(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180669
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】印画物及び熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せ
(51)【国際特許分類】
B41M 5/52 20060101AFI20241219BHJP
B41M 5/50 20060101ALI20241219BHJP
B41M 5/382 20060101ALI20241219BHJP
B41M 5/392 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B41M5/52 400
B41M5/50 420
B41M5/382 800
B41M5/392 300
B41M5/382 420
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024185113
(22)【出願日】2024-10-21
(62)【分割の表示】P 2021033672の分割
【原出願日】2021-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 英雄
(72)【発明者】
【氏名】上原 俊
(72)【発明者】
【氏名】鷲江 育生
(72)【発明者】
【氏名】野村 琴菜
(57)【要約】
【課題】高い意匠性を有するパール調の印画物を製造する。
【解決手段】熱転写受像シートは、黒色部材と、前記黒色部材の一方の面上に設けられ、パール顔料を含有するプライマー層と、前記プライマー層上に設けられた受容層と、を備える。前記黒色部材の明度L
*が20以下である。前記黒色部材の他方の面上に、粘着層及び離型部がこの順に設けられ、前記粘着層、前記黒色部材、前記プライマー層及び前記受容層を含むシール部が前記離型部から剥離可能になっていてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せであって、
前記熱転写シートは、面順次に設けられた転写層及び色材層を有し、前記転写層は積層された白色層及び透明受容層を含み、
前記熱転写受像シートは、黒色部材、及び前記黒色部材の一方の面上に設けられ、パール顔料を含有するプライマー層を有する、熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せ。
【請求項2】
黒色部材と、
前記黒色部材の一方の面上に設けられ、パール顔料を含有するプライマー層と、
前記プライマー層上に設けられ、画像が形成された受容層と、
を備え、
前記プライマー層と前記受容層との間に白色層が設けられている、印画物。
【請求項3】
前記受容層上に設けられた、パール顔料を含有する保護層をさらに備える、請求項2に記載の印画物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱転写受像シート、印画物、及び熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の印字方法が知られているが、その中でも昇華型熱転写方式は、濃度階調を自由に調整でき、中間色や階調の再現性にも優れ、銀塩写真に匹敵する高品質の画像形成が可能である。
【0003】
この昇華型熱転写方式は、染料層を備える熱転写シートと、受容層を備える熱転写受像シートとを重ね合わせ、次いで、プリンタが備えるサーマルヘッドにより、熱転写シートを加熱することで、染料層中の昇華性染料を熱転写受像シートが備える受容層に移行させ、画像形成を行い、印画物を得るものである。また、画像形成された受容層上に、熱転写シートから保護層を転写し、印画物の耐久性を向上させることが行われている。
【0004】
このような方法で得られる印画物には、多種多様な意匠性が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、高い意匠性を有するパール調の印画物を提供することを課題とする。また、本開示は高い意匠性を有するパール調の印画物の製造に用いる熱転写受像シート、及び熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の熱転写受像シートは、黒色部材と、前記黒色部材の一方の面上に設けられ、パール顔料を含有するプライマー層と、前記プライマー層上に設けられた受容層と、を備えるものである。
【0008】
本開示の印画物は、黒色部材と、前記黒色部材の一方の面上に設けられ、パール顔料を含有するプライマー層と、前記プライマー層上に設けられ、画像が形成された受容層と、を備えるものである。
【0009】
本開示の熱転写シートと熱転写受像シートとの組合せは、前記熱転写シートが、面順次に設けられた転写層及び色材層を有し、前記転写層は積層された白色層及び透明受容層を含み、前記熱転写受像シートが、黒色部材、及び前記黒色部材の一方の面上に設けられ、パール顔料を含有するプライマー層を有するものである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、高い意匠性を有するパール調の印画物を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施の形態に係る熱転写受像シートの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0013】
