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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018118
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】モータおよびポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20240201BHJP
   H02K 5/08 20060101ALI20240201BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20240201BHJP
   F04D 13/06 20060101ALI20240201BHJP
   F04D 29/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K5/08 A
H02K7/14 B
F04D13/06 H
F04D29/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121224
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】山本 和磨
【テーマコード(参考)】
3H130
5H605
5H607
【Fターム(参考)】
3H130AA02
3H130AB22
3H130AB42
3H130AC01
3H130BA22G
3H130DD01X
5H605AA02
5H605AA08
5H605BB05
5H605BB17
5H605CC06
5H605EC05
5H605GG18
5H607AA05
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB05
5H607BB14
5H607CC01
5H607CC05
5H607DD03
5H607FF06
5H607JJ01
(57)【要約】
【課題】ステータを覆うハウジング(樹脂封止部材)に保持される端子部材の位置ずれおよび変形を抑制する。
【解決手段】ポンプ装置1のモータ3は、ロータ6およびステータ5と、ステータ5を覆うハウジング10と、ステータ5のコイル50に接続される基板8と、基板8に接続される複数の端子部材90を樹脂製の端子保持部材91に保持させた端子組9を備える。端子組9は、インサート成形によりステータ5とともにハウジング10に一体化される。端子保持部材91は、ハウジング10の表面に露出する第1露出部S1と、第1露出部S1とは反対の方向を向いてハウジング10の表面に露出する第2露出部を備える。ハウジング10を成形する際、第1露出部S1および第2露出部S2を金型面に当接させて端子組9を位置決めする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータおよびステータと、
前記ステータのコイルに電気的に接続される基板と、
前記基板に接続される複数の端子部材、および、前記複数の端子部材を保持する樹脂製の端子保持部材を備える端子組と、
前記ステータおよび前記端子保持部材を覆う樹脂封止部材と、を有し、
前記端子保持部材は、前記樹脂封止部材の表面に露出する第1露出部と、前記第1露出部の露出する方向とは異なる方向を向いて前記樹脂封止部材の表面に露出する第2露出部と、を備えることを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記第2露出部は、前記端子保持部材において前記第1露出部とは反対側を向く部位に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記第2露出部は、前記端子保持部材に設けられた突起部の先端を潰した潰し部であることを特徴とする請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記第1露出部は、平坦面であることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項5】
前記第1露出部と前記第2露出部は、前記平坦面に垂直な方向から見て少なくとも一部が重なることを特徴とする請求項4に記載のモータ。
【請求項6】
前記第1露出部は、前記端子保持部材に設けられた突出部の先端に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項7】
前記端子保持部材は、前記樹脂封止部材の表面に露出する第3露出部を備え、
前記第3露出部は、前記複数の端子部材の配列方向と交差する方向で前記第1露出部から離れていることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項8】
前記第3露出部は、前記第1露出部と同一方向を向いていることを特徴とする請求項7に記載のモータ。
【請求項9】
前記端子保持部材は、前記第1露出部が設けられた第1部分、および、前記第3露出部が設けられた第2部分を備え、
前記第1部分と前記第2部分は分離していることを特徴とする請求項7に記載のモータ。
【請求項10】
前記複数の端子部材のそれぞれは、前記端子保持部材から露出する端子露出部を備えることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項11】
前記複数の端子部材のそれぞれは、
前記樹脂封止部材から突出する第1端部と、前記基板に接続される第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とを接続する中間部分と、を備え、
前記中間部分は、前記ロータの回転軸線に対して傾斜する傾斜部と、前記傾斜部と前記第1端部との間において前記回転軸線と直交する方向に延びる水平部を備え、
前記第1露出部は、前記端子保持部材において前記水平部を覆う部分に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項12】
