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特開2024-18117ブレーカ姿勢判定装置及びこれを備えた作業機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018117
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】ブレーカ姿勢判定装置及びこれを備えた作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/85 20060101AFI20240201BHJP
   E02F 3/36 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
E02F3/85 Z
E02F3/36 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121222
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100214961
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 洋三
(72)【発明者】
【氏名】濱本 亮
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 一臣
(72)【発明者】
【氏名】草深 哲
【テーマコード(参考)】
2D003
2D012
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB04
2D003BA01
2D003BA07
2D003BB04
2D003CA02
2D003DA04
2D003DB04
2D003DB07
2D012DA01
(57)【要約】
【課題】作業対象物に対するブレーカの姿勢がブレーカ作業に適しているか否かを判定することが可能なブレーカ姿勢判定装置及びこれを備えた作業機械を提供する。
【解決手段】ブレーカ姿勢判定装置は、チゼル6Bを含むブレーカ6を備える作業機械100によるブレーカ作業のための装置である。ブレーカ姿勢判定装置は、ブレーカ6の姿勢に関する姿勢情報を検出する姿勢情報検出器40と、ブレーカ作業の対象物である作業対象物300に対するチゼル6Bの傾き度合いが許容範囲にあるか否かを姿勢情報を用いて判定するコントローラ80と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チゼルを含むブレーカを備える作業機械によるブレーカ作業のためのブレーカ姿勢判定装置であって、
前記ブレーカの姿勢に関する姿勢情報を検出する姿勢情報検出器と、
前記ブレーカ作業の対象物である作業対象物に対する前記チゼルの傾き度合いが許容範囲にあるか否かを前記姿勢情報を用いて判定するコントローラと、を備えるブレーカ姿勢判定装置。
【請求項2】
前記傾き度合いに関する情報を報知する報知器をさらに備え、
前記コントローラは、前記傾き度合いが前記許容範囲にない状態で前記ブレーカ作業が継続される時間が予め設定された時間閾値を超えた場合に、前記傾き度合いに関する情報が報知されるように前記報知器を制御する、請求項1に記載のブレーカ姿勢判定装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記傾き度合いが前記許容範囲にない場合、前記傾き度合いが前記許容範囲に含まれるように前記ブレーカの姿勢を制御する、請求項1に記載のブレーカ姿勢判定装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記傾き度合いに関する情報を前記作業機械から離れた位置に存在し得る情報機器に送信するように構成されている、請求項1に記載のブレーカ姿勢判定装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記作業対象物に対する前記チゼルの角度であるチゼル角度を前記姿勢情報を用いて演算し、前記チゼル角度が予め設定された角度閾値未満である場合に前記傾き度合いが前記許容範囲にないと判定する、請求項1に記載のブレーカ姿勢判定装置。
【請求項6】
前記作業機械は、機体と、前記ブレーカを回動可能に支持しながら前記機体に対して相対変位可能な支持部材と、ブレーカ姿勢調節シリンダと、をさらに備え、
前記ブレーカ姿勢調節シリンダは、前記支持部材に対して前記ブレーカを回動させることにより前記傾き度合いを変える油圧シリンダであり、
前記姿勢情報検出器は、前記ブレーカ姿勢調節シリンダのヘッド圧を検出する圧力センサを含む、請求項1に記載のブレーカ姿勢判定装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記ヘッド圧が予め設定された圧力閾値未満である場合に前記傾き度合いが前記許容範囲にないと判定する、請求項6に記載のブレーカ姿勢判定装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記ブレーカ作業が行われている場合にのみ前記傾き度合いが前記許容範囲にあるか否かの判定を行う、請求項1に記載のブレーカ姿勢判定装置。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載のブレーカ姿勢判定装置と、前記ブレーカと、を備える作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ブレーカを備える作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブレーカを備える作業機械が知られている(例えば特許文献1)。ブレーカは、アームに支持されたブレーカボディと、ブレーカボディに支持されたチゼルと、を含む。チゼルは、作業対象物に打撃を与えるための棒状の部材であり、チゼルの長手方向にブレーカボディに対して高速で往復運動することが可能なように構成されている。このような作業機械は、作業対象物を破砕するブレーカ作業を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-201119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ブレーカのチゼルが作業対象物に対して比較的大きく傾いた状態で長時間のブレーカ作業が行われるとブレーカが破損するおそれがある。従って、このようにブレーカ作業に適していない姿勢でブレーカ作業が行われている状態を判定することができる技術の開発が望まれる。
【0005】
本開示は、作業対象物に対するブレーカの姿勢がブレーカ作業に適しているか否かを判定することが可能なブレーカ姿勢判定装置及びこれを備えた作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
提供されるのは、チゼルを含むブレーカを備える作業機械によるブレーカ作業のためのブレーカ姿勢判定装置であって、前記ブレーカの姿勢に関する姿勢情報を検出する姿勢情報検出器と、前記ブレーカ作業の対象物である作業対象物に対する前記チゼルの傾き度合いが許容範囲にあるか否かを前記姿勢情報を用いて判定するコントローラと、を備える。
【0007】
このブレーカ姿勢判定装置では、ブレーカ作業において、コントローラは、チゼルの傾き度合いが許容範囲にあるか否かの判定、すなわち、作業対象物に対するブレーカの姿勢がブレーカ作業に適しているか否かの判定を、前記姿勢情報を用いて行うことができる。この判定結果は、例えば以下のように利用されることが可能である。
