(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018099
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】歯科チェアユニット設定システム、歯科チェアユニット設定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 40/40 20180101AFI20240201BHJP
A61G 15/02 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
G16H40/40
A61G15/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121194
(22)【出願日】2022-07-29
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】502080704
【氏名又は名称】長田電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 環
【テーマコード(参考)】
4C341
5L099
【Fターム(参考)】
4C341MM11
4C341MN03
4C341MP05
4C341MR03
5L099AA02
(57)【要約】
【課題】歯科チェアユニットを患者のスケジューリングに応じて自動設定する歯科チェアユニット設定システム、歯科チェアユニット設定方法、及びプログラムを提供すること。
【解決手段】本発明の一態様の歯科チェアユニット設定システムは、1個以上の歯科チェアユニットと、前記歯科チェアユニットの設定を行うユニット設定装置と、予約を管理するアポイント管理装置と、を含む歯科チェアユニット設定システムであって、前記アポイント管理装置が、少なくとも歯科チェアユニット情報、予約日時情報、患者情報、診療内容情報、及び、医師情報を含む予約情報を管理し、前記ユニット設定装置が、前記患者情報、前記診療内容情報、及び前記医師情報の少なくとも1つに対応して予め記憶されている記憶設定値と、前記予約情報とに基づき、前記予約に対応する診療設定値を設定し、前記歯科チェアユニットが、前記ユニット設定装置により設定された前記診療設定値に基づき制御されることを特徴とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1個以上の歯科チェアユニットと、前記歯科チェアユニットの設定を行うユニット設定装置と、予約を管理するアポイント管理装置と、を含む歯科チェアユニット設定システムであって、
前記アポイント管理装置が、少なくとも歯科チェアユニット情報、予約日時情報、患者情報、診療内容情報、及び、医師情報を含む予約情報を管理し、
前記ユニット設定装置が、前記患者情報、前記診療内容情報、及び前記医師情報の少なくとも1つに対応して予め記憶されている記憶設定値と、前記予約情報とに基づき、前記予約に対応する診療設定値を設定し、
前記歯科チェアユニットが、前記ユニット設定装置により設定された前記診療設定値に基づき制御されることを特徴とする歯科チェアユニット設定システム。
【請求項2】
前記ユニット設定装置が記憶している前記記憶設定値として、前記医師情報及び/又は前記診療内容情報に対応する前記歯科チェアユニットの医師設定値を含み、
前記ユニット設定装置が、前記医師設定値を前記予約情報に基づき修正し、前記予約に対応する前記歯科チェアユニットの前記診療設定値を設定することを特徴とする請求項1に記載の歯科チェアユニット設定システム。
【請求項3】
前記ユニット設定装置が記憶している前記記憶設定値として、過去の診療時の前記歯科チェアユニットの前記診療設定値が、前記患者情報、前記診療内容情前、及び前記医師情報と共に記憶されている設定値履歴情報を含み、
前記ユニット設定装置が、前記設定値履歴情報及び前記予約情報に基づき、前記診療設定値を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の歯科チェアユニット設定システム。
【請求項4】
1個以上の歯科チェアユニットと、前記歯科チェアユニットの設定を行うユニット設定装置と、予約を管理するアポイント管理装置と、を含む歯科チェアユニット設定システムによる歯科チェアユニット設定方法であって、
前記アポイント管理装置が、少なくとも歯科チェアユニット情報、予約日時情報、患者情報、診療内容情報、及び、医師情報を含む予約情報を管理するステップと、
前記ユニット設定装置が、前記患者情報、前記診療内容情報、及び前記医師情報の少なくとも1つに対応して予め記憶されている記憶設定値と、前記予約情報とに基づき、前記予約に対応する診療設定値を設定するステップと、
前記歯科チェアユニットが、前記ユニット設定装置により設定された前記診療設定値に基づき制御されるステップと、
を備えることを特徴とする歯科チェアユニット設定方法。
【請求項5】
請求項4に記載の歯科チェアユニット設定方法の各ステップをコンピュータにより実行することを特徴とする歯科チェアユニット設定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科チェアユニット設定システム、歯科チェアユニット設定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科診療に使用される歯科チェアユニットにおいては、チェアの角度、高さ、チルト等が調整できるようになっており、診療前には歯科チェアユニットの調整が行われている。
【0003】
従来、歯科チェアユニットの調整をし易くするために、設定ボタンの操作性に関する提案がされている。例えば、特許文献1には、歯科チェアユニットの初期操作値を記憶保存するイニシャルメモリ機能と、初期操作値に復帰させるイニシャルリセット機能と、歯科用チェアユニットのメインスイッチ投入時に、最初に操作パネルの表示板に表示される操作項目を任意に選定できる機能、及び、前記メインメニューの表示順の順列を選択設定できる機能等を既存の決定ボタンに追加した歯科チェアユニットの技術が開示されている。
【0004】
また、近年医療分野においても、IoTの進展により医療機器の設定の自動化が進められてきている。例えば、引用文献2には、患者医療記録のリポジトリと、特定の患者に対する医療処置のスケジューリングに使用されるスケジューリングシステムと、が含まれている医療装置管理システムが開示されている。このシステムにはさらに、医療装置と双方向に通信するコンフィギュレーションマネージャが含まれており、このコンフィギュレーションマネージャは、医療処置を受ける特定の患者のスケジューリングに応じて、上記のリポジトリから得られるこの特定の患者の医療記録情報を使用して、上記の医療処置に使用されるこの医療装置の事前コンフィギュレーションを自動的に開始する。例えば、CTスキャナを、特定の患者、例えば成人の頭部スキャンのような検査用にコンフィギュレーションする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-346260号公報
【特許文献2】特表2008-529161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1によれば、設定ボタンの操作性が向上することにより、歯科チェアユニットの設定がし易くなるが、歯科チェアユニットの設定は都度、人手で行う必要があるため、依然として手間がかかっている。
【0007】
特許文献2によれば、医療処置を受ける特定の患者のスケジューリングに応じて、CTスキャナを、特定の患者、例えば成人の頭部スキャンのような検査用にコンフィギュレーションすることができる。しかしながら、歯科チェアユニットの場合には、検査部位の情報だけでは設定できないため、特許文献2の医療装置管理システムによって歯科チェアユニットを自動設定することはできない。
【0008】
