(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018084
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】素子アレイ回路、電磁波センサ、温度センサ、および歪センサ
(51)【国際特許分類】
G01J 1/44 20060101AFI20240201BHJP
G01J 1/02 20060101ALI20240201BHJP
G01J 5/20 20060101ALI20240201BHJP
G01J 5/24 20060101ALI20240201BHJP
G01L 5/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
G01J1/44 A
G01J1/02 Q
G01J1/44 E
G01J5/20 F
G01J5/24
G01L5/00 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121176
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千里内 忠雄
(72)【発明者】
【氏名】太田 尚城
(72)【発明者】
【氏名】前川 和也
(72)【発明者】
【氏名】青木 進
(72)【発明者】
【氏名】小久保 眞生子
(72)【発明者】
【氏名】木本 裕介
(72)【発明者】
【氏名】原 晋治
【テーマコード(参考)】
2F051
2G065
2G066
【Fターム(参考)】
2F051AB09
2F051AC01
2F051BA07
2G065AA04
2G065AA08
2G065AB02
2G065BA12
2G065BC01
2G065BC33
2G065BC35
2G066BA09
2G066BC01
2G066BC07
2G066BC15
(57)【要約】
【課題】速やかに、かつ高い精度で抵抗値などに関連する測定値が得られる素子アレイ回路を提供する。
【解決手段】本発明の一実施態様に係る素子アレイ回路は、1以上の第1の配線と、複数の第2の配線と、複数のインピーダンス素子と、1以上のオペアンプと、1以上の変換素子と、1以上の切替部とを備える。複数の第2の配線は、1以上の第1の配線と異なる方向にそれぞれが延在する。複数のインピーダンス素子は、1以上の第1の配線のうちの1つと複数の第2の配線のうちの1つとの双方にそれぞれが接続される。1以上のオペアンプのそれぞれは、正入力端子と、複数の第2の配線のうちの1つに接続可能な負入力端子と、出力端子とを有する。1以上の変換素子のそれぞれは、負入力端子および出力端子と接続され、負入力端子に接続される複数の第2の配線のうちの1つを流れる電流を電圧に変換する。1以上の切替部のそれぞれは、負入力端子と出力端子との間に1以上の変換素子のうちの1つと並列に接続されて導通状態と非導通状態とを取り得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の第1の配線と、
前記1以上の第1の配線と異なる方向にそれぞれが延在する複数の第2の配線と、
前記1以上の第1の配線のうちの1つと前記複数の第2の配線のうちの1つとの双方にそれぞれが接続される複数のインピーダンス素子と、
それぞれが、正入力端子と、前記複数の第2の配線のうちの1つに接続可能な負入力端子と、出力端子とを有する1以上のオペアンプと、
それぞれが、前記負入力端子および前記出力端子と接続され、前記負入力端子に接続される前記複数の第2の配線のうちの1つを流れる電流を電圧に変換する1以上の変換素子と、
それぞれが、前記負入力端子と前記出力端子との間に前記1以上の変換素子のうちの1つと並列に接続されて導通状態と非導通状態とを取り得る1以上の切替部と
を備える
素子アレイ回路。
【請求項2】
前記負入力端子に接続される前記複数の第2の配線のうちの1つに寄生する寄生容量の充電を行ったのち、前記1以上の切替部のうちの前記負入力端子に対応する1つの前記切替部を非導通状態に切り替える制御を行う制御部、をさらに備え、
前記制御部は、前記制御における前記寄生容量の充電を、前記1以上の切替部のうちの前記負入力端子に対応する前記1つの切替部を導通状態とし、前記負入力端子に接続される前記複数の第2の配線のうちの1つと前記出力端子とを導通させることにより行う
請求項1記載の素子アレイ回路。
【請求項3】
前記制御部は、前記寄生容量の充電を行ったあとに前記1以上の切替部のうちの前記負入力端子に対応する前記1つの切替部を前記非導通状態に切り替えたのち、前記1以上の第1の配線のうちの1つと前記負入力端子に接続される前記複数の第2の配線のうちの1つとの双方に接続されている前記複数のインピーダンス素子のうちの1つに起因する前記出力端子からの出力電圧を測定する
請求項2記載の素子アレイ回路。
【請求項4】
前記複数の第2の配線のうちの1つを選択して前記負入力端子と接続する第2の配線選択部をさらに備える
請求項1記載の素子アレイ回路。
【請求項5】
前記負入力端子に接続される前記複数の第2の配線のうちの1つに寄生する寄生容量の充電を行ったのち、前記1以上の切替部のうちの前記負入力端子に対応する1つの前記切替部を非導通状態に切り替える制御を行う制御部、をさらに備え、
前記制御部は、前記制御における前記寄生容量の充電を、前記1以上の切替部のうちの前記負入力端子に対応する前記1つの切替部を導通状態とし、前記負入力端子に接続される前記複数の第2の配線のうちの1つと前記出力端子とを導通させることにより行い、
前記1つの切替部を導通状態として前記寄生容量の充電を行う時間が、前記寄生容量の容量値と、前記1つの切替部の抵抗値および前記第2の配線選択部の抵抗値の和との積の5倍より長い
請求項4記載の素子アレイ回路。
【請求項6】
前記1以上のオペアンプは、複数のオペアンプであり、
前記1以上の切替部は、複数の切替部であり、
前記1以上の変換素子は、複数の変換素子であり、
前記複数のオペアンプのそれぞれは、前記複数の第2の配線のうちの対応する1つの第2の配線と接続され、
前記複数の切替部のそれぞれは、前記複数のオペアンプのうちの対応する1つのオペアンプと接続され、
前記複数の変換素子のそれぞれは、前記複数のオペアンプのうちの対応する1つのオペアンプと接続される
請求項1記載の素子アレイ回路。
【請求項7】
前記負入力端子に接続される前記複数の第2の配線のうちの1つに寄生する寄生容量の充電を行ったのち、前記複数の切替部のうちの前記負入力端子に対応する1つの前記切替部を非導通状態に切り替える制御を行う制御部、をさらに備え、
前記制御部は、前記制御における前記寄生容量の充電を、前記複数の切替部のうちの前記負入力端子に対応する前記1つの切替部を導通状態とし、前記負入力端子に接続される前記複数の第2の配線のうちの1つと前記出力端子とを導通させることにより行い、
前記複数の切替部のうちの前記負入力端子に対応する前記1つの切替部を導通状態として前記寄生容量の充電を行う時間が、前記寄生容量の容量値と、前記1つの切替部の抵抗値との積の5倍より長い
請求項6記載の素子アレイ回路。
【請求項8】
前記1以上の第1の配線は複数の第1の配線であり、
前記複数のインピーダンス素子のそれぞれは、前記複数の第1の配線のうちの1つと、前記複数の第2の配線のうちの1つとの双方に接続される
請求項1記載の素子アレイ回路。
【請求項9】
複数の第1の配線と、
前記複数の第1の配線の各々と異なる方向に延在する1以上の第2の配線と、
それぞれが、前記複数の第1の配線のうちの1つと前記1以上の第2の配線のうちの1つとの双方にそれぞれが接続される複数のインピーダンス素子と、
正入力端子と、前記1以上の第2の配線のうちの1つに接続可能な負入力端子と、出力端子とを有する1以上のオペアンプと、
それぞれが、前記負入力端子および前記出力端子と接続され、前記負入力端子に接続される前記1以上の第2の配線のうちの1つを流れる電流を電圧に変換する1以上の変換素子と、
それぞれが、前記負入力端子と前記出力端子との間に前記1以上の変換素子のうちの1つと並列に接続されて導通状態と非導通状態とを取り得る1以上の切替部と
を備える
素子アレイ回路。
【請求項10】
前記負入力端子に接続される前記1以上の第2の配線のうちの1つに寄生する寄生容量の充電を行ったのち、前記1以上の切替部のうちの前記負入力端子に対応する1つの前記切替部を非導通状態に切り替える制御を行う制御部、をさらに備え、
前記制御部は、前記制御における前記寄生容量の充電を、前記1以上の切替部のうちの前記負入力端子に対応する前記1つの切替部を導通状態とし、前記負入力端子に接続される前記1以上の第2の配線のうちの1つと前記出力端子とを導通させることにより行う
請求項9記載の素子アレイ回路。
【請求項11】
前記制御部は、前記寄生容量の充電を行ったあとに前記1以上の切替部のうちの前記負入力端子に対応する前記1つの切替部を前記非導通状態に切り替えたのち、前記複数の第1の配線のうちの1つと前記負入力端子に接続される前記1以上の第2の配線のうちの1つとの双方に接続されている前記複数のインピーダンス素子のうちの1つに起因する前記出力端子からの出力電圧を測定する
請求項10記載の素子アレイ回路。
【請求項12】
