(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018111
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】カートン
(51)【国際特許分類】
B65D 5/54 20060101AFI20240201BHJP
B65D 5/42 20060101ALI20240201BHJP
B65D 5/52 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B65D5/54 301Q
B65D5/54 301J
B65D5/42 C
B65D5/52 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121214
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】里見 杏彩
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA03
3E060BB01
3E060BC04
3E060CB06
3E060CB16
3E060CE04
3E060CE05
3E060CE07
3E060CE12
3E060CE15
3E060CE18
3E060CE19
3E060CE22
3E060CE30
3E060CF05
3E060CG12
3E060DA04
3E060EA06
(57)【要約】
【課題】意匠性を高めたトップオープン型のカートンを提供する。
【解決手段】ブランク板を製函して形成されたカートンであって、ブランク板は、上天面パネル、後面パネル、底面パネル、前面パネル、下天面パネル、および一対の側面パネルと、を備え、上天面パネルと下天面パネルとは、上天面パネルが下天面パネルの上側に位置するように互いに重ねられて、上天面パネルは、上面パネルの後面パネル側の端部に位置するヒンジ部と、ヒンジ部を回転軸として上側に開放する蓋部と、を有し、下天面パネルは、蓋部に接着される第1切除部と、第1切除部を囲む第1破断線と、第1破断線に繋がる第2破断線と、第1破断線の少なくとも一部、および第2破断線に囲まれる第2切除部と、を有する、カートン。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブランク板を製函して形成されたカートンであって、
前記ブランク板は、上天面パネル、後面パネル、底面パネル、前面パネル、下天面パネル、および一対の側面パネルと、を備え、
前記上天面パネルと前記下天面パネルとは、前記上天面パネルが前記下天面パネルの上側に位置するように互いに重ねられ、
前記上天面パネルには、折れ線部を回転軸として上側に開く蓋部が設けられ、
前記下天面パネルには、
一つながりのループ状に形成される第1破断線と、
前記第1破断線に囲まれ前記蓋部に接着される第1切除部と、
前記第1破断線に繋がる第2破断線と、
前記第1破断線の少なくとも一部、および前記第2破断線に囲まれる第2切除部と、が設けられる、
カートン。
【請求項2】
前記第2切除部には、文字情報、図形、図柄、もしくは写真の少なくとも一つを含む印刷が施される、
請求項1に記載のカートン。
【請求項3】
前記下天面パネルには、複数の前記第1切除部が設けられ、
前記第2切除部は、複数の前記第1切除部のうち、少なくとも2つの間に配置される、
請求項1に記載のカートン。
【請求項4】
前記第2破断線の破断強度は、前記第1破断線の破断強度よりも大きい、
請求項1に記載のカートン。
【請求項5】
前記第1破断線、および前記第2破断線は、
破断方向に沿って線状に延びる複数の切込部と、
前記切込部同士の間に位置する複数の連結部と、をそれぞれ有し、
前記第2破断線の前記連結部の長さの総和は、前記第1破断線の前記連結部の長さの総和よりも長い、
請求項4に記載のカートン。
【請求項6】
前記第1破断線、および前記第2破断線は、
破断方向に沿って線状に延びる複数の切込部と、
前記切込部同士の間に位置する複数の連結部と、をそれぞれ有し、
前記第2破断線の前記切込部に対する前記連結部の比率は、前記第1破断線の前記切込部に対する前記連結部の比率よりも大きい、
請求項4に記載のカートン。
【請求項7】
前記蓋部には、
一つながりのループ状に形成される第3破断線と、
前記第3破断線に囲まれ前記第2切除部に接着される第3切除部と、が設けられる、
請求項1に記載のカートン。
