、P:1 D:3、P:2 D:3、P:3 D:3の各MPDUが、アグリゲートされたA-MPDUとして送信される。Band2では、P:1 D:4、P:2 D:2、P:2 D:4、P:3 D:2の各MPDUが、アグリゲートされたA-MPDUとして送信される。Band3では、P:1 D:2、P:2 D:1、P:3 D:1、P:3 D:4の各MPDUが、アグリゲートされたA-MPDUとして送信される。ここでは、それぞれ4つのMPDUがアグリゲートされているが、所定のサイズに満たない場合、A-MPDUは、必要に応じて末尾にパディングを付加して構成されてもよい。
【0103】
また、データ伝送が最も早く終了した周波数帯域であるBand2で、データ伝送の終了後、時刻t52において、受信側の通信装置11は、PBAを送信する。PBAには、例えば、すべての周波数帯域のすべてのデータについて、シーケンス番号の受領確認情報が含まれる。
【0104】
図6の場合、PBAは、まだ送信されていないデータも含めて、P:1 D:1乃至P:1 D:4、P:2 D:1乃至P:2 D:4、およびP:3 D:1乃至P:3 D:4のすべてについて、ブロックACKが要求されているとして、受領済みのデータと未受領のデータ、および未受信のデータの応答を含む。
【0105】
時刻t52で送信される、Band2の優先順位ブロックACK(PBA)では、P:1 D:2、P:1 D:3、P:2 D:1、P:2 D:3、P:2 D:4、P:3 D:1、P:3 D:2が受領済みであり、その他は、未受領として扱われる。
【0106】
PBAの受信により、送信側の通信装置11は、送信済みであるが、未到達のデータは、P:1 D:1、P:1 D:4、P:2 D:2となり、未受信、もしくは受信中のデータが、P:3 D:3、P:3 D:4ということが把握できる。
【0107】
その後、再利用可能な状態になった周波数帯域であるBand2において、その時点で未到達のデータの、P:1 D:1、P:1 D:4、P:2 D:2を再送することができる。このとき、Band2では、P:1 D:1、P:1 D:4、P:2 D:2の各MPDUが、アグリゲートされたA-MPDUとして送信される。図6では、時刻t53において、送信側の通信装置11は、P:1 D:1、P:1 D:4、P:2 D:2の再送を開始する。再送の終了後、時刻t58において、受信側の通信装置11は、再送データのBAを送信する。
【0108】
一方、受信中のデータであるP:3 D:3とP:3 D:4については、受信側の通信装置11でエラーが生じた場合、または、正しく受信された場合、直後の時刻t55においてBAが送信側に送信される。これにより、送信側の通信装置11に、データの受信状態が通知されるため、送信側の通信装置11は、エラーとなったP:1 D:4の再送をBand3で行うことができる。
【0109】
図6では、時刻t55において、Band1とBand3でほぼ同時にBAが返送されているが、時刻t56において、伝送エラーが発生しにくい周波数帯域であるBand3を利用して、エラーとなったP:3 D:3の再送を行うようにしてもよい。再送の終了後、時刻t57において、受信側の通信装置11は、再送データのBAを送信する。
【0110】
以上のように、受信側の通信装置11では、送信側の意図した優先順位に応じて、優先順位の高いデータから受領することができる。
【0111】
なお、図5および図6の伝送シーケンスにおいては、再送の受領確認の場合には、BAを送る例を説明したが、再送の受領確認の場合にもPBAを送るようにしてもよい。
【0112】
また、以下、図5および図6の伝送シーケンスを、本技術の優先順位シーケンス(Priority Sequence)とも称する。
【0113】
<<2.通信装置の構成>>
<通信装置の構成>
図7は、通信装置11の構成例を示すブロック図である。
【0114】
図7の通信装置11は、ネットワーク接続モジュール51、情報入力モジュール52、機器制御モジュール53、情報出力モジュール54、および無線通信モジュール55から構成される。
【0115】
ネットワーク接続モジュール51は、機器制御モジュール53の制御に従って、アクセスポイントの装置として動作する場合、インターネット網に接続するための通信モデム等の機能が実装されるように構成される。ネットワーク接続モジュール51は、公衆通信回線とインターネットサービスプロバイダを介してインターネットとの接続を実施する。
【0116】
情報入力モジュール52は、ユーザにより入力される指示を伝える情報を、機器制御モジュール53に出力する。情報入力モジュール52は、押しボタンやキーボード、タッチパネルなどで構成される。
【0117】
機器制御モジュール53は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などにより構成される。機器制御モジュール53は、ROMなどに記憶されているプログラムを実行し、上位層でアプリケーションを機能させ、ユーザの意図した通信装置11の各部を、通信装置またはアクセスポイントの装置として動作させる制御を行う。
【0118】
情報出力モジュール54は、機器制御モジュール53から供給される通信装置11の動作状態に関する情報、またはインターネットを介して得られた情報を出力する。情報出力モジュール54は、LEDや液晶パネルや有機ディスプレイなどの表示素子、または、音声や音楽を出力するスピーカなどからなる。情報出力モジュール54は、情報の、ユーザに向けて必要とされる表示や通知を行う。
【0119】
無線通信モジュール55は、無線通信を行うことにより、機器制御モジュール53から供給されるデータを、他の通信装置11に送信する。無線通信モジュール55は、無線通信を行うことにより、他の通信装置11から送信されてくるデータを受信し、受信したデータを機器制御モジュール53に出力する。
【0120】
<無線通信モジュールの構成>
図8は、無線通信モジュール55の構成例を示すブロック図である。
【0121】
無線通信モジュール55は、インタフェース101、優先順位判定部102、送信バッファ103、動作制御部104、送信シーケンス管理部105、通信制御部106、フレーム構築部107、およびアクセス制御部108からなる。また、無線通信モジュール55は、高周波処理部109-1乃至109-4、フレーム解析部110、受信シーケンス管理部111、受信バッファ112、および出力シーケンス管理部113からなる。
【0122】
インタフェース101は、機器制御モジュール53からのユーザから入力される情報やインターネット網から供給されるデータ、またはユーザに提供される情報を、所定の信号形式で交換するためのインタフェースとして機能する。
【0123】
インタフェース101は、機器制御モジュール53から供給されるデータを優先順位判定部102および動作制御部104に出力する。インタフェース101は、出力シーケンス管理部113から供給されるデータを、機器制御モジュール53に出力する。
【0124】
優先順位判定部102は、送信すべきデータの優先順位の設定を把握する。優先順位判定部102は、アクセスカテゴリ(AC)に応じて優先順位を判定し、優先順位に応じて、データを送信バッファ103に格納する。
【0125】
送信バッファ103は、ユーザから入力される情報や無線送信を行う信号を受け取った場合に、受け取った信号を一時的に格納する。送信バッファ103は、優先順位に応じてデータを格納する送信バッファ#1乃至#4から構成される。
【0126】
動作制御部104は、無線通信モジュール55の動作状態を一元管理する部である。動作制御部104は、インタフェース101、送信バッファ103、通信制御部106、および受信バッファ112から供給される情報を基に、データの送受信に関して、通信制御部106および受信バッファ112に必要な設定を逐次行う。