前記1以上の切替部のうちの前記負入力端子に対応する前記1つの切替部を導通状態として前記寄生容量の充電を行う時間が、前記寄生容量の容量値と前記1以上の切替部のうちの前記負入力端子に対応する前記1つの切替部の抵抗値との積の5倍より長い
請求項10記載の素子アレイ回路。
【請求項13】
前記1以上の変換素子は、1以上の容量素子であり、
前記1以上の切替部のうちの前記負入力端子に対応する前記1つの切替部を導通状態として前記寄生容量の充電を行う時間が、前記負入力端子に対応する前記1以上の容量素子のうちの1つの容量値と前記1以上の切替部のうちの前記負入力端子に対応する前記1つの切替部の抵抗値との積の5倍より長い
請求項2または請求項10記載の素子アレイ回路。
【請求項14】
前記1以上の変換素子のそれぞれは、容量素子、第1の抵抗素子、または第1の半導体素子である
請求項1または請求項9に記載の素子アレイ回路。
【請求項15】
前記複数のインピーダンス素子のそれぞれは、第2の抵抗素子、または第2の半導体素子である
請求項1または請求項9に記載の素子アレイ回路。
【請求項16】
第1の配線と、
前記第1の配線と異なる方向に延在する第2の配線と、
前記第1の配線と前記第2の配線との双方に接続されるインピーダンス素子と、
正入力端子と、前記第2の配線に接続可能な負入力端子と、出力端子とを有するオペアンプと、
前記負入力端子に接続される前記第2の配線に寄生する寄生容量の充電を実施したのち、前記インピーダンス素子に起因する前記出力端子からの出力電圧を測定する制御部と
を備える
素子アレイ回路。
【請求項17】
請求項1、請求項9、または請求項16に記載の素子アレイ回路を有する電磁波センサ。
【請求項18】
請求項1、請求項9、または請求項16に記載の素子アレイ回路を有する温度センサ。
【請求項19】
請求項1、請求項9、または請求項16に記載の素子アレイ回路を有する歪センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のインピーダンス素子が配列された素子アレイを有する素子アレイ回路、ならびにそれを備えた電磁波センサ、温度センサ、および歪センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マトリックス状に配列された複数の抵抗素子を有する抵抗素子アレイ回路が開示されている。このような抵抗素子アレイ回路は、例えば赤外線検知回路として利用されている(例えば特許文献1参照)。このような赤外線検知回路では、温度変化に応じて自身の抵抗値が変化するサーミスタなどの赤外線感応抵抗体が複数配列されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような赤外線検知回路などの素子アレイ回路では、速やかに、かつ高い精度で抵抗値などに関連する測定値が得られることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施態様に係る素子アレイ回路は、1以上の第1の配線と、複数の第2の配線と、複数のインピーダンス素子と、1以上のオペアンプと、1以上の変換素子と、1以上の切替部とを備える。複数の第2の配線は、1以上の第1の配線と異なる方向にそれぞれが延在する。複数のインピーダンス素子は、1以上の第1の配線のうちの1つと複数の第2の配線のうちの1つとの双方にそれぞれが接続される。1以上のオペアンプのそれぞれは、正入力端子と、複数の第2の配線のうちの1つに接続可能な負入力端子と、出力端子とを有する。1以上の変換素子のそれぞれは、負入力端子および出力端子と接続され、負入力端子に接続される複数の第2の配線のうちの1つを流れる電流を電圧に変換する。1以上の切替部のそれぞれは、負入力端子と出力端子との間に1以上の変換素子のうちの1つと並列に接続されて導通状態と非導通状態とを取り得る。
【0006】
本発明の一実施態様に係る素子アレイ回路では、切替部を導通状態とし、負入力端子に接続される第2の配線と出力端子とを導通させることにより、負入力端子に接続される第2の配線に寄生する寄生容量の充電が速やかに行われる。この充電ののち切替部を非導通状態に切り替え、インピーダンス素子に起因する出力端子からの出力電圧を測定することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施態様に係る素子アレイ回路によれば、速やかに、かつ高い精度で測定値を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る素子アレイ回路の構成例を表す回路図である。
【
図2】
図1に示した素子アレイ回路の測定動作例を説明するフローチャートである。
【
図3】
図1に示した素子アレイ回路における寄生容量の充電動作を説明する回路図である。
【
図4】
図1の素子アレイ回路1における出力電圧の変化を説明するための説明図である。
【
図5】本発明の第2の実施の形態に係る素子アレイ回路の構成例を表す回路図である。
【
図6】本発明の第3の実施の形態に係る素子アレイ回路の構成例を表す回路図である。
【
図7】
図6に示した素子アレイ回路の測定動作例を説明するフローチャートである。
【
図8】
図6に示した素子アレイ回路における寄生容量の充電動作を説明する回路図である。
【
図9】本発明の第4の実施の形態に係る素子アレイ回路の構成例を表す回路図である。
【
図10】本発明の第5の実施の形態に係るセンサデバイスの構成例を表す模式図である。
【
図11】本発明の第1の変形例としての素子アレイ回路の構成例を表す回路図である。
【
図12】本発明の第2の変形例としての素子アレイ回路の構成例を表す回路図である。
【
図13】本発明の第3の変形例としての素子アレイ回路の構成例を表す回路図である。
【
図14】本発明の第4の変形例としての素子アレイ回路の構成例を表す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(複数のカラム線と複数のオペアンプとを備える素子アレイ回路の第1の例)
2.第2の実施の形態(複数のカラム線と複数のオペアンプとを備える素子アレイ回路の第2の例)
3.第3の実施の形態(カラム線選択部を備えた素子アレイ回路の第1の例)
4.第4の実施の形態(カラム線選択部を備えた素子アレイ回路の第2の例)
5.第5の実施の形態(素子アレイ回路を備えたセンサデバイスの例)
6.変形例
【0010】
<1.第1の実施の形態>
[素子アレイ回路1の全体構成例]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る素子アレイ回路1の構成例を模式的に表した回路図である。素子アレイ回路1は、例えば赤外線サーモグラフィに搭載され、素子アレイ回路1に照射される赤外線の強度に応じた出力電圧を出力するように構成されている。
【0011】
図1に示したように、素子アレイ回路1は、例えば複数のロウ線A(
図1ではA1~Amと表記)と、複数のカラム線B(
図1ではB1~Bn)と、複数の抵抗素子R(
図1ではR(1,1)~R(m,n)と表記)と、ロウ線選択部SAと、複数のオペアンプOP(
図1ではOP1~OPnと表記)と、複数の容量素子CP(
図1ではCP1~CPnと表記)と、複数のスイッチSW1(
図1ではSW1~SWnと表記)と、制御部CTRLとを備える。なお、
図1ではm本のロウ線Aが配設された状態を例示しているが、複数のロウ線Aの数は任意に設定可能である。同様に、
図1ではn本のカラム線Bが配設された状態を例示しているが、複数のカラム線Bの数は任意に設定可能である。また、
図1では、m本のロウ線A1~Amのうちのa番目のロウ線Aaと、n本のカラム線B1~Bnのうちのb番目のカラム線Bbとの双方に接続される抵抗素子RをR(a,b)と表記する。
図1以降の図面においても同様の表記とする。また、複数のロウ線Aと複数のカラム線Bとは直接的に接していない。
【0012】
(ロウ線A)
ロウ線Aは、本発明の「第1の配線」に対応する一具体例である。
複数のロウ線Aのそれぞれは第1の方向に延在すると共に、複数のロウ線Aは、第1の方向とは異なる第2の方向において互いに隣り合うように並んでいる。
図1の例では、複数のロウ線Aは、例えばY軸方向にそれぞれ延在すると共に、Y軸方向と直交するX軸方向において互いに隣り合うように並んでいる。
【0013】
複数のロウ線Aのそれぞれの第1端部は、ロウ線選択部SAのスイッチSWA1(
図1ではSWA1-1~SWA1-mと表記)を介して直流電源PS1に接続可能であると共にロウ線選択部SAのスイッチSWA2(
図1ではSWA2-1~SWA2-mと表記)を介して直流電源PS2に接続可能である。また、複数のロウ線Aのそれぞれに対し、複数の抵抗素子Rの第1端部が接続されている。
図1の例では、一のロウ線Aに対しn個の抵抗素子Rが並列に接続されている。具体的には、Y軸方向に延びるロウ線A1に対し、Y軸方向に並ぶ抵抗素子R(1,1)~R(1,n)のそれぞれの第1端部が接続されている。同様に、Y軸方向に延びるロウ線A2に対し、Y軸方向に並ぶ抵抗素子R(2,1)~R(2,n)のそれぞれの第1端部が接続され、Y軸方向に延びるロウ線Amに対し、Y軸方向に並ぶ抵抗素子R(m,1)~R(m,n)のそれぞれの第1端部が接続されている。
