(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018107
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】空調用室外機の排熱利用システム
(51)【国際特許分類】
F24F 1/68 20110101AFI20240201BHJP
F24F 1/46 20110101ALI20240201BHJP
F24F 1/38 20110101ALI20240201BHJP
【FI】
F24F1/68
F24F1/46
F24F1/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121206
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 正樹
【テーマコード(参考)】
3L054
【Fターム(参考)】
3L054BA06
3L054BB01
3L054BB03
(57)【要約】
【課題】排気供給源の室外機と、排気利用の室外機とが、互いに複数台に亘る場合に、これらの機器の運転状態に応じた効率的な排熱利用を可能とする。
【解決手段】排熱利用システムは、第一列グループ60及び第二列グループ70を備える。第二列グループ70の室外機10D-10Fの吸込口25D-25Fは、第一列グループ60側に向けられる。第一列グループ60の各室外機10A-10Cの排気口18A-18Cには、ルーバー機構40A-40C及び回転機構30A-30Cが設けられる。ルーバー機構40A-40Cは、排気口18A-18Cの中心軸に対する排出角度を可変となっている。回転機構30A-30Cは、ルーバー機構40A-40Cを上記中心軸周りに回転可能となっている。さらに第一列グループ60の各室外機10A-10Cには、ルーバー機構40A-40C及び回転機構30A-30Cを制御する制御器36A-36Cが設けられる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気の吸込口と、
前記吸込口から導入された外気と冷媒とを熱交換させる熱交換器と、
熱交換後の空気が排出される排気口と、
を備える室外機を複数台備える、
空調用室外機の排熱利用システムであって、
直線状に配列される複数台の前記室外機を含む第一列グループと、
前記第一列グループと平行に配列される、複数台の前記室外機を含む第二列グループと、
を備え、
前記第一列グループの前記室外機の前記排気口は、前記室外機の天面に設置されて上方に向けられ、
前記第二列グループは前記第一列グループよりも高所に設置され、
前記第二列グループの前記室外機の前記吸込口は、前記第一列グループ側に向けられ、
前記第一列グループの各前記室外機の前記排気口には、
前記排気口の中心軸に対する排出角度を可変なルーバー機構と、
前記ルーバー機構を前記中心軸周りに回転可能な回転機構と、
が設けられ、
さらに前記第一列グループの各前記室外機には、前記第一列グループ及び前記第二列グループの各前記室外機の運転設定に応じて、前記ルーバー機構及び前記回転機構を制御する制御器が設けられる、
空調用室外機の排熱利用システム。
【請求項2】
請求項1に記載の、空調用室外機の排熱利用システムであって、
前記ルーバー機構の吹出口の高さ方向位置は、前記第二列グループの前記室外機の前記吸込口の高さ方向寸法hを用いて、前記吸込口の下端から±h/2の範囲に定められる、
空調用室外機の排熱利用システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の、空調用室外機の排熱利用システムであって、
前記第一列グループの各前記室外機の前記制御器は、前記第二列グループの前記室外機の複数台を、排気供給可能な対象機として設定し、
前記第二列グループの前記室外機が、前記第一列グループの複数の前記室外機の前記対象機として重複設定可能となる、
空調用室外機の排熱利用システム。
【請求項4】
請求項3に記載の、空調用室外機の排熱利用システムであって、
前記制御器は、
各前記対象機と接続された室内機に対する運転負荷を参照し、
複数の前記対象機のうち、接続先の前記室内機の前記運転負荷が相対的に最も高い前記室外機を排気供給室外機に定める、
空調用室外機の排熱利用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、空調用室外機の排熱利用システムが開示される。
【背景技術】
【0002】
ビル等の大型建物では、複数台の空調機器が設置される。例えば企業の事務所や営業所等の用途で利用されるいわゆるオフィスビルでは、居住用のビル等と比較して、一室当たりの床面積が比較的広く設定され、この室内に複数の室内機が設置される。
【0003】
また室内機と配管を通して室外機が接続される。室外機は例えば屋外に設置される。室内機の台数に応じて、複数台の室外機が設置される。
【0004】
ここで、例えば一つの室内に設置された複数の室内機の運転状況がそれぞれ異なる場合がある。例えば冬季等において、窓際や壁際などの近傍領域であるいわゆるペリメータゾーンに設置された室内機は、相対的に外気温の影響を受けやすく、例えば常時暖房運転が設定される。
【0005】
一方、窓際や壁際から離れ、またOA機器等の熱源が多数設置された、いわゆるインテリアゾーンにおいては、冬季でも室内気温が設定気温を上回る場合がある。したがって冬季であっても、インテリアゾーンに設置された室内機は冷房運転に設定される場合がある。
【0006】
暖房運転する室内機に接続された室外機からは、外気温よりも低温の空気が排出される。一方、冷房運転する室内機に接続された室外機からは、外気温よりも高温の空気が排出される。
【0007】
また、暖房運転中の室外機の吸込口に、外気温よりも高温の空気が導入されれば、外気温をそのまま導入した場合と比較して室外機の運転効率(COP)は向上する。同様にして、冷房運転中の室外機の吸込口に、外気温よりも低温の空気が導入されれば、外気温をそのまま導入した場合と比較して室外機の運転効率は向上する。
【0008】
このような特性を利用して、例えば特許文献1では、冷房運転中の室外機の(外気温より高温の)排気を、暖房運転中の室外機の吸込口近傍に供給している。また特許文献2,3では、暖房運転中の室外機の(外気温より低温の)排気を、冷房運転中の室外機の吸込口近傍に供給している。