【0127】
送信シーケンス管理部105は、通信制御部106の指示に従って、送信するデータに対し、データの優先順位に応じて、一連の送信シーケンス番号を設定する。また、送信シーケンス管理部105は、優先順位の高い順に送信バッファ103からデータを取得し、フレーム構築部107に出力する。
【0128】
通信制御部106は、アクセス制御部108、フレーム解析部110、および受信シーケンス管理部111から供給される情報に基づいて、複数の周波数帯域でデータを送受信するための動作を管理する。通信制御部106は、それぞれの周波数帯域に対してフレームの構築やデータの送受信状態を把握し、本技術の優先順位シーケンスに基づいて、送信シーケンス管理部105およびフレーム構築部107を制御する。
【0129】
フレーム構築部107は、通信制御部106の指示に従って、データ(MPDU)フレーム、または複数のデータ(MPDU)からアグリゲートしたMPDU(A-MPDU)フレームを構築する。フレーム構築部107は、通信制御部106の指示に従って、PBARフレーム、BARフレーム、BAフレーム、およびPBAフレームなどを構築する。
【0130】
フレーム構築部107は、構築したフレームを、送信に使用する周波数帯域に対応する高周波処理部109-1乃至109-4に出力する。
【0131】
アクセス制御部108は、高周波処理部109-1乃至109-4からそれぞれ供給される信号検出状態を示す情報に基づいて、複数の周波数帯域におけるアクセス制御を一元的に管理する。アクセス制御部108は、いずれかの周波数帯域が利用可能になったことを示す情報を通信制御部106に出力する。
【0132】
高周波処理部109-1乃至109-4は、フレーム構築部107から供給されるフレームに所定の高周波処理を施し、複数の周波数帯域のうち、各周波数帯域における信号をそれぞれ構築する。高周波処理部109-1乃至109-4は、構築した信号を通信相手の通信装置11に送信する。
【0133】
高周波処理部109-1乃至109-4は、通信相手の通信装置11から送信されてきた各周波数帯域における信号をそれぞれ受信し、各周波数帯域における信号検出状態をそれぞれ把握する。高周波処理部109-1乃至109-4は、各周波数帯域における信号検出状態を示す情報をアクセス制御部108にそれぞれ出力する。高周波処理部109-1乃至109-4は、受信した信号に所定の処理を施してフレームを抽出し、フレーム解析部110にそれぞれ出力する。
【0134】
なお、以下、高周波処理部109-1乃至109-4を特に区別する必要がない場合、高周波処理部109と称する。高周波処理部109は、それぞれ所定のアンテナが付属されており、所定の周波数で無線信号が送信、受信される構成となっている。
【0135】
フレーム解析部110は、各周波数帯域で受信されたA-MPDUフレームから、ヘッダ部と個々のデータ(MPDU)を抽出する。フレーム解析部110は、抽出したヘッダ部に記される情報からフレームを解析する。フレーム解析部110は、抽出したヘッダ部に記される情報を通信制御部106に出力する。フレーム解析部110は、抽出したMPDUを復号し、受信シーケンス管理部111に出力する。
【0136】
受信シーケンス管理部111は、フレーム解析部110から供給されるMPDUからシーケンス番号などのパラメータを抽出し、管理する。受信シーケンス管理部111は、正しく受信したMPDUを判別し、正しく受信したMPDUの受領確認であるPBAやBAを生成する。受信シーケンス管理部111は、抽出したパラメータ、および生成したPBAやBAを通信制御部106に出力する。
【0137】
受信シーケンス管理部111は、図4を参照して上述したMPDUのスタートフラグ(PSF)、中間フラグ(PCF)、および、エンドフラグ(PEF)を確認して、それぞれの優先順位に応じてデータを収集し、受信バッファ112にMPDUを格納する。
【0138】
受信バッファ112は、収集したデータ(MPDU)を優先順位に応じて格納する。なお、送信シーケンス番号に応じて優先順位が決められているので、出力シーケンス管理部113においては、シーケンス番号の順番に応じて優先順位が把握される。
【0139】
出力シーケンス管理部113は、受信バッファ112に所定の優先順位毎のデータが格納された場合、インタフェース101を介して、情報出力モジュール54や通信装置11に接続される機器に出力する制御を行う。
【0140】
なお、通信装置11においては、図7のモジュールのうち、必要とされるモジュールのみで構成されるようにしてもよいし、不要なモジュールは簡素化されるか、または、組み込まれない構成とするようにしてもよい。
【0141】
<<3.無線通信システムの動作>>
<無線通信システムの通信シーケンス>
図9は、図1の無線通信システムの通信シーケンスを示す図である。
【0142】
図9では、通信装置11-1は、送信側の通信装置であり、通信端末としてなる。通信装置11-2は、受信側の通信装置であり、アクセスポイントの装置としてなる。通信装置11-1および11-2は、Band#1乃至Band#3でそれぞれ示される周波数帯域#1乃至周波数帯域#3を用いて、本技術の優先順位シーケンスに基づく通信を行う。
【0143】
通信装置11-1は、ステップS11において、アソシエーション要求(Association Request)フレームを通信装置11-2に送信し、アソシエーションを行う。アソシエーションは、通信端末が無線ネットワークに参入するための手続きである。アソシエーション要求フレームは、通信端末が無線ネットワークに参入するためのフレームである。アソシエーション要求フレームは、例えば、周波数帯域#1で送信される。
【0144】
その際、通信装置11-1は、優先順位シーケンスの情報エレメント(Priority Sequence IE)を、アソシエーション要求フレームに含めて送信する。優先順位シーケンスの情報エレメントは、このようにアソシエーション時にアクセスポイントの装置と通信端末の間で、図5または図6で上述した優先順位シーケンスの設定や利用する複数の周波数帯域の情報などを交換するための情報である。
【0145】
通信装置11-2は、ステップS51において、通信装置11-1から周波数帯域#1を用いて送信されてくるアソシエーション要求フレームを受信する。
【0146】
通信装置11-2は、ステップS52において、アソシエーション応答(Association Response)フレームを通信装置11-1に返送する。アソシエーション応答フレームは、アクセスポイントの装置から通信端末に無線ネットワークへの参入を許可するためのフレームである。
【0147】
その際、通信装置11-2は、双方で合意した優先順位シーケンスの情報エレメント(Priority Sequence IE)をアソシエーション応答フレームに含めて送信する。
【0148】
通信装置11-1は、ステップS12において、通信装置11-2から周波数帯域#1を用いて送信されてくるアソシエーション応答フレームを受信する。
【0149】
これにより、周波数帯域#1乃至#3が利用可能な状態である場合、それぞれの周波数帯域で利用するチャンネルが特定されて、それぞれ動作の設定が行われる。
【0150】
これ以降、通信端末とアクセスポイントの装置は、それぞれが送信側と受信側となって、本技術の優先順位シーケンスに基づく通信を実施し、その受領確認ためのPriority Block ACK(PBA)フレームの返送を実施する。
【0151】
