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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180673
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】半導体素子及び半導体素子製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
H01L21/60 301A
H01L21/60 301D
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024185320
(22)【出願日】2024-10-21
(62)【分割の表示】P 2020080358の分割
【原出願日】2020-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】幸田 了祐
(72)【発明者】
【氏名】平田 公祐
(57)【要約】
【課題】信頼性の低下を抑制可能な半導体素子及び半導体素子製造方法を提供する。
【解決手段】半導体素子1は、搭載基板10と半導体チップ20とワイヤ30とを備える。ワイヤ30は、第1部分31、第1屈曲部41、第2部分32、第2屈曲部42、及び、第3部分33を含む。第1屈曲部41は、半導体チップ20の表面20sよりも搭載基板10の表面10s側に位置し、第2部分32を表面20s側に導くように屈曲している。第2部分32は、表面10sと反対側に表面20sを越えて延在している。第2屈曲部42は、第3部分33を表面20s側に導くように屈曲している。第3部分33は、表面10sと反対側に表面20sを越えた位置から表面20sに向けて延在している。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を有する搭載基板と、
前記第1面に搭載され、前記第1面と反対側に臨む第2面を有する半導体チップと、
前記第1面上の第1接合点から前記第2面上の第2接合点に向けて延在し、前記第1接合点と前記第2接合点とをつなぐことによって、前記搭載基板と前記半導体チップとを電気的に接続するためのワイヤと、
を備え、
前記ワイヤは、前記第1接合点から前記第2接合点に向けて順に配列された第1部分、第1屈曲部、第2部分、第2屈曲部、及び、第3部分を含み、
前記第1部分は、前記第1面及び前記第2面に沿った第1方向からみて、前記第2面よりも前記第1面側に位置しており、
前記第1屈曲部は、前記第1方向からみて前記第2面よりも前記第1面側に位置し、前記第2部分を前記第2面側に導くように屈曲しており、
前記第2部分は、前記第1方向からみて、前記第1面と反対側に前記第2面を越えて延在しており、
前記第2屈曲部は、前記第3部分を前記第2面側に導くように屈曲しており、
前記第3部分は、前記第1方向からみて、前記第1面と反対側に前記第2面を越えた位置から前記第2面に向けて延在し、前記第2接合点に接合されており、
前記第1接合点と前記半導体チップとの間において、前記第1面上に絶縁部材が形成されている、
半導体素子。
【請求項2】
前記第1屈曲部は、前記ワイヤの延在方向の中心よりも前記第1接合点側に位置している、
請求項1に記載の半導体素子。
【請求項3】
前記第1屈曲部は、前記ワイヤの延在方向の中心よりも前記第2接合点側に位置している、
請求項1に記載の半導体素子。
【請求項4】
前記ワイヤは、前記第1部分と前記第1屈曲部とをつなぐように延びる第4部分を含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体素子。
【請求項5】
前記ワイヤは、前記第2面に交差する第2方向からみて、前記半導体チップの外縁に対して斜めに延在している、
請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体素子。
【請求項6】
前記第1面及び前記第2面に沿うと共に前記半導体チップと前記第1接合点とが並ぶ方向に交差する方向について、前記第2接合点は前記第1接合点よりも前記半導体チップの中心から遠い位置に設けられている、
請求項1~5のいずれか一項に記載の半導体素子。
【請求項7】
複数の前記第1接合点、複数の前記第2接合点、及び、複数の前記ワイヤを備え、
複数の前記ワイヤのそれぞれは、複数の前記第1接合点のそれぞれと複数の前記第2接合点のそれぞれとをつないでいる、
請求項1~6のいずれか一項に記載の半導体素子。
【請求項8】
複数の前記第1接合点は、前記第2面に交差する第2方向からみて、前記半導体チップの一方側に位置している、
請求項7に記載の半導体素子。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の半導体素子を製造するための半導体素子製造方法であって、
