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特開2024-180688料金算出装置、料金算出方法及び料金算出用プログラム
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  • 特開-料金算出装置、料金算出方法及び料金算出用プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180688
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】料金算出装置、料金算出方法及び料金算出用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/40 20240101AFI20241219BHJP
【FI】
G06Q50/40
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024185991
(22)【出願日】2024-10-22
(62)【分割の表示】P 2021043753の分割
【原出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真帆
(72)【発明者】
【氏名】松林 佑介
(72)【発明者】
【氏名】友野 瑞基
(72)【発明者】
【氏名】堀内 裕人
(72)【発明者】
【氏名】岸本 悠希
(57)【要約】
【課題】免許返納後の高齢者であっても、より安価に且つ安心して利用できるようになると共に、交通手段としてのタクシーの利便性を高めることが可能な料金算出装置等を提供する。
【解決手段】高齢者等の利用者の訪問地ごとの、例えば自宅からの訪問履歴を示す行動履歴データを、利用者及び訪問地ごとに取得し、取得された行動履歴データに基づいて、利用者が訪問地を訪れる際に利用するタクシーの利用料金を既定の一定期間に対する額として算出する料金算出部2を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の訪問地ごとの訪問履歴を示す履歴情報を取得する取得手段と、
前記取得された履歴情報に基づいて、前記利用者が利用する交通手段の一定期間内における一定利用料金を算出する算出手段と、
を備えることを特徴とする料金算出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、料金算出装置、料金算出方法及び料金算出用プログラムの技術分野に属する。より詳細には、タクシー等の交通手段を利用する場合に必要となる料金を算出する料金算出装置及び料金算出方法並びに当該料金算出装置において用いられる料金算出用プログラムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢者が運転する車両の事故が多くなってきており、社会的にも関心が高い。また、当該事故の危険性を鑑みたとき、免許を返納する高齢者も増えている。ここで、このような免許返納者が当該返納までは車両で訪れていた場所に改めて訪れる場合、考えられる交通手段としては、電車、バス又はタクシーが挙げられる。そして、高齢者であることを考えると、駅又はバス停までいく必要がないことから、タクシーを利用することが多くなると考えられる。
【0003】
一方、タクシーを利用する場合には、その利用料金が発生するが、頻繁にタクシーを利用することとなる免許返納者のことを考慮すると、なるべく低廉な料金で効率的にタクシーを利用できることが好ましい。このような要請に鑑みて為された従来技術を開示した先行技術文献としては、例えば下記特許文献1が挙げられる。
【0004】
この特許文献1には、いわゆる相乗りをしようとする利用者に対してそのための料金を提示する場合に、ユーザが有する情報端末から、出発地を示す出発地情報と、目的地を示す目的地情報とを含む、タクシーの配車を依頼するための配車条件を取得し、ユーザに対してタクシーが配車される前に、出発地と目的地とに基づいて、ユーザが相乗りをしない場合に適用される標準乗車料金よりも安い、ユーザが相乗りをする場合に適用される割引乗車料金を算出し、その割引乗車料金を情報端末に表示させる構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-6959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている従来技術では、上述したような免許返納後の高齢者の移動について検討することは、一切為されていない。よって、上記特許文献1に開示されている従来技術では、上述したような高齢者が安心して利用できるようにすると共に、その結果としてタクシーの利用促進を図るという課題は解決できない。