例えば、周波数帯域#1乃至#3の順に利用可能な状態になる場合、通信装置11-1は、ステップS13において、周波数帯域#1で、本技術の優先順位シーケンスによるA-MPDU(Priority Sequence)フレームを通信装置11-2に送信する。
【0152】
通信装置11-2は、ステップS53において、通信装置11-1から周波数帯域#1で送信されてくるA-MPDU(Priority Sequence)フレームを受信する。通信装置11-2は、ステップS54において、A-MPDU(Priority Sequence)の受領確認のためのPBAフレームを周波数帯域#1で通信装置11-1に送信する。
【0153】
通信装置11-1は、ステップS14において、通信装置11-2から周波数帯域#1で送信されてくるPBAフレームを受信する。通信装置11-1は、ステップS15において、周波数帯域#2で、A-MPDU(Priority Sequence)フレームを通信装置11-2に送信する。
【0154】
通信装置11-2は、ステップS55において、通信装置11-1から周波数帯域#2で送信されてくるA-MPDU(Priority Sequence)フレームを受信する。通信装置11-2は、ステップS56において、A-MPDU(Priority Sequence)の受領確認のためのPBAフレームを周波数帯域#2で通信装置11-1に送信する。
【0155】
通信装置11-1は、ステップS16において、通信装置11-2から周波数帯域#2で送信されてくるPBAフレームを受信する。通信装置11-1は、ステップS17において、周波数帯域#3で、A-MPDU(Priority Sequence)フレームを通信装置11-2に送信する。
【0156】
通信装置11-2は、ステップS57において、通信装置11-1から周波数帯域#3で送信されてくるA-MPDU(Priority Sequence)フレームを受信する。通信装置11-2は、ステップS58において、A-MPDU(Priority Sequence)の受領確認のためのPBAフレームを周波数帯域#3で通信装置11-1に送信する。
【0157】
通信装置11-1は、ステップS18において、通信装置11-2から周波数帯域#3で送信されてくるPBAフレームを受信する。
【0158】
一方、アクセスポイントである通信装置11-2は、ステップS59において、周波数帯域#1で、A-MPDU(Priority Sequence)フレームを通信装置11-1に送信する。
【0159】
通信装置11-1は、ステップS19において、通信装置11-2から周波数帯域#1で送信されてくるA-MPDU(Priority Sequence)フレームを受信する。通信装置11-1は、ステップS20において、A-MPDU(Priority Sequence)の受領確認のためのPBAフレームを周波数帯域#1で通信装置11-2に送信する。
【0160】
通信装置11-2は、ステップS60において、通信装置11-1から周波数帯域#1で送信されてくるPBAフレームを受信する。通信装置11-2は、ステップS61において、周波数帯域#2で、A-MPDU(Priority Sequence)フレームを通信装置11-1に送信する。
【0161】
通信装置11-1は、ステップS21において、通信装置11-2から周波数帯域#2で送信されてくるA-MPDU(Priority Sequence)フレームを受信する。通信装置11-1は、ステップS22において、A-MPDU(Priority Sequence)の受領確認のためのPBAフレームを周波数帯域#2で通信装置11-2に送信する。
【0162】
通信装置11-2は、ステップS62において、通信装置11-1から周波数帯域#2で送信されてくるPBAフレームを受信する。通信装置11-2は、ステップS63において、周波数帯域#3で、A-MPDU(Priority Sequence)フレームを通信装置11-1に送信する。
【0163】
通信装置11-1は、ステップS23において、通信装置11-2から周波数帯域#3で送信されてくるA-MPDU(Priority Sequence)フレームを受信する。通信装置11-1は、ステップS24において、A-MPDU(Priority Sequence)の受領確認のためのPBAフレームを周波数帯域#3で通信装置11-2に送信する。
【0164】
通信装置11-2は、ステップS64において、通信装置11-1から周波数帯域#3で送信されてくるPBAフレームを受信する。
【0165】
以上のような通信シーケンスが、通信端末とアクセスポイントの装置の間で行われる。
【0166】
<<4.フレーム構成>>
<フレームの構成例>
図10は、本技術のフレームの構成例を示す図である。
【0167】
図10に示すフレームは、プリアンブル(Preamble)と、A-MPDUフレームからなるデータフレームとで構成される。なお、図10のフレームのうち、ハッチング部分で示される情報が、本技術に係る情報である。
【0168】
プリアンブルは、L-STF、L-LTF、L-SIG、RL-SIG、HE-SIG-A、HE-SIG-B、HE-STF、およびHE-LTF群から構成される。
【0169】
HE-SIG-Aには、パラメータとして、本技術の優先順位シーケンスが実行されることを識別するPriority Sequence Identifierビットが含まれる。
【0170】
このPriority Sequence Identifierビットを確認することで、受信側の通信装置11は、優先順位の異なるデータ(MPDU)が複数の周波数帯域で伝送されることや、A-MPDUに異なる優先順位のMPDUが含まれていることを認識することができる。
【0171】
HE-SIG-Bには、パラメータとして、優先順位に応じて複数の周波数帯域での一連のシーケンス番号を管理する上で必要とされるPriority Sequence Infoが含まれる。Priority Sequence Infoには、複数の周波数帯域を示す情報など、各種のパラメータが記載されている。
【0172】
図10の場合、A-MPDUフレームとして構成されるA-MPDUは、MPDU1乃至MPDU8の8個のMPDUがアグリゲートして構成されている。A-MPDUは、必要に応じてEOF Paddingが付加されて構成される。
【0173】
A-MPDUサブフレームとして構成される個々のMPDUは、所定のデリミタ(Delimiter)と、必要に応じて末尾のPaddingが付加されて構成される。MPDUは、所定のMACヘッダにデータペイロード(Data Payload)およびフレームチェックシーケンス(FCS)から構成される。なお、A-MPDUフレームは、所定の長さに満たない場合、必要に応じてMPDUの末尾にパディングPad部分が付加される。
【0174】
デリミタは、MPDU Length、Priority Start Flagと、Priority END Flagと、Priority Continue Flagとのフラグ情報、およびPriorityから構成される。
【0175】
MPDU Lengthは、MPDUの長さを示す情報である。Priority Start Flagは、同一の優先順位であるデータ群において最初のデータであることを示すフラグである。Priority END Flagは、同一の優先順位であるデータ群において最後のデータであることを示すフラグである。Priority Continue Flagは、同一の優先順位であるデータ群において中間のデータであることを示すフラグである。Priorityには、必要に応じて優先順位が記載される。これらのフラグにより、受信側の通信装置11は、どのデータまでが同一優先順位であるのか、優先順位毎の区切りを把握することができる。また、これらの状態を2ビットで表現する実施例として、1つのMPDUでデータが構成される場合や、本技術の構成に対応していないことを識別できる4値として表現する構成としてもよい。