【0008】
前記ブレーカ姿勢判定装置は、前記傾き度合いに関する情報を報知する報知器をさらに備え、前記コントローラは、前記傾き度合いが前記許容範囲にない状態で前記ブレーカ作業が継続される時間が予め設定された時間閾値を超えた場合に、前記傾き度合いに関する情報が報知されるように前記報知器を制御してもよい。この構成では、作業機械を操縦するオペレータは、報知器が報知する情報に基づいてチゼルの傾き度合いが許容範囲にないこと、すなわち、ブレーカの姿勢を修正する必要があることを認識できる。従って、チゼルの傾き度合いが許容範囲にない状態で長時間のブレーカ作業が行われる前に、オペレータは、操作器を操作してチゼルの傾き度合いが許容範囲に含まれるような姿勢にブレーカの姿勢を調節することができる。
【0009】
前記コントローラは、前記傾き度合いが前記許容範囲にない場合、前記傾き度合いが前記許容範囲に含まれるように前記ブレーカの姿勢を制御してもよい。この構成では、ブレーカの姿勢がコントローラによってブレーカ作業に適した姿勢に自動的に調節される。従って、オペレータが操作器を操作しなくても、チゼルが作業対象物に対して比較的大きく傾いた状態で長時間のブレーカ作業が行われることが回避される。
【0010】
前記コントローラは、前記傾き度合いに関する情報を前記作業機械から離れた位置に存在し得る情報機器に送信するように構成されていてもよい。この構成では、ブレーカ姿勢判定装置は、作業機械とは別の外部の情報機器に前記傾き度合いに関する情報を提供することができる。
【0011】
前記コントローラは、前記作業対象物に対する前記チゼルの角度であるチゼル角度を前記姿勢情報を用いて演算し、前記チゼル角度が予め設定された角度閾値未満である場合に前記傾き度合いが前記許容範囲にないと判定することが好ましい。この構成では、チゼル角度が角度閾値未満である場合(具体的には例えば、チゼルが作業対象物に対して比較的大きく傾いた状態である場合)、チゼルの傾き度合いが許容範囲にないと判定される。そして、この判定結果が例えば上述した報知器によりオペレータに報知された場合には、オペレータは、操作器を操作してチゼルの傾き度合いが許容範囲に含まれるような姿勢に(具体的には例えば、チゼルが作業対象物に対してほぼ垂直に当たるような姿勢に)ブレーカの姿勢を調節することができる。
【0012】
前記作業機械は、機体と、前記ブレーカを回動可能に支持しながら前記機体に対して相対変位可能な支持部材と、ブレーカ姿勢調節シリンダと、をさらに備え、前記ブレーカ姿勢調節シリンダは、前記支持部材に対して前記ブレーカを回動させることにより前記傾き度合いを変えるように構成される油圧シリンダであり、前記姿勢情報検出器は、前記ブレーカ姿勢調節シリンダのヘッド圧を検出する圧力センサを含んでいてもよい。ブレーカ作業中にブレーカ姿勢調節シリンダが収縮する方向にピストンロッドに対して作用する力が大きくなると、ブレーカ姿勢調節シリンダのヘッド圧も大きくなる。また、作業対象物に対するチゼルの角度であるチゼル角度が垂直に近づくほど、ブレーカ姿勢調節シリンダが収縮する方向にピストンロッドに対して作用する力も大きくなる。すなわち、ブレーカ姿勢調節シリンダのヘッド圧は、前記チゼル角度に相関する値であり、前記チゼル角度が垂直に近づくほど大きくなる。従って、姿勢情報検出器に含まれる前記圧力センサは、前記チゼル角度に相関する情報を検出することができる。
【0013】
具体的には、例えば、前記コントローラは、前記ヘッド圧が予め設定された圧力閾値未満である場合に前記傾き度合いが前記許容範囲にないと判定してもよい。
【0014】
前記コントローラは、前記ブレーカ作業が行われている場合にのみ前記傾き度合いが前記許容範囲にあるか否かの判定を行うように構成されていることが好ましい。この構成では、ブレーカ作業が行われていないときには前記判定が行われないので、コントローラによる不必要な演算処理を省くことができる。
【0015】
本開示に係る作業機械は、上述したブレーカ姿勢判定装置と、前記ブレーカと、を備えるので、作業対象物に対するブレーカの姿勢がブレーカ作業に適しているか否かを判定することができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、作業対象物に対するブレーカの姿勢がブレーカ作業に適しているか否かを判定することが可能なブレーカ姿勢判定装置及びこれを備えた作業機械が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の実施形態に係るブレーカ姿勢判定装置を備える作業機械を示す側面図であり、当該作業機械のブレーカと作業対象物との位置関係を示している。
図2】前記作業機械と複数の情報機器とを含む作業機械システムを示すブロック図である。
図3】前記ブレーカ姿勢判定装置のコントローラによる演算制御動作を示すフローチャートである。
図4】前記複数の情報機器のうちの一つによる演算制御動作を示すフローチャートである。
図5】前記複数の情報機器のうちの他の一つによる演算制御動作を示すフローチャートである。
図6】前記複数の情報機器のうちのさらに他の一つによる演算制御動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るブレーカ姿勢判定装置を備える作業機械100を示す側面図である。図2は、作業機械100と複数の情報機器とを含む作業機械システムを示すブロック図である。本実施形態に係る作業機械100は、油圧ショベルである。複数の情報機器は、サーバ201と、オペレータの情報端末202と、管理者の情報端末203と、を含む。本実施形態に係るブレーカ姿勢判定装置は、作業機械100によるブレーカ作業に用いられる。
【0019】
図1及び図2に示すように、作業機械100は、下部走行体1と、上部旋回体2と、作業装置3と、複数の油圧アクチュエータと、複数の操作器20と、複数の流量調整器30と、姿勢情報検出器40と、ブレーカスイッチ50と、表示器60と、通信器70と、コントローラ80と、入力器90と、を備える。本実施形態に係るブレーカ姿勢判定装置は、姿勢情報検出器40と、表示器60と、通信器70と、コントローラ80と、入力器90と、を含む。なお、図2では、複数の操作器20のうちの一つのみが図示され、他の操作器20の図示は省略されている。また、図2では、複数の流量調整器30のうちの一つのみが図示され、他の流量調整器30の図示は省略されている。
【0020】
下部走行体1は、例えば左右一対のクローラ走行装置を備える。上部旋回体2は、下部走行体1に上下方向の軸回りに旋回可能に支持される。上部旋回体2は、オペレータが座る運転席を有するキャビンと、キャビンの後方に配置されるカウンタウェイトと、を備える。上部旋回体2は本開示における機体の一例である。
【0021】
作業装置3は、上部旋回体2に起伏可能に支持されるブーム4と、ブーム4の先端部に回動可能に支持されるアーム5と、アーム5の先端部に支持される先端アタッチメントと、を含む。ブーム4及びアーム5は本開示における支持部材の一例である。作業現場において掘削作業が行われる場合には、先端アタッチメントとして図略のバケットがアーム5の先端部に取り付けられる。作業現場においてブレーカ作業が行われる場合には、先端アタッチメントとして図1に示すブレーカ6がアーム5の先端部に取り付けられる。すなわち、ブレーカ6とバケットとは交換可能である。ブレーカ作業は、作業現場に存在する作業対象物300を破砕するための作業である。
【0022】