【請求項8】
前記蓋部の前記第2切除部と重なる部分には、開口部が設けられる、
請求項1に記載のカートン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートンに関する。
【背景技術】
【0002】
紙製のブランク板を製函することによって形成されるカートンの一種として、六面体の天面に開口部が形成されるとともに、開口部を封止するための蓋部が設けられた、いわゆるトップオープン型のカートンが知られている(例えば特許文献1参照)。このようなトップオープン型のカートンは、菓子などの物品を収納して販売するために好適に用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トップオープン型のカートンをはじめとするさまざまなカートンにおいて、さらに意匠性を高めた構造が求められている。
【0005】
本発明は、意匠性を高めたカートンを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様のカートンは、ブランク板を製函して形成されたカートンであって、前記ブランク板は、上天面パネル、後面パネル、底面パネル、前面パネル、下天面パネル、および一対の側面パネルと、を備え、前記上天面パネルと前記下天面パネルとは、前記上天面パネルが前記下天面パネルの上側に位置するように互いに重ねられ、前記上天面パネルには、折れ線部を回転軸として上側に開く蓋部が設けられ、前記下天面パネルには、一つながりのループ状に形成される第1破断線と、前記第1破断線に囲まれ前記蓋部に接着される第1切除部と、前記第1破断線に繋がる第2破断線と、前記第1破断線の少なくとも一部、および前記第2破断線に囲まれる第2切除部と、が設けられる。
【0007】
上述のカートンにおいて、前記第2切除部には、文字情報、図形、図柄、もしくは写真の少なくとも一つを含む印刷が施される構成としてもよい。
【0008】
上述のカートンにおいて、前記下天面パネルには、複数の前記第1切除部が設けられ、前記第2切除部は、複数の前記第1切除部のうち、少なくとも2つの間に配置される構成としてもよい。
【0009】
上述のカートンにおいて、前記第2破断線の破断強度は、前記第1破断線の破断強度よりも大きい構成としてもよい。
【0010】
上述のカートンにおいて、前記第1破断線、および前記第2破断線は、破断方向に沿って線状に延びる複数の切込部と、前記切込部同士の間に位置する複数の連結部と、をそれぞれ有し、前記第2破断線の前記連結部の長さの総和は、前記第1破断線の前記連結部の長さの総和よりも長い構成としてもよい。
【0011】
上述のカートンにおいて、前記第1破断線、および前記第2破断線は、破断方向に沿って線状に延びる複数の切込部と、前記切込部同士の間に位置する複数の連結部と、をそれぞれ有し、前記第2破断線の前記切込部に対する前記連結部の比率は、前記第1破断線の前記切込部に対する前記連結部の比率よりも大きい構成としてもよい。
【0012】
上述のカートンにおいて、前記蓋部には、一つながりのループ状に形成される第3破断線と、前記第3破断線に囲まれ前記第2切除部に接着される第3切除部と、が設けられる構成としてもよい。
【0013】
上述のカートンにおいて、前記蓋部の前記第2切除部と重なる部分には、開口部が設けられる構成としてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、意匠性を高めたカートンを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、一実施形態のカートンの斜視図であり、蓋部を閉塞した状態を示す。
【
図2】
図2は、一実施形態のカートンの斜視図であり、蓋部を開いた状態を示す。
【
図3】
図3は、一実施形態のカートンの斜視図であり、蓋部を開き第2切除部を切除した状態を示す。
【
図4】
図4は、一実施形態のカートンを展開したブランク板2の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本実施形態のカートン1について説明する。なお、以下の説明において用いる上下方向は、カートン1の蓋部70を開く際の姿勢の一例であり、カートン1の姿勢を本明細書中の上下方向の記載に限定するものではない。
【0017】
図1~
図3は、本実施形態のカートン1の斜視図であり、
図1は蓋部70を閉塞した状態を示し、
図2は蓋部70を開いた状態を示し、
