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特開2024-180782パワートレインの発電機のアクティブ温度制御
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180782
(43)【公開日】2024-12-27
(54)【発明の名称】パワートレインの発電機のアクティブ温度制御
(51)【国際特許分類】
   H02P 9/04 20060101AFI20241220BHJP
   H02K 9/19 20060101ALI20241220BHJP
【FI】
H02P9/04 F
H02K9/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024082445
(22)【出願日】2024-05-21
(31)【優先権主張番号】63/507,862
(32)【優先日】2023-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マンキューソ、ベンジャミン アルバー
(72)【発明者】
【氏名】マンクレス、チャド ダンカン
(72)【発明者】
【氏名】ゴレビオスキー、マテウシュ ヴォイチェフ
(72)【発明者】
【氏名】クノフ、エリック ポール
(72)【発明者】
【氏名】ハウズ、ジェームス ロイス
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ、ダリル ルーファス
(72)【発明者】
【氏名】アンドリッツ、ジェフリー ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】バスカーク、エリック スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】アイゼンツォフ、ピーター ジョン
(57)【要約】
【課題】パワートレイン内の発電機のアクティブ(能動的)温度制御のための装置及び方法を提供する。
【解決手段】装置は、パワートレインアセンブリの発電機部品の温度を監視するように構成された温度センサ(242)を含む。パワートレインアセンブリ(200)は、冷却流体と熱連通しかつ発電機部品と同一シャフト上に取り付けられたパワートレイン部品を含む。コントローラ(240)が、温度センサ(242)及び冷却流体の温度を調整するための熱交換回路(232)に結合している。コントローラ(240)は、パワートレインアセンブリ(200)の目標スラスト軸受パラメータ又は目標振動パラメータに基づいて発電機部品の目標温度を計算し、監視温度と目標温度との差に基づいてパワートレイン部品への冷却流体の供給を調整する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワートレインアセンブリの発電機部品の温度を監視するように構成された温度センサであって、前記パワートレインアセンブリが、冷却流体と熱連通しかつ前記発電機部品と同一シャフト上に取り付けられたパワートレイン部品を含んでいる、温度センサと、
前記温度センサ及び前記冷却流体の温度を調整するための熱交換回路に結合したコントローラであって、前記パワートレインアセンブリの目標スラスト軸受パラメータ又は目標振動パラメータに基づいて前記発電機部品の目標温度を計算し、監視温度と目標温度との差に基づいて前記パワートレイン部品への前記冷却流体の供給を調整するように構成されたコントローラと
を備える装置。
【請求項2】
前記コントローラが、可変流量ポンプを介して前記発電機部品に供給又は前記発電機部品から抽出される前記冷却流体の量を増加又は減少させることによって、前記冷却流体の供給を調整するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コントローラが、可変流量弁を介して戻り導管から進入導管に送られる前記冷却流体の量を増加又は減少させることによって、前記冷却流体の供給を調整するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記コントローラが、前記熱交換回路から出る前記冷却流体の一部を前記発電機部品に迂回させる混合弁を調整することによって、前記冷却流体の供給を調整するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記コントローラが、前記熱交換回路内の濡れ面冷却器の温度を調整することによって、前記冷却流体の供給を調整するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記コントローラが、前記熱交換回路内の補助熱交換器を介して前記冷却流体の供給を調整するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記コントローラが、前記シャフトの目標軸方向長さ又は目標熱膨張に基づいて目標温度を算出するようにさらに構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
同一シャフト上に発電機部品及びパワートレイン部品が取り付けられたパワートレインアセンブリと、
前記発電機部品の温度を監視するように構成された温度センサと、
前記発電機部品と熱連通する熱交換回路であって、前記発電機部品を冷却流体で冷却するように構成された熱交換回路と、
前記温度センサ及び前記熱交換回路に結合したコントローラであって、前記パワートレインアセンブリの目標スラスト軸受パラメータ又は目標振動パラメータに基づいて前記発電機部品の目標温度を計算し、監視温度と目標温度との差に基づいて前記パワートレイン部品への前記冷却流体の供給を調整するコントローラと
を備えるシステム。
【請求項9】
前記コントローラが、可変流量ポンプを介して前記発電機部品に供給又は前記発電機部品から抽出される前記冷却流体の量を増加又は減少させることによって、前記冷却流体の供給を調整するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記コントローラが、可変流量弁を介して戻り導管から進入導管に送られる前記冷却流体の量を増加又は減少させることによって、前記冷却流体の供給を調整するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラが、前記熱交換回路から出る前記冷却流体の一部を前記発電機部品に迂回させる混合弁を調整することによって、前記冷却流体の供給を調整するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記コントローラが、前記熱交換回路内の濡れ面冷却器の温度を調整することによって、前記冷却流体の供給を調整するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記コントローラが、前記熱交換回路内の補助熱交換器を介して前記冷却流体の供給を調整するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記コントローラが、前記シャフトの目標軸方向長さ又は目標熱膨張に基づいて目標温度を計算するようにさらに構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
パワートレインアセンブリの発電機部品の温度を監視するステップであって、前記パワートレインアセンブリが、冷却流体と熱連通しかつ前記発電機部品と同一シャフト上に取り付けられたパワートレイン部品を含んでいる、ステップと、
前記パワートレインアセンブリの目標スラスト軸受パラメータ又は目標振動パラメータに基づいて、前記発電機部品の目標温度を計算するステップと、
監視温度と目標温度との差に基づいて前記パワートレイン部品への前記冷却流体の供給を調整するステップと