【0176】
MACヘッダ(Header)は、Frame Control、Duration、Address1乃至Address4、Sequence Control、Qos Control、およびNew HT Controlなどからなる。
【0177】
Frame Controlは、フレームの形式を示す情報である。Durationは、持続時間を示す情報である。Address1乃至Address4は、通信装置を適宜指定するための情報である。Sequence Controlは、シーケンス番号などを示す情報である。Qos Controlは、Qos パラメータを示す情報である。New HT Controlは、高速伝送パラメータを示す情報である。
【0178】
なお、図10では、デリミタに、本技術の優先順位シーケンスに係る情報である、Priority Start Flagと、Priority END Flagと、Priority Continue Flag、およびPriorityが記載される例が示されている。本技術の優先順位シーケンスに係る情報が記載される場所は、デリミタに限らない。本技術の優先順位シーケンスに係る情報は、例えば、New HT Controlなどに適宜記載されてもよい。
【0179】
<ブロックACK要求フレームの構成例>
図11は、本技術の優先順位ブロックACK要求フレーム(Priority BAR Frame)の構成例を示す図である。
【0180】
図11に示す優先順位ブロックACK要求フレームは、Frame Control、Duration、Transmit Address(TA)、Receive Address(RA)、BAR Control、BAR Information、Priority Sequence Info、Priority End Flags MAP、およびFCSから構成される。なお、図11の優先順位ブロックACK要求フレームのうち、ハッチング部分で示される情報であるPriority Sequence InfoとPriority End Flags MAPが、本技術の優先順位シーケンスに係る情報である。
【0181】
Frame Controlは、フレームの形式を示す情報である。Durationは、持続時間を示す情報である。Transmit Addressは、送信側の通信装置11を指定する情報である。Receive Addressは、受信側の通信装置11を指定する情報である。BAR Controlは、ブロックACKを要求する制御情報を示す情報である。BAR Informationは、ブロックACKを要求する開始シーケンス番号の情報や、要求する範囲を示すビットマップ情報から構成される情報である。
【0182】
Priority Sequence Info(優先順位シーケンス情報)は、優先順位に応じて複数の周波数帯域の一連のシーケンス番号を管理する上で必要とされる各種のパラメータで構成される情報である。Priority Sequence Infoには、例えば、利用する複数の周波数帯域を示す情報などが含まれる。Priority End Flags MAPは、同一の優先順位であるデータ群における最後(区切り)のデータの一覧を示す情報である。FCSは、誤り検出のためのフレームチェックシーケンスである。
【0183】
<ブロックACKフレームの構成例>
図12は、本技術の優先順位ブロックACKフレーム(Priority ACK Frame)の構成例を示す図である。
【0184】
図12に示す優先順位ブロックACKフレームのうち、BAR ControlとBAR Informationの替わりに、BA ControlとBA Informationが配置されただけであり、その他は、図11と同様の構成である。重複する説明については適宜省略する。
【0185】
優先順位ブロックACKフレームは、Frame Control、Duration、Transmit Address(TA)、Receive Address(RA)、BA Control、BA Information、Priority Sequence Info、Priority End Flags MAP、およびFCSから構成される。
【0186】
BA Controlは、ブロックACKを送信する制御情報を示す情報である。BA Informationは、ブロックACKを送信する開始シーケンス番号の情報や、要求する範囲を示すビットマップ情報から構成される情報である。
【0187】
<優先順位シーケンスの情報エレメントの構成例>
図13は、本技術の優先順位シーケンスの情報エレメント(Priority Sequence Information Element)の構成例を示す図である。
【0188】
図13に示す優先順位シーケンスの情報エレメントは、Element ID、Length、Priority Type、Operation Band、Transmit Back-off Time、Sequence No. Management、A-MPDU Max Length、およびFCSから構成される。
【0189】
Element IDは、優先順位シーケンスの情報エレメントであることを識別する情報である。Lengthは、情報の長さを示す情報である。Priority Typeは、本技術に係る優先順位の形式を指定するための情報である。Operation Bandは、利用する周波数帯域を指定する情報である。
【0190】
Transmit Back-off Timeは、優先順位に応じて設定される送信待ち時間である。Sequence No. Managementは、シーケンス番号の管理方法を定義する情報である。A-MPDU Max Lengthは、アグリゲートするA-MPDUの最大長を示す情報である。FCSは、誤り検出のためのフレームチェックシーケンスである。
【0191】
<<5.通信装置の動作>>
<送信側の通信装置の動作>
図14および図15は、送信側の通信装置11-1のデータ送信処理を説明するフローチャートである。
【0192】
図14では、事前にインタフェース101を介して、上位層のアプリケーションから送信すべきデータを受領した場合に、送信すべきデータが優先順位に応じて送信バッファ103に格納されているものとする。そして、送信バッファ103において所定の情報量が格納された場合、一連のデータを送信する動作が開始される構成となる。
【0193】
ステップS101において、送信シーケンス管理部105は、データの優先順位に応じて、一連のシーケンス番号を設定する。送信シーケンス管理部105によりシーケンス番号が設定されたデータは、フレーム構築部107に供給される。
【0194】
ステップS102において、通信制御部106は、送信待ち時間を設定する。
【0195】
ステップS103において、通信制御部106は、複数の周波数帯域での動作であるか否かを判定する。複数の周波数帯域での動作であるとステップS103において判定された場合、処理は、ステップS104に進む。
【0196】
ステップS104において、通信制御部106は、各周波数帯域のA-MPDUフレームのパラメータ(最大長や伝送レート(MCS)など)を設定する。
【0197】
ステップS105において、通信制御部106は、ステップS102で設定した待ち時間が経過するまで待機している。設定した待ち時間が経過したとステップS105において判定された場合、処理は、ステップS106に進む。
【0198】
ステップS106において、通信制御部106は、アクセス制御部108から供給される複数の周波数帯域の状態を示す情報に基づいて、利用可能な状態の周波数帯域があると判定するまで待機している。利用可能な状態の周波数帯域があるとステップS106において判定された場合、処理は、ステップS107に進む。
