(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018076
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】食品の製造方法及びその食品、焦げ目付与剤
(51)【国際特許分類】
A23L 5/10 20160101AFI20240201BHJP
A23L 17/00 20160101ALI20240201BHJP
A23L 13/40 20230101ALI20240201BHJP
A23L 27/00 20160101ALI20240201BHJP
【FI】
A23L5/10 C
A23L17/00 Z
A23L13/40
A23L27/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】31
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121159
(22)【出願日】2022-07-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】599044629
【氏名又は名称】昭和商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085291
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 実
(74)【代理人】
【識別番号】100117798
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 慎一
(74)【代理人】
【識別番号】100166899
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 慶太
(74)【代理人】
【識別番号】100221006
【弁理士】
【氏名又は名称】金澤 一磨
(72)【発明者】
【氏名】相澤 修
(72)【発明者】
【氏名】吉田 愛
【テーマコード(参考)】
4B035
4B042
4B047
【Fターム(参考)】
4B035LC01
4B035LC16
4B035LG01
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4B047LG60
4B047LP05
(57)【要約】
【課題】電子レンジ調理で香ばしい香りや焦げ目を食品に付ける。
【解決手段】電子レンジ調理で、香ばしい香りや焦げ目が付く食品の製造方法である。食品は、肉類または魚類である。対象となる食品の少なくとも表面付近に、保水剤を含む溶液を浸透させる保水処理を施す第1の工程と、保水処理が施された食品の表面に、電子レンジ調理する際に、加熱により焦げ目を付与させる溶液状又は粉末状の焦げ目付与剤を付着させる第2の工程と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子レンジ調理で、香ばしい香りや焦げ目が付く食品の製造方法であって、
前記食品は、肉類または魚類であり、
前記食品の少なくとも表面付近に、保水剤を含む溶液を浸透させる保水処理を施す第1の工程と、
保水処理が施された食品の表面に、電子レンジ調理する際に、加熱により焦げ目を付与させる焦げ目付与剤を付着させる第2の工程と、
を備えることを特徴とする食品の製造方法。
【請求項2】
前記保水剤は、炭酸塩、有機酸又は有機酸塩、リン酸塩、強アルカリ性物質、アルカリ性食品素材の少なくともいずれか1を主剤として含む、
請求項1記載の食品の製造方法。
【請求項3】
前記焦げ目付与剤は、
糖、澱粉の少なくともいずれか1を含む、
請求項1又は2記載の食品の製造方法。
【請求項4】
前記焦げ目付与剤は、
さらに、タンパク、アミノ酸の少なくともいずれか1を含む、
請求項3記載の食品の製造方法。
【請求項5】
前記焦げ目付与剤は、
乳タンパク、卵白、小麦タンパクなどのタンパクと、
酢酸デンプン、リン酸架橋デンプンなどの澱粉と、
キシロース、グルコースなどの糖と、
グリシン、アラニン、グルタミン酸などのアミノ酸と、を含む、
請求項4記載の食品の製造方法。
【請求項6】
さらに、前記焦げ目付与剤は、増粘剤、食物繊維などの付着向上剤を含む、
請求項3乃至5のいずれか1項記載の食品の製造方法。
【請求項7】
さらに、前記焦げ目付与剤は、糖加熱加工品、メイラード反応生成物、粉末醤油などの焦げ目付与向上剤を含む、
請求項3乃至6のいずれか1項記載の食品の製造方法。
【請求項8】
前記焦げ目付与剤は、糖を、食品重量に対する重量比で、0.005%~30%の範囲で含む、
請求項3乃至7のいずれか1項記載の食品の製造方法。
【請求項9】
前記焦げ目付与剤は、糖を、食品重量に対する重量比で、0.05%~20%の範囲で含む、
請求項8記載の食品の製造方法。
【請求項10】
前記焦げ目付与剤は、澱粉を、食品重量に対する重量比で、0.05%~20%の範囲で含む、
請求項3乃至9のいずれか1項記載の食品の製造方法。
【請求項11】
前記焦げ目付与剤は、澱粉を、食品重量に対する重量比で、0.2%~15%の範囲で含む、
請求項10記載の食品の製造方法。
【請求項12】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、糖を30%未満の範囲、アミノ酸を10%未満の範囲で含む、
請求項4乃至7のいずれか1項記載の食品の製造方法。
【請求項13】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、糖を0.005%~20%の範囲、アミノ酸を0.005%~5%の範囲で含む、
請求項12記載の食品の製造方法。
【請求項14】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、糖を30%未満の範囲、澱粉を20%未満の範囲で含む、
請求項3乃至7のいずれか1項記載の食品の製造方法。
【請求項15】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、糖を0.005%~20%の範囲、澱粉を0.1%~15%の範囲で含む、
請求項14記載の食品の製造方法。
【請求項16】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、糖を30%未満の範囲、タンパクを2%未満の範囲で含む、
請求項3乃至7のいずれか1項記載の食品の製造方法。
【請求項17】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、糖を0.005%~20%の範囲、タンパクを0.01%~1%の範囲で含む、
請求項15記載の食品の製造方法。
【請求項18】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、アミノ酸を10%未満の範囲、澱粉を20%未満の範囲で含む、
請求項3乃至7のいずれか1項記載の食品の製造方法。
【請求項19】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、アミノ酸を0.005%~5%の範囲、澱粉を0.1%~15%の範囲で含む、
請求項17記載の食品の製造方法。
【請求項20】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、澱粉を20%未満の範囲、タンパクを2%未満の範囲で含む、
請求項3乃至7のいずれか1項記載の食品の製造方法。
【請求項21】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、澱粉を0.5%~15%の範囲、タンパクを0.01%~1%の範囲で含む、
請求項19記載の食品の製造方法。
【請求項22】
電子レンジ調理で、香ばしい香りや焦げ目が付く食品であり、
前記食品は、肉類または魚類であり、
前記保水剤は、炭酸塩、有機酸又は有機酸塩、リン酸塩、強アルカリ性物質、アルカリ性食品素材 の少なくともいずれか1を主剤として含む保水剤が少なくとも食品内部の表面付近に存在し、
食品表面に少なくとも糖、澱粉のいずれか1を含む焦げ目付与剤が存在することを特徴とする、食品。
【請求項23】
前記焦げ目付与剤は、
さらに、タンパク、アミノ酸の少なくともいずれか1をさらに含む、
請求項21記載の食品。
【請求項24】
前記焦げ目付与剤は、
乳タンパク、卵白、小麦タンパクなどのタンパクと、
酢酸デンプン、リン酸架橋デンプンなどの澱粉と、
キシロース、グルコースなどの糖と、
グリシン、アラニン、グルタミン酸などのアミノ酸と、を含む、
請求項21記載の食品。
【請求項25】
さらに、前記焦げ目付与剤は、増粘剤、食物繊維などの付着向上剤を含む、
請求項21乃至23のいずれか1項記載の食品。
【請求項26】
さらに、前記焦げ目付与剤は、糖加熱加工品、メイラード反応生成物、粉末醤油などの焦げ目付与向上剤を含む、
請求項21乃至24のいずれか1項記載の食品。
【請求項27】
請求項1乃至20のいずれか1項記載の食品の製造方法によって製造された食品。
【請求項28】
肉類または魚類である食品に、保水剤を含む溶液を浸透させる保水処理を施した後に、前記保水処理が施された食品の表面に、電子レンジ調理する際に、加熱により焦げ目を付与させるのに用いる焦げ目付与剤であって、
少なくとも糖、澱粉のいずれか1を含むことを特徴とする、焦げ目付与剤。
【請求項29】
前記焦げ目付与剤は、
さらに、タンパク、アミノ酸の少なくともいずれか1をさらに含む、