請求項1から11の何れか一項に記載のモータと、前記モータによって回転駆動されるインペラと、を有することを特徴とするポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂封止部材に保持される端子部材を備えるモータおよびポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冷却水を循環するポンプ装置が記載される。特許文献1のポンプ装置は、ポンプ室に配置されたインペラをモータで回転させる。ポンプ室は、樹脂材料からなるハウジング(ロワボディ)と、ハウジングの上端に固定されるケース(アッパーボディ)との間に設けられている。ハウジングの内側には、モータを構成するステータが収容される。ハウジングとハウジングの下端に固定される蓋との間には、ステータコイルに電気的に接続される基板が収容される。
【0003】
ハウジングの側面には、ハウジングと一体に成形されたコネクタが設けられている。ハウジングに保持される端子部材(ターミナル)は、一端がコネクタの内側に突出し、他端はハウジングと蓋との間の空間に突出して基板に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-100628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように、ポンプ装置を駆動するモータのハウジングにインサート成形により端子部材を保持させる構成においては、端子部材の形状や寸法によっては、インサート成形時に樹脂圧力により端子部材が変形するおそれがある。また、端子部材の位置を安定させることが難しく、端子部材のコネクタ側端部および基板側端部の位置ずれが大きくなるおそれがある。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、樹脂製のハウジング(樹脂封止部材)に保持される端子部材を備えるモータにおいて、端子部材の位置ずれおよび変形を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のモータは、ロータおよびステータと、前記ステータのコイルに電気的に接続される基板と、前記基板に接続される複数の端子部材、および、前記複数の端子部材を保持する樹脂製の端子保持部材を備える端子組と、前記ステータおよび前記端子保持部材を覆う樹脂封止部材と、を有し、前記端子保持部材は、前記樹脂封止部材の表面に露出する第1露出部と、前記第1露出部の露出する方向とは異なる方向を向いて前記樹脂封止部材の表面に露出する第2露出部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、モータの基板に接続される複数の端子部材は、樹脂製の端子保持部材に保持された端子組として取り扱うことができる。端子保持部材は、樹脂封止部材の表面に露出する第1露出部および第2露出部を備えているため、ステータおよび端子組をインサート成形により樹脂封止部材と一体化させる際、第1露出部および第2露出部を異なる方向を向く金型面に当接させて端子組を位置決めすることができる。従って、端子部材の位置決めを容易に、且つ、精度良く行うことができる。また、樹脂封止部材を成形する際の樹脂圧による端子部材の変形および位置ずれを抑制できる。よって、樹脂封止部材から
突出する端子部材の端部の位置精度を高めることができる。
【0009】
本発明において、前記第2露出部は、前記端子保持部材において前記第1露出部とは反対側を向く部位に設けられていることが好ましい。このようにすると、金型内に端子組をセットする際、対向する金型面の間に端子保持部材を挟み込んで位置決めすることができる。これにより、金型内における端子保持部材の位置精度を高めることができるので、端子保持部材を介して端子部材の位置精度を高めることができる。
【0010】
本発明において、前記第2露出部は、前記端子保持部材に設けられた突起部の先端を潰した潰し部であることが好ましい。樹脂封止部材のインサート成形を行う際、対向する金型面の間に端子保持部材を配置し、端子保持部材の突起部の先端を金型面によって潰すことにより、端子保持部材の寸法を金型寸法に確実に合わせることができる。これにより、金型内における端子保持部材の位置精度を高めることができるので、端子保持部材を介して端子部材の位置精度を高めることができる。
【0011】
本発明において、前記第1露出部は、平坦面であることが好ましい。例えば、前記第1露出部は、前記ロータの回転軸線に垂直な平坦面であることが好ましい。このようにすると、金型の開閉方向と回転軸線方向とが一致する金型を用いてインサート成形を行う場合に、金型の開閉方向に対して垂直な面で端子保持部材を支持できる。従って、金型内における端子保持部材の位置ずれを抑制できる。
【0012】
本発明において、前記第1露出部と前記第2露出部は、前記平坦面に垂直な方向から見て少なくとも一部が重なることが好ましい。例えば、前記第1露出部と前記第2露出部は、前記ロータの回転軸線に沿う回転軸線方向から見て少なくとも一部が重なることが好ましい。このようにすると、金型内に端子組をセットする際に、第1露出部と第2露出部に対して、同一直線上で逆向きの力が加わる。第1露出部と第2露出部が型締め方向から見てずれた位置(重ならない位置)に配置される場合には、金型から加わる力によって端子保持部材が撓むおそれがあるが、本発明では、端子保持部材に同一直線上で逆向きの力が加わるので、端子保持部材が撓むことを回避できる。従って、端子保持部材の変形に伴う端子部材の変形や位置ずれを回避できる。
【0013】
本発明において、前記第1露出部は、前記端子保持部材に設けられた突出部の先端に設けられていることが好ましい。このように、広い面でなく突出部を金型に当接させることにより、金型に対する端子保持部材のガタつきを抑制できる。
【0014】
本発明において、前記端子保持部材は、前記樹脂封止部材の表面に露出する第3露出部を備え、前記第3露出部は、前記複数の端子部材の配列方向と交差する方向で前記第1露出部から離れていることが好ましい。このようにすると、端子部材の長さ方向で離れた2箇所で端子保持部材を金型に対して位置決めできる。従って、端子部材の長さが長い場合でも、端子保持部材を介して端子部材の変形を抑制できる。これにより、樹脂封止部材から突出する端子部材の端部の位置精度を高めることができる。