【0009】
また特許文献4では、冷凍機の凝縮器と、空調設備の室外機との間に風路切り替え手段としてのダンパが設けられている。そして空調設備の運転モード(冷房/暖房運転)の変更に応じてダンパが作動して、凝縮器からの排気を室外機に供給するか否かが切り替えられる。
【0010】
また特許文献5では、冷房設備の室外機と、暖房設備の室外機の間に切替ダンパが設けられる。そして、暖房設備の室外機がデフロスト運転を始めると、切替ダンパが作動して、冷房設備の室外機の排気が暖房設備の室外機に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007-107843号公報
【特許文献2】特開2015-004500号公報
【特許文献3】特開2017-026211号公報
【特許文献4】特開2001-289532号公報
【特許文献5】特開2012-167915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、従来技術においては排気の供給源である室外機と、その排気を利用する室外機とがどちらも単体である場合の排熱利用について開示されているに留まる。したがって、排気供給源の室外機と、排気利用の室外機とが、互いに複数台に亘る場合に、これらの機器の運転状態に応じて、従来よりも効率的な排熱利用ができる余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本明細書では、空調用室外機の排熱利用システムが開示される。このシステムは、室外機を複数台備える。室外機は、外気の吸込口、熱交換器、及び排気口を備える。熱交換器は、吸込口から導入された外気と冷媒とを熱交換させる。排気口では、熱交換後の空気が排出される。排熱利用システムは、第一列グループ及び第二列グループを備える。第一列グループは、直線状に配列される複数台の室外機を含む。第二列グループは、第一列グループと平行に配列される、複数台の室外機を含む。第一列グループの室外機の排気口は、室外機の天面に設置されて上方に向けられる。第二列グループは、第一列グループよりも高所に設置される。第二列グループの室外機の吸込口は、第一列グループ側に向けられる。第一列グループの各室外機の排気口には、ルーバー機構及び回転機構が設けられる。ルーバー機構は、排気口の中心軸に対する排出角度を可変となっている。回転機構は、ルーバー機構を上記中心軸周りに回転可能となっている。さらに第一列グループの各室外機には、第一列グループ及び第二列グループの各室外機の運転設定に応じて、ルーバー機構及び回転機構を制御する制御器が設けられる。
【0014】
上記構成によれば、回転機構及びルーバー機構を用いて、第一列グループの室外機の排気を、当該室外機に直近の第二列グループの室外機に加えて、当該直近の室外機に隣り合う第二列グループの他の室内機に対しても供給することが可能となる。
【0015】
また上記構成において、ルーバー機構の吹出口の高さ方向位置は、第二列グループの室外機の吸込口の高さ方向寸法hを用いて、前記吸込口の下端から±h/2の範囲に定められてよい。
【0016】
上記構成により吹出口を設置することで、第二列グループの室外機の吸込口に確実に排気が供給可能となる。
【0017】
また上記構成において、第一列グループの各室外機の制御器は、第二列グループの室外機の複数台を、排気供給可能な対象機として設定してもよい。このような設定により、第二列グループの室外機が、第一列グループの複数の室外機の対象機として重複設定可能となる。
【0018】
上記構成によれば、第二グループの所定の室外機に対して、第一列グループの複数の室外機から排気を供給することが可能となる。
【0019】
また上記構成において、制御器は、各対象機と接続された室内機の運転負荷を参照してもよい。この場合制御部は、複数の対象機のうち、接続先の室内機の運転負荷が相対的に最も高い室外機を排気供給室外機に定める。
【0020】
上記構成によれば、第一列グループの複数の室外機から、運転負荷の最も大きい室外機に、集中して排気を供給することが出来る。
【発明の効果】
【0021】
本明細書で開示される、空調用室外機の排熱利用システムによれば、排気供給源の室外機と、排気利用の室外機とが、互いに複数台に亘る場合に、これらの機器の運転状態に応じて、従来よりも効率的な排熱利用ができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態に係る空調用室外機を例示する斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る室外機の裏側を例示する斜視図である。
【
図3】室外機の排気口に回転機構が取り付けられた例を示す斜視図である。
【
図4】回転機構の上にルーバー機構が取り付けられた例を示す斜視図である。
【
図5】第一列グループ及び第二列グループの室外機の配列を例示する斜視図である。
【
図6】第一列グループと第二列グループの設置高さを説明する図である。
【
図7】本実施形態に係る空調用室外機の排熱利用システムのハードウェア構成を例示する図である。
【
図8】本実施形態に係る空調用室外機の排熱利用システムの各制御部の機能ブロックを例示する図である。
【
図10】本実施形態に係る空調用室外機の排熱利用システムにおける、排気供給室外機の設定フローを例示する図である。
【
図11】本実施形態に係る空調用室外機の排熱利用システムにおける、排気供給の一例を示す斜視図である。
【
図12】第一列グループ及び第二列グループの室外機の配列の別例を示す斜視図である。
【
図13】本実施形態に係る空調用室外機の排熱利用システムにおける、排気供給室外機の設定フローの別例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、実施形態に係る、空調用室外機の排熱利用システムが図面を用いて説明される。以下で説明する形状、材料、個数、及び数値は、説明のための例示であって、排熱利用システムの仕様に応じて適宜変更することができる。また以下ではすべての図面において同等の要素には同一の符号が付される。
【0024】
図5を参照して、本実施形態に係る、空調用室外機の排熱利用システムは、第一列グループ60に含まれる複数台の室外機10A-10C、第二列グループ70に含まれる複数台の室外機10D-10F、及び架台80を備える。