図1の例では、複数のロウ線Aのそれぞれにおける第1端部と反対側の第2端部は、X軸方向に並ぶ抵抗素子R(1,n)~R(m,n)のそれぞれの第1端部に接続されている。
【0014】
複数の抵抗素子Rから選択される抵抗素子R(便宜上、選択抵抗素子RSという。)についての測定を行う際には、選択抵抗素子RSに対応する一のロウ線A(便宜上、選択ロウ線ASと呼ぶ。)に対し直流電源PS1から第1の電圧V1が印加されるように、選択ロウ線ASに対応する一のスイッチSWA1が導通状態とされている。また、選択抵抗素子RSについての測定を行う際には、選択ロウ線A以外の全てのロウ線A(便宜上、非選択ロウ線AUと呼ぶ。)に対し直流電源PS2から非選択ロウ線AUに対応する導通状態のスイッチSWA2を介して第2の電圧V2(≠V1)が印加されるようになっている。
なお、
図1は、一例として、抵抗素子R(1,1)~R(1,n)が選択されている状態を表している。すなわち、
図1は、スイッチSWA1-1が導通状態とされることで選択抵抗素子R(1,1)~R(1,n)に対応する選択ロウ線A1に対し直流電源PS1から第1の電圧V1が印加されている状態を表すと共に、スイッチSWA2-2~SWA2-mが導通状態とされることで選択ロウ線A1以外の全ての非選択ロウ線A2~Amに対し直流電源PS2から第2の電圧V2(≠V1)が印加されている状態を表している。その際、非選択ロウ線A2~Amと接続されるスイッチSWA1-2~SWA1-mはいずれも非導通状態であり、選択ロウ線A1と接続されるスイッチSWA2-1も非導通状態である。第1の電圧V1と第2の電圧V2のいずれか一方は、0Vでもよい。
【0015】
(カラム線B)
カラム線Bは、本発明の「第2の配線」に対応する一具体例である。
複数のカラム線Bのそれぞれは、複数のロウ線Aと異なる方向に延在している。例えば、複数のカラム線Bのそれぞれは第2の方向に延在すると共に、複数のカラム線Bは、第2の方向とは異なる第1の方向において互いに隣り合うように並んでいる。
図1の例では、複数のカラム線Bは、例えばX軸方向にそれぞれ延在すると共にY軸方向において互いに隣り合うように並んでいる。
【0016】
複数のカラム線Bのそれぞれの第1端部は、複数のオペアンプOPのうちの対応する一のオペアンプOPに接続されている。具体的には、カラム線B1の第1端部はオペアンプOP1の負入力端子T2に接続され、カラム線B2の第1端部はオペアンプOP2の負入力端子T2に接続され、カラム線Bnの第1端部はオペアンプOPnの負入力端子T2に接続されている。
【0017】
また、複数のカラム線Bのそれぞれに対し、複数の抵抗素子Rの第2端部が接続されている。抵抗素子Rの第2端部とは、抵抗素子Rのうちロウ線Aと接続される第1端部と反対側の端部である。
図1の例では、一のカラム線Bに対しm個の抵抗素子Rが並列に接続されている。具体的には、X軸方向に延びるカラム線B1に対し、X軸方向に並ぶ抵抗素子R(1,1)~R(m,1)のそれぞれの第2端部が接続されている。同様に、X軸方向に延びるカラム線B2に対し、X軸方向に並ぶ抵抗素子R(1,2)~R(m,2)のそれぞれの第2端部が接続され、X軸方向に延びるカラム線Bnに対し、X軸方向に並ぶ抵抗素子R(1,n)~R(m,n)のそれぞれの第2端部が接続されている。
図1の例では、複数のカラム線Bのそれぞれにおける第1端部と反対側の第2端部は、Y軸方向に並ぶ抵抗素子R(m,1)~R(m,n)のそれぞれの第2端部に接続されている。
【0018】
(抵抗素子R)
抵抗素子Rは、本発明の「インピーダンス素子」に対応する一具体例である。
複数の抵抗素子Rのそれぞれは、複数のロウ線Aのうちの1つと複数のカラム線Bのうちの1つとの双方に接続されている。複数の抵抗素子Rのそれぞれは、ロウ線Aと接続される第1端部と、カラム線Bと接続される第2端部とを有する。先に述べたように、
図1の例では、複数のロウ線Aのそれぞれに対してn個の抵抗素子Rが接続され、複数のカラム線Bのそれぞれに対してm個の抵抗素子Rが接続されている。複数のロウ線Aのうちの一のロウ線Aと複数のカラム線Bのうちの一のカラム線Bとの双方に接続される抵抗素子Rは1つである。したがって、複数のロウ線Aから一のロウ線Aを選択すると共に複数のカラム線Bから一のカラム線Bを選択することにより、一の抵抗素子Rを特定することができる。
【0019】
抵抗素子Rは、例えばレンズ等により集光された赤外線を電気信号に変換する赤外線の受光素子の一部であり、具体的には例えば温度変化により抵抗変化を発現する抵抗変化層である。抵抗変化層は例えばサーミスタ膜である。サーミスタ膜は、例えば酸化バナジウム、非晶質シリコン、多結晶シリコン、マンガンを含むスピネル型結晶構造の酸化物、酸化チタン、又はイットリウム-バリウム-銅酸化物などを含んでいる。また、赤外線を吸収して発熱する赤外線吸収層がサーミスタ膜に隣接して設けられている。赤外線吸収層は、例えば酸化シリコン(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化シリコン(Si3N4)又は窒化アルミニウム(AlN)などを含んでいる。抵抗素子Rは、受光する赤外線の強度に応じて赤外線吸収層の温度変化および抵抗変化層の温度変化が生じ、その結果、抵抗変化層の抵抗値が変化するようになっている。
【0020】
(ロウ線選択部SA)
ロウ線選択部SAは、複数のスイッチSWA1(SWA1-1~SWA1-m)と、複数のスイッチSWA2(SWA2-1~SWA2-m)とを有する。複数のスイッチSWA1(SWA1-1~SWA1-m)および複数のスイッチSWA2(SWA2-1~SWA2-m)のそれぞれは、導通状態と非導通状態との切り替え動作が可能である。複数のスイッチSWA1(SWA1-1~SWA1-m)のそれぞれは、対応する一のロウ線A(A1~Am)と直流電源PS1との間に設けられている。複数のスイッチSWA2(SWA2-1~SWA2-m)のそれぞれは、対応する一のロウ線A(A1~Am)と直流電源PS2との間に設けられている。
【0021】
ロウ線選択部SAは、複数のロウ線Aのうちの1つのロウ線A(便宜上、選択ロウ線ASという)を選択し、その選択ロウ線ASを、第1の電圧V1を選択ロウ線ASに対して印加する直流電源PS1に接続すると共に、複数のロウ線Aのうちの選択ロウ線AS以外の非選択配線AUに対して第2の電圧V2を印加する直流電源PS2に非選択配線AUを接続する。第2の電圧V2は第1の電圧V1と異なる。ロウ線選択部SAの動作は、制御部CTRLにより制御されるようになっている。すなわち、ロウ線選択部SAにおける複数のスイッチSWA1(SWA1-1~SWA1-m)および複数のスイッチSWA2(SWA2-1~SWA2-m)のそれぞれの切り替え動作は、制御部CTRLからの指令に基づいて実行されるようになっている。
【0022】
(オペアンプOP)
複数のオペアンプOPのそれぞれは、複数のカラム線Bのうちの対応する一のカラム線Bと接続されている。複数のオペアンプOP(
図1ではOP1~OPnと表記)のそれぞれは、正入力端子T1と負入力端子T2と出力端子T3とを含んでいる。正入力端子T1は、直流電源PS2と接続されており、正入力端子T1には第2の電圧V2が印加されている。負入力端子T2は、対応する一のカラム線Bと接続されている。それぞれのオペアンプOPは、正入力端子T1と負入力端子T2とが同電位となるように動作するため、負入力端子T2の電位は概ね第2の電圧V2となる。出力端子T3は、容量素子CPを介して負入力端子T2と接続されている。
【0023】
(容量素子CP)
容量素子CPは、本発明の「変換素子」に対応する一具体例である。
複数の容量素子CPのそれぞれは、対応する一のオペアンプOPの負入力端子T2および出力端子T3の双方と接続され、負入力端子T2に接続されるカラム線Bを流れる電流を電圧に変換するものである。具体的には、
図1の例では、容量素子CP1は、オペアンプOP1の負入力端子T2および出力端子T3の双方と接続され、カラム線B1を流れる電流を電圧に変換する。同様に、容量素子CP2は、オペアンプOP2の負入力端子T2および出力端子T3の双方と接続され、カラム線B2を流れる電流を電圧に変換し、容量素子CPnは、オペアンプOPnの負入力端子T2および出力端子T3の双方と接続され、カラム線Bnを流れる電流を電圧に変換する。
【0024】
(スイッチSW)
スイッチSWは、本発明の「切替部」に対応する一具体例である。
複数のスイッチSWのそれぞれは、複数のオペアンプOPのうちの対応する一のオペアンプOPと接続されている。複数のスイッチSWのそれぞれは、対応する一のオペアンプOPの負入力端子T2と出力端子T3との間に、対応する一の容量素子CPと並列に接続されている。複数のスイッチSWのそれぞれは、導通状態と非導通状態とを取り得る。具体的には、
図1の例では、スイッチSW1は、オペアンプOP1の負入力端子T2と出力端子T3との間に容量素子CP1と並列に接続されて導通状態と非導通状態とを取り得る。同様に、スイッチSW2は、オペアンプOP2の負入力端子T2と出力端子T3との間に容量素子CP2と並列に接続されて導通状態と非導通状態とを取り得る。スイッチSWnは、オペアンプOPnの負入力端子T2と出力端子T3との間に容量素子CPnと並列に接続されて導通状態と非導通状態とを取り得る。