【0007】
そこで、本願は上記の要請及び問題点に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、例えば免許返納後の高齢者であっても、より安価に且つ安心して利用できるようになると共に、交通手段としてのタクシーの利便性を高めることが可能な料金算出装置及び料金算出方法並びに当該料金算出装置において用いられる料金算出用プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、利用者の訪問地ごとの、予め設定された地点からの訪問履歴を示す履歴情報を、前記利用者及び前記訪問地ごとに取得する取得手段と、前記取得された履歴情報に基づいて、前記利用者が前記訪問地を訪れる際に利用する交通手段の利用料金を予め設定された一定期間に対する額として算出する算出手段と、を備える。
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項6に記載の発明は、取得手段と、算出手段と、を備える料金算出装置において実行される料金算出方法であって、利用者の訪問地ごとの、予め設定された地点からの訪問履歴を示す履歴情報を、前記取得手段により前記利用者及び前記訪問地ごとに取得する取得工程と、前記取得された履歴情報に基づいて、前記利用者が前記訪問地を訪れる際に利用する交通手段の利用料金を予め設定された一定期間に対する額として前記算出手段により算出する算出工程と、を含む。
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項7に記載の発明は、コンピュータを、利用者の訪問地ごとの、予め設定された地点からの訪問履歴を示す履歴情報を、前記利用者及び前記訪問地ごとに取得する取得手段、及び、前記取得された履歴情報に基づいて、前記利用者が前記訪問地を訪れる際に利用する交通手段の利用料金を予め設定された一定期間に対する額として算出する算出手段、として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態の料金算出装置の概要構成を示すブロック図である。
図2】実施例の料金算出システムの概要構成を示すブロック図である。
図3】実施例の料金算出システムを構成するユーザ端末等の細部構成を示すブロック図等であり、(a)は当該ユーザ端末の細部構成を示すブロック図であり、(b)は当該料金算出システムを構成するサーバの細部構成を示すブロック図である。
図4】実施例の行動履歴データの内容を例示する図である。
図5】実施例の料金算出処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本願を実施するための形態について、図1を用いて説明する。なお図1は、実施形態の料金算出装置の概要構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、実施形態の料金算出装置Sは、取得手段1と、算出手段2と、を備えて構成されている。
【0014】
この構成において取得手段1は、利用者の訪問地ごとの、予め設定された地点からの訪問履歴を示す履歴情報を、前記利用者及び前記訪問地ごとに取得する。
【0015】
そして算出手段2は、取得手段1により取得された履歴情報に基づいて、上記利用者が上記訪問地を訪れる際に利用する交通手段の利用料金を予め設定された一定期間に対する額として算出する。
【0016】
以上説明したように、実施形態の料金算出装置Sの動作によれば、利用者の訪問地ごとの履歴情報に基づいて、その利用者が訪問地を訪れる際に利用する交通手段の利用料金を既定の一定期間に対する料金として算出する。
【0017】
よって、履歴情報に対応してより安価に且つ安心して利用できるようになることで、当該交通手段の利便性を高めることができる。
【実施例0018】
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例について、図2乃至図5を用いて説明する。なお以下に説明する実施例は、例えば免許返納後の高齢者がタクシーを利用して移動をする場合の当該タクシー料金を、それを利用する高齢者ごと及び当該タクシーを利用してその高齢者が訪問する訪問地ごとに、例えば月額として算出する料金算出処理を実行する料金算出システムに対して本願を適用した場合の実施例である。なお以下の説明において、上記免許返納後の高齢者を単に「高齢者」と称する。