本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するためのものであって、本発明の目的は、歯科チェアユニットを患者のスケジューリングに応じて自動設定する歯科チェアユニット設定システム、歯科チェアユニット設定方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成できる。すなわち、本発明の第1の態様の歯科チェアユニット設定システムは、1個以上の歯科チェアユニットと、前記歯科チェアユニットの設定を行うユニット設定装置と、予約を管理するアポイント管理装置と、を含む歯科チェアユニット設定システムであって、前記アポイント管理装置が、少なくとも歯科チェアユニット情報、予約日時情報、患者情報、診療内容情報、及び、医師情報を含む予約情報を管理し、前記ユニット設定装置が、前記患者情報、前記診療内容情報、及び前記医師情報の少なくとも1つに対応して予め記憶されている記憶設定値と、前記予約情報とに基づき、前記予約に対応する診療設定値を設定し、前記歯科チェアユニットが、前記ユニット設定装置により設定された前記診療設定値に基づき制御されることを特徴とする。
【0010】
本発明の第2の態様の歯科チェアユニット設定システムは、第1の態様の歯科チェアユニット設定システムにおいて、前記ユニット設定装置が記憶している前記記憶設定値として、前記医師情報及び/又は前記診療内容情報に対応する前記歯科チェアユニットの医師設定値を含み、前記ユニット設定装置が、前記医師設定値を前記予約情報に基づき修正し、前記予約に対応する前記歯科チェアユニットの前記診療設定値を設定することを特徴とする。
【0011】
本発明の第3の態様の歯科チェアユニット設定システムは、第1又は第2の態様の歯科チェアユニット設定システムにおいて、前記ユニット設定装置が記憶している前記記憶設定値として、過去の診療時の前記歯科チェアユニットの前記患者情報、前記診療内容情報、及び前記医師情報と共に記憶されている設定値履歴情報を含み、前記ユニット設定装置が、前記設定値履歴情報及び前記予約情報に基づき、前記診療設定値を設定することを特徴とする。
【0012】
本発明の第4の態様の歯科チェアユニット設定方法は、1個以上の歯科チェアユニットと、前記歯科チェアユニットの設定を行うユニット設定装置と、予約を管理するアポイント管理装置と、を含む歯科チェアユニット設定システムによる歯科チェアユニット設定方法であって、前記アポイント管理装置が、少なくとも歯科チェアユニット情報、予約日時情報、患者情報、診療内容情報、及び、医師情報を含む予約情報を管理するステップと、前記ユニット設定装置が、前記患者情報、前記診療内容情報、及び前記医師情報の少なくとも1つに対応して予め記憶されている記憶設定値と、前記予約情報とに基づき、前記予約に対応する診療設定値を設定するステップと、前記歯科チェアユニットが、前記ユニット設定装置により設定された前記診療設定値に基づき制御されるステップと、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の第5の態様の歯科チェアユニット設定プログラムは、第4の態様の歯科チェアユニット設定方法の各ステップをコンピュータにより実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の態様の歯科チェアユニット設定システムによれば、ユニット設定装置が、患者情報、診療内容情報、及び医師情報の少なくとも1つに対応して予め記憶されている記憶設定値と、予約情報とに基づき、予約に対応する診療設定値を設定するので、歯科チェアユニットを患者のスケジューリングに応じて自動設定することができる。
【0015】
本発明の第2の態様の歯科チェアユニット設定システムによれば、ユニット設定装置が記憶している記憶設定値として、医師情報及び/又は診療内容情報に対応する歯科チェアユニットの医師設定値を含んでいるため、医師情報及び/又は診療内容情報を反映した歯科チェアユニットの設定が可能である。しかも、ユニット設定装置が、医師設定値を予約情報に基づき修正し、予約に対応する歯科チェアユニットの診療設定値を設定し、歯科チェアユニットが診療設定値に基づき制御されるため、医師情報及び/又は診療情報を反映した上で、さらに予約情報を反映した歯科チェアユニットの自動設定が可能である。
【0016】
本発明の第3の態様の歯科チェアユニット設定システムによれば、ユニット設定装置が記憶している憶設定値として、過去の診療時の歯科チェアユニットの診療設定値が、患者情報、診療内容情報、及び医師情報と共に記憶されている設定値履歴情報を含むため、患者情報、診療内容情報、及び医師情報と紐づけられた歯科チェアユニットの診療設定値を設定値履歴情報として記憶しておくことができる。また、ユニット設定装置が、設定値履歴情報及び予約情報に基づき、診療設定値を設定することにより、過去の診療時に利用された歯科チェアユニットの設定を再現することができる。
【0017】
本発明の第4の態様の歯科チェアユニット設定方法によれば、第1の態様の歯科チェアユニット設定システムと同様に、ユニット設定装置が、患者情報、診療内容情報、及び医師情報の少なくとも1つに対応して予め記憶されている記憶設定値と、予約情報とに基づき、予約に対応する診療設定値を設定するので、歯科チェアユニットを患者のスケジューリングに応じて自動設定することができる。
【0018】
本発明の第5の態様の歯科チェアユニット設定プログラムによれば、第4の態様の歯科チェアユニット設定方法と同様の効果を奏する歯科チェアユニット設定プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】歯科チェアユニット設定システムのブロック図である。
【
図2】アポイント管理装置で管理される予約情報の表示例である。
【
図3】歯科チェアユニットの記憶設定値の具体例である。
【
図4A】歯科チェアユニットの診療設定値の具体例である。
【
図4B】歯科チェアユニットの角度の定義の説明図である。
【
図5】ユニット設定装置による歯科チェアユニットの設定制御のフローチャートである。
【
図6】実施形態2に係るユニット設定装置による歯科チェアユニットの設定制御のフローチャートである。
【
図7】実施形態3に係るユニット設定装置による歯科チェアユニットの設定制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る歯科チェアユニット設定システム、歯科チェアユニット設定方法、及びプログラムを説明する。但し、以下に示す実施形態は本発明の技術思想を具体化するための歯科チェアユニット設定システム、歯科チェアユニット設定方法、及びプログラムを例示するものであって、本発明をこれらに特定するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。
【0021】
[実施形態1]
本発明の実施形態1に係る歯科チェアユニット設定システム、歯科チェアユニット設定方法、及びプログラムについて、
図1乃至
図6を参照して説明する。
【0022】
[歯科チェアユニット設定システムの全体構成]
図1は、歯科チェアユニット設定システムのブロック図である。通信ネットワーク30を介して、ユニット設定装置10、アポイント管理装置11、管理サーバ12、レセプト装置13、自動受付装置14、患者用説明ソフト15、メンテナンス情報モニタリング装置16、マニュアル表示アプリ17、管理端末18、画像記録装置19、1個以上の歯科チェアユニット20、1個以上の操作端末21、及び診断装置22等が相互に通信可能に接続されている。
【0023】
図2は、アポイント管理装置11で管理される予約情報の表示例である。アポイント管理装置11は、歯科チェアユニット20毎の予約の管理を行う。アポイント管理装置11は、予約されている患者情報を歯科チェアユニット20毎に、予約時間、診療内容情報及び医師情報と共に、操作端末21等のユーザインタフェイスに表示可能することができる。
図2のような表示によって、医師、医療スタッフを含むユーザが予約情報を共有することにより、効率の良い診療が可能になる。なお、以下ユーザの代わりに、単に「医師」と表現することもある。
【0024】