図3はさらに第2切除部59を切除した状態を示す。
図4は、カートン1を展開したブランク板2の平面図であり、ブランク板2をその外面側から見た状態を示す。なおブランク板2の外面とは、ブランク板2を製函してカートン1を形成した際に外側に位置する面のことである。反対に、ブランク板2の内面とは、外面の反対側に位置する面のことである。ブランク板2の材料としては、保形性を有する厚紙やプラスチックシートなどが用いられ得る。
【0018】
本実施形態のカートン1は、
図4に示すブランク板2を製函して形成される。
図4に示すように、ブランク板2は、上天面パネル10と、後面パネル20と、底面パネル30と、前面パネル40と、下天面パネル50と、一対の第1側面パネル31と、一対の第2側面パネル(側面パネル)51と、一対の第1フラップ21と、一対の第2フラップ41と、を有する。
【0019】
上天面パネル10、後面パネル20、底面パネル30、前面パネル40および下天面パネル50は、一方の端部(第1端部)3から他方の端部(第2端部)4へ向かって一方向に順に連接される。以下、ブランク板2の説明において、後面パネル20、底面パネル30、前面パネル40および下天面パネル50が連接される方向を第1方向D1と呼び、第1方向D1と直交する方向を第2方向D2と呼ぶ。
【0020】
上天面パネル10と後面パネル20とは、罫線16によって画定される。後面パネル20と底面パネル30とは、罫線26によって画定される。底面パネル30と前面パネル40とは、罫線36によって画定される。前面パネル40と下天面パネル50とは罫線46によって画定される。罫線16,26,36,46は、第2方向D2に延びる。
【0021】
一対の第1側面パネル31は、罫線35を介して底面パネル30の第2方向D2の両側に連接される。一対の第2側面パネル51は、罫線55を介して下天面パネル50の第2方向D2の両側に連接される。一対の第1フラップ21は、罫線25を介して後面パネル20の第2方向D2の両側に連接される。一対の第2フラップ41は、罫線45を介して前面パネル40の第2方向D2の両側に連接される。罫線25,35,45,55は、第1方向D1に延びる。
【0022】
罫線16,25,26,35,36,45,46,55は、ブランク板2を製函してカートン1を作製する際に折れ線として機能する。本実施形態において、罫線を境界とする一対のパネル同士は、罫線を折線として、カートン1の内面側に折り込まれる。
【0023】
上天面パネル10と下天面パネル50とは、製函時に互いに重ね合わされてカートン1の天面を構成する。上天面パネル10、および下天面パネル50は、カートン1の内部空間を上側から覆う。製函されたカートン1において、上天面パネル10は、下天面パネル50の上側(外面側)に位置する。上天面パネル10と下天面パネル50とは、接着剤によって部分的に接着される。上天面パネル10および下天面パネル50の構成については、後段において詳細に説明する。
【0024】
図4に示すように、第1側面パネル31と第2側面パネル51とは、製函時に互いに重ね合わされてカートン1の側面を構成する。第1側面パネル31、および第2側面パネル51は、カートン1の内部空間を側方から覆う。第2側面パネル51は、第1側面パネル31の外面側に位置する。なお、第1側面パネル31と第2側面パネル51とは、重ね合わせる順序が逆であってもよい。第1側面パネル31と第2側面パネル51とは、接着剤によって互いに接着される。
【0025】
底面パネル30は、カートン1の底面を構成する。底面パネル30は、カートン1の内部空間を下側から覆う。前面パネル40は、カートン1の前面を構成する。前面パネル40は、カートン1の内部空間を前側から覆う。後面パネル20は、カートン1の後面を構成する。後面パネル20は、カートン1の内部空間を後ろ側から覆う。
【0026】
第1フラップ21、および第2フラップ41は、カートン1の側面を補強する。第1フラップ21、および第2フラップ41は、カートン1の六面体形状を安定させる。第1フラップ21は、第1側面パネル31の後方側の領域に接着される。同様に、第2フラップ41は、第1側面パネル31の前方側の領域に接着される。
【0027】
次に、ブランク板2のうち、下天面パネル50、および上天面パネル10について、より具体に説明する。
図1、および
図2に示すように、上天面パネル10の一部は、蓋部70を構成する。
【0028】
<下天面パネル>
