(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018073
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】姿勢サポート具
(51)【国際特許分類】
A47C 16/00 20060101AFI20240201BHJP
A01B 75/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
A47C16/00 Z
A01B75/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121149
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】520273669
【氏名又は名称】佐々木 創太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 創太郎
【テーマコード(参考)】
2B041
3B095
【Fターム(参考)】
2B041AA15
2B041BB20
3B095GA03
(57)【要約】
【課題】片膝姿勢で使用した場合に上体を起こしても倒れ難い姿勢サポート具を得る。
【解決手段】 一方の脚の膝を立てるとともに他方の脚の膝を着いた片膝姿勢をサポートする姿勢サポート具であって、使用時に、胴体と地面との間に介在する支持棒と、前記支持棒の上端部に設けられ、前記胴体に宛がわれるとともに、その胴体と前記一方の脚の大腿部との間に挟まれる胴当てとを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の脚の膝を立てるとともに他方の脚の膝を着いた片膝姿勢をサポートする姿勢サポート具であって、
使用時に、胴体と地面との間に介在する支持棒と、前記支持棒の上端部に設けられ、前記胴体に宛がわれるとともに、その胴体と前記一方の脚の大腿部との間に挟まれる胴当てとを備えることを特徴とする姿勢サポート具。
【請求項2】
前記胴当てが、前記胴体と前記大腿部の付け根との間には挟まれるものである請求項1記載の姿勢サポート具。
【請求項3】
前記胴当ての下面に凹状に湾曲した湾曲部が形成されている請求項1記載の姿勢サポート具。
【請求項4】
前記支持棒の下端部に設けられ、使用時に、前記他方の脚の膝を支持する膝置きをさらに備えている請求項1記載の姿勢サポート具。
【請求項5】
前記胴当てと前記膝置きとが、前記支持棒の軸方向から見て互いに反対側に向かって延びている請求項4記載の姿勢サポート具。
【請求項6】
前記膝置きの下面に三つの支持を備えている請求項4記載の姿勢サポート具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、姿勢サポート具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば草引きなどの農作業は、一方の脚の膝を着くとともに他方の膝を立てた姿勢(以下、「片膝姿勢」ともいう)で行う場合があるが、この片膝姿勢は、足腰に疲労が溜まり易く、長時間作業を続けることができない。このため、出願人は、片膝姿勢にも使用できる中腰作業補助具を開発した。この中腰作業補助具は、特許文献1に示すように、胸当てと、胸当ての中心から直角下方に伸びだし地面に向かう支軸とを備えたものであり、胸当てに上体をあずけることができるので、足腰に疲労が溜まり難くなる。
【0003】
しかしながら、特許文献1に示す中腰作業補助具は、使用者が胸で支軸を地面に押さえ付けることで倒れないように保持されるものであり、例えば使用者が一息着くため上体を起こすと、倒れてしまう。したがって、上体を起こす際には、倒れないように手で支える必要があり、仮に作業で両手が塞がっている場合には、一旦手に持っている道具などを離さなければならず、この動作が面倒となる。このため、ユーザから改善できないかとの要望があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、片膝姿勢で使用した場合に上体を起こしても倒れ難い姿勢サポート具を得ることを主な課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る姿勢サポート具は、一方の脚の膝を立てるとともに他方の脚の膝を着いた片膝姿勢をサポートする姿勢サポート具であって、使用時に、胴体と地面との間に介在する支持棒と、前記支持棒の上端部に設けられ、前記胴体に宛がわれるとともに、その胴体と前記一方の脚の大腿部との間に挟まれる胴当てとを備えることを特徴とするものである。
【0007】
このような構成によれば、上体を起こしても、胴当てが一方の脚の大腿部に引っ掛かるので、倒れ難くなる。また、胴当てを一方の脚の大腿部と胴体との間に挟んで保持するので、その胴当てが設けられた支持棒の一端部がブレ難くなる。これにより、胴体を安定して支持できる。また、胴体と一方の脚の大腿部とで挟んだ胴当てにもたれられるとともに、その胴当てによって上体が強制的に起き上がるので、足腰への負担が減る。これにより、片膝姿勢を長時間続けても足腰に疲労が溜まり難くなる。その結果、例えば農作業などを長時間続けることができ、作業効率が向上する。