【0025】
(制御部CTRL)
制御部CTRLは、例えばマイクロコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)が制御プログラムを実行することで予め定められた制御処理を行うようになっている。制御部CTRLは、例えば、複数のスイッチSWの切り替え動作の制御を行うものである。制御部CTRLは、複数のカラム線Bのそれぞれに寄生する寄生容量の充電を行ったのち、それぞれのカラム線Bに対応する一のスイッチSWを非導通状態に切り替える制御を行う。制御部CTRLは、それぞれのカラム線Bの寄生容量の充電を、それぞれのカラム線Bに対応する一のスイッチSWを導通状態とし、対応する一のオペアンプOPの負入力端子T2に接続されるカラム線Bと、対応する一のオペアンプOPの出力端子T3とを導通させることにより行う。
【0026】
また、制御部CTRLは、ロウ線選択部SAの切り替え動作を制御するものである。すなわち制御部CTRLは、選択ロウ線ASに対応する一のスイッチSWA1を導通状態とし、非選択ロウ線AUに対応するその他のスイッチSWA1を非導通状態とする。併せて、制御部CTRLは、選択ロウ線ASに対応する一のスイッチSWA2を非導通状態とし、非選択ロウ線AUに対応するその他のスイッチSWA2を導通状態とする。ここで、選択ロウ線ASは、選択抵抗素子RSに対応する一のロウ線Aである。非選択ロウ線AUは、選択ロウ線AS以外の他の全てのロウ線Aである。
【0027】
制御部CTRLは、それぞれのカラム線Bの寄生容量の充電を行ったあと、それぞれのカラム線Bに対応する一のスイッチSWを非導通状態に切り替え、そののち選択ロウ線ASとそれぞれのカラム線Bとの双方に接続されている選択抵抗素子RSに起因する、それぞれのカラム線Bに対応する一のオペアンプOPの出力端子T3からの出力電圧を測定するようになっている。
【0028】
また、それぞれのカラム線Bに対応する一のスイッチSWを導通状態としてそれぞれのカラム線Bの寄生容量の充電を行う時間は、それぞれのカラム線Bに対応する一の容量素子CPの電荷がほぼ全部放電される時間より長いとよい。具体的には、その時間は、それぞれのカラム線Bに対応する一の容量素子CPの容量値と対応する一のスイッチSWの抵抗値(スイッチSWを導通状態としたときの抵抗値)との積の5倍より長いとよい。また、それぞれのカラム線Bに対応する一のスイッチSWを導通状態としてそれぞれのカラム線Bの寄生容量の充電を行う時間は、それぞれのカラム線Bの寄生容量の容量値と、それぞれのカラム線Bに対応する一のスイッチSWの抵抗値との積の5倍より長いとよい。それぞれのカラム線Bの寄生容量が十分に充電され、選択抵抗素子RSのそれぞれに起因する出力電圧を正確に測定することができるからである。
【0029】
直流電源PS1,PS2のそれぞれは、素子アレイ回路1の内部に設けられていてもよいし、素子アレイ回路1の外部に設けられていてもよい。
【0030】
[素子アレイ回路1における測定動作]
素子アレイ回路1では、例えば以下のようにして複数の抵抗素子Rのそれぞれについての測定を行うことができる。なお、以下の測定動作は制御部CTRLからの指令により行われる。
【0031】
図2は、素子アレイ回路1の測定動作例を説明するフローチャートである。まず、全てのスイッチを非導通状態とする(ステップS101)。具体的には、
図1に示した複数のスイッチSW1(SW1~SWn)、複数のスイッチSWA1(SWA1-1~SWA1-m)、および複数のスイッチSWA2(SWA2-1~SWA2-m)の全てを非導通状態(開状態)とする。
【0032】
次に、測定対象とする選択抵抗素子RSに対応する選択ロウ線ASを選択する(ステップS102)。具体的には、選択抵抗素子RSが接続されている選択ロウ線ASのスイッチSWA1を導通状態とし、選択ロウ線ASに対して第1の電圧V1を印加する。非選択ロウ線AUに対応するスイッチSWA1については非導通状態を維持する。さらに、非選択ロウ線AUのスイッチSWA2を導通状態とし、非選択ロウ線AUに対して第2の電圧V2を印加する。選択ロウ線ASに対応するスイッチSWA2については非導通状態を維持する。
図1の例は、選択抵抗素子RSとして抵抗素子R(1,1)~R(1,n)が選択された状態を表している。すなわち、選択ロウ線ASとしてのロウ線A1に対応するスイッチSWA1-1を導通状態とし、ロウ線A1に対して第1の電圧V1を印加する。一方、非選択ロウ線AUとしてのロウ線A2~Amに対応するスイッチSWA1-2~SWA1-mについては非導通状態を維持する。さらに、非選択ロウ線AUとしてのロウ線A2~Amに対応するスイッチSWA2-2~SWA2-mを導通状態とし、ロウ線A2~Amに対して第2の電圧V2を印加する。一方、選択ロウ線ASとしてのロウ線A1に対応するスイッチSWA2-1については非導通状態を維持する。
【0033】
次に、それぞれのカラム線Bに対応する一のスイッチSWを導通状態とし(ステップS103)、それぞれのカラム線Bに寄生する寄生容量を充電する(ステップS103)。具体的には、それぞれのカラム線Bに対応する一のスイッチSWを導通状態とし、対応する一のオペアンプOPの負入力端子T2に接続されるカラム線Bと、対応する一のオペアンプOPの出力端子T3とを導通させる。
図1の例では、選択抵抗素子RSとしての抵抗素子R(1,1)が接続されているカラム線B1に対応するスイッチSW1を導通状態とし、オペアンプOP1の負入力端子T2と出力端子T3とを導通させる。同様に、選択抵抗素子RSとしての抵抗素子R(1,2)が接続されているカラム線B2に対応するスイッチSW2を導通状態とし、オペアンプOP2の負入力端子T2と出力端子T3とを導通させ、選択抵抗素子RSとしての抵抗素子R(1,n)が接続されているカラム線Bnに対応するスイッチSWnを導通状態とし、オペアンプOPnの負入力端子T2と出力端子T3とを導通させる。
図3に、素子アレイ回路1における寄生容量PCの充電動作を説明する回路図を示す。
図3に破線の矢印で示したように、スイッチSW1を導通状態とすることでオペアンプOP1からカラム線B1に電流が流れ、カラム線B1に寄生する寄生容量PCが充電される。同様に、スイッチSW2を導通状態とすることでカラム線B2に寄生する寄生容量PCが充電され、スイッチSWnを導通状態とすることでカラム線Bnに寄生する寄生容量PCが充電される。ここで、それぞれのカラム線Bに対応する一の容量素子CPの電荷がほぼ全部放電される時間より長い時間に亘って、それぞれのカラム線Bに対応する一のスイッチSWを導通状態としてそれぞれのカラム線Bの寄生容量PCの充電を行うことが望ましい。具体的には、容量素子CP1の容量値とスイッチSW1の抵抗値との積の5倍、すなわち時定数の5倍より長い時間に亘ってスイッチSW1を導通状態としてカラム線B1の寄生容量PCの充電を行うことが望ましい。容量素子CP1の容量値とスイッチSW1の抵抗値との積の5倍の時間だけスイッチSW1を導通状態とすると、容量素子CP1の電荷の99.3%が放電される。同様に、容量素子CP2の容量値とスイッチSW2の抵抗値との積の5倍より長い時間に亘ってスイッチSW2を導通状態としてカラム線B2の寄生容量PCの充電を行うことが望ましく、容量素子CPnの容量値とスイッチSWnの抵抗値との積の5倍より長い時間に亘ってスイッチSWnを導通状態としてカラム線Bnの寄生容量PCの充電を行うことが望ましい。また、それぞれのカラム線Bの寄生容量PCの容量値と、それぞれのカラム線Bに対応する一のスイッチSWの抵抗値との積の5倍より長い時間に亘って、それぞれのカラム線Bに対応する一のスイッチSWを導通状態としてそれぞれのカラム線Bの寄生容量PCの充電を行うことが望ましい。それぞれのカラム線Bの寄生容量PCが十分に充電され、選択抵抗素子RSのそれぞれに起因する出力電圧を正確に測定することができるからである。カラム線B1の寄生容量PCの容量値と、スイッチSW1の抵抗値との積の5倍、すなわち時定数の5倍より長い時間に亘ってスイッチSW1を導通状態としてカラム線B1の寄生容量PCの充電を行うことが望ましい。同様に、カラム線B2の寄生容量PCの容量値と、スイッチSW2の抵抗値との積の5倍より長い時間に亘ってスイッチSW2を導通状態としてカラム線B2の寄生容量PCの充電を行うことが望ましく、カラム線Bnの寄生容量PCの容量値と、スイッチSWnの抵抗値との積の5倍より長い時間に亘ってスイッチSWnを導通状態としてカラム線Bnの寄生容量PCの充電を行うことが望ましい。
【0034】
次に、それぞれのカラム線Bに対応する一のスイッチSWを非導通状態とする(ステップS104)。これにより、それぞれのカラム線Bに対応する一のスイッチSWを導通状態とした、それぞれのカラム線Bの寄生容量PCの充電が終了する。