【0199】
ステップS107において、通信制御部106は、アクセス制御部108から供給される複数の周波数帯域の状態を示す情報に基づいて、送信に利用する周波数帯域を特定する。
【0200】
ステップS108において、通信制御部106は、A-MPDUの構成が可能であるか否かを判定する。A-MPDUの構成が可能であるとステップS108において判定された場合、処理は、ステップS109に進む。
【0201】
ステップS109において、送信シーケンス管理部105は、優先順位の高い順に送信バッファ103からデータ(MPDU)を取得し、フレーム構築部107に出力する。
【0202】
ステップS110において、フレーム構築部107は、送信シーケンス管理部105から供給されるデータ(MPDU)を用いて、A-MPDU(を構成するMPDU)フレームまたはMPDU(単体)フレームを構築する。フレーム構築部107は、構築したA-MPDUフレームまたはMPDUフレームを、送信に利用する周波数帯域に対応する高周波処理部109に出力する。これにより、送信に利用する周波数帯域に対応する高周波処理部109からA-MPDUフレームまたはMPDUフレームが通信相手の通信装置11-2に送信される。
【0203】
ここで、図5の例の場合、優先順位が同一のMPDUからなるA-MPDUが構成されるので、ステップS110では、A-MPDUフレームを送信する動作が、対応する周波数帯域の送信動作として設定される。図6の例の場合、優先順位が高いMPDUを送信する動作が、対応する周波数帯域での逐次送信動作として設定される。
【0204】
ステップS111において、通信制御部106は、所定のサイズに至るA-MPDUを構成するMPDUの残りがあるか否かを判定する。MPDUの残りがあるとステップS111において判定された場合、処理は、ステップS106に戻る。
【0205】
一方、複数の周波数帯域での動作ではないとステップS103において判定された場合、処理は、ステップS112に進む。
【0206】
ステップS112において、送信シーケンス管理部105は、シーケンス番号の順にデータ(MPDU)を取得し、フレーム構築部107に出力する。
【0207】
ステップS113において、フレーム構築部107は、A-MPDUを構築するか否かを判定する。A-MPDUの長さが所定の長さになっていない場合、A-MPDUをまだ構築すると判定され、処理は、ステップS114に進む。
【0208】
ステップS114において、フレーム構築部107は、A-MPDUフレームを構築する。A-MPDUフレームの構築後、ステップS112に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
【0209】
A-MPDUの長さが所定の長さになった場合、または、MPDU単体で送信する場合、A-MPDUを構築しないと判定され、処理は、ステップS115に進む。
【0210】
ステップS108においてA-MPDUの構成が可能ではないと判定された場合も、処理は、ステップS115に進む。
【0211】
ステップS115において、フレーム構築部107は、所定の周波数帯域に対応する高周波処理部109に出力する。これにより、所定の周波数帯域に対応する高周波処理部109からデータフレームとして、A-MPDUフレームまたはMPDUフレームが送信される。
【0212】
ステップS115の送信後、処理は、図15のステップS116に進む。また、ステップS111においてMPDUの残りがないと判定された場合は、必要に応じてA-MPDUフレームにパディングPadを挿入して、処理は、ステップS116に進む。
【0213】
ステップS116において、通信制御部106は、優先順位ブロックACK要求(PBAR)の送信が必要であるか否かを判定する。優先順位ブロックACK要求(PBAR)の送信が必要であると判定された場合、処理は、ステップS117に進む。
【0214】
ステップS117において、送信シーケンス管理部105は、通信制御部106の指示に従って、送信バッファ103から、その時点で送信済みのMPDU情報を取得し、取得した送信済みMPDU情報をフレーム構築部107に出力する。
【0215】
ステップS118において、フレーム構築部107は、送信済みMPDU情報が記載された優先順位ブロックACK要求(PBAR)フレームを構築し、送信が最も早く終了した周波数帯域に対応する高周波処理部109に出力する。これにより、送信が最も早く終了した周波数帯域で、送信済みMPDU情報が記載された優先順位ブロック要求(PBAR)フレームが送信される。PBARフレームの送信後、処理は、ステップS119に進む。
【0216】
なお、送信が予定されている一連のシーケンス番号までの情報が取得されるため、送信が予定されている一連のシーケンス番号までの情報が記載された優先順位ブロックACK要求(PBAR)フレームが送信されるようにしてもよい。
【0217】
一方、優先順位ブロックACK要求(PBAR)の送信が不要であると判定された場合、ステップS117およびS118をスキップし、処理は、ステップS119に進む。
【0218】
ステップS119において、フレーム解析部110は、PBAまたはBAの受信があったか否かを判定する。ステップS119においてPBAおよびBAの受信がないと判定された場合、ステップS116に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
【0219】
高周波処理部109から自身宛のACKフレームが供給された場合、ステップS119においてPBAまたはBAの受信があったと判定され、処理は、ステップS120に進む。
【0220】
ステップS120において、受信シーケンス管理部111は、フレーム解析部110により解析された自身宛のACKフレームから、受領済みのシーケンス番号を取得し、通信制御部106に出力する。また、通信制御部106は、送信シーケンス管理部105から自身の送信済みのシーケンス番号を取得する。
【0221】
ステップS121において、通信制御部106は、受領済みのシーケンス番号と送信済みのシーケンス番号を参照して、未到達のデータがあるか否かを判定する。未到達のデータがあるとステップS121において判定された場合、処理は、ステップS122に進む。
【0222】
ステップS122において、通信制御部106は、データの再送が必要であるか否かを判定する。データの再送が必要であるとステップS122において判定された場合、処理は、ステップS123に進む。
【0223】
ステップS123において、通信制御部106は、未到達のデータ(MPDU)を特定する。未到達のデータの特定後、図14のステップS102に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
【0224】
一方、ステップS121において未到達のデータがないと判定された場合、または、ステップS122において、データの再送が必要ではないと判定された場合、通信装置11-1のデータ送信処理は終了となる。
【0225】
<受信側の通信装置の動作>
図16は、受信側の通信装置11-2のデータ受信処理を説明するフローチャートである。
【0226】
図16の場合、送信側の通信装置11-1からいずれかの周波数帯域で送信されてきたデータフレームが、対応する高周波処理部109において、所定のプリアンブルパターンに従った構成で順次受信される。
【0227】
高周波処理部109は、受信したデータフレームをフレーム解析部110に出力する。
【0228】