を含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願で開示する技術は、ターボ機械に関する。さらに具体的には、本願で開示する技術は、パワートレイン内の発電機のアクティブ(能動的)温度制御のための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン、蒸気タービン及び発電機は、発電プラントのパワートレイン構造の一部として常用されている。あるタイプの発電プラントでは、プラントのパワートレインを京成するためガスタービンを発電機と組合せて使用することができる。発電プラントでは、複数の列の動翼及び静翼を有する圧縮機で空気を圧縮して燃焼器に送り、燃焼器で圧縮空気を燃料と混合する。燃焼器では、圧縮空気と燃料を燃焼させて燃焼生成物(高温空気-燃料混合物)を生じさせ、燃焼生成物はタービンのブレードを通して膨張する。
【0003】
2基のタービン(大抵はガスタービンと蒸気タービン)の間に発電機を配置したパワートレインは、単純サイクルモード及びコンバインドサイクルモードでの運転を可能にするクラッチを有することがある。この構成では、複数のスラスト軸受(例えば各タービンに1個)及びクラッチは、クラッチ係合後、スラスト軸受間のシャフトラインの軸方向膨張・収縮差を補償するように構成される。タービンの定常状態での運転開始後、発電機シャフトにそれ以上の膨張及び収縮(周囲温度及びプラント冷却水温度の変動などによる)は、スラスト軸受のスラスト負荷を変化させてしまうおそれが(特にクラッチの圧縮又は膨張に必要な負荷よりも少ない負荷で起こる場合に)ある。さらに、過渡的温度変動は、クラッチのスリップ事象の数を増加させる可能性がある。発電機の冷却媒体に曝され、比較的長い長さを有する発電機シャフトは、例えば、毎日約10~20℃の温度変動に付され、約1~3mm又はそれ以上の軸方向長さの変化を生じることがある。この状況は、スラスト軸受の負荷に大きく影響し、1以上の軸受の摩耗及び温度を増大させてしまうおそれがある。さらに、こうした負荷及び膨張は、ベースライン運転特性と比較して、高い軸方向クラッチ負荷による振動が特に大きい場合、パワートレインの振動に影響を与えるおそれがある。
【発明の概要】
【0004】
以下に挙げるすべての態様、具体例及び特徴は、技術的に可能な方法で組合せることができる。
【0005】
本開示の態様は、パワートレインアセンブリの発電機部品の温度を監視するように構成された温度センサであって、パワートレインアセンブリが、冷却流体と熱連通しかつ発電機部品と同一シャフト上に取り付けられたパワートレイン部品を含んでいる、温度センサと、温度センサ及び冷却流体の温度を調整するための熱交換回路に結合したコントローラであって、パワートレインアセンブリの目標スラスト軸受パラメータ又は目標振動パラメータに基づいて発電機部品の目標温度を計算し、監視温度と目標温度との差に基づいてパワートレイン部品への冷却流体の供給を調整するように構成されたコントローラとを含む装置を提供する。
【0006】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、コントローラは、可変流量ポンプを介して発電機部品に供給又は発電機部品から抽出される冷却流体の量を増加又は減少させることによって、冷却流体の供給を調整するように構成される。
【0007】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、コントローラは、可変流量弁を介して戻り導管から進入導管に送られる冷却流体の量を増加又は減少させることによって、冷却流体の供給を調整するように構成される。
【0008】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、コントローラは、熱交換回路から出る冷却流体の一部を発電機部品に迂回させる混合弁を調整することによって、冷却流体の供給を調整するように構成される。
【0009】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、コントローラは、熱交換回路内の濡れ面冷却器の温度を調整することによって、冷却流体の供給を調整するように構成される。
【0010】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、コントローラは、熱交換回路内の補助熱交換器を介して冷却流体の供給を調整するように構成される。
【0011】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、コントローラは、シャフトの目標軸方向長さ又は目標熱膨張に基づいて目標温度を計算するようにさらに構成される。
【0012】
本開示の態様は、同一シャフト上に発電機部品及びパワートレイン部品が取り付けられたパワートレインアセンブリと、発電機部品の温度を監視するように構成された温度センサと、発電機部品と熱連通する熱交換回路であって、発電機部品を冷却流体で冷却するように構成された熱交換回路と、温度センサ及び熱交換回路に結合したコントローラであって、パワートレインアセンブリの目標スラスト軸受パラメータ又は目標振動パラメータに基づいて発電機部品の目標温度を計算し、監視温度と目標温度との差に基づいてパワートレイン部品への冷却流体の供給を調整するように構成されたコントローラとを含むシステムを提供する。
【0013】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、コントローラは、可変流量ポンプを介して発電機部品に供給又は発電機部品から抽出される冷却流体の量を増加又は減少させることによって、冷却流体の供給を調整するように構成される。
【0014】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、コントローラは、可変流量弁を介して戻り導管から進入導管に送られる冷却流体の量を増加又は減少させることによって、冷却流体の供給を調整するように構成される。
【0015】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、コントローラは、熱交換回路から出る冷却流体の一部を発電機部品に迂回させる混合弁を調整することによって、冷却流体の供給を調整するように構成される。
【0016】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、コントローラは、熱交換回路内の濡れ面冷却器の温度を調整することによって、冷却流体の供給を調整するように構成される。
【0017】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、コントローラは、熱交換回路内の補助熱交換器を介して冷却流体の供給を調整するように構成される。
【0018】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、コントローラは、シャフトの目標軸方向長さ又は目標熱膨張に基づいて目標温度を計算するようにさらに構成される。
【0019】
本開示の態様は、パワートレインアセンブリの発電機部品の温度を監視するステップであって、パワートレインアセンブリは、冷却流体と熱連通しかつ発電機部品と同一シャフト上に取り付けられたパワートレイン部品を含んでいる、ステップと、パワートレインアセンブリの目標スラスト軸受パラメータ又は目標振動パラメータに基づいて、発電機部品の目標温度を計算するステップと、監視温度と目標温度との差に基づいてパワートレイン部品への冷却流体の供給を調整するステップとを含む方法を提供する。
【0020】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、冷却流体の供給を調整するステップは、可変流量ポンプを介して発電機部品に供給又は発電機部品から抽出される冷却流体の量を増加又は減少させることを含む。
【0021】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、冷却流体の供給を調整するステップは、可変流量弁を介して戻り導管から進入導管に送られる冷却流体の量を減少させることを含む。
【0022】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、冷却流体の供給を調整するステップは、熱交換回路から出る冷却流体の一部を発電機部品に迂回させるための混合弁を調整することを含む。