前記搭載基板、前記搭載基板の前記第1面に搭載された前記半導体チップ、及び、少なくとも前記ワイヤのための母材を用意する第1工程と、
前記第1工程の後に、
前記母材を保持したキャピラリを前記第1接合点に移動させ、前記キャピラリから突出された前記母材の先端を前記第1接合点に接合する第2工程と、
前記第2工程の後に、前記キャピラリから前記母材を導出させながら前記キャピラリを移動させ、少なくとも、順に配列された前記第1部分、前記第1屈曲部、前記第2部分、前記第2屈曲部、及び、前記第3部分を形成する第3工程と、
前記第3工程の後に、前記キャピラリを前記第2接合点に移動させ、前記母材を前記第2接合点に接合することにより、前記第1接合点から前記第2接合点にわたって延在する前記ワイヤを構成する第4工程と、
を備える、
半導体素子製造方法。
【請求項10】
前記第1工程の後であって前記第2工程の前に、前記キャピラリを前記第2接合点に移動させ、前記キャピラリから突出された前記母材の先端を前記第2接合点に接合した後に当該先端を切断することにより、前記第2接合点にボンド部を形成する第5工程を備え、
前記第4工程では、前記ボンド部を介して前記母材を前記第2接合点に接合する、
請求項9に記載の半導体素子製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子及び半導体素子製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体装置が記載されている。この半導体装置では、リードフレームにマウントされた半導体チップのパッド(第1ボンディング点)と、リードフレームのリード(第2ボンディング点)とをワイヤにより接続している。第1ボンディング点と第2ボンディング点とに接続したワイヤループ形状は、第1ボンディング点側のネック高さ部、第2ボンディング点側の傾斜部、及び、ネック高さ部と傾斜部との間の台形部長さ部分(ループ頂上部分)とによって、側面視で台形状とされている。台形部長さ部分は、癖が付けられて下方に窪んだ形状に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3189115号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の半導体装置では、ワイヤのループ頂上部分に対して、癖付けによって窪んだ形状を形成することにより、外部からの加圧に対して形状保持力が高いループを形成することを図っている。
【0005】
一方、上記のような半導体装置については、樹脂により封止する要求がある。この場合には、ワイヤとリードフレームとの間にも封止樹脂が配置される(ワイヤが封止樹脂を抱え込む)。したがって、熱サイクルによる封止樹脂の膨張及び収縮に起因した応力がワイヤに付加される。ワイヤとリードフレームとの間の樹脂量が多くなるほど、熱サイクルに応じてワイヤに付加される応力が大きくなるため、ワイヤが損傷して信頼性が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は、信頼性の低下を抑制可能な半導体素子及び半導体素子製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る半導体素子は、第1面を有する搭載基板と、第1面に搭載され、第1面と反対側に臨む第2面を有する半導体チップと、第1面上の第1接合点から第2面上の第2接合点に向けて延在し、第1接合点と第2接合点とをつなぐことによって、搭載基板と半導体チップとを電気的に接続するためのワイヤと、を備え、ワイヤは、第1接合点から第2接合点に向けて順に配列された第1部分、第1屈曲部、第2部分、第2屈曲部、及び、第3部分を含み、第1部分は、第1面及び第2面に沿った第1方向からみて、第2面よりも第1面側に位置しており、第1屈曲部は、第1方向からみて第2面よりも第1面側に位置し、第2部分を第2面側に導くように屈曲しており、第2部分は、第1方向からみて、第1面と反対側に第2面を越えて延在しており、第2屈曲部は、第3部分を第2面側に導くように屈曲しており、第3部分は、第1方向からみて、第1面と反対側に第2面を越えた位置から第2面に向けて延在し、第2接合点に接合されている。
【0008】
この半導体素子では、搭載基板と搭載基板に搭載された半導体チップとを電気的に接続するためのワイヤが設けられている。ワイヤは、搭載基板の半導体チップが搭載される第1面上の第1接合点と、半導体チップの第2面上の第2接合点とをつないでいる。ワイヤは、第1接合点から第2接合点に向けて(搭載基板から半導体チップに向けて)順に配列された第1部分、第1屈曲部、第2部分、第2屈曲部、及び、第3部分を含む。第1部分は、ワイヤにおける第1接合点から延びる部分であって、第2面よりも第1面側(例えば第2面よりも下方)に位置する。また、第3部分は、ワイヤにおける第2接合点に接合される部分であって、第1面と反対側に第2面を越えた位置(例えば第2面よりも上方)に位置する。第2部分は第1部分と第3部分との間の部分であって、第1面側の位置から第2面を越えて延在している。