アポイント管理装置11には、患者毎に診療内容情報、医師情報、患者情報を簡単に登録し、その内容を確認することができる。ここで、患者情報には、患者を特定する情報(氏名、年齢、性別、生年月日、住所等)、及び、患者の体形に関する情報(身長、体重、胸囲、腹囲、脊柱変形等の情報、ここで、胸囲と腹囲については、服装も考慮して体の厚みを表現する数値としてもよい。)に加え、さらに、患者の特徴(子連れ、予約忘れが多い等)を含めることがきる。これにより、各患者に対して適切な診療と準備ができる。
【0025】
例えば、高齢の方で、脊柱変形が認められ、腰痛及び膝痛を持つ患者に対して、膝部や腰部のチェアの角度を無理のないように制限を加えることができる。また、例えば身長の低い患者、あるいは、小児診療に際しては、チェア高さを高めに設定し、背もたれの傾斜角度やフットレスト角度に制限を加えたりすることができる。また、診療とは直接の関係は無いが、アポイント管理装置11により患者の特徴として、子連れの患者であることが分かった場合には、予め幼児用遊具スペースを空けておく等の対応が可能となるため、予約時間どおりにスムースな診療を行うことができる。
【0026】
管理サーバ12は、歯科チェアユニット設定システムを管理用のサーバであり、歯科チェアユニット設定システムの監視、他のソフトとの情報連携等を行う。
【0027】
ユニット設定装置10、アポイント管理装置11、及び管理サーバ12は、クラウド上に配置されており、歯科チェアユニット20及び操作端末21等の各機器は、例えばWi-Fi、Bluetooth等の無線通信装置等の適宜の通信手段により、クラウド上のユニット設定装置10、アポイント管理装置11、及び管理サーバ12と通信を行う。
【0028】
ユニット設定装置10、アポイント管理装置11、及び管理サーバ12は、クラウド上に配置されているため、通信ネットワーク30による通信を確立できる限りにおいて、例えば、Wi-Fi等の無線通信環境が整っていれば、どのような環境においても、歯科チェアユニット20及び操作端末21等の各機器は、ユニット設定装置10、アポイント管理装置11、及び管理サーバ12を利用することができるため、クリニックの地理的な制約、クリニック内のレイアウト等の物理的な制約を受けることなく、クリニックに設けられた歯科チェアユニット20の自動設定が可能となる。なお、
図1では、ユニット設定装置10、アポイント管理装置11、及び管理サーバ12は、クラウド上に配置されている場合を例示したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、特定されたサーバとして設けることも可能である。そして、通信ネットワークにおける通信は、無線通信だけに限定されるものではなく、例えば有線LAN接続等の有線通信とすることも可能である。
【0029】
また、アポイント管理装置11の予約情報には、少なくとも歯科チェアユニット情報、予約時間情報、患者情報、診療内容情報、及び、医師情報を含まれており、このアポイント管理装置11の予約情報に応じて、ユニット設定装置10によって、各歯科チェアユニット20の設定を行うことにより、特定の患者の特定の診療に合わせた歯科チェアユニット20の自動設定が可能となる。
【0030】
ユニット設定装置10は、予め設定されている医師情報及び診療内容情報に対応する歯科チェアユニット20の記憶設定値と、予約情報とに基づき、予約に対応する歯科チェアユニット20の診療設定値を設定し、歯科チェアユニット20が、ユニット設定装置10により設定された診療設定値に基づき制御される。記憶設定値には、医師及び診療内容ごとに設定された医師設定値が含まれる。医師設定値は、医師の診療毎の設定の好みに応じて設定される。診療設定値は、医師設定値を予約情報に基づいて修正したものであり、例えば患者の身長、体形等の患者情報を考慮して医師設定値を修正することにより、特定の患者に合わせて、診療設定値をカスタマイズする。
【0031】
歯科チェアユニット20には、操作端末21が設置されており、ユーザは操作端末21のユーザインタフェイスに表示される予約情報を確認しながら、診療準備及び診療を進めることができる。操作端末21には、アポイント管理装置11と連携して作動するアポイントソフトが組み込まれており、操作端末21からの入力により、予約情報の確認、追加、修正等を行うことができる。
【0032】
レセプト装置13は、レセプト(診療報酬請求明細書)を管理する装置であり、アポイント管理装置11と患者情報を連携することができる。アポイント管理装置11の予約情報により、予約した患者の診療内容情報を把握しているため、レセプト装置13によって適切にレセプトを作成することができる。
【0033】
自動受付装置14は、RFタグ、ICタグ、磁気テープ、バーコード、QRコード等を有する診察券を、受付に設置した読み取り機によって、スキャンすること、タッチすること、かざすこと、画像認識すること等により、患者が来院したことを認識する装置である。自動受付装置14は、アポイント管理装置11と情報連動しており、自動受付装置14がアポイント管理装置11の予約情報を把握した上で、患者の来院を確認し、アポイント管理装置11の予約情報に対して来院情報を付加する等の処理を行う。
【0034】
患者用説明ソフト15は、操作端末21から入力された診療内容表示指令に応じて、操作端末21のユーザインタフェイスに診療内容に応じた診療説明情報を表示するソフトである。患者用説明ソフト15は、アポイント管理装置11の予約情報と連動しているので、操作端末21から診療内容表示指令が入力されると、予約情報中の診療内容情報を参酌して、診療内容に対応する診療説明情報を患者に対して表示することができる。操作端末21のユーザインタフェイスとしては、複数の表示装置を設けることが可能であり、医師用の表示装置と、患者への診療説明情報表の表示装置とを分けることができる。
【0035】
メンテナンス情報モニタリング装置16は、歯科チェアユニット20のメンテナンス情報を収集・管理するための装置である。メンテナンス情報には、例えば歯科チェアユニット20のメンテナンス記録情報、異常や不良に関する情報、修理や部品交換の情報等が含まれる。メンテナンス情報は、歯科チェアユニット20のメンテナンス時に利用される他にも、故障・異常診断や、メンテナンス時期の検討等にも利用される。
【0036】
マニュアル表示アプリ17は、歯科チェアユニット20のマニュアルをユーザに提供するためのアプリケーションソフトウェアである。マニュアル表示アプリ17はアポイント管理装置11と情報連動しており、アポイント管理装置11の予約情報に対応して、医師毎及び診療内容毎に必要となる歯科チェアユニット20の操作マニュアルを、表示可能である。
【0037】
管理端末18は、歯科チェアユニット20が設定されているクリニックの事務室などに設置され、予約情報を確認、追加、修正することができる端末である。ユーザインタフェイスを介して、操作端末21と同様の操作が可能となっている。
【0038】
画像記録装置19は、診療内容を動画として記録しておく装置であり、アポイント管理装置11及び自動受付装置14と情報連動している。画像記録装置19は、アポイント管理装置11の予約情報と、自動受付装置14の患者来院情報とに基づき、画像記録の開始と終了を自動的に制御する。
【0039】
診断装置22は、X線診断装置等の画像診断装置であり、特定の患者のX線画像を取得して記憶した上で、X線画像を管理する画像管理システムを含んでいる。アポイント管理装置11と情報連動しており、特定の患者の患者情報とX線画像とがリンクするように、画像管理を行っている。アポイント管理装置11の予約情報に対応して、特定の患者のX線画像のデータが呼び出され、診療時に操作端末21のユーザインタフェイスに自動表示される。
【0040】