【0023】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、冷却流体の供給を調整するステップは、熱交換回路内の濡れ面冷却器又は補助熱交換器を介して冷却流体の温度を調整することを含む。
【0024】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、目標温度を計算するステップは、シャフトの目標軸方向長さ又は目標熱膨張率に基づく。
【0025】
この発明の概要の欄に記載した態様も含めて、本開示に記載した2以上の態様を組合せて、本明細書に具体的に記載されていない実施態様としてもよい。この発明の概要の欄に記載した態様も含めて、本開示に記載した2以上の態様を組合せて、本明細書に具体的に記載されていない実施態様としてもよい。
【0026】
1以上の実施態様の詳細を、添付の図面及び以下の説明に記載する。その他の特徴、目的及び利点は、発明の詳細な説明、図面並びに特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本開示の上記その他の特徴については、本開示の様々な実施形態について記載する添付図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって理解を深めることができよう。
図1】パワートレインアセンブリ用の従来のガスタービン(GT)エンジンの断面図。
図2】本開示の実施形態に係る装置のパワートレインアセンブリ及び相互接続された部品の概略図。
図3】パワートレインアセンブリに作用し、運転中に本開示の実施形態によって監視される熱成長及びスラスト力の概略図。
図4】本開示の実施形態に係る運転方法の例示的な流れ図。
図5】本開示の様々な実施形態に係るパワートレイン内の冷却流体のためのアクティブ温度制御ハードウェアのブロック図。
図6】本開示の様々な実施形態に係るパワートレイン内の冷却流体のためのアクティブ温度制御ハードウェアのブロック図。
図7】本開示の様々な実施形態に係るパワートレイン内の冷却流体のためのアクティブ温度制御ハードウェアのブロック図。
図8】本開示の様々な実施形態に係るパワートレイン内の冷却流体のためのアクティブ温度制御ハードウェアのブロック図。
図9】本開示の様々な実施形態に係るパワートレイン内の冷却流体のためのアクティブ温度制御ハードウェアのブロック図。
図10】本開示の様々な実施形態に係るパワートレイン内の冷却流体のためのアクティブ温度制御ハードウェアのブロック図。
図11】本開示の様々な実施形態に係るパワートレイン内の冷却流体のためのアクティブ温度制御ハードウェアのブロック図。
図12】本開示の様々な実施形態に係るパワートレイン内の冷却流体のためのアクティブ温度制御ハードウェアのブロック図。
図13】本開示の様々な実施形態に係るパワートレイン内の冷却流体のためのアクティブ温度制御ハードウェアのブロック図。
図14】本開示の様々な実施形態に係るパワートレイン内の冷却流体のためのアクティブ温度制御ハードウェアのブロック図。
図15】本開示の様々な実施形態に係るパワートレイン内の冷却流体のためのアクティブ温度制御ハードウェアのブロック図。
【0028】
なお、本開示の図面は必ずしも縮尺通りではない。図面は、本開示の典型的な態様を例示するものにすぎず、本開示の技術的範囲を限定するものではない。図面において、同様の符号は複数の図面間で同様の構成要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
まず、本開示の技術的内容を明確に説明するため、ターボ機械内の関連する機械部品について言及及び説明する際に、用語を選択する必要がある。できるだけ、当技術分野で一般的な用語を、その通常の意味と一致するように用いる。別途記載されていない限り、かかる用語は、本願の文脈及び添付の特許請求の範囲に則して広義に解釈すべきである。ある部品について幾つかの異なる又は重複する用語を用いて言及することが多々あることは当業者には明らかであろう。本明細書において、単一の部材として記載したものであっても、別の文脈では複数の部品からなるものとして記載することもある。或いは、本明細書のある箇所で複数の部品を含むものとして記載したものであっても、別の箇所では単一の部材として記載することもある。
【0030】
さらに、本明細書では幾つかの記述的用語を繰返し用いるが、本欄の冒頭でこれらの用語を定義しておくと有用であろう。これらの用語及びその定義は、別途明記しない限り、以下の通りである。本明細書で用いる「下流」及び「上流」という用語は、流体の流れ(例えばタービンエンジンを通る作動流体の流れ、或いは燃焼器を通る空気又はタービンの部品系の1つを通る冷却剤の流れなど)に関する方向を示す用語である。「下流」という用語は流体が流れていく方向に対応し、「上流」という用語は流れと反対の方向(すなわち、流れて来る方向)をいう。「前方」及び「後方」という用語は、それ以上は特定されない方向をいい、「前方」はエンジンの前方又は圧縮機端を示し、「後方」はターボ機械の後方セクションを示す。
【0031】
中心軸に対して異なる半径方向位置に配置された部品について説明する必要が多々ある。「半径方向」という用語は、軸に垂直な運動又は位置をいう。例えば、第1の部品が第2の部品よりも軸に近い場合、本明細書では第1の部品は第2の部品の「半径方向内側」又は「中心軸近位側」と記載される。一方、第1の部品が第2の部品よりも軸から遠く位置する場合、本明細書では第1の部品は第2の部品の「半径方向外側」又は「中心軸遠位側」と記載される。「軸方向」という用語は、軸に平行な運動又は位置をいう。最後に、「周方向」という用語は、軸を中心とした運動又は位置をいう。自明であろうが、かかる用語は、タービンの中心軸との関係で適用される。
【0032】
さらに、本明細書では、以下に記載する通り、幾つかの記述的用語を繰返し用いる。「第1」、「第2」及び「第3」という用語は、ある部品を他の部品と区別するために互換的に用いられ、個々の部品の位置又は重要性を示すものではない。
【0033】
本明細書で用いる用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、開示内容を限定するものではない。本明細書において、単数形で記載したものであっても、前後関係から別途明らかでない限り、複数の場合も含めて意味する。さらに、本明細書において、「備える」、「含む」及び/又は「有する」という用語は、記載した特徴、整数、ステップ、操作、構成要素及び/又は部品が存在することを示し、他の1以上の特徴、整数、ステップ、操作、構成要素、部品及び/又はこれらの群の存在又は追加を除外するものではない。「任意」又は「適宜」という用語は、その用語に続いて記載された事象又は状況が起きても起きなくてもよいことを意味しており、かかる記載はその事象が起こる場合と起こらない場合を包含する。
【0034】
ある構成要素又は層が別の構成要素又は層「の上」、「に係合」、「に接続」又は「に結合」しているという場合、その別の構成要素又は層の上に直接位置していても、その別の構成要素又は層に直接係合、接続又は結合していてもよいし、或いは介在する構成要素又は層が存在していてもよい。対照的に、ある構成要素が別の構成要素又は層「の直接上」、「に直接係合」、「に直接接続」又は「に直接結合」しているという場合、介在する構成要素又は層は存在しない。構成要素間の関係について説明するために用いられる他の用語(例えば、「~の間」と「直接~の間」、「隣接」と「直接隣接」など)も同様に解釈される。本明細書で用いる「及び/又は」という用語は、記載されたものの1以上のあらゆるすべての組合せを包含する。
【0035】
図面を参照すると、図1は、本開示の教示を適用できるパワートレインアセンブリで使用するために動作可能なターボ機械を含む例示的な機械の断面図である。図1は、燃焼タービン又はガスタービン(GT)エンジン100の形態のターボ機械(以下、「GTエンジン100」という)を示す。GTエンジン100は、圧縮機102と、圧縮機吐出ケーシング107と共に配置された1以上の燃焼器104とを含んでおり、圧縮機吐出ケーシング107は圧縮機102から圧縮空気を受けるプレナム109を画成する。燃焼器104内の燃料ノズルは、燃焼室106に燃料及び空気を供給して、高温高圧の燃焼ガスを生成する。GTエンジン100は、GTタービン110(すなわち、膨張タービン又はタービンセクション)及び共通の圧縮機/タービンシャフト111(以下、「ロータ111」という)も含んでいる。