請求項27記載の焦げ目付与剤。
【請求項30】
乳タンパク、卵白、小麦タンパクなどのタンパクと、
酢酸デンプン、リン酸架橋デンプンなどの澱粉と、
キシロース、グルコースなどの糖と、
グリシン、アラニン、グルタミン酸などのアミノ酸を含む、
請求項28記載の焦げ目付与剤。
【請求項31】
さらに、増粘剤、食物繊維などの付着向上剤を含む、
請求項27乃至29のいずれか1項記載の焦げ目付与剤。
【請求項32】
さらに、糖加熱加工品、メイラード反応生成物、粉末醤油などの焦げ目付与向上剤を含む、
請求項27乃至30のいずれか1項記載の焦げ目付与剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジ調理で、焼いたような風合いを食品に発生させる、つまり香ばしい香りや焦げ目が付く食品の製造方法及びその食品、焦げ目付与剤に関する。
【背景技術】
【0002】
未加熱の肉類・魚介類の食品材料をそのまま、電子レンジで調理した場合、食品材料からの離水、肉汁などの遊離が生じ、蒸した状態となるため、焼いたような風合いの焼き風味・焼き色・焦げ目が発生しない。
【0003】
これは、熱エネルギーが食品内部で放出されるので、表面と内部はほぼ同じ温度で加熱された結果、オーブン調理などのように最初に表面のタンパク変性が起こり、内部からの離水が抑制される前に食品内部からの離水が起こり、蒸し焼きに近い状態になる。そのため、メイラード反応が抑制され、焼いたような風合いの焦げ目や香ばしい香りが付きにくくなるからである。
【0004】
そこで、下処理済みの魚の表面を炎で直接炙って焦げ目を付ける炙り工程と、焦げ目の付いた魚を凍結する冷凍工程とを備える冷凍焼き魚の製造方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
また、加工澱粉、カードラン、卵白粉、熱凝固性乳たんぱくなどからなる調味料を均一に食材にまぶし、材料からの離水、肉汁などの遊離を防ぐことが知られている(たとえば、特許文献2参照)。
【0006】
また、アミノ酸、還元糖、たんぱく質及び水を含む、低温でも焦げやすいトッピング組成物を表面に付着させ、その後凍結することで、電子レンジ調理により食品に良好かつ焦げ目や香ばしい香りを付与すること(たとえば、特許文献3参照)や、アミノ酸、還元糖、たんぱく質及び塩類を含有するゲル化物からなる低温でも焦げやすいトッピング組成物を食品の上部表面に付着させること(たとえば、特許文献4参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013-70469号公報
【特許文献2】特開平11-332506号公報
【特許文献3】特開平11-103790号公報
【特許文献4】特開平8-308531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載のものでは、冷凍に先立って、魚の表面を炎で直接炙って焦げ目を付けるので、電子レンジで調理した場合、調理後の食品に良好な焦げ目や香ばしい香りを付与することが困難である。
【0009】
特許文献2に記載のものでは、表面に、前記調味料が衣として付くため、フライ食品や天ぷら製品に制限され、焼き魚や焼き肉には適用できない。
【0010】
特許文献3,4に記載のものでは、食品内部からの離水の抑制をすることができないので、離水が多い、サバなどの魚類に適用するのは困難である。
【0011】
発明者らは、魚類や肉類などの離水が多い食品について、加熱により焦げ目を付与させる所定の焦げ目付与剤を付着させるのに先だって、保水処理を施すことで、電子レンジ調理での加熱時のドリップを大きく抑制でき、十分な焦げ目付与効果を期待できることを見出し、本発明をなすに至った。
【0012】
本発明は、電子レンジ調理での加熱時のドリップを抑制する目的で、食品である肉類、魚類に予め保水処理を行い、その保水処理をした肉類・魚類の表面に、所定の焦げ目付与剤を塗布することで、電子レンジ調理での加熱時に焼いたような風合いを出すようにして、香ばしい香りや焦げ目を付与できる食品の製造方法及びその食品、焦げ目付与剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一の態様にかかる食品の製造方法は、電子レンジ調理で、香ばしい香りや焦げ目が付く食品の製造方法であって、前記食品は、肉類または魚類であり、前記食品の少なくとも表面付近に、保水剤を含む溶液を浸透させる保水処理を施す第1の工程と、保水処理が施された食品の表面に、電子レンジ調理する際に、加熱により焦げ目を付与させる焦げ目付与剤を付着させる第2の工程と、を備えることを特徴とするものである。ここで、保水処理には、浸漬、揉み込み(タンブリング)、インジェクションなどの一般的な方法を用いることができる。
【0014】
このようにすれば、第1の工程において、食品(肉類、魚類)に予め保水処理を行うので、電子レンジ調理での加熱時においてドリップが抑制される。そして、第2の工程において、保水処理をした肉類・魚類の表面に、所定の焦げ目付与剤を付着させ、電子レンジ調理での加熱時に焼いたような風合いを出すようにしているので、対象となる食品(肉類、魚類)に、香ばしい香りや焦げ目が付与される。
【0015】
この場合、前記保水剤は、炭酸塩、有機酸又は有機酸塩、リン酸塩、強アルカリ性物質、アルカリ性食品素材の少なくともいずれか1を主剤として含むことを特徴とする。
【0016】
前記焦げ目付与剤は、糖、澱粉の少なくともいずれか1を含む。このような焦げ目付与剤を塗布することにより、電子レンジを使った時に、食品に焦げ目を付与することができる。また、この焦げ目付与剤は、さらに、タンパク、アミノ酸の少なくともいずれか1をさらに含むことが望ましい。電子レンジを使った時に、食品の焦げ目や焼き上がりがさらに向上する。
【0017】
さらに、この焦げ目付与剤は、加熱により皮膜を形成しやすい成分として、乳タンパク、卵白、小麦タンパクなどのタンパクと、加熱により皮膜を形成しやすい成分として、酢酸デンプン、リン酸架橋デンプンなどの澱粉と、焼き風味、焼き色、焦げ目を発生させる成分として、キシロース、グルコースなどの糖と、前記糖とメイラード反応を起こし褐変物質を生成する成分として、グリシン、アラニン、グルタミン酸などのアミノ酸を含むことがより望ましい。このような焦げ目付与剤を塗布することで、電子レンジを使った時に、食品の焦げ目や焼き上がりがさらに向上する。
【0018】
前記焦げ目付与剤は、前記食品の表面への付着をよくする成分として、増粘剤、食物繊維などの付着向上剤を含むことや、褐変物質を生成することを促進する成分として、糖加熱加工品、メイラード反応生成物、粉末醤油などの焦げ目付与向上剤を含むことが望ましい。
【0019】
また、前記焦げ目付与剤は、糖を、食品重量に対する重量比で、0.005%~30%の範囲で含むものでもよく、より望ましくは、重量比で、0.05%~20%の範囲で含むものがよい。
【0020】
さらに、前記焦げ目付与剤は、澱粉を、食品重量に対する重量比で、0.05%~20%の範囲で含むものでもよく、より望ましくは、食品重量に対する重量比で、0.2%~15%の範囲で含むものがよい。
【0021】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、糖を30%未満の範囲、アミノ酸を10%未満の範囲で含むものでもよく、より望ましくは、糖を0.005%~20%の範囲、アミノ酸を0.005%~5%の範囲で含むものがよい。
【0022】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、糖を30%未満の範囲、澱粉を20%未満の範囲で含むものでもよく、より望ましくは、重量比で糖を0.005%~20%の範囲、澱粉を0.1%~15%の範囲で含むものがよい。
【0023】
前記焦げ目付与剤は、重量比で、糖を30%未満の範囲、タンパクを2%未満の範囲で含むものでもよく、より望ましくは、食品重量に対する重量比で、糖を0.005%~20%の範囲、タンパクを0.01%~1%の範囲で含むものがよい。
【0024】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、アミノ酸を10%未満の範囲、澱粉を20%未満の範囲で含むものでもよく、より望ましくは、食品重量に対する重量比で、アミノ酸を0.005%~5%の範囲、澱粉を0.1%~15%の範囲で含むものがよい。
【0025】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、澱粉を20%未満の範囲、タンパクを2%未満の範囲で含み、より望ましくは、食品重量に対する重量比で、澱粉を0.5%~15%の範囲、タンパクを0.01%~1%の範囲で含むものがよい。
【0026】
本発明の一の態様にかかる食品は、電子レンジ調理で香ばしい香りや焦げ目が付く食品であり、前記食品は、肉類または魚類であり、炭酸塩、有機酸又は有機酸塩、リン酸塩、強アルカリ性物質、アルカリ性食品素材 の少なくともいずれか1を主剤として含む保水剤が少なくとも食品内部の表面付近に存在し、食品表面に食品表面に少なくとも糖、澱粉のいずれか1を含む、焦げ目付与剤が存在することを特徴とする。
【0027】
また、この食品は、前記焦げ目付与剤がさらに、タンパク質、アミノ酸の少なくともいずれか1をさらに含むことが望ましい。
【0028】