図1に示すように、本開示の実施の形態に係る熱転写受像シート1は、黒色部材11と、黒色部材11の一方の面側に黒色部材11側から順に積層されたプライマー層12及び受容層13とを備える。プライマー層12はパール顔料を含有している。
【0014】
黒色部材11は、L*a*b*表色系の明度L*が0以上20以下、色度a*が0以上10以下、色度b*が-10以上5以下であることが好ましい。
【0015】
L*a*b*表色系は、CIE(国際照明委員会)で規格化され、JIS Z 8781-4:2013で採用されている表色系を意味する。L*a*b*表色系のL*、a*、b*は、例えば、分光測色計(i1-pro2 X-Rite社製、D65光源、2°視野、フィルタなし)を用いて測定する。
【0016】
また、黒色部材11は、ビジュアル反射濃度が1.5以上であることが好ましい。ビジュアル反射濃度は、反射濃度計(RD-918 X-Rite社)を用いて測定する。
【0017】
図2に示すように、黒色部材11の他方の面側に黒色部材11側から順に積層された粘着層15及び基材21が設けられていてもよい。
図2に示す熱転写受像シートは、基材21を有する離型部20から、粘着層15、黒色部材11、プライマー層12及び受容層13を有するシール部10が剥離可能になったシール型熱転写受像シートである。
【0018】
離型部20は、基材21のみから構成してもよいし、
図3に示すように、基材21と離型層22との積層構成としてもよい。
【0019】
受容層13に、熱転写シートから色材を転写して画像を印画して、印画物を作製する。例えば、
図4に示すような、基材シート(図示略)上に、色材層31及び表面保護層32(以下、保護層32と記載する)が面順次に設けられた熱転写シート3が使用される。色材層31は、例えば、イエロー染料(Y)を含むY層、マゼンタ染料(M)を含むM層、シアン染料(C)を含むC層を有する。
【0020】
熱転写シート3の色材層31から受容層13に染料を移行して画像を形成した後、受容層13上に保護層32を転写する。
【0021】
次に、熱転写受像シート1の各層について説明する。
【0022】
(黒色部材)
黒色部材11は、黒色基材でもよいし、透明基材上に黒色層が積層された構成であってもよい。
【0023】
黒色基材は、例えば黒色PET(ポリエチレンテレフタレート)であり、PET樹脂に黒色顔料を添加したものである。
【0024】
黒色顔料は、有機黒色顔料であってもよいし、無機黒色顔料であってもよい。黒色基材は、有機黒色顔料又は無機黒色顔料の一方を含有していてもよいし、有機黒色顔料及び無機黒色顔料の両方を含有していてもよい。
【0025】
有機黒色顔料としては、例えば、アゾメチンアゾ系黒色顔料、ペリレン系黒色顔料、アゾ系黒色顔料、アニリンブラック、アセチレンブラック、カーボンブラック、ランプブラック、ベンズイミダゾロンピグメントブラウン25(茶)とフタロシアニンブルー(青)との混合顔料等が挙げられる。有機黒色顔料は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0026】
無機黒色顔料としては、例えば、複合酸化物、鉄黒、チタンブラック等が挙げられる。無機黒色顔料は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0027】
黒色基材に含有される黒色顔料の量、黒色基材の厚さ等は、黒色部材のL*、a*、b*、ビジュアル反射濃度等が所望の範囲となるように調整することが好ましい。
【0028】
黒色部材11が、透明基材及び黒色層の積層構成の場合、黒色層は黒色顔料を含有する。黒色顔料は、上記黒色基材に含有される黒色顔料と同様のものを用いることができる。透明基材の材料としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリプロピレンフィルム等が挙げられる。
【0029】
黒色層を形成するために使用されるインキとしては、例えば、バインダー樹脂に黒色顔料を混合したものが挙げられる。インキは、黒色顔料以外の着色剤、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を含有してもよい。インキをコート法、印刷法等で透明基材上に塗布して黒色層を形成する。
【0030】
コート法としては、例えば、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート等が挙げられる。印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。
【0031】
黒色層に含有される黒色顔料の量、黒色層の厚さ等は、黒色部材のL*、a*、b*、ビジュアル反射濃度等が所望の範囲となるように調整することが好ましい。
【0032】
(プライマー層)
プライマー層12は、バインダー樹脂と、パール顔料とを含有している。プライマー層12が含有しているパール顔料としては、魚鱗粉、貝殻片、真珠片などが挙げられる。またパール顔料は、雲母、合成雲母、シリカ等の表面を、酸化チタンから構成される被覆層で被覆し、シルバー発色を有するシルバーパール顔料でもよい。