【0019】
また、図2は実施例の料金算出システムの概要構成を示すブロック図であり、図3は当該料金算出システムを構成するユーザ端末等の細部構成を示すブロック図であり、図4は実施例の行動履歴データの内容を例示する図であり、図5は実施例の料金算出処理を示すフローチャートである。このとき図3では、図1に示した実施形態の料金算出装置Sにおける各構成部材に対応する実施例の構成部材それぞれについて、当該料金算出装置Sにおける各構成部材と同一の部材番号を用いている。
【0020】
図2に示すように、実施例の料金算出システムSSは、高齢者の使用に供されつつ実施例の料金算出システムSSの一部として機能するユーザ端末T1、ユーザ端末T2、…、ユーザ端末Tn(nは自然数。以下、同様。)と、上記料金算出システムSSの一部として機能するサーバSVと、実施形態の交通手段の一例としてのタクシーに備えられ且つ当該タクシーの乗務員に対して種々の情報を提供するタクシー端末TX1、…、タクシー端末TXm(mは自然数。以下、同様。)と、を備えて構成されている。そして、上記ユーザ端末T1、上記ユーザ端末T2、…、上記ユーザ端末Tnと、上記タクシー端末TX1、…、上記タクシー端末TXmと、サーバSVと、は、インターネット等のネットワークNWを介して相互に情報又はデータの授受が可能に接続されている。このとき、サーバSVは、例えば高齢者が利用するタクシーが所属するタクシー会社に備えられていてもよいし、当該タクシー会社以外の、実施例の料金算出システムを提供する会社に備えられていてもよい。また以下の説明において、上記ユーザ端末T1、上記ユーザ端末T2、…、上記ユーザ端末Tnに共通の事項を説明する場合、これらを纏めて「ユーザ端末T」と称する。また、上記タクシー端末TX1、…、上記タクシー端末TXmに共通の事項を説明する場合、これらを纏めて「タクシー端末TX」と称する。
【0021】
以上の構成において、上記料金算出システムSSの機能の一部として、ユーザ端末Tのそれぞれからは、当該ユーザ端末Tを使用する高齢者が種々の場所を移動した(行動した)場合の、その移動の態様を示す行動データが、当該移動ごとにネットワークNWを介してサーバSVに送信される。このとき送信される行動データには、例えば、各ユーザ端末Tの位置を示す位置データ、当該位置データにより示される位置が検出された時刻を示す時刻データ、及び当該行動データを送信したユーザ端末Tを他のユーザ端末Tから識別するための端末識別データ等が含まれている。ここで、当該端末識別データは、通常は、当該ユーザ端末Tを使用する高齢者を識別するためのユーザ識別データである。そしてサーバSVは、各ユーザ端末Tから送信されてきた位置データ及び時刻データを、同時に送信されてきた端末識別データに関連付けて、実施例の行動履歴データとして高齢者ごとに不揮発性に記録する。なお以下の説明において、ユーザ端末Tを使用する高齢者を、そのユーザ端末Tについての「端末使用者」と称する。
【0022】
一方、例えば端末使用者による利用予約が当該ユーザ端末Tにおいて行われると、タクシー端末TXのそれぞれには、当該利用予約の内容を示すデータが、サーバSV又はその他の図示しない予約サーバ等を介して配信される。この利用予約の内容を示すデータには、利用者たる高齢者の氏名、予約場所(すなわち当該高齢者がタクシーに乗車する予定の場所)及び予約時刻を示す情報が含まれている。これにより、サーバSVは、当該利用予約に対応して、予約場所の近辺を走行中の空きタクシーを検索し、当該検索された空きタクシーに備えられたタクシー端末TXに対して、上記利用予約を示すデータ等を送信する。これらにより、当該タクシー端末TXが備えられているタクシー(上記空きタクシー)の乗務員は、当該予約場所に当該予約時刻に配車し、予約をした高齢者を乗せてその目的地に向けてタクシーを運行する。
【0023】
次に、実施例の料金算出システムSSを構成する上記ユーザ端末T及びサーバSVそれぞれの細部構成及び動作について、図2乃至図5を用いて説明する。
【0024】
