(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018109
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】カートン
(51)【国際特許分類】
B65D 5/66 20060101AFI20240201BHJP
B65D 5/43 20060101ALI20240201BHJP
B65D 5/54 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B65D5/66 301H
B65D5/43
B65D5/54 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121211
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】里見 杏彩
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA04
3E060BA08
3E060BC04
3E060CE04
3E060CE07
3E060CE14
3E060CE15
3E060CE18
3E060CE19
3E060CE22
3E060CF05
3E060DA15
3E060DA30
3E060EA06
(57)【要約】
【課題】内部スペースを有効しつつ蓋パネルの開放を制限できるカートンの提供を目的の一つとする。
【解決手段】ブランク板を製函して形成されるカートンであって、前面パネルと、前面パネルの後方で前面パネルと対向する後面パネルと、前面パネルの一端に連接され前面パネルから後方側に延びる蓋パネルと、蓋パネルの後方側の一端に連接され後面パネルの前方を向く面に沿って配置されるタックと、後面パネルに連接される差込片と、を備え、蓋パネルとタックとの境界部には、差込片が差し込まれる差込用スリットが設けられ、差込片は、幅方向両側からそれぞれ幅方向に突出する一対の突出部を有し、差込片は、幅方向の全体に亘り平坦に形成され、蓋パネルには、それぞれ差込用スリットの長さ方向の両端部から前方に延びる一対の破断線が設けられる、カートン。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブランク板を製函して形成されるカートンであって、
前面パネルと、
前記前面パネルの後方で前記前面パネルと対向する後面パネルと、
前記前面パネルの一端に連接され前記前面パネルから後方側に延びる蓋パネルと、
前記蓋パネルの後方側の一端に連接され前記後面パネルの前方を向く面に沿って配置されるタックと、
前記後面パネルに連接される差込片と、を備え、
前記蓋パネルと前記タックとの境界部には、前記差込片が差し込まれる差込用スリットが設けられ、
前記差込片は、幅方向両側からそれぞれ幅方向に突出する一対の突出部を有し、
前記差込片は、幅方向の全体に亘り平坦に形成され、
前記蓋パネルには、それぞれ差込用スリットの長さ方向の両端部から前方に延びる一対の破断線が設けられる、
カートン。
【請求項2】
前記差込片の前記突出部における幅方向寸法は、前記差込用スリットの全長よりも大きく、
前記差込片の基端部における幅方向寸法は、前記差込用スリットの全長よりも小さい、
請求項1に記載のカートン。
【請求項3】
前記差込片の幅方向寸法は、一対の前記突出部と重なる部分における一対の前記破断線同士の間の距離よりも大きい、
請求項1に記載のカートン。
【請求項4】
前記突出部の突出量は、5mm以下である、
請求項1に記載のカートン。
【請求項5】
前記差込片の差込方向における前記破断線の長さは、前記差込片の差込方向における長さの100%未満である、
請求項1のカートン。
【請求項6】
前記差込片の差込方向における前記破断線の長さは、前記差込片の差込方向における長さの90%以上である、
請求項1のカートン。
【請求項7】
前記後面パネルには、前記差込片の基端部の幅方向両端から延びる一対の切込線が設けられる、
請求項1に記載のカートン。
【請求項8】
前記差込用スリットは、
前記蓋パネルと前記タックとの境界部の罫線に沿って直線状に延びる直線スリット部と、
前記直線スリット部の長さ方向の両端部に位置する一対の係止スリット部と、を有し、
前記係止スリット部は、前記差込用スリットの長さ方向外側に向かうに従い前記前面パネル側に向かって延びて、前記差込用スリットの長さ方向外側の端部において前記罫線よりも前記前面パネル側に位置し、