【0025】
第一列グループ60の排気用のダクト17A-17Cには回転機構30A-30C及びルーバー機構40A-40Cが取り付けられる。ルーバー機構40A-40Cによりダクト17A-17Cの(排気口18A-18Cの)中心軸に対する排出角度が可変となる。また回転機構30A-30Cは、ダクト17A-17Cの(排気口18A-18Cの)中心軸周りにルーバー機構40A-40Cを回転可能となっている。
【0026】
後述されるように、第一列グループ60の例えば室外機10Aについて、室外機10Dがメイン対象機に設定され、室外機10Eがサブ対象機に設定される。室外機10Dに排気を供給するときにはルーバー機構40Aの回転位置は
図5に例示される原点位置に設定される。一方、室外機10Eに排気を供給する時には、回転機構30Aによってルーバー機構40Aの回転位置は原点位置から時計回りに例えば45°回転される。
【0027】
例えば、第一列グループ60の室外機10A-10C及び第二列グループ70の室外機10D,10Fが常時暖房運転を継続し、第二列グループ70の室外機10Eのみが冷房運転に設定される場合がある。この場合、例えば
図11に例示されるように、室外機10Eに、第一列グループ60の室外機10A-10Cから集中的に排気が供給される。
【0028】
この場合、例えば室外機10A,10Cでは、サブ対象機である室外機10Eが排気供給室外機に定められる。また室外機10Bでは、メイン対象機である室外機10Eが排気供給室外機に定められる。
【0029】
排気供給室外機の設定に基づいて、室外機10Aでは、回転機構30Aによってルーバー機構40Aの回転位置が原点位置から時計回りに例えば45°回転される。室外機10Bのルーバー機構40Bは原点位置に設定される。さらに室外機10Cのルーバー機構40Cが原点位置から例えば反時計回りに45°回転される。
【0030】
これらの回転位置設定により、第一列グループ60の室外機10A-10Cからの排気が第二列グループ70の室外機10Eの吸込口25Eに集中的に集められる。これにより、室外機10Eの運転効率(COP)が向上する。
【0031】
<室外機>
図1、
図2には、本実施形態に係る室外機10が例示される。なお
図2は
図1とは逆方向から室外機10を見たときの例が示される。
図1-
図4には直交座標軸が示される。X軸は室外機10の幅方向軸である。Y軸は室外機10の奥行き方向軸である。Z軸は室外機10の高さ方向軸である。
【0032】
室外機10は筐体のケーシング11内に機器を収容する。例えばケーシング11内に熱交換器26が収容される。熱交換器26は凝縮器又は蒸発器とも呼ばれ、冷媒が流れる配管と、放熱を促進させるフィンを備える。
【0033】
熱交換器26は例えばケーシング11の側面13,14及び後面15の3面に亘って展開される。ケーシング11の前面12には点検保守用のサービスパネル20が設けられる。
【0034】
ケーシング11の側面13,14及び後面15には吸込口23,24,25が設けられる。例えばケーシング11の側面13,14及び後面15が格子状となるように、複数個所で厚さ方向に穿孔される。吸込口23,24,25から外気が室外機10内に取り込まれる。この取込の際に熱交換器26を流れる冷媒と外気とが熱交換される。
【0035】
例えば室外機10が暖房運転中は、外気よりも低い温度の冷媒が熱交換器26内を流れる。熱交換において外気の熱が冷媒に吸収される。また室外機10が冷房運転中は、外気よりも高い温度の冷媒が熱交換器26内を流れる。熱交換において冷媒の熱が外気に放出される。
【0036】
室外機10の天面16にはダクト17が設けられる。ダクト17は例えば円筒形の配管であり、鉛直方向に向かって直線状に延設される。ダクト17の上端は開放され排気口18となる。したがって、排気口18の中心軸はZ軸と平行な鉛直軸となる。言い換えると、排気口18は上方に向けられる。熱交換器26において冷媒と熱交換した空気は排気口18から排出される。
【0037】
ダクト17内、またはダクト17よりも下方には図示しないファンが設けられる。ファンの回転により、吸込口23,24,25から外気が取り込まれる。また熱交換後の排気が排気口18から排出される。また排気口18は例えば網目状のファンガード19に覆われる。
【0038】
<回転機構>
図3には、本実施形態に係る回転機構30が例示される。回転機構30及びルーバー機構40は、第一列グループ60(
図5参照)の室外機10A-10Cの排気口18A-18C(
図4参照)に取り付けられる。一方、第二列グループ70の室外機10D-10Fには、回転機構30及びルーバー機構40は、取り付けられない。
【0039】
図3を参照して、回転機構30はクロスローラーベアリング31、プーリー34、ローラーモーター35及び制御器36を備える。
【0040】
クロスローラーベアリング31はリング状の内輪32及び外輪33を備える。内輪32及び外輪33は同軸に配置され、例えば図示しない円筒コロを介して相対回転可能となっている。
【0041】
例えばダクト17の外周面に内輪32の内周面が当接され固定される。外輪33はプーリー34を介してローラーモーター35によって回転可能となっている。ローラーモーター35の回転は制御器36により制御される。制御器36による回転制御の詳細は後述される。
【0042】
例えばローラーモーター35はサーボモーターであってよい。例えば外輪33の回転位置は予め定められた原点位置を基準に定められる。例えば原点位置は、ルーバー機構40(
図4参照)のシャフト44が室外機10の幅方向軸(X軸)に平行となる位置に定められる。この原点位置が例えば回転角度0°に定められる。なお、
図4ではルーバー機構40が原点位置から90°回転させられたときの例が示される。
【0043】
この原点位置を基準とした回転角度は「リング角」とも呼ばれる。例えば
図8、
図9を参照して、制御器36Aの対象機記憶部39Aには、室外機10A(
図5参照)が排気を供給する、メイン対象機である室外機10D及びサブ対象機である室外機10Eのリング角が記憶される。
【0044】
例えば
図10に例示される、排気供給室外機の設定フローにおいて用いられる、リング角β
0、β
main、β
subが対象機記憶部39Aに記憶される。例えばリング角β
0、β
mainはともに0°に設定される。β