【0015】
この場合に、前記第3露出部は、前記第1露出部と同一方向を向いていることが好ましい。このようにすると、金型面に対して第1露出部と第3露出部を同一方向から当接させることができるので、端子保持部材の位置決めが容易である。
【0016】
また、前記端子保持部材は、前記第1露出部が設けられた第1部分、および、前記第3露出部が設けられた第2部分を備え、前記第1部分と前記第2部分は分離していることが好ましい。このようにすると、端子部材のばね性を利用して端子保持部材(第1部分、第2部分)を金型面に確実に当接させる構成とすることが可能である。従って、端子保持部
材の位置決めが容易である。また、樹脂圧による端子保持部材の移動を抑制できる。
【0017】
本発明において、前記複数の端子部材のそれぞれは、前記端子保持部材から露出する端子露出部を備えることが好ましい。このようにすると、インサート成形により端子保持部材を成形する際、端子部材の位置精度を高めることができる。これにより、ハウジングにおける端子保持部材の位置決めの基準となる第1露出部に対する端子部材の位置精度を高めることができる。
【0018】
本発明において、前記複数の端子部材のそれぞれは、前記樹脂封止部材から突出する第1端部と、前記基板に接続される第2端部と、前記第1端部と前記第2端部とを接続する中間部分と、を備え、前記中間部分は、前記ロータの回転軸線に対して傾斜する傾斜部と、前記傾斜部と前記第1端部との間において前記回転軸線と直交する方向に延びる水平部を備え、前記第1露出部は、前記端子保持部材において前記水平部を覆う部分に設けられていることが好ましい。このようにすると、コネクタ部を基板から離れた位置まで延ばす場合に、端子部材およびコネクタ部を回転軸線に対して傾斜する方向に延ばすことができるので、コネクタ部を構成する樹脂の体積を少なくすることができる。よって、樹脂封止部材の軽量化およびコスト削減を図ることができる。その一方で、第1露出部は端子部材の水平部に配置されるので、金型の開閉方向に対して垂直な面で端子保持部材を支持できる。よって、金型内における端子保持部材の位置ずれを抑制できる。
【0019】
次に、本発明のポンプ装置は、上記のモータと、前記モータによって回転駆動されるインペラと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、モータの基板に接続される複数の端子部材は、樹脂製の端子保持部材に保持された端子組として取り扱うことができる。端子保持部材は、樹脂封止部材の表面に露出する第1露出部および第2露出部を備えているため、ステータおよび端子組をインサート成形により樹脂封止部材と一体化させる際、第1露出部および第2露出部を異なる方向を向く金型面に当接させて端子組を位置決めすることができる。従って、端子部材の位置決めを容易に、且つ、精度良く行うことができる。また、樹脂封止部材を成形する際の樹脂圧による端子部材の変形および位置ずれを抑制できる。よって、樹脂封止部材から突出する端子部材の端部の位置精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態1のポンプ装置の断面図である。
図2】実施形態1のハウジングを回転軸線方向の他方側から見た斜視図である。
図3】実施形態1の端子組およびハウジングを第1露出部の位置で切断した断面図である。
図4】実施形態1の端子組を回転軸線方向の他方側から見た斜視図である。
図5】実施形態1の端子組を回転軸線方向の一方側から見た斜視図である。
図6】インサート成形用の金型に対する実施形態1の端子組の位置決め方法の説明図である。
図7】実施形態2のポンプ装置の断面図である。
図8】実施形態2の端子組およびハウジングを第1露出部の位置で切断した断面図である。
図9】実施形態2の端子組を回転軸線方向の他方側から見た斜視図である。
図10】実施形態2の端子組を回転軸線方向の一方側から見た斜視図である。
図11】実施形態2の端子組の側面図およびインサート成形用の金型に対する位置決め方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係るポンプ装置1を説明する。以下の説明において、回転軸線方向とは、モータ3の回転軸線Lが延在している方向を意味し、径方向とは、回転軸線Lを中心とする半径方向を意味し、周方向とは、回転軸線Lを中心とする回転方向を意味する。
【0023】
(全体構成)
図1は、実施形態1のポンプ装置1の断面図であり、回転軸線Lを含む平面でポンプ装置1を切断した断面図である。図1に示すように、ポンプ装置1は、回転軸線方向の一方側L1へ延びる吸入管21を備えたケース2と、ケース2に対して回転軸線方向の他方側L2に配置されるモータ3と、ケース2の内部のポンプ室20に配置されるインペラ4を有する。インペラ4は、モータ3によって回転軸線L周りに回転駆動される。本形態のポンプ装置1において、ポンプ室20を流れる流体は液体である。
【0024】
モータ3は、円環状のステータ5と、ステータ5の内側に配置されるロータ6と、ロータ6を回転可能に支持する支軸7と、ステータ5のコイル50に接続される基板8と、基板8に接続される端子部材90を備える端子組9と、ステータ5および端子組9を覆うハウジング10と、基板8を覆う樹脂製のカバー11を備える。
【0025】
支軸7は、金属製あるいはセラミック製である。インペラ4は、ロータ6と一体に回転する。図1に示すように、本形態では、ステータ5に対して回転軸線方向の一方側L1にインペラ4およびポンプ室20が設けられている。すなわち、本形態では、回転軸線方向の一方側L1がモータ3の出力側であり、回転軸線方向の他方側L2が反出力側である。基板8は、ステータ5に対して回転軸線方向の他方側L2に配置される。
【0026】
ポンプ室20は、ケース2とハウジング10との間に設けられている。なお、図1では、インペラ4およびケース2の形状を簡略化して表示しており、ハウジング10に対するケース2の固定構造についても図示を省略している。ケース2の中央に設けられた吸入管21からポンプ室20へ供給される流体は、インペラ4の回転に伴い、図示しない吐出管からポンプ室20の外周側へ吐出される。
【0027】