前記差込片の幅方向において、前記突出部は前記係止スリット部に重なる、
請求項1に記載のカートン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、商品の包装容器として、蓋部分にストッパが設けられるカートンが知られている。特許文献1には、蓋部に向けられるスリットに曲折した状態の差し込み片を挿入し、当該差し込み片が内部で開くことで開封が制限される不正開封防止箱が開示されている。この不正開封防止箱の蓋部には、開封時に差し込み片をスリットから抜去する際に破断するための破断線が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の係止構造では、差し込み片が曲折された状態でスリットに挿入されるため、差し込み片の曲折部が箱内部のスペースを一部占拠し、箱の内容量が制限されるという問題があった。
【0005】
本発明は、内部スペースを有効しつつ蓋パネルの開放を制限できるカートンの提供を目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様のカートンは、ブランク板を製函して形成されるカートンであって、前面パネルと、前記前面パネルの後方で前記前面パネルと対向する後面パネルと、前記前面パネルの一端に連接され前記前面パネルから後方側に延びる蓋パネルと、前記蓋パネルの後方側の一端に連接され前記後面パネルの前方を向く面に沿って配置されるタックと、前記後面パネルに連接される差込片と、を備え、前記蓋パネルと前記タックとの境界部には、前記差込片が差し込まれる差込用スリットが設けられ、前記差込片は、幅方向両側からそれぞれ幅方向に突出する一対の突出部を有し、前記差込片は、幅方向の全体に亘り平坦に形成され、前記蓋パネルには、それぞれ差込用スリットの長さ方向の両端部から前方に延びる一対の破断線が設けられる。
【0007】
上述のカートンにおいて、前記差込片の前記突出部における幅方向寸法は、前記差込用スリットの全長よりも大きく、前記差込片の基端部における幅方向寸法は、前記差込用スリットの全長よりも小さい構成としてもよい。
【0008】
上述のカートンにおいて、前記差込片の幅方向寸法は、一対の前記突出部と重なる部分における一対の前記破断線同士の間の距離よりも大きい構成としてもよい。
【0009】
上述のカートンにおいて、前記突出部の突出量は、5mm以下である構成としてもよい。
【0010】
上述のカートンにおいて、前記差込片の差込方向における前記破断線の長さは、前記差込片の差込方向における長さの100%未満である構成としてもよい。
【0011】
上述のカートンにおいて、前記差込片の差込方向における前記破断線の長さは、前記差込片の差込方向における長さの90%以上である構成としてもよい。
【0012】
上述のカートンにおいて、前記後面パネルには、前記差込片の基端部の幅方向両端から延びる一対の切込線が設けられる構成としてもよい。
【0013】
上述のカートンにおいて、前記差込用スリットは、前記蓋パネルと前記タックとの境界部の罫線に沿って直線状に延びる直線スリット部と、前記直線スリット部の長さ方向の両端部に位置する一対の係止スリット部と、を有し、前記係止スリット部は、前記差込用スリットの長さ方向外側に向かうに従い前記前面パネル側に向かって延びて、前記差込用スリットの長さ方向外側の端部において前記罫線よりも前記前面パネル側に位置し、前記差込片の幅方向において、前記突出部は前記係止スリット部に重なる構成としてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、内部スペースを有効しつつ蓋パネルの開放を制限できるカートンを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、一実施形態のカートンを展開したブランク板の平面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態のカートンの斜視図であり、蓋パネルを開放した状態を示す。
【
図3】
図3は、一実施形態のカートンの斜視図であり、蓋パネルを閉じて差込片を差込用スリットに差し込む手順を示す。
【
図4】
図4は、一実施形態のカートンの斜視図であり、閉塞状態を示す。
【
図5】