subは例えば45°に設定される。なお、対象機記憶部39Aの記憶内容の詳細は後述される。
【0045】
<ルーバー機構>
図4を参照して、ルーバー機構40は室外機10の排気の吹出角度(排出角度)を可変となっている。例えばルーバー機構40は、ケーシング41、複数枚の羽根42、複数本のシャフト44、ルーバーモーター54及び制御器36を備える。
【0046】
ケーシング41は例えば矩形枠体であって、下端及び上端が開放される。上端は吹出口55となる。下端は例えばクロスローラーベアリング31の外輪33(
図3参照)より大径の接続リング(図示せず)となっており、この接続リングと外輪33とが当接され固定される。これにより、ルーバー機構40は回転機構30により回転可能となる。回転軸は例えばダクト17及び排気口18の中心軸、つまり鉛直軸(Z軸)となる。
【0047】
羽根42はケーシング41内に複数枚設けられ、例えばその上端部分はケーシング41の吹出口55よりもさらに上方に突設される。複数枚の羽根42は複数本のシャフト44を介してケーシング41に支持される。シャフト44は例えば軸受43を介してケーシング41に枢支される。
【0048】
複数枚の羽根42は連結棒50により連結される。さらに複数本のシャフト44のうち一本(
図4では手前から2番目のシャフト44)が、ルーバーモーター54に接続される。ルーバーモーター54は例えばサーボモーターであってよい。ルーバーモーター54に接続されたシャフト44及び羽根42がルーバーモーター54により回動されると、連結棒50を介して他の羽根42も回動される。
【0049】
ローラーモーター35と同様にして、ルーバーモーター54の回転は制御器36に制御される。例えば羽根42の回転位置は予め定められた原点位置を基準に定められる。例えば原点位置は、羽根42が鉛直方向(Z軸)に平行になる位置に定められる。
【0050】
この原点位置を基準とした回転角度、言い換えると排気口18の中心軸に対する排出角度は「ルーバー角」とも呼ばれる。例えば
図8を参照して、制御器36Aの対象機記憶部39Aには、
図10のステップS18,S26,S32,S36に示されるルーバー角α
0、α
front、α
backが記憶される。例えばルーバー角はそれぞれ、α
0=0°、α
front=-45°、α
back=+45°に設定される。
【0051】
<室外機の配列>
図5には、本実施形態に係る排熱利用システムの全体図が例示される。このシステムは、第一列グループ60に含まれる複数台の室外機10A-10Cと、第二列グループ70に含まれる複数台の室外機10D-10Fが含まれる。例えば、これらの室外機10A-10Fはいずれも同一機種であってよい。
【0052】
なお、
図5の設置図は例示であって、第一列グループ60及び第二列グループ70の室外機10の台数を限定するものではない。例えば第一列グループ60及び第二列グループ70の両者ともに、2台以上の室外機10が設置される。
【0053】
第一列グループ60では室外機10A-10Cが直線状に配列される。例えば室外機10A-10Cは横方向に連続配置される。つまり、一方の室外機10の側面13(
図1参照)と他方の室外機10の側面14(
図2参照)とが対向するように、室外機10A-10Cが直線状に配列される。
【0054】
室外機10A-10Cは、吸込口23,24(
図1、
図2参照)の外気吸引を妨げない範囲で近接配置される。例えば室外機10A-10Cのそれぞれの離隔間隔は、30mm以上100mm以下の範囲に定められる。
【0055】
また
図5を参照して、第二列グループ70は架台80に搭載されるところ、この架台80から後面15(
図2参照)が離隔されるようにして、室外機10A-10Cが設置される。例えば架台80と室外機10A-10Cとの離隔間隔は100mm以上300mm以下の範囲に定められる。
【0056】
第二列グループ70は第一列グループ60よりも高所に設置される。例えば第二列グループ70は架台80上に設置される。第二列グループ70の室外機10D-10Fは、第一列グループ60と同様に横方向に連続配置される。つまり、一方の室外機10の側面13(
図1参照)と他方の室外機10の側面14(
図2参照)とが対向するように、室外機10A-10Cが直線状に配列される。また例えば室外機10D-10Fのそれぞれの離隔間隔は、30mm以上100mm以下の範囲に定められる。
【0057】
第二列グループ70は第一列グループ60と平行に配列される。また、
図5の例では、第一列グループ60の室外機10A-10C及び第二列グループの室外機10D-10Fが、配列方向と直交する方向に沿って対向するように配置される。
【0058】
なお、
図5の設置図は一例であって、本実施形態に係る排熱利用システムはこの例に限定されない。例えば
図12のように、第一列グループ60として2台の室外機10A,10Bが設置され、第二列グループ70として4台の室外機10C-10Fが設置されてもよい。さらに室外機10C,10Dの間に室外機10Aが設置され、室外機10E,10Fの間に室外機10Bが設置されるようなレイアウトが採られてもよい。
【0059】
図5を参照して、第二列グループ70の室外機10D-10Fは、後面15D-15Fの吸込口25D-25Fが第一列グループ60側に向けられる。
図6には、
図5の側面図が例示される。なお
図6には第一列グループ60の室外機10C及び第二列グループ70の室外機10Fが示されているが、残りの室外機10A,10B及び室外機10D,10Eも同様の高さ設定が適用される。
【0060】
図6を参照して、室外機10F(及び他の第二列グループの室外機10D,10E)の前面12F(,12D,12E)からサービスパネル20(
図1参照)を開放して保守点検作業が可能となるように架台80が構成される。例えば架台80の幅L2は室外機10F(,10D,10E)の幅L1の2倍以上に定められる。
【0061】
室外機10D-10Fの吸込口25D-25Fの少なくとも一部は、第一列グループ60の室外機10A-10Cの排気口18A-18Cよりも上方に設けられる。
【0062】
例えば
図6を参照して室外機10Fを例に採ると、ルーバー機構40Cの吹出口55Cの高さ方向位置は、室外機10Fの吸込口25Fの高さ方向寸法hを用いて、吸込口25Fの下端から±h/2の範囲に定められる。この高さ範囲は室外機10D,10Eにも適用される。このような配置とすることで、吹出口55Cからの排気を精度良く吸込口25Fに供給することが可能となる。