図1の例では、カラム線B1に対応するスイッチSW1を非導通状態に切り替える。同様に、カラム線B2に対応するスイッチSW2を非導通状態に切り替え、カラム線Bnに対応するスイッチSWnを非導通状態に切り替える。その際、それぞれのオペアンプOPの負入力端子T2の電位は第2の電圧V2となっているため、抵抗素子R(1,1)~R(1,n)には、第1の電圧V1と第2の電圧V2との差分の電圧(V2-V1)が印加され、抵抗素子R(1,1)~R(1,n)のそれぞれの抵抗値に依存した電流が、抵抗素子R(1,1)~R(1,n)のそれぞれに流れ、カラム線B1~Bnのそれぞれを流れて、容量素子CP1~CPnのそれぞれに向かって流れる。これに対して、選択ロウ線ASであるロウ線A1以外の他のロウ線A2~Am、およびカラム線B1~Bnのそれぞれに対しては第2の電圧V2が印加される。このため、選択抵抗素子RSとしての抵抗素子R(1,1)~R(1,n)以外の他の抵抗素子Rに印加される電圧は0となるので、抵抗素子R(1,1)~R(1,n)以外の他の抵抗素子Rには電流が流れない。
【0035】
次に、それぞれの選択抵抗素子RSに対応する出力電圧を測定する(ステップS105)。具体的には、選択ロウ線ASとそれぞれのカラム線Bとの双方に接続されている選択抵抗素子RSに起因する、それぞれのカラム線Bに対応する一のオペアンプOPの出力端子T3からの出力電圧を測定する。
図1の例では、ロウ線A1とカラム線B1との双方に接続されている抵抗素子R(1,1)に対応するオペアンプOP1の出力端子T3からの出力電圧Voutを測定する。同様に、ロウ線A1とカラム線B2との双方に接続されている抵抗素子R(1,2)に対応するオペアンプOP2の出力端子T3からの出力電圧Voutを測定し、ロウ線A1とカラム線Bnとの双方に接続されている抵抗素子R(1,n)に対応するオペアンプOPnの出力端子T3からの出力電圧Voutを測定する。カラム線B1~Bnのそれぞれを流れる電流は、容量素子CP1~CPnのそれぞれにより電圧に変換され、抵抗素子R(1,1)~R(1,n)のそれぞれに対応するオペアンプOP1~OPnの出力端子T3からの出力電圧Voutとして出力される。出力電圧Voutは以下の式(1)のように記載することができる。
【0036】
Vout[V]={(V2[V]-V1[V])/(cs[F]×rs[Ω])}×T[sec.]+V2[V] ……(1)
ここで、
V1[V]:選択ロウ線ASに印加される第1の電圧である。
V2[V]:正入力端子T1に印加される第2の電圧である。
cs[F]:それぞれのカラム線Bに対応する一の容量素子CPの容量値である。
rs[Ω]:それぞれのカラム線Bに対応する一の選択抵抗素子RSの抵抗値である。
T[sec.]:それぞれのカラム線Bに対応する一のスイッチSWを非導通状態としてからの経過時間である。
Vout[V]:それぞれのカラム線Bに対応する一のオペアンプOPの、T[sec.]経過後の出力電圧である。
【0037】
図4は、素子アレイ回路1におけるオペアンプOP1の出力端子T3からの出力電圧Voutの変化を説明するための説明図である。
図4の横軸は時刻tを表し、
図4の縦軸は出力電圧Voutを表している。
図4において、時刻t0はステップS103においてスイッチSW1を導通状態に切り替え、カラム線B1の寄生容量PCの充電を開始した時刻である。
図4において、時刻t1はステップS104においてスイッチSW1を非導通状態に切り替え、カラム線B1の寄生容量PCの充電を終了した時刻である。したがって、時刻t0から時刻t1までがカラム線B1の寄生容量PCの充電時間である。
図4において時刻t2は、時刻t1から時間T経過後の、出力電圧Vout_t2を測定した時刻である。
図4に示す例は第1の電圧V1が第2の電圧V2よりも大きい例であり、出力電圧Voutは時刻t1からの時間の経過に伴い徐々に減少する。容量素子CPの容量値cs[F]は既知であるので、出力電圧Voutは式(1)のように選択抵抗素子RSの抵抗値rs[Ω]に依存することとなる。よって、上記の式(1)に基づき、時刻t2での出力電圧Vout_t2からそれぞれの選択抵抗素子RSの抵抗値rsを算出することができる。
【0038】
以上により、素子アレイ回路1における測定動作が完了する。抵抗素子R(1,1)~R(1,n)以外の他の抵抗素子Rに対応する出力電圧Voutを測定する場合には、上記のステップS101~S105を繰り返すこととする。但し、既に測定した抵抗素子Rが接続されているカラム線Bについては、その寄生容量を再度充電する操作を省略してもよい。また、本実施の形態では、ステップS102とステップS103との順序を入れ替えてもよいし、ステップS102をステップS104とステップ105の間の順番としてもよい。
【0039】
[素子アレイ回路1の作用効果]
以上説明したように、本実施の形態の素子アレイ回路1では、1以上のロウ線Aと、複数のカラム線Bと、複数の抵抗素子Rと、1以上のオペアンプOPと、1以上の容量素子CPと、1以上のスイッチSWとを備えている。複数のカラム線Bは、1以上のロウ線Aと異なる方向にそれぞれが延在する。複数の抵抗素子Rは、1以上の第1のロウ線Aのうちの1つと複数のカラム線Bのうちの1つとの双方にそれぞれが接続される。1以上のオペアンプOPは、正入力端子T1と、複数のカラム線Bのうちの1つに接続可能な負入力端子T2と、出力端子T3とを有する。1以上の容量素子CPは、負入力端子T2および出力端子T3と接続され、負入力端子T2に接続されるカラム線Bを流れる電流を電圧に変換する。1以上のスイッチSWは、負入力端子T2と出力端子T3との間に容量素子CPと並列に接続されて導通状態と非導通状態とを取り得る。このような構成の素子アレイ回路1では、それぞれのカラム線Bに対応する一のスイッチSWを導通状態とし、対応する一のオペアンプOPの負入力端子T2に接続されるカラム線Bと、対応する一のオペアンプOPの出力端子T3とを導通させることにより、対応する一のオペアンプOPの負入力端子T2に接続されるカラム線Bに寄生する寄生容量の充電が速やかに行われる。この充電ののちスイッチSWを非導通状態に切り替え、選択抵抗素子RSのそれぞれに起因する、選択抵抗素子RSのそれぞれに対応する一のオペアンプOPの出力端子T3からの出力電圧Voutを測定することができる。
【0040】
ところが、例えば上述した特許文献1の赤外線検知回路では、抵抗素子(抵抗体Rtmn)と、その抵抗素子およびオペアンプの負入力端子に接続される配線に寄生する寄生容量とによってローパスフィルタが形成されてしまう。このようなローパスフィルタの影響により、その配線が接続されるオペアンプの負入力端子の電位が、寄生容量が充電されることで定常状態となるまでに長い時間を要し、その抵抗素子に起因する出力電圧値が定常状態となるまでに長い時間を要することがある。そのため、その抵抗素子の抵抗値を精度よく測定するためには、その出力電圧値が定常状態となるまで長い時間待つこととなる。定常状態となる前のその出力電圧値を測定することはできるものの、その測定値の精度は低下してしまう。
【0041】
その点、本実施の形態の素子アレイ回路1では、スイッチSWを設けるようにしたので、それぞれのカラム線Bに寄生する寄生容量の充電を速やかに行うことができる。したがって、それぞれのカラム線Bに接続された選択抵抗素子RSに起因する出力電圧Voutを速やかに定常状態とすることができ、それぞれの選択抵抗素子RSの抵抗値に関連する出力電圧Voutを迅速かつ正確に測定することができる。
【0042】
さらに、本実施の形態の素子アレイ回路1では、複数のオペアンプOPを備え、複数のカラム線Bのそれぞれに対応する一のオペアンプOPを備えるようにしたので、例えば一のオペアンプOPに対し複数のカラム線Bのそれぞれを選択的に接続して出力電圧Voutを測定する場合と比較して、速やかに出力電圧Voutを測定することができる。
【0043】
<2.第2の実施の形態>
[素子アレイ回路2の全体構成例]
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る素子アレイ回路2の全体構成例を模式的に表した回路図である。
図5に示したように、素子アレイ回路2の構成は、複数の変換素子として複数の容量素子CPの代わりに複数の抵抗素子RE(
図5ではRE1~REnと表記)を用いるようにしたことを除き、
図1に示した第1の実施の形態の素子アレイ回路1の構成と実質的に同じである。したがって、以下の説明では抵抗素子REに関する説明を主に行い、その他の構成要素についての説明を適宜省略する。
【0044】
(抵抗素子RE)
抵抗素子REは、本発明の「変換素子」および「第1の抵抗素子」に対応する一具体例である。抵抗素子REは、例えば所定の固有抵抗を有する金属材料からなる抵抗体を含んでいる。複数の抵抗素子REのそれぞれは、対応する一のオペアンプOPの負入力端子T2および出力端子T3の双方と接続され、負入力端子T2に接続されるカラム線Bを流れる電流を電圧に変換するものである。具体的には、
図5の例では、抵抗素子RE1は、オペアンプOP1の負入力端子T2および出力端子T3の双方と接続され、カラム線B1を流れる電流を電圧に変換する。同様に、抵抗素子RE2は、オペアンプOP2の負入力端子T2および出力端子T3の双方と接続され、カラム線B2を流れる電流を電圧に変換し、抵抗素子REnは、オペアンプOPnの負入力端子T2および出力端子T3の双方と接続され、カラム線Bnを流れる電流を電圧に変換する。複数の抵抗素子REのそれぞれの抵抗値は、対応する一のスイッチSWの抵抗値よりも大きい。