ブレーカ6は、ブレーカボディ6Aと、チゼル6Bと、チゼル駆動アクチュエータ6Cと、を備える。ブレーカボディ6Aは、アーム5の先端部に回動可能に取り付けられている。チゼル6Bは、作業対象物300に打撃を与えるための棒状の部材であり、チゼル6Bの長手方向にブレーカボディ6Aに対して変位可能なようにブレーカボディ6Aに支持されている。チゼル駆動アクチュエータ6Cは、ブレーカボディ6Aに対してチゼル6Bをその長手方向に高速で往復運動させるように作動する。チゼル駆動アクチュエータ6Cは、例えば油圧により駆動される。
【0023】
ブレーカ作業は、チゼル6Bが作業対象物300に対してほぼ垂直に当たるような状態で行われることが好ましい。以下では、図1に示すように、作業対象物300の表面301に対するチゼル6Bの角度をチゼル角度θと称する。チゼル角度θは、例えば、棒状の部材であるチゼル6Bの長手方向(例えばチゼル6Bの中心線の延びる方向)と作業対象物300の表面301とのなす角度であってもよい。
【0024】
複数の油圧アクチュエータのそれぞれは、図略の油圧ポンプから作動油の供給を受けて作動する。油圧ポンプは、図略のエンジンなどの駆動源により駆動される。図1に示すように、複数の油圧アクチュエータは、ブーム姿勢調節シリンダ7と、アーム姿勢調節シリンダ8と、ブレーカ姿勢調節シリンダ9と、旋回モータ10と、を含む。
【0025】
ブーム姿勢調節シリンダ7は、前記油圧ポンプから作動油の供給を受けてブーム4を上部旋回体2に対して起伏動作させるように作動する油圧シリンダである。ブーム姿勢調節シリンダ7の基端部は、上部旋回体2に回動可能に取り付けられ、ブーム姿勢調節シリンダ7の先端部は、ブーム4に回動可能に取り付けられている。ブーム姿勢調節シリンダ7は、ヘッド室と、ロッド室と、を有する。ブーム姿勢調節シリンダ7は、作動油がヘッド室に供給されてロッド室の作動油が排出されることにより伸長してブーム4をブーム上げ方向に動かす。ブーム姿勢調節シリンダ7は、作動油がロッド室に供給されてヘッド室の作動油が排出されることにより収縮してブーム4をブーム下げ方向に動かす。ブーム上げ方向は、ブーム4の先端部が地面から遠ざかる方向であり、ブーム下げ方向は、ブーム4の先端部が地面に近づく方向である。
【0026】
アーム姿勢調節シリンダ8は、前記油圧ポンプから作動油の供給を受けてアーム5をブーム4に対して回動させるように作動する油圧シリンダである。アーム姿勢調節シリンダ8の基端部は、ブーム4に回動可能に取り付けられ、アーム姿勢調節シリンダ8の先端部は、アーム5に回動可能に取り付けられている。アーム姿勢調節シリンダ8は、ヘッド室と、ロッド室と、を有する。アーム姿勢調節シリンダ8は、作動油がヘッド室に供給されてロッド室の作動油が排出されることにより伸長してアーム5をアーム引き方向に動かす。アーム姿勢調節シリンダ8は、作動油がロッド室に供給されてヘッド室の作動油が排出されることにより収縮してアーム5をアーム押し方向に動かす。アーム引き方向は、アーム5の先端部がブーム4に近づく方向であり、アーム押し方向は、アーム5の先端部がブーム4から遠ざかる方向である。
【0027】
ブレーカ姿勢調節シリンダ9は、前記油圧ポンプから作動油の供給を受けてブレーカ6をアーム5に対して回動させるように作動する油圧シリンダである。ブレーカ姿勢調節シリンダ9は、ブレーカ6をアーム5に対して回動させることにより作業対象物300の表面301に対するチゼル6Bの傾き度合いを変えることができる。ブレーカ姿勢調節シリンダ9の基端部は、アーム5に回動可能に取り付けられ、ブレーカ姿勢調節シリンダ9の先端部は、リンク部11を介してブレーカ6に回動可能に取り付けられている。
【0028】
具体的には、ブレーカ姿勢調節シリンダ9は、シリンダチューブ9Aと、ピストンロッド9Bと、を備える。ピストンロッド9Bは、当該ピストンロッド9Bの長手方向にシリンダチューブ9Aに対して変位することが可能である。リンク部11は、アームリンク部材11Aと、ブレーカリンク部材11Bと、を含む。アームリンク部材11Aは、ブレーカ姿勢調節シリンダ9の先端部(ピストンロッド9Bの先端部)とアーム5とを連結し、ブレーカリンク部材11Bは、ブレーカ姿勢調節シリンダ9の先端部(ピストンロッド9Bの先端部)とブレーカ6のブレーカボディ6Aとを連結している。
【0029】
ブレーカ姿勢調節シリンダ9のシリンダチューブ9A内には、ヘッド室9Hと、ロッド室9Rと、が形成されている。ヘッド室9Hとロッド室9Rとは、ピストンロッド9Bのピストン(図示省略)により仕切られている。ブレーカ姿勢調節シリンダ9は、作動油がヘッド室9Hに供給されてロッド室9Rの作動油が排出されることにより伸長してブレーカ6をブレーカ引き方向に動かす。ブレーカ姿勢調節シリンダ9は、作動油がロッド室9Rに供給されてヘッド室9Hの作動油が排出されることにより収縮してブレーカ6をブレーカ押し方向に動かす。ブレーカ引き方向は、ブレーカ6のチゼル6Bが上部旋回体2に近づく方向であり、ブレーカ押し方向は、ブレーカ6のチゼル6Bが上部旋回体2から遠ざかる方向である。
【0030】
旋回モータ10は、前記油圧ポンプから作動油の供給を受けて上部旋回体2を下部走行体1に対して旋回させるように作動する油圧モータである。
【0031】
複数の操作器20は、ブーム姿勢操作器20と、アーム姿勢操作器20と、ブレーカ姿勢操作器20と、旋回姿勢操作器20と、を含む。複数の操作器20のそれぞれは、オペレータによる操作(レバー操作)を受ける操作レバー21と、出力器22と、を備える。操作レバー21に操作が与えられると、当該操作の操作方向及び操作量に応じた流量の作動油が流量調整器30を介して油圧アクチュエータに供給される。これにより、当該油圧アクチュエータは、操作レバー21の操作に応じた動作を行う。
【0032】
具体的には、ブーム姿勢操作器20の操作レバー21は、ブーム操作(ブーム上げ操作又はブーム下げ操作)を受ける。ブーム上げ操作は、ブーム4をブーム上げ方向に動かすためのオペレータによる操作であり、ブーム下げ操作は、ブーム4をブーム下げ方向に動かすためのオペレータによる操作である。ブーム姿勢操作器20の操作レバー21にブーム操作が与えられると、ブーム姿勢操作器20に対応する流量調整器30を介してブーム操作に応じた流量の作動油がブーム姿勢調節シリンダ7に供給され、ブーム4がブーム操作に応じた動作を行う。
【0033】
アーム姿勢操作器20の操作レバー21は、アーム操作(アーム引き操作又はアーム押し操作)を受ける。アーム引き操作は、アーム5をアーム引き方向に動かすためのオペレータによる操作であり、アーム押し操作は、アーム5をアーム押し方向に動かすためのオペレータによる操作である。アーム姿勢操作器20の操作レバー21にアーム操作が与えられると、アーム姿勢操作器20に対応する流量調整器30を介してアーム操作に応じた流量の作動油がアーム姿勢調節シリンダ8に供給され、アーム5がアーム操作に応じた動作を行う。
【0034】
ブレーカ姿勢操作器20の操作レバー21は、ブレーカ操作(ブレーカ引き操作又はブレーカ押し操作)を受ける。ブレーカ引き操作は、ブレーカ6をブレーカ引き方向に動かすためのオペレータによる操作であり、ブレーカ押し操作は、ブレーカ6をブレーカ押し方向に動かすためのオペレータによる操作である。ブレーカ姿勢操作器20の操作レバー21にブレーカ操作が与えられると、ブレーカ姿勢操作器20に対応する流量調整器30を介してブレーカ操作に応じた流量の作動油がブレーカ姿勢調節シリンダ9に供給され、ブレーカ6がブレーカ操作に応じた動作を行う。
【0035】