【0063】
また、第一列グループ60の室外機10A-10Cは、室内のいわゆるペリメータゾーンに設置された室内機と接続されていてよい。一方、第二列グループ70の室外機10D-10Fはいわゆるインテリアゾーンに設置された室内機と接続されてよい。
【0064】
上述のように、例えば冬季において、ペリメータゾーンに設置された室内機は常時暖房運転に設置される。一方、インテリアゾーンに設置された室内機は、インテリアゾーンに設置されたOA機器等の熱源に起因して、冬季でも室温が設定温度を超過する場合があり、暖房運転から冷房運転に切り替えられる場合がある。
【0065】
ペリメータゾーンに設置された室内機と接続された室外機10A-10Cを第一列グループ60に配置し、インテリアゾーンに設置された室内機と接続された室外機10D-10Fを第二列グループ70に配置することで、各グループの室外機間で運転設定が異なる場合が生じる。このような場合に、第一列グループ60の室外機10A-10Cの排気が、第二列グループ70の室外機10D-10Fの吸込口25D-25Fに供給される。
【0066】
<排熱利用システムのネットワーク構成>
図7には、本実施形態に係る空調用室外機の廃熱利用システムを含む、空調システムのネットワーク構成が例示される。この空調システムを含めて、当該空調システムが設けられた建物の設備機器や電力の管理を行うシステムとして、ビル・エネルギー管理システム(BEMS、Building and Energy Management System)が知られている。BEMSでは、例えば米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)によって定められたBACnet(Building Automation and Control networking)プロトコルに基づき、各種制御装置(ネットワーク装置)間で通信が行われる。
【0067】
一般的に、所定の建築物に対してBEMSを適用する際には、分散制御システムが採用される。すなわち、空調設備、照明設備、防災設備等の設備群別に下位制御装置(B-BC、BACnet Building Controller)が設けられる。さらに各下位制御装置は上位制御装置(B-OWS、BACnet Operator Workstation)によって管理、操作される。
【0068】
図7を参照して、下位制御装置100(B-BC)は、さらに下位の制御器である、ダイレクトデジタルコントローラ90A-90F(DDC)と連携して、空調設備の各種計測ポイントのポイントデータや運転スケジュール制御等を管理する。
【0069】
図7を参照して、例えばダイレクトデジタルコントローラ90A-90Fは、室内機及び室外機のペアを単位として設置される。例えば第一列グループ60の室外機10A、それに接続された室内機91A、ならびにその付帯機器である室温センサ92Aや操作パネル93A等が、ダイレクトデジタルコントローラ90Aの配下に置かれる。また、ダイレクトデジタルコントローラ90B-90Fも同様の構成を備える。
【0070】
加えて、このBACnetには、回転機構30A-30Cのローラーモーター35A-35C、及び、ルーバー機構40A-40Cのルーバーモーター54A-54Cが、これらのモーターを制御する制御器36A-36Cを介して接続される。
【0071】
下位制御装置100(B-BC)、ダイレクトデジタルコントローラ90A-90F、及び制御器36A-36Cは、いずれもコンピュータ装置から構成される。代表的に下位制御装置100に、そのハードウェア構成が例示される。下位制御装置100は、演算回路であるCPU101、記憶装置であるメモリ103及びハードディスクドライブ104、タッチパネル等の入力部105、ディスプレイ等の出力部106、ならびに他機器との通信を可能とする入出力インターフェース102を備える。ハードディスクドライブ104はソリッドステートドライブ(SSD)に置き換えられてもよい。これらのハードウェア構成は、ダイレクトデジタルコントローラ90A-90F及び制御器36A-36Cも備える。
【0072】
下位制御装置100のハードディスクドライブ104に記憶された、またはCD-ROM等の非一過性の記憶媒体に記憶された空調制御プログラムをCPU101が実行することで、下位制御装置100には、
図8に示す各機能部が構築される。
【0073】
また、ダイレクトデジタルコントローラ90A-90FのハードディスクドライブまたはCD-ROM等の非一過性の記憶媒体には、空調制御プログラムが記憶される。このプログラムをダイレクトデジタルコントローラ90A-90FのCPUが実行することで、当該ダイレクトデジタルコントローラ90A-90Fには、
図8に示す各機能部が構築される。
【0074】
なお
図8ではダイレクトデジタルコントローラ90Aの機能ブロックのみ例示されているが、これと同様の機能ブロックが他のダイレクトデジタルコントローラ90B-90Fにも構築される。例えば下記の説明において、符号末尾のサフィックス「A」が適宜「B」ないし「F」に変更されることで、ダイレクトデジタルコントローラ90B-90Fの構成説明となる。
【0075】
なお、
図8に例示される機能ブロックは、本実施形態に係る空調用室外機の排熱利用システムに関するもののみが示され、残りの機能ブロックは適宜図示が省略される。
【0076】
下位制御装置100は、機能ブロックとして送受信部107及び運転設定記憶部108を備える。ダイレクトデジタルコントローラ90Aは、機能ブロックとして、送受信部94A、運転設定決定部95A、及び設定温度記憶部96Aを備える。
【0077】
ダイレクトデジタルコントローラ90Aの設定温度記憶部96Aには、操作パネル93A(
図7参照)から入力設定された設定温度が記憶される。運転設定決定部95Aは、設定温度記憶部96Aに記憶された設定温度に基づいて、室内機91Aの運転設定を決定する。
【0078】
例えば運転設定決定部95Aは、室温センサ92Aが検知した室温が、設定温度から求められた所定の暖房閾値温度(例えば、設定温度-3°)未満である場合に、室内機91Aの運転設定を暖房運転に設定する。
【0079】