【0036】
一実施形態では、GTエンジン100として、GE Vernova社(米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)から市販されているものを挙げることができる。本開示は、いかなるGTシステムに限定されるものではなく、例えば、GE Vernova社の他のHA、F、B、LM、GT、TM及びEクラスエンジンモデル、並びに他社のエンジンモデルを始めとする、他のエンジンに関しても実施し得る。さらに、本開示の教示内容は、必ずしも特定のターボ機械にしか適用できないものではなく、他のタイプのターボ機械、例えば蒸気タービン、ジェットエンジン、圧縮機、ターボファン等にも適用し得る。さらに重要なことに、本開示の教示は、必ずしもGTエンジン内のタービンアセンブリにしか適用できないわけではなく、本願に記載のような発電機を機械的に駆動するように動作し得る実質的にあらゆるタイプの産業機械又は他のタービンに適用し得る。したがって、GTエンジン100、特にGTエンジン100のGTタービン110に関する記載は、単に説明のためのものであり、限定的なものではない。
【0037】
図1及び図2を参照し、本明細書に記載されるように、本開示の実施形態は、シャフト111に取り付けられた発電機202を備えるパワートレインアセンブリ(以下、単に「アセンブリ」ともいう)200を提供する。巻線、発電機シャフトセクション、固定子セクションなどの発電機202のサブ部品、サブシステム及び/又は他の部分は、個々に又は集合的に「発電機部品」として知られる。アセンブリ200は、本願に記載の通り、発電機202と共にシャフト111に取り付けられた様々なパワートレイン部品を含んでおり、これらの部品の各々は、1種類以上の冷却流体と熱連通し得る。発電機202は、2基のタービン(例えばGTエンジン100のGTタービン110と蒸気タービン210)の間に位置しているが、他の配置も可能である。アセンブリ200は、発電機202と1基のタービン(例えば蒸気タービン210)の間にクラッチ212を含んでおり、単純サイクル(1基のタービンだけ作動)及びコンバインドサイクル(両タービンが作動)モードでの運転を可能にする。この構成では、アセンブリ200は、クラッチ212の機械的係合後のスラスト軸受214間のシャフト111の軸方向膨張・収縮差を補償するために、複数のスラスト軸受214及びクラッチ212を含む。クラッチ212は、例えば、選択的に係合可能なクラッチに加えてスプライン型ギアカップリングとして作用することによって、シャフト111の軸方向長さの変化に対応し得る。この場合、クラッチ212の摺動が、クラッチ212内のトルク伝達歯(図示せず)を介して起こり得る。発電機202自体は、本開示の様々な実施形態では「パワートレイン部品」とみなすことができるが、他のパワートレイン部品は、図2及び/又は他の図2に示す様々な作動部品のいずれを含んでいてもよく、アセンブリ200に含まれる及び/又はアセンブリ200に結合した装置を挙げることができる。
【0038】
アセンブリ200のタービン110,210が定常状態で運転し始めると、シャフト111のそれ以上の膨張及び収縮(周囲温度及びプラント冷却水温度の変動などによる)が、1以上のスラスト軸受214上のスラスト負荷を変化させてしまうおそれが(特にこうした変化がクラッチ212の摩擦摺動係数よりも小さい場合に)ある。さらに、アセンブリ200内の過渡的温度変動は、クラッチ212の望ましくないスリップを伴うことがある。発電機冷却媒体に曝され、比較的長い長さを有するシャフト111は、例えば、毎日約10~20℃の温度変動に付され、約1~3mm又はそれ以上の軸方向長さの変化を生じかねない。この状況は、アセンブリ200の様々な部品での1以上のスラスト軸受負荷を大幅に増大させ、軸受214の摩耗及び温度を増大させてしまうおそれがある。さらに、こうした負荷及び膨張は、軸方向クラッチ負荷による振動が特に大きい場合、パワートレインの振動に影響を与えるおそれがある。
【0039】
発電機シャフトの軸方向長さに加えて、アセンブリ200内のシャフト111の長さは、限定されるものではないが、潤滑油温度、周囲空気温度、コレクタハウジング空気温度、蒸気経路温度、蒸気シール温度、タービン圧縮機温度などを始めとする他の変数の結果として変動し得る。これらの変動及び振動は、特に1本のシャフト111だけで動作するアセンブリ200において、スラスト軸受の負荷の増大を招きかねない。さらに、これらの変数は、運転の一貫性及び予測性を低下させてしまうように機器の挙動に影響しかねない。あるパラメータを用いて別のパラメータの変化を相殺すると、サイクルが大幅に減少し、アセンブリ200の特定の部分に過剰な負荷を生じるおそれがある。さらに、特定の部品-冷却剤の組合せ(例えば空冷凝縮器)を有するアセンブリ200は、他の箇所でより大きな冷却流体温度変化を経験し、発電機202内のガス温度のより大きな日次変動を駆動し得る。アセンブリ200によって経験される熱変動及び1以上の機械的力の例は、図3に詳細に示され、本明細書においてさらに説明される。
【0040】
本願に記載の通り、アセンブリ200内の様々な部品は、アセンブリ200のスラスト力、振動及び/又は他の動作特性を制御するために冷却し得る。アセンブリ200は、シャフト111上に蒸気タービン210を含んでいてもよく、蒸気タービン210の様々なサブ部品は、独立して及び/又は組合せて冷却してもよい。蒸気タービン210は、図に示す構成において、当技術分野で公知の通り、低圧(LP)部品222、中圧(IP)部品224及び高圧(HP)部品226を含んでいてもよい。蒸気タービンのLP部品222、IP部品224及びHP226は、すべて、機械的仕事を生じさせるため及び/又は発電機202及び/又は他の部品を駆動するためにシャフト111を回転させるように結合及び/又は配置し得る。蒸気タービン210の特定の部品、例えば、HP部品226及びIP部品224は、1以上のスラスト軸受214を介して機械的に連結し得る。1以上のスラスト軸受214は、様々な条件下で蒸気タービン210内の変化する軸方向負荷を支持するように特別に構成してもよく、1以上のスラスト軸受214は、HP部品226及びIP部品224以外のアセンブリ200の他の部品を結合し得る。GTエンジン100のGTタービン110は、同様に、スラスト軸受214を介してシャフト111上の発電機202に機械的に結合し得る。
【0041】
アセンブリ200では、GTエンジン100、発電機202、クラッチ212及び/又は蒸気タービン210を、様々なタイプの冷却インフラストラクチャによって冷却し得る。これらの冷却機構は、部品及び/又はそのセクションを冷却するための冷却流体(例えば空気、水素、水など)の流れを供給する熱交換回路232に結合した1以上の冷却流体供給源230に依存し得る。運転損失によって発生する熱の少なくとも一部は、冷却流体(例えば空気、水、グリコール及び/又は別の冷却流体供給源230に由来する他の冷却流体)が供給される熱交換回路232内の冷却回路部品で除去される。熱交換回路232は、他の冷却剤送り/戻りインフラストラクチャを含んでいてもよく、アセンブリ200用の冷却水を使用及び/又は冷却水から直接供給してもよいし、及び/又はプラント冷却水によって冷却される液-液熱交換器(又は他の熱交換システム)に依拠してもよい。そこで、1以上の冷却流体供給源230は、同種又は異なる冷却流体及び/又は供給時に同様又は異なる温度を有する複数の冷却供給源を示していてもよい。したがって、熱交換回路232は、ある部品を直接冷却するための第1の冷却剤、第1の冷却剤から(冷却液ループを介して)熱を吸収するための第2の冷却剤、及び/又はその他複数種の冷却剤及び/又は冷却剤温度の任意の組合せを使用し得る。
【0042】