図5は、一実施形態のカートンの斜視図であり、開封状態を示す。
【
図6】
図6は、一実施形態のカートンの閉塞状態の蓋パネルの正面図である。
【
図7】
図7は、変形例のカートンを展開したブランク板の平面図の一部である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本実施形態のカートン1について説明する。なお、以下の説明において用いる前後方向、左右方向、および上下方向は、カートン1の開封時の姿勢の一例であり、カートン1の開封時の姿勢を本明細書中の前後方向、左右方向、および上下方向の記載に限定するものではない。
【0017】
図1は、カートン1を展開したブランク板2の平面図であり、ブランク板2をその内面側から見た状態を示す。
図2~
図5は、本実施形態のカートン1の斜視図であり、蓋パネル40を閉塞しロックする手順を示す図である。
なおブランク板2の内面とは、ブランク板2を製函してカートン1を形成した際に内側に位置する面のことである。反対に、ブランク板2の外面とは、内面の反対側に位置する面のことである。ブランク板2の材料としては、保形性を有する厚紙やプラスチックシートなどが用いられ得る。
【0018】
本実施形態のカートン1は、
図1に示すブランク板2を製函して形成される。
図1に示すように、ブランク板2は、前面パネル10と、後面パネル20と、第1側面パネル30Aと、第2側面パネル30Bと、接着部21と、一対の蓋パネル40と、一対のタック41と、一対の第1フラップ31Aと、一対の第2フラップ31Bと、一対の差込片50と、を有する。すなわち、カートン1は、前面パネル10と、後面パネル20と、第1側面パネル30Aと、第2側面パネル30Bと、接着部21と、一対の蓋パネル40と、一対のタック41と、一対の第1フラップ31Aと、一対の第2フラップ31Bと、一対の差込片50と、を有する。
【0019】
第1側面パネル30A、前面パネル10、第2側面パネル30B、後面パネル20、および接着部21は、一方の端部(第1端部)3から他方の端部(第2端部)4へ向かって一方向に順に連接される。以下、ブランク板2の説明において、第1側面パネル30A、前面パネル10、第2側面パネル30B、後面パネル20、および接着部21が連接される方向を第1方向D1と呼び、第1方向D1と直交する方向を第2方向D2と呼ぶ。
【0020】
第1側面パネル30Aと前面パネル10とは、罫線16によって画定される。前面パネル10と第2側面パネル30Bとは、罫線26によって画定される。第2側面パネル30Bと後面パネル20とは、罫線36によって画定される。後面パネル20と接着部21とは罫線46によって画定される。罫線16,26,36,46は、第2方向D2に延びる。
【0021】
一対の蓋パネル40は、罫線15を介して前面パネル10の第2方向D2の両側に連接される。さらに、一対のタック41は、罫線45を介して蓋パネル40の第2方向D2の端部に連接される。一対の第1フラップ31Aは、罫線35Aを介して第1側面パネル30Aに連接される。一対の第2フラップ31Bは、罫線35Bを介して第2側面パネル30Bに連接される。罫線15、35A,35B,45は、第1方向D1に延びる。
【0022】
罫線15,16,35A,35B,36,45,46は、ブランク板2を製函してカートン1を作製する際に折線として機能する。本実施形態において、罫線を境界とする一対のパネル同士は、罫線を折線として、カートン1の内面側に折り込まれる。
【0023】
差込片50は、第1折線51を介して後面パネル20の第2方向D2の両側に連接される。差込片50の第1方向D1の幅寸法は、後面パネル20の第1方向D1の幅寸法に対して十分に小さい。差込片50は、後面パネル20の第2方向D2の端部において第1方向D1中央に配置される。
【0024】
差込片50は、差込片本体53と、差込片本体53の幅方向両側に位置する突出部52と、を有する。差込片50は、幅方向の全体に亘り平坦に形成される。すなわち、差込片50は、幅方向の全体に亘って折線が設けられていない。
【0025】
差込片本体53は、第1方向D1に沿って帯状に延びる。ここで、後面パネル20に対して差込片50が延び出る方向を差込方向と呼ぶ。また、後面パネル20に対し差込片50が配置される側を、差込方向前方側と呼び、差込方向前方側の反対側を差込方向後方側と呼ぶ。差込片50は、差込方向に沿って後述する差込用スリット42に差し込まれる。なお、ブランク板2において、差込方向は、第2方向D2と一致する。