モータ3において、ステータ5は、ステータコア51と、ステータコア51に対して回転軸線方向の一方側L1から重なるインシュレータ52と、ステータコア51に対して回転軸線方向の他方側L2から重なるインシュレータ53と、ステータコア51に設けられた複数の突極にインシュレータ52、53を介して巻回された複数のコイル50とを有する。モータ3は3相モータである。従って、複数のコイル50は、U相コイル、V相コイル、およびW相コイルによって構成される。
【0028】
ロータ6は、樹脂製のロータ部材60と、ロータ部材60に保持される円筒状のマグネット61を備える。ロータ部材60は、回転軸線方向に延びる円筒部62と、円筒部62の回転軸線方向の一方側L1の端部から外周側へ延びる円板状のフランジ部63を備える。マグネット61は、円筒部62の外周面に固定される。マグネット61は、ステータ5に径方向の内側で対向する。マグネット61は、例えば、ネオジムボンド磁石からなる。
【0029】
円筒部62の内側には円筒状のラジアル軸受64が保持される。ロータ6は、ラジアル軸受64を介して支軸7に回転可能に支持される。フランジ部63には、回転軸線方向の一方側L1から樹脂製のプレート41が対向しており、プレート41から回転軸線方向の他方側L2に突出する複数の羽根部42がフランジ部63に接続される。羽根部42は、円弧状に湾曲しながら径方向の外側へ延びており、等角度間隔に配置される。フランジ部63、プレート41、および羽根部42はインペラ4を構成する。
【0030】
(樹脂封止部材)
ハウジング10は、ステータ5を径方向の両側、および軸線方向の両側から覆う樹脂封止部材である。ハウジング10(樹脂封止部材)は、ポリフェニレンサルファイド(PPS:Polyphenylene Sulfide)からなる。ステータ5および端子組9は、インサート成形によりハウジングと一体化される。ハウジング10は、ケース2に対して回転軸線方向の他方側L2から対向する第1隔壁部12と、ステータ5とマグネット61との間に介在する第2隔壁部13と、第2隔壁部13の回転軸線方向の他方側L2の端に設けられた底壁14とを有する隔壁部材である。
【0031】
図2は、実施形態1のハウジング10を回転軸線方向の他方側L2から見た斜視図である。図1図2に示すように、ハウジング10は、ステータ5を径方向の外側から覆う円筒形の胴部15と、胴部15の回転軸線方向の他方側L2の端部において径方向外側へ突出する円環状のフランジ16と、胴部15から回転軸線方向の他方側L2へ延びる筒部17と、筒部17の周方向の一部に形成された端子台18およびコネクタ部19を備える。
【0032】
図1に示すように、カバー11は、ハウジング10における筒部17の先端(回転軸線方向の他方側L2の端部)に固定される。カバー11とハウジング10の底壁14との間には、基板8が配置される。基板8には、ステータ5からハウジング10の底壁14を貫通して回転軸線方向の他方側L2に突出する金属製の巻線端子80が半田により接続される。基板8には、コイル50に対する給電を制御する回路が設けられている。
【0033】
図1図2に示すように、ハウジング10の筒部17は、胴部15の他方側L2の端部に設けられてステータ5の外周部分に他方側L2から重なる第1環状段部171、第1環状段部171の外周縁から他方側L2へ延びる第1筒部172、第1筒部172の他方側L2の端部から外周側へ拡がる第2環状段部173、第2環状段部173の外周縁から他方側L2へ延びる第2筒部174を備える。すなわち、筒部17は、胴部15から回転軸線方向の他方側L2に向かうに従って階段状に内径が拡がる形状となっている。カバー11は、第2筒部174の先端に固定される。
【0034】
ハウジング10は、筒部17の径方向の中央において底壁14から回転軸線方向の他方側L2へ突出する円柱状の基板支持部175を備える。基板8の中央部は基板支持部175によって回転軸線方向の一方側L1から支持され、ネジ81によって基板支持部175に固定される(図1参照)。基板8の外周部は、第2環状段部173によって回転軸線方向の一方側L1から支持される。
【0035】
図2に示すように、筒部17の周方向の一部分には、径方向外側へ矩形状に突出する凸部176が設けられており、凸部176の内周側には、径方向外側へ凹む矩形の凹部177が設けられている。凹部177の内側には、第1環状段部171および第1筒部172から径方向内側へ突出するとともに底壁14から回転軸線方向の他方側L2へ突出する端子台18が設けられている。端子台18は、径方向と直交する方向を長辺方向とする直方体状である。
【0036】
コネクタ部19は、凸部176から径方向外側へ延びる第1腕部191と、第1腕部191の先端から第1腕部191に対して傾斜する方向へ延びる第2腕部192を備える。本形態では、第2腕部192は、回転軸線方向の他方側L2へ向かうに従って径方向外側へ向かう方向へ傾斜して延びている。
【0037】
(端子組)
図3は、実施形態1の端子組9およびハウジング10を第1露出部S1の位置(図2
A-A位置)で切断した断面図である。図4は、実施形態1の端子組9を回転軸線方向の他方側L2から見た斜視図である。図5は、実施形態1の端子組9を回転軸線方向の一方側L1から見た斜視図である。なお、図4図5は、インサート成形によりハウジング10に一体化される前の端子組9を示す図である。
【0038】
図4図5に示すように、端子組9は、複数の端子部材90と、端子部材90を保持する樹脂製の端子保持部材91を備える。端子保持部材91は、ハウジング10を成形する樹脂と同一の樹脂からなり、インサート成形により複数の端子部材90と一体化される。本形態では、端子組9は同一形状の端子部材90を4本備える。各端子部材90は、細長い板状の金属部材を屈曲させた部品である。4本の端子部材90は、一定間隔で一列に配列される。上記のように、端子組9がインサート成形によりハウジング10に一体化されると、4本の端子部材90は、回転軸線方向に直交し、且つ、径方向に直交する方向に一定間隔で並ぶ(図2参照)。
【0039】
図2に示すように、端子台18の回転軸線方向の他方側L2の面には、インサート成形によりハウジング10と一体化された端子組9における端子保持部材91の第3露出部S3が露出する。第3露出部S3からは、複数の端子部材90が回転軸線方向の他方側L2へ突出する。本形態では、4本の端子部材90が、端子台18の長辺方向に一定間隔で配列される。