図3(a)に示すように、実施例の各ユーザ端末Tのそれぞれは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等からなる処理部20と、HDD(Hard Disc Drive)又はSSD(Solid State Drive)等からなる不揮発性の記録部21と、操作ボタン等からなる操作部22と、マイク23と、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)撮像素子等からなるカメラ24と、GNSS(Global Navigation Satellite System)又は自立航法システム等を構成するセンサ部25と、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ26と、スピーカ27と、インターフェース28と、により構成されている。
【0025】
以上の構成において記録部21には、実施例の料金算出システムSSの機能の一部としてユーザ端末Tが担うべき機能の発揮に必要なプログラムやデータ等が不揮発性に記録されており、必要に応じて処理部20により読み出される。またマイク23は、処理部20の制御の下、上記端末使用者の発話の音を集音し、その集音結果に相当する音データを処理部20に出力する。更にカメラ24は、処理部20の制御の下、例えばユーザ端末Tの周囲の撮像結果に相当する画像データを処理部20に出力する。更にまた、センサ部25は、処理部20の制御の下、上記GNSS等を用いて、ユーザ端末Tの現在位置、移動速度及び進行方向等を検出し、その検出結果を示す検出データを生成して処理部20に出力する。
【0026】
一方ディスプレイ26は、処理部20の制御の下、ユーザ端末Tが担うべき上記機能に必要な画像又は地図等を表示する。またスピーカ27は、処理部20の制御の下、ユーザ端末Tが担うべき上記機能に必要な音声等を放音する。更にインターフェース28は、処理部20の制御の下、ユーザ端末Tが担うべき上記機能に必要な情報又はデータの、ネットワークNWを介したサーバSVとの間の授受を制御する。更にまた操作部22は、ユーザ端末Tに対する指示操作がその端末使用者により実行された場合、当該指示操作に対応する操作信号を生成して処理部20に出力する。これらにより処理部20は、上記操作信号に基づいて、ユーザ端末Tを構成するセンサ部25及びインターフェース28等の各部材を制御しつつ、ユーザ端末Tが担うべき上記機能の発揮を制御する。
【0027】
ここで、ユーザ端末Tが担うべき上記機能を、その端末使用者がタクシーを利用して自宅から所望の訪問地を訪れてから帰宅する場合を例として説明する。この場合に、各ユーザ端末Tの処理部20は初めに、例えばタクシーの配車予約処理のための操作が操作部22において実行されたことを契機として、ユーザ端末Tの移動開始地点(換言すれば、その端末使用者の自宅)の位置を示す位置データ、及び当該ユーザ端末Tの端末使用者が自宅を出発した時刻を示す時刻データをセンサ部25から取得する。その後処理部20は、当該取得した位置データ及び時刻データを、当該端末使用者を他の高齢者から識別するためのユーザ識別データ(端末識別データ)に関連付けて、インターフェース28及びネットワークNWを介してサーバSVに送信する。次に、当該端末使用者が訪問地に到着した場合、処理部20は、到着時のユーザ端末Tの位置(すなわち訪問地の位置)を示す位置データ、及び当該ユーザ端末Tの端末使用者が訪問地に到着した時刻を示す時刻データをセンサ部25から取得し、当該取得した位置データ及び時刻データを、端末使用者が訪れた訪問地を他の訪問地から識別するための訪問地識別データ及び上記ユーザ識別データに関連付けて、インターフェース28及びネットワークNWを介してサーバSVに送信する。
【0028】
次に、当該端末使用者が訪問地を出発して帰宅する場合、処理部20は、当該ユーザ端末Tの端末使用者が訪問地を出発した時刻を示す時刻データをセンサ部25から取得し、当該取得した時刻データを、上記ユーザ識別データに関連付けて、インターフェース28及びネットワークNWを介してサーバSVに送信する。最後に、当該端末使用者が帰宅した場合、処理部20は、当該帰宅時刻を示す時刻データをセンサ部25から取得し、当該取得した時刻データを上記ユーザ識別データに関連付けて、インターフェース28及びネットワークNWを介してサーバSVに送信する。
【0029】
これらによりサーバSVは、自宅出発時、訪問地到着時、訪問地出発時及び帰宅時のそれぞれにおいて、上述したようにユーザ端末Tからそれぞれ送信されてきた位置データ及び時刻データを、端末使用者ごと、訪問日ごと且つ一の移動(訪問)ごとに、図4に例示する実施例の行動履歴データAHとして、相互に識別可能且つ不揮発性に、後述するサーバSVの記録部11に記録する。このときサーバSVの後述する処理部10は、上記訪問地到着時の時刻データ及び上記訪問地出発時の時刻データに基づき、当該訪問地における滞在時間を示す滞在時間データを、ユーザ識別データに関連付けて記録する。併せて処理部10は、各位置データに基づき、当該訪問における移動距離(往復の距離又は片道の距離のいずれか)を示す距離データを、ユーザ識別データに関連付けて記録する。