さらに、この食品は、前記焦げ目付与剤に、乳タンパク、卵白、小麦タンパクなどのタンパクと、酢酸デンプン、リン酸架橋デンプンなどの澱粉と、キシロース、グルコースなどの糖と、グリシン、アラニン、グルタミン酸などのアミノ酸とを含むことがより望ましい。
【0029】
また、この食品は、さらに前記焦げ目付与剤に、食品の表面への付着をよくする成分として増粘剤、食物繊維などの付着向上剤を含むことや、褐変物質を生成することを促進する成分として、糖加熱加工品、メイラード反応生成物、粉末醤油などの焦げ目付与向上剤を含むことが望ましい。
【0030】
また、この食品は、請求項1乃至又は20のいずれか1項記載の食品の製造方法によって製造されることが望ましい。
【0031】
本発明の一の態様にかかる焦げ目付与剤は、肉類または魚類である食品に、保水剤を含む溶液を浸透させる保水処理を施した後に、前記保水処理が施された食品の表面に、電子レンジ調理する際に、加熱により焦げ目を付与させるのに用いる焦げ目付与剤であって、糖、澱粉のいずれか1を含むことを特徴とする。
【0032】
また、この食品の焦げ目付与剤は、さらに増粘剤、食物繊維などの付着向上剤を含むことが望ましい。
【0033】
さらに、この焦げ目付与剤は、加熱により皮膜を形成しやすい成分として、乳タンパク、卵白、小麦タンパクなどのタンパクと、加熱により皮膜を形成しやすい成分として、酢酸デンプン、リン酸架橋デンプンなどの澱粉と、キシロース、グルコースなどの糖と、糖とメイラード反応を起こし褐変物質を生成する成分として、グリシン、アラニン、グルタミン酸などのアミノ酸を含むことがより望ましい。
【0034】
また、この焦げ目付与剤は、さらに、食品の表面への付着をよくする成分として、増粘剤、食物繊維などの付着向上剤を含むことや、褐変物質を生成することを促進する成分として、糖加熱加工品、メイラード反応生成物、粉末醤油などの焦げ目付与向上剤を含むことがより望ましい。
【発明の効果】
【0035】
本発明は、食品に予め保水処理を行い、焦げ目付与剤を塗布することで、電子レンジ調理で、焼いたような風合いを肉類や魚類などの食品に発生させることができる食品を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】未処理と本発明に係る方法による処理済みとの食品についての効果比較試験の結果を示す図で、(a)は魚類である鮭の表を、(b)は肉類である牛肉の表を、(c)は肉類である豚肉の表をそれぞれ示す。
【
図2】本発明に係る方法による保水処理と塗し処理の有無による食品についての効果比較試験の結果を示す図で、肉類である鶏肉についての検体1~4の表裏を示す。
【
図3】本発明に係る方法による保水処理と塗し処理の有無による食品についての効果比較試験の結果を示す図で、魚類であるサバについての検体1~4の表裏を示す。
【
図4】本発明に係る方法による糖1成分による効果確認試験の結果を示す図で、魚類であるサバについての検体1~7の表裏を示す。
【
図5】本発明に係る方法による澱粉1成分による効果確認試験の結果を示す図で、魚類であるサバについての検体1~7の表裏を示す。
【
図6】本発明に係る方法による糖1成分による効果確認試験の結果を示す図で、肉類である鶏肉についての検体1~7の表裏を示す。
【
図7】本発明に係る方法による澱粉1成分による効果確認試験の結果を示す図で、肉類である鶏肉についての検体1~7の表裏を示す。
【
図8】本発明に係る方法による2成分(糖+アミノ酸)による効果確認試験の結果を示す図で、肉類である鶏肉についての検体1~7の表裏を示す。
【
図9】本発明に係る方法による2成分(糖+澱粉)による効果確認試験の結果を示す図で、肉類である鶏肉についての検体1~7の表裏を示す。
【
図10】本発明に係る方法による2成分(糖+タンパク)による効果確認試験の結果を示す図で、肉類である鶏肉についての検体1~6の表裏を示す。
【
図11】本発明に係る方法による2成分(アミノ酸+澱粉)による効果確認試験の結果を示す図で、肉類である鶏肉についての検体1~3の表裏を示す。
【
図12】本発明に係る方法による2成分(澱粉+タンパク)による効果確認試験の結果を示す図で、肉類である鶏肉についての検体1~3の表裏を示す。
【
図13】本発明に係る方法による4成分で、糖の割合を変化させた効果確認試験の結果を示す図で、肉類である鶏肉についての検体1~5の表裏を示す。
【
図14】本発明に係る方法による4成分で、アミノ酸の割合を変化させた効果確認試験の結果を示す図で、肉類である鶏肉についての検体1~5の表裏を示す。
【
図15】本発明に係る方法による4成分で、加工澱粉の割合を変化させた効果確認試験の結果を示す図で、肉類である鶏肉についての検体1~5の表裏を示す。
【
図16】本発明に係る方法による4成分で、乳タンパクの割合を変化させた効果確認試験の結果を示す図で、肉類である鶏肉についての検体1~4の表裏を示す。
【
図17】本発明に係る方法によるレンジ調理条件についての試験の結果を示す図である。
【
図18】本発明に係る方法によるレンジ調理方法についての試験の結果を示す図である。
【
図19】本発明に係る方法によるレンジ調理方法についての試験の結果を示す図である。
【
図20】本発明に係る方法によるレンジ調理方法についての試験の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明に係る実施の形態を説明するが、本発明は下記の実施形態に限定されるものではない。
【0038】
本実施形態の食品の製造方法は、電子レンジ調理で、香ばしい香りや焦げ目が付く食品の製造方法であって、食品の少なくとも表面付近に、保水剤を含む溶液を浸透させる保水処理を施す第1の工程と、保水処理が施された食品の表面に、電子レンジ調理する際に、加熱により焦げ目を付与させる溶液状又は粉末状の焦げ目付与剤を付着させる第2の工程と、を備える。ここで、食品は、処理前の保存方法は制限されない。常温保存、冷蔵保存、冷凍保存が含まれる。
【0039】
これにより、第1の工程において、肉類や魚類などの食品に予め保水処理を行うので、電子レンジ調理での加熱時において、食品が流れ出るドリップが抑制される。そして、第2の工程において、保水処理をした肉類・魚類の表面に、電子レンジ調理での加熱時に焼いたような風合いを出すようにしているので、対象となる食品には、香ばしい香りや焦げ目が付与される。
【0040】
ここで、本実施形態の保水剤は、一例として、炭酸塩、有機酸又は有機酸塩、リン酸塩、強アルカリ性物質、アルカリ性食品素材の少なくともいずれか1を主剤として含むものである。
【0041】
また、本実施形態の焦げ目付与剤は、一例として、加熱により皮膜を形成しやすい成分として、乳タンパク、卵白、小麦タンパクなどのタンパクと、酢酸デンプン、リン酸架橋デンプンなどの澱粉と、焼き風味、焼き色、焦げ目を発生させる成分として、キシロース、グルコースなどの糖と、前記糖とメイラード反応を起こし褐変物質を生成する成分として、グリシン、アラニン、グルタミン酸などのアミノ酸との4成分を含む。なお、焦げ目付与剤は、タンパクと、澱粉と、糖と、アミノ酸の4成分を含むことが望ましいが、これら4成分を必ずしも全て含まない場合も、ある程度の効果を得ることができる。
【0042】
続いて、保水処理に用いる保水剤と、焦げ目を付与させる焦げ目付与剤について、具体的に説明する。
【0043】
(i) 保水処理に用いる保水剤
炭酸塩、有機酸又は有機酸塩、リン酸塩、強アルカリ性物質、アルカリ性食品素材などを主剤とし、澱粉、タンパク、増粘剤、食物繊維、調味料などの副材から構成される。前記副材は省略することも可能である。例えば、pH調整剤が含まれる。pH調整剤としては、主剤として有機酸塩のクエン酸三ナトリウム、炭酸塩の炭酸水素ナトリウム、副材として澱粉、増粘剤等を含むハイプラスミートG(商品名)(販売者:昭和商事(株))のほか、主剤として強アルカリ性物質の焼成カルシウム、副材として澱粉、調味料等を含むジューシークィーン(商品名)(販売者:昭和商事(株))、主剤としてリン酸塩のポリリン酸ナトリウム/ピロリン酸四ナトリウム、有機酸塩としてのクエン酸三ナトリウム等、副材として澱粉、調味料等を含むポークアップ(商品名)(販売者:昭和商事(株))、主剤として食品素材赤酒、副材として調味料等を含む料理用の東肥赤酒(商品名)(販売者:瑞鷹(株))。
【0044】
(主剤の具体例)
・炭酸塩:炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウムなど
・有機酸又は有機酸塩:クエン酸、クエン酸三ナトリウム、グルコン酸、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、コハク酸二ナトリウム、フマル酸一ナトリウム、L(DL)-酒石酸ナトリウムなど
・リン酸塩:リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウムなど
・強アルカリ性物質:焼成カルシウムなど
・アルカリ性食品素材(アルカリ性の性質を持ち、添加品のpHを引き上げる効果のある食品素材):赤酒、地伝酒など
【0045】
なお、赤酒、地伝酒とは、赤酒は熊本特産、地伝酒は島根特産の酒。発酵後のもろみに木灰(アルカリ性)を加え、中性からアルカリ性にし、火落(ひおち)菌などの侵入を防ぐ。火入れをしないので灰持(あくもち)酒とも呼ばれている。
【0046】
(副剤の具体例)
・澱粉:小麦、とうもろこしなどの穀類、馬鈴薯、甘藷、キャッサバなどのイモ類、葛、わらびなどの根茎類、緑豆、えんどうなどの豆類を原料とする澱粉や、リン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、酢酸澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、ヒドロキシプロピル澱粉、酵素処理澱粉などの加工澱粉