旋回姿勢操作器20の操作レバー21は、旋回操作(右旋回操作又は左旋回操作)を受ける。右旋回操作は、上部旋回体2を右方向に旋回させるためのオペレータによる操作であり、左旋回操作は、上部旋回体2を左方向に旋回させるためのオペレータによる操作である。旋回姿勢操作器20の操作レバー21に旋回操作が与えられると、旋回姿勢操作器20に対応する流量調整器30を介して旋回操作に応じた流量の作動油が旋回モータ10に供給され、上部旋回体2が旋回操作に応じた旋回動作を行う。
【0036】
図2のブロック図では、操作器20がいわゆる電気レバータイプの操作器である場合の構成が図示されている。この場合、出力器22は、操作レバー21に与えられる操作の操作方向及び操作量に応じたレバー操作信号をコントローラ80に出力し、コントローラ80は、レバー操作信号に応じた制御指令を流量調整器30に入力し、流量調整器30は、制御指令に応じた流量の作動油が油圧アクチュエータに供給されるように作動する。操作器20が電気レバータイプである場合、流量調整器30は、制御指令の入力を受けて当該制御指令に応じた2次圧(パイロット圧)を出力する電磁比例弁と、当該パイロット圧の供給を受けるパイロットポートを有する制御弁と、を含む。制御弁は、パイロット圧に応じて開閉することで油圧アクチュエータへの作動油の流量を調節する。
【0037】
ただし、操作器20は、電気レバータイプに限られない。操作器20は、操作レバー21と、出力器22としてのリモコン弁と、を備えていてもよい。この場合、リモコン弁(出力器22)は、操作レバー21に与えられる操作の操作方向及び操作量に応じた2次圧(パイロット圧)を流量調整器30としての制御弁のパイロットポートに供給する。制御弁は、パイロット圧に応じて開閉することで油圧アクチュエータへの作動油の流量を調節する。
【0038】
姿勢情報検出器40は、ブレーカ6の姿勢に関する姿勢情報を検出し、当該姿勢情報に対応する検出信号をコントローラ80に入力する。
【0039】
姿勢情報検出器40は、例えば、角度検出器を含んでいてもよい。角度検出器は、ブレーカ6の角度に関するブレーカ角度情報を検出するブレーカ角度検出器を含んでいてもよい。コントローラ80は、ブレーカ角度情報を用いてブレーカ6の姿勢を演算してもよい。具体的には、角度検出器は、例えば、ブーム4の角度に関するブーム角度情報を検出するブーム角度検出器、アーム5の角度に関するアーム角度情報を検出するアーム角度検出器、及びブレーカ6の角度に関するブレーカ角度情報を検出するブレーカ角度検出器をさらに含んでいてもよい。コントローラ80は、ブーム角度情報、アーム角度情報及びブレーカ角度情報を用いてブレーカ6の姿勢を演算してもよい。
【0040】
ブーム角度検出器は、例えば、慣性計測装置41(IMU:Inertial Measurement Unit)であってもよく、ブーム姿勢調節シリンダ7の動きを検出するストロークセンサであってもよく、ブーム4の回動角度を検出するロータリエンコーダ、ポテンショメータなどの角度センサであってもよい。同様に、アーム角度検出器は、例えば、慣性計測装置42であってもよく、アーム姿勢調節シリンダ8の動きを検出するストロークセンサであってもよく、アーム5の回動角度を検出するロータリエンコーダ、ポテンショメータなどの角度センサであってもよい。ブレーカ角度検出器は、例えば、慣性計測装置43であってもよく、ブレーカ姿勢調節シリンダ9の動きを検出するストロークセンサであってもよく、ブレーカ6の回動角度を検出するロータリエンコーダ、ポテンショメータなどの角度センサであってもよい。
【0041】
姿勢情報検出器40は、例えば、3次元情報検出器44を含んでいてもよい。3次元情報検出器44は、ブレーカ6及び作業対象物300を含む観測対象についての縦横の2次元情報と当該観測対象についての奥行きの情報とを含む3次元情報を検出することが可能な3次元カメラであってもよい。3次元カメラは、ステレオ方式の3次元カメラ(ステレオカメラ)であってもよく、TOF(Time of Flight)方式の3次元カメラであってもよく、プロジェクターとカメラとを組み合わせた3次元カメラであってもよい。TOF方式の3次元カメラは、例えばLiDAR(Light Detection And Ranging)であってもよい。3次元情報検出器44は、トータルステーションであってもよい。3次元情報検出器44は、前記観測対象の情報を取得可能な位置に配置される。具体的には、例えば、3次元情報検出器44は、図1に示すように上部旋回体2に取り付けられていてもよく、作業装置3に取り付けられていてもよく、下部走行体1、上部旋回体2及び作業装置3から離れた位置(例えば、作業現場)に配置されていてもよい。
【0042】
姿勢情報検出器40は、例えば、ブレーカ姿勢調節シリンダ9のヘッド圧を検出する圧力センサ45を含んでいてもよい。このヘッド圧は、ブレーカ姿勢調節シリンダ9のヘッド室9Hの圧力に対応する圧力である。ブレーカ作業中にブレーカ姿勢調節シリンダ9が収縮する方向にピストンロッド9Bに対して作用する力が大きくなると、ブレーカ姿勢調節シリンダ9のヘッド圧も大きくなる。また、チゼル角度θが垂直に近づくほど、ブレーカ姿勢調節シリンダ9が収縮する方向にピストンロッド9Bに対して作用する力も大きくなる。すなわち、ブレーカ姿勢調節シリンダ9のヘッド圧はチゼル角度θに相関する値であり、チゼル角度θが垂直に近づくほど大きくなる。従って、圧力センサ45は、チゼル角度θに相関する情報を検出することができる。言い換えると、ブレーカ姿勢調節シリンダ9は、チゼル角度θが垂直に近づくほどヘッド圧が大きくなるような姿勢でアーム5及びブレーカ6に取り付けられている。
【0043】
なお、チゼル駆動アクチュエータ6Cを作動させる作動油の圧力は、ブレーカ姿勢調節シリンダ9のヘッド圧に比べてかなり大きいため、チゼル角度θに関する情報を精度よく検出することはできない。従って、仮に、チゼル駆動アクチュエータ6Cを作動させる作動油の圧力を検出する圧力センサが設けられていたとしても、この圧力センサは、姿勢情報検出器40として利用できない。
【0044】
姿勢情報検出器40は、前記角度検出器、3次元情報検出器44及び圧力センサ45の全てを含んでいてもよく、これらのうちの何れか一つのみを含んでいてもよく、これらの二つを含んでいてもよい。また、姿勢情報検出器40は、前記角度検出器、3次元情報検出器44及び圧力センサ45を含まず、ブレーカ6の姿勢に関する姿勢情報を検出可能な他の検出器を含んでいてもよい。
【0045】
ブレーカスイッチ50は、ブレーカ作業を行うときにオペレータにより操作されるスイッチである。ブレーカスイッチ50は、オペレータが操作可能な位置に配置されている。オペレータが作業機械100のキャビン内において作業機械100を操縦する場合には、ブレーカスイッチ50は、キャビン内に配置されている。オペレータが作業機械100から離れた遠隔地において作業機械100を遠隔操縦する場合には、ブレーカスイッチ50は、当該遠隔地に配置されている。
【0046】
ブレーカスイッチ50がオペレータによる操作を受けると、当該操作に対応するスイッチ操作信号がコントローラ80に入力される。コントローラ80は、当該スイッチ操作信号の入力を受けると、ブレーカボディ6Aに対してチゼル6Bが高速で往復運動するようにチゼル駆動アクチュエータ6Cを制御する。
【0047】
ブレーカスイッチ50は、ブレーカ作業が行われていることを検出するブレーカ作業検出器の一例である。後述するように、本実施形態では、コントローラ80は、ブレーカ作業検出器からの入力を受けることでブレーカ作業が行われていることを検出した場合にブレーカ6の姿勢の判定を行うように構成されている。
【0048】