【0026】
突出部52は、差込片50において、幅方向両側からそれぞれ幅方向に突出する。突出部52は、略三角形状である。突出部52は、幅方向外側の端部に位置する頂部52cと、頂部52cから差込方向前方側に沿って延びる第1傾斜部52aと、頂部52cから差込方向後方側に延びる第2傾斜部52bと、を有する。第1傾斜部52aは、差込方向前方側に向かうに従い幅方向内側に向かって傾斜する。一方で、第2傾斜部52bは、差込方向後方側に向かうに従い幅方向内側に向かって傾斜する。第1傾斜部52aの差込方向に対する傾斜角は、第2傾斜部52bの差込方向に対する傾斜角よりも小さい。
【0027】
後面パネル20の第2方向D2の両端部には、それぞれ一対の切込線22が設けられる。一対の切込線22は、差込片50の基端部50aの幅方向両端から延びる。本実施形態において、一対の切込線22は、互いに平行に延びる。しかしながら、一対の切込線22は、それぞれが第2方向D2に沿う方向に延びていれば必ずしも平行でなくてもよい。一対の切込線22の第2方向D2に沿う長さは、互いに等しい。
【0028】
なお、本明細書において、「切込線」とは、ブランク板の縁部から直線状又は曲線状にブランク板を切断する線である。切込線は、ブランク板の縁部に切刃を入れて切り込むことで形成されている。ブランク板は、切込線において予め分断されている。
【0029】
後面パネル20において、一対の切込線22の間には、起立片23が設けられる。すなわち、後面パネル20には、起立片23が設けられる。起立片23は、後面パネル20において、第1折線51と、一対の切込線22と、一対の切込線22の先端同士を繋ぐ第2折線24と、によって画定される。
【0030】
第1折線51、および第2折線24は、第1方向D1に沿って延びる。差込片50は、第1折線51において起立片23に対して折り曲げることができる。また、起立片23は、第2折線24において、後面パネル20の本体20aに対して折り曲げることができる。
【0031】
蓋パネル40とタック41との境界部には、差込用スリット42が設けられる。差込用スリット42は、罫線45に重なる位置に設けられる。差込用スリット42は、罫線45の長さ方向の中央に配置される。後述するように、差込用スリット42には、差込片50が差し込まれる。
【0032】
なお、本明細書において、「スリット」とは、直線状又は曲線状にブランク板を切断する線である。スリット、ブランク板の内部に切刃を入れて切り込むことで形成されている。ブランク板は、スリットにおいて予め分断されている。なお、スリットは、ブランク板の端部に達していない点において切込線と異なる。
【0033】
差込用スリット42は、第1方向D1に沿って直線状に延びる直線スリット部42aと、直線スリット部42aの長さ方向の両端部に段差状に繋がる段差スリット部42bと、を有する。直線スリット部42aは、段差スリット部42bに対して十分に長い。段差スリット部42bは、直線スリット部42aに対し第2方向D2の蓋パネル40側に配置される。段差スリット部42bは、蓋パネル40とタック41との境界部の罫線45上に配置される。したがって、直線スリット部42aは、罫線45に対してタック41側にずらされて配置される。
【0034】
蓋パネル40には、一対の破断線43が設けられる。一対の破断線43は、それぞれ差込用スリットの長さ方向の両端部から延びる。本実施形態において、一対の破断線43は、互いに平行に延びる。しかしながら、一対の破断線43は、それぞれが第2方向D2に沿う方向に延びていれば必ずしも平行でなくてもよい。一対の破断線43の第2方向D2に沿う長さは、互いに等しい。
【0035】
なお、本明細書において、「破断線」とは、直線状又は曲線状に延びる線であって、ブランク板を2つの領域に画定する。破断線が設けられるブランク板は、破断線に沿って2つの領域に破断される。破断線は、例えば、ミシン目である。
【0036】
蓋パネル40において、一対の破断線43の間には、開放片44が設けられる。すなわち、蓋パネル40には、開放片44が設けられる。開放片44は、蓋パネル40において、差込用スリット42と、一対の破断線43と、一対の破断線43の先端同士を繋ぐ第3折線47と、によって画定される。
【0037】