【0040】
図3に示すように、コネクタ部19の第1腕部191は、回転軸線方向の他方側L2を向く他方側面193と、他方側面193とは回転軸線方向で反対側を向く一方側面194を備える。ここで、一方側面194は、凸部176の外周面から回転軸線方向の他方側L2へ向かうに従って径方向外側へ向かう方向へ延びる傾斜面195と、傾斜面195の先端に接続される水平面196を備える。水平面196および他方側面193は、回転軸線Lに対して垂直な平坦面である。第1腕部191は、第1腕部191の回転軸線方向の他方側L2において傾斜面195に沿って延びる補強リブ197を介して凸部176の外周面に接続される。
【0041】
図1図3に示すように、端子組9における複数の端子部材90は、それぞれ、コネクタ部19における第2腕部192の先端に設けられた凹部198の内側に突出する第1端部901と、筒部17の内側において端子台18から回転軸線方向の他方側L2へ突出して基板8に接続される第2端部902と、第1端部901と第2端部902とを接続する中間部分903を備える。端子部材90は、中間部分903の一部が端子保持部材91に覆われた状態で、コネクタ部19および端子台18の内部に埋設される。
【0042】
図3に示すように、各端子部材90の中間部分903は、2箇所で屈曲している。すなわち、中間部分903は、第1端部901に接続される第1水平部904と、第1水平部904に対して45度傾いた傾斜部905と、傾斜部905に対して45度傾いて第1水平部904と平行に延びる第2水平部906を備える。第1水平部904および第2水平部906は、回転軸線Lに対して直交する方向に延びる。第2端部902は、第2水平部906から略直角に屈曲して回転軸線方向の他方側L2へ延びる。第1端部901は、第2水平部906に対して45度よりも大きい角度(例えば、60度)で傾斜する。
【0043】
図4図5に示すように、端子保持部材91は、4本の端子部材90の中間部分903に沿う形状に延びている。より詳細には、端子保持部材91は、第1水平部904を途中まで覆う第1部分92と、傾斜部905の全体を覆う第2部分93と、第2水平部906を第2端部902と接続される角部まで覆う第3部分94を備える。第3部分94には、回転軸線方向の一方側L1に凹む凹部95が設けられている。
【0044】
端子保持部材91に設けられた凹部95の底面には、端子部材90の第2水平部906の表面が露出する。すなわち、端子部材90の中間部分903には、端子保持部材91から露出する端子露出部907が設けられている。インサート成形により端子保持部材91を成形する際、端子露出部907を金型面に当接させることにより端子部材90を位置決めする。図3に示すように、端子露出部907は、端子組9をインサートしてハウジング10を成形することにより、ハウジング10を構成する樹脂に覆われる。
【0045】
端子保持部材91は、ハウジング10の表面に露出する露出部を複数個所に備える。本形態では、露出部として、コネクタ部19の回転軸線方向の他方側L2の表面である他方側面193に露出する第1露出部S1と、コネクタ部19の回転軸線方向の一方側L1の表面である一方側面194に露出する第2露出部S2を備える。さらに、端子保持部材91は、端子台18の回転軸線方向の他方側L2の表面に露出する第3露出部S3を備える。
【0046】
図3に示すように、第1露出部S1および第2露出部S2は、端子部材90の中間部分903を2箇所で曲げたことにより形成される2箇所の水平部分のうち、第1端部901と傾斜部905との間に設けられた第1水平部904を覆う部分に設けられている。
【0047】
端子保持部材91は、第1水平部904を覆う第1部分92を備えており、第1部分92には、回転軸線方向の他方側L2へ突出する突出部96、および、回転軸線方向の一方側L1へ突出する突起部97が設けられている。図4に示すように、突出部96は直方体状である。図3に示すように、第1露出部S1は突出部96の先端面である。従って、第1露出部S1は、回転軸線Lに垂直な平坦面である。
【0048】
図5に示すように、突起部97は、断面形状が三角形であり、先端が尖った形状である。以下に説明するように、突起部97の先端には、インサート成形の際に金型面によって潰された潰し部98が形成される(図3参照)。図5は、先端が潰される前の突起部97の形状を示す。第2露出部S2は潰し部98であり、潰し部98は回転軸線Lに垂直な平坦面である。
【0049】
図4図5に示すように、突出部96および突起部97は、それぞれ、第1部分92における端子部材90の配列方向の両端に1箇所ずつ設けられている。言い換えると、突出部96および突起部97は、第1部分92において、回転軸線方向と直交し且つ径方向と直交する方向の両端に1箇所ずつ設けられている。各突起部97は、突出部96と回転軸線方向で重なる位置に設けられている。
【0050】
図4に示すように、端子保持部材91の第3部分94は、回転軸線方向の一方側L1へ凹む凹部95に対して第2部分93とは反対側に位置する先端部分99を備える。第3露出部S3は、先端部分99の回転軸線方向の他方側L2の表面から突出する凸部S31と、凸部S31の外周を囲む平坦部S32を備える。凸部S31は4本の端子部材90の配列方向を長辺方向とする直方体状である。4本の端子部材90は、凸部S31の先端面から突出する。
【0051】
図6は、インサート成形用の金型に対する実施形態1の端子組9の位置決め方法の説明図である。図6(a)は端子組9を第1型M1に当接させた状態を示す図であり、図6(b)は第1型M1と第2型M2を型締めすることにより潰し部98が形成された状態を示す図である。
【0052】
ハウジング10を成形する際には、第1型M1と第2型M2の間に端子組9およびステータ5をセットして樹脂材料を充填する。金型は、第1型M1と第2型M2の開閉方向と