各装置が通信ネットワーク30を介して情報連動し、アポイント管理装置11の予約情報が各装置で共有されることにより、各操作端末21及び管理端末18にてユーザが予約情報が確認でき、ユニット設定装置10によって予約情報に応じて設定された設定値に基づき、歯科チェアユニット20のチェアの姿勢等が制御される。自動受付装置14は、予約情報に対応した患者が来院したことを認識して、予約情報に対して来院記録を付加し、特定の予約患者が来院したことを通知することができる。また、患者用説明ソフト15は、操作端末21から入力された診療内容表示指令が入力されると、予約情報に応じて、操作端末21のユーザインタフェイスに診療内容に応じた診療説明情報を表示する。また、マニュアル表示アプリ17はアポイント管理装置11と情報連動しており、アポイント管理装置11の予約情報に対応して、医師毎及び診療内容毎に必要となる歯科チェアユニット20の操作マニュアルを、表示可能である。また、画像記録装置19は、アポイント管理装置11の予約情報と、自動受付装置14の患者来院情報とに基づき、画像記録の開始と終了を自動的に制御する。診断装置22は、アポイント管理装置11の予約情報に対応して、特定の患者のX線画像のデータが呼び出され、診療時に操作端末21のユーザインタフェイスに自動表示される。
【0041】
また、アポイント管理装置11の予約情報により、予約した患者の診療内容情報を把握しているため、レセプト装置13によって適切にレセプトを作成することができる。管理サーバ12においても、アポイント管理装置11と情報連動しており、予約情報を参酌することにより、歯科チェアユニット設定システムの監視、及び他のソフトとの情報連携等を行うことができる。また、メンテナンス情報モニタリング装置16をアポイント管理装置11と情報連動させることにより、予約情報と対応して、歯科チェアユニット20のメンテナンス情報を収集・管理することができる。これにより、予約情報と対応して、故障・異常診断や、メンテナンス時期の検討等を行うことができる。例えば、故障・異常診断の結果、特定の機能に異常が認められた歯科チェアユニット20では、その異常とされた特定の機能を利用しない診療に限り、予約を入れることができる。また、例えば、特定の歯科チェアユニット20のメンテナンスは、予約に空きがある時期に行うようにすることもできる。
【0042】
また、通信ネットワーク30には、電子カルテ装置(図示省略)を接続することが可能である。電子カルテ装置を、アポイント管理装置11と情報連動することにより、予約情報に対して、過去の診療内容の確認、今回の診療予定、及び、今回の診療後の診療内容を対応づけることが可能となる。なお、後述の実施形態3として説明する過去の診療履歴に基づく歯科チェアユニット20の設定時には、予約情報と、過去の診療内容及び過去の歯科チェアユニット20の設定値とが対応付けられる。さらに、電子カルテ装置を、レセプト装置13との間で情報連携することにより、診療内容とレセプトとの対応がとれるため、電子カルテの管理により得られた情報を、レセプトの管理に活用することが可能となる。
【0043】
[予約情報について]
図2は、アポイント管理装置11で管理される予約情報の表示例である。予約情報は、歯科チェアユニット20(ユニット1~ユニットN)及び予約日時毎に、患者情報、診療内容情報、及び医師情報を含んでいる。
図2では、例えばユニット1について、○年○月○日の9:00~9:30に、患者情報として「患者a」、診療内容情報として「診療α」、及び医師情報として「医師A」についての診療が予約されている。また、例えばユニット2について、○年○月○日の12:00~13:00に、患者情報として「患者m」、診療内容情報として「診療ν」、及び医師情報として「医師B」についての診療が予約されている。
【0044】
アポイント管理装置11への予約情報の入力は、クリニックに設けられた管理端末18、自動受付装置14、操作端末21等から行うことが可能であるのに加え、図示省略されている患者の携帯端末、例えば、アポイントソフトのアプリを有するスマートフォン、携帯電話、タブレット端末、PC(パーソナルコンピュータ)等から、通信ネットワークを介して、行うことが可能である。アポイントソフトは、アポイント管理装置11の機能を利用するためのソフトウェアであり、アポイント管理装置11への予約情報の入力、修正、追記、予約情報の表示等を行うことができる。
【0045】
患者用のアポイントソフトでは、予約日時に加え、必要に応じて、医師情報としての医師氏名、診療内容情報としての診療部位と診療内容、患者情報としての患者識別コード、患者氏名、生年月日、年齢、性別、身長、座高、体重、胸囲、腹囲、脊柱変形等の情報を入力・修正することができる。
【0046】
さらに、クリニック用のアポイントソフトでは、患者情報、診療内容情報、及び医師情報等を入力、修正、追記することができる。例えば、クリニック用のアポイントソフトでは、アポイント管理装置11へ患者情報として、患者識別コード、患者氏名、生年月日、年齢、性別、身長、座高、体重、胸囲、腹囲、脊柱変形等の情報を入力・修正することができる。患者情報の中には、患者自身が申告したり、患者自身を測定したりする必要がある情報が含まれている。そのため、患者による予約時に入力しきれなかった患者情報については、患者がクリニックに来院した時に記入用紙に記入してもらい、ユーザが管理端末18から入力するか、患者自身にタブレット端末等の操作端末から患者入力してもらい、管理端末18等を介してアポイント管理装置に転送するか、又は、クリニックにて測定した患者の情報を管理端末18から入力するか等の手段によって、患者情報を入力する。
【0047】
また、例えば、クリニック用のアポイントソフトでは、アポイント管理装置11へ診療内容情報として、診療部位(上顎前歯部口蓋側、下側前歯部舌側、右側下顎臼歯部舌側、上顎前歯部唇側等)、及び診療内容(う蝕診療、インプラント、歯周病診療、抜歯、入れ歯、顎関節症、歯列矯正等)等の情報を入力・修正することができる。なお、診療内容情報としては、より詳細な情報として、例えば、シーラント診療、レジン、インレー、クラウン、根管診療、抜歯、ブリッジ、義歯、インプラント等を入力することもできる。
【0048】
また、例えば、クリニック用のアポイントソフトでは、アポイント管理装置11へ医師情報として、医師の識別コード、氏名、身長、体重、座高、医師チェアの高さ、利き手、腕の長さ、指の長さ、胸囲、腹囲、腕の等の情報を入力・修正することができる。
【0049】
[記憶設定値について]
図3は、歯科チェアユニット20の記憶設定値の具体例である。記憶設定値には、医師設定値が含まれる。医師設定値は、医師情報及び/又は診療内容情報と対応した設定値が規定されている。医師設定値に含まれる医師情報及び診療内容情報と対応した設定値は、医師に共通な情報である場合も、診療内容に共通の場合も、医師及び診療内容による場合も想定できる。本実施形態では、特に限定されるものではないが、以下、医師設定値は、医師情報及び診療内容情報と対応した設定値として規定されている例を説明する。
【0050】
図3の「医師」列には、医師情報としての医師氏名及び/又は医師識別番号が規定されている。
図3の「診療」列には、診療内容情報として診療箇所及び/又は診療内容が規定されている。
図3の「カテゴリー」列に設定される歯科チェアユニット20の対応箇所が規定されている。
図3の「パラメータ」列には、歯科チェアユニット20の具体的なパラメータが規定されている。
図3の「値」列には、歯科チェアユニット20の各パラメータに対応する数値データが設定されている。
【0051】
例えば、
図3では、医師A、診療αに対応する椅子(チェア)の「A1での椅子の高さ」、「A1での椅子の角度」、「A1での椅子のチルト」に対応する数値データが規定されている。ここで、「A1」は、洗口位置についての医師設定値である。A1の他には、例えば「A2」は退座位置について医師設定値であり、「M1」はメインの治療の位置として設定した医師設定値であり、「M2」はサブの治療の位置として設定した医師設定値が挙げられる。ただし、これはあくまでも椅子のカテゴリーに関する医師設定値の一例に過ぎず、本実施形態では、椅子のカテゴリーに関する設定項目は、A1、A2、M1、M2の4個に限定されるものではなく、1個でも、2個でも、3個でも、あるいは、5個以上でも構わない。また、
