(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180776
(43)【公開日】2024-12-27
(54)【発明の名称】ワイヤー付き衣類
(51)【国際特許分類】
A41C 3/10 20060101AFI20241220BHJP
A41C 3/14 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
A41C3/10 B
A41C3/14 B
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099706
(22)【出願日】2023-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】523232263
【氏名又は名称】廣井 直美
(74)【代理人】
【識別番号】100211719
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 和真
(72)【発明者】
【氏名】廣井 直美
【テーマコード(参考)】
3B131
【Fターム(参考)】
3B131AA16
3B131AB04
3B131AB23
3B131BA14
3B131BB26
3B131BB32
(57)【要約】
【課題】ワイヤー付き衣類において、ワイヤーが、ワイヤーループから飛び出すことを抑制できる技術を提供する。
【解決手段】本開示のブラジャー1は、本体部10と、ワイヤー2が封入されるワイヤーループ3と、を備える。そして、ワイヤー2は、その端部2aに縫留孔2bを有し、縫留孔2bに、ワイヤー2の端部2aを覆って配置される布材20が縫い止められるととともに、該布材20が本体部10に縫着されることで、ワイヤーループ3内において、ワイヤー2と本体部10とが固定される。そして、縫留孔2bは、多辺形であって且つ四辺以上の線分で画定される形状に形成され得る。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーを有するワイヤー付き衣類であって、
衣類本体部と、前記ワイヤーが封入されるワイヤーループと、を備え、
前記ワイヤーは、その端部に縫留孔を有し、
前記縫留孔に、前記ワイヤーの前記端部を覆って配置される布材が縫い止められるととともに、該布材が前記衣類本体部に縫着されることで、前記ワイヤーループ内において、前記ワイヤーと前記衣類本体部とが固定される、
ワイヤー付き衣類。
【請求項2】
前記縫留孔は、多辺形であって且つ四辺以上の線分で画定される形状に形成される、
請求項1に記載のワイヤー付き衣類。
【請求項3】
前記ワイヤーの前記端部は、扁平形状に形成される、
請求項1又は請求項2に記載のワイヤー付き衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤー付き衣類に関し、詳しくは、ワイヤーが、ワイヤーループから飛び出すことを抑制するワイヤー付き衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ワイヤー付き衣類として、ワイヤー入りブラジャーや矯正下着等が知られている。そして、このようなワイヤー付き衣類において、例えば、ワイヤー入りブラジャーでは、着用時にワイヤーが肌にあたる、くいこむ等、着用時に違和感が生じることがある。
【0003】
そこで、ワイヤーによる肌当たりを緩和できる種々のワイヤー入りブラジャーが開発されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ワイヤー部材がワイヤーループ内で上縁部側に偏在するように、ワイヤーループが表側布、肌側布、及び土台布に縫着されたカップ部付き衣類が開示されている。このカップ部付き衣類では、ワイヤー部材がワイヤーループ内で上縁部側に偏在していることで、着用状態においてワイヤー部材が着用者のバストのバージスラインに沿い易くなり、ワイヤー部材の肌当たりが好適に緩和され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来から、ワイヤーによる肌当たりを緩和できる種々のワイヤー入りブラジャーが開発されている。しかしながら、ワイヤー付き衣類では、このような肌当たりだけでなく、繰り返しの着用により、ワイヤーが、ワイヤーループから飛び出してしまうことも課題となり得る。
【0007】
ここで、特許文献1に記載の技術によれば、ワイヤー部材がワイヤーループ内で上縁部側に偏在するようにその位置が規定されているものの、ワイヤー部材の長手方向の移動を規制するものではない。したがって、繰り返しの着用により、ワイヤー部材が繰り返し長手方向に移動すると、ワイヤー部材が、織物や編物などの柔らかい素材が用いられたワイヤーループを破って該ワイヤーループから飛び出してしまう事態が生じ得る。