【0045】
[素子アレイ回路2における測定動作]
素子アレイ回路2では、例えば以下のようにして複数の抵抗素子Rのそれぞれについての測定を行うことができる。なお、以下の測定動作は制御部CTRLからの指令により行われる。
【0046】
素子アレイ回路2の測定動作は、基本的には素子アレイ回路1の測定動作と同じである(
図2参照)。すなわち、
図2のフローチャートに示したように、抵抗素子Rについての測定を行う前の段階で、それぞれのカラム線Bに寄生する寄生容量の充電を速やかに行う(ステップS103)。具体的には、
図5の例では、選択抵抗素子RSとしての抵抗素子R(1,1)が接続されているカラム線B1に対応するスイッチSW1を導通状態とし、オペアンプOP1の負入力端子T2と出力端子T3とを導通させる。同様に、選択抵抗素子RSとしての抵抗素子R(1,2)が接続されているカラム線B2に対応するスイッチSW2を導通状態とし、オペアンプOP2の負入力端子T2と出力端子T3とを導通させ、選択抵抗素子RSとしての抵抗素子R(1,n)が接続されているカラム線Bnに対応するスイッチSWnを導通状態とし、オペアンプOPnの負入力端子T2と出力端子T3とを導通させる。これにより、カラム線B1に寄生する寄生容量、カラム線B2に寄生する寄生容量、およびカラム線Bnに寄生する寄生容量がそれぞれ充電される。ここで、第1の実施の形態と同様に、それぞれのカラム線Bに対応する一のスイッチSWを導通状態としてそれぞれのカラム線Bの寄生容量PCの充電を行う時間が、それぞれのカラム線Bの寄生容量PCの容量値とそれぞれのカラム線Bに対応する一のスイッチSWの抵抗値との積の5倍より長いとよい。
【0047】
次に、それぞれのカラム線Bに対応する一のスイッチSWを非導通状態とする(ステップS104)。これにより、それぞれのカラム線Bに対応する一のスイッチSWを導通状態とした、それぞれのカラム線Bの寄生容量PCの充電が終了する。
図5の例では、カラム線B1に対応するスイッチSW1を非導通状態に切り替える。同様に、カラム線B2に対応するスイッチSW2を非導通状態に切り替え、カラム線Bnに対応するスイッチSWnを非導通状態に切り替える。その際、抵抗素子R(1,1)~R(1,n)には、第1の電圧V1と第2の電圧V2との差分の電圧(V2-V1)が印加され、抵抗素子R(1,1)~R(1,n)のそれぞれの抵抗値に依存した電流が、抵抗素子R(1,1)~R(1,n)のそれぞれに流れ、カラム線B1~Bnのそれぞれを流れて、抵抗素子RE1~REnのそれぞれに流れる。
図5では、抵抗素子R(1,1)の抵抗値に依存した電流が抵抗素子RE1に流れる様子を破線の矢印で示している。これに対して、選択ロウ線ASであるロウ線A1以外の他のロウ線A2~Am、およびカラム線B1~Bnのそれぞれに対しては第2の電圧V2が印加される。このため、選択抵抗素子RSとしての抵抗素子R(1,1)~R(1,n)以外の他の抵抗素子Rに印加される電圧は0となるので、抵抗素子R(1,1)~~R(1,n)以外の他の抵抗素子Rには電流が流れない。次に、それぞれの選択抵抗素子RSに対応する出力電圧を測定する(ステップS105)。具体的には、選択ロウ線ASとそれぞれのカラム線Bとの双方に接続されている選択抵抗素子RSに起因する、それぞれのカラム線Bに対応する一のオペアンプOPの出力端子T3からの出力電圧を測定する。カラム線B1~Bnのそれぞれを流れる電流は、抵抗素子RE1~REnのそれぞれにより電圧に変換され、抵抗素子R(1,1)~R(1,n)のそれぞれに対応するオペアンプOP1~OPnの出力端子T3からの出力電圧Voutとして出力される。出力電圧Voutは以下の式(2)のように記載することができる。
【0048】
Vout[V]=(re[Ω]/rs[Ω])×(V2[V]-V1[V])+V2[V] ……(2)
ここで、
V1[V]:選択ロウ線ASに印加される第1の電圧である。
V2[V]:正入力端子T1に印加される第2の電圧である。
re[Ω]:それぞれのカラム線Bに対応する一の抵抗素子REの抵抗値である。
rs[Ω]:それぞれのカラム線Bに対応する一の選択抵抗素子RSの抵抗値である。
Vout[V]:それぞれのカラム線Bに対応する一のオペアンプOPの出力電圧である。
【0049】
抵抗素子RE1の抵抗値re[Ω]は既知であるので、出力電圧Voutは式(2)に示したように選択抵抗素子RSの抵抗値rs[Ω]に依存することとなる。よって、上記の式(2)に基づき、出力電圧Voutからそれぞれの選択抵抗素子RSの抵抗値rsを算出することができる。
【0050】
[素子アレイ回路2の作用効果]
本実施の形態の素子アレイ回路2においても、上記第1の実施の形態の素子アレイ回路1と同様の効果が期待できる。すなわち、本実施の形態の素子アレイ回路2では、スイッチSWを設けるようにしたので、それぞれのカラム線Bに寄生する寄生容量の充電を速やかに行うことができる。したがって、それぞれのカラム線Bに接続された選択抵抗素子RSに起因する出力電圧Voutを速やかに定常状態とすることができ、それぞれの選択抵抗素子RSの抵抗値に関連する出力電圧Voutを迅速かつ正確に測定することができる。
【0051】
さらに、本実施の形態の素子アレイ回路2では、複数のオペアンプを備え、複数のカラム線Bのそれぞれに対応する一のオペアンプOPを備えるようにしたので、例えば一のオペアンプOPに対し複数のカラム線Bのそれぞれを選択的に接続して出力電圧Voutを測定する場合と比較して、速やかに出力電圧Voutを測定することができる。
【0052】
<3.第3の実施の形態>
[素子アレイ回路3の全体構成例]
図6は、本発明の第3の実施の形態に係る素子アレイ回路3の構成例を模式的に表した回路図である。
図6に示したように、素子アレイ回路3の構成は、カラム線選択部SBをさらに備えるようにしたことと、スイッチSW、容量素子CP、およびオペアンプOPのそれぞれの数を1にしたこととが、
図1の素子アレイ回路1の構成と異なっている。したがって、以下の説明では、カラム線選択部SBに関する説明を主に行い、その他の構成要素についての説明を適宜省略する。なお、
図6ではm本のロウ線Aが配設された状態を例示しているが、複数のロウ線Aの数は任意に設定可能である。同様に、
図6ではn本のカラム線Bが配設された状態を例示しているが、複数のカラム線Bの数は任意に設定可能である。また、
図6に示した例では、n本のカラム線Bに対してスイッチSW、容量素子CP、およびオペアンプOPの組を1つ設けるようにしているが、n本のカラム線Bに対してスイッチSW、容量素子CP、およびオペアンプOPの組を2以上設けるようにしてもよい。
【0053】
(カラム線選択部SB)
カラム線選択部SBは、複数のスイッチSWB1(SWB1-1~SWB1-n)と、複数のスイッチSWB2(SWB2-1~SWB2-n)とを有する。複数のスイッチSWB1(SWB1-1~SWB1-n)および複数のスイッチSWB2(SWB2-1~SWB2-n)のそれぞれは、導通状態と非導通状態との切り替え動作が可能である。複数のスイッチSWB1(SWB1-1~SWB1-n)のそれぞれは、対応する一のカラム線B(B1~Bn)とオペアンプOPの負入力端子T2との間に設けられている。複数のスイッチSWB2(SWB2-1~SWB2-n)のそれぞれは、対応する一のカラム線B(B1~Bn)と直流電源PS2との間に設けられている。
【0054】
カラム線選択部SBは、複数のカラム線Bのうちの1つのカラム線B(便宜上、選択カラム線BSと呼ぶ)を選択し、その選択カラム線BSをオペアンプOPの負入力端子T2と接続する。また、カラム線選択部SBは、選択カラム線BS以外の他のカラム線B(便宜上、非選択カラム線BUと呼ぶ)を、複数のスイッチSWB2(SWB2-1~SWB2-n)を介して直流電源PS2に接続する。カラム線選択部SBの動作は、制御部CTRLにより制御されるようになっている。すなわち、カラム線選択部SBにおける複数のスイッチSWB1(SWB1-1~SWB1-n)および複数のスイッチSWB2(SWB2-1~SWB2-n)のそれぞれの切り替え動作は、制御部CTRLからの指令に基づいて実行されるようになっている。
【0055】
[素子アレイ回路3における測定動作]
素子アレイ回路3では、例えば以下のようにして複数の抵抗素子Rのそれぞれについての測定を行うことができる。なお、以下の測定動作は制御部CTRLからの指令により行われる。
【0056】
図7は、素子アレイ回路3の測定動作を説明するフローチャートである。まず、全てのスイッチを非導通状態とする(ステップS301)。具体的には、
図6に示した1つのスイッチSW、複数のスイッチSWA1(SWA1-1~SWA1-m)、複数のスイッチSWA2(SWA2-1~SWA2-m)、複数のスイッチSWB1(SWB1-1~SWB1-n)および複数のスイッチSWB2(SWB2-1~SWB2-n)の全てを非導通状態(開状態)とする。
【0057】
次に、測定対象とする選択抵抗素子RSに対応する選択ロウ線ASを選択する(ステップS302)。このステップS302は、上記第1の実施の形態で説明した
図2のステップ102と同様に行う。
【0058】