また運転設定決定部95Aは、室温センサ92Aが検知した室温が、設定温度から求められた所定の冷房閾値温度(例えば、設定温度+3°)を超過する場合に、室内機91Aの運転設定を冷房運転に設定する。
【0080】
さらに運転設定決定部95Aは、室温センサ92Aが検知した室温が、暖房閾値温度以上かつ冷房閾値温度以下の範囲に含まれる場合に、室内機91Aの運転設定を送風運転に設定する。
【0081】
これらの運転設定決定部95Aにより設定された室内機91Aの運転設定情報は、下位制御装置100の運転設定記憶部108に送信され記憶される。
【0082】
ここで、BACnetプロトコルでは、建築物の設備機器、センサ、操作盤等の制御対象機器が、機能等に抽象化されたオブジェクトにモデル化される。オブジェクトにはプロパティと呼ばれる特性が与えられる。
【0083】
例えば一台の空調機に対して、運転/停止オブジェクト、警報信号オブジェクト、運転モード(冷房/暖房/送風)オブジェクト、吸気温度計測値オブジェクト、室内温度設定値オブジェクト、緊急停止オブジェクト等の、複数のオブジェクトが設定される。さらに各オブジェクトに対して、プロパティが与えられる。
【0084】
例えばプロパティには、オブジェクト識別子(Object_Identifier)、オブジェクト名(Object_Name)、デバイスタイプ(Device_Type)、現在値(Present_Value)が含まれる。
【0085】
オブジェクト識別子は、オブジェクトを識別するために使われるユニークな(つまり他のオブジェクトと重複使用されない)数値コードである。オブジェクト名は文字列型のプロパティであって、このオブジェクトに対する名前(例:〇〇室空調室外機1冷房運転)が設定される。
【0086】
デバイスタイプは文字列型のプロパティであって、例えばこのオブジェクトに対応する機能を実行するデバイス名(例:〇〇室空調室外機1)が設定される。現在値はいわゆるバイナリ型のプロパティであって、非運転中(INACTIVE)または運転中(ACTIVE)のどちらかの値が設定される。なお、室内温度設定値オブジェクト等の、数値が現在値として用いられるオブジェクトにおいては、現在値はアナログ型のプロパティとなる。
【0087】
図8を参照して、運転設定決定部95Aにより設定された室内機91Aの運転設定情報は、オブジェクトの形式で下位制御装置100の運転設定記憶部108に送信され記憶される。例えば室内機91Aの運転設定が暖房設定から送風設定に切り替わった時には、現在値プロパティが運転中から非運転中に切り替わった暖房運転モードオブジェクトデータが、運転設定決定部95Aから下位制御装置100に送信される。またこれと併せて、現在値プロパティが非運転中から運転中に切り替わった送風運転モードオブジェクトデータが、運転設定決定部95Aから下位制御装置100に送信される。
【0088】
図7、
図8を参照して、ローラーモーター35A-35C及びルーバーモーター54A-54Cを制御する制御器36A-36Cのハードディスクドライブ、またはCD-ROM等の非一過性の記憶媒体には、排気供給室外機の設定プログラムが記憶される。当該プログラムを制御器36A-36CのCPUが実行することで、制御器36A-36Cには、
図8に示す各機能部が構築される。
【0089】
なお
図8では制御器36Aの機能ブロックのみ例示されているが、これと同様の機能ブロックが他の制御器36B,36Cにも構築される。例えば下記の説明において、符号末尾のサフィックス「A」が適宜「B」または「C」に変更されることで、制御器36B,36Cの構成説明となる。
【0090】
制御器36Aは、機能ブロックとして送受信部37A、排気供給室外機選択部38A、及び対象機記憶部39Aを備える。対象機記憶部39Aには、
図9に例示される対象機リストが記憶される。
【0091】
対象機とは、第二列グループ70(
図5参照)の室外機10D-10Fのうち、第一列グループ60の室外機10A-10Cから排気を供給可能な候補機を指す。この対象機は、室外機10A-10Cのそれぞれに対して、複数台設定可能となっている。
【0092】
図9を参照して、対象機には予めメイン/サブとの序列が定められる。後述される排気供給室外機の設定フロー(
図10参照)では、このうちのどちらかが、排気供給室外機に設定される。
【0093】
例えば室外機10Aにとって直近の室外機10Dがメイン対象機に設定される。また室外機10Dに隣接した室外機10Eがサブ対象機に設定される。また、室外機10Cでは、室外機10Fがメイン対象機に設定され、室外機10Eがサブ対象機に設定される。さらに室外機10Bでは、室外機10Eがメイン対象機に設定され、室外機10D,10Fがサブ対象機に設定される。このようにサブ対象機が複数台に及ぶ場合は、サブ対象機内で更なる序列(サブ1及びサブ2)が設定されてもよい。
【0094】
このように、第二列グループの室外機10D-10Fが、第一列グループの各室外機10A-10Cの対象機として重複して設定される。
【0095】
さらに対象機リストには、各対象機のデバイスタイプ、オブジェクト名、オブジェクト識別子が記憶される。加えて、対象機リストには、各対象機に排気を送るためのリング角が記憶される。例えばメイン対象機である室外機10Dに対して、リング角が原点位置(つまりβmain=0°)に設定される。さらにサブ対象機である室外機10Eに対して、原点位置に対して時計回りに45°回転した角度がリング角に設定される(つまりβsub=45°)。
【0096】
<排気供給室外機の設定フロー>
図10には、本実施形態に係る空調用室外機の排熱利用システムにおける、排気供給室外機の設定フローが例示される。以下に説明されるように、排気供給室外機の設定フローでは、制御器36A-36Cは、ルーバー機構40A-40C及び回転機構30A-30Cを制御する。この制御は、第一列グループ60の室外機10A-10C及び第二列グループ70の室外機10D-10Fの運転設定に応じて実行される。
【0097】
なお以下では、室外機10Aの制御器36Aがこのフローの実行主体となるが、他の制御器36B,36Cでも以下の説明と同様の処理が実行される。
【0098】
制御器36Aの排気供給室外機選択部38A(