表示器60は、異常情報をオペレータに報知するための装置である。異常情報は、例えば、作業対象物300に対するチゼル6Bの傾き度合いに関する情報を含む。表示器60は、報知器の一例である。
【0049】
表示器60は、異常情報の表示を行うことができるものであればよいので、その具体的な構成は特に限定されない。表示器60は、例えば、キャビン内又は前記遠隔地においてオペレータが目視することが可能な位置に配置された液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどのディスプレイ(モニター)であってもよい。また、表示器60は、キャビンにおけるフロントウインドに配置されたフロントガラスなどの透明板に異常情報の表示を行うヘッドアップディスプレイ(HUD)のための投影器を含んでいてもよい。また、表示器60は、オペレータの頭部に装着されるヘッドマウントディスプレイ(HMD)であってもよい。
【0050】
通信器70は、作業機械100から離れた位置に存在し得る少なくとも一つの情報機器に無線通信又は有線通信で前記異常情報を送信するように構成されている。図2に示す本実施形態では、通信器70は、サーバ201、オペレータの情報端末202及び管理者の情報端末203に無線通信で異常情報を送信するように構成されている。オペレータの情報端末202及び管理者の情報端末203は、例えば、持ち運び可能な電子情報端末である。なお、通信器70は、サーバ201、オペレータの情報端末202及び管理者の情報端末203の少なくとも一つから情報を受信可能なように構成されていてもよい。サーバ201は、その機能の一部又は全部が、作業機械100、オペレータの情報端末202及び管理者の情報端末203の少なくとも一つに設けられていてもよい。また、オペレータの情報端末202及び管理者の情報端末203は省略されてもよい。
【0051】
コントローラ80は、CPU、MPUなどの演算処理装置とメモリと含むコンピュータを備える。コントローラ80は、作業対象物300に対するチゼル6Bの傾き度合いが許容範囲にあるか否かを、姿勢情報検出器40により検出される前記姿勢情報を用いて判定する。具体的には、例えば、コントローラ80は次のように構成されていてもよい。
【0052】
図2に示す本実施形態では、コントローラ80は、姿勢判定部81と、報知制御部82と、姿勢制御部83と、を備える。姿勢判定部81、報知制御部82及び姿勢制御部83のそれぞれは、コントローラ80のメモリに記憶された制御プログラムが実行されることにより実現される。
【0053】
姿勢判定部81は、姿勢情報検出器40から入力される姿勢情報を用いて、作業対象物300に対するチゼル6Bの傾き度合いが許容範囲にあるか否かを判定する。
【0054】
姿勢情報検出器40が3次元情報検出器44を含む場合には、姿勢判定部81は、前記傾き度合いが許容範囲にあるか否かを次のように判定してもよい。3次元情報検出器44は、作業対象物300の表面301に関する3次元情報とチゼル6Bに関する3次元情報とを含む観測対象の3次元情報を検出することができる。従って、この場合には、姿勢判定部81は、作業対象物300の表面301に関する3次元情報とチゼル6Bに関する3次元情報とを用いて、作業対象物300の表面301に対するチゼル6Bの角度(すなわちチゼル角度θ)を演算することができる。そして、姿勢判定部81は、演算されたチゼル角度θが予め設定された角度閾値未満であるか否かを判定する。具体的には、姿勢判定部81は、チゼル角度θが角度閾値未満である場合には前記傾き度合いが許容範囲にないと判定し、チゼル角度θが角度閾値以上である場合には前記傾き度合いが許容範囲にあると判定してもよい。
【0055】
角度閾値は、前記傾き度合いが許容範囲にあるか否かを判定することが可能な値に設定される。この角度閾値は、ブレーカ作業前にコントローラ80のメモリに予め記憶されていてもよい。また、角度閾値は、ブレーカ作業前又はブレーカ作業中にオペレータによって入力器90(図2参照)に入力される角度入力値に基づいて設定(更新)されてもよい。この場合、入力器90は、オペレータにより入力された角度入力値をコントローラ80に出力し、コントローラ80は、前記角度入力値を角度閾値として記憶する。
【0056】
また、姿勢情報検出器40が圧力センサ45を含む場合には、姿勢判定部81は、前記傾き度合いが許容範囲にあるか否かを次のように判定してもよい。この場合、姿勢判定部81は、圧力センサ45により検出されるブレーカ姿勢調節シリンダ9のヘッド圧が予め設定された圧力閾値未満であるか否かを判定することができる。具体的には、姿勢判定部81は、ヘッド圧が圧力閾値未満である場合には前記傾き度合いが許容範囲にないと判定し、ヘッド圧が圧力閾値以上である場合には前記傾き度合いが許容範囲にあると判定してもよい。
【0057】
圧力閾値は、前記傾き度合いが許容範囲にあるか否かを判定することが可能な値に設定される。この圧力閾値は、ブレーカ作業前にコントローラ80のメモリに予め記憶されていてもよい。また、圧力閾値は、ブレーカ作業前又はブレーカ作業中にオペレータによって入力器90に入力される圧力入力値に基づいて設定(更新)されてもよい。この場合、入力器90は、オペレータにより入力された圧力入力値をコントローラ80に出力し、コントローラ80は、前記圧力入力値を圧力閾値として記憶する。
【0058】
また、姿勢情報検出器40が慣性計測装置43などの前記角度検出器を含む場合には、姿勢判定部81は、前記傾き度合いが許容範囲にあるか否かを次のように判定してもよい。姿勢判定部81は、前記角度検出器から入力される姿勢情報に基づいてブレーカ6の姿勢を演算する。ブレーカ6の姿勢は、例えば、水平面(水平線)に対するブレーカ6の角度(例えばチゼル6Bの角度)であってもよく、ある基準面(基準線)に対するブレーカ6の角度(例えばチゼル6Bの角度)であってもよい。
【0059】
図1に示すように作業対象物300の表面301がほぼ水平である場合には、姿勢判定部81は、演算されたブレーカ6の角度(例えばチゼル6Bの角度)を用いて、作業対象物300の表面301に対するチゼル6Bの角度(すなわちチゼル角度θ)を演算することができる。また、作業対象物が例えば図1に示すようにほぼ水平な地面303を含む地盤302である場合には、上記と同様に、姿勢判定部81は、演算されたブレーカ6の角度(例えばチゼル6Bの角度)を用いて、作業対象物としての地盤302の表面(地面303)に対するチゼル6Bの角度(すなわちチゼル角度θ)を演算することができる。
【0060】
また、作業対象物300の表面301又は地盤302の表面(地面303)が水平面に対して比較的大きく傾くような傾斜面である場合には、水平面に対する前記傾斜面の角度である傾斜角度は、ブレーカ作業前又はブレーカ作業中にオペレータによって入力器90に入力される傾斜角度入力値に基づいて設定(更新)されてもよい。この場合、入力器90は、オペレータにより入力された傾斜角度入力値をコントローラ80に出力し、コントローラ80は、前記傾斜角度入力値を前記傾斜角度として記憶する。そして、姿勢判定部81は、演算されたブレーカ6の角度(例えばチゼル6Bの角度)と、前記傾斜角度と、を用いて、作業対象物の表面に対するチゼル6Bの角度(すなわちチゼル角度θ)を演算することができる。
【0061】
また、姿勢情報検出器40が前記角度検出器と3次元情報検出器44を含む場合には、水平面に対する前記傾斜面の傾斜角度は、3次元情報検出器44からコントローラ80に入力される作業対象物の表面についての3次元情報に基づいて設定(更新)されてもよい。そして、姿勢判定部81は、前記角度検出器から入力される姿勢情報を用いて演算されたブレーカ6の角度(例えばチゼル6Bの角度)と、3次元情報検出器44から入力される姿勢情報(すなわち前記傾斜角度に関する情報)を用いて演算された前記傾斜角度と、を用いて、作業対象物の表面に対するチゼル6Bの角度(すなわちチゼル角度θ)を演算することができる。