下天面パネル50は、矩形状である。下天面パネル50には、第1破断線56と第2破断線57と、係止用スリット54と、が設けられる。
【0029】
なお、本明細書において、「破断線」とは、直線状又は曲線状に延びる線であって、パネル内を2つの領域に画定する。破断線が設けられるパネルは、破断線に沿って2つの領域に破断される。破断線は、例えば、ミシン目である。本明細書において、破断線が延びる方向を破断方向と呼ぶ。
【0030】
ここで、各パネルに設けられる破断線を代表して、第1破断線56および第2破断線57についてより具体的に説明する。本実施形態において、第1破断線56は、破断方向に沿って交互に並ぶ複数の切込部56pと複数の連結部56qとを有する。同様に、第2破断線57は、破断方向に沿って交互に並ぶ複数の切込部57pと複数の連結部57qとを有する。
【0031】
切込部56p、57pは、破断線56、57が画定するパネル内の2つの領域の間に切刃を入れることで形成されている。したがって、破断線56、57によって画定される2つの領域は、切込部56p、57pにおいて予め分断されている。切込部56p、57pは、破断方向に沿って線状に延びる。
【0032】
一方で、連結部56q、57qは、切込部56p、57p同士の間に位置する。連結部56q、57qは、破断線56、57が画定する2つの領域を繋ぐ。連結部56q、57qは、破断線56、57に沿ってパネル内の2つの領域が破断する際に切断される。
【0033】
第1破断線56は、一つながりのループ状に形成される。本実施形態の第1破断線56には、それぞれループを形成する2つの一連の第1破断線56が設けられる。ここで、第1破断線56に囲まれる領域を、第1切除部58と呼ぶ。第1切除部58は、上天面パネル10に接着される。第1切除部58は、第1破断線56で下天面パネル50が破断することで、下天面パネル50の他の部位から離脱する。本実施形態の下天面パネル50には、2つの第1切除部58に設けられる。
【0034】
第1破断線56は、第1部分56aと第2部分56bとを有する。第1部分56aの一端と第2部分56bの一端とは互いに繋がり、第1部分56aの他端と第2部分56bの他端とは互いに繋がる。これにより、第1部分56aと第2部分56bとは、1つのループを構成する。第2部分56bは、第1方向D1に沿って直線状に延びる。一方で、第1部分56aは、第2部分56bの一端と他端との間で第2方向D2に迂回して延びる。なお、本実施形態の第1破断線56は、直線状に延びる部分が複数組み合わされて構成されているが、第1破断線56は、さらに曲線状や途中に屈曲点を含んでいてもよい。
【0035】
第2破断線57は、第2方向D2に沿って直線状に延びる。本実施形態の下天面パネル50には、2つの第2破断線57が設けられる。2つの第2破断線57の一方は、2つの第1破断線56の第1部分56aの一端同士を繋ぐ。一方で、2つの第2破断線57の他方は、2つの第1破断線56の第1部分56aの他端同士を繋ぐ。すなわち、第2破断線57は、2つの第1破断線56の間を延びてこれら2つの第1破断線56に繋がる。なお、本実施形態の第2破断線57は、直線状に延びるが、曲線状や途中に屈曲点を含んでいてもよい。
【0036】
2つの第2破断線57は、2つの第1破断線56の第1部分56aとともに矩形状の領域を囲む。ここで、2つの第2破断線57と、2つの第1破断線56の第1部分56aと、に囲まれる領域を第2切除部59と呼ぶ。第2切除部59は、第1破断線56の少なくとも一部、および第2破断線57に囲まれる。第2切除部59は、第1破断線56、および第2破断線57で下天面パネル50が破断することで、下天面パネル50の他の部位から離脱する。
【0037】
係止用スリット54は、主に第2方向D2に沿って延びる。係止用スリット54は、下天面パネル50の第2方向D2の中央に配置される。下天面パネル50は、第2切除部59の前方側に配置される。なお、本実施形態の係止スリット54の構成は一例であり、係止スリット54は、第2方向D2の一方側又は他方側に偏って配置されていてもよい。
【0038】
下天面パネル50には、第1接着領域81、第2接着領域82、第3接着領域83、および第4接着領域84が設けられる。第1接着領域81、第2接着領域82、第3接着領域83、および第4接着領域84は、接着剤、又は両面テープが配置される領域である。本実施形態の第1接着領域81、第2接着領域82、第3接着領域83、および第4接着領域84は、第2方向D2に沿って帯状に延びる領域である。第1接着領域81、第2接着領域82、第3接着領域83、および第4接着領域84の配置など、具体的な構成については、後段において詳細に説明する。