図8参照)は、取付先の室外機10Aが暖房休止中かつ冷房休止中であるか否かを判定する(S10)。例えば排気供給室外機選択部38Aは、下位制御装置100の運転設定記憶部108に記憶されたデータから、室外機10Aのオブジェクトである、「105室空調室外機1冷房運転」及び「105室空調室外機1暖房運転」のデータを取得する。さら排気供給室外機選択部38Aは、これらのオブジェクトにおける現在値がともに「INACTIVE」であるか否かを判定する。
【0099】
取付先の室外機10Aが暖房休止中かつ冷房休止中である場合、排気供給室外機選択部38Aは、ルーバーモーター54A(
図5参照)のルーバー角を原点位置(α
0)に設定する(S36)。さらに排気供給室外機選択部38Aは、ローラーモーター35Aのリング角を原点位置(β
0)に設定する(S38)。
【0100】
ステップS10にて、取付先の室外機10Aが暖房運転中または冷房運転中である場合、排気供給室外機選択部38Aは、制御器36Aのメイン対象機である室外機10Dが暖房休止中かつ冷房休止中であるか否かを判定する(S12)。
【0101】
例えば排気供給室外機選択部38Aは、下位制御装置100の運転設定記憶部108に記憶されたデータから、室外機10Dのオブジェクトである、「105室空調室外機4冷房運転」及び「105室空調室外機4暖房運転」のデータを取得する。さらに排気供給室外機選択部38Aは、これらのオブジェクトにおける現在値がともに「INACTIVE」であるか否かを判定する。
【0102】
室外機10Dが暖房運転中または冷房運転中である場合、排気供給室外機選択部38Aは、取付先の室外機10Aと、メイン対象機10Dの暖房/冷房運転設定が互いに異なっているか否かを判定する(S14)。
【0103】
例えば排気供給室外機選択部38Aは、既に取得済みの室外機10Aのオブジェクトである、「105室空調室外機1冷房運転」及び「105室空調室外機1暖房運転」の現在値プロパティを参照する。さらに排気供給室外機選択部38Aは、室外機10Dのオブジェクトである、「105室空調室外機4冷房運転」及び「105室空調室外機4暖房運転」の現在地プロパティを参照する。これらの現在値プロパティの比較により、室外機10A,10Dの運転設定が互いに異なっているか否かを判定可能となる。
【0104】
取付先の室外機10Aと、メイン対象機10Dの暖房/冷房運転設定が互いに異なっている場合、排気供給室外機選択部38Aは、メイン対象機である室外機10Dを、排気供給室外機に決定する(S16)。
【0105】
上記決定を踏まえて排気供給室外機選択部38Aは、ルーバーモーター54A(
図5参照)のルーバー角を後方位置(α
back)に設定する(S18)。さらに排気供給室外機選択部38Aは、ローラーモーター35Aのリング角をメイン位置(β
main)に設定する(S20)。このような角度設定により、室外機10Aの排気が室外機10Dに供給される。
【0106】
ステップS12に戻り、メイン対象機である室外機10Dが暖房休止中かつ冷房休止中である場合、フローはステップS22に進む。またステップS14を参照して、制御器36Aの取付先の室外機10Aの冷暖房運転設定とメイン対象機である室外機10Dの冷暖房運転設定が同一である場合も、フローはステップS22に進む。ステップS22では、排気供給室外機選択部38Aが、サブ対象機である室外機10Eが暖房休止中かつ冷房休止中であるか否かを判定する。
【0107】
例えば排気供給室外機選択部38Aは、下位制御装置100の運転設定記憶部108に記憶されたデータから、室外機10Eのオブジェクトである、「105室空調室外機5冷房運転」及び「105室空調室外機5暖房運転」のデータを取得する。さらに排気供給室外機選択部38Aは、これらのオブジェクトにおける現在値がともに「INACTIVE」であるか否かを判定する。
【0108】
室外機10Eが暖房休止中かつ冷房休止中であるときには、排気供給室外機選択部38Aの処理はステップS36,S38に進む。
【0109】
一方、室外機10Eが暖房運転中または冷房運転中である場合、排気供給室外機選択部38Aは、取付先の室外機10Aと、サブ対象機10Eの暖房/冷房運転設定が互いに異なっているか否かを判定する(S24)。この判定では、上述した冷房/暖房運転オブジェクトの現在値プロパティが比較される。
【0110】
制御器36Aの取付先の室外機10Aの冷暖房運転設定とサブ対象機である室外機10Eの冷暖房運転設定が同一である場合、排気供給室外機選択部38Aは、ルーバーモーター54A(
図5参照)のルーバー角を前方位置(α
front)に設定する(S26)。これにより、室外機10Aから室外機10D,10Eへの排気流入が抑制される。さらに排気供給室外機選択部38Aは、ローラーモーター35Aのリング角を原点位置(β
0)に設定する(S28)。
【0111】
ステップS24において、取付先の室外機10Aと、サブ対象機10Eの暖房/冷房運転設定が互いに異なっている場合、排気供給室外機選択部38Aは、サブ対象機である室外機10Eを、排気供給室外機に決定する(S30)。
【0112】
上記決定を踏まえて排気供給室外機選択部38Aは、ルーバーモーター54A(
図5参照)のルーバー角を後方位置(α
back)に設定する(S32)。さらに排気供給室外機選択部38Aは、ローラーモーター35Aのリング角をサブ位置(β
sub)に設定する(S34)。このような角度設定により、室外機10Aの排気が室外機10Eに供給される。
【0113】
以上のような、排気供給室外機の設定フローによれば、制御器36Aの取付先の室外機10Aの運転設定と、メイン対象機及びサブ対象機の運転設定との比較に基づいて、室外機10Aに排気を供給する排気供給室外機が設定される。
【0114】
また排気供給室外機の候補として複数の対象機(メイン/サブ)が設定されることで、例えば
図11に例示されるように、第二列グループ70の一台の室外機10Eに、第一列グループ60の三台の室外機10A-10Cの排気が集中的に供給可能となる。
【0115】
<排気供給室外機の設定フローの別例>
図10に例示される設定フローでは、対象機の暖房/冷房運転の有無に基づいて排気供給室外機が決定されていたが、これに代えて、各対象機と接続された室内機の運転負荷に基づいて、排気供給室外機が決定されてもよい。
【0116】
この場合制御器36A-36Cは、複数の対象機10D-10Fのうち、接続先の室内機の運転負荷が相対的に最も高い室外機を排気供給室外機に定める。運転負荷を示す指標として、例えば操作パネルに設けられた風量設定値が参照される。
【0117】