【0062】
そして、姿勢判定部81は、演算されたチゼル角度θが予め設定された角度閾値未満であるか否かを判定する。具体的には、姿勢判定部81は、チゼル角度θが角度閾値未満である場合には前記傾き度合いが許容範囲にないと判定し、チゼル角度θが角度閾値以上である場合には前記傾き度合いが許容範囲にあると判定してもよい。
【0063】
報知制御部82は、前記傾き度合いに関する情報を含む異常情報が報知されるように表示器60を制御する。
【0064】
姿勢制御部83は、姿勢判定部81による演算結果(判定結果)を用いて制御指令を演算し、演算された制御指令を流量調整器30の電磁比例弁に入力する。これにより、ブレーカ6の姿勢がコントローラ80によってブレーカ作業に適した姿勢に自動的に調節される。
【0065】
なお、コントローラ80によるブレーカ6の姿勢の自動制御が行われない場合には、姿勢制御部83は、操作器20の操作レバー21に与えられるレバー操作に応じた制御指令を演算し、演算された制御指令を流量調整器30の電磁比例弁に入力する。これにより、当該レバー操作に対応する油圧アクチュエータが当該レバー操作に応じた動作を行い、その結果、ブーム4、アーム5、ブレーカ6及び上部旋回体2のうち当該油圧アクチュエータに対応する部分が当該レバー操作に応じた動作を行う。
【0066】
図3は、本実施形態に係るブレーカ姿勢判定装置のコントローラ80による演算制御動作を示すフローチャートである。
【0067】
図3に示すように、コントローラ80は、ブレーカ作業中であるか否かを判定する(ステップS11)。具体的には、例えば、コントローラ80は、ブレーカスイッチ50からスイッチ操作信号が入力された場合にはブレーカ作業中であると判定し、ステップS12以降の処理を行う。ステップS12以降の処理は、作業対象物300に対するチゼル6Bの傾き度合いが許容範囲にあるか否かの判定を含む。一方、コントローラ80は、ブレーカスイッチ50からスイッチ操作信号が入力されない場合には前記傾き度合いが許容範囲にあるか否かの判定を行わない。このように前記傾き度合いが許容範囲にあるか否かの判定がブレーカ作業が行われている場合にのみ行われることで、コントローラ80による不必要な演算処理を省略することができる。
【0068】
コントローラ80は、姿勢情報検出器40からブレーカ6の姿勢に関する姿勢情報を取得する(ステップS12)。
【0069】
コントローラ80の姿勢判定部81は、姿勢情報検出器40から入力される姿勢情報を用いて、前記傾き度合いが許容範囲にあるか否かを判定する(ステップS13)。
【0070】
前記傾き度合いが許容範囲にないと判定された場合(ステップS13においてNO)、コントローラ80は、経過時間のカウントアップを行う(ステップS14)。すなわち、コントローラ80は、前記傾き度合いが許容範囲にない状態でブレーカ作業が継続される時間(経過時間)を計測する。なお、前記傾き度合いが許容範囲にあると判定された場合(ステップS13においてYES)、コントローラ80は、経過時間をクリアする(ステップS21)。また、ステップS11においてブレーカ作業中ではないと判定された場合にもコントローラ80は、経過時間をクリアする(ステップS21)。
【0071】
ステップS15において、コントローラ80は、経過時間が予め設定された時間閾値を超えたか否かを判定する。経過時間が時間閾値を超えていない場合(ステップS15においてNO)、コントローラ80は、ステップS11の処理を行う。経過時間が時間閾値を超えた場合(ステップS15においてYES)、コントローラ80の報知制御部82は、前記傾き度合いに関する情報を含む異常情報が表示器60に表示されるように表示器60を制御する(ステップS16)。
【0072】
また、コントローラ80は、通信器70を介して、前記傾き度合いに関する情報を含む異常情報をサーバ201、オペレータの情報端末202及び管理者の情報端末203に無線通信で送信する(ステップS17,S18,S19)。なお、コントローラ80からサーバ201、オペレータの情報端末202及び管理者の情報端末203のそれぞれに前記異常情報を送信する際には、通信器間において通信を許可するための認証が識別情報を用いて行われてもよい。また、前記異常情報を送信する際には、前記異常情報の暗号化処理などのセキュリティ対策が施されていることが好ましい。また、前記異常情報の送信において前記異常情報の内容の改ざんを検知できる仕組みが設けられていてもよい。
【0073】
図2に示すように、サーバ201は、通信器211と、表示器221と、記憶器231と、を備える。図4は、サーバ201による演算制御動作を示すフローチャートである。図4に示すように、サーバ201が通信器211を介して前記異常情報を受信した場合(ステップS31においてYES)、サーバ201は、表示器221に当該異常情報を表示し(ステップS32)、前記異常情報をデータベースとして記憶器231に記憶する(ステップS33)。記憶器231に記憶される前記異常情報は、例えば、作業機械100を識別することが可能な識別情報を含んでいてもよく、ブレーカ6の姿勢がブレーカ作業に適していない姿勢からブレーカ作業に適した姿勢に改善されたことを示す情報を含んでいてもよい。
【0074】
図2に示すように、オペレータの情報端末202は、通信器212と、表示器222と、を備える。図5は、オペレータの情報端末202による演算制御動作を示すフローチャートである。図5に示すように、オペレータの情報端末202が通信器212を介して前記異常情報を受信した場合(ステップS41においてYES)、オペレータの情報端末202は、表示器222に当該異常情報を表示する(ステップS42)。オペレータが作業機械100のキャビン内において作業機械100を操縦する場合には、オペレータの情報端末202は、キャビン内に配置されていてもよい。オペレータの情報端末202は、表示器60の一部を構成していてもよく、入力器90の一部を構成していてもよい。オペレータが作業機械100から離れた遠隔地において作業機械100を遠隔操縦する場合には、オペレータの情報端末202は、当該遠隔地に配置されていてもよい。
【0075】
図2に示すように、管理者の情報端末203は、通信器213と、表示器223と、を備える。図6は、管理者の情報端末203による演算制御動作を示すフローチャートである。図6に示すように、管理者の情報端末203が通信器213を介して前記異常情報を受信した場合(ステップS51においてYES)、管理者の情報端末203は、表示器223に当該異常情報を表示する(ステップS52)。
【0076】
ここで、図3に戻ってステップS20の処理について説明する。本実施形態では、コントローラ80は、前記傾き度合いが許容範囲にない場合、前記傾き度合いが許容範囲に含まれるようにブレーカ6の姿勢を制御する。すなわち、本実施形態では、ブレーカ6の姿勢がコントローラ80によってブレーカ作業に適した姿勢に自動的に調節される。従って、オペレータが操作器20を操作しなくても、チゼル6Bが作業対象物300の表面301に対して比較的大きく傾いた状態で長時間のブレーカ作業が行われることが回避される。
【0077】