・タンパク:大豆、エンドウ豆、小麦、乳、卵白などを原料としたタンパク質
・増粘剤:キサンタンガムやグアーガム、カラギナンなどの多糖類やCMCなどのセルロースの化学的誘導体
・食物繊維:グルコマンナンなどの水溶性食物繊維やセルロースなどの不溶性食物繊維
・調味料:食塩、砂糖、酢、醤油、香辛料、ケチャップ、ウースターソース、油、料理酒、うま味調味料(グルタミン酸ナトリウム、核酸など)
【0047】
(ii) 保水剤を含む溶液のpH範囲
電子レンジ調理時の食品からの離水を抑制し、かつ食品の本来の風味を壊さない程度に調整する必要がある。pH範囲は6.0~12.0の範囲、より望ましくは、7.0~11.0の範囲である。
【0048】
(iii) 保水剤を含む溶液(保水処理に使用する溶液)に含まれる食塩、砂糖、調味料等の濃度
保水処理に用いる溶液には、保水剤の他、食塩、砂糖、調味料等を加えてもよい。加えなくてもよいが、適量加えることで食品内部への水分の浸透力を上げ、適量であれば電子レンジ調理時に食品からの離水を抑制する上で有利となる。なお、それらの濃度は特に限定されないが、食品本来の風味を壊さない範囲で調整する必要がある。
【0049】
(iv)保水処理のやり方
保水処理のやり方は、食品の形状を損なうことのないものであれば、特に限定されることない。例えば、浸漬、揉み込み、タンブリング、インジェクション、練り込みなどが含まれる。時間も特に限定されない。第1の工程(保水処理)後、静置時間なしで、すぐに次の第2の工程(塗し処理)に移ってもよいし、5分~48時間浸漬などの時間を設けてもよい。
【0050】
(焦げ目付与剤)
本実施形態の焦げ目付与剤は、加熱により皮膜を形成しやすい成分としてのタンパク及び澱粉と、焼き風味、焼き色、焦げ目を発生させる成分としての糖と、前記糖とメイラード反応を起こし褐変物質を生成する成分としてのアミノ酸とを含む。
【0051】
(焦げ目付与剤の材料の具体例)
・タンパク:大豆、エンドウ豆、小麦、乳、卵白などを原料とした蛋白質
・澱粉:穀類(トウモロコシ、小麦、米など)、豆類(ソラ豆、緑豆、エンド豆など)、イモ類(馬鈴薯、甘藷、タピオカなど)、野草類(カタクリ、わらび、葛など)、ヤシ類を原料にした澱粉およびリン酸架橋澱粉粉、アセチル酸化澱粉、酢酸澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、ヒドロキシプルピル澱粉、酸素処理澱粉などの加工品
・糖:還元糖(グルコース、フルクトース、キシロースなど全ての単糖、ラクトース(乳糖)、アラビノース、マルトース(麦芽糖)などのマルトース型二糖・オリゴ糖など
・アミノ酸:グリシン、グルタミン酸、アラニンなど
そのほか、こんがり塗し調味料(商品名)、(販売者:昭和商事(株))を用いることもできる。
【0052】
なお、タンパクと澱粉とアミノ酸と糖類とを混合した混合物である焦げ目付与剤を塗した後に、電子レンジ調理する。塗す方法は、混合したものを粉末の状態のまま塗してもよいし、水溶液として食品を浸漬したり、食品に噴霧により吹き付けたりしてもよい。
【0053】
焦げ目付与剤は、食品の表面への付着をよくする成分として、増粘剤、食物繊維などの付着向上剤や、褐変物質を生成することを促進する成分として、糖加熱加工品、メイラード反応生成物、粉末醤油などの焦げ目付与向上剤を含むことが望ましい。
【0054】
ここで、上記した糖加熱加工品とは、糖類に水を加えて又は加えないで、80~200℃の温度下で加熱したものである。糖類とは、単糖類や二糖類・三糖類或いはそれ以上の多糖類のことを示し、これらのうち1種類だけが含有されていてもよいし、複数種類が含有されていてもよい。また同じ種類の糖が複数種類含有されていてもよい。
【0055】
糖類の例として、ブドウ糖・果糖(単糖類)、蔗糖・麦芽糖・乳糖(二糖類)、ゲンチアノース・ラフィノース・パノース(三糖類)、スタキオース・スコロドース(四糖類)などを挙げることができる。そして上記条件の下、前記糖類を加熱すれば、前記混合液中の単糖類(ブドウ糖や果糖など)が縮重合反応し、低分子から高分子まで広い範囲の分子量分布を備えた前記糖加熱加工品ができる。
【0056】
この際、二糖類や三糖類以上の多糖類は熱によって加水分解され、一旦単糖類に熱分解され、その後、これらの単糖類が脱水縮重合を起こすのである。こうして製造された糖加熱加工品は非常に反応性が高く、加熱すると食品素材の蛋白質と容易にメイラード反応を起こし、焼き風味や焼き色を付与する。
【0057】
また、糖加熱加工品は、乾燥させて粉末にすることができる。乾燥方法としては、例えばスプレードライやドラム乾燥、フリーズドライなどを挙げることができる。こうして糖加熱加工品を粉末にすると他の粉末品と混合して粉末製剤をつくることができる。なお、糖類には還元性のある単糖や、二糖でも還元性を有しているものを使用することが好ましい。
【0058】
また、上記したメイラード反応生成物としては、調味用の液状1重量部に対して、単糖類を0.1~2重量部混合させた混合液に、アルカリ性物質を加えて又は加えないで加熱したものである。調味用の液状には、穀物又は魚介類のうち少なくともいずれか一方を発酵させることで得た調味料が、少なくとも一部に含有されているものを用いる。
【0059】
そして、この調味用の液汁と糖類を混合したものを、アルカリ性物質を加えて又は加えないで加熱処理を行う。メイラード反応生成物を乾燥させて粉末にすることができる。乾燥方法としては、例えばスプレードライやドラム乾燥、フリーズドライなどを挙げることができる。また、粉末にすると、糖加熱加工品とメイラード反応生成物は混合して使用することもできる。そして、他の粉末品と混合して粉末製剤をつくることができる。
【0060】
(効果試験)
まず、電子レンジ調理で、香ばしい香りや焦げ目が付くかどうか確認する効果確認試験を行うために、魚類と肉類について、次の表1に配合を示す魚類の保水処理液、表2に配合を示す肉類の保水処理液を、表3に配合を示す塗し処理液を用いて行った。ここで、pH調整剤は、ハイプラスミートG(商品名)(販売者:昭和商事(株))を用いた。
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
(食品試料の作成方法)
・魚類の場合
魚(サバフィレー(骨取り)/鮭切り身)を、80gにカットする。
表1に示す配合の保水処理液に浸漬し、温度5℃程度で、16~24時間静置する。なお、保水処理液:魚=1:1である。
静置後、液切りをし、表3に示す配合の塗し処理液を定量(皮側:腹側=7:23)塗す。
皮面を下側にして耐熱皿に入れ、皿面との間に、隙間を空けてラップする。
それから、電子レンジで、600Wで4分間加熱する。
なお、皮側と腹側の塗布の割合は、表3の溶液に保水処理済みの魚をどぶ付けし、3%付着させた場合の皮側と腹側の付着量に基づいている。
【0065】
・肉類の場合
肉(鶏もも肉/豚肩ロース肉/牛ロース肉)を、80gにカットする。
表2に示す配合の保水処理液を揉み込み、温度5℃程度で、16~24時間静置する。
表3に示す配合の塗し処理液を定量(皮側:腹側=11:19)塗す。
皮面を下側にして耐熱皿に入れ、皿面との間に隙間を空けて、ラップする。
それから、電子レンジで,600Wで4分間加熱する。
なお、皮側と腹側の塗布の割合は、表3の溶液に保水処理済みの鶏もも肉をどぶ付けし、3%付着させた場合の皮側と腹側の付着量に基づいている。
【0066】
評価としては、重量測定、歩溜まり確認、パネラー8名による官能評価(表4参照)を行った。ここで、官能評価の「見た目・味・食感」は、焼き色、焼き風味を除いた、見た目・味・食感についての評価であり、食品としてみた場合に違和感を感じないか否かの評価である。
【0067】
【0068】
(未処理と処理済みでの効果の比較)
鮭、牛肉、豚肉についての未処理と処理済み(保水処理、塗し処理)とを比較した結果(官能評価)を、表5~表7にそれぞれ示す。
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
未処理では、いずれの場合も、焼き色・焼き風味は付かないが、処理済みでは、十分な焼き色・焼き風味が付くことが確認された。なお、結果を、
図1に示す。
図1において、(a)は鮭の表、(b)は牛肉の表、(c)は豚肉の表で、検体1が未処理で、検体2が処理済みである。
【0073】
(保水処理と塗し処理の有無による効果の比較)
・鶏肉の場合
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
結果を
図2に示す。
図2において、上側が表側、下側が裏側である。予め保水処理することにより、電子レンジ調理中のドリップが抑制され、きれいな焼き色や香ばしい焼き風味が付与された。調理後も水分は失われず、見た目がよく、ジューシーでおいしい風味・食感が保たれることが確認された。
【0078】
・サバの場合
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
結果を、
図3に示す。
図3において、上側は表側、下側が裏側である。鶏肉の場合と同様に、保水処理することにより、レンジ調理中のドリップが抑制され、きれいな焼き色や香ばしい焼き風味が付与されることが確認された。調理後も水分は失われず、ジューシーでおいしい見た目・味・食感が保たれることが確認された。