図3は、「A1」に関する設定項目の一例にすぎず、本実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、椅子のヘッドレストの角度、椅子のフットレストの角度等を含めることも可能である。このように
図3は、本実施形態を説明するための一例にすぎず、本実施形態はこれに限定されるものではなく、医師、治療、カテゴリー、パラメータ、及び値の項目は、適宜、追加、削除、変更が可能である。
【0052】
図3の例では、特に限定されるものではないが、最初の数行には、医師の基本情報が規定されている。例えば、基本情報としては、クリニックの属する複数の歯科医師や歯科衛生士の情報が規定されている。より具体的には、基本情報のパラメータとして、「歯科医師名1」、「歯科医師名2」、「歯科衛生士名1」、「歯科衛生士名2」、「歯科助手名1」、「歯科助手名2」等の複数の歯科医師、歯科衛生士、及び歯科助手を登録することができる。
【0053】
図3のパラメータの中には、医師Aに対して、各診療に共通に適用されるものが含まれる。また、
図3のパラメータの中には、各医師に共通であり、かつ、各診療に共通のもの、すなわち、クリニックに共通のパラメータも含まれる。例えば、歯科チェアユニット20の「オートオフ時間」、「鉢洗い吐水時間(コップ吸水時)」及び「噴水吐出水時間(椅子洗口位置移動時)」等は、各医師に共通であり、かつ、各診療に共通であり、すなわち、クリニックに共通のパラメータの例である。
【0054】
記憶設定値は、ユーザが予め設定しておくことができる。記憶設定値としての医師設定値の決定に当たっては、医師情報及び診療内容情報と対応するように歯科チェアユニット20の具体的なパラメータが医師設定値として予め規定される。医師設定値の決定はユーザが行うことができるが、ユニット設定装置10が管理している多数の歯科チェアユニット20の設定データを統計的に処理して、標準的な数値を初期値として予め登録しておくことが可能である。
【0055】
この医師設定値に設定に当たっては、医師情報としての医師の体形情報、及び、診療情報としての診療部位及び診療内容が考慮されるが、この中で特に、医師の座高や、医師の好みのドクターチェアの高さの影響が大きい。また、例えば、診療内容については、歯石の除去と、う蝕診療とでは、歯科チェアユニット20の設定は異なる。さらには、診療部位によっても、歯科チェアユニット20の設定は異なる。
【0056】
また、医師情報と診療内容情報から演算によって各パラメータを設定することも可能である。例えば、医師情報としての医師身長lt[cm]、医師座高ls[cm]、ドクターチェアの高さ設定lc[cm]、診療部位が「上顎前歯部口蓋側」、診療内容が「う蝕診療」の場合の医師設定値としてのチェア高さh[cm]は下記(1)式で計算可能である。
なお、a1、a2は身体的特徴に関する定数、b1はチェアの構造的特徴に関する定数である。
【0057】
[診療設定値について]
図4Aは、歯科チェアユニット20の診療設定値の具体例であり、
図4Bは、歯科チェアユニットの角度の定義の説明図である。
図4Aにおいて、「設定番号」は各設定に付された識別番号であり、「診療部位」は治療内容情報としての、対象となる予約患者の診療部位の情報であり、「医師身長」は医師情報としての医師の身長であり、「患者身長」は患者情報としての患者の身長であり、「チェア高さh」はチェアの高さhであり、「ヘッドレスト角度θh」はチェアの背もたれとヘッドレストとの角度θhであり、「背もたれ角度θb」はチェアの座面と背もたれとの角度θbであり、「チルトθt」はチルト、すなわちチェアの座面の傾き角度θtであり、「フットレストθt」はチェアの座面とフットレストとの角度θtである。
【0058】
例えば、
図4Aの設定1では、身長170cmの医師Aが、身長170cmの患者aの上顎前歯部口蓋側の診療αを行った場合を説明する。この場合、診療内容情報としての「診療部位」、及び医師情報としての「医師身長」は、
図3の医師設定値として決定されたパラメータに対応するものであり、診療設定値は、この医師設定値と、予約情報、例えば患者情報としての「患者身長」とに応じて設定される。これにより、医師の好みに応じて設定された医師設定値は、予約情報の中の医師情報及び診療内容情報以外の情報、すなわち、歯科チェアユニット情報、予約日時情報、及び患者情報等の情報(以下「医師設定値修正情報」という。)に応じて修正されることにより、診療設定値が設定される。
【0059】
歯科チェアユニット情報には、歯科チェアユニット20の識別情報、及び歯科チェアユニット20の仕様情報等が含まれており、クリニック内の複数の歯科チェアユニット20の中からを予約に対応する歯科チェアユニット20が選択され、この選択された歯科チェアユニット20の仕様に応じて、診療設定値が設定される。
【0060】
また、予約日時情報には、予約日、予約時間が設定されているので、季節や時間帯に関する情報も含まれている。暑い季節か、寒い季節によって、あるいは、時間帯によっても、患者の服装には変化がある。診療設定値は、患者の服装の状態も考慮して決定される。すなわち、患者の体形だけでなく、患者の服装が、厚着であるか、薄着であるかによっても、診療設定値は異なる。
【0061】
また、患者情報には、患者を特定する情報(氏名、年齢、性別、生年月日、住所等)、及び、患者の体形に関する情報(身長、体重、胸囲、腹囲、脊柱変形等の情報)が含まれるところ、診療設定値の設定に当たっては、例えば患者の年齢、身長、体重、胸囲、腹囲、及び脊柱変形等の患者の身体的な特徴等の情報が考慮される。例えば、年齢が高く、脊柱変形の程度が大きい患者に対しては、チェアの背もたれの角度を、フラットにし過ぎないように調整する。体系が小柄で、 せ型の大径の患者に対しては、チェアの高さを高目に設定する。また、上述のとおり、患者の服装によっても、診療設定値を調整する必要があるため、患者情報における体系に関する情報を、さらに予約日時情報としての予約日情報、すなわち季節情報に応じて調整することもできる。あるいは、患者情報としての体系に関する情報と、予約日時情報としての季節情報とを両方用いて、診療設定値の設定に際して、患者の体形と服装との両方を加味することもできる。
【0062】
図4Aには、医師設定値に対して医師設定値修正情報により修正された後の診療設定値が示されている。医師設定値修正情報の一例を
図4Aの「設定1」を例に挙げて説明する。医師設定値が、
図4Aの設定1のように、診療部位が「上顎前歯部口蓋側」、医師身長が「170cm」、患者身長が「170cm」、チェア高さhが「635mm」であると仮定する。患者情報としての患者身長が「170cm」のときには、診療設定値のチェア高さも医師設定値と同じ「635mm」となる。
【0063】
これに対して、もしも患者情報としての患者身長が「160cm」の場合には、医師設定値を修正して診療設定値として設定する必要がある。設定1と同じ医師情報、設定1と同じ診療部位情報であり、患者情報としての患者身長が設定1の「170cm」よりも低い、「160cm」の場合には、例えばチェア高さhを設定1よりも「32mm」高くする必要があるので、診療設定値のチェア高さhを「667mm」に設定する。
【0064】
同様にして、患者情報としての患者身長が設定1の「170cm」よりも低い、「160cm」の場合には、設定1の各パラメータであるヘッドレスト角度θh、背もたれ角度θb、チルトθt、及びフットレスト角度θfに対する修正値が決定され、医師設定値に対して修正角度分だけ修正されて、診療設定値が設定される。
【0065】
図4Cは、修正値テーブルの説明図である。設定1は、医師身長170cm、患者身長170cmに対応する医師設定値であるので、例えば、患者情報としての患者身長が170cmと異なる場合には、医師設定値を修正する必要がある。
図4Cには、設定1に対する医師設定値の修正値として、チェア高さ修正値Δh、ヘッドレスト角度修正値Δθh、背もたれ角度修正値Δθb、チルト修正値Δθt、及びフットレスト角度修正値Δθfが、患者身長毎に設定されている。このように患者情報としての患者身長の設定1との差分について、各パラメータの修正値を修正値テーブルとして準備しておくことで、患者情報に応じた医師設定値に対する修正値テーブルより求めることにより、診療設定値を設定することができる。