【0033】
一例としてのプライマー層12は、プライマー層12の総質量に対し、パール顔料を25質量%以上45質量%以下で含有している。
【0034】
プライマー層12は、パール顔料にかえて、アルミニウムフレーク顔料や金属被覆ガラスフレーク顔料を含有してもよい。
【0035】
プライマー層12が含有しているバインダー樹脂について特に限定はなく、例えば、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、ポリエステル等を挙げることができる。また、これ以外の接着性を有するバインダー樹脂を適宜選択して用いることもできる。プライマー層12は、バインダー樹脂として、1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。
【0036】
プライマー層12の厚みについて特に限定はなく、0.1μm以上20μm以下が好ましい。
【0037】
(受容層)
受容層13は、熱転写シートから移行してくる昇華染料(可視染料)を受容したり、熱転写シートから顔料が転写されたりすることで、熱転写画像が形成される層である。
【0038】
受容層は、樹脂材料を含む。樹脂材料としては、染料が染着し易い樹脂であれば限定されるものではない。例えば、ポリオレフィン、ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、スチレン樹脂、ポリウレタン及びアイオノマー樹脂等が挙げられる。受容層は、上記樹脂材料を2種以上含むことができる。受容層の厚みについて特に限定はないが、例えば、0.5μm以上10μm以下の範囲である。
【0039】
受容層は、上記の樹脂に酸化チタンや酸化亜鉛等の白色顔料を加えた白色受容層であってもよい。
【0040】
(粘着層)
粘着層15の成分について特に限定はなく、例えば、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル、ウレタン樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂、ゴム系樹脂、アイオノマー樹脂等を挙げることができる。粘着層15の厚みについて特に限定はないが、例えば、5μm以上20μm以下の範囲である。
【0041】
(基材)
シール型熱転写受像シートの離型部20を構成する基材21(離型部用基材)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン誘導体、ポリアミド、ポリメチルペンテン樹脂等のプラスチックの延伸または未延伸基材(フィルムであってもよい)、上質紙、コート紙、レジンコート紙、アート紙、キャストコート紙、板紙、エマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、セルロース繊維紙等を挙げることができる。
【0042】
(離型層)
離型層22の成分としては、離型性を有する成分、例えば、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂などの各種シリコーン変性樹脂、フッ素樹脂、フッ素変性樹脂、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、熱硬化性エポキシ-アミノ共重合体、及び熱硬化性アルキッド-アミノ共重合体(熱硬化性アミノアルキド樹脂)、メラミン樹脂、セルロース樹脂、尿素系樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、繊維素系樹脂等を挙げることができる。離型層22は、1種の成分を単独で含有していてもよく、2種以上の成分を含有していてもよい。
【0043】
次に、熱転写シート3の各層について説明する。
【0044】
(色材層)
熱転写シート3の色材層31に含有される昇華染料は、従来公知のものであれば特に限定されない。例えば、ジアリールメタン系色素、トリアリールメタン系色素、チアゾール系色素、メロシアニン系色素、ピラゾロンメチン等のメチン系色素、インドアニリン系色素、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチン等のアゾメチン系色素、キサンテン系色素、オキサジン系色素、ジシアノスチレン、トリシアノスチレン等のシアノメチレン系色素、チアジン系色素、アジン系色素、アクリジン系色素、ベンゼンアゾ系色素、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジズアゾ等のアゾ系色素、スピロピラン系色素、インドリノスピロピラン系色素、フルオラン系色素、ローダミンラクタム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、キノフタロン系色素等が挙げられる。
【0045】
(保護層)