、成形品であるハウジング10の回転軸線方向とが一致するように構成される。金型内に端子組9をセットする際、図6(a)に示すように、第1型M1の金型面MS1と第2型M2の金型面MS2との間に端子保持部材91を配置し、突出部96の先端面、および、先端部分99の表面のうち平坦部S32をそれぞれ第1型M1の金型面MS1に当接させる。なお、金型面MS1には、平坦部S32から突出する凸部S31および凸部S31から突出する端子部材90の第2端部902を収容可能な凹部を形成しておく。
【0053】
端子組9を第1型M1に当接させて位置決めした後に、第1型M1に対して第2型M2を接近させる方向に移動させて型締めする。このとき、図6(b)に示すように、第2型M2の金型面MS2によって突起部97の先端が押圧されるため、突起部97の先端には、平坦な潰し部98が形成される。
【0054】
しかる後に、金型内に樹脂材料を充填して硬化させ、金型から成形品を取り外すと、図2図3に示すように、ハウジング10の回転軸線方向の他方側L2を向く表面に、第1露出部S1および第3露出部S3が露出する。より詳細には、コネクタ部19の他方側面193に2箇所の第1露出部S1が露出するとともに、端子台18の他方側L2の表面に第3露出部S3(平坦部S32、凸部S31)が露出する。また、図3に示すように、コネクタ部19の一方側面194に第2露出部S2(潰し部98)が露出する。第2露出部S2は、一方側面194における水平面196の部分に露出する。
【0055】
(実施形態1の主な作用効果)
以上のように、実施形態1のポンプ装置1に用いられるモータ3は、ロータ6およびステータ5と、ステータ5のコイル50に電気的に接続される基板8と、基板8に接続される複数の端子部材90、および、複数の端子部材90を保持する樹脂製の端子保持部材91を備える端子組9と、ステータ5および端子保持部材91を覆う樹脂封止部材であるハウジング10を有する。端子保持部材91は、ハウジング10の表面に露出する第1露出部S1と、第1露出部S1が露出する方向(回転軸線方向の他方側L2)とは異なる方向(回転軸線方向の一方側L1)でハウジング10の表面に露出する第2露出部S2を備える。
【0056】
実施形態1では、モータ3の基板8に接続される複数の端子部材90は、樹脂製の端子保持部材91に保持されており、端子組9として取り扱うことができる。端子保持部材91は、ハウジング10の表面に露出する第1露出部S1および第2露出部S2を備えているため、ステータ5および端子組9をインサート成形によりハウジング10と一体化させる際、第1露出部S1および第2露出部S2を異なる金型面MS1、MS2に当接させて端子組9を位置決めすることができる。このように、端子保持部材91を介して端子部材90を金型内に位置決めすることにより、端子部材90の位置決めを容易に、且つ、精度良く行うことができる。また、ハウジング10を成形する際の樹脂圧による端子部材90の変形および位置ずれを抑制できる。よって、ハウジング10から突出する第1端部901、および、基板8に接続される第2端部902の位置精度を高めることができる。
【0057】
実施形態1では、第2露出部S2は、端子保持部材91において第1露出部S1とは反対側を向く部位に設けられている。すなわち、図3に示すように、第1露出部S1と第2露出部S2(潰し部98)は、回転軸線方向で反対側を向く部位に設けられている。従って、金型内に端子組9をセットする際、対向する金型面MS1、MS2の間に端子保持部材91を挟み込んで位置決めすることができる。よって、金型内における端子保持部材91の位置精度を高めることができ、端子保持部材91を介して端子部材90の位置精度を高めることができる。
【0058】
実施形態1では、第2露出部S2は、端子保持部材91に設けられた突起部97の先端
を潰した潰し部98である。実施形態1では、ハウジング10のインサート成形を行う際、対向する金型面MS1の間に端子保持部材91を配置し、端子保持部材91の突起部97の先端を金型面MS2によって潰すことにより、端子保持部材91の寸法を金型寸法に確実に合わせることができる。これにより、金型内における端子保持部材91の位置精度を高めることができ、端子保持部材91を介して端子部材90の位置精度を高めることができる。
【0059】
実施形態1では、第1露出部S1は、回転軸線方向に対して垂直な平坦面を備える。従って、金型の開閉方向と回転軸線方向とが一致する金型を用いてインサート成形を行う場合に、金型の開閉方向に対して垂直な面で端子保持部材91を支持できる。従って、金型内における端子保持部材91の位置ずれを抑制できる。
【0060】
実施形態1では、第1露出部S1と第2露出部S2は、平坦面である第1露出部S1に対して垂直な方向から見て重なる。上記のように、第1露出部S1は、回転軸線Lに垂直な平坦面であり、第1露出部S1と第2露出部S2は、回転軸線方向から見てその全体が重なる。このような配置では、金型内に端子組9をセットする際に、第1露出部S1と第2露出部S2に対して、同一直線上で逆向きの力が加わる。第1露出部S1と第2露出部S2が型締め方向から見てずれた位置に配置される場合には、金型から加わる力によって端子保持部材91が撓むおそれがあるが、実施形態1では、端子保持部材91に同一直線上で逆向きの力が加わるので、端子保持部材91が撓むことを回避できる。従って、端子保持部材91の変形に伴う端子部材90の変形や位置ずれを回避できる。なお、第1露出部S1と第2露出部S2(潰し部98)は、回転軸線方向から見て少なくとも一部が重なっていればよい。
【0061】
実施形態1では、第1露出部S1は、端子保持部材91に設けられた突出部96の先端に設けられている。このように、広い面でなく複数の突出部96を金型に当接させることにより、金型に対する端子保持部材91のガタつきを抑制できる。
【0062】
実施形態1では、端子保持部材91は、ハウジング10の表面に露出する第3露出部S3を備える。第3露出部S3は、複数の端子部材90の配列方向と交差する方向で第1露出部S1から離れている。より詳細には、第1露出部S1は、端子保持部材91における第1端部901側の端(第1部分92)に設けられ、第3露出部S3は、端子保持部材91における第2端部902側の端(第3部分94)に設けられている。このように、端子部材90の長さ方向で離れた位置に露出部(すなわち、金型面に当接する部位)を設けていれば、端子部材90の長さが長い場合でも、端子保持部材91を介して端子部材90の変形を抑制できる。よって、端子部材90の第1端部901および第2端部902の位置精度を高めることができる。さらに、実施形態1では、第3露出部S3と第1露出部S1がいずれも回転軸線方向の他方側L2を向いており、同一方向と向いている。従って、2箇所の露出部を同一方向から金型面MS1に当接させるので、端子保持部材91の位置決めが容易である。