第3折線47は、第1方向D1に沿って延びる。開放片44は、第3折線47において蓋パネル40の本体40aに対して折り曲げることができる。
【0038】
図2に示すように、第1側面パネル30A、前面パネル10、第2側面パネル30B、および後面パネル20は、角筒部5を構成する。角筒部5において、接着部21は、ブランク板2を製函して、カートン1を形成する際に第1側面パネル30Aの裏面側に接着される。角筒部5において、前面パネル10と後面パネル20とは、前後方向に対向する。すなわち、後面パネル20は、前面パネル10の後方で前面パネル10と対向する。第1側面パネル30Aと第2側面パネル30Bとは、左右方向に対向する。前面パネル10、後面パネル20、第1側面パネル30A、および第2側面パネル30Bは、カートン1の内部空間を前後左右から囲む。
【0039】
角筒部5は、上側および下側に開口する。角筒部5の上側と下側とには、蓋パネル40、タック41、第1フラップ31A、第2フラップ31B、および差込片50は、それぞれ1つずつ配置される。カートン1において、角筒部5の上側および下側の構造は、互いに同じである。以下、各図を基にカートン1の上部構造について説明し、下部構造の説明については、省略する。
【0040】
第1フラップ31A、および第2フラップ31Bは、角筒部5の開口5a側に折り込まれる。第1フラップ31A、および第2フラップ31Bは、カートン1の角筒部5を補強する。第1フラップ31A、および第2フラップ31Bは、カートン1の六面体形状を安定させる。
【0041】
図3に示すように蓋パネル40は、前面パネル10の一端に連接される。蓋パネル40は、罫線15を折線として前面パネル10に対し折り込まれる。これにより、蓋パネル40は、前面パネル10から後方側に延びる。蓋パネル40は、角筒部5の開口5aを覆う。
【0042】
タック41は、蓋パネル40の後方側の一端に連接される。タック41は、罫線45を折線として蓋パネル40に対し折り込まれる。これにより、タック41は、蓋パネル40から角筒部5の内部側に延びる。タック41は、角筒部5の内部で後面パネル20の前方を向く面に沿って配置される。また、タック41は、第1フラップ31A、および第2フラップ31Bの後方側の端部と後面パネル20の前方を向く面との間に差し込まれる。
【0043】
タック41と蓋パネル40とを罫線45で折り曲げることで、差込用スリット42の直線スリット部42aが開口する。直線スリット部42aは、蓋パネル40よりもタック41側に配置されるため、蓋パネル40のうち直線スリット部42aに配置される部分が直線スリット部42aの開口に対して庇状に後方に突出する。
【0044】
図2に示すように、差込片50は、起立片23を介して後面パネル20の本体20aに接続される。差込片50は、蓋パネル40によって角筒部5の開口5aを閉じる際に、第2折線24において折られて起立片23とともに後面パネル20に対し後方に退避させる。これにより、蓋パネル40で開口5aを閉じる際に、タック41の開口5aへの挿入を差込片50が阻害することがない。
【0045】
図3に示すように、差込片50は、第1折線51において起立片23に対し前方に折り曲げられることで、先端部を差込用スリット42に向けることができる。上述したように、直線スリット部42aの作用によって、直線スリット部42aに沿って蓋パネル40に庇状の部分が形成されるため、差込片50を庇状の部分に沿わせることで、差込片50を差込用スリット42に差し込みやすくなる。
【0046】
差込片50の幅寸法は、差込方向前方の先端部において最も小さい。差込片50の差込方向前方の先端部の幅寸法は、直線スリット部42aの長さよりも大きい。このため、差込片50を大きく開いた直線スリット部42aに差し込みやすい。また、差込片50は、突出部52の第1傾斜部52aが設けられることで、差込方向の後方側に向かうに従い幅寸が徐々に広がる。このため、差込片50は、第1傾斜部52aによって段差スリット部42bを押し広げながら差込用スリット42に差し込まれる。
【0047】
図4に示すように、差込用スリット42に差込片50を差し込むことで、蓋パネル40の移動が、差込片50により制限され、蓋パネル40の開放が抑制される。以下の説明において、差込用スリット42に差込片50を差し込んだ状態を閉塞状態と呼ぶ。
【0048】