保護層32は、接着層を有する。保護層32は、剥離層をさらに有していてもよい。接着層は、保護層の最表面に設けられる層であり、加熱することにより軟化し、密着性を発揮する熱可塑性樹脂を少なくとも1種含む。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等のビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン、セルロース樹脂、ポリアミド、ポリオレフィン、スチレン樹脂及びこれらの塩素化樹脂等が挙げられる。
【0046】
剥離層は、保護層の転写性を向上させるものであり、例えば、ワックスを主構成成分として含む。ワックスとしては、例えば、蜜蝋、鯨蝋、木蝋、米ぬか蝋、カルナバワックス、キャンデリラワックス及びモンタンワックス等の天然ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、酸化ワックス、オゾケライト、セレシン、エステルワックス及びポリエチレンワックス等の合成ワックス、マルガリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、フロイン酸及びベヘニン酸等の高級飽和脂肪酸、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコール等の高級飽和一価アルコール、ソルビタンの脂肪酸エステル等の高級エステル、ステアリン酸アミド並びにオレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミド等が挙げられる。
【0047】
(基材シート)
熱転写シート3の基材シートは、色材層31及び保護層32を支持するものであり、従来公知のある程度の耐熱性と強度を有するものを使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等が挙げられる。
【0048】
<<印画物の製造方法>>
一実施形態の印画物の製造方法は、熱転写受像シート1及び熱転写シート3を組合せ、サーマルヘッド等の加熱デバイスを用い、受容層13に染料を移行して熱転写画像を形成する工程と、受容層13上に保護層を転写する工程とを備える。この方法により、パール調の意匠性を有する印画物が得られる。黒色部材11の黒色によりパール感が際立ち、意匠性の高い印画物となる
【0049】
上記実施形態において、
図5に示すように転写型の受容層30が設けられた熱転写シート3を使用して、熱転写シート3から熱転写受像シート1の受容層13上に受容層30を転写してもよい。受容層30は、基材シート上に設けられた透明受容層と、透明受容層上に設けられた白色層(着色層)との積層体であることが好ましい。白色層は、酸化チタン等の白色顔料を含有した層である。熱転写シート3から熱転写受像シート1の受容層13上に転写層となる受容層30を転写する。転写された受容層30の透明受容層に染料を移行して画像を形成し、受容層30上に保護層32を転写して印画物を作製する。画像の下地が白色になるため、上記実施形態とは異なる意匠性の印画物が得られる。
【0050】
保護層32がパール顔料を含有していてもよい。
【実施例0051】
次に実施例を挙げて、本開示をさらに詳細に説明するが、本開示は、これら実施例に限定されるものではない。
【0052】
(シール型熱転写受像シート1の作製)
離型部用基材として厚みが100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(S100#100 三菱ケミカル(株))を用い、当該離型部用基材上に、下記組成の離型層用塗工液1を、乾燥時の厚みが0.25μmとなるように塗布・乾燥し、離型部用基材上に離型層が設けられた離型部を得た。
【0053】
また、黒色部材として厚みが75μmの黒色ポリエチレンテレフタレートフィルム(ルミラー(登録商標)#75-X30、東レ(株))を準備した。分光測色計(i1-pro2 X-Rite社製、D65光源、2°視野、フィルタなし)で計測した黒色部材の明度L*は6.83、色度a*は0.48、色度b*は0.34であった。反射濃度計(X-Rite社製 RD-918)で計測したビジュアル反射濃度は2.00であった。
【0054】
この黒色部材の一方の面に、下記組成のプライマー層用塗工液1を、乾燥時の厚みが1.2μmとなるように塗布・乾燥し、プライマー層を形成した。このプライマー層上に、下記組成の第1受容層用塗工液1を、乾燥時の厚みが4.2μmとなるように塗布・乾燥し、第1受容層を形成した。また、黒色部材の他方の面に、下記組成の粘着層用塗工液を、乾燥時の厚みが9μmとなるように塗布・乾燥し粘着層を形成することで、黒色部材の一方の面にプライマー層及び第1受容層がこの順で設けられ、他方の面に粘着層が設けられたシール部を得た。次いで、離型部とシール部とを、離型部の離型層と、シール部の粘着層とが対向するようにして貼り合わせることで、シール型熱転写受像シート1を得た。
【0055】
<離型層用塗工液1>
・付加重合剤シリコーン(KS847H 信越化学工業(株)) 100部
・トルエン 200部
【0056】
<プライマー層用塗工液1>
・ウレタン樹脂 40部
(ニッポラン(登録商標)5199 東ソー(株))
・シルバーパール顔料(粒子径:5~25μm) 24部
(イリオジン(登録商標)123 ブライトラスターサテンメルク(株))
・メチルエチルケトン 76部
・トルエン 76部
【0057】
<第1受容層用塗工液1>
・塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体 12部
(#1000A デンカ(株))
・エポキシ変性シリコーン 0.8部
(X-22-3000T 信越化学工業(株))
・アミノ変性シリコーン 0.24部
(X-22-1660B-3 信越化学工業(株))
・トルエン 30部
・メチルエチルケトン 30部
【0058】
<粘着層用塗工液>
・アクリル共重合体 15部
(SKダイン1251 綜研化学(株))
・硬化剤 0.33部
(硬化剤L-45 綜研化学(株))
・硬化剤 0.1部
(E-AX 綜研化学(株))
・酢酸エチル 16.14部
【0059】
(シール型熱転写受像シート2の作製)
黒色部材に代えて、シール部用基材として厚みが75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(S100#75 三菱ケミカル(株))を用いた以外は、全てシール型熱転写受像シート1と同様にして、シール型熱転写受像シート2を作製した。
【0060】
(シール型熱転写受像シート3の作製)
プライマー層用塗工液1を、下記組成のプライマー層用塗工液2に変更してプライマー層を形成した以外は、全てシール型熱転写受像シート2と同様にして、シール型熱転写受像シート3を作製した。
【0061】
<プライマー層用塗工液2>
・ポリウレタン樹脂 5.04部
(N-5199 日本ポリウレタン工業(株))
・イソシアネート系硬化剤 2.04部
(タケネート(登録商標)A-14 三井化学(株))
・メチルエチルケトン 8部
・トルエン 8部
・イソプロピルアルコール 4部
【0062】
(シール型熱転写受像シート4の作製)
プライマー層用塗工液1を、下記組成のプライマー層用塗工液3に変更してプライマー層を形成した以外は、全てシール型熱転写受像シート2と同様にして、シール型熱転写受像シート4を作製した。
【0063】
<プライマー層用塗工液3>
・ポリウレタン樹脂 5.04部
(N-5199 日本ポリウレタン工業(株))
・イソシアネート系硬化剤 2.04部
(タケネート(登録商標)A-14 三井化学(株))
・メチルエチルケトン 8部
・トルエン 8部
・イソプロピルアルコール 4部
【0064】
(熱転写シート1の作製)
背面に耐熱滑性層が形成されている厚みが4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面の一部に下記組成の第2受容層用塗工液1を乾燥時の厚みが1μmとなるように塗布・乾燥し、第2受容層を形成した。この第2受容層の表面に、下記組成の着色層用塗工液1を乾燥時の厚み1μmとなるように塗布・乾燥し、着色層を形成した。第2受容層、及び着色層の積層体は、第1転写層を構成する。
【0065】
<第2受容層用塗工液1>
・塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体 15.8部
(ソルバイン(登録商標)CNL 日信化学工業(株))
・塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体 1部
(ソルバイン(登録商標)C 日信化学工業(株))
・エポキシ変性シリコーンオイル 1.2部
(KF-101 信越化学工業(株))
・メチルスチレン変性シリコーンオイル 1.2部
(X-24-510 信越化学工業(株))
・ポリエーテル変性シリコーンオイル 0.8部
(KF-352A 信越化学工業(株))
・メチルエチルケトン 40部
・トルエン 40部
【0066】
<着色層用塗工液1>
・アクリル樹脂 3部
(ダイヤナール(登録商標)BR-87 三菱ケミカル(株))
・塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体 1部
(ソルバイン(登録商標)CNL 日信化学工業(株))
・酸化チタン 16部
(R-780 石原産業(株))
・メチルエチルケトン 40部
・トルエン 40部
【0067】
また、第1転写層と面順次となるように、下記組成のプライマー層用塗工液4を塗布・乾燥して厚みが0.2μmのプライマー層を形成した。プライマー層上に下記組成のイエロー染料層用塗工液、マゼンタ染料層用塗工液、およびシアン染料層用塗工液を面順次に塗布・乾燥して厚みが0.7μmの各色の染料層を形成した。
【0068】
<プライマー層用塗工液4>
・アルミナゾル 3.5部
(アルミナゾル200 日産化学(株))
・酢酸ビニル-ビニルピロリドン共重合体 1.5部
(PVP/VA E-335 アイエスピー・ジャパン(株))
・水 47.5部
・イソプロピルアルコール 47.5部
【0069】
<イエロー染料層用塗工液>
・分散染料(ホロンブリリアントイエローS-6GL) 5.5部
・ポリビニルアセタール 4.5部
(エスレック(登録商標)KS-5 積水化学工業(株))
・リン酸エステル系界面活性剤 0.1部
(プライサーフ(登録商標)A208N 第一製薬工業(株))
・エポキシ変性シリコーンオイル 0.04部
(KF-101 信越化学工業(株))
・ポリエチレンワックス 0.1部
・メチルエチルケトン 45部
・トルエン 45部
【0070】
<マゼンタ染料層用塗工液>
・分散染料(MSレッドG) 1.5部