【0008】
本開示の目的は、ワイヤー付き衣類において、ワイヤーが、ワイヤーループから飛び出すことを抑制できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示のワイヤー付き衣類は、ワイヤーを有する衣類である。このワイヤー付き衣類は、衣類本体部と、前記ワイヤーが封入されるワイヤーループと、を備える。そして、前記ワイヤーは、その端部に縫留孔を有し、前記縫留孔に、前記ワイヤーの前記端部を覆って配置される布材が縫い止められるととともに、該布材が前記衣類本体部に縫着されることで、前記ワイヤーループ内において、前記ワイヤーと前記衣類本体部とが固定される。
【0010】
上記のワイヤー付き衣類では、ワイヤーと衣類本体部とが固定されることにより、ワイヤーループ内においてワイヤーの長手方向の移動を規制することができる。そうすると、繰り返しの着用によってもワイヤーループ内においてワイヤーが移動することが抑制されるため、ワイヤーが、ワイヤーループを破って該ワイヤーループから飛び出してしまう事態を可及的に抑制することができる。更に、上述したように、布材を介してワイヤーが衣類本体部に固定されることによれば、ワイヤーの端部に該ワイヤーの長手方向の移動を規制するための力が集中してしまうことを抑制でき、また、このような力の集中に対応するためにワイヤーの端部を強固に縫着する、つまり、縫着部を厚く形成する必要がなくなる。そうすると、ワイヤーと衣類本体部とを固定するための縫着部の厚みを分散させることができ、以て、ワイヤーの端部の肌当たりを緩和することができる。
【0011】
ここで、本開示のワイヤー付き衣類では、上記の構成において、前記縫留孔は、多辺形であって且つ四辺以上の線分で画定される形状に形成されてもよい。これによれば、縫留孔に布材を縫い止め易くなる。
【0012】
また、以上に述べたワイヤー付き衣類において、前記ワイヤーの前記端部は、扁平形状に形成されてもよい。これにより、ワイヤーの端部の肌当たりを緩和することができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、ワイヤー付き衣類において、ワイヤーが、ワイヤーループから飛び出すことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態におけるワイヤー付き衣類の概略構成を示す図である。
【
図2】
図1のA-A断面における概略構成を示す図である。
【
図3】ワイヤーと本体部とを固定するための布材を説明するための第1の図である。
【
図4】ワイヤーと本体部とを固定するための布材を説明するための第2の図である。
【
図5】ワイヤーの端部および縫留孔の別の形状を例示する図である。
【
図6】変形例におけるボーン付き衣類の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0016】
本実施形態におけるワイヤー付き衣類の概要について、
図1および
図2を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態におけるワイヤー付き衣類の概略構成を示す図であって、
図2は、
図1のA-A断面における概略構成を示す図である。本実施形態に係るブラジャー1は、ワイヤー2を有するワイヤー付き衣類である。
【0017】
図1に示すように、ブラジャー1は、カップ部11、土台部12、サイドパネル13、肩紐用細幅部14、脇部用ベルト15によって、本体部10が構成される。
【0018】
そして、
図2に示すように、ブラジャー1は、ワイヤー2が封入されるワイヤーループ3を備える。ここで、ワイヤーループ3は、筒状生地であって、周知の手段によって、土台部12に対して筒状に縫着される。なお、ワイヤーループ3は、着用者への肌当たりを考慮して、織物や編物などの柔らかい素材によって形成され得る。
【0019】
ここで、ワイヤーを有するブラジャーでは、繰り返しの着用により、ワイヤーが繰り返し長手方向に移動する傾向にある。その結果、ワイヤーが、織物や編物などの柔らかい素材が用いられたワイヤーループを破って該ワイヤーループから飛び出してしまう事態が生じ得る。
【0020】
そこで、本実施形態に係るブラジャー1は、後述する
図3に示すように、ワイヤー2の端部2aに縫留孔2bを有する。そして、縫留孔2bに、ワイヤー2の端部2aを覆って配置される布材20が縫い止められるととともに、該布材20が本体部10に縫着されることで、ワイヤーループ3内において、ワイヤー2と本体部10とが固定される。これについて、