【0083】
以上の結果から、保水処理後の食品である鶏肉などの肉類やサバなどの魚類の周りを、塗し処理により焦げ目付与剤で覆うことで、レンジ調理中のドリップが抑制され、きれいな焼き色や香ばしい焼き風味が付与された。また、調理後も水分は失われず、ジューシーでおいしい見た目・味・食感が保たれることが分かった。
【0084】
続いて、前記焦げ目付与剤は4成分で構成しているが、予め保水処理をしておけば、4成分に限らず、焼き風味、焼き色、焦げ目を発生させる成分である1成分や2成分を含む焦げ目付与剤で、同様の効果が得られるかどうかの確認をした。
【0085】
(1成分による効果の確認)
・サバについて
・1成分が糖である場合
【0086】
【0087】
【0088】
糖(例えばキシロース)の塗し量が0.005%であれば、焼き色・焼き風味がわずかに付与されるようになり、20%になると塗す作業が難しくなり、30%を超えると物理的に塗せなくなる。よって、1成分が糖の場合は、塗し量は、食品重量に対する重量比で、0.005%~30%の範囲、より好ましくは0.05%~20%の範囲である。
【0089】
・サバについて
・1成分が澱粉である場合
【0090】
【0091】
【0092】
加工澱粉(オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム)の塗し量が0.05%であれば、焼き色・焼き風味がわずかに付与されるようになり、15%では食するに問題はないがやや加工澱粉特有の味を感じ、20%で加工澱粉特有の味を感じ、また、冷めた後に硬さを感じやすい。
【0093】
一方、15%で塗す作業が難しくなり、20%を超えると物理的に塗せなくなる。そして、20%では加工澱粉特有の味を感じる。よって、1成分が加工澱粉である場合、塗し量は、食品重量に対する重量比で、0.05%~20%の範囲、より好ましくは0.2%~15%の範囲である。
【0094】
・鶏肉について
・1成分が糖である場合
【0095】
【0096】
【0097】
糖(キシロース)の塗し量が、0.005%であれば、焼き色・焼き風味がわずかに付与されるようになり、20%で塗す作業自体が難しくなり、30%を超えると物理的に塗せなくなる。よって、塗し量は、食品重量に対する重量比で0.005%~30%の範囲、より好ましくは0.05%~20%の範囲である。
【0098】
・鶏肉について
・1成分が澱粉である場合
【0099】
【0100】
【0101】
塗し量が0.05%であれば、焼き色・焼き風味がわずかに付与されるようになり、15%では食するに問題はないがやや加工澱粉特有の味を感じ、20%で加工澱粉特有の味を感じる。15%で塗す作業が難しくなる。20%を越えると,物理的に塗せない。20%では加工澱粉特有の味を感じる。よって、塗し量は、食品重量に対する重量比で0.05%~20%の範囲、より好ましくは0.20%~15%の範囲である。
【0102】
なお、1成分がアミノ酸あるいはタンパクである場合については、結果を示していないが、塗し量が少ないと焼き色・風味が不十分であり、塗し量が多くなると、レンジ調理後にアミノ酸では不自然な透明な結晶様の付着物、タンパクでは不自然な白い付着物が目立った。
【0103】
(2成分による効果の確認)
・鶏肉について
・2成分が糖+アミノ酸である場合
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
結果は、
図8に示すとおりである。糖(キシロース)のみの検体1に対し、アミノ酸(グリシン)を使用した検体2,3,4の方が焼き色・焼き風味の付き方が良好である。キシロース単独と、キシロースとグリシンとを併用した検体3,5と比べても、キシロース単独で0.02%添加するより、キシロースとグリシンとをそれぞれ0.01%添加した方が、食欲をそそる焼き色が付与されている。
【0108】
キシロースとグリシンとを1%ずつ併用した検体7では、強い焼き色と焼き風味が付いていた。よって、単独より、アミノ酸と糖とを併用して添加した方が、メイラード反応による相乗効果で、低添加量で焼き色を付与できることが確認された。
【0109】
糖は単独でも、焼き色付与に効果があるが、糖とアミノ酸の存在でメイラード反応が起き、褐色物質であるメラノイジンが生成され、焼き目や焼き感がアップする。よって、糖とアミノ酸とを組みあわせることが望ましく、焼き感・焼き目が大幅にアップする。そして、極微量でも効果を発揮する。
【0110】
なお、メイラード反応は、糖やアミノ酸の種類や量により生成物が異なるなど、様々な反応の態様がある。食品中に存在する「水、油、糖、アミノ酸、蛋白質、澱粉/ビタミン類の量や食品のpH」によっても影響を受けることから、食品に応じて塗し量を適宜変更することが望ましい。
【0111】
配合量は、食品重量に対する重量比で、糖30%未満、アミノ酸10%未満である。より好ましくは、糖0.005%~20%の範囲、アミノ酸0.005%~5%の範囲である。
【0112】
・鶏肉について
・糖+澱粉の場合
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
結果は、
図9に示すとおりである。糖(キシロース)のみの検体1に対し、加工澱粉を併用した検体2,3の方が焼き色・焼き風味の付き方が良くなっている。加工澱粉のみの検体4に対して、キシロースを併用した検体5,6,7は焼き色・焼き風味の付き方が良くなっている。極微量でも効果を発揮している。
【0117】
糖と澱粉とは単独でも焼き色の付与に効果があるが、糖が焼き色の強さに直接関係するのに対し、澱粉は食品の周りを覆い、ドリップを抑制することで焼き色を着きやすくさせるという間接的な要素が強い。澱粉により食品のドリップを抑制しつつ、糖により焼き色を付けやすくするという意味で、糖と澱粉の併用には焼き色の付与に対して相乗効果を持つと考えられる。
【0118】
食品重量に対する重量比で、配合量は、糖30%未満、澱粉20%未満であるが、好ましくは、糖0.005%~20%の範囲、澱粉0.1%~15%の範囲である。
【0119】
・鶏肉について
・2成分が糖+タンパクである場合
【表28】
【0120】
【0121】
【0122】
結果は、
図10に示すとおりである。糖(キシロース)のみの検体1に対し、タンパク(乳タンパク)を併用した検体2,3は焼き色・焼き風味の付き方が良くなっている。乳タンパクのみの検体4に対して、キシロースを併用した検体2,5,6は焼き色・焼き風味の付き方がよくなっている。
【0123】
糖は単独でも焼き色の付与に効果があることは知られているが、乳タンパクが食品の周りを強固に覆いドリップを抑制することで、さらに焼き色を付きやすくさせる。乳タンパクにより食品のドリップを抑制しつつ、糖により焼き色が付きやすくなるという意味で、糖と乳タンパクの併用には焼き色の付与に対して相乗効果を持つと考えられる。タンパクはアミノ基を含んでいるため、加熱により糖とアミノ酸のメイラード反応が促進される場合も多い。また、極微量でも効果を発揮する。
【0124】
食品重量に対する重量比で、配合量は、糖30%未満、乳タンパク2%未満であるが、好ましくは、糖0.005%~20%の範囲、タンパク0.01%~1%の範囲である。
【0125】
・鶏肉について
・2成分がアミノ酸+澱粉のである場合
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
結果は、
図11に示すとおりである。加工澱粉のみの検体1に対し、アミノ酸(グリシン)を併用した検体2,3の方が焼き色・焼き風味の付き方が良くなっている。
【0130】
加工澱粉は単独でも焼き色の付与に効果があることは知られているが、澱粉が加熱による熱分解などにより糖になることでアミノ酸と反応し、メイラード反応が促進される場合も多い。アミノ酸と澱粉のとの組み合わせは、焼き色の付与に対して相乗効果を持つと考えられる。よって、澱粉とアミノ酸は組み合わせることが望ましく、組み合わせることで焼き感・焼き目がアップする。なお、極微量でも効果を発揮する。
【0131】
食品重量に対する重量比で、配合量は、アミノ酸10%未満、澱粉20%未満であるが、好ましくはアミノ酸0.005%~5%の範囲、澱粉0.1%~15%の範囲である。
【0132】
・鶏肉について
・2成分が澱粉+タンパクである場合
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
結果は、
図12に示すとおりである。澱粉のみの検体1に対し、乳タンパクを併用した検体2,3の方が焼き色・焼き風味の付き方が良くなっている。
【0137】
澱粉は単独でも焼き色の付与に効果はあるが、タンパクがより強固に食品の周りを覆うことでドリップを抑制し、焼き色がアップする。特に水分や油分が多い食品では、澱粉とタンパクの併用は、焼き色の付与に対して相乗効果を持つと考えられる。なお、澱粉は加熱による熱分解などにより糖になり、極微量を加えるだけでも効果が発揮される。
【0138】
食品の周りを覆ってドリップを抑制する力は、同添加量であれば澱粉よりタンパクの方が高い傾向があるが、タンパクは添加量を増やすと、食品の周りに不自然な白い付着物が付いてしまうし、表面が硬くなり食べにくくなる。よって、ドリップを十分に抑制しながら、食品が硬くならず、自然な見た目になるような澱粉とタンパクの組み合わせが有効である。
【0139】
食品重量に対する重量比で、配合量は、澱粉20%未満、タンパク2%未満であるが、好ましくは、澱粉0.5%~15%、タンパク0.01%~1%の範囲である。
【0140】