ステップS201において、フレーム解析部110は、高周波処理部109から供給されるデータフレームを解析し、自身宛のデータフレームを受信したか否かを判定する。自身宛のデータフレームを受信したとステップS201において判定された場合、処理は、ステップS202に進む。
【0229】
ステップS202において、フレーム解析部110は、MPDUフレームからヘッダ部とデリミタ部分と個々のデータ(MPDU)とを抽出し、MPDUの復号処理を行う。フレーム解析部110は、抽出したヘッダ部に記される情報を通信制御部106に出力する。フレーム解析部110は、復号したMPDUを、受信シーケンス管理部111に出力する。
【0230】
ステップS203において、受信シーケンス管理部111は、MPDUを正しく受信したか否かを判定する。MPDUを正しく受信したとステップS203において判定された場合、処理は、ステップS204に進む。
【0231】
ステップS204において、受信シーケンス管理部111は、MPDUのスタートフラグ(PSF)、中間フラグ(PCF)、および、エンドフラグ(PEF)を確認して、MPDUの優先順位に応じてデータを収集し、MPDUを受信バッファ112に格納する。
【0232】
ステップS205において、受信シーケンス管理部111は、MPDUからシーケンス番号を抽出する。
【0233】
ステップS206において、受信シーケンス管理部111は、抽出したシーケンス番号のACK情報を生成する。
【0234】
ステップS207において、出力シーケンス管理部113は、デリミタのフラグ情報から、PSF乃至PEFが揃ったか否かを判定する。PSF乃至PEFが揃ったとステップS207において判定された場合、処理はステップS208に進む。
【0235】
ステップS208において、出力シーケンス管理部123は、PSF乃至PEFが揃った一連のデータを、インタフェース101に出力する。
【0236】
一方、ステップS203においてMPDUを正常に受信していないと判定された場合、処理は、ステップS204乃至S208をスキップし、ステップS209に進む。すなわち、ACK情報は生成されない。
【0237】
また、ステップS207においてPSF乃至PEFが揃っていないと判定された場合、処理は、ステップS208をスキップし、ステップS209に進む。
【0238】
ステップS209において、フレーム解析部110は、A-MPDUのLength情報を取得する。
【0239】
ステップS210において、フレーム解析部110は、A-MPDUのLength情報に基づいて、A-MPDUが継続するか否かを判定する。A-MPDUが継続すると判定された場合、ステップS202に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
【0240】
一方、ステップS201において、自身宛のデータフレームを受信していないと判定された場合、処理は、ステップS211に進む。
【0241】
ステップS211において、フレーム解析部110は、自身宛のBARフレームを受信したか否かを判定する。自身宛のBARフレームを受信していないとステップS211において判定された場合、ステップS201に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
【0242】
自身宛のBARフレームを受信したとステップS211において判定された場合、処理は、ステップS212に進む。
【0243】
ステップS212において、フレーム解析部110は、自身宛のBARフレームからパラメータを取得する。
【0244】
ステップS213において、フレーム解析部110は、自身宛のBARフレームが、本技術のPBARであるか否かを判定する。自身宛のBARフレームが、本技術のPBARであるとステップS213において判定される場合、ステップS214に進む。
【0245】
また、ステップS210において、A-MPDUが継続しないと判定された場合、処理は、ステップS214に進む。
【0246】
ステップS214において、フレーム解析部110は、自身宛のBARフレームから優先順位シーケンス情報(図11)を取得する。
【0247】
ステップS215において、フレーム解析部110は、優先順位シーケンス情報から利用する周波数帯域を示す情報を取得する。
【0248】
ステップS215の処理後、またはステップS213において本技術のPBARではないと判定された場合、処理は、ステップS216に進む。
【0249】
ステップS216において、フレーム解析部110は、自身宛のBARフレームから、開始シーケンス番号を取得する。
【0250】
ステップS217において、通信制御部106は、自身宛のBARフレームから、正しく受領済みになっているMPDUのACKビットマップ情報を取得する。
【0251】
ステップS218において、通信制御部106は、取得したACKビットマップ情報に基づいて、PBAまたはBAの情報を生成する。PBAまたはBAの情報は、通信制御部106からフレーム構築部107に供給される。
【0252】
ステップS219において、フレーム構築部107は、通信制御部106から供給されるPBAの情報に基づくPBAフレーム、またはBAの情報に基づき生成したBAフレームを送信する。
【0253】
ステップS220において、通信制御部106は、すべてのMPDUが完了したか否かを判定する。MPDUがまだ完了していないとステップS220において判定された場合、ステップS201に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
【0254】
すべてのMPDUが完了したとステップS220において判定された場合、通信装置11-2のデータ受信処理は終了とされる。
【0255】
<<6.その他>>
<効 果>
以上のように、本技術においては、1つの送信先に対して複数の周波数帯域で送信されるデータに対して、一連のシーケンス番号を設定するようにすることで、他の周波数帯域で送られたデータの受領確認を行うことが可能になる。
【0256】
また、他の周波数帯域で送信されたデータの受領確認を併せて行うことにより、他の周波数帯域でA-MPDUを送信中であっても、MPDU単位での受領確認を実施することができる。
【0257】
本技術によれば、優先順位に応じて、一連のシーケンス番号が設定されるので、どの優先順位が高いのかを、シーケンス番号から判定することができる。
【0258】
複数の周波数帯域でデータ(A-MPDU)を送信した後、送信が最も早く終了した周波数帯域で、受信済みのすべてのデータの受領確認情報を返送することで、その時点で受領できた、複数の周波数帯域のすべてのデータの受領状態を通知することができる。これにより、受領確認情報を各周波数帯域で送信せずとも、受領確認情報を効率的に収集できる。
【0259】
優先順位に応じてA-MPDUフレームを構成することで、特定の周波数帯域でアクセス権を獲得した場合に、優先順位の高いデータを先に送信開始することができる。
【0260】
複数の周波数帯域で、アクセス権を獲得した順に、その都度、優先順位の最も高いデータが送信されるので、受信側の通信装置においては、優先順位の高いデータをより早い段階で収集することができる。
【0261】
送信するデータに、同一優先順位における位置情報(フラグ)が含まれるので、受信側においても、どのデータまでが同一の優先順位のデータであるかを識別することができる。
【0262】
さらに、同一優先順位における位置情報に応じて、受領できた一連のデータをより早い段階で出力することができる。
【0263】
優先順位ブロックACK要求(PBAR)フレームにより、複数の周波数帯域で送信することが予定されているすべてのシーケンス番号についてACKの返送が要求されるので、複数の周波数帯域で送られるすべてのデータのシーケンス番号を受信側に伝えることができる。