【0009】
このような構造によれば、当該半導体素子が樹脂封止された場合には、ワイヤと搭載基板との間に封止樹脂が配置されることとなる。これに対して、このワイヤにあっては、第1部分と第2部分との間の第1屈曲部が、第2面よりも第1面側に位置し、且つ、第2部分を第2面側に導くように屈曲している。つまり、ワイヤは、第1屈曲部が無い場合と比較して、第1屈曲部に至るまでの間に(すなわち第1部分を)第1面側に延在させつつ、第1屈曲部に至った後に(すなわち第2部分が)第2面を越えるように延在させられる。つまり、ワイヤが、第1屈曲部が無い場合と比較して、搭載基板と半導体チップとによって形成される角部に倣うように延在させられる。この結果、当該半導体素子を樹脂封止したときにワイヤが抱え込む樹脂量が低減される。よって、この半導体素子によれば、熱サイクルに応じてワイヤに付加される応力を低減させ、信頼性の低下を抑制可能である。
【0010】
なお、この半導体素子では、ワイヤが、第2部分と第3部分との間の第2屈曲部において第2面を越えた位置で屈曲させられ、第3部分が第2面側に導かれる。そして、第3部分が、第2面を越えた位置から第2面に向けて延在させられ、第2接合点に接合される。このため、第2屈曲部及び第3部分がなく、第2部分が第1面側から延びて直接的に第2接合点に接合される場合と比較して、ワイヤが半導体チップの角部に接触することが避けられる。よって、信頼性の低下をより抑制できる。
【0011】
本発明に係る半導体素子では、第1屈曲部は、ワイヤの延在方向の中心よりも第1接合点側に位置していてもよい。この場合、第1屈曲部が半導体チップから比較的離れた位置に形成されることとなる。この結果、第1屈曲部を形成する際に、ワイヤを保持する保持具(キャピラリ)が半導体チップに接触することが抑制される。
【0012】
本発明に係る半導体素子では、第1屈曲部は、ワイヤの延在方向の中心よりも第2接合点側に位置していてもよい。この場合、第1屈曲部が半導体チップに比較的近い位置に形成されることとなる。この結果、ワイヤの第1面側に延在する部分(第1部分)が相対的に長く確保されることとなり、ワイヤが抱え込む樹脂量がより低減される。すなわち、ワイヤに付加される応力を確実に低減し、信頼性の低下を確実に抑制可能となる。
【0013】
本発明に係る半導体素子では、ワイヤは、第1屈曲部と第2部分とをつなぐように延びる第4部分を含んでもよい。この場合、第1面からの半導体チップの高さ分を、少なくとも第2部分と第4部分との2つの部分によって確保することができるため、応力の集中が生じやすい急激な屈曲が不要となる。よって、信頼性の低下をより確実に抑制可能である。
【0014】
本発明に係る半導体素子では、ワイヤは、第2面に交差する第2方向からみて、半導体チップの外縁に対して斜めに延在していてもよい。この場合、ワイヤが半導体チップの外縁に垂直な場合と比較して、ワイヤの長さ(第1接合点と第2接合点との距離)を長く確保しやすい。この結果、複数の部分及び複数の屈曲部を含むワイヤの上記構造を実現しやすい。
【0015】
本発明に係る半導体素子製造方法は、上記の半導体素子を製造するための半導体素子製造方法であって、搭載基板、搭載基板の第1面に搭載された半導体チップ、及び、少なくともワイヤのための母材を用意する第1工程と、第1工程の後に、母材を保持したキャピラリを第1接合点に移動させ、キャピラリから突出された母材の先端を第1接合点に接合する第2工程と、第2工程の後に、キャピラリから母材を導出させながらキャピラリを移動させ、少なくとも、順に配列された第1部分、第1屈曲部、第2部分、第2屈曲部、及び、第3部分を形成する第3工程と、第3工程の後に、キャピラリを第2接合点に移動させ、母材を第2接合点に接合することにより、第1接合点から第2接合点にわたって延在するワイヤを構成する第4工程と、を備える。
【0016】
この製造方法によれば、上述した半導体素子が製造される。すなわち、信頼性の低下を抑制可能な半導体素子が得られる。
【0017】
本発明に係る半導体素子製造方法は、第1工程の後であって第2工程の前に、キャピラリを第2接合点に移動させ、キャピラリから突出された母材の先端を第2接合点に接合した後に当該先端を切断することにより、第2接合点にボンド部を形成する第5工程を備え、第4工程では、ボンド部を介して母材を第2接合点に接合してもよい。この場合、ワイヤの各部を形成した後にキャピラリから突出した母材の先端を第2接合点に接合するに際に、第2接合点に既に形成されたボンド部が介在されることとなるため、半導体チップ側への衝撃が低減される。特に、ここでは、ワイヤの各部を形成するためのキャピラリ及び母材を用いて、当該ボンド部を形成するので、工程の簡略化が図られる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、信頼性の低下を抑制可能な半導体素子及び半導体素子製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、実施形態に係る半導体素子を示す図である。