次に、測定対象とする選択抵抗素子RSに対応する選択カラム線BSを選択する(ステップS303)。具体的には、選択抵抗素子RSが接続されている選択カラム線BSに接続されているスイッチSWB1を導通状態とし、選択カラム線BSをオペアンプOPと接続する。非選択カラム線BUに対応するスイッチSWB1については非導通状態を維持する。さらに、非選択カラム線BUのスイッチSWB2を導通状態とし、非選択カラム線BUに対して第2の電圧V2を印加する。選択カラム線BSに対応するスイッチSWB2については非導通状態を維持する。
図6の例は、選択抵抗素子RSとして抵抗素子R(1,1)が選択された状態を表している。すなわち、選択カラム線BSとしてのカラム線B1に対応するスイッチSWB1-1を導通状態とし、カラム線B1をオペアンプOPと導通させる。一方、非選択カラム線BUとしてのカラム線B2~Bnに対応するスイッチSWB1-2~SWB1-nについては非導通状態を維持する。さらに、非選択カラム線BUとしてのカラム線B2~Bnに対応するスイッチSWB2-2~SWB2-nを導通状態とし、カラム線B2~Bnに対して第2の電圧V2を印加する。一方、選択カラム線BSとしてのカラム線B1に対応するスイッチSWB2-1については非導通状態を維持する。
【0059】
次に、スイッチSWを導通状態とし(ステップS304)、測定対象とする選択抵抗素子RSに対応する選択カラム線BSに寄生する寄生容量を充電する。具体的には、選択カラム線BSとしてのカラム線B1に対応するスイッチSWB1-1を導通状態としつつ、スイッチSWを導通状態とし、カラム線B1とオペアンプOPの出力端子T3とを導通させる。
図8に、素子アレイ回路3における寄生容量PCの充電動作を説明する回路図を示す。
図8に破線の矢印で示したように、スイッチSWを導通状態とすることでオペアンプOP1からカラム線B1に電流が流れ、カラム線B1に寄生する寄生容量PCが充電される。ここで、容量素子CPの電荷がほぼ全部放電される時間より長い時間に亘って、スイッチSWを導通状態として選択カラム線BSの寄生容量PCの充電を行うことが望ましい。具体的には、容量素子CPの容量値とスイッチSWの抵抗値との積の5倍、すなわち時定数の5倍より長い時間に亘ってスイッチSWを導通状態として選択カラム線BSの寄生容量PCの充電を行うことが望ましい。容量素子CPの容量値とスイッチSWの抵抗値との積の5倍の時間だけスイッチSWを導通状態とすると、容量素子CPの電荷の99.3%が放電される。また、選択カラム線BSの寄生容量PCの容量値と、スイッチSWの抵抗値および選択カラム線BSに対応するスイッチSWBの抵抗値(スイッチSWBを導通状態としたときの抵抗値)の和との積の5倍より長い時間に亘って、スイッチSWを導通状態として選択カラム線BSの寄生容量PCの充電を行うことが望ましい。選択カラム線BSの寄生容量PCが十分に充電され、選択抵抗素子RSに起因する出力電圧Voutを正確に測定することができるからである。
【0060】
次に、スイッチSWを非導通状態とする(ステップS305)。これにより、スイッチSWを導通状態とした選択カラム線BSの寄生容量PCの充電が終了する。その際、抵抗素子R(1,1)には、第1の電圧V1と第2の電圧V2との差分の電圧(V2-V1)が印加され、抵抗素子R(1,1)の抵抗値に依存した電流が、抵抗素子R(1,1)に流れ、選択カラム線BSとしてのカラム線B1を流れて、容量素子CPに向かって流れる。これに対して、選択ロウ線ASであるロウ線A1以外の他のロウ線A2~Am、およびカラム線B1に対しては第2の電圧V2が印加される。このため、選択カラム線BSとしてのカラム線B1に接続された抵抗素子R(1,1)~R(1,m)のうち、選択抵抗素子RSとしての抵抗素子R(1,1)以外の他の抵抗素子Rに印加される電圧は0となるので、抵抗素子R(1,2)~R(1,m)には電流が流れない。また、非選択カラム線BUとしてのカラム線B2~Bnに接続された抵抗素子Rは、容量素子CPとは接続されていないので、これらが容量素子CPに影響を及ぼすことはない。
【0061】
次に、選択抵抗素子RSに対応する出力電圧を測定する(ステップS306)。このステップS306は、上記第1の実施の形態で説明した
図2のステップ105と同様に行う。
なお、ステップS306においては、オペアンプOPの出力端子T3からの出力電圧Voutを測定する。上記第1の実施の形態で説明したように、式(1)に基づき、オペアンプOPの出力端子T3からの出力電圧Voutから選択抵抗素子RSの抵抗値rsを算出することができる。ただし、本実施の形態では、式(1)において、cs[F]を容量素子CPの容量値と読み替え、rs[Ω]を選択カラム線BSに対応する一の選択抵抗素子RSの抵抗値と読み替え、T[sec.]をスイッチSWを非導通状態としてからの経過時間と読み替え、Vout[V]をオペアンプOPの、T[sec.]経過後の出力電圧と読み替える。
【0062】
以上により、素子アレイ回路3における測定動作が完了する。抵抗素子R(1,1)以外の他の抵抗素子Rに対応する出力電圧Voutを測定する場合には、上記のステップS301~S306を繰り返すこととする。但し、既に測定した抵抗素子Rが接続されているカラム線Bについては、その寄生容量を再度充電する操作を省略してもよい。また、
図6の例では、非選択カラム線BUの第1端部は、スイッチSWB2を介して直流電源PS2に接続されているため、直流電源PS2からの電流により非選択カラム線BUの寄生容量はある程度充電することが可能である。しかしながら、直流電源PS2から印加される第2の電圧V2と負入力端子T2の電位との間にはわずかな誤差(オフセット電圧)が生じることがあり、この誤差のために、直流電源PS2からの電流による非選択カラム線BUの寄生容量の充電では不十分な場合がある。このため、より高い精度の測定を行うために、選択カラム線BSを選択する度に、スイッチSWを導通状態として選択カラム線BSの寄生容量を充電する操作を行ってもよい。また、本実施の形態では、ステップS302~S305の順序を、「ステップS303はステップS305よりも前の順序である」という条件と「ステップS304はステップS305よりも前の順序である」という条件の下で、任意に入れ替えてもよい。具体的には、ステップS302~S305の順序を、S302→S304→S303→S305としてもよいし、S303→S302→S304→S305としてもよいし、S303→S304→S302→S305としてもよいし、S303→S304→S305→S302としてもよいし、S304→S302→S303→S305としてもよいし、S304→S303→S302→S305としてもよいし、S304→S303→S305→S302としてもよい。ステップS304がステップS303よりも前の順序の場合は、スイッチSWを導通状態としつつ、選択カラム線BSとするカラム線Bに対応するスイッチSWB1を導通状態とした段階で、選択カラム線BSとしたカラム線Bの寄生容量PCの充電が開始される。また、
図6の例では、非選択カラム線BUの第1端部は、スイッチSWB2を介して直流電源PS2に接続されているが、非選択カラム線BUが容量素子CPに接続されずに、非選択カラム線BUと容量素子CPとの間に電流が流れない構成であれば、非選択カラム線BUの第1端部の接続先は問わない。
【0063】
[素子アレイ回路3の作用効果]
本実施の形態の素子アレイ回路3においても、上記第1の実施の形態の素子アレイ回路1と同様の効果が期待できる。すなわち、本実施の形態の素子アレイ回路3では、スイッチSWを設けるようにしたので、選択カラム線BSに寄生する寄生容量の充電を速やかに行うことができる。したがって、選択カラム線BSに接続された選択抵抗素子RSに起因する出力電圧Voutを速やかに定常状態とすることができ、選択抵抗素子RSの抵抗値に関連する出力電圧Voutを迅速かつ正確に測定することができる。
【0064】
さらに、本実施の形態の素子アレイ回路3では、カラム線選択部SBを用いて複数のカラム線Bのそれぞれを選択的に一のオペアンプOPに接続するようにしたので、複数のオペアンプOPを備える上記第の実施の形態の素子アレイ回路1と比較して、よりコンパクト化を図ることができる。
【0065】
<4.第4の実施の形態>
[素子アレイ回路4の全体構成例]
図9は、本発明の第4の実施の形態に係る素子アレイ回路4の構成例を模式的に表した回路図である。
図9に示したように、素子アレイ回路4の構成は、一の変換素子として一の容量素子CPの代わりに一の抵抗素子REを用いるようにしたことを除き、
図6に示した第3の実施の形態の素子アレイ回路3の構成と実質的に同じである。なお、
図9ではm本のロウ線Aが配設された状態を例示しているが、複数のロウ線Aの数は任意に設定可能である。同様に、
図9ではn本のカラム線Bが配設された状態を例示しているが、複数のカラム線Bの数は任意に設定可能である。また、
図9に示した例では、n本のカラム線Bに対してスイッチSW、容量素子CP、およびオペアンプOPの組を1つ設けるようにしているが、n本のカラム線Bに対してスイッチSW、容量素子CP、およびオペアンプOPの組を2以上設けるようにしてもよい。
【0066】
また、本実施の形態の素子アレイ回路4の測定動作についても、上記第3の実施の形態で