【0030】
なお、各ユーザ端末Tからは、後述する実施例の料金算出処理によるタクシーの月額利用料金の算出を要求する旨の要求情報も、インターフェース28及びネットワークNWを介してサーバSVに送信される。この要求情報には、上記端末識別データ(上記ユーザ識別データ)と、当該月額利用料金の対象となる訪問地を示す訪問地データと、が含まれている。
【0031】
次に、上記実施例のサーバSVの細部構成及び機能について、図3(b)乃至図5を用いて説明する。図3(b)に示すように、実施例のサーバSVは、CPU、ROM及びRAM等からなる処理部10と、HDD又はSSD等からなる不揮発性の記録部11と、キーボード及びマウス等からなる操作部12と、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ13と、インターフェース1と、により構成されている。
【0032】
また処理部10は、料金算出部2を備えて構成されている。このとき、料金算出部2は、処理部10を構成するハードウエアロジック回路により実現されてもよいし、実施例の料金算出処理を示すフローチャートに対応するプログラムを処理部10が記録部11から読み出して実行することにより、ソフトウェア的に実現されてもよい。そして、インターフェース1が実施形態の取得手段1の一例に相当し、料金算出部2が実施形態の算出手段2の一例に相当する。
【0033】
以上の構成において、記録部11には、図4に例示する上記行動履歴データAHが不揮発性に記録されている。このとき当該行動履歴データAHは、上述したように、インターフェース1を介してユーザ端末Tのいずれかから受信された上記位置データ、上記時刻データ及び上記ユーザ識別情報等を用いて、処理部10により生成され記録されたものである。
【0034】
これに加えて、記録部11には、実施例の料金算出システムSSの機能の一部としてサーバSVが担うべき機能の発揮に必要な上記プログラムやデータ等が不揮発性に記録されており、必要に応じて処理部10により読み出される。また、サーバSVの管理者は、上述したサーバSVとしての実施例の料金算出処理に必要な指示等を、操作部12を用いて入力する。これにより操作部12は、当該指示等に対応する指示信号を生成して処理部10に出力する。これにより処理部10(料金計算部2)は、当該指示信号に基づいてサーバSVとしての処理を統括制御する。このとき上記管理者に提示すべき情報等は、例えばディスプレイ13を用いて画像表示等により当該管理者に提示される。
【0035】
次に、処理部10を中心として実行される、実施例の料金算出処理について具体的に説明する。実施例の料金算出処理は、高齢者が利用するタクシーが所属するタクシー会社において、その高齢者について月額で一定の訪問地ごとの利用料金を算出する処理であり、例えば予め設定された時間ごとに開始される。なお以下の説明において、訪問地ごとの月額として一定の利用料金を、単に「月額利用料金」と称する。
【0036】
実施例の料金算出処理が開始されると、処理部10は、端末使用者(高齢者)が使用するいずれかのユーザ端末Tから、実施例の料金算出処理によるタクシーの月額利用料金の算出を要求する旨の上記要求情報が、上記端末識別データに関連付けて送信されてきたか否かを監視している(ステップS1)。ステップS1の監視において、上記要求情報の送信がない場合(ステップS1:NO)、処理部10は後述するステップS4に移行する。一方、ステップS1の監視において、いずれかのユーザ端末Tから上記要求情報が送信されてきた場合(ステップS1:YES)、処理部10の料金算出部2は、送信されてきた要求情報に含まれていた端末識別データ(換言すれば、そのユーザ端末Tを使用する高齢者を他の高齢者から識別するためのユーザ識別データ)及び訪問地データ、並びにその時点で当該高齢者について記録部11に記録されている行動履歴データAHに基づき、当該高齢者ごと且つ当該訪問地ごとに、次月又は次月以降の月ごとに一定の利用料金を、実施例の月額利用料金として算出する(ステップS2)。その後処理部10は、算出された月額利用料金を訪問地ごとに示す月額利用料金データを、上記端末識別データを手掛かりとして、上記要求情報を送信してきたユーザ端末Tに送信する(ステップS3)。