【0039】
なお、
図4では、下天面パネル50に設けられる接着領域のみが図示されているが、実際には、第1側面パネル31または第2側面パネル51にも、図示略の接着領域が設けられる。
【0040】
<上天面パネル>
上天面パネル10は、矩形状である。上天面パネル10の外形は、下天面パネル50の外形と略一致する。上天面パネル10は、下天面パネル50に上側から重なり、第1接着領域81、第2接着領域82、第3接着領域83において下天面パネル50に接着される。なお、上天面パネル10と下天面パネル50の外形は、必ずしも一致していなくてもよい。例えば、上天面パネルの外形が下天板パネルの外形よりも内側に配置されることで下天面パネルの一部が露出する構造であってもよい。
【0041】
上天面パネル10には、折れ線部12と、第3破断線15と、一対の第4破断線17と、切り込み14aと、が設けられる。
【0042】
折れ線部12は、第2方向D2に沿って直線状に延びる。折れ線部12は、上天面パネル10の第2方向の全長に亘って設けられる。折れ線部12は、上天面パネル10の後方の端部に位置する。折れ線部12は、上天面パネル10を蓋部70と基端片19とに画定する。すなわち、上天面パネル10には、折れ線部12によって画定される基端片19、および蓋部70が設けられる。基端片19は、折れ線部12と罫線16との間に配置される。基端片19は、第2方向D2に沿っての帯状に延びる。
【0043】
図2に示すように、折れ線部12は、回転軸として機能する。蓋部70と基端片19とは、折れ線部12を回転軸として相対的に回転する。基端片19は、下天面パネル50に接着固定されている。蓋部70は、折れ線部12を回転軸として上側に開く。
【0044】
図4に示すように、一対の第4破断線17は、上天面パネル10の前方側の端部から側方向に向かって傾斜して延びる。第4破断線17は、上天面パネル10の前方および側方の角部に、略三角形状の先端片18を画定する。すなわち、上天面パネル10には、一対の第4破断線17によってそれぞれ画定される一対の先端片18が設けられる。先端片18は、下天面パネル50に接着固定されており、蓋部70が開いても下天面パネル50に重なった状態を維持する。
【0045】
切り込み14aは、一対の先端片18の間に配置される。切り込み14aは、後方側に向かって凸形状の円弧状に延びるスリットである。上天面パネル10には、切り込み14aよりも前方側に位置する把持片14が設けられる。
【0046】
把持片14は、蓋部70の先端部であって一対の先端片18の間に位置する。蓋部70を閉塞する状態において、把持片14は、下天面パネル50の係止用スリット54に重なる。把持片14の一部は、係止用スリット54に差し込み可能である。把持片14の一部が係止用スリット54に差し込まれることで、蓋部70は、下天面パネル50に係止される。
【0047】
第3破断線15は、一つながりのループ状に形成される。上天面パネル10において、第3破断線15に囲まれる領域を、第3切除部13と呼ぶ。第3切除部13は、下天面パネル50に接着される。第3切除部13は、第3破断線15で上天面パネル10が破断することで、上天面パネル10の他の部位から離脱する。
【0048】
<接着領域>
第1接着領域81、第2接着領域82、第3接着領域83、および第4接着領域84は、下天面パネル50のうち、上天面パネル10と対向する面に設けられる。第1接着領域81、第2接着領域82、第3接着領域83、および第4接着領域84に設けられる接着剤は、下天面パネル50と、上天面パネル10とを互いに接着する。
【0049】
なお、第1接着領域81、第2接着領域82、第3接着領域83、および第4接着領域84は、上天面パネル10の下天面パネル50と対向する面に設けられていてもよい。すなわち、第1接着領域81、第2接着領域82、第3接着領域83、および第4接着領域84は、上天面パネル10、および下天面パネル50の一方の面に設けられ、上天面パネル10と下天面パネル50とを相互に接着するものであればよい。
【0050】