【0264】
早い段階で複数の周波数帯域における未到達のデータを把握することができるので、優先順位の高いデータから優先的に再送を実施することができる。
【0265】
また、利用可能な状態となった周波数帯域で、データの優先順位に応じて、その都度、最も高い優先順位のデータでA-MPDUフレームが構成されるので、より優先順位の高いデータを早い段階で送信することができる。
【0266】
<コンピュータの構成例>
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0267】
図17は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0268】
CPU(Central Processing Unit)301、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303は、バス304により相互に接続されている。
【0269】
バス304には、さらに、入出力インタフェース305が接続されている。入出力インタフェース305には、キーボード、マウスなどよりなる入力部306、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部307が接続される。また、入出力インタフェース305には、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部308、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部309、リムーバブルメディア311を駆動するドライブ310が接続される。
【0270】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU301が、例えば、記憶部308に記憶されているプログラムを入出力インタフェース305及びバス304を介してRAM303にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0271】
CPU301が実行するプログラムは、例えばリムーバブルメディア311に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供され、記憶部308にインストールされる。
【0272】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0273】
なお、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0274】
また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0275】
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0276】
例えば、本技術は、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0277】
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0278】
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0279】
<構成の組み合わせ例>
本技術は、以下のような構成をとることもできる。
(1)
1つの送信先に対して複数の周波数帯域で送信するデータに、一連のシーケンス番号を設定するシーケンス管理部と、
前記複数の周波数帯域で前記データを送信する無線送信部と、
前記複数の周波数帯域のうち、前記データの送信が最も早く終了した周波数帯域で、前記複数の周波数帯域で送信した前記データに関する受領確認を示す受領確認情報を受信させる通信制御部と
を備える無線通信装置。
(2)
前記通信制御部は、前記複数の周波数帯域のうち、利用可能な状態となった周波数帯域で、所定の送信待ち時間が経過した後に、前記データを順次送信させる
前記(1)に記載の無線通信装置。
(3)
前記シーケンス管理部は、前記データの優先順位に応じて、前記優先順位の高い前記データから、前記一連のシーケンス番号を設定する
前記(1)または(2)に記載の無線通信装置。
(4)
前記シーケンス管理部は、前記データに、前記優先順位が同じデータ群における前記データの位置を表す情報を付加する
前記(3)に記載の無線通信装置。
(5)
前記シーケンス管理部は、前記データの位置が、前記データ群において最後である場合、前記データの位置を表す情報として、エンドフラグを付加する
前記(4)に記載の無線通信装置。
(6)
前記シーケンス管理部は、前記データの位置が、前記データ群において最初である場合、前記データの位置を表す情報として、スタートフラグを付加する
前記(4)に記載の無線通信装置。
(7)
前記シーケンス管理部は、前記データの位置が、前記データ群において中間である場合、前記データの位置を表す情報として、中間フラグを付加する
前記(4)に記載の無線通信装置。
(8)
所定の長さの前記データからなるA-MPDUフレームを構築するフレーム構築部をさらに備える
前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の無線通信装置。
(9)
前記フレーム構築部は、前記A-MPDUフレームが所定の長さに満たない場合、末尾にパディングを付加して、前記A-MPDUフレームを構築する
前記(8)に記載の無線通信装置。
(10)
前記フレーム構築部は、利用可能な状態となった周波数帯域で送信する前記データとして、前記先順位が同じデータ群からなるA-MPDUフレームを構築する
前記(8)に記載の無線通信装置。
(11)
前記フレーム構築部は、利用可能な状態となった周波数帯域で送信する前記データとして、前記優先順位の高い未送信の前記データからなるA-MPDUフレームを構築する
前記(8)に記載の無線通信装置。
(12)
前記フレーム構築部は、利用可能な状態となった周波数帯域で送信する前記データとして、再送用のA-MPDUフレームを構築する
前記(8)に記載の無線通信装置。
(13)
前記通信制御部は、前記受領確認情報の要求を送信させる
前記(1)乃至(12)のいずれかに記載の無線通信装置。
(14)
前記通信制御部は、前記複数の周波数帯域で送信した前記データであって、未到達の前記データを再送させる
前記(1)乃至(13)のいずれかに記載の無線通信装置。
(15)
無線通信装置が、
1つの送信先に対して複数の周波数帯域で送信するデータに、一連のシーケンス番号を設定し、
前記複数の周波数帯域で前記データを送信し、
前記複数の周波数帯域のうち、前記データの送信が最も早く終了した周波数帯域で、前記複数の周波数帯域で送信した前記データに関する受領確認を示す受領確認情報を受信させる
無線通信方法。
(16)
1つの送信先に対して複数の周波数帯域で送信されたデータを受信する無線受信部と、 前記複数の周波数帯域で受信した前記データに設定されている一連のシーケンス番号を管理するシーケンス管理部と、
前記データの受信が最も早く終了した周波数帯域で、前記複数の周波数帯域で受信した前記データに関する受領確認を示す受領確認情報を送信させる通信制御部と
を備える無線通信装置。
(17)
前記シーケンス管理部は、前記複数の周波数帯域で受信した前記データに付加された優先順位が同じデータ群における前記データの位置を表す情報に応じて、前記データの前記優先順位を判別する
前記(16)に記載の無線通信装置。
(18)
前記データの位置を表す情報に応じて、受信した前記データを出力する出力管理部をさらに備える
前記(16)または(17)に記載の無線通信装置。