【0066】
また、修正値は、例えば上述の(1)式の演算から求めることも可能である。例えば、「設定1」が、診療部位が「上顎前歯部口蓋側」、診療内容が「う蝕診療」の場合であり、仮にa1=50cm、a2=80cm、b1=41cm、医師身長lt=170cm、医師座高ls=92cm、ドクターチェア高さlc=40cm、とすると、患者身長が170cmであるときには、h=635mmとなる。患者身長が160cmのときには、Δh=32mmとなり、h=667mmとなる。
【0067】
図4Aには、医師情報として医師身長、診療内容情報として診療部位、及び、患者情報として患者身長のみが示されているが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、医師情報、診療内容情報、及び、その他の予約情報、すなわち、医師設定値修正情報として、他のパラメータを含めることができる。すなわち、
図4Aに、診療情報としての診療内容情報、医師情報としての医師身長、医師座高等の医師の体系情報、ドクターチェア高さ等、患者情報としての患者の年齢、身長、体重、胸囲、腹囲、及び脊柱変形等の患者の身体的な特徴等の情報、予約日時情報としての予約日、予約時間、季節、時間帯に関する情報、歯科チェアユニット情報としての歯科チェアユニット20の識別情報、及び歯科チェアユニット20の仕様情報等の情報等が含めることができる。
【0068】
また、
図4Aでは、歯科チェアユニット20の設定パラメータとして、チェアの高さh、ヘッドレスト角度θh、背もたれ角度θb、チルトθt、及びフットレストθtを例示したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、歯科チェアユニット20において制御可能なパラメータを追加することも、あるいは、省くことも可能である。例えば、歯科チェアユニット20の設定パラメータとして、背もたれ角度θb及びチルトθtだけを自動設定することも可能であり、ヘッドレストの制御が可能な場合には背もたれ角度θb、チルトθt及びヘッドレスト角度θhを含めることも可能であるし、
図4Aの場合のフットレスト角度の制御が可能な場合には、さらにフットレストθtを設定パラメータとして含めることが可能であり、この他にも
図3にて医師設定値として説明した各種パラメータも、
図4Aの設定パラメータとして含めることが可能である。
図3のパラメータの中には、患者情報に依存しないパラメータも含まれているので、例えば、医師A、診療αの場合のモータの「ライトの設定」、「スプレーの設定」及び「動作モードの設定」等は、必ずしも患者情報には依存しないため、全ての患者に対して共通に設定可能、すなわち、医師設定値をそのまま診療設定値として使用することができる。もちろん、
図4Aと同様に、
図3の医師設定値としてのパラメータを修正値により修正して、診療設定値として採用することも可能である。
【0069】
ここでは、
図3にて第1パラメータを設定し、
図4Aにて第1パラメータを修正値により修正して第2パラメータを設定する例を説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、医師情報、診療内容情報に、さらに先の医師設定値修正情報に相当する患者情報、予約日時情報、及び歯科チェアユニット情報を組合わせて、直接、歯科チェアユニット20の設定パラメータである診療設定値からなる診療設定値テーブルを予め設定しておくことも可能である。診療設定値テーブルから直接第2パラメータを求める場合には、
図4Aにより説明したような修正値テーブルを用いる必要がない。ただし、この場合には、パラメータ数が多くなり、診療設定値テーブルのサイズが患者情報の数に応じて大きくなるため、設定するパラメータ数が少なく、第2設定テーブルの事前設定が実施できる範囲であれば有効である。
【0070】
また、ユニット設定装置10は、患者情報、診療内容情報、及び医師情報の少なくとも1つに対応して予め記憶されている記憶設定値と、予約情報とに基づき、予約に対応する診療設定値を設定し、歯科チェアユニットはユニット設定装置10により設定された診療設定値に基づき制御される。ここでは、上述のように医師設定値を用いる例を説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、ユニット設定装置10が、患者情報、診療内容情報、及び医師情報の単独又は任意の組み合わせと対応する設定値を記憶設定値として記憶するものを含む。例えば患者情報の中の患者身長及び患者腹囲と対応する設定値を用いること、また例えば診療内容情報としての治療部位および治療内容(例えば上顎前歯部口蓋側のう蝕診療等)と対応する設定値を用いること、また例えば医師情報として医師の座高やドクターチェアの高さと対応する設定値を用いること、また例えばこれらの情報やや他の情報等の組み合わせからなる情報と対応する設定値を記憶設定値として用いること等が可能である。
【0071】
[歯科チェアユニット20の設定制御のフローチャート]
図5は、本実施形態におけるユニット設定装置による歯科チェアユニット20の設定制御のフローチャートである。本実施形態では、歯科チェアユニット20とクラウド上のユニット設定装置10とが、例えばWebSocketプロトコル等を使用することにより、常にオンラインで双方向通信を行う場合を例示する。例えば、WebSocketプロトコルを利用すれば、歯科チェアユニット20とユニット設定装置10とが常にオンライン状態を維持することによって、双方向通信が可能となる。これにより、両社間でリアルタイムに情報を共有することが可能となる。
【0072】
操作端末21には、アポイントソフトがインストールされており、アポイントソフトを介してアポイント管理装置11にアクセス可能であり、予約情報の呼び出し、表示、入力、修正、及び追記等が可能である。
【0073】
図5のフローチャートは、a1~a16のステップからなる。まず、ステップa1において、設定値の入力、患者情報の入力、予約情報の入力が行われる。ここでは、入力装置として、操作端末21を用いることを例示しているが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、アポイントソフトがインストールされている他の端末、例えば管理端末18や自動受付装置14を入力装置とすることができる。
【0074】
設定値としては、
図3に対応する医師設定値、及び
図4に対応する医師設定値に対する修正値テーブルのデータ等を予め設定しておく。なお、前述のとおり、医師設定値として、標準的な数値を初期値として予め登録しておくことも可能である。このように初期値を事前に設定しておけば、全ての医師と全ての治療の組み合わせごとに、全ての設置値を入力していない状態、すなわち、医師設定値が予め設定されていない設定項目があった場合にも、初期値に基づいて標準的な歯科チェアユニット20の設定が可能である。
【0075】
操作端末21から、アポイント管理装置11に予約情報が入力される。前述のように、患者の携帯端末、例えば、アポイントソフトのアプリを有するスマートフォンからも予約情報の入力が可能である。操作端末21から、患者情報としての患者識別コード、患者氏名、生年月日、年齢、性別、身長、座高、体重、胸囲、腹囲、及び脊柱変形等の情報が入力され、あるいは、修正、追記される。
【0076】
ステップa2において、設定値としての記憶設定値としての医師設定値、診療設定値、及び修正値が、初期値に加えて、ユニット設定装置10に記憶される。
【0077】
ステップa3において、歯科チェアユニット20の電源が入れられると、特定の歯科チェアユニット20が起動したことを示すユニット情報及び起動情報がユニット設定装置10に送信される。次に、ステップa4において、通信確認の上、双方向通信が開始される。その後、ユニット設定装置10から、歯科チェアユニット20へ向けて、起動情報に対するフィードバック信号が送信される。
【0078】