従来のパワートレインの熱交換回路は、フル稼働時のみ動作するように構成することができ、冷却された部品をできるだけ低い温度に保つために、調整されていない冷却剤の連続的な流れを供給する。従来のシステムでは、発電機に伝達される冷却剤の温度は、プラント冷却水及び/又は周囲冷却剤温度にも依存する可能性がある。本開示の実施形態は、機械的性能をさらに向上させることのできる定常状態運転中の収縮シャフト111の軸方向熱膨張のアクティブ制御のために1種類以上の冷却剤を使用することによって、従来の熱管理インフラストラクチャとは異なる。すなわち、アセンブリ200の実施形態は、1以上の冷却流体供給源230から供給される冷却流体の量を調整することによって、シャフト111の膨張、スラスト力などを制御するために、コントローラ240及び/又は他のハードウェアと組合せて熱交換回路232を使用する。パワートレインアセンブリ200におけるスラスト軸受及び/又は振動パラメータを考慮することによって、本開示の実施形態は、定常状態運転で、より一貫性のある出力を可能にする。さらに、コントローラ240は、スラスト軸受214のパラメータ(例えばスラスト負荷)、シャフト111の振動などを考慮する際に、特定の性能目標を達成するために、発電機202の目標温度を選択及び/又は変更し得る。本開示の実施形態は、場合によっては、シャフト111が定常的で変動のない温度を有し、その運転を継続しても、顕著な熱膨張又は収縮サイクルは起こらないように、パワートレインアセンブリ200の冷却を制御し得る。他の場合では、パワートレインアセンブリ200の様々な部分の1以上の目標温度は、例えば、オペレータによるマニュアル選択によって、他のシステム変更(例えば潤滑油の状態、蒸気温度、空気温度、ガスタービンのスラスト負荷、蒸気タービンのスラスト負荷、振動など)を考慮したコントローラ240による自動的決定によって、及び/又はこれらのアプローチの組合せによって、経時的に変更してもよい。
【0043】
図3は、熱膨張及び圧縮が、運転中にアセンブリ200のスラスト力又は他の機械的特性にどのように影響し得るかを図解したものである。負荷、運転モード等の変更は、アセンブリ200内の様々な部品、特にスラスト軸受214の温度に影響を与える。各スラスト軸受214に対する温度変化の影響は、各スラスト軸受214がアセンブリ200のどこに位置するかに依存し得る。図3の非限定的な図解は、アセンブリ200内の1以上のスラスト軸受214における金属部品の熱膨張を引き起こす温度上昇の例を示す。温度上昇は、GTエンジン100部品の内側軸方向膨張、並びにGTエンジン100が取り付けられたシャフト111の内側膨張を生じる。同様に、温度上昇は、蒸気タービン210内のシャフト111の内側軸方向膨張及び蒸気タービン210を収容するケーシングの内側軸方向膨張を生じる。シャフト111及び/又は他の部品の内側軸方向膨張は、スラスト軸受214に対するスラスト力、すなわち、シャフト111及び/又は他の部品の内側膨張に伴って、スラスト軸受214に対する反力に影響を及ぼすであろう。各スラスト軸受214は、熱成長の反対方向に外側軸方向力を受け得る。これらの軸方向力は、運転中に、GTエンジン100内の空力負荷(「GT負荷」)及び蒸気タービン210で生成される蒸気力によって引き起こされる既存のスラスト力に加算される。本開示の実施形態は、これらの複合スラスト力に対処すべくアセンブリ200内の温度を能動的に制御するが、従来のシステムは、熱膨張又は圧縮によって生じるいかなる追加のスラスト力も考慮していない。
【0044】
再び図2を参照すると、アセンブリ200の実施形態は、1以上の箇所における発電機202内の温度を監視するための温度センサ242(例えば温度計、熱電対及び/又は現在公知の又は将来開発される任意の他の温度検知装置)を含む。パワートレインの運転に伴って、温度センサ242は、1以上の発電機202部品、例えば、発電機の発電部品の一部又は全体、発電機が取り付けられたシャフトの一部、固定子巻線及び/又は温度を測定し得る発電機202の他の部分の温度を監視する。
【0045】
コントローラ240は、アセンブリ200に供給される1種以上の冷却流体の量に影響を与えるために、流量調整器244(例えば本明細書に記載の流体の流れを制御するための弁、ポンプ及び/又は装置)を介して熱交換回路232と相互作用し得る。コントローラ240は、コンピューティングデバイス及び/又は現在公知の又は将来開発される任意の他の制御システムを含むことができ、そこからデータを受信するために無線及び/又は有線接続によって温度センサ242に結合し得る。コントローラ240はまた、内部の流量調整器244を含む熱交換回路232の様々な部分に結合し得る。流量調整器244は、本願に記載の通り、弁、ポンプ、濡れ面冷却器、チラーアセンブリ、及び/又は流量、組成比及び/又は内部の流体の他の動作パラメータを調整することによって、1種以上の流体の温度を制御するための、現在公知の又は将来開発される他の1以上の機器を含んでいてもよい。
【0046】
発電機202は、その冷却器の出口、出口温度が若干低いチャンバ内及び/又は他の箇所にある温度センサ242に結合していても或いは温度センサ242を含んでいてもよいし、及び/又は温度センサ242と構造的に一体化されていてもよい。温度センサ242によって監視される発電機202の温度は、プラント制御ソフトウェアを介してコントローラ240に送信してもよく、コントローラ240は、発電機202の温度及びシャフト111の機械的特性を参照して流量調整器244を調整してもよい。シャフト111の様々な機械的特性を直接監視し得る制御システムと比較して、温度センサ242から得られる温度は、シャフト111のスラスト軸受パラメータ、振動及び/又は他の特性を間接的に識別するために使用し得る。コントローラ240は、運転中に、所望のシャフト111特性(例えば1以上のスラスト軸受214が設定された上限温度(又は軸方向負荷)に達する目標軸方向長さ、熱膨張など)を達成するための目標温度を計算するための制御ロジックを提供する。コントローラは、それに応じて、アセンブリ200の様々な部分に供給される冷却流体の量を調整して、アセンブリ200の温度を介して間接的にこれらのシャフト111に影響を与える。
【0047】
ここで図2及び図4を参照すると、図4は、アセンブリ200(図2)の実施形態によって実施し得る方法論の例を示す流れ図である。本開示のプロセスP1は、シャフト111を介してGTエンジン100及び蒸気タービン210が共に発電機202を駆動するように、アセンブリ200を運転することを含んでいてもよい。プロセスP1でアセンブリ200を運転し続けると、負荷、環境条件及び/又は部品の機械的状態の変化などによって、アセンブリ200内の温度(したがって、スラスト軸受214の温度)が変化することがある。スラスト軸受214上のスラスト負荷の変化及び/又はアセンブリ200内の部品の振動などの他の変数を考慮するために、プロセスP2は、温度センサ242によって発電機202の温度を監視することを含んでいてもよい。温度センサ242は、本願に記載の通り、発電機202内の様々な位置に配置してもよく、温度センサ242の1以上を、プロセスP2における発電機202の温度の監視に含めてもよい(又は除外してもよい)。
【0048】
プロセスP3において、コントローラ240は、スラスト軸受214に加わる所望の量の軸方向スラスト、アセンブリ200内の所望の機械的振動量などの1以上に基づいて、アセンブリ200の部品の目標温度を計算し得る。プロセスP3における計算は、アセンブリ200の部分における既知、測定又は推定される熱膨張から、発電機202内の1以上の所望の温度を導出し得る。熱膨張は、例えばシャフト111の全長又は部分長、発電機202内のシャフト111の温度、クラッチ212及び/又はスラスト軸受214に対して加わる力の量及び/又は運転中のシャフト111の特性を示す他の測定可能な変数を使用して測定し得る。アセンブリ200の振動パラメータは、例えば、アセンブリ200及び/又はその部品の速度、加速度、振動周波数及び/又は他の測定可能な特性を含んでいてもよい。アセンブリ200の振動パラメータは、アセンブリ200内の又はコントローラ240に結合した加速度計及び/又は他のセンサを介して測定し得る。さらに洗練された計算では、コントローラ240は、関連する量(例えばGTエンジン100の負荷、蒸気タービン210からの正味蒸気力、アセンブリ200が定常状態又は過渡運転モードにあるか否か、潤滑油の状態、蒸気温度、空気温度、ガスタービンスラスト負荷、蒸気タービンスラスト負荷、振動など)、かかる量の現在又は推定値に基づいて計算された目標温度を増減する。場合によっては、プロセスP3における目標温度の計算は、パワートレインアセンブリの他の機械部品のシャフト又は特性に対する熱膨張及び/又は応力をさらに考慮するために、計算された目標温度を独立して(例えば手動又はコントローラ240と通信する追加のコンピューティングデバイスを介して)修正することを含んでいてもよい。プロセスP4において、コントローラ240は、1以上の温度センサ242によって監視される温度と、プロセスP3で計算されたこれらの温度の所望の値との差に基づいて、熱交換回路232を通る1種以上の冷却流体の流れを調整してもよい(例えば1以上の流量調整器の位置を調整することによって)。したがって、プロセスP4における冷却流の調整は、発電機202内の冷却流体の量を制御することによって、発電機202内の温度を上昇又は下降させることができ、スラスト軸受214上のスラスト力及び/又はアセンブリ200の他の部品の振動に影響を与える。