(19)
無線通信装置が、
1つの送信先に対して複数の周波数帯域で送信されたデータを受信し、
前記複数の周波数帯域で受信した前記データに設定されている一連のシーケンス番号を管理し、
前記データの受信が最も早く終了した周波数帯域で、前記複数の周波数帯域で受信した前記データに関する受領確認を示す受領確認情報を送信させる
無線通信方法。
【符号の説明】
【0280】
11,11-1乃至11-4 通信装置, 51 ネットワーク接続モジュール, 52 情報入力モジュール, 53 機器制御モジュール, 54 情報出力モジュール, 55 無線通信モジュール, 101 インタフェース, 102 優先順位判定部, 103 送信バッファ, 104 動作制御部, 105 送信シーケンス管理部, 106 通信制御部, 107 フレーム構築部, 108 アクセス制御部, 109,109-1乃至109-5 高周波処理部, 110 フレーム解析部, 111 受信シーケンス管理部, 112 受信バッファ, 113 出力シーケンス管理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2024-11-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
優先順位シーケンスに関する情報に基づいて、1つの送信先に対して複数の周波数帯域で送信するデータに、一連のシーケンス番号を設定、前記複数の周波数帯域で前記データを送信する制御を行う制御部
を備える通信装置
【請求項2】
前記制御部は、前記優先順位シーケンスに関する情報を含めてアソシエーション要求フレームを送信する制御を行う
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記優先順位シーケンスに関する情報を含んだアソシエーション要求フレームを受信する制御を行う
請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数の周波数帯域のうち、利用可能な状態となった周波数帯域で、所定の送信待ち時間が経過した後に、前記データを順次送信させる
請求項1に記載通信装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記データの優先順位に応じて、前記優先順位の高い前記データから、前記一連のシーケンス番号を設定する
請求項1に記載通信装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記データに、前記優先順位が同じデータ群における前記データの位置を表す情報を付加する
請求項に記載通信装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記データの位置が、前記データ群において最後である場合、前記データの位置を表す情報として、エンドフラグを付加する
請求項に記載通信装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記データの位置が、前記データ群において最初である場合、前記データの位置を表す情報として、スタートフラグを付加する
請求項に記載通信装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記データの位置が、前記データ群において中間である場合、前記データの位置を表す情報として、中間フラグを付加する
請求項に記載通信装置。
【請求項10】
前記制御部は、所定の長さの前記データからなるA-MPDUフレームを構築し、前記A-MPDUフレームが所定の長さに満たない場合、末尾にパディングを付加して、前記A-MPDUフレームを構築する
請求項に記載通信装置。
【請求項11】
前記制御部は、利用可能な状態となった周波数帯域で送信する前記データとして、前記優先順位が同じデータ群からなるA-MPDUフレームを構築する
請求項10に記載通信装置。
【請求項12】
前記制御部は、利用可能な状態となった周波数帯域で送信する前記データとして、前記優先順位の高い未送信の前記データからなるA-MPDUフレームを構築する
請求項10に記載通信装置。
【請求項13】
前記制御部は、利用可能な状態となった周波数帯域で送信する前記データとして、再送用のA-MPDUフレームを構築する
請求項10に記載通信装置。
【請求項14】
通信装置が、
優先順位シーケンスに関する情報に基づいて、1つの送信先に対して複数の周波数帯域で送信するデータに、一連のシーケンス番号を設定し、
前記複数の周波数帯域で前記データを送信する
通信方法
【請求項15】
優先順位シーケンスに関する情報に基づいて、1つの送信先に対して複数の周波数帯域で送信されたデータを受信する制御を行い、前記複数の周波数帯域で受信した前記データに設定されている一連のシーケンス番号を管理する制御部
を備える通信装置
【請求項16】
前記制御部は、前記優先順位シーケンスに関する情報を含めてアソシエーション要求フレームを送信する制御を行う
請求項15に記載の通信装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記優先順位シーケンスに関する情報を含んだアソシエーション要求フレームを受信する制御を行う
請求項15に記載の通信装置。
【請求項18】
前記制御部は、前記複数の周波数帯域で受信した前記データに付加された優先順位が同じデータ群における前記データの位置を表す情報に応じて、前記データの前記優先順位を判別する
請求項1に記載通信装置。
【請求項19】
前記制御部は、前記データの位置を表す情報に応じて、受信した前記データを出力する
請求項1に記載通信装置。
【請求項20】
通信装置が、
優先順位シーケンスに関する情報に基づいて、1つの送信先に対して複数の周波数帯域で送信されたデータを受信し、
前記複数の周波数帯域で受信した前記データに設定されている一連のシーケンス番号を管理する
通信方法
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本技術は、通信装置および方法に関し、特に、複数の周波数帯域を用いた通信において、データの再送を効率的に行うことをできるようにした通信装置および方法に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本技術の一側面通信装置は、優先順位シーケンスに関する情報に基づいて、1つの送信先に対して複数の周波数帯域で送信するデータに、一連のシーケンス番号を設定、前記複数の周波数帯域で前記データを送信する制御を行う制御部を備える。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本技術の他の側面通信装置は、優先順位シーケンスに関する情報に基づいて、1つの送信先に対して複数の周波数帯域で送信されたデータを受信する制御を行い、前記複数の周波数帯域で受信した前記データに設定されている一連のシーケンス番号を管理する制御部を備える。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本技術の一側面においては、優先順位シーケンスに関する情報に基づいて、1つの送信先に対して複数の周波数帯域で送信するデータに、一連のシーケンス番号が設定され、前記複数の周波数帯域で前記データが送信される
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本技術の他の側面においては、優先順位シーケンスに関する情報に基づいて、1つの送信先に対して複数の周波数帯域で送信されたデータが受信され、前記複数の周波数帯域で受信したデータに設定されている一連のシーケンス番号が管理される