ステップa5において、歯科チェアユニット20に患者が導入された後、ステップa6において、ユーザは操作端末21にてアポイントソフトのスケジュール表の診療開始ボタンをクリックする。これにより、アポイントソフトの操作を起点にして、ユニット設定装置10に診療開始指示が送信され、ユニット設定装置10において診療設定値の演算が開始される。次に、ステップa7において、ユニット設定装置10が診療開始指示を受信すると、アポイントソフトの予約情報の中の医師情報及び診療内容情報に対応した医師設定値(
図3、
図4A参照。)が選択され、次に、医師設定値修正情報としての患者情報、予約日時情報、及び歯科チェアユニット情報に基づき修正値(
図4C参照。)が求められ、予約情報に対応する診療設定値が設定される。ユニット設定装置10は、診療設定値を歯科チェアユニット20に送信すると共に、操作端末21に対してアポイント情報表示を「診療開始」状態へ切替る指令を送信する。
【0079】
ステップa8において、歯科チェアユニット20がユニット設定装置10から診療設定値を受信すると、ユーザはその診療設定値による設定内容を確認した上で、診療設定値の設定内容を許可する。ユーザからの許可があると、歯科チェアユニット20は、その診療設定値に基づき歯科チェアユニット20の各部の姿勢等を制御する。
【0080】
ステップa9において、ユニット設定装置10からのアポイント情報表示切替指令に基づいて、操作端末21に表示されるアポイント情報が「受診開始」状態に変更される。
【0081】
ステップa10において、予約情報に対応した医師が、歯科チェアユニット20を用いて診療操作を行うことにより、予約情報に対応した患者に対する診療を実施する。
【0082】
ステップa11において、診療が終了すると、ステップa12において、ユーザは操作端末21からアポイントソフトを用いて「診療終了ボタン」をクリックする。次にステップa13において、ユニット設定装置10は、診療設定値として「デフォルト値」を歯科チェアユニット20に送信すると共に、操作端末21にアポイント情報表示を「診療終了」状態に切り替える指令を送信する。
【0083】
ステップa14において、歯科チェアユニット20がユニット設定装置10から診療設定値としてデフォルト値を受信すると、歯科チェアユニット20の各部の設定がデフォルト値に対応するように制御され、チェアをデフォルト姿勢に戻す等の処理が行われる。デフォルト値における歯科チェアユニット20の姿勢は、患者導入時のチェアの姿勢であり、例えば、患者が腰かけやすく、リラックスできるような姿勢に予め設定されている。歯科チェアユニット20がデフォルト値に対応する設定に戻ると、ステップa5に戻り、予約情報に対応する次の患者導入を行い、ステップa6~a14の処理を繰り返す。
【0084】
ステップa15において、ユニット設定装置10からアポイント情報表示切替指令を受信すると、操作端末21は、表示装置のアポイント情報を「診療終了」状態に切り替える。最後に、ステップa16において、ユーザが歯科チェアユニット20の電源を切ることによって、歯科チェアユニット設定システムの処理が終了する。
【0085】
[実施形態2]
本発明の実施形態2に係る歯科チェアユニット設定システムについて、
図6を参照して説明する。
図1-5と共通する構成には同一の符号を用い、その説明は省略する。
図6は、実施形態2に係るユニット設定装置による歯科チェアユニットの設定制御のフローチャートである。
【0086】
図6は、歯科チェアユニット20からユニット設定装置10へ、リクエストを送信し、そのリクエストに対して、レスポンスを返す方式となっており、
図6のフローチャートは、b1~b15のステップからなる。まず、ステップb1において、設定値の入力、患者情報の入力、予約情報の入力が行われ、ステップb2において、ユニット設定装置10に設定値が保存されるまでの処理は、
図5のステップa1及びa2と同様である。
【0087】
ステップb3において、歯科チェアユニット20の電源が入れられると、特定の歯科チェアユニット20が起動したことを示すユニット情報及び起動情報がユニット設定装置10に送信される。次に、ステップb4において、通信確認が行われた後、ユニット設定装置10から、歯科チェアユニット20へ向けて、起動情報に対するフィードバック信号が送信される。
【0088】
ステップb5において、歯科チェアユニット20に患者が導入された後、ステップb6において、ユーザは歯科チェアユニット20に設けられた「診療/メンテナンス切替ボタン」を押して、診療開始の指示を行う。これにより、歯科チェアユニット20の操作を起点にして、ユニット設定装置10に診療開始指示が送信され、ユニット設定装置10において診療設定値の演算が開始される。診療/メンテナンス切替ボタンが押されると、ステップb7において、ユニット設定装置10が診療開始指示を受信し、アポイントソフトの予約情報の中の医師情報及び診療内容情報に対応した医師設定値(
図3、
図4A参照。)が選択され、次に、医師設定値修正情報としての患者情報、予約日時情報、及び歯科チェアユニット情報に基づき修正値(
図4C参照。)が求められ、予約情報に対応する診療設定値が設定される。ユニット設定装置10は、診療設定値を歯科チェアユニット20に送信すると共に、操作端末21に対してアポイント情報表示を「診療開始」状態へ切替る指令を送信する。
【0089】
ステップb8において、歯科チェアユニット20がユニット設定装置10から診療設定値を受信すると、ユーザはその診療設定値による設定内容を確認した上で、診療設定値の設定内容を許可する。ユーザからの許可があると、歯科チェアユニット20は、その診療設定値に基づき歯科チェアユニット20の各部の姿勢等を制御する。
【0090】
ステップb9において、ユニット設定装置10からのアポイント情報表示切替指令に基づいて、操作端末21に表示されるアポイント情報が「受診開始」状態に変更される。
【0091】
ステップb10において、予約情報に対応した医師が、歯科チェアユニット20を用いて診療操作を行うことにより、予約情報に対応した患者に対する診療を実施する。
【0092】
ステップb11において、診療が終了し、ユーザが歯科チェアユニット20の診療/メンテナンス切替ボタンを押すと、その信号がユニット設定装置10に送信され、次にステップb12において、ユニット設定装置10は、診療設定値として「デフォルト値」を歯科チェアユニット20に送信すると共に、操作端末21にアポイント情報表示を「診療終了」状態に切り替える指令を送信する。
【0093】
ステップb13において、歯科チェアユニット20がユニット設定装置10から診療設定値としてデフォルト値を受信すると、歯科チェアユニット20の各部の設定がデフォルト値に対応するように制御され、チェアをデフォルト姿勢に戻す等の処理が行われる。歯科チェアユニット20がデフォルト値に対応する設定に戻ると、ステップb5に戻り、予約情報に対応する次の患者導入を行い、ステップb6~a13の処理を繰り返す。
【0094】
ステップb14において、ユニット設定装置10からアポイント情報表示切替指令を受信すると、操作端末21は、表示装置のアポイント情報を「診療終了」状態に切り替える。最後に、ステップb15において、ユーザが歯科チェアユニット20の電源を切ることによって、歯科チェアユニット設定システムの処理が終了する。
【0095】
[実施形態3]
本発明の実施形態3に係る歯科チェアユニット設定システムについて、
図7を参照して説明する。
図1-6と共通する構成には同一の符号を用い、その説明は省略する。
図7は、実施形態3に係るユニット設定装置による歯科チェアユニットの設定制御のフローチャートである。
【0096】
図7のフローチャートは、ユニット設定装置10が、過去の診療時の歯科チェアユニット20の診療設定値を、医師情報、患者情報、及び診療内容情報と共に設定値履歴情報として記憶しておき、ユニット設定装置10が、設定値履歴情報及び予約情報を含む情報に基づき、診療設定値を設定するものである。
【0097】