図2図2は、図1に示された半導体素子の一例を示す写真である。
図3図3は、図1に示された半導体素子を製造するための半導体素子製造方法の一工程を示す模式的な断面図である。
図4図4は、図1に示された半導体素子を製造するための半導体素子製造方法の一工程を示す模式的な断面図である。
図5図5は、図1に示された半導体素子を製造するための半導体素子製造方法の一工程を示す模式的な断面図である。
図6図6は、第1変形例に係る半導体素子を示す図である。
図7図7は、第2変形例に係る半導体素子を示す図である。
図8図8は、第3変形例に係る半導体素子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、互に同一または相当する要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0021】
図1は、実施形態に係る半導体素子を示す図である。図1の(a)は模式的な平面図であり、図1の(b)は、図1の(a)のIb-Ib線に沿っての模式的な断面図である。図2は、図1に示された半導体素子の一例を示す写真である。図1,2に示されるように、半導体素子1は、搭載基板10と、半導体チップ20と、ワイヤ30と、樹脂部Mと、を備えている。なお、図1の(a)では、樹脂部Mの図示が省略されている。
【0022】
搭載基板10は、表面(第1面)10sと、表面10sの反対側の裏面10rと、を含む。表面10sには、平板状の複数の電極13が形成されている。複数の電極13のそれぞれは、一例として、後述する半導体チップ20の外縁20eに沿う方向に長尺状である。複数の電極13は、外縁20eに沿って配列されている。
【0023】
半導体チップ20は、表面10sに搭載されている。半導体チップ20は、表面10sに直接配置されてもよいし、別の部材を介して表面10s上に配置されてもよい。半導体チップ20は、表面(第2面)20sと、表面20sの反対側の裏面20rと、を含む。表面20s及び裏面20rは、それらの間の距離として、表面10sからの半導体チップ20の高さTを規定する。裏面20rは、搭載基板10の表面10s側に臨む面であり、表面20sは搭載基板10の表面10sと反対側に臨む面である。ここでは、少なくとも表面10sと表面20sとは、互に平行である。
【0024】
半導体チップ20は、一例として直方体状を呈しており、直線状に延びる外縁20eを有している。外縁20eは、半導体チップ20の外縁のうちの電極13側(後述するボンド部51側)に臨む外縁である。半導体チップ20は、例えば半導体受光素子(一例としてSiフォトダイオード)である。
【0025】
搭載基板10の表面10s上には、ボンド部51が形成されており、半導体チップ20の表面20s上には、ボンド部52が形成されている。ボンド部51は、電極13上に形成されている。ボンド部52は、半導体チップ20の表面20s側に露出する電極21上に形成され、半導体チップ20に電気的に接続されている。後述するように、ここでは、ボンド部51,52は、ワイヤ30と同一の材料によりワイヤ30と一体的に形成されている。したがって、ワイヤ30は、搭載基板10側においてボンド部51を介して電極13に接合されると共に、半導体チップ20側においてボンド部52を介して電極21に接合されることとなる。つまり、電極13はワイヤ30の第1接合点であり、電極21はワイヤ30の第2接合点である。半導体チップ20の外縁20eと電極13の外縁20e側の縁部とは、半導体チップ20と電極13との間の距離Dを規定する。
【0026】
なお、以下では、電極13から電極21に向かう方向(ワイヤ30の延在方向)に交差(直交)する方向であって、表面10s,20sに沿った方向を第1方向と称し、表面10s,20sに交差(直交)する方向を第2方向と称する場合がある。第1方向は、一例として水平方向であり、第2方向は一例として鉛直方向である。
【0027】
また、搭載基板10の表面10sにおける電極13が設けられる領域と、表面10sにおける半導体チップ20が設けられる領域との間に、凹部や孔部等の搭載基板10の厚さ(表面10sと裏面10rとの間の距離)が減ぜられるような構成が設けられていない。このため、搭載基板10の厚さは、表面10sにおける電極13が設けられる領域と、表面10sにおける半導体チップ20が設けられる領域と、それらの間の領域と、で一定である。ただし、搭載基板10の厚さは、表面10sにおける電極13が設けられる領域と、表面10sにおける半導体チップ20が設けられる領域と、の間の領域において、他の領域よりも厚くされていてもよい。
【0028】