この例によれば、第二列グループ70の暖房/冷房運転中の室外機10D-10Fの中から、相対的に運転負荷の高い室外機10に集中して第一列グループ60の室外機10A-10Cの排気を供給することが出来る。
【0118】
図13には、
図10とは別例に係る、排気供給室外機の設定フローが例示される。なおこのフローの実行に当たり、対象機リスト(
図9参照)からメイン/サブの設定が省略される。つまりリストアップされた複数の対象機に対する序列が解除される。
【0119】
なお以下では、室外機10Aの制御器36Aがこのフローの実行主体となるが、他の制御器36B,36Cでも以下の説明と同様の処理が実行される。
【0120】
制御器36Aの排気供給室外機選択部38A(
図8参照)は、取付先の室外機10Aが暖房休止中かつ冷房休止中であるか否かを判定する(S40)。例えば排気供給室外機選択部38Aは、下位制御装置100の運転設定記憶部108に記憶されたデータから、室外機10Aのオブジェクトである、「105室空調室外機1冷房運転」及び「105室空調室外機1暖房運転」のデータを取得する。さらに排気供給室外機選択部38Aは、これらのオブジェクトにおける現在値がともに「INACTIVE」であるか否かを判定する。
【0121】
取付先の室外機10Aが暖房休止中かつ冷房休止中である場合、排気供給室外機選択部38Aは、ルーバーモーター54A(
図5参照)のルーバー角を原点位置(α
0)に設定する(S60)。さらに排気供給室外機選択部38Aは、ローラーモーター35Aのリング角を原点位置(β
0)に設定する(S62)。
【0122】
ステップS40にて、取付先の室外機10Aが暖房運転中または冷房運転中である場合、排気供給室外機選択部38Aは、カウンタkを初期値1に設定する(S42)。このカウンタは、
図9の対象機リストの筆頭に設けられたナンバーが該当する。
【0123】
排気供給室外機選択部38Aは、k番目(k=1)の対象機である室外機10Dが、暖房休止中かつ冷房休止中であるか否かを判定する(S44)。例えばステップS40と同様に、室外機10Dに対応する暖房/冷房運転オブジェクトのプロパティを参照することで判定が行われる。
【0124】
室外機10Dが暖房休止中かつ冷房休止中である場合、排気供給室外機選択部38Aは、室外機10Dを候補機から除外する(S48)。一方、室外機10Dが暖房運転中または冷房運転中である場合、排気供給室外機選択部38Aは、取付先室外機である室外機10Aと、k番目の対象機である室外機10Dの暖房/冷房設定が異なっているか否かを判定する(S45)。この判定では例えば
図10のステップS14と同様の処理が実行される。
【0125】
室外機10Aと室外機10Dの暖房/冷房設定が同一である場合、排気供給室外機選択部38Aは、室外機10Dを候補機から除外する(S48)。一方、室外機10Aと室外機10Dの暖房/冷房設定が異なっている場合、排気供給室外機選択部38Aは、室外機10Dを候補機に含める(S46)。ここで候補機とは、排気供給室外機の候補となる室外機10を指す。
【0126】
次に排気供給室外機選択部38Aは、カウンタkが最終値kendであるか否かを判定する(S50)。カウンタkが最終値kendに至っていない場合に、排気供給室外機選択部38Aは、カウンタkをインクリメントして(S52)、ステップS44の処理まで戻る。
【0127】
カウンタkが最終値kendに至った場合、排気供給室外機選択部38Aは、候補機の台数が0を超過しているか否かを判定する(S53)。候補機台数が0台の場合、フローはステップS60に進む。
【0128】
または、ステップS60に進む前に、取付先の室外機Aと対向して後方に配置された室外機Dの運転設定を確認するステップが設けられてもよい。すなわち、排気供給室外機選択部38Aは、室外機Aと室外機Dの運転設定が同一であるか否かを判定する。同一である場合には、排気供給室外機選択部38Aはルーバー角をαfrontに設定する。そうでない場合、フローはステップS60に進む。
【0129】
ステップS53において候補機台数が0を超過する場合、排気供給室外機選択部38Aは、候補機のうち、接続先の室内機に設定された風量(風量設定値)が最大の室外機10を、排気供給室外機に決定する(S54)。すなわち室内機の運転負荷の度合いを示す指標として、風量設定値が利用される。
【0130】
例えば排気供給室外機選択部38Aは、下位制御装置100の運転設定記憶部108を参照して、候補機である室外機10Eに関連する操作パネルのオブジェクトデータを取得する。すなわち排気供給室外機選択部38Aは、室外機10Eの接続先である室内機を操作対象とする操作パネル関連のオブジェクト「105室空調室内機5風量設定」の現在値、つまり風量設定値を取得する。
【0131】
上記決定を踏まえて排気供給室外機選択部38Aは、ルーバーモーター54A(
図5参照)のルーバー角を後方位置(α
back)に設定する(S56)。さらに排気供給室外機選択部38Aは、ローラーモーター35Aのリング角をk番目の室外機10の角度位置(β
k)に設定する(S58)。
【0132】
第一列グループ60の例えば室外機10Aの対象機である、第二列グループ70の室外機10D,10Eが、ともに室外機10Aとは異なる運転設定である場合がある。例えば室外機10Aが暖房運転で室外機10D,10Eが冷房運転である場合がこれに該当する。
図13の設定フローによれば、このような場合に、室外機10D,10Eのうち運転負荷の高い方に室外機10Aの排気を供給することが可能となる。
【0133】
なお
図13の例では、室内機の運転負荷を示す指標として、風量設定値が用いられたが、本実施形態に係る空調用室外機の排熱利用システムは、この形態に限定されない。例えば風量設定値に代わり、またはこれに加えて、設定温度と室温実測値との差分が最も大きい室内機が、排気供給室外機に決定される。
【符号の説明】
【0134】
10 室外機、18 排気口、23-25 吸込口、26 熱交換器、30 回転機構、31 クロスローラーベアリング、34 プーリー、35 ローラーモーター、36 制御器、40 ルーバー機構、44 シャフト、54 ルーバーモーター、55 吹出口、60 第一列グループ、70 第二列グループ、80 架台、91A-91F 室内機、92A-92F 室温センサ、93A-93F 操作パネル、95A 運転設定決定部、96A 設定温度記憶部。