【0063】
実施形態1では、複数の端子部材90のそれぞれは、端子保持部材91から露出する端子露出部907を備えており、端子保持部材91に設けられた凹部95の底面に端子部材90の端子露出部907が露出する。実施形態1の端子組9では、インサート成形により端子保持部材91を成形する際、端子部材90を金型面に当接させて位置精度を高めることができる。これにより、ハウジング10における端子保持部材91の位置決めの基準となる第1露出部S1に対する端子部材90の位置精度を高めることができる。
【0064】
実施形態1では、複数の端子部材90のそれぞれにおける中間部分903は、回転軸線Lに対して傾斜する傾斜部905と、傾斜部905と第1端部901との間において回転
軸線Lと直交する方向に延びる第1水平部904を備える。第1露出部S1は、端子保持部材91において第1水平部904を覆う部分(端子保持部材91の第1部分92)に設けられている。端子部材90に傾斜部905を設けることにより、コネクタ部19を回転軸線Lに対して傾斜する方向に延ばすことができる。従って、コネクタ部19を基板8から離れた位置まで延ばす場合でも、コネクタ部19を構成する樹脂の体積を少なくすることができる。よって、ハウジング10の軽量化およびコスト削減を図ることができる。その一方で、第1露出部S1は端子部材90の第1水平部904を覆う部分(端子保持部材91の第1部分92)に設けることができるので、金型の開閉方向に対して垂直な面で端子保持部材91を支持できる。よって、金型内における端子保持部材91の位置ずれを抑制できる。
【0065】
実施形態1のポンプ装置1は、上記のモータ3と、モータ3によって回転駆動されるインペラ4を有する。ポンプ装置1は、ロータ6の回転軸線Lに沿う方向を回転軸線方向とするとき、ステータ5に対して回転軸線方向の一方側L1にインペラ4が配置されるポンプ室20が設けられ、ステータ5に対して回転軸線方向の他方側L2に基板8が配置される。ハウジング10は、基板8に対して回転軸線方向の他方側L2(すなわち、モータ3の反出力側)において、回転軸線方向の他方側L2を向く他方側面193を備え、第1露出部S1は、他方側面193に露出する。このように、実施形態1では、ハウジング10を成形する際、基板8に対してインペラ4とは反対側(すなわち、反出力側)に位置する部分(他方側面193)を成形する金型面MS1を利用して端子組9を位置決めできる。従って、基板8に対してインペラ4とは反対側にコネクタ部19を延ばす場合に、基板8からコネクタ部19の先端までの距離が長い場合であっても、コネクタ部19の先端に近い位置で端子保持部材91を位置決めできる。従って、端子部材90の位置精度を高めることができる。
【0066】
(実施形態2)
以下、実施形態2のポンプ装置1Aについて、実施形態1と同一の部分は同一の符号を付して説明を省略する。図7は、実施形態2のポンプ装置1Aの断面図であり、回転軸線Lを含む平面でポンプ装置1Aを切断した断面図である。実施形態2のハウジング10Aを回転軸線方向の他方側L2から見た斜視図は、実施形態1のハウジング10を回転軸線方向の他方側L2から見た斜視図(図2)と同一であるため、図示を省略する。
【0067】
実施形態2のポンプ装置1Aは、インペラ4を回転させるモータ3Aを備える。ポンプ装置1Aは、実施形態1の端子組9を端子組9Aに変更した点を除き、実施形態1と同一の構成である。図8は、端子組9Aおよびハウジング10Aを第1露出部S1の位置で切断した断面図である。図9は、実施形態2の端子組9Aを回転軸線方向の他方側L2から見た斜視図である。図10は、実施形態2の端子組9Aを回転軸線方向の一方側L1から見た斜視図である。なお、図9図10は、インサート成形によりハウジング10に一体化される前の端子組9Aを示す図である。
【0068】
図9図10に示すように、端子組9Aは、複数の端子部材90Aと、端子部材90Aを保持する樹脂製の端子保持部材91Aを備える。実施形態2の端子保持部材91Aは、第1部分92Aおよび第2部分99Aを備える。第1部分92Aと第2部分99Aは互いに分離した樹脂部である。第1部分92Aは、実施形態1の端子保持部材91における第1部分92を第2部分93から切断したものと同一の構成である。第2部分99Aは、実施形態1の端子保持部材91における第3部分94の先端部分99と同一の構成である。第1部分92Aおよび第2部分99Aは、インサート成形により4本の端子部材90Aと一体化される。
【0069】
第1部分92Aは、端子部材90Aの配列方向を長辺方向とする直方体状である。第1
部分92Aは、回転軸線方向の他方側L2へ突出する突出部96、および、第1部分92から回転軸線方向の一方側L1へ突出する突起部97を備える。突出部96および突起部97の配置および形状は、実施形態1と同様である。
【0070】
第2部分99Aは、端子部材90Aの配列方向を長辺方向とする直方体状である。第2部分99Aは、回転軸線方向の他方側L2へ突出する凸部S31と、凸部S31の外周を囲む平坦部S32を備える。凸部S31の先端からは、4本の端子部材90Aの第2端部902が回転軸線方向の他方側L2へ突出する。
【0071】
図11(a)は、実施形態2の端子組9Aの側面図である。図11(b)は、インサート成形用の金型に対する実施形態1の端子組9の位置決め方法の説明図であり、端子組9を第1型M1に当接させた状態を示す図である。
【0072】
図8に示すように、実施形態2では、ハウジング10Aが完成したとき、端子部材90Aは、第1水平部904および第2水平部906に対する傾斜部905Aの傾斜角度がθとなる形状で埋め込まれている。その一方で、インサート成形前の端子組9Aは、図9図11(a)に示すように、第1水平部904および第2水平部906に対する傾斜部905Aの傾斜角度がθ1である。実施形態2では、θ1をθよりも小さい角度としている。これにより、金型内に端子組9Aをセットする際、以下に説明するように、金属製の端子部材90Aのばね性を利用して第2部分99Aを金型面MS1に押し付けることができる。なお、図8図9図11(a)、図11(b)においては、説明を分かりやすくするため、θとθ1の角度差を実際よりも大きく表示している。