図6は、閉塞状態の蓋パネル40の正面図である。本実施形態において、差込片50の突出部52における幅方向寸法d1は、差込用スリット42の全長Sよりも大きい。また、上述したように、差込片50は、幅方向の全体に亘り平坦に形成される。このため、差込片50は、幅方向に撓ませられた状態で差込用スリット42に差し込まれる。
【0049】
また、本実施形態において、差込片50の基端部50aにおける幅方向寸法d2は、差込用スリット42の全長Sよりも小さい。閉塞状態において、差込片50は、基端部50aにおいて差込用スリット42の内部に配置される。したがって、差込片50は、閉塞状態において撓むことなく蓋パネル40に沿って平坦状に配置される。
なお、差込片50の基端部50aとは、差込片50のうち起立片23に繋がる端部であり、第1折線51に沿う部分である。
【0050】
本実施形態によれば、差込片50が閉塞状態においても平坦状である。このため、差込片50の全体は、カートン1の内部で蓋パネル40に沿って配置される。このため、閉塞状態で差込片50がカートン1の内部の収容空間を圧迫することがなく、カートン1の内部空間を有効利用できる。さらに、差込片50を折り曲げた状態で差込用スリット42に差し込んでカートン1の内部で開かせる場合と比較して、閉塞状態に移行する際に折り曲げた差込片50が広がるための可動スペースを設ける必要がなく、カートン1の内部空間を有効利用できる。
【0051】
本実施形態によれば、差込片50の基端部50aにおける幅方向寸法d2は、差込用スリット42の全長Sよりも小さい。また、差込片50の突出部52における幅方向寸法(頂部52cからもう一方の頂部52cまでの長さ)D1が、差込用スリット42の全長Sよりも大きい。このため、閉塞状態から蓋パネル40を無理やり開放しよとしても、突出部52が差込用スリット42に干渉する。これにより、差込片50が蓋パネル40の開放をより確実に抑制する事ができる。
【0052】
特に本実施形態の突出部52は、差込方向前方を向く第1傾斜部52aの差込方向に対する傾斜角に対し、第2傾斜部52bの差込方向に対する傾斜角が大きい。このため、差込片50は、差込用スリット42への差込時には第1傾斜部52aによって差込片50を比較的容易に撓ませて差込用スリット42に差し込むことができる。一方で、差込片50は、差込用スリット42からの抜去時に第2傾斜部52bにおいて突出部52が引っかかり、差込片50が容易に差込用スリット42からの離脱が抑制される。
【0053】
図5に示すように、差込片50は、蓋パネル40を破断線43において破断することで、蓋パネル40の本体40aから独立して開放片44を本体40aから折り曲げることができる。これにより、蓋パネル40から開放片44を折り曲げることで、蓋パネル40には、タック41側の端部から広がる開口部44aが形成される。また、差込片50は、開口部44aから露出し、開口部44aから引き出すことで、差込片50と蓋パネル40との係止を解除できる。本実施形態によれば、閉塞状態から破断線43を破断することで、差込片50を開口部44aから引き出すことが可能となり、差込片50による蓋パネル40のロックを解除し、蓋パネル40を上側に移動させて角筒部5の開口5aを開放する事ができる。
【0054】
本実施形態によれば、差込片50による蓋パネル40のロックを解除するために、破断線43を破断する必要がある。したがって、蓋パネル40のロックが解除されたか否かを、破断線43の破断の有無によって判断できる。なお、以下の説明において、破断線43を破断し蓋パネル40の開放を行う状態を「開封状態」と呼ぶ。
【0055】
本実施形態の一対の破断線43は、差込用スリット42の幅方向端部から前面パネル10側に平行にのびる。したがって、一対の破断線43同士の距離Eは、差込用スリット42の全長Sと等しい。また、一対の破断線43同士の距離Eは、差込片50の幅寸法d1より大きい。
【0056】
本実施形態によれば、破断線43において蓋パネル40を破断した場合であっても、破断線43の破断によって形成される開口部44aに差込片50を押し込むことで、再び蓋パネル40をロックできる。開口部44aに差込片50を押し込むことで、開口部44aの縁部に、差込片50の突出部52が引っかかり、蓋パネル40を上側に持ち上げようと試みても、差込片50により蓋パネル40の開放が阻害され、閉塞状態と同様の効果を得ることができる。このため、破断線43を破断し閉塞状態を解除した後においても、差込片50によって蓋パネル40の開放を阻害する事ができる。以下の説明において、破断線43を破断し開封状態とした後に、再び蓋パネル40を閉じて差込片50によってロックする状態を、「再閉塞状態」と呼ぶ。