第1接着領域81は、第1切除部58に配置される。下天面パネル50と上天面パネル10とを重ねた状態で、第1接着領域81は、蓋部70に重なる。第1接着領域81は、第1切除部58を蓋部70に接着する。本実施形態において、1つの第1切除部58には、2箇所の第1接着領域81が設けられる。上述したように、下天面パネル50には、2つの第1切除部58が設けられるため、本実施形態の下天面パネル50には、4箇所の第1接着領域81が設けられる。
【0051】
第2接着領域82は、第2切除部59に配置される。下天面パネル50と上天面パネル10とを重ねた状態で、第2接着領域82は、第3切除部13に重なる。第2接着領域82は、第2切除部59と第3切除部13とを接着する。
【0052】
第3接着領域83は、下天面パネル50において後方側の端部に配置される。第3接着領域83は、下天面パネル50において後方側の端部に沿って第2方向D2に延びる。下天面パネル50と上天面パネル10とを重ねた状態で、第3接着領域83は、基端片19に重なる。第3接着領域83は、下天面パネル50と基端片19とを接着する。
【0053】
第4接着領域84は、下天面パネル50において前方側の端部に配置される。また、第4接着領域84は、下天面パネル50の第2方向D2の両端部にそれぞれ設けられる。下天面パネル50と上天面パネル10とを重ねた状態で、第2方向D2の両端部の第4接着領域84は、それぞれ異なる先端片18に重なる。第4接着領域84は、下天面パネル50と先端片18とを接着する。
【0054】
<蓋部の開放>
次いで蓋部の開閉について説明する。
図1に示すカートン1の内部には、予め菓子などの物品が充填されている。
図2に示すように、蓋部70を上側に持ち上げることで蓋部70は開放される。消費者は、蓋部70の把持片14を把持するなどして蓋部70を上側に持ち上げる操作を行う。
【0055】
蓋部70が、上側に持ち上げられると、上天面パネル10に設けられる一対の第4破断線17に沿って上天面パネル10が破断する。これにより、上天面パネル10は、蓋部70と一対の先端片18とに分離される。上述したように、先端片18は、下天面パネル50に接着固定されている。このため、先端片18は、蓋部70の上側への操作に追随することができず、下天面パネル50に残留する。
【0056】
さらに、蓋部70が上側に持ち上げられると、上天面パネル10に設けられる一対の第1破断線56が破断し、第1破断線56に囲まれる一対の第1切除部58が下天面パネル50から切除される。第1切除部58は、蓋部70に接着固定されている。このため、第1切除部58は、蓋部70の上側への操作に追随し蓋部70ともに上側に移動して下天面パネル50から離脱する。
【0057】
一対の第1切除部58の下天面パネル50からの離脱によって、下天面パネル50には、一対の第1開口部75が形成される。第1開口部75は、下天面パネル50において第1切除部58が除去された部分である。また一対の第1開口部75の間には、第2切除部59が残留した状態となる。
【0058】
また、蓋部70が上側に持ち上げられると、蓋部70に設けられる第3破断線15が破断し第3破断線15に囲まれる第3切除部13が蓋部70から切除される。第3切除部13は、第2切除部59に接着固定されている。第3切除部13は、蓋部70の上側への操作に追随できず、下天面パネル50の第2切除部59上に残留する。これにより、蓋部70には、第3開口部77が形成される。第3開口部77は、蓋部70において第3切除部13が除去された部分である。
【0059】
図2に示すように、蓋部70を開放した状態で、一対の第1開口部75の間には、第2切除部59が配置される。
図3に示すように、第2切除部59は、第1破断線56に沿って下天面パネル50を破断することで、下天面パネル50側から切除可能である。第2切除部59の切除は、例えば、一対の第1開口部75の両方、又は何れか一方に指を挿入し第2切除部59を把持して上側に持ち上げることで行われる。第2切除部59が下天面パネル50から除去されることで、下天面パネル50には第2開口部76が形成される。第2開口部76は、一対の第1開口部75同士を繋ぐように形成される。第2開口部76は、下天面パネル50において、一対の第1切除部58とその間に配置される第2切除部59とが除去された部分である。
【0060】
本実施形態において、第1開口部75の開口面積は、カートン1の内部に充填される物品に対して十分小さい。一方で、第2開口部76の開口面積は、カートン1の内部に充填される物品に対して十分大きい。消費者は、蓋部70を開放した後に、さらに第2切除部59を除去することで、物品をカートン1から取り出すことができる。
【0061】