なお、ここでは、表面10sにおける電極13が設けられる領域と、表面10sにおける半導体チップ20が設けられる領域と、の間において、表面10s上に例えばレジストといった絶縁部材60が形成されている。絶縁部材60は、第1方向からみて表面10sとワイヤ30との間に介在すると共に、第2方向からみて半導体チップ20と電極13との間に介在している。
【0029】
ワイヤ30は、電極13から電極21に向けて延在し、電極13と電極21とをつなぐことによって、搭載基板10と半導体チップ20とを電気的に接続するためのものである。ワイヤ30は、上述したように、電極13上のボンド部51及び電極21上のボンド部52のそれぞれに接合されて一体化されている。ワイヤ30は、例えば金といった金属からなる。ワイヤ30は、電極13から電極21に向けて順に配列された第1部分31、第1屈曲部41、第2部分32、第2屈曲部42、及び、第3部分33を含む。
【0030】
ここでは、第1部分31と第2部分32とが、第1屈曲部41を介して互に接続されており、第2部分32と第3部分33とが第2屈曲部42を介して互に接続されている。つまり、ここでは、ワイヤ30は、第1部分31、第1屈曲部41、第2部分32、第2屈曲部42、及び、第3部分33からなる。ワイヤ30は、第1部分31においてボンド部51に接合されており(ボンド部51を介して電極13に接合されており)、且つ、第3部分33においてボンド部52に接合されている(ボンド部52を介して電極21に接合されている)。
【0031】
第1部分31は、ボンド部51を介して電極13に接合された基端部31aと、第2部分32に接続された先端部31cと、基端部31aと先端部31cとを接続する屈曲部31bと、からなる。ここでは、基端部31aは、電極13から表面10sと反対側(ここでは上側)に向けて延在して屈曲部31bに至っている。屈曲部31bは、表面10sと反対側に凸となるように屈曲している。先端部31cは、屈曲部31bから離れるにつれて表面10sに近づくように傾斜して延在し、第2部分32に至っている。以上の第1部分31は、全体として、表面20sよりも表面10s側(ここでは表面20sよりも下側)に位置している。すなわち、第1部分31は、表面20sよりも表面10s側に収められている。
【0032】
第1屈曲部41は、第1方向からみて表面20sよりも表面10s側に位置すると共に、第1部分31と第2部分32との間に介在されており、第1部分31と第2部分32とに接続されている。第1屈曲部41は、表面10s側に凸となるように屈曲している。これにより、第1屈曲部41は、第1方向からみたときのワイヤ30の傾斜を、第1部分31の先端部31cでの電極21に向かうにつれて表面10sに近づく傾斜から、後述する第2部分32での電極21に向かうにつれて表面10sから離れる傾斜に変換する。換言すれば、第1屈曲部41は、第2部分32を表面20s側に導くように屈曲している。第1屈曲部41は、ワイヤ30の延在方向におけるワイヤ30の中心よりも電極13側に位置している。
【0033】
第2部分32は、第1方向からみて、第1屈曲部41側の一部が表面20sよりも表面10s側に位置する(ここでは表面20sよりも下方に位置する)と共に、電極21側の残部が表面10sと反対側に表面20sから突出する(ここでは、表面20sよりも上方に位置する)。すなわち、第2部分32は、第1屈曲部41から表面10sと反対側に表面20sを越えて延在している。上述したように、ワイヤ30は、第2部分32が第1屈曲部41に導かれることによって、電極21に向かうにつれて表面10sから離れるように傾斜することとなる。
【0034】
第2屈曲部42は、第1方向からみて表面10sと反対側に表面20sから突出した位置に位置する(ここでは、表面20sよりも上方に位置する)と共に、第2部分32と第3部分33との間に介在されており、第2部分32と第3部分33とに接続されている。第2屈曲部42は、表面10s,20sと反対側に凸となるように屈曲している。これにより、第2屈曲部42は、第1方向からみたときのワイヤ30の傾斜を、第2部分での電極21に向かうにつれて表面10sから離れる傾斜から、後述する第3部分33での電極21に向かうにつれて表面20sに近づく傾斜に変換する。換言すれば、第2屈曲部42は、第3部分33を表面20s側に導くように屈曲している。第2屈曲部42は、ワイヤ30の延在方向におけるワイヤ30の中心よりも電極21側に位置している。
【0035】
第3部分33は、第1方向からみて、表面20sから表面10sと反対側に突出している(ここでは、表面20sよりも上方に位置する)。すなわち、第3部分33は、第1方向からみて、表面10sと反対側に表面20sを越えた位置から表面20sに向けて延在し、ボンド部52(電極21)に接合されている。上述したように、ワイヤ30は、第3部分33が第2屈曲部42に導かれることによって、電極21に向かうにつれて表面20sに近づくように傾斜することとなる。
【0036】