・分散染料(マクロレックスレッドバイオレットR) 2部
・ポリビニルアセタール 4.5部
(エスレック(登録商標)KS-5 積水化学工業(株))
・リン酸エステル系界面活性剤 0.1部
(プライサーフ(登録商標)A208N 第一製薬工業(株))
・ポリエチレンワックス 0.1部
・エポキシ変性シリコーンオイル 0.04部
(KF-101 信越化学工業(株))
・メチルエチルケトン 45部
・トルエン 45部
【0071】
<シアン染料層用塗工液>
・分散染料(Solvent Blue 63) 3.5部
・分散染料(HSB-2194) 3部
・ポリビニルアセタール 4.5部
(エスレック(登録商標)KS-5 積水化学工業(株))
・リン酸エステル系界面活性剤 0.1部
(プライサーフ(登録商標)A208N 第一製薬工業(株))
・ポリエチレンワックス 0.1部
・エポキシ変性シリコーンオイル 0.04部
(KF-101 信越化学工業(株))
・メチルエチルケトン 45部
・トルエン 45部
【0072】
染料層と面順次となるように、下記組成の剥離層用塗工液1を塗布・乾燥して厚みが1μmの剥離層を形成した。剥離層上に上記組成のプライマー層用塗工液4を塗布・乾燥して厚みが0.2μmのプライマー層を形成した。プライマー層上に、下記組成の保護層用塗工液1を塗布・乾燥して厚みが1μmの保護層を形成し熱転写シート1を作製した。
【0073】
<剥離層用塗工液1>
・アクリル樹脂 20部
(ダイヤナール(登録商標)BR-87 三菱ケミカル(株))
・トルエン 40部
・メチルエチルケトン 40部
【0074】
<保護層用塗工液1>
・アクリル樹脂 60部
(TS-413A DIC(株))
・トルエン 20部
・メチルエチルケトン 20部
【0075】
(熱転写シート2の作製)
剥離層用塗工液1を、下記組成の剥離層用塗工液2に変更して厚みが1μmの剥離層を形成し、保護層用塗工液1を下記組成の保護層用塗工液2に変更して厚みが1μmの保護層を形成した以外は、全て熱転写シート1と同様にして、熱転写シート2を作製した。
【0076】
<剥離層用塗工液2>
・アクリル樹脂 20部
(サーモラックLP-45M 綜研化学(株))
・紫外線吸収剤 0.02部
(UVITEX OB チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株))
・メチルエチルケトン 40部
・トルエン 40部
【0077】
<保護層用塗工液2>
・シルバーパール顔料(粒子径:5~25μm) 30部
(イリオジン(登録商標)123 ブライトラスターサテンメルク(株))
・塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体 10部
(ソルバイン(登録商標)CNL 日信化学工業(株))
・メチルエチルケトン 30部
・トルエン 30部
【0078】
(熱転写シート3の作製)
第1転写層を省略した以外は、全て熱転写シート1と同様にして、熱転写シート3を作製した。
【0079】
実施例1、2及び比較例1~4
シール型熱転写受像シート1~4と熱転写シート1、2とを表1に示すような組合せでプリンタ(S2245 シンフォニアテクノロジー(株))にセットし、シール型熱転写受像シートの受容層側に熱転写シートから第1転写層を転写し、第1転写層の第2受容層に画像形成(R,G,B=127/255,127/255,127/255)を行い、保護層を転写し、実施例1、2及び比較例1~4の印画物を作製した。
【0080】
比較例5~8
シール型熱転写受像シート2~4と熱転写シート3とを表1に示すような組合せで上記プリンタにセットし、シール型熱転写受像シートの第1受容層に画像形成(R,G,B=127/255,127/255,127/255)を行い、保護層を転写し、比較例5~8の印画物を作製した。但し、比較例8は、受容層に形成する画像を黒ベタ画像とした。
【0081】
(パール感評価)
各実施例及び比較例の印画物の表面を目視で確認し、以下の評価基準に基づいて、パール感評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0082】
「評価基準」
A:高いパール調の意匠性を有している。
B:パール調の意匠性を有している。
C:パール調の意匠性を有していない。
【0083】
(キラキラ感評価)
各実施例及び比較例の印画物の表面を目視で確認し、以下の評価基準に基づいて、キラキラ感評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0084】
「評価基準」
A:金属光沢様の高輝度のキラキラ感がある。
B:金属光沢様のキラキラ感がある。
C:キラキラ感が低い。
D:キラキラ感がない。
【0085】
【0086】
紫外可視分光光度計(UV-3100PC (株)島津製作所)で計測した比較例8の印画物の明度L*は26.58、色度a*は0.62、色度b*は7.35であり、反射濃度計(RD-918 X-Rite社)で計測したビジュアル反射濃度は1.36であった。
【0087】
本開示を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本開示の意図と範囲を離れることなく様々な変更が可能であることは当業者に明らかである。