【0008】
前記特許文献1に示す中腰作業補助具では、胸当てを胴体の鳩尾部辺りに宛がうが、この時、胸当てが胸に接触するため、女性ユーザの中にはこれに抵抗を感じる者がいた。
【0009】
そこで、前記胴当てが、前記胴体と前記大腿部の付け根との間には挟まれるものであってもよい。
【0010】
このような構成であれば、胴当てが胴体の腹部辺りに宛がわれるので、胸に接触することがない。また、上体を起こしても、胴当てが、胴体と大腿部の付け根との間により保持されるので、より倒れ難くなる。さらに、上体を倒す際に、僅かに倒しただけで胴体が胴当てに当たる。このため、その後、上体を胴当てで支えながら徐々に倒すことができるので、上体を倒す際に腰への負担が減る。
【0011】
また、前記胴当ての下面に凹状に湾曲した湾曲部が形成されているものあってもよい。
【0012】
このような構成によれば、胴当てが大腿部にフィットするので、引っ掛かり易くなり、より倒れ難くなる。
【0013】
また、前記支持棒の下端部に設けられ、使用時に、前記他方の脚の膝を支持する膝置きをさらに備えているものであってもよい。
【0014】
このような構成によれば、膝置きを他方の脚の膝で押さえつけるので、その膝置きが設けられた支持棒の他端部がブレ難くなる。これにより、より胴体を安定して支持できる。また、膝を直接地面に着かなくてもよいので、被服が汚れない。
【0015】
また、前記胴当てと前記膝置きとが、前記支持棒の軸方向から見て互いに反対側に向かって延びているものであってもよい。
【0016】
このような構成によれば、片膝姿勢のまま一方の脚を前に出して移動する場合、膝置きが邪魔にならない。
【0017】
また、前記膝置きの下面に三つの支持足が設けられている請求項3記載の姿勢サポート具。
【0018】
このような構成によれば、膝置きを地面に対し安定して支持できる。
【発明の効果】
【0019】
このように本発明に係る姿勢サポート具であれば、片膝姿勢で使用した場合に、上体を起こしても倒れ難い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態の姿勢サポート具を模式的に示す斜視図である。
【
図2】実施形態の姿勢サポート具を模式的に示す断面図である。
【
図3】実施形態の姿勢サポート具の使用状態を示す模式図である。
【
図4】他の実施形態の姿勢サポート具を模式的に示す斜視図である。
【
図5】他の実施形態の姿勢サポート具を模式的に示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態に係る姿勢サポート具について
図1~
図5を参照しながら説明する。
【0022】
<実施形態> 本実施形態の姿勢サポート具100は、例えば農作業や園芸作業などを片膝姿勢で行う場合に使用されるものである。姿勢サポート具100は、
図1及び
図2に示すように、支持棒10と、支持棒10の上端部に取り付けられた胴当て20と、支持棒10の下端部に取り付けられた膝置き30とを備えている。
【0023】
前記支持棒10は、使用時に使用者の胴体と地面との間に介在するように配置されるものである。支持棒10は、使用者に合わせて長さを調節できるように構成されている。具体的には、支持棒10は、外筒体11と、外筒体11に差し込まれた内筒体12と、外筒体11と内筒体12との間に介在し支持棒10の全長を調節するための長さ調節機構13とを備えている。
【0024】
前記外筒体11は、長尺状をなし、使用者が握り易いように外面にグリップ11gが巻かれている。前記内筒体12は、長尺状をなし、外筒体11の内径と同一又は僅かに小さい外径を有しており、外筒体11内を軸方向へスライド移動できるようになっている。
【0025】
前記長さ調節機構13は、外筒体11の外面に軸方向に沿って複数形成された貫通孔11aと、内筒体12外面から突出するピン12aとを備えている。各貫通孔11aは、一列に並べて等間隔に形成されている。ピン12aは、内筒体12の外方(径方向)へ向かって付勢されており、付勢力に抗するように押圧することで内筒体12内へ引っ込むように構成されている。そして、長さ調節機構13は、ピン12aを引っ込めた状態で内筒体12を外筒体11に対してスライド移動させ、いずれかの貫通孔11aにピン12aを篏合させることにより、支持棒10の全長を段階的に調節できるようになっている。
【0026】
前記胴当て20は、略楕円球状をなし、使用時に使用者の胴体と一方の脚の大腿部との間に挟まれて保持されるものである。胴当て20の上面には、長手方向に切断した断面形状が凹状の上面湾曲部21が形成されており、その上面湾曲部21が使用時に胴体に密着するようになっている。また、胴当て20の下面には、長手方向に切断した断面形状が凹状に下面湾曲部22が形成されており、その下面湾曲部22が使用時に一方の脚の大腿部に密着するようになっている。また、胴当て20の表面には、少なくとも上面湾曲部21及び下面湾曲部22に軟質のクッション材(図示せず)が貼り付けられている。つまり、クッション材は、胴当て20の表面における使用者に接触する箇所に貼り付けられている。
【0027】