以上により、ワイヤ30は、全体として、第1屈曲部41において表面10s側に凸となるように屈曲しており、且つ、第2屈曲部42において表面10s,20sと反対側に凸となるように屈曲することにより、電極13から電極21にわたってM字状に延在することとなる。
【0037】
なお、ワイヤ30は、表面10s,20sに交差する第2方向からみて(図1の(a)において)、半導体チップ20の外縁20eに対して斜めに延在している(外縁20eに直交する線に対して傾斜している)。ただし、ワイヤ30は、第2方向からみて、半導体チップ20の外縁20eに直交する線に対して平行に延在していてもよい。
【0038】
樹脂部Mは、半導体チップ20の頂面(表面20s)を越えて、表面10s上に設けられている。これにより、半導体チップ20及びワイヤ30の全体が、樹脂部Mによって封止されることとなる。樹脂部Mの材料は、例えば、シリコーンやエポキシ等である。
【0039】
引き続いて、以上の半導体素子1の製造方法について説明する。図3~5は、図1に示された半導体素子を製造するための半導体素子製造方法の一工程を示す模式的な断面図である。この製造方法では、図3の(a)に示されるように、まず、搭載基板10、搭載基板10の表面10sに搭載された半導体チップ20、及び、少なくともワイヤ30のための母材30Aを用意する(工程S101、第1工程)。母材30Aは、例えば金といった金属によりワイヤ状に形成されている。母材30Aは、ワイヤボンディングのための装置が備えるキャピラリCに保持(挿通)されている。
【0040】
続いて、図3の(a)~(c)に示されるように、キャピラリCを第2接合点としての電極21に移動させ、キャピラリCから突出された母材30Aの先端30Aaを電極21に接合した後に当該先端30Aaを切断することにより、電極21にボンド部52を形成する(工程S102、第5工程)。より具体的には、この工程S102では、まず、キャピラリCから突出された母材30Aの先端30Aaを溶融させてワイヤボール形成する。続いて、熱や超音波を与えながらワイヤボールを電極21に押圧する。これにより、ワイヤボールからボンド部52が形成される。その後、ボンド部52を母材30Aから切り離す。
【0041】
続く工程では、図4の(a),(b)に示されるように、母材30Aを保持したキャピラリCを電極13上の位置に移動させ、キャピラリCから突出された母材30Aの新たな先端30Aaを第1接合点としての電極13に接合する(工程S103、第2工程)。より具体的には、この工程S103では、まず、キャピラリCから突出された母材30Aの先端30Aaを溶融させてワイヤボール形成する。その後、熱や超音波を与えながらワイヤボールを電極13に押圧する。これにより、図4の(c)に示されるように、ボンド部51が形成され、ボールボンディングがなされる。
【0042】
続いて、図4の(c)及び図5の(a)~(c)に示されるように、キャピラリCから母材30Aを導出させながら、また、母材30Aに癖付けを行いながらキャピラリCを移動させ、順に配列された第1部分31、第1屈曲部41、第2部分32、第2屈曲部42、及び、第3部分33を形成する(工程S104、第3工程)。
【0043】
そして、図5の(c)に示されるように、キャピラリCを電極21上の位置に移動させ、母材30Aを電極21に接合することにより、電極13から電極21にわたって延在するワイヤ30を構成する(工程S105、第4工程)。より具体的には、ここでは、母材30AをキャピラリCの先端部のエッジ部分でボンド部52に押圧し、熱又は超音波を与えることにより母材30Aをボンド部52に接合させた後、母材30Aを切断(ステッチ)させる。これにより、ステッチボンディングがなされる。その後、樹脂部Mを設けることにより、半導体素子1が得られる。
【0044】
以上説明したように、半導体素子では、搭載基板10と搭載基板10に搭載された半導体チップ20とを電気的に接続するためのワイヤ30が設けられている。ワイヤ30は、搭載基板10の半導体チップ20が搭載される表面10s上の電極13と、半導体チップ20の表面20s上の電極21とをつないでいる。ワイヤ30は、電極13から電極21に向けて(搭載基板10から半導体チップ20に向けて)順に配列された第1部分31、第1屈曲部41、第2部分32、第2屈曲部42、及び、第3部分33を含む。
【0045】
第1部分31は、ワイヤ30における電極13(ボンド部51)から延びる部分であって、表面20sよりも表面10s側(例えば表面20sよりも下方)に位置する。また、第3部分33は、ワイヤ30における電極21(ボンド部52)に接合される部分であって、表面10sと反対側に表面20sを越えた位置(例えば表面20sよりも上方)に位置する。第2部分32は第1部分31と第3部分33との間の部分であって、表面10s側の位置から表面20sを越えて延在している。
【0046】