【0049】
本願に記載の通り、コントローラ240は、プロセスP3における1以上の目標温度を計算するための様々な数式、模擬モデル、ルックアップテーブル等のいずれかを含んでいてもよい。例えば、コントローラは、パワートレインアセンブリの1以上の選択位置(例えばGTエンジン100における1以上の特定のロードセルに対するスラスト軸受の負荷を維持するための位置)における1以上のスラスト軸受214上の目標スラスト軸受負荷に基づいて目標温度を計算してもよい。コントローラ240が1以上の目標温度を計算するために用いるさらなる動作特性は、発電機202の外部の部品温度(例えばスラスト軸受214の温度、GTエンジン100及び/又は蒸気タービン210内の温度など)及び/又はアセンブリ200内の温度又は熱膨張を導出し得る他の量を含んでいてもよい。
【0050】
図5図15に示す様々な実施例を参照すると、様々なタイプの熱交換回路232は、アセンブリ200内のアクティブ温度制御のために、アセンブリ200及びコントローラ240と相互作用又は結合し得る。図5図15に示すアセンブリ200の実施形態は、複数の冷却流体、例えばプラント冷却水、周囲空気、河川水等の様々な組合せを有する熱交換回路232を含むことができ、この回路252は、第1の(封止)冷却流体を伝送し、発電機202から熱を吸収し、第2のライン256は、第1の冷却流体から熱を吸収するために冷却流体供給源230から供給される第2の(非封止)冷却流体を伝送する。ただし、本開示の実施形態は、1種類の冷却流体しか有さないアセンブリ200及び/又は追加の1種以上の冷却流体のための熱交換回路232内のサブ回路を追加又は除去することによって3種以上の冷却流体を有するアセンブリ200にも適用できる。
【0051】
図5は、アセンブリ200の熱交換回路232が、発電機熱交換器250と、発電機熱交換器250と中間熱交換器254の間で第1の冷却流体(例えばグリコール、水素などの封止冷却剤)を伝達するための第1の冷却剤伝送ライン(「第1のライン」)252のセットを含む例を示す。さらに別の例では、第1のライン252は、発電機202以外のパワートレイン部品のための他の熱交換器(図示せず)に結合し得る。発電機熱交換器250内では、第1の冷却流体は発電機202と熱連通しており、そこから熱を吸収する。第1のライン252は、第1の冷却流体を中間熱交換器254に循環させ、そこで、第1の冷却流体は、第2の(非封止)冷却流体(例えばプラント冷却水、空気、1以上の周囲1種以上の流体及び/又は本願に記載の他の例)と熱交換する。一組の第2の冷却剤伝送ライン(「第2のライン256」)は、1種以上の第2の冷却流体を冷却流体供給源230から中間熱交換器254に、又はその逆に伝送する。1以上の流量調整器244(例えば「可変流量ポンプ」、又は代替的には弁又は他の制御可能な1以上の流量機構)がコントローラ240に動作可能に結合していてもよく、第1のライン252内の1種以上の第1の冷却流体のアクティブ流量制御を可能にする。流量調整器244を通る流量を増大させることによって、発電機熱交換器250で発電機202から吸収される熱を増やすことができる。流量調整器244を通る流量を減少させることによって、発電機熱交換器250で発電機202から吸収される熱を減らすことができる。第1の冷却流体は、中間熱交換器254を通過する際に1種以上の第2の冷却流体に熱を伝達することによって、所望の低温に保たれる。第1の冷却流体は、発電機202から熱を吸収し、次に、吸収された熱を中間熱交換器254を介して第2の冷却流体に伝達する。第2のライン256自体は、それを通る第2の冷却流体の流れを制御するための流量調整器244も含んでいてもよい。
【0052】
図5の例では、流量調整器244は、冷却流体供給源230と中間熱交換器254の間の単一の連続流量を維持するための「定流量ポンプ」を含む。したがって、第2のライン256の流量調整器244は、必ずしもコントローラ240に結合しなくてもよい。さらに別の実施態様では、アセンブリ200のすべての流量調整器244がコントローラ240に結合し得る。流量調整器244は、第2のライン256内の第2の冷却流体の一定の流量を維持する一方、流量調整器244は、第1のライン252内の第1の冷却流体に対する可変流量制御を可能にする。従って、第1のライン252内の流量調整器244は、第1の冷却流体と第2の冷却流体の間の熱交換量を制御する。本願に記載の通り、コントローラ240は、発電機202内の1以上の温度を監視し、アセンブリ200の目標スラスト軸受パラメータ又は目標振動パラメータに基づいて発電機202の目標温度を計算し、発電機202内の監視された1以上の温度とそれらの1以上の目標値との差に基づいて、1以上の流量調整器244を介して発電機熱交換器250への1種以上の冷却流体の供給を調整し得る。本願に記載のさらに別の実施態様では、他のタイプの流量調整器244(例えば圧力/流量制御弁)及び/又は追加の冷却部品を使用して、発電機202と熱連通した1種以上の冷却流体の流量を制御し、熱膨張、1以上の振動パラメータ及び/又は機械的応力などの関連変数に影響を与えるように発電機202内の温度を調整する。
【0053】
図6は、アセンブリ200のさらに別の例を示しており、このアセンブリ200では、第2のライン256内の第2の冷却流体は、コントローラ240に動作可能に結合した1以上の流量調整器244を介して循環されるが、第1のライン252内の1以上の流量調整器244は、コントローラ240に動作可能に結合されていない。かかる例では、第1のライン252の流量調整器244は、一定の流体流量をもたらすための定流量ポンプ又は類似の機構であってもよいが、第2のライン256の流量調整器244は、可変流量ポンプ又は同様の調整可能な流体流量機構であってもよい。換言すると、アセンブリ200のこの実施態様は、第2のライン256における1種以上の冷却流体の流れを制御できるようにするが、第1のライン252における1種以上の冷却流体の流れは制御可能ではない。コントローラ240は、1種以上の第2の冷却流体の流れを調整して、冷却流体供給源230から抽出及び/又は冷却流体供給源230に戻される非封止冷却流体の量を制御し得る。次に、これにより、第1の冷却流体が発電機熱交換器250を通って実質的に連続的に流れる場合でも、1種以上の第2の冷却流体が中間熱交換器254内の1種以上の第1の冷却流体から可変流量の熱を吸収できるようにする。コントローラ240は、1以上のスラスト軸受214(図2図3)、振動及び/又はアセンブリ200の他の物理的特性に影響を与えるために、発電機202と熱連通した1種以上の冷却流体のアクティブ制御のために動作可能なままである。
【0054】