【0073】
実施形態2の端子組9Aを第1型M1に対して位置決めする際、図11(b)に示すように、第1部分92Aにおける突出部96の先端面、および、第2部分99Aにおける平坦部S32を金型面MS1に当接させる。このとき、端子部材90Aは、金型面MS1の形状に従い、傾斜部905Aの傾斜角度がθ1からθとなるように変形させられる。その結果、端子部材90Aには、傾斜部905Aの傾斜角度がθからθ1に戻ろうとする方向のばね力が発生するので、ばね力により第2部分99Aの平坦部S32が金型面MS1に押し付けられる。
【0074】
実施形態2では、実施形態1と同様に、第2型M2の金型面MS2によって突起部97の先端を押圧して潰し部98を形成し、第2型M2からの押圧力によって突出部96の先端面を金型面MS1に押し付けて位置決めする。しかる後に、金型内に樹脂材料を充填して硬化させ、金型から成形品を取り外すと、実施形態1と同様に、コネクタ部19の他方側面193に2箇所の第1露出部S1が露出するとともに、端子台18の他方側L2の表面に第3露出部S3(平坦部S32、凸部S31)が露出する。また、コネクタ部19の一方側面194に第2露出部S2(潰し部98)が露出する。第2露出部S2は、一方側面194における水平面196の部分に露出する(図8参照)。
【0075】
(実施形態2の主な作用効果)
実施形態2では、実施形態1と同様に、端子保持部材91Aに第1露出部S1、第2露出部S2、および第3露出部S3が設けられているので、端子保持部材91Aを金型面MS1、MS2に当接させて位置決めできる。従って、端子部材90Aの位置決めを容易に、且つ、精度良く行うことができる。また、ハウジング10Aを成形する際の樹脂圧による端子部材90Aの変形および位置ずれを抑制できる。
【0076】
実施形態2においても、第1露出部S1、第2露出部S2、および第3露出部S3の形態および配置は実施形態1と同様であるため、実施形態1と同様の作用効果を得ることができる。
【0077】
実施形態2では、端子保持部材91Aは、第1露出部S1が設けられた第1部分92A、および、第3露出部S3が設けられた第2部分99Aを備え、第1部分92Aと第2部分99Aは分離している。従って、端子部材90のばね性を利用して端子保持部材91A(第1部分92A、第2部分99A)を金型面MS1に確実に当接させることが可能である。従って、端子保持部材91Aの位置決めを容易に、且つ、精度良く行うことができる。また、樹脂圧による端子保持部材91Aの移動を抑制できる。
【0078】
(他の実施形態)
(1)上記各形態では、コネクタ部19は回転軸線方向に対して傾斜する方向に延びる部分を備えているが、コネクタ部19の形状はこのような形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、回転軸線方向に対して傾斜する部分を備えていなくてもよい。また、端子部材90の形状は、コネクタ部19から基板8まで延びる形状であればよく、適宜変更可能である。
【0079】
(2)端子保持部材91の形状は、複数の端子部材90の中間部分を保持でき、且つ、ハウジング10の表面に露出する露出部S1、S2、S3を設けることができる形状であればよい。また、第1露出部S1、第2露出部S2、および第3露出部S3の位置および形状は、上記形態の位置および形状に限定されるものではない。例えば、第2露出部S2を第1露出部S1と回転軸線方向で重ならない位置に設けてもよい。また、第2露出部S2は、第1露出部S1とは異なる方向を向いてハウジング10の表面に露出していればよく、第1露出部S1とは反対側を向いていなくてもよい。また、第3露出部S3は省略してもよい。第3露出部S3を設ける場合、第3露出部S3は、第1露出部S1とは異なる方向を向いていてもよい。また、第1露出部S1および第3露出部S3は、平坦面でなくてもよい。
【0080】
(3)上記各形態では、端子保持部材91は、ハウジング10と同一の樹脂からなるものであったが、ハウジング10とは異なる樹脂からなるものであってもよい。
【0081】
(4)上記各形態は、いずれもポンプ装置に用いられるモータであったが、本発明は、ポンプ装置以外の装置に用いられるモータに適用することができる。
【符号の説明】
【0082】
1、1A…ポンプ装置、2…ケース、3、3A…モータ、4…インペラ、5…ステータ、6…ロータ、7…支軸、8…基板、9、9A…端子組、10、10A…ハウジング(樹脂封止部材)、11…カバー、12…第1隔壁部、13…第2隔壁部、14…底壁、15…胴部、16…フランジ、17…筒部、18…端子台、19…コネクタ部、20…ポンプ室、21…吸入管、41…プレート、42…羽根部、50…コイル、51…ステータコア、52、53…インシュレータ、60…ロータ部材、61…マグネット、62…円筒部、63…フランジ部、64…ラジアル軸受、80…巻線端子、81…ネジ、90、90A…端子部材、91、91A…端子保持部材、92、92A…第1部分、93…第2部分、94…第3部分、95…凹部、96…突出部、97…突起部、98…潰し部、99…先端部分、99A…第2部分、171…第1環状段部、172…第1筒部、173…第2環状段部、174…第2筒部、175…基板支持部、176…凸部、177…凹部、191…第1腕部、192…第2腕部、193…他方側面、194…一方側面、195…傾斜面、196…水平面、197…補強リブ、198…凹部、901…第1端部、902…第2端部、903…中間部分、904…第1水平部、905、905A…傾斜部、906…第2水平部、907…端子露出部、L…回転軸線、L1…回転軸線方向の一方側、L2…回転軸線方向の他方側、M1…第1型、M2…第2型、MS1、MS2…金型面、S1…第1露出部、S2…第2露出部、S3…第3露出部、S31…凸部、S32…平坦部
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図11