このような構造によれば、ワイヤ30と搭載基板10との間に樹脂部Mの樹脂が配置されることとなる。これに対して、このワイヤ30にあっては、第1部分31と第2部分32との間の第1屈曲部41が、表面20sよりも表面10s側に位置し、且つ、第2部分32を表面20s側に導くように屈曲している。つまり、ワイヤ30は、第1屈曲部41が無い場合と比較して、第1屈曲部41に至るまでの間に(すなわち第1部分31を)表面10s側に延在させつつ、第1屈曲部41に至った後に(すなわち第2部分32が)表面20sを越えるように延在させられる。つまり、ワイヤ30が、第1屈曲部41が無い場合と比較して、搭載基板10と半導体チップ20とによって形成される角部に倣うように延在させられる。この結果、ワイヤ30が抱え込む樹脂量が低減される。よって、この半導体素子1によれば、熱サイクルに応じてワイヤ30に付加される応力を低減させ、信頼性の低下を抑制可能である。
【0047】
なお、半導体素子1では、ワイヤ30が、第2部分32と第3部分33との間の第2屈曲部42において表面20sを越えた位置で屈曲させられ、第3部分33が表面20s側に導かれる。そして、第3部分33が、表面20sを越えた位置から表面20sに向けて延在させられ、電極21(ボンド部52)に接合される。このため、第2屈曲部42及び第3部分33がなく、第2部分32が表面10s側から延びて直接的に電極21(ボンド部52)に接合される場合と比較して、ワイヤ30が半導体チップ20の角部に接触することが避けられる。よって、信頼性の低下をより抑制できる。
【0048】
また、半導体素子1では、第1屈曲部41は、ワイヤ30の延在方向の中心よりも電極13側に位置している。このため、第1屈曲部41が半導体チップ20から比較的離れた位置に形成されることとなる。この結果、例えば図5の(a)に示されるように第1屈曲部41を形成する際に、ワイヤ30を保持する保持具(例えば上記のキャピラリC)が半導体チップ20に接触することが抑制される。
【0049】
さらに、半導体素子1では、ワイヤ30は、表面10s,20sに交差する第2方向からみて、半導体チップ20の外縁20eに対して斜めに延在している。このため、ワイヤ30が半導体チップ20の外縁20eに垂直な場合と比較して、ワイヤ30の長さを長く確保しやすい。この結果、複数の部分及び複数の屈曲部を含むワイヤ30の上記構造を実現しやすい。
【0050】
なお、半導体素子1では、表面10sにおける電極13が設けられる領域と、表面10sにおける半導体チップ20が設けられる領域と、の間において、表面10s上にレジストといった絶縁部材60が形成されている。絶縁部材60は、例えば、搭載基板10のパターン形成や、表面10s上における配線間の絶縁といったような用途で用いられ得るが、表面10sとワイヤ30との間に介在することによってワイヤ30が抱え込む樹脂量の低減にも寄与する。よって、半導体素子1では、より確実に信頼性の低下が抑制される。
【0051】
また、本実施形態に係る半導体素子製造方法によれば、上述した半導体素子1が製造される。すなわち、信頼性の低下を抑制可能な半導体素子が得られる。特に、本実施形態に係る半導体素子製造方法は、工程S101の後であって工程S103の前に、キャピラリCを電極21に移動させ、キャピラリCから突出された母材30Aの先端30Aaを電極21に接合した後に当該先端30Aaを切断することにより、電極21にボンド部52を形成する工程S102を備えている。このとき、工程S105では、ボンド部52を介して母材30Aを電極21に接合する。この結果、ワイヤ30の各部を形成した後にキャピラリCから突出した母材30Aの先端を電極21に接合するに際に、電極21に既に形成されたボンド部52が介在されることとなるため、半導体チップ20側への衝撃が低減される。特に、ここでは、ワイヤ30の各部を形成するためのキャピラリC及び母材30Aを用いて、当該ボンド部52を形成するので、工程の簡略化が図られる。
【0052】
以上の実施形態は、本発明の一形態を説明したものである。したがって、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、任意に変形したものとされ得る。一例として、上記実施形態に係る半導体素子1は、半導体チップ20と電極13との間の距離Dや、半導体チップ20の高さTに応じて変形され得る。引き続いて、上記実施形態に係る半導体素子1の変形例について説明する。
[第1変形例]
【0053】
図6は、第1変形例に係る半導体素子を示す図である。図6の(a)は模式的な断面図であり、図6の(b)は拡大写真である。図6に示される例では、図1と比較して、電極13と半導体チップ20との距離Dが大きくされている。このような場合には、第1屈曲部41を半導体チップ20側に位置させることにより、表面20sよりも表面10s側に延在する第1部分31の長さを相対的に長くすることができる。これにより、第1屈曲部41は、ワイヤ30の延在方向における中心よりも電極21側に位置することとなる。なお、ここでは、第1部分31のうち、屈曲部31bよりも第2部分32側の先端部31cが延長されることにより、第1屈曲部41が電極21側に位置される。