図7図9は、アセンブリ200及び熱交換器回路232の追加の例を示しており、第1のライン252及び第2のライン256は、それぞれ、定流量ポンプの形態の流量調整器244を含んでおり、例えば、発電機熱交換器250及び中間熱交換器254内の熱吸収のための各冷却流体の少なくとも最小流量を維持する。第1のライン252は、コントローラ240(図7)に結合した流量調整器244を含んでいてもよく、及び/又は第2のライン256は、第1のライン252及び/又は第2のライン256内の1種以上の冷却流体の流れのアクティブ制御のために、コントローラ240(図8、9)に結合した流量調整器244を含んでいてもよい。コントローラ240に結合した流量調整器244は、ライン内の他の箇所のポンプを介して提供される流れに関係なく、ライン252,256内の冷却流体の流れを選択的に減少させるための可変流量弁を含んでいてもよい。調整可能な1以上の流量調整器244は、冷却流体温度に影響を与えるために、ライン256内の1種以上の冷却流体の流量を再循環、方向転換、又は別の方法で二次的に制御するように動作可能である。可変流量弁の場合、1以上の流量調整器244は、コントローラ240が、発電機202の目標温度と1以上の温度センサ242によって監視される1以上の温度との差に基づいて1以上の可変流量弁を調整するように、コントローラ240に動作可能に結合し得る。
【0055】
図7及び図8の例では、調整可能な流量調整器244(例えば可変流量弁)は、それを通して最小流量を調整するように動作可能であり、加熱された流体を冷却流体供給源230又は中間熱交換器254に供給するためのライン252,256の戻り導管(「リターンライン」、「出口導管」などとしても知られる)内の冷却流体の流量を増減する。図9に示すさらに別の代替では、調整可能な1以上の流量調整器244(例えば可変流量弁)は、第2のライン256の戻り導管内の加熱された冷却流体の少なくとも一部を第2のライン256の進入導管に迂回させることができ、それによって、冷却流体供給源230からの1種以上の低温流体(すなわち、発電機202及び/又は中間熱交換器254を介した別の冷却流体とまだ熱交換されていない冷却流体)と混合(及び加熱)する。したがって、調整可能な1以上の流量調整器244(例えば可変流量弁)は、調整不能な1以上の流量調整器244(例えば定流量ポンプ)と共に使用され、同時に、1以上のコントローラ240を通してアクティブ温度制御を可能にすると同時に、発電機202内の少なくとも最小量の冷却をもたらすことができる。
【0056】
図10は、調整可能な流量調整器244及び調整不能な流量調整器244が、1以上の第1のライン252を介して発電機熱交換器250に伝送される1種以上の冷却流体の温度に影響を与えるために一緒に使用し得るアセンブリ200のさらに別の例を提供する。他の実施態様と同様に、各ライン252,256は、各ライン252,256がそれを通して冷却流体の少なくとも最小流量を伝送するように、定流量ポンプの形態の調整不能な流量調整器244を含んでいてもよい。さらに、第1のライン252は、コントローラ240に動作可能に結合した流体混合弁の形態の1以上の調整可能な流量調整器244を含んでいてもよい。第1のライン252内の1以上の流体混合弁は、中間熱交換器254で冷却される前に、発電機熱交換器250から出る加熱された冷却流体の一部を第1のライン252の進入導管に迂回させてもよい。迂回された流体は、中間熱交換器254から出る冷却された流体と混合し、発電機熱交換器250に高温の冷却流体を提供する。流体混合弁の形態の流量調整器244は、発電機熱交換器250に伝送されているより低温の1種以上の流体に、より高温の冷却流体を混合するように動作可能である。この特定の実施態様は、最低動作温度の形で目標温度を維持するのに適しているかもしれないが、より低い温度(例えば熱交換回路232に供給される周囲流体の温度より低いか、又はそれより低い温度)が望まれる場合にはあまり好ましくないこともある。
【0057】
図11は、コントローラ240が、1以上の流量調整器244の助けを借りずに、熱交換回路232の1種類以上の冷却流体の温度を調整し得るアセンブリ200のさらに別の例を提供する。この場合、第1のライン252(追加的又は代替的に、第2のライン256)は、補助熱交換器(「補助交換器」)260、例えば、第1のライン252における1種以上の冷却流体の温度を変化させるための別の熱交換器、熱源及び/又はヒートシンクを含むか、又は熱連通し得る。補助熱交換器260は、例えば、第1のライン252内の1種以上の冷却流体との熱連通に選択的に配置し得る低温リザーバ又は高温熱源を含んでいてもよい。他の実施態様では、補助熱交換器260は、封止又は非封止にかかわらず、単に別の冷却流体を運ぶ別の熱交換器であってもよい。しかしながら具体化されても、補助熱交換器260は、発電機熱交換器250及び/又は中間熱交換器254に入る前の1種以上の冷却流体の温度に影響を与えるために、機械的に調整可能な部品(例えば補助熱交換器260とライン252,256の間の熱妨害バリアを開閉する)を介して、ライン252,256との熱連通に配置又は解除してもよい。補助熱交換器260が異なる熱交換流体を含む場合、加熱又は冷却の量は、その中の1種以上の流体及び/又は補助熱交換器260内の熱交換1種以上の流体の温度を変化させることによって制御し得る。補助熱交換器260は、冷却流体供給源230内の1種以上の冷却流体の周囲温度を下回る目標温度を達成するのに特に適しており、例えば、パワートレインアセンブリが運転される環境から得られる水、空気及び/又は他の流体は、補助熱交換器260を介して周囲温度未満に冷却してもよい。補助熱交換器260はまた、より高い温度ピークを低減又は排除すること、すなわち、発電機202の温度プロファイルを経時的に平坦化するために特に有用であり得る。場合によっては、図11の実施態様は、突然の温度変動から発電機202における機械的反応を故意に誘発するために、選択的に(コントローラ240を介して)発電機202の温度における段階的変化を誘導し得る。
【0058】
図12は、アセンブリ200における熱交換回路232のさらに別の例を提供し、この中で、濡れ面冷却器262(「蒸発冷却器」としても知られる、水の蒸発によって空気を冷却する装置)が、第1のライン252と流体及び/又は熱連通することによって、熱交換回路232内に含まれる。濡れ面冷却器262は、発電機熱交換器250を介して発電機202を冷却するために使用される前又は後に、第1のライン252内の1種以上の冷却流体から熱を吸収するように構成し得る。濡れ面冷却器262は、補助熱交換器260(図11)を使用する実施例と同様に、冷却流体の温度を所望のレベルに制御してもよく、特に、冷却流体供給源230の温度より低い(例えばプラント冷却水、発電機の液体及び/又は周囲ベースの冷却源の温度より低い)冷却流体1以上の温度を下げることができる。濡れ面冷却器262を通る冷却流体の温度を調整することは、例えば、濡れ面冷却器262内の1以上のファンを「オン」状態と「オフ」状態の間で調整すること及び/又はファン速度を調整すること及び/又は濡れ面冷却器262の他のサブ部品、又はおそらくGTエンジン100、発電機202、蒸気タービン210の他の部品及び/又はアセンブリ200の他のメカニズム。濡れ面冷却器262は、乾燥した環境、例えば、冷却流体供給源230が比較的高温を有する場合、及び/又は他のタイプの冷却が実行不可能な場合において、アセンブリ200にとって特に望ましい場合がある。
【0059】
アセンブリ200及び熱交換器回路232のさらに別の実施形態は、1種類だけの冷却流体での使用のために動作可能である。図13は、例えば、1種類の冷却流体及び/又は熱膨張回路のみを使用して発電機202の温度を制御するように動作可能なアセンブリ200の実施態様を示す。図13は、バイパス弁の形態の流量調整器244が、発電機熱交換器に冷却流体を供給する第1のライン252の一部を、発電機熱交換器250から高温の冷却流体を収集する第1のライン252の別の部分に接続する例を示す。バイパス弁の形態の流量調整器244は、コントローラ240に結合してもよく、流量調整器244を通過する冷却流体の量のアクティブ制御を可能にする。定流量ポンプの形態の別の流量調整器244は、冷却流体供給源230(例えばプラント空冷式熱交換器)と発電機熱交換器250の間の少なくとも最小流体流量を維持するために、第1のライン252内に存在し得る。運転中、1以上のバイパス弁は、冷却流体の一部を第1のライン252の1つの部分から別の部分に迂回させ、発電機熱交換器250を迂回させ、迂回された流体と発電機202の間の熱交換を防止し得る。コントローラ240は、冷却流体の何%が発電機熱交換器250を迂回し、したがって発電機202と連通して配置されないかを制御するために、バイパス弁の位置を調整する。迂回される冷却流体の割合が大きいほど、発電機202内の温度が高く維持され、迂回される冷却流体の割合が低いほど、発電機202により多くの冷却をもたらす。このアプローチを介して、コントローラ240は、温度センサ242から監視温度との差を計算し、1以上のバイパス弁を開閉して、第1のライン252内の冷却流体を介して発電機202の温度に影響を与える。