なお、アミノ酸+蛋白については、結果を示していないが、焼き色・風味が不十分であり、塗し量が多くなると、レンジ調理後に不自然な透明な結晶様又は白の付着物が目立つことが確認されている。
【0141】
(3成分による効果の確認)
前述した2成分の組合せに、さらに他の1成分を加えることで、より良い結果となる。各々の持つ機能性により、短時間で効率良く焼き色・焼き風味を付けることが可能となる。また過加熱になることを防ぎ、ドリップや香りの流出・飛散を抑制し、より美味しい状態で食することは可能となる。
【0142】
また、対象食品の大きさや種類、レンジ条件により結果が異なってくることから、各々の食品に適した添加量やレンジ条件にすることが望ましい。
【0143】
(4成分による効果の確認)
キシロースを変量した場合を表37、表38及び
図13に、アミノ酸を変量した場合を表39,40及び
図14に、加工澱粉を変量した場合を表41,42及び
図15に、乳タンパクを変量した場合を表43,44及び
図16にそれぞれ示す。
【0144】
・鶏肉について
・キシロースを変量した場合
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
【0150】
【0151】
【0152】
【0153】
以上の結果から、糖とアミノ酸と澱粉とタンパクとの4成分を組み合わせることで、レンジ調理において効率よく焼き目・焼き色を付けることができる。対象食品の大きさや種類、レンジ条件により結果が異なってくることから、各々の食品に適した添加量やレンジ条件とすることが望ましい。
【0154】
糖または澱粉の1成分や、これにアミノ酸やタンパクを加えた2成分、これら3成分の焦げ目付与剤を用いても焼き色・焼き風味を付与し、過加熱にならずに美味しく食することができる一定の効果を奏する食品を提供可能だが、これら4成分を全て含む焦げ目付与剤を用いれば、より高い効果を奏する食品、すなわち、より効率よく短時間で調理ができ美味しさを保てる食品となる。
【0155】
特に、水分や油分の含有量が高い食品、冷凍状態からのレンジ調理による食品、低出力でしかレンジ調理ができない食品などの場合、焼き色や焼き風味を付与することはかなり難しくなるため、そのような場合においては、特に4成分の組合せの焦げ目付与剤が有効である。
【0156】
ところで、前述したように、従来の食品では、電子レンジ調理の場合、通常、焼いたような風合いの焦げ目や香ばしい香りが食品に付与されない。
【0157】
この発明では、食品内部からの離水を抑制し、焼き色・焼き風味が着きやすくなるように、予め保水処理を行った上で、焦げ目付与剤で食品の周りを覆うようにしている。つまり保水処理によりドリップ抑制効果を補助している。
【0158】
保水処理+焦げ目付与剤の塗し処理において、焦げ目付与剤は、前述したように、1成分単独/2成分組み合わせ/3成分組み合わせでも、焼き色を付与することが可能であるが、水分や油分を多く含みドリップが発生しやすい食品では,4成分の組み合わせにより初めて十分な焼き色・焼き風味を付与でき、かつ見た目・風味・食感に影響しない食品とできる。
【0159】
また、1成分単独や2成分組み合わせなどにおいては、十分な焼き色を得るために添加量を多くすると、糖やアミノ酸では甘くなりすぎ、結晶様の付着物により不自然な見た目になってしまう。また、澱粉やタンパクでは、独特の匂いや風味が出たり、食品の表面が硬くなりすぎて食感によりおいしさが半減するなどの現象が生ずるおそれがある。
【0160】
よって、塗し処理に用いる焦げ目付与剤は,4成分の組み合わせの焦げ目付与剤が最もよいといえる。4成分の組み合わせの焦げ目付与剤を用いることで、レンジ調理時間を短縮でき、それにより食品のジューシーでおいしい風味・食感が保たれ、高い歩溜まりを得られる。
【0161】
なお、焦げ目付与剤における4成分の配合などの組み合わせ方や、粉末状や液体状などの焦げ目付与剤の塗し方については、対象となる食品に応じて、適宜変更可能である。
【0162】
・電子レンジの調理条件について
また、電子レンジを用いて、保水処理なし/塗し処理なしの鶏肉を、電子レンジの条件を変えて調理してみた結果を
図17に示す。
【0163】
レンジ条件を強くすると歩留が下がる。また褐色にはなるが、水分・油分が抜け、食感も見た目も明らかに悪くなる。
【0164】
前述した説明にあるレンジ条件は、80gの原料・保水処理と塗し処理あり・生から調理・耐熱皿使用(皿との間に隙間をあけてラップ)の条件において、ベストと判断した条件である。
【0165】
対象食品の種類・大きさ・厚み・状態(水分・油分の含有量、pH、冷凍・冷蔵状態など)・調理方法によって、調理後の出来上がりに大きな差が生じるため、対象食品に最適なレンジ条件を設定する必要がある。
【0166】
よって、本発明は、レンジ条件について特に限定されず、焼き目や焼き風味が付与され、食品としての美味しさを失わないように、各々の食品に適したレンジ条件の設定を行うことが望ましい。
【0167】
・電子レンジ調理の方法(使用する容器や包材について)
保水処理・塗し処理があるサバについて、容器や包材、方法を変えて調理したところ、いずれも十分な焼き目と焼き風味が付与されていた。結果を
図18~
図20に示す。
【0168】
しかし、容器にラップや蓋をせず完全な開放状態で加熱を行った場合、水分や風味が飛びパサパサした食感になりやすく、焼き風味も弱くなる傾向があった。また、逆に隙間をあけずに容器に蓋やラップをして調理した場合や、蒸気穴等がない袋など完全に密封した状態で調理した場合には、内部に水分が残り、焼き目や焼き風味がつきにくくなる傾向があった。
【0169】
よって、電子レンジ調理の方法は、特に限定されないが、効率よく焼き目・焼き風味を付けふっくら美味しく仕上げるためには、(i)耐熱皿やレンジ対応皿の場合、容器に少し隙間をあけて蓋やラップをした状態でレンジ調理する、(ii)袋の場合は、蒸気孔があるものか、袋の口をある程度開けた状態で調理する。
【0170】
このように、ある程度密封した状態にすることで、電子レンジ調理時に食品が蒸し焼き状態になり、ふっくらジューシーに仕上がり、隙間や蒸気穴を通じて電子レンジ調理時に発生する水蒸気を逃がし、食品表面の温度を上げることで、焼き目・焼き風味が生じやすくなるようにできる。
【0171】
以上のとおり、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲に含まれる。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子レンジ調理で、香ばしい香りや焦げ目が付く食品の製造方法であって、
前記食品は、肉類または魚類であり、
前記食品の少なくとも表面付近に、保水剤を含む溶液を浸透させる保水処理を施す第1の工程と、
保水処理が施された食品の表面に、電子レンジ調理する際に、加熱により焦げ目を付与させる焦げ目付与剤を付着させる第2の工程と、
を備え、
前記保水剤は、炭酸塩、有機酸又は有機酸塩、リン酸塩、強アルカリ性物質、アルカリ性食品素材の少なくともいずれか1を主剤として含むものである、ことを特徴とする食品の製造方法。
【請求項2】
前記焦げ目付与剤は、
糖、澱粉の少なくともいずれか1を含む、
請求項1記載の食品の製造方法。
【請求項3】
前記焦げ目付与剤は、
さらに、タンパク、アミノ酸の少なくともいずれか1を含む、
請求項2記載の食品の製造方法。
【請求項4】
前記焦げ目付与剤は、
乳タンパク、卵白、小麦タンパクの少なくともいずれか1を含むタンパクと、
酢酸デンプン、リン酸架橋デンプンの少なくともいずれか1を含む澱粉と、
キシロース、グルコースの少なくともいずれか1を含む糖と、
グリシン、アラニン、グルタミン酸の少なくともいずれか1を含むアミノ酸と、を含む、
請求項3記載の食品の製造方法。
【請求項5】
さらに、前記焦げ目付与剤は、増粘剤、食物繊維の少なくともいずれか1を含む付着向上剤を含む、
請求項2項記載の食品の製造方法。
【請求項6】
さらに、前記焦げ目付与剤は、糖加熱加工品、メイラード反応生成物、粉末醤油の少なくともいずれか1を含む焦げ目付与向上剤を含む、
請求項2項記載の食品の製造方法。
【請求項7】
前記焦げ目付与剤は、糖を、食品重量に対する重量比で、0.005%~30%の範囲で含む、
請求項1記載の食品の製造方法。
【請求項8】
前記焦げ目付与剤は、糖を、食品重量に対する重量比で、0.05%~20%の範囲で含む、
請求項7記載の食品の製造方法。
【請求項9】
前記焦げ目付与剤は、澱粉を、食品重量に対する重量比で、0.05%~20%の範囲で含む、
請求項1項記載の食品の製造方法。
【請求項10】
前記焦げ目付与剤は、澱粉を、食品重量に対する重量比で、0.2%~15%の範囲で含む、
請求項9記載の食品の製造方法。
【請求項11】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、糖を30%未満の範囲、アミノ酸を10%未満の範囲で含む、
請求項1記載の食品の製造方法。
【請求項12】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、糖を0.005%~20%の範囲、アミノ酸を0.005%~5%の範囲で含む、
請求項11記載の食品の製造方法。
【請求項13】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、糖を30%未満の範囲、澱粉を20%未満の範囲で含む、
請求項1記載の食品の製造方法。