具体的には、姿勢制御部83は、姿勢判定部81による判定結果を用いて制御指令を演算し、演算された制御指令を出力し(ステップS20)、出力された制御指令は、流量調整器30の電磁比例弁に入力される。電磁比例弁は、入力された制御指令に応じた2次圧(パイロット圧)を出力し、このパイロット圧は、当該電磁比例弁に対応する流量調整器30の制御弁のパイロットポートに入力される。制御弁は、入力されたパイロット圧に応じてスプールが変位することで当該制御弁に対応する油圧アクチュエータに供給される作動油の流量及び作動油の供給方向を調節する。コントローラ80は、図3のステップS11-S20の演算処理を繰り返すことにより、ブレーカ6の姿勢をブレーカ作業に適した姿勢、すなわち前記傾き度合いが許容範囲に含まれるような姿勢にブレーカ6の姿勢を制御することができる。
【0078】
以下では、コントローラ80によるブレーカ6の姿勢制御、特に図3のステップS20の処理について具体例を挙げてさらに詳細に説明する。
【0079】
まず、姿勢情報検出器40が圧力センサ45を含む場合のステップS20の処理の一例について説明する。
【0080】
前記傾き度合いが許容範囲にない場合、すなわち、圧力センサ45により検出されるブレーカ姿勢調節シリンダ9の実際のヘッド圧が圧力閾値未満である場合で(ステップS13においてNO)、かつ、経過時間が時間閾値を超えた場合(ステップS15においてYES)、コントローラ80の姿勢制御部83は、実際のヘッド圧が予め設定された目標圧力に近づくようにブレーカ6の姿勢を制御してもよい。具体的には、姿勢制御部83は、実際のヘッド圧と、目標圧力と、下記の式(1)及び式(2)と、を用いて、実際のヘッド圧と目標圧力との偏差をゼロに近づけるためのフィードバック制御を行うことによりブレーカ6の姿勢を制御してもよい。
【0081】
i[n]=i[n-1]+Δi ・・・(1)
式(1)において、「i[n]」は、ステップS20の処理において電磁比例弁に入力する制御指令(指示値)であり、「i[n-1]」は、前回のステップS20の処理において電磁比例弁に入力した制御指令(指示値)であり、「Δi」は、前回の指示値i[n-1]に対する補正値である。
【0082】
Δi=i0×PID(Ne、Pbr-Pbr_th) ・・・(2)
式(2)において、「i0」は、所定の係数値であり、「Ne」は、前記油圧ポンプを駆動するエンジンの回転数であり、「Pbr」は、実際のヘッド圧であり、「Pbr_th」は、目標圧力であり、「Pbr-Pbr_th」は、実際のヘッド圧と目標圧力との偏差であり、「PID(Ne、Pbr-Pbr_th)」は、エンジン回転数Neと前記偏差とを変数として含む関数(PID制御における前記補正値を演算するために予め設定された関数)である。制御指令i[n]は、前記傾き度合いが許容範囲に含まれるような姿勢にブレーカ6の姿勢を変化させるための指示値である。所定の係数値(i0)は、制御指令i[n]を変化させる度合い(速度)を指定するために設定された値である。係数値(i0)は、オペレータによって入力器90(図2参照)に入力される入力値に基づいて設定(更新)されてもよく、予め設定された一定値であってもよい。式(2)は、係数値(i0)が大きくなるほど姿勢調節時のブレーカ6の姿勢の変化速度が大きくなるように設定されてもよい。PID(Ne、Pbr-Pbr_th)は、係数値(i0)により決定されるブレーカ6の姿勢の変化速度を調整するための関数である。PID(Ne、Pbr-Pbr_th)は、前記油圧ポンプからブレーカ姿勢調節シリンダ9に供給される作動油の供給量がエンジン回転数Neが大きいほど増大することが考慮されるとともに実際のヘッド圧と目標圧力との偏差が考慮されることによって設定されてもよい。具体的には、PID(Ne、Pbr-Pbr_th)は、エンジン回転数Neが大きいほどブレーカ6の姿勢の変化速度が大きくなるように設定され、かつ、実際のヘッド圧と目標圧力との偏差(Pbr-Pbr_t)が大きいほどこの偏差を素早くゼロに近づけるためにブレーカ6の姿勢の変化速度が大きくなるように設定されてもよい。目標圧力(Pbr_th)は、前記傾き度合いを許容範囲に含めるために予め設定される目標値であり、前記圧力閾値と同じ値であってもよく、前記圧力閾値とは異なる値であってもよい。
【0083】
姿勢制御部83は、実際のヘッド圧と、目標圧力と、上記の式(1)及び式(2)と、を用いて演算した制御指令(指示値)を、例えばブレーカ姿勢調節シリンダ9に対応する流量調整器30の電磁比例弁に入力し(ステップS20)、これにより、アーム5に対するブレーカ6の姿勢が補正される。コントローラ80は、ステップS11-S20の演算処理を繰り返すことにより、実際のヘッド圧を目標圧力に制御し、チゼル角度θをチゼル角度の目標値(後述する目標チゼル角度)に制御することができる。これにより、ブレーカ6の姿勢が、ブレーカ作業に適した姿勢、すなわち前記傾き度合いが許容範囲に含まれるような姿勢に調節される。
【0084】
次に、姿勢情報検出器40が慣性計測装置43などの角度検出器を含む場合のステップS20の処理の一例について説明する。
【0085】
前記傾き度合いが許容範囲にない場合、すなわち、チゼル角度θが角度閾値未満である場合で(ステップS13においてNO)、かつ、経過時間が時間閾値を超えた場合(ステップS15においてYES)、コントローラ80の姿勢制御部83は、実際のチゼル角度θが予め設定された目標チゼル角度に近づくようにブレーカ6の姿勢を制御してもよい。具体的には、姿勢制御部83は、実際のチゼル角度θと、目標チゼル角度と、下記の式(3)及び式(4)と、を用いて、実際のチゼル角度θと目標チゼル角度との偏差をゼロに近づけるためのフィードバック制御を行うことによりブレーカ6の姿勢を制御してもよい。
【0086】
i[n]=i[n-1]+Δi ・・・(3)
式(3)において、「i[n]」は、ステップS20の処理において電磁比例弁に入力する制御指令(指示値)であり、「i[n-1]」は、前回のステップS20の処理において電磁比例弁に入力した制御指令(指示値)であり、「Δi」は、前回の指示値i[n-1]に対する補正値である。
【0087】
Δi=i0×PID(Ne、Dbr-Dbr_th) ・・・(4)
式(4)において、「i0」は、所定の係数値であり、「Ne」は、前記油圧ポンプを駆動するエンジンの回転数であり、「Dbr」は、実際のチゼル角度θであり、「Dbr_th」は、目標チゼル角度であり、「Dbr-Dbr_th」は、実際のチゼル角度θと目標チゼル角度との偏差であり、「PID(Ne、Dbr-Dbr_th)」は、エンジン回転数Neと前記偏差とを変数として含む関数(PID制御における前記補正値を演算するために予め設定された関数)である。制御指令i[n]は、前記傾き度合いが許容範囲に含まれるような姿勢にブレーカ6の姿勢を変化させるための指示値である。所定の係数値(i0)は、制御指令i[n]を変化させる度合い(速度)を指定するために設定された値である。係数値(i0)は、オペレータによって入力器90(図2参照)に入力される入力値に基づいて設定(更新)されてもよく、予め設定された一定値であってもよい。式(4)は、係数値(i0)が大きくなるほど姿勢調整時のブレーカ6の姿勢の変化速度が大きくなるように設定されてもよい。PID(Ne、Dbr-Dbr_th)は、係数値(i0)により決定されるブレーカ6の姿勢の変化速度を調整するための関数である。PID(Ne、Dbr-Dbr_th)は、前記油圧ポンプからブレーカ姿勢調節シリンダ9に供給される作動油の供給量がエンジン回転数Neが大きいほど増大することが考慮されるとともに実際のチゼル角度θと目標チゼル角度との偏差が考慮されることによって設定されてもよい。具体的には、PID(Ne、Dbr-Dbr_th)は、エンジン回転数Neが大きいほどブレーカ6の姿勢の変化速度が大きくなるように設定され、かつ、実際のチゼル角度θと目標チゼル角度との偏差(Ne、Dbr-Dbr_th)が大きいほど偏差を素早くゼロに近づけるためにブレーカ6の姿勢の変化速度が大きくなるように設定されてもよい。目標チゼル角度(Dbr_th)は、前記傾き度合いを許容範囲に含めるために予め設定される目標値であり、前記角度閾値と同じ値であってもよく、前記角度閾値とは異なる値であってもよい。