【0060】
図14は、アセンブリ200のさらに別の例を示しており、図13の実施態様に類似しているが、流体混合弁の形態の流量調整器244が、冷却流体供給源230に戻る前に、1種以上の冷却流体を第1のライン252に迂回させる。この場合、流体混合弁は、発電機熱交換器250から出る加熱された冷却流体の一部を、冷却流体がまだ発電機熱交換器250に入っていないライン252の部分に迂回させる。コントローラ240は、流体混合弁に動作可能に結合してもよく、アセンブリ200のオペレータが、発電機熱交換器250に到達する前に、冷却流体の温度を意図的に上昇させることができる。流体混合弁の形態の1以上の流量調整器244は、第1のライン252における他の制御不能な流量調整器(例えば定流量ポンプ)の下流に位置し得る。コントローラ240は、1以上の流体混合弁を介して発電機熱交換器250に再循環される冷却流体の割合を調整することによって動作し得る。他の実施態様と同様に、コントローラ240は、発電機202内の温度を監視するための1以上の温度センサ242に結合してもよく、アセンブリ200内の目標スラスト軸受の負荷、振動パラメータ及び/又は他の所望の機械的状態を達成するために、1以上の流体混合弁を調整する。
【0061】
図15は、第1のライン252における1種以上の冷却流体の温度が1以上の流量調整器244なしで制御されるアセンブリ200のさらに別の実施形態を示す。補助熱交換器260は、第1のライン252と熱及び/又は流体連通し得る。特に補助熱交換器260は、1種以上の冷却流体を発電機熱交換器250に伝達するための第1のライン252の一部に結合されているものとして示してあるが、補助熱交換器は、発電機熱交換器250の下流にある第1のライン252の部分に追加的又は代替的に結合し得る。したがって、図15に示すアセンブリ200の実施形態は、本明細書の他の箇所で説明した図11の実施形態と同様であり、すなわち、コントローラ240は、補助熱交換器260を調整して、第1のライン252における冷却流体の温度を冷却流体供給源230の温度より低くするか、又は冷却流体の温度を冷却流体供給源230の温度より高くしてもよい。コントローラ240は、発電機202内の温度を監視するために温度センサ242と通信してもよく、補助熱交換器260を介して提供される加熱又は冷却の量を制御してもよく、例えば、入ってくる冷却流体と熱連通した補助熱交換流体の量を増加又は減少させることによって、他の例で説明した通り、補助熱交換器260を選択的に第1のライン252との熱連通を配置及び/又は解除してもよい。このシナリオでは、第1のライン252内の冷却流体は、必ずしも第1のライン252の他の部分に再循環される必要はない。しかし、本願に記載の様々な実施態様の各々は、特定の範囲内で発電機202の温度を制御するために及び/又は様々な展開設定に適合するように、所望に応じて組合せ又は変更し得る。
【0062】
図5図15は、熱交換回路232における1種以上の冷却流体の温度のアクティブ制御のための幾つかの例示的な部品を提供するが、コントローラ240は、冷却流体の温度を変化させるための現在公知の又は将来開発されるメカニズム又はメカニズムの組合せを介して、1種以上の冷却流体及び発電機202の温度に影響を与え得る。さらに、本明細書に記載の様々な実施形態のいずれか又は全部が、広範囲にわたる動作環境及び/又は状況の要求に適合するように、冷却流体温度のより正確かつ堅牢な制御のために、考えられる任意の組合せで一緒に使用し得る。
【0063】
本開示の実施形態は、様々な技術的及び商業的利点をもたらし、その例について説明する。本開示の実施形態は、アセンブリ200及び/又は単一のシャフトのみに依存する他のパワートレインシステム、例えば、GTエンジン100(図2図3)及び蒸気タービン210を各々シャフト111に搭載した発電所用のシャフト111の温度、機械的応力及び熱膨張を管理するのに特に有用であり得る。また、本開示の実施形態は、本願に記載の様々な例からほとんど又は全く変更を伴わない多軸パワートレインアセンブリの動作に利益をもたらし得る。冷却流体管理によって、スラスト軸受214のパラメータ、アセンブリ200の振動及び/又は他の機械的パラメータを参照して、発電機202の温度のアクティブ制御は、例えば、シャフト111の軸方向膨張及び/又は1以上のクラッチ212及び1以上のスラスト軸受214が動作するときの負荷を低減するなどの機械的利益をもたらし得る。さらに別の利点として、例えば、異なるタイプの動作条件にわたる軸方向負荷の変動の低減、クラッチ212のスリップの発生の減少及びシャフト111の軸方向の端部がアセンブリ200内に位置する箇所の変動の低減(すなわち、スラスト軸受214に対するシャフト111の軸方向端部の距離)が挙げられる。次に、本開示の教示は、シャフト111によって駆動される任意の部品、機器等(例えば監視ストリップ、表示ホイール、コレクタリング、ファン、シール等のインターフェース点)の位置における不確実性を低減し得る。本開示の実施形態は、さらに、コントローラ240及び/又は相互接続された制御システム(例えばプラント管理ソフトウェア)が、他の調整可能な部品を介して制御することが他の方法では困難又は不可能であろう変化する条件及び/又は他の変数に応答する能力を増大させる。
【0064】
本開示の装置及び装置は、特定のターボ機械、エンジン、タービン、ジェットエンジン、発電システム又は他のシステムに限定されるものではなく、航空機システム、発電システム及び/又は関連システム(例えばコンバインドサイクル、単純サイクル、原子炉等)等の他のターボ機械と共に使用してもよい。さらに、本開示の装置は、本明細書に記載の装置及び装置の効率の向上から利益を享受し得る、本明細書に記載されていない他のシステムと共に使用してもよい。
【0065】
本明細書及び特許請求の範囲で用いる近似表現は、数量の修飾語であって、その数量が関係する基本的機能に変化をもたらさない許容範囲内で変動し得る数量を表すために適用される。したがって、「約」、「略」及び「実質的に」のような用語で修飾された値はその厳密な数値に限定されない。少なくとも幾つかの事例では、近似表現は、その値を測定する機器の精度に対応する。場合によっては、近似表現は、その値を測定する機器の精度に対応する。本明細書及び特許請求の範囲において、数値限定の範囲は互いに結合及び/又は交換可能である。かかる範囲は、前後関係等から別途明らかでない限り、その範囲に含まれるあらゆる部分範囲を特定しかつ包含する。範囲の特定の値に用いられる「約」は、上下限に適用され、その値を測定する機器の精度に依存する場合を除いて、記載された数値の±10%を示すことがある。
【0066】
以下の特許請求の範囲において機能的記載によって特定された構成要素の対応する構造、材料、行為及び均等物は、特許請求の範囲に具体的に記載された他の構成要素と組合せて機能を発揮するあらゆる構造、材料又は行為を包含する。本開示の記載は、例示及び説明を目的としたものであり、網羅的なものでもなければ、開示された形態に限定するものでもない。本開示の技術的範囲及び技術的思想から逸脱せずに、数多くの修正及び変形が当業者には明らかであろう。本開示の実施形態は、本開示の原理及び実用的用途の説明として最も適しかつ当業者が様々な実施形態に関する開示内容及び特定の用途に適した様々な修正について理解できるように、選択して記載したものである。
【符号の説明】
【0067】
100 ガスタービンエンジン
102 圧縮機
104 燃焼器
111 シャフト
200 パワートレインアセンブリ
202 発電機
210 蒸気タービン
212 クラッチ
214 スラスト軸受
222 低圧蒸気タービン部品
224 中圧蒸気タービン部品
226 高圧蒸気タービン部品
230 冷却流体供給源
232 熱交換回路
240 コントローラ
242 温度センサ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【外国語明細書】