図3および
図4に基づいて説明する。
【0021】
図3は、ワイヤー2と本体部10とを固定するための布材20を説明するための第1の図である。
図3(a)に示すように、ワイヤー2の端部2aには、縫留孔2bが形成されている。更に、
図3(b)に示すように、ワイヤー2の端部2aには、布材20が、該端部2aを覆って配置される。そして、ワイヤー2の端部2aを覆って配置された布材20は、
図3(c)に示すように、縫留孔2bとの間に縫着部Aを形成してワイヤー2に縫い止められる。
【0022】
なお、
図3には、ワイヤー2の端部2aに縫留孔2bとして1つの丸穴が形成された例を示したが、本開示の縫留孔2bは、複数の孔によって構成されてもよいし、その形状は丸穴に限定されない。
【0023】
また、
図4は、ワイヤー2と本体部10とを固定するための布材20を説明するための第2の図である。ここで、
図4は、ワイヤーループ3内に封入されるワイヤー2の配置、およびワイヤー2の縫留孔2bに縫い止められた布材20の配置を表し、これらを説明するためにワイヤーループ3の図示は省略している。
【0024】
図4(a)に示すように、ワイヤー2の端部2aを覆う布材20は、サイドパネル13との間に縫着部Bを形成して縫い止められる。これにより、ワイヤーループ3内において、ワイヤー2と本体部10とが固定されることになる。なお、
図4(b)に示すように、布材20がワイヤー2の両端部を覆い、これら布材20が本体部10に縫い止められてもよい。
【0025】
そして、このようにしてワイヤー2が固定されることによれば、ワイヤーループ3内においてワイヤー2の長手方向の移動を規制することができる。そうすると、繰り返しの着用によってもワイヤーループ3内においてワイヤー2が移動することが抑制されるため、ワイヤー2が、ワイヤーループ3を破って該ワイヤーループ3から飛び出してしまう事態を可及的に抑制することができる。更に、上述したように、布材20を介してワイヤー2が本体部10に固定されることによれば、ワイヤー2の端部2aに該ワイヤー2の長手方向の移動を規制するための力が集中してしまうことを抑制でき、また、このような力の集中に対応するためにワイヤー2の端部2aの縫着部を強固に形成する、つまり、縫着部を厚く形成する必要がなくなる。そうすると、ワイヤー2と本体部10とを固定するための縫着部の厚みを、縫留孔2bと布材20との縫着部(縫着部A)と、布材20とサイドパネル13との縫着部(縫着部B)と、に分散させることができ、以て、ワイヤー2の端部2aの肌当たりを緩和することができる。
【0026】
なお、本実施形態において、縫留孔2bは、多辺形であって且つ四辺以上の線分で画定される形状に形成されてもよい。
【0027】
ここで、
図5は、ワイヤー2の端部2aおよび縫留孔2bの別の形状を例示する図である。本実施形態では、
図5(a)に示すように、ワイヤー2の端部2aおよび縫留孔2bが、四辺形に形成されてもよい。これによれば、
図5(b)に示すように、縫留孔2bを形成する辺に対して縫着部Aを設けることができるため、縫留孔2bに布材20を縫い止め易くなる。
【0028】
また、本実施形態において、ワイヤー2の端部2aは、扁平形状に形成されてもよい。これにより、ワイヤー2の端部2aの肌当たりを緩和することができる。
【0029】
以上に述べたブラジャー1によれば、ワイヤー2が、ワイヤーループ3から飛び出すことを抑制することができる。
【0030】
<その他の変形例>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。例えば、本開示において説明した手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0031】
また、本開示のワイヤー付き衣類は、矯正下着であってもよい。
図6は、本変形例におけるボーン付き衣類の概略構成を示す図である。
【0032】
図6(a)に示すように、本変形例に係る矯正下着1´は、ボーン2´(本開示のワイヤーに相当)を有するボーン付き衣類であって、本体部10´には、ボーン2´が封入されるループ3´が備えられる。そして、
図6(b)に示すように、ボーン2´の端部を覆う布材20が、本体部10´との間に縫着部を形成して縫い止められる。なお、
図6(b)において、ループ3´の図示は省略している。これによれば、ボーン2´が、ループ3´を破って該ループ3´から飛び出してしまう事態を可及的に抑制することができる。
【符号の説明】
【0033】
1・・・・・ブラジャー
2・・・・・ワイヤー
2b・・・・縫留孔
3・・・・・ワイヤーループ
10・・・・本体部
20・・・・布材