【0057】
本実施形態によれば、差込片50は、再閉塞状態においても、平坦状を維持する。このため、再閉塞状態において、突出部52で差込片50を開口部44aの縁部に引っかけることができる。また、蓋パネル40を閉じた後に差込片50を開口部44aの上側から押し込むだけの操作により、差込片50を撓ませて、容易に突出部52を開口部44aの縁部の下側に配置させることができる。すなわち、本実施形態によれば、開封状態から再閉塞状態への移行が容易である。
【0058】
なお、一対の破断線43は、必ずしも平行でなくてもよい。例えば、一対の破断線43は、前面パネル10側に向かうに従い互いに離間、又は近接するように形成されていてもよい。この場合においても、突出部52が破断線43に引っかかるように配置されていれば、再閉塞を実現できる。すなわち、差込片50の幅方向寸法d1は、一対の突出部52と重なる部分における一対の破断線43同士の間の距離Eよりも大きければ、上述の効果を得ることができる。
【0059】
本実施形態において、突出部52の突出量は、5mm以下であることが好ましい。突出部52の突出量が5mmを超えると差込片50の差込用スリット42への差し込みが困難になる。突出部52の突出量を5mm以下とすることで、差込片50を差込用スリット42に円滑に差し込むことができる。加えて、再閉塞後に再び差込片50の係止を解除する場合に、破断線43に沿って破断された縁部からの突出部52の離脱が難しくなりすぎる。本実施形態によれば、突出部52の突出量を5mm以下とすることで、差込片50の差込用スリット42への差し込みを容易とするとともに、再閉塞時の差込片50の係止の解除も円滑に行うことができる。
【0060】
また、突出部52の突出量は、1mm以上であることが好ましい。これにより、差込片50を差込用スリット42から離脱しようとしても、突出部52が十分に引っかかって差込片50が差込用スリット42から離脱することを抑制できる。また、差込片50の幅寸法は、突出部52の頂部52cにおいて最大であり、差込片50の幅寸法の最大値(幅寸法d1)は、差込用スリット42の長さに対して2mm以上大きいことが好ましい。これにより、突出部52の引っかかり高さを十分に確保して、差込片50が差込用スリットから離脱することを抑制できる。
【0061】
なお、本実施形態において、差込片本体53の幅方向の両端部は、差込片50の基端部50aの幅方向両端部から差込方向に延びる。したがって、「突出部52の突出量」とは、差込片50の基端部50aに対する、差込片50の幅方向の突出量である。
【0062】
差込片50の差込方向における破断線43の長さは、差込片50の長さの100%未満であることが好ましい。この場合、再閉塞状態で、差込片50の先端部が、開口部44aの縁部の下側に重なった状態にすることができる。再閉塞状態における差込片50を、蓋パネル40の下側に安定して配置することができ、再閉塞状態における蓋パネル40のロックの確実性を高めることができる。
【0063】
差込片50の差込方向における破断線43の長さは、差込片50の長さの90%以上であることが好ましい。差込片50の差込方向における破断線43の長さが、90%未満であると、差込片50が、開口部44aに対して差込方向において大きくなり過ぎて、再閉塞状態にする際に差込片50を開口部44aに対し押し込むことが難しくなる。本実施形態によれば、破断線43の差込方向の長さを差込片50の長さの90%以上とすることで、開口部44aに対する差込片50の押し込みが容易となり、再閉塞状態に容易に移行できる。
【0064】
本実施形態によれば、後面パネル20には、差込片50の基端部50aの幅方向両端から延びる一対の切込線22が設けられる。このため、差込片50の基端部50aに起立片23を設けることができ、差込片50の差込用スリット42への差込工程が容易となる。加えて、起立片23が設けられることで、閉塞状態で蓋パネル40を開こうとしても、第1折線51において差込片50が折れ曲がることに加え、第2折線24において起立片23が折れ曲がることで差込用スリット42からの抜去が阻害される。すなわち、本実施形態によれば、閉塞状態における蓋パネル40のロックを安定させることができる。
【0065】
(変形例)