まず、ステップc1において、医師情報の入力、患者情報の入力、予約情報の入力が行われる。医師情報としては、特に限定されるものではないが、例えば医師身長が入力される。本実施形態では、後述のように、ユニット設定装置10が、過去の診療時の歯科チェアユニット20の診療設定値を、医師情報、患者情報、及び診療内容情報と共に、設定値履歴情報として記憶しており、この設定値履歴情報を利用して、診療設定値の演算を行う。また、本実施形態において、設定値履歴情報として過去の診療時のデータが無い場合には、医師情報と診療内容情報に基づき、例えば上述の(1)式などの演算により、医師設定値を算出する。また、本実施例では、修正値を求める際に、
図4Cの修正値テーブルを用いるのではなく、例えば上述の(1)式などを用いた演算から修正値を算出する。ステップc2において、ユニット設定装置10に入力された各種設定値が保存される。
【0098】
ステップc3において、歯科チェアユニット20の電源が入れられると、特定の歯科チェアユニット20が起動したことを示すユニット情報及び起動情報がユニット設定装置10に送信される。次に、ステップc4において、通信確認の上、双方向通信が開始される。その後、ユニット設定装置10から、歯科チェアユニット20へ向けて、起動情報に対するフィードバック信号が送信される。
【0099】
ステップc5において、歯科チェアユニット20に患者が導入された後、ステップc6において、ユーザは操作端末21にてアポイントソフトのスケジュール表の診療開始ボタンをクリックする。これにより、アポイントソフトの操作を起点にして、ユニット設定装置10に診療開始指示が送信され、ユニット設定装置10において診療設定値の演算が開始される。
【0100】
次に、ステップc7において、ユニット設定装置10が診療開始指示を受信すると、ユニット設定装置10はアポイントソフトの予約情報に基づいて診療設定値を設定する。本実施形態においては、ユニット設定装置10が、過去の診療時の歯科チェアユニット20の診療設定値を、医師情報、患者情報、及び診療内容情報と共に、設定値履歴情報として記憶している。ここで、設定値履歴情報は、記憶設定値に含まれる情報である。ユニット設定装置10は、アポイントソフトの予約情報の医師情報、患者情報、及び診療内容情報と対応する診療設定値の情報を設定値履歴情報から検索し、予約情報と対応する診療設定値を設定する。
【0101】
本実施形態において、もしも設定値履歴情報に予約情報と対応する診療設定値が記憶されていない場合には、医師情報と診療内容情報に基づき、例えば上述の(1)式などの演算により、医師設定値を算出する。また、本実施例では、修正値を求める際に、
図4Cの修正値テーブルを用いるのではなく、例えば上述の(1)式などを用いた演算から修正値を算出する。このように、本実施形態では、
図3及び
図4Aのように予め医師設定値を入力していなくとも、また、
図4Cのように予め修正値テーブルを入力しておかなくとも、例えば上述の(1)式のような演算により、診療設定値を計算により求めることができる。なお、
図3、
図4A、
図4C等のように予め各設定値が入力されている場合には、これらの予め入力された設定値に基づき診療設定値を求めることができることは、第1実施形態及び第2実施形態の場合と同様である。本実施形態では、予め医師設定値や補正値テーブル等を入力しておかなくても、演算によって診療設定値を求めることができるという効果がある。
【0102】
ユニット設定装置10が診療設定値を設定すると、この診療設定値を歯科チェアユニット20に送信すると共に、操作端末21に対してアポイント情報表示を「診療開始」状態へ切替る指令を送信する。
【0103】
ステップc8において、歯科チェアユニット20がユニット設定装置10から診療設定値を受信すると、ユーザはその診療設定値による設定内容を確認した上で、診療設定値の設定内容を許可する。ユーザからの許可があると、歯科チェアユニット20は、その診療設定値に基づき歯科チェアユニット20の各部の姿勢等を制御する。
【0104】
ステップc9において、ユニット設定装置10からのアポイント情報表示切替指令に基づいて、操作端末21に表示されるアポイント情報が「受診開始」状態に変更される。
【0105】
ステップc10において、予約情報に対応した医師が、歯科チェアユニット20を用いて診療操作を行うことにより、予約情報に対応した患者に対する診療を実施する。診療中に歯科チェアユニット20の設定がユーザからの操作によって変更された場合には、変更された後の診療設定値を医師情報、患者情報、及び診療内容情報と共にユニット設定装置10に送信する。ユニット設定装置10は、変更後の診療設定値を医師情報、患者情報、及び診療内容情報と共に設定値履歴情報として記憶する。ここでは、設定値履歴情報を自動的に記憶する例を説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、操作端末21のアポイントソフトに設定値履歴情報を記憶するための設定値履歴情報記憶ボタンを表示する機能を設けておき、ユーザが操作端末21の設定値履歴情報記憶ボタンをクリックしたときに、その診療時の診療設定値を医師情報、患者情報、及び診療内容情報と共にユニット設定装置10に送信し、ユニット設定装置10が、設定値履歴情報記憶ボタンをクリックしたときの診療に対応する診療設定値を医師情報、患者情報、及び診療内容情報と共に設定値履歴情報として記憶するようにしてもよい。また、ステップc10において、ユーザが操作端末21の設定値履歴情報呼び出しボタンをクリックすることにより、過去に、あるいは、直前に記憶させた設定値履歴情報を呼び出して、歯科チェアユニット20の設定を再現させることも可能である。
【0106】
ステップc11において、診療が終了し、ステップc12において、ユーザは操作端末21からアポイントソフトを用いて「診療終了ボタン」をクリックする。次にステップc13において、ユニット設定装置10は、診療設定値として「デフォルト値」を歯科チェアユニット20に送信すると共に、操作端末21にアポイント情報表示を「診療終了」状態に切り替える指令を送信する。
【0107】
ステップc14において、歯科チェアユニット20がユニット設定装置10から診療設定値としてデフォルト値を受信すると、歯科チェアユニット20の各部の設定がデフォルト値に対応するように制御され、チェアをデフォルト姿勢に戻す等の処理が行われる。歯科チェアユニット20がデフォルト値に対応する設定に戻ると、ステップc5に戻り、予約情報に対応する次の患者導入を行い、ステップc6~c14の処理を繰り返す。
【0108】
ステップc15において、ユニット設定装置10からアポイント情報表示切替指令を受信すると、操作端末21は、表示装置のアポイント情報を「診療終了」状態に切り替える。最後に、ステップc16において、ユーザが歯科チェアユニット20の電源を切ることによって、歯科チェアユニット設定システムの処理が終了する。
【0109】
本実施形態の歯科チェアユニット設定システムによれば、ユニット設定装置10が、過去の診療時の歯科チェアユニットの診療設定値を、医師情報、患者情報、及び診療内容情報と共に設定値履歴情報として記憶しているため、医師情報、患者情報、及び診療内容情報と紐づけられた歯科チェアユニットの診療設定値を設定履歴情報として記憶しておくことができる。また、ユニット設定装置10が、設定値履歴情報及び予約情報を含む情報に基づき、診療設定値を設定することにより、過去の診療時に利用された歯科チェアユニットの設定を再現することができる。
【0110】
以上説明した各実施形態は、本発明をこれらに特定するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。また、各実施形態を適宜変更したり、各実施形態を適宜組み合わせたりすることもできる。
【符号の説明】
【0111】
10 ユニット設定装置
11 アポイント管理装置
12 管理サーバ
13 レセプト装置
14 自動受付装置
15 患者用説明ソフト
16 メンテナンス情報モニタリング装置
17 マニュアル表示アプリ
18 管理端末
19 画像記録装置
20 歯科チェアユニット
21 操作端末
22 診断装置
30 通信ネットワーク