そして、前記胴当て20は、その長手方向の一端部が支持棒10の上端部に取り付けられている。したがって、胴当て20は、支持棒10の上端部からその支持棒10の軸方向と交差する方向へ延びている。より具体的には、胴当て20は、その一端部の下面22が胴当て用ジョイント機構40を介して支持棒10の上端部に揺動可能に取り付けられている。本実施形態の胴当て用ジョイント機構40は、ボールジョイント機構である。したがって、胴当て20は、支持棒10の上端部に対して前後左右に揺動可能になっており、また、支持棒10の周方向に回転可能になっている。なお、胴当て20は、長手方向の他端部が先細り状に形成され持ち手23になっている。
【0028】
前記膝置き30は、長尺板状のものであり、使用時に他方の脚の膝が置かれるものである。膝置き30は、その長手方向の一端部が支持棒10の下端部に取り付けられている。したがって、膝置き30は、支持棒10の下端部からその支持棒10の軸方向と交差する方向へ延びている。また、膝置き30は、使用時に支持棒10の軸方向から見て胴当て20の延伸方向と反対側へ向かって延伸するように配置される。膝置き30は、その一端部の上面が膝置き用ジョイント機構50を介して支持棒10の下端部に揺動可能に取り付けられている。本実施形態の膝置き用ジョイント機構50は、ボールジョイント機構である。したがって、支持棒10は、膝置き30に対して前後左右に揺動可能になっており、また、膝置き30に対して周方向に回転可能になっている。また、膝置き30の上面には、軟質のクッション材が貼り付けられている。
【0029】
また、前記膝置き30は、その下面に三つの支持足31a、31b、31cを備えている。三つの支持足31a、31b、31cのうち一つ支持足31aは、膝置き30の一端部の下面に固定されてり、他の二つ支持足31b、31cは、膝置き30の他端部の下面に固定されている。そして、三つの支持足31a、31b、31cは、三角形の頂点を形成するように配置されている。なお、一つの支持足31aは、支持棒10の下方に配置されるように固定されている。
【0030】
次に本実施形態の姿勢サポート具100の使用方法を
図3に基づき説明する。
【0031】
姿勢サポート具100を使用する場合、使用者は、姿勢サポート具100の膝置き30の支持足31a,31b,31cを地面Gに接地させる。そして、使用者は、他方の脚L2を折り曲げて膝置き30にその他方の脚L2の膝を載せる。次に、使用者は、長さ調節機構13を利用して支持棒10の長さを調節する。そして、使用者は、膝を立てた一方の脚L1の大腿部の付け根と胴体Bとで胴当て20を挟み込んで保持する。この状態で、使用者は、胴当て20に上体をあずけて作業を行う。
【0032】
本実施形態の姿勢サポート具100によれば、使用者は、本来一方の脚L1で支えるはずの上体を支持棒10でも支えることができるので、その一方の脚L1への負担が減る。また、使用者は、胴当て30の厚みの分だけ上体が強制的に起き上がるので、腰への負担が減る。その結果、作業中に足腰の疲労が溜まり難くなる。また、例えば一息着くため上体を起こした際に、胴当て30が一方の脚L1の大腿部に引っ掛かるので、姿勢サポート具100が倒れることを防止できる。また、膝置き20を、地面に対して三点支持できるので安定する。
【0033】
<その他の実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。
【0034】
前記実施形態の姿勢サポート具は、膝置きを備えているが、
図4に示すように、膝置き20を備えていないものであってもよい。この場合、姿勢サポート具100は、支持棒10の下端を地面に接地させて使用する。
【0035】
また、前記実施形態では、胴当てと支持棒とを胴当て用ジョイント機構を介して連結したが、これに限定されない。例えば、胴当てが、支持棒の上端部に固定されているものであってもよい。また、胴当て用ジョイント機構も、ボールジョイント機構に限定されず、例えば、
図5に示すように、胴当て用ジョイント機構40が、胴当て20の一端部を支持棒10の上端部に対して回転可能に軸止めするような構成のものあってもよい。この実施例では、胴当て20は、支持棒10の軸方向と直交する軸を回転軸として回転するように構成される。
【0036】
また、前記実施形態では、膝置きと支持棒とを膝置き用ジョイント機構を介して連結したが、これに限定されない。例えば、膝置きが、支持棒の下端部に固定されているものであってもよい。また、ジョイント機構も、ボールジョイント機構に限定されない。
【0037】
また、前記実施形態の長さ調節機構は、支持棒の長さを段階的に調節できるものであるが、例えば無段階で調節できるものであってもよい。
【0038】
前記実施形態では、膝置きに支持足を三つ設けたが、例えば二つ設けてもよく、四つ以上設けてもよい。
【0039】
前記実施形態では、胴当ての表面の一部にクッション材を設けた構成としたが、例えば胴当ての表面全体をクッション材で覆うようにしてもよい。
【0040】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の一部同士の組み合わせや、変形等を行っても構わない。
【符号の説明】
【0041】
100:姿勢サポート具
10 :支持棒
20 :胴当て
21 :上面湾曲部
22 :下面湾曲部
30 :膝置き
31a,31b,31c :支持足