図7を参照して説明した手順(ステップS301~S306)に沿って行うことができる。第3の実施の形態と同様に、スイッチSWを導通状態として選択カラム線BSの寄生容量PCの充電を行う時間が、寄生容量PCの容量値と、スイッチSWの抵抗値および選択カラム線BSに対応するスイッチSWBの抵抗値の和との積の5倍より長いとよい。また、ステップS306においては、オペアンプOPの出力端子T3からの出力電圧Voutを測定する。上記第2の実施の形態で説明したように、式(2)に基づき、オペアンプOPの出力端子T3からの出力電圧Voutから選択抵抗素子RSの抵抗値rsを算出することができる。ただし、本実施の形態では、式(2)において、re[Ω]を抵抗素子REの抵抗値と読み替え、rs[Ω]を選択カラム線BSに対応する一の選択抵抗素子RSの抵抗値と読み替え、Vout[V]をオペアンプOPの出力電圧と読み替える。
【0067】
[素子アレイ回路4の作用効果]
本実施の形態の素子アレイ回路4においても、上記第3の実施の形態の素子アレイ回路3と同様の効果が期待できる。すなわち、本実施の形態の素子アレイ回路4では、スイッチSWを設けるようにしたので、選択カラム線BSに寄生する寄生容量の充電を速やかに行うことができる。したがって、選択カラム線BSに接続された選択抵抗素子RSに起因する出力電圧Voutを速やかに定常状態とすることができ、選択抵抗素子RSの抵抗値に関連する出力電圧Voutを迅速かつ正確に測定することができる。
【0068】
さらに、本実施の形態の素子アレイ回路4では、カラム線選択部SBを用いて複数のカラム線Bのそれぞれを選択的に一のオペアンプOPに接続するようにしたので、複数のオペアンプOPを備える上記第の実施の形態の素子アレイ回路2と比較して、よりコンパクト化を図ることができる。
【0069】
<5.第5の実施の形態>
図10は、本発明の素子アレイ回路を備えたセンサデバイス101の構成例を模式的に表した模式図である。
図10に示したように、センサデバイス101は、検出部10と、演算部20と、記憶部30と、出力部40とを備えている。センサデバイス101は、例えば受光する電磁波の強度を検出する電磁波センサである。なお、
図10に示したセンサデバイス101の構成は一例であってこれに限定されるものではない。
【0070】
検出部10は、上記第1~第4の実施の形態で説明した素子アレイ回路1~4のうちの少なくとも1つを有している。検出部10は、例えば赤外線を受光し、受光する赤外線の強度に応じて変化する電圧を出力する赤外線検出部である。但し、検出部10は、赤外線以外の電磁波(例えばテラヘルツ波)を受光し、受光する電磁波の強度に応じて変化する電圧を出力するものであってもよい。
【0071】
演算部20は、検出部10からの出力電圧を受信し、所望のパラメータのデータに変換するなどの演算処理を行う。記憶部30は、演算部20で生成されたデータを格納する。出力部40は、演算部20で生成されたデータを外部機器に電気信号として出力する。
【0072】
本実施の形態のセンサデバイス101によれば、素子アレイ回路1~4のうちの少なくとも1つを有する検出部10を備えているので、受光する電磁波の強度を迅速かつ正確に測定することができる。
【0073】
なお、ここでは検出部10における抵抗素子Rが、赤外線などの電磁波を電気信号に変換する受光素子である場合を例示したが、本実施の形態のセンサデバイス101はその場合に限定されるものではない。
【0074】
例えば検出部10における素子アレイ回路1~4の抵抗素子Rとして、サーミスタ材料や感温性導電インク材料などを用いた感温性抵抗体を採用してもよい。そのような感温性抵抗体は、温度の高低に応じて電気抵抗値が変化するようになっている。その場合、センサデバイス101は、面内における温度分布を検出可能な温度センサとなる。
【0075】
あるいは、検出部10における素子アレイ回路1~4の抵抗素子Rとして、感圧導電インク材料などを用いた感圧素子を採用してもよい。そのような感圧素子は、印加される圧力の強度に応じて電気抵抗値が変化するようになっている。感圧素子を抵抗素子Rとして用いた検出部10を備えるセンサデバイス101は、面内における圧力分布を検出可能な圧力センサとなる。
【0076】
さらには、検出部10における素子アレイ回路1~4の抵抗素子Rとして、歪ゲージを採用してもよい。そのような歪ゲージは、印加される応力の強度に応じて電気抵抗値が変化するようになっている。歪ゲージを抵抗素子Rとして用いた検出部10を備えるセンサデバイス101は、面内における応力分布を検出可能な歪センサとなる。
【0077】
<6.変形例>
以上、いくつかの実施の形態を挙げて本開示を説明したが、本開示はこれらの実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。
【0078】
例えば、上記第1~4の実施の形態の素子アレイ回路1~4を記載した図面では、複数のロウ線の延在方向が互いに平行である場合を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数のロウ線が互いに非平行であってもよい。また、複数のロウ線は、一直線状に延在する場合に限定されるものではなく、全体的に曲線状に延在するものであってもよいし、一部に曲線部分や屈曲部分を含む形状であってもよい。同様に、素子アレイ回路1~4を記載した図面では、複数のカラム線の延在方向が互いに平行である場合を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数のカラム線が互いに非平行であってもよい。また、本発明は複数のロウ線と複数のカラム線とが互いに直交する方向に延在する場合に限定されるものではない。さらに、複数のカラム線は、一直線状に延在する場合に限定されるものではなく、全体的に曲線状に延在するものであってもよいし、一部に曲線部分や屈曲部分を含む形状であってもよい。
【0079】
また、上記第1~4の実施の形態の素子アレイ回路1~4は、複数のロウ線および複数のカラム線を有するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば
図11に示した素子アレイ回路3Aは、一のロウ線Aのみを備えるようにしたものである。素子アレイ回路3Aの構成は、複数のロウ線A1~Amの代わりに一のロウ線Aのみを有すると共にロウ線選択部SAを有しないことを除き、素子アレイ回路3(
図8)の構成と実質的に同じである。また、
図12に示した素子アレイ回路1Aは、一のカラム線Bのみを備えるようにしたものである。素子アレイ回路1Aの構成は、複数のカラムB1~Bnの代わりに一のカラム線Bのみを有することを除き、素子アレイ回路1の構成と実質的に同じである。
【0080】
また、上記第1~4の実施の形態の素子アレイ回路1~4は、複数のインピーダンス素子として複数の抵抗素子Rを有するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば
図13に示した素子アレイ回路1Bは、複数の半導体素子SCを有する。素子アレイ回路1Bの構成は、複数の抵抗素子Rの代わりに複数の半導体素子SCを有することを除き、素子アレイ回路1の構成と実質的に同じである。半導体素子SCは、例えば、電気特性が温度によって変化するものであり、例えばダイオードである。例えば、第1の実施の形態で抵抗素子Rの例として挙げたサーミスタ膜にかえて、温度によってインピーダンス値が変化するダイオードを用い、ダイオードにおける温度をダイオードのインピーダンス値に起因する出力電圧として検出するようにして、赤外線などの電磁波の強度を検出する電磁波センサや、面内における温度分布を検出可能な温度センサに適用してもよい。
【0081】
また、上記第1~4の実施の形態の素子アレイ回路1~4は、1以上の変換素子として1以上の容量素子CPまたは1以上の抵抗素子REを有するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば1以上の半導体素子を採用してもよい。例えば
図14に示した素子アレイ回路1Cのように、複数の変換素子として複数のダイオードDを有するようにしてもよい。
図14に示す例では、抵抗素子R(1,1)~R(1,n)のそれぞれの抵抗値に依存した電流が、抵抗素子R(1,1)~R(1,n)のそれぞれに流れ、カラム線B1~Bnのそれぞれを流れて、ダイオードD1~Dnのそれぞれに流れる。カラム線B1~Bnのそれぞれを流れる電流は、ダイオードD1~Dnのそれぞれにより、ダイオードD1~Dnのそれぞれの電流電圧特性に応じて電圧に変換され、抵抗素子R(1,1)~R(1,n)のそれぞれに対応するオペアンプOP1~OPnの出力端子T3からの出力電圧Voutとして出力される。
【0082】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0083】
1…素子アレイ回路、A(A1~Am)…ロウ線、B(B1~Bn)…カラム線、CTRL…制御部、CP(CP1~CPn)…容量素子、OP(OP1~OPn)…オペアンプ、PS1,PS2…直流電源、R(R(1,1)~R(m,n))…抵抗素子、SA…ロウ線選択部、SW(SW1~SWn)…スイッチ。