本実施形態によれば、下天面パネル50には、一つながりのループ状に形成される第1破断線56と、第1破断線56に囲まれ蓋部70に接着される第1切除部58と、第1破断線56に繋がる第2破断線57と、第1破断線56の少なくとも一部、および第2破断線57に囲まれる第2切除部59と、が設けられる。
【0062】
本実施形態によれば、蓋部70を開放することで第1切除部58を下天面パネル50から除去し第1開口部75を形成するとともに第1開口部75に連なる位置に第2切除部59を残留させることができる。さらに、第2切除部59を第2破断線57に沿って切除することで、第1開口部75を広げた第2開口部76を形成させることができる。このため、消費者は、カートン1から物品を取り出す際に第2切除部59に触れる必要があり、消費者に第2切除部59に着目させることができる。本実施形態によれば、第2切除部59に絵柄などの印刷P1を設けることで、意匠性の高いカートン1を提供できる。また、第2切除部59を娯楽用のカードとして用いることができるなど、商品にさらなる付加価値を与えることができる。加えて、第2切除部59にカートン1内の物品の消費時の注意書き等を印刷する場合には、消費者に対し確実な注意喚起を行うことができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、蓋部70を開放しても、第2切除部59が下天面パネル50側に残留して第2開口部76の一部を塞ぐ、このため、蓋部70の開放時にカートン1全体が大きく揺れてもカートン1の内部の物品が第2開口部76から飛散してしまうことを抑制できる。
【0064】
本実施形態において、第2切除部59には、印刷P1が施される。印刷P1は、文字情報、図形、図柄、もしくは写真の少なくとも一つを含む。消費者は、カートン1から物品を取り出すための第2開口部76を設けるために、第2切除部59を除去する。このため、第2切除部59の印刷P1は、消費者に視認されやすい。第2切除部59に文字情報、図形、図柄、もしくは写真などの印刷P1が施されることで、消費者に当該印刷P1に係る情報を確実に提供できる。なお、
図1~
図3、および
図5において、印刷P1、P2をドット模様で表現する。
【0065】
本実施形態において、下天面パネル50には、複数の第1切除部58が設けられ、第2切除部59は、複数の第1切除部58のうち、少なくとも2つの間に配置される。上述したように、第1切除部58は、蓋部70の開放とともに下天面パネル50から離脱して第1開口部75を形成する。このため、第2切除部59は、少なくとも2つの第1開口部75の間に配置される。本実施形態によれば、消費者は、2つの第1開口部75から指をいれて第2切除部59を除去することができるため、第2切除部59を切除する手順が簡素化できる。
【0066】
本実施形態において、第2破断線57の破断強度は、第1破断線56の破断強度よりも大きいことが好ましい。ここで、「破断線の破断強度」とは、破断線においてパネルを破断させる際に要する力を意味する。本実施形態によれば、蓋部70を持ち上げる際に、第2破断線57よりも第1破断線56を優先的に破断させることができる。これにより、蓋部70を持ち上げる際に、第1切除部58を蓋部70に追随させるとともに、第2切除部59を第1切除部58から引き離して下天面パネル50側に残留させることができる。
【0067】
本実施形態において、第2破断線57の連結部57qの長さの総和は、第1破断線56の連結部56qの長さの総和よりも長いことが好ましい。このような構成を採用する場合に、第2破断線57の破断強度を、第1破断線56の破断強度よりも大きくすることができる。なお、「破断線の連結部の長さの総和」とは、当該破断線の全長において、全ての連結部の破断方向に沿う長さ寸法の総和である。
【0068】
また、本実施形態において、第2破断線57の切込部57pに対する連結部57qの比率は、第1破断線56の切込部56pに対する連結部56qの比率よりも大きいことが好ましい。このような構成を採用する場合に、第2破断線57の破断強度を、第1破断線56の破断強度よりも大きくすることができる。なお、「破断線の切込部に対する連結部の比率」とは、破断方向に隣り合う切込部と連結部との破断方向に沿う長さ寸法の比率を意味する。第1破断線56、および第2破断線57の切込部56p、57p、および連結部56q、57qの破断方向に沿う長さ寸法は、必ずしも一定ではない。このため、「破断線の切込部に対する連結部の比率」も必ずしも一定ではない。本実施形態において、全ての第2破断線57の上述の比率が、第1破断線56の上述の比率よりも大きければよい。すなわち、第2破断線57の切込部57pに対する連結部57qの比率の最小値が、第1破断線56の切込部56pに対する連結部56qの比率の最大値よりも大きければよい。