次に、上述の実施形態に採用可能な変形例の差込用スリット142について、
図7および
図8を基に説明する。
図7は、本変形例の差込用スリット142を有するブランク板102の展開図の一部である。
図8は、
図7に示すブランク板102を製函して制作されたカートン101の斜視図である。
なお、本変形例に係る以下の説明において、上述の実施形態と同様の構成態様については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0066】
上述の実施形態と同様に、差込用スリット142は、蓋パネル40とタック41との境界部に設けられる。また、蓋パネル40とタック41との境界部には、罫線45が設けられる。差込用スリット142の少なくとも一部は、罫線45上に配置される。
【0067】
図7に示すように、本変形例の差込用スリット142は、直線スリット部142aと、直線スリット部142aの長さ方向の両端部に位置する一対の係止スリット部142bと、を有する。直線スリット部142aは、係止スリット部142bに対して十分に長い。
【0068】
本変形例の直線スリット部142aは、罫線45に沿って直線状に延びる。本変形例において、直線スリット部142aは、罫線45よりもタック41側に若干ずれて配置される。このため、
図8に示すように、タック41と蓋パネル40とを罫線45で折り曲げることで、蓋パネル40のうち直線スリット部142aに配置される部分が直線スリット部142aの開口に対して庇状に後方に突出する。このため、差込片50を庇状の部分に沿わせることで、差込片50を差込用スリット142に差し込みやすくなる。
【0069】
図7に示すように、係止スリット部142bは、差込用スリット142の長さ方向外側の端部の近傍に位置する。係止スリット部142bは、差込用スリット142の長さ方向外側に向かうに従い前面パネル10側に向かって延びる。したがって、係止スリット部142bは、直線スリット部142aに対して傾斜して延びる。係止スリット部142bは、差込用スリット142の長さ方向外側の端部において罫線45よりも前面パネル10側に位置する。
【0070】
図8に示すように、本変形例の差込用スリット142には、差込片50が差し込まれる。上述の実施形態と同様に、差込片50は、幅方向の全体に亘り平坦に形成される。差込片50は、閉塞状態において撓むことなく蓋パネル40に沿って平坦状に配置される。
【0071】
本変形例において、差込用スリット142の全長は、差込片50の幅方向寸法よりも大きい。したがって、本変形例において、差込片50は、差込用スリット142に対して円滑に差し込むことができる。なお、本変形例においても上述の実施形態と同様に、差込用スリット142の全長が、差込片50の幅方向寸法よりも小さくてもよい。
【0072】
図9は、
図8に示す領域IXの部分拡大図である。
図9に示すように、差込片50の幅方向において、突出部52は係止スリット部142bに重なる。また、係止スリット部142bの幅方向外側の端部が、罫線45よりも後面パネル20側に配置される。このため、罫線45において、蓋パネル40とタック41とを互いに折り曲げても、係止スリット部142bは開口しない。さらに、閉塞状態において、蓋パネル40を上側に持ち上げて開放を試みても、差込片50の突出部52が係止スリット部142bから抜け出ることがない。
【0073】
本変形例においても、上述の実施形態と同様に、蓋パネル40を破断線43において破断して開口部を形成できる。これにより、差込片50を開口部から引き出すことで、差込片50と蓋パネル40との係止を解除できる。さらに、破断線43の破断によって形成される開口部に差込片50を押し込むことで、閉塞状態と同様に蓋パネル40をロックし再閉塞状態を実現できる。
【0074】
以上に、本発明の実施形態およびその変形例を説明したが、実施形態および変形例における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0075】
1,101…カートン、2,102…ブランク板、10…前面パネル、15,16,26,35A,35B,36,45,46…罫線、20…後面パネル、22…切込線、40…蓋パネル、41…タック、42,142…差込用スリット、42a,142a…直線スリット部、43…破断線、50…差込片、50a…基端部、52…突出部、142b…係止スリット部