【請求項14】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、糖を0.005%~20%の範囲、澱粉を0.1%~15%の範囲で含む、
請求項13記載の食品の製造方法。
【請求項15】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、糖を30%未満の範囲、タンパクを2%未満の範囲で含む、
請求項1記載の食品の製造方法。
【請求項16】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、糖を0.005%~20%の範囲、タンパクを0.01%~1%の範囲で含む、
請求項15記載の食品の製造方法。
【請求項17】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、アミノ酸を10%未満の範囲、澱粉を20%未満の範囲で含む、
請求項1記載の食品の製造方法。
【請求項18】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、アミノ酸を0.005%~5%の範囲、澱粉を0.1%~15%の範囲で含む、
請求項17記載の食品の製造方法。
【請求項19】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、澱粉を20%未満の範囲、タンパクを2%未満の範囲で含む、
請求項1記載の食品の製造方法。
【請求項20】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、澱粉を0.5%~15%の範囲、タンパクを0.01%~1%の範囲で含む、
請求項19記載の食品の製造方法。
【請求項21】
電子レンジ調理で、香ばしい香りや焦げ目が付く食品であり、
前記食品は、肉類または魚類であり、
炭酸塩、有機酸又は有機酸塩、リン酸塩、強アルカリ性物質、アルカリ性食品素材の少なくともいずれか1を主剤として含む保水剤が少なくとも食品内部の表面付近に存在し、
食品表面に少なくとも糖、澱粉のいずれか1を含む焦げ目付与剤が存在することを特徴とする、食品。
【請求項22】
前記焦げ目付与剤は、
さらに、タンパク、アミノ酸の少なくともいずれか1をさらに含む、
請求項21記載の食品。
【請求項23】
前記焦げ目付与剤は、
乳タンパク、卵白、小麦タンパクの少なくともいずれか1を含むタンパクと、
酢酸デンプン、リン酸架橋デンプンの少なくともいずれか1を含む澱粉と、
キシロース、グルコースの少なくともいずれか1を含む糖と、
グリシン、アラニン、グルタミン酸の少なくともいずれか1を含むアミノ酸と、を含む、
請求項22記載の食品。
【請求項24】
さらに、前記焦げ目付与剤は、増粘剤、食物繊維の少なくともいずれか1を含む付着向上剤を含む、
請求項21記載の食品。
【請求項25】
さらに、前記焦げ目付与剤は、糖加熱加工品、メイラード反応生成物、粉末醤油の少なくともいずれか1を含む焦げ目付与向上剤を含む、
請求項21項記載の食品。
【請求項26】
請求項1記載の食品の製造方法によって製造された食品。
【請求項27】
肉類または魚類である食品に、炭酸塩、有機酸又は有機酸塩、リン酸塩、強アルカリ性物質、アルカリ性食品素材の少なくともいずれか1を主剤として含む保水剤を含む溶液を浸透させる保水処理を施した後に、前記保水処理が施された食品の表面に、電子レンジ調理する際に、加熱により焦げ目を付与させるのに用いる焦げ目付与剤であって、
少なくとも糖、澱粉のいずれか1を含むことを特徴とする、焦げ目付与剤。
【請求項28】
前記焦げ目付与剤は、
さらに、タンパク、アミノ酸の少なくともいずれか1をさらに含む、
請求項27記載の焦げ目付与剤。
【請求項29】
乳タンパク、卵白、小麦タンパクの少なくともいずれか1を含むタンパクと、
酢酸デンプン、リン酸架橋デンプンの少なくともいずれか1を含む澱粉と、
キシロース、グルコースの少なくともいずれか1を含む糖と、
グリシン、アラニン、グルタミン酸の少なくともいずれか1を含むアミノ酸を含む、
請求項28記載の焦げ目付与剤。
【請求項30】
さらに、増粘剤、食物繊維の少なくともいずれか1を含む付着向上剤を含む、
請求項27項記載の焦げ目付与剤。
【請求項31】
さらに、糖加熱加工品、メイラード反応生成物、粉末醤油の少なくともいずれか1を含む焦げ目付与向上剤を含む、
請求項27記載の焦げ目付与剤。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明の一の態様にかかる食品の製造方法は、電子レンジ調理で、香ばしい香りや焦げ目が付く食品の製造方法であって、前記食品は、肉類または魚類であり、前記食品の少なくとも表面付近に、保水剤を含む溶液を浸透させる保水処理を施す第1の工程と、保水処理が施された食品の表面に、電子レンジ調理する際に、加熱により焦げ目を付与させる焦げ目付与剤を付着させる第2の工程と、を備え、前記保水剤は、炭酸塩、有機酸又は有機酸塩、リン酸塩、強アルカリ性物質、アルカリ性食品素材の少なくともいずれか1を主剤として含むものである、ことを特徴とするものである。ここで、保水処理には、浸漬、揉み込み(タンブリング)、インジェクションなどの一般的な方法を用いることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
さらに、この焦げ目付与剤は、加熱により皮膜を形成しやすい成分として、乳タンパク、卵白、小麦タンパクの少なくともいずれか1を含むタンパクと、加熱により皮膜を形成しやすい成分として、酢酸デンプン、リン酸架橋デンプンの少なくともいずれか1を含む澱粉と、焼き風味、焼き色、焦げ目を発生させる成分として、キシロース、グルコースの少なくともいずれか1を含む糖と、前記糖とメイラード反応を起こし褐変物質を生成する成分として、グリシン、アラニン、グルタミン酸の少なくともいずれか1を含むアミノ酸と、を含むことがより望ましい。このような焦げ目付与剤を塗布することで、電子レンジを使った時に、食品の焦げ目や焼き上がりがさらに向上する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
前記焦げ目付与剤は、前記食品の表面への付着をよくする成分として、増粘剤、食物繊維の少なくともいずれか1を含む付着向上剤を含むことや、褐変物質を生成することを促進する成分として、糖加熱加工品、メイラード反応生成物、粉末醤油の少なくともいずれか1を含む焦げ目付与向上剤を含むことが望ましい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
さらに、この食品は、前記焦げ目付与剤に、乳タンパク、卵白、小麦タンパクの少なくともいずれか1を含むタンパクと、酢酸デンプン、リン酸架橋デンプンの少なくともいずれか1を含む澱粉と、キシロース、グルコースの少なくともいずれか1を含む糖と、グリシン、アラニン、グルタミン酸の少なくともいずれか1を含むアミノ酸とを含むことがより望ましい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
また、この食品は、さらに前記焦げ目付与剤に、食品の表面への付着をよくする成分として増粘剤、食物繊維の少なくともいずれか1を含む付着向上剤を含むことや、褐変物質を生成することを促進する成分として、糖加熱加工品、メイラード反応生成物、粉末醤油の少なくともいずれか1を含む焦げ目付与向上剤を含むことが望ましい。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
本発明の一の態様にかかる焦げ目付与剤は、肉類または魚類である食品に、炭酸塩、有機酸又は有機酸塩、リン酸塩、強アルカリ性物質、アルカリ性食品素材の少なくともいずれか1を主剤として含む保水剤を含む溶液を浸透させる保水処理を施した後に、前記保水処理が施された食品の表面に、電子レンジ調理する際に、加熱により焦げ目を付与させるのに用いる焦げ目付与剤であって、少なくとも糖、澱粉のいずれか1を含むことを特徴とする、
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
また、この食品の焦げ目付与剤は、さらに増粘剤、食物繊維の少なくともいずれか1を含む付着向上剤を含むことが望ましい。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
さらに、この焦げ目付与剤は、加熱により皮膜を形成しやすい成分として、乳タンパク、卵白、小麦タンパクの少なくともいずれか1を含むタンパクと、加熱により皮膜を形成しやすい成分として、酢酸デンプン、リン酸架橋デンプンの少なくともいずれか1を含む澱粉と、キシロース、グルコースの少なくともいずれか1を含む糖と、糖とメイラード反応を起こし褐変物質を生成する成分として、グリシン、アラニン、グルタミン酸の少なくともいずれか1を含むアミノ酸を含むことがより望ましい。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子レンジ調理で、香ばしい香りや焦げ目が付く食品の製造方法であって、
前記食品は、肉類または魚類であり、
前記食品の少なくとも表面付近に、保水剤を含む溶液を浸透させる保水処理を施す第1の工程と、
保水処理が施された食品の表面に、電子レンジ調理する際に、加熱により焦げ目を付与させる焦げ目付与剤を付着させる第2の工程と、
を備え、