【0069】
なお、本実施形態の第1破断線56において、第2部分56bは、連結部56qを有していない完全な切れ込みであってもよい。しかしながら、第2部分56bに連結部56qを設けることで、接着領域に接着剤を設ける工程などで、第1切除部58の下天面パネル50における浮き上がりを抑制でき、接着材を設ける工程を円滑に進めることができる。すなわち、本実施形態によれば、第2部分56bに連結部56qを設けることで製函工程を簡素化できる。
【0070】
本実施形態によれば、蓋部70には、一つながりのループ状に形成される第3破断線15と、第3破断線15に囲まれ第2切除部59に接着される第3切除部13と、が設けられる。本実施形態によれば、蓋部70を上側に持ち上げることで、第3切除部13が下天面パネル50に残り蓋部70から切除される。これにより、蓋部70に第3開口部77を設けることができ、第2切除部59を除去した後に蓋部70を閉塞すると、第3開口部77からカートン1の内部を露出させることができる。さらに、本実施形態によれば、第2切除部59に第3切除部13が貼り付けられる。このため、第2切除部59の表面に立体的な意匠を施すことができる。
【0071】
なお、本実施形態の第3開口部77の開口面積は、カートン1の内部に充填される物品に対して十分小さい。このため、蓋部70を閉塞した状態で、第3開口部77を通ってカートン1内の物品がカートン1から脱落することを抑制できる。
【0072】
なお、第3切除部13の表面に設けられる印刷P2は、第2切除部59の表面に設けられる印刷P1と連続的な形態(例えば絵柄)とすることが好ましい。この場合には、第2切除部59の印刷P1に対し、第3切除部13の印刷P2を強調して表現することができる。加えて、第3切除部13の印刷P2は、蓋部70の外面側の印刷とも連続的な形態であることがより好ましい。この場合、蓋部70の開閉に伴い、第3切除部13の印刷P2の周囲の形態が変化する意匠を実現できる。
【0073】
本実施形態において、第2破断線57の破断強度は、第3破断線15の破断強度よりも大きいことが好ましい。本実施形態によれば、蓋部70を持ち上げる際に、第2破断線57よりも第3破断線15を優先的に破断させることができる。これにより、蓋部70を持ち上げる際に、第3切除部13を蓋部70から切除し第3切除部13を第2切除部59とともに下天面パネル50側に残留させることができる。第2破断線57の破断強度を、第3破断線15の破断強度よりも大きくするために、第2破断線57の連結部57qの長さの総和を、第3破断線15の連結部15qの長さの総和よりも長くすることができる。また、第2破断線57の切込部57pに対する連結部57qの比率を、第3破断線15の切込部15pに対する連結部15qの比率よりも大きくしてもよい。
【0074】
<変形例>
図5は、上述の実施形態に採用可能な変形例の蓋部170を有するカートン101の斜視図である。本変形の蓋部170の第2切除部59と重なる部分には、開口部177が設けられる。開口部177は、上天面パネル110に予め設けられる。開口部177が設けられることで、第2切除部59の切除前において、蓋部170を閉塞する場合に、開口部177から第2切除部59の一部を露出させ、第2切除部59の印刷P1を外側から視認させることができる。さらに第2切除部59の切除後においては、蓋部170を閉塞する場合に、開口部177からカートン101の内部を露出させることができる。
【0075】
以上に、本発明の実施形態およびその変形例を説明したが、実施形態および変形例における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0076】
1,101…カートン、2…ブランク板、10,110…上天面パネル、12…折れ線部、13…第3切除部、15…第3破断線、15p,56p,57p…切込部、15q,56q,57q…連結部、20…後面パネル、30…底面パネル、40…前面パネル、50…下天面パネル、51…第2側面パネル(側面パネル)、56…第1破断線、57…第2破断線、58…第1切除部、59…第2切除部、70,170…蓋部、177…開口部、P1,P2…印刷