その後処理部10は、例えばサーバSVの操作部12からの上記指示信号において実施例の料金算出処理を終了すべき旨が示されている等の理由により、実施例の料金算出処理を終了するか否かを判定する(ステップS4)。ステップS4の判定において、実施例の料金算出処理の終了が指示されている場合(ステップS4:YES)、処理部10はそのまま当該実施例の料金算出処理を終了する。一方、ステップS4の判定において、実施例の料金算出処理の終了が指示されていない場合(ステップS4:NO)、処理部10は、上記ステップS1に戻り、新たな要求情報についての上述した一連の料金算出処理を継続する。なお、算出された月額利用料金の請求については、月ごと又は複数月ごとにクレジットカード払いとすることにより請求されることが好ましい。
【0037】
次に、上記ステップS2の月額利用料金の算出処理について、具体的に説明する。すなわち、当該算出処理では、上記端末識別データ、上記訪問地データ及び上記行動履歴データAHに基づき、例えば以下の(I)乃至(III)の規則により月額利用料金を算出する。
(I)一の訪問地について、予め設定された一ヶ月間における訪問回数が多いほど、月額利用料金を安くする。この場合に、一ヶ月の訪問回数が予め設定された閾値以下の場合は、実施例の月額利用料金の対象外とするのが好ましい。
(II)一の訪問地について、その訪問時のタクシーによる移動距離(往復の距離又は片道の距離)が短いほど、月額利用料金を安くする。
(III)一の訪問地について、例えば雨が多い季節(換言すれば、タクシーを利用する機会が増えると考えられる季節)については、月額利用料金を高く設定する。
【0038】
なお、上記各規則については、それぞれを単独で用いて月額利用料金を算出してもよいし、二つ以上を重畳させて(又は重み付けをしつつ重畳して)月額利用料金を算出してもよい。更に、予め設定された複数の月に渡って月額利用料金をそれぞれ算出する場合、複数の月についての月額を同一(均一な月額料金)としてもよいし、月ごとに異なるように算出してもよい。或いは、年間で一定料金とする年額制としてもよい。
【0039】
以上説明したように、実施例の料金算出システムSSにおける料金算出処理によれば、高齢者たる端末使用者の訪問地ごとの行動履歴データAHに基づいて、その端末使用者が訪問地を訪れる際に利用するタクシーの利用料金を既定の一定期間に対する料金(例えば月額利用料金)として算出するので、行動履歴データAHに対応してより安価に且つ安心して利用できるようになることで、タクシー自体の利便性を高めてその利用量を増大させることができる。
【0040】
また、行動履歴データAHにより示される訪問履歴が、利用者の訪問地ごとの、自宅からの移動距離又は過去の訪問日等を示す訪問履歴であるので、端末使用者ごと且つ訪問地ごとの利用料金を適切に算出することができる。
【0041】
更に、複数月の月額利用料金を同額として算出する場合は、端末使用者の立場から見てより安価にタクシーを利用させることができる。一方、月額利用料金の額を月ごとに算出する場合は、訪問履歴に応じてより適切に利用料金を算出することができる。
【0042】
なお、上述した実施例では、端末使用者がタクシーを利用して移動する場合の出発地が自宅である場合について説明したが、これ以外に、自宅以外の地点間を移動する際にタクシーを利用する場合の料金算出に対して実施形態を適用することも可能である。この場合は、行動履歴データAHに加えて、自宅以外の地点を出発地とし、自宅以外の他の地点を訪問地とする行動履歴データを、当該出発地ごと及び/又は当該訪問地に新たに記録するように構成されるのが好適である。
【0043】
また、上述した実施例は、タクシーの利用料金を算出する場合について説明したが、これ以外に、例えば乗り合いバスや地域のいわゆるコミュニティバス等の利用料金を算出する場合に実施例の料金算出処理を適用することも可能である。
【0044】
更に、図5に示したフローチャートに相当するプログラムを、光ディスク又はハードディスク等の記録媒体に記録しておき、或いはインターネット等のネットワークを介して取得しておき、これを汎用のマイクロコンピュータ等に読み出して実行することにより、当該マイクロコンピュータ等を実施例に係る処理部10として機能させることも可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 取得手段(インターフェース)
2 算出手段(料金算出部)
10、20 処理部
SS 料金算出システム
AH 行動履歴データ
T、T1、T2、Tn ユーザ端末
TX1、TXm タクシー端末
図1
図2
図3
図4
図5