前記保水剤は、炭酸塩、有機酸又は有機酸塩、リン酸塩、強アルカリ性物質、アルカリ性食品素材の少なくともいずれか1を主剤として含み、前記保水剤を含む溶液のpHが7.0~12.0の範囲であり、電子レンジ調理時の食品からの離水を抑制することを特徴とする、食品の製造方法。
【請求項2】
前記焦げ目付与剤は、
糖、澱粉の少なくともいずれか1を含む、
請求項1記載の食品の製造方法。
【請求項3】
前記焦げ目付与剤は、
さらに、タンパク、アミノ酸の少なくともいずれか1を含む、
請求項2記載の食品の製造方法。
【請求項4】
前記焦げ目付与剤は、
乳タンパク、卵白、小麦タンパクの少なくともいずれか1を含むタンパクと、
酢酸デンプン、リン酸架橋デンプンの少なくともいずれか1を含む澱粉と、
キシロース、グルコースの少なくともいずれか1を含む糖と、
グリシン、アラニン、グルタミン酸の少なくともいずれか1を含むアミノ酸と、を含む、
請求項3記載の食品の製造方法。
【請求項5】
さらに、前記焦げ目付与剤は、増粘剤、食物繊維の少なくともいずれか1を含む付着向上剤を含む、
請求項2項記載の食品の製造方法。
【請求項6】
さらに、前記焦げ目付与剤は、糖加熱加工品、メイラード反応生成物、粉末醤油の少なくともいずれか1を含む焦げ目付与向上剤を含む、
請求項2項記載の食品の製造方法。
【請求項7】
前記焦げ目付与剤は、糖を、食品重量に対する重量比で、0.005%~30%の範囲で含む、
請求項1記載の食品の製造方法。
【請求項8】
前記焦げ目付与剤は、糖を、食品重量に対する重量比で、0.05%~20%の範囲で含む、
請求項7記載の食品の製造方法。
【請求項9】
前記焦げ目付与剤は、澱粉を、食品重量に対する重量比で、0.05%~20%の範囲で含む、
請求項1項記載の食品の製造方法。
【請求項10】
前記焦げ目付与剤は、澱粉を、食品重量に対する重量比で、0.2%~15%の範囲で含む、
請求項9記載の食品の製造方法。
【請求項11】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、糖を30%未満の範囲、アミノ酸を10%未満の範囲で含む、
請求項1記載の食品の製造方法。
【請求項12】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、糖を0.005%~20%の範囲、アミノ酸を0.005%~5%の範囲で含む、
請求項11記載の食品の製造方法。
【請求項13】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、糖を30%未満の範囲、澱粉を20%未満の範囲で含む、
請求項1記載の食品の製造方法。
【請求項14】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、糖を0.005%~20%の範囲、澱粉を0.1%~15%の範囲で含む、
請求項13記載の食品の製造方法。
【請求項15】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、糖を30%未満の範囲、タンパクを2%未満の範囲で含む、
請求項1記載の食品の製造方法。
【請求項16】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、糖を0.005%~20%の範囲、タンパクを0.01%~1%の範囲で含む、
請求項15記載の食品の製造方法。
【請求項17】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、アミノ酸を10%未満の範囲、澱粉を20%未満の範囲で含む、
請求項1記載の食品の製造方法。
【請求項18】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、アミノ酸を0.005%~5%の範囲、澱粉を0.1%~15%の範囲で含む、
請求項17記載の食品の製造方法。
【請求項19】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、澱粉を20%未満の範囲、タンパクを2%未満の範囲で含む、
請求項1記載の食品の製造方法。
【請求項20】
前記焦げ目付与剤は、食品重量に対する重量比で、澱粉を0.5%~15%の範囲、タンパクを0.01%~1%の範囲で含む、
請求項19記載の食品の製造方法。
【請求項21】
電子レンジ調理で、香ばしい香りや焦げ目が付く食品であり、
前記食品は、肉類または魚類であり、
保水剤を含む溶液が少なくとも食品内部の表面付近に存在し、
食品表面に少なくとも糖、澱粉のいずれか1を含む焦げ目付与剤が存在し、
前記保水剤は、炭酸塩、有機酸又は有機酸塩、リン酸塩、強アルカリ性物質、アルカリ性食品素材の少なくともいずれか1を主剤として含み、前記保水剤を含む溶液のpHが7.0~12.0の範囲であり、電子レンジ調理時の食品からの離水が抑制されることを特徴とする、食品。
【請求項22】
前記焦げ目付与剤は、
さらに、タンパク、アミノ酸の少なくともいずれか1をさらに含む、
請求項21記載の食品。
【請求項23】
前記焦げ目付与剤は、
乳タンパク、卵白、小麦タンパクの少なくともいずれか1を含むタンパクと、
酢酸デンプン、リン酸架橋デンプンの少なくともいずれか1を含む澱粉と、
キシロース、グルコースの少なくともいずれか1を含む糖と、
グリシン、アラニン、グルタミン酸の少なくともいずれか1を含むアミノ酸と、を含む、
請求項22記載の食品。
【請求項24】
さらに、前記焦げ目付与剤は、増粘剤、食物繊維の少なくともいずれか1を含む付着向上剤を含む、
請求項21記載の食品。
【請求項25】
さらに、前記焦げ目付与剤は、糖加熱加工品、メイラード反応生成物、粉末醤油の少なくともいずれか1を含む焦げ目付与向上剤を含む、
請求項21項記載の食品。
【請求項26】
請求項1記載の食品の製造方法によって製造された食品。
【請求項27】
肉類または魚類である食品を電子レンジ調理する際に、食品からの離水を抑制するため、前記食品に、保水剤を含む溶液を浸透させる保水処理を施した後に、前記保水処理が施された食品の表面に、電子レンジ調理する際に、加熱により焦げ目を付与させるのに用いる焦げ目付与剤であり、
少なくとも糖、澱粉のいずれか1を含み、
前記保水剤は、炭酸塩、有機酸又は有機酸塩、リン酸塩、強アルカリ性物質、アルカリ性食品素材の少なくともいずれか1を主剤として含み、前記保水剤を含む溶液のpHが7.0~12.0の範囲であることを特徴とする、焦げ目付与剤。
【請求項28】
前記焦げ目付与剤は、
さらに、タンパク、アミノ酸の少なくともいずれか1をさらに含む、
請求項27記載の焦げ目付与剤。
【請求項29】
乳タンパク、卵白、小麦タンパクの少なくともいずれか1を含むタンパクと、
酢酸デンプン、リン酸架橋デンプンの少なくともいずれか1を含む澱粉と、
キシロース、グルコースの少なくともいずれか1を含む糖と、
グリシン、アラニン、グルタミン酸の少なくともいずれか1を含むアミノ酸を含む、
請求項28記載の焦げ目付与剤。
【請求項30】
さらに、増粘剤、食物繊維の少なくともいずれか1を含む付着向上剤を含む、
請求項27項記載の焦げ目付与剤。
【請求項31】
さらに、糖加熱加工品、メイラード反応生成物、粉末醤油の少なくともいずれか1を含む焦げ目付与向上剤を含む、
請求項27記載の焦げ目付与剤。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明の一の態様にかかる食品の製造方法は、電子レンジ調理で、香ばしい香りや焦げ目が付く食品の製造方法であって、前記食品は、肉類または魚類であり、前記食品の少なくとも表面付近に、保水剤を含む溶液を浸透させる保水処理を施す第1の工程と、保水処理が施された食品の表面に、電子レンジ調理する際に、加熱により焦げ目を付与させる焦げ目付与剤を付着させる第2の工程と、を備え、前記保水剤は、炭酸塩、有機酸又は有機酸塩、リン酸塩、強アルカリ性物質、アルカリ性食品素材の少なくともいずれか1を主剤として含み、前記保水剤を含む溶液のpHが、7.0~12.0の範囲であり、電子レンジ調理時の食品からの離水を抑制することを特徴とするものである。ここで、保水処理には、浸漬、揉み込み(タンブリング)、インジェクションなどの一般的な方法を用いることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
本発明の一の態様にかかる食品は、電子レンジ調理で、香ばしい香りや焦げ目が付く食品であり、前記食品は、肉類または魚類であり、保水剤を含む溶液が少なくとも食品内部の表面付近に存在し、食品表面に少なくとも糖、澱粉のいずれか1を含む焦げ目付与剤が存在し、前記保水剤は、炭酸塩、有機酸又は有機酸塩、リン酸塩、強アルカリ性物質、アルカリ性食品素材 の少なくともいずれか1を主剤として含み、前記保水剤を含む溶液のpHが7.0~12.0の範囲であり、電子レンジ調理時の食品からの離水が抑制されることを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
本発明の一の態様にかかる焦げ目付与剤は、肉類または魚類である食品を電子レンジ調理する際に、食品からの離水を抑制するため、前記食品に、保水剤を含む溶液を浸透させる保水処理を施した後に、前記保水処理が施された食品の表面に、電子レンジ調理する際に、加熱により焦げ目を付与させるのに用いる焦げ目付与剤であり、少なくとも糖、澱粉のいずれか1を含み、前記保水剤は、炭酸塩、有機酸又は有機酸塩、リン酸塩、強アルカリ性物質、アルカリ性食品素材の少なくともいずれか1を主剤として含み、前記保水剤を含む溶液のpHが7.0~12.0の範囲であることを特徴とする。