【0054】
以上の第1変形例によれば、第1屈曲部41が半導体チップ20に比較的近い位置に形成されることとなる。この結果、ワイヤ30の表面10s側に延在する部分(第1部分31)が相対的に長く確保されることとなり、ワイヤ30が抱え込む樹脂量がより低減される。すなわち、ワイヤ30に付加される応力を確実に低減し、信頼性の低下を確実に抑制可能となる。
[第2変形例]
【0055】
図7は、第2変形例に係る半導体素子を示す図である。図7の(a)は模式的な断面図であり、図7の(b)は拡大写真である。図7の例では、図1と比較して、半導体チップ20の高さTが大きくされている。ここでは、第1部分31と第1屈曲部41との間に、第3屈曲部43及び第4部分34が介在されている。第3屈曲部43及び第4部分34は、電極13から電極21に向かう方向にこの順で配列されている。
【0056】
第3屈曲部43及び第4部分34は、表面20sよりも表面10s側に位置している。第3屈曲部43は、第1部分31と第4部分34とに接続されている。第3屈曲部43は、表面10s側に凸となるように屈曲している。すなわち、第3屈曲部43は、第1屈曲部41と同一の方向に凸となるように屈曲している。これにより、第3屈曲部43は、第1方向からみたときのワイヤ30の傾斜を、第1部分31の先端部31cでの電極21に向かうにつれて表面10sに近づく傾斜から、後述する第4部分34での電極21に向かうにつれて表面10sから離れる傾斜に変換する。換言すれば、第3屈曲部43は、第4部分34を表面20s側に導くように屈曲している。
【0057】
第4部分34は、第1部分31と第1屈曲部41とをつなぐように、電極21に向かうにつれて表面10sから離れるように傾斜して延在している。ここでは、第4部分34の長さの分だけ第1屈曲部41が電極21側に位置されることにより、第1屈曲部41がワイヤ30の延在方向における中心よりも電極21側に位置している。ただし、第1屈曲部41は、第4部分34の長さに応じて、ワイヤ30の延在方向における中心や、当該中心よりも電極13側に位置されてもよい。
【0058】
この例では、第1屈曲部41の前後(すなわち、第4部分34及び第2部分32)で、ワイヤ30の傾斜方向が変更されない。すなわち、ここでは、第1屈曲部41は、第4部分34での電極21に向かうにつれて表面10sから離れる傾斜を第2部分32でも維持するように、表面10s側に凸となるように屈曲することとなる。
【0059】
以上の第2変形例によれば、表面10sからの半導体チップ20の高さTを、少なくとも第2部分32と第4部分34との2つの部分によって確保することができるため、応力の集中が生じやすい急激な屈曲が不要となる。よって、信頼性の低下をより確実に抑制可能である。
[第3変形例]
【0060】
図8は、第3変形例に係る半導体素子を示す図である。図8の(a)は模式的な断面図であり、図8の(b)は拡大写真である。図8に示される例では、第1部分31の屈曲部31bの屈曲の角度が図1の例と比較して大きくされている。より具体的には、屈曲部31bが、表面10sに垂直に延びる基端部31aと、表面10sに平行に延びる先端部31cとをつなぐように、直角に屈曲している。
【0061】
このような第3変形例によれば、第1部分31が電極13から表面10sに沿って延びることとなり、ワイヤ30が抱え込む樹脂量をさらに低減できる。すなわち、ワイヤ30に付加される応力を確実に低減し、信頼性の低下を確実に抑制可能となる。
【0062】
なお、以上の半導体素子1では、半導体チップ20の表面20sにボンド部52が設けられ、ワイヤ30がこのボンド部52に接合される例について説明した。このようなボンド部52は、例えば、上述したようにワイヤ30の配設に先立ってワイヤ30と同一の材料により設置することができる。しかし、半導体素子1では、ボンド部52は必須でなく、ワイヤ30が半導体チップ20に直接的に接合されていてもよい。また、ボンド部52を設ける場合であっても、ワイヤ30のためのワイヤボンディング装置と異なる装置によって、別途、ボンド部52が設けられてもよい。
【0063】
さらに、半導体素子1では、ボンド部51,52の位置は任意に設定され得る。したがって、第2方向からみたとき、ボンド部51,52(電極13,21)の位置関係に応じて、半導体チップ20の外縁20eに対するワイヤ30の傾斜も任意に設定され得る。
【符号の説明】
【0064】
1…半導体素子、10…搭載基板、10s…表面(第1面)、13…電極(第1接合点)、20…半導体チップ、20s…表面(第2面)、21…電極(第2接合点)、30…ワイヤ、31…第1部分、32…第2部分、33…第3部分、34…第4部分、41…第1屈曲部、42…第2屈曲部、51…ボンド部、52…ボンド部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8