【0088】
姿勢制御部83は、実際のチゼル角度θと、目標チゼル角度と、上記の式(3)及び式(4)と、を用いて演算した制御指令(指示値)を、例えばブレーカ姿勢調節シリンダ9に対応する流量調整器30の電磁比例弁に入力する(ステップS20)。コントローラ80は、ステップS11-S20の演算処理を繰り返すことにより、実際のチゼル角度θを目標チゼル角度に制御することができる。これにより、ブレーカ6の姿勢が、ブレーカ作業に適した姿勢、すなわち前記傾き度合いが許容範囲に含まれるような姿勢に調節される。
【0089】
なお、姿勢情報検出器40が圧力センサ45と角度検出器を含む場合には、ステップS20の処理において、上記の式(1)、式(2)、式(3)及び式(4)を組み合わせて電磁比例弁に入力する制御指令(指示値)が演算されてもよい。
【0090】
[変形例]
以上、本開示の実施形態に係る自動制御装置及びこれを備える作業機械について説明したが、本開示は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例を含む。
【0091】
(A)ブレーカ姿勢判定装置について
前記実施形態ではブレーカ姿勢判定装置は作業機械100に含まれるが、本開示に係るブレーカ姿勢判定装置は、必ずしも作業機械100の一部を構成するものでなくてもよく、作業機械100に含まれていなくてもよい。この場合、ブレーカ姿勢判定装置は、作業機械100から離れた場所に配置されていてもよく、作業機械100に取り付けられていてもよい。
【0092】
前記実施形態では、ブレーカ姿勢判定装置は、表示器60、通信器70及び入力器90を備えるが、これらの少なくとも一つは省略可能である。
【0093】
(B)情報機器について
前記実施形態では、作業機械システムが作業機械100と情報機器201,202,203とを含むが、情報機器201,202,203の少なくとも一つは省略可能である。
【0094】
(C)報知器について
前記実施形態では報知器が表示器60であるが、本開示における報知器は、表示器60に限られず、前記傾き度合いに関する情報を報知することができる他の装置であってもよい。他の装置は、例えば、前記傾き度合いに関する情報を報知するための音を出力するスピーカーなどの装置であってもよく、前記傾き度合いに関する情報を報知するための光を発するライトなどの装置であってもよい。
【0095】
(D)作業機械の遠隔操縦について
前記実施形態では複数の操作器20は作業機械100のキャビン内に配置されているが、複数の操作器20は作業機械100から離れた場所である遠隔地に配置された複数の遠隔操作器であってもよい。
【0096】
(E)コントローラによるブレーカの姿勢制御について
前記実施形態では、コントローラ80は、前記傾き度合いが許容範囲にない場合、前記傾き度合いが許容範囲に含まれるようにブレーカ6の姿勢を制御するが(図3のステップS20)、このコントローラ80による自動的なブレーカ6の姿勢制御は省略可能である。すなわち、報知制御部82が前記傾き度合いに関する情報を含む異常情報が報知されるように表示器60(報知器の一例)を制御すると、オペレータは、当該報知器により報知される異常情報を認識することができる。具体的には、オペレータは、報知器が報知する情報に基づいてチゼル6Bの傾き度合いが許容範囲にないこと、すなわち、ブレーカ6の姿勢を修正する必要があることを認識できる。従って、チゼル6Bが作業対象物300の表面301に対して比較的大きく傾いた状態で長時間のブレーカ作業が行われる前に、オペレータは、操作器20を操作してチゼル6Bが作業対象物300の表面301に対してほぼ垂直に当たるような姿勢にブレーカ6の姿勢を調節することができる。
【0097】
前記実施形態では、姿勢制御部83は、図3のステップS20において、演算した制御指令(ブレーカ比例弁指示値)をブレーカ姿勢調節シリンダ9に対応する流量調整器30の電磁比例弁に入力することにより、アーム5に対するブレーカ6の姿勢を補正し、その結果、ブレーカ6の姿勢がブレーカ作業に適した姿勢、すなわち前記傾き度合いが許容範囲に含まれるような姿勢に制御する。ただし、コントローラ80によるブレーカ6の姿勢制御(フィードバック制御)は前記実施形態に限られない。姿勢制御部83は、図3のステップS20において、前記偏差を用いてアーム5の姿勢を補正するための制御指令(アーム比例弁指示値)を演算し、当該アーム比例弁指示値をアーム姿勢調節シリンダ8に対応する流量調整器30の電磁比例弁に入力することにより、ブーム4に対するアーム5の姿勢を補正し、その結果、ブレーカ6の姿勢をブレーカ作業に適した姿勢に制御してもよい。また、姿勢制御部83は、図3のステップS20において、前記偏差を用いてブーム4の姿勢を補正するための制御指令(ブーム比例弁指示値)を演算し、当該ブーム比例弁指示値をブーム姿勢調節シリンダ7に対応する流量調整器30の電磁比例弁に入力することにより、上部旋回体2に対するブーム4の姿勢を補正し、その結果、ブレーカ6の姿勢をブレーカ作業に適した姿勢に制御してもよい。すなわち、姿勢制御部83は、図3のステップS20において、ブレーカ比例弁指示値、アーム比例弁指示値、及びブーム比例弁指示値の少なくとも一つを演算し、演算された指示値を対応する電磁比例弁に入力することにより、ブレーカ6の姿勢をブレーカ作業に適した姿勢に制御してもよい。
【0098】
(F)異常情報のデータベースについて
前記実施形態では、サーバ201が通信器211を介して前記異常情報を受信した場合、前記異常情報をデータベースとして記憶器231に記憶する(ステップS33)。ここで、オペレータの情報端末202及び管理者の情報端末203の少なくとも一方は、記憶器231に記憶された異常情報について、アクセス可能に構成されていてもよい。例えば、オペレータの情報端末202の表示器222又は管理者の情報端末203の表示器223にブレーカ作業における過去の異常情報が表示されることで、オペレータは、過去の作業を振り返ることができる。
【0099】
(G)姿勢情報検出器について
姿勢情報検出器40が少なくとも一つの慣性計測装置を含む場合において、姿勢情報検出器40は、ブレーカの姿勢を検出するためには、少なくとも慣性計測装置43を含んでいればよく、慣性計測装置41及び慣性計測装置42を含んでいなくてもよい。
【符号の説明】
【0100】
2 :上部旋回体(機体の一例)
3 :作業装置
4 :ブーム(支持部材の一例)
5 :アーム(支持部材の一例)
6 :ブレーカ
6B :チゼル
9 :ブレーカ姿勢調節シリンダ
9H :ブレーカ姿勢調節シリンダのヘッド室
40 :姿勢情報検出器
41,42,43:慣性計測装置(姿勢情報検出器の一例)
44 :3次元情報検出器(姿勢情報検出器の一例)
45 :圧力センサ(姿勢情報検出器の一例)
60 :表示器(報知器の一例)
80 :コントローラ
100 :作業機械
201 :サーバ(情報機器の一例)
202 :オペレータの情報端末(情報機器の一例)
203 :管理者の情報端末(情報機器の一例)
300 :作業対象物
θ :チゼル角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6