(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018119
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】モータおよびポンプ装置
(51)【国際特許分類】
H02K 5/22 20060101AFI20240201BHJP
H02K 5/08 20060101ALI20240201BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20240201BHJP
F04D 13/06 20060101ALI20240201BHJP
F04D 29/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K5/08 A
H02K7/14 B
F04D13/06 H
F04D29/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121225
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】山本 和磨
【テーマコード(参考)】
3H130
5H605
5H607
【Fターム(参考)】
3H130AA02
3H130AB22
3H130AB42
3H130AC01
3H130BA22G
3H130DD01X
5H605AA02
5H605AA08
5H605BB05
5H605BB17
5H605CC06
5H605EC05
5H607AA05
5H607BB01
5H607BB05
5H607BB14
5H607CC01
5H607DD03
5H607FF06
5H607JJ10
(57)【要約】
【課題】樹脂封止部材を成形する際に、コネクタ端子とステータとが接触することを抑制することができるモータ、およびポンプ装置を提供すること。
【解決手段】ロータ4の周囲に配置されたステータ5と、ステータ5を覆うとともに、回転軸Lに沿った他方側L2において開口する筒部65を備える樹脂封止部材6と、コネクタ端子71およびコネクタ端子71を保持する樹脂製の保持部72を備えたコネクタ端子組立体7と、筒部65の内部に収容され、コネクタ端子71とステータ5のコイル53とが接続された基板8と、を有する。コネクタ端子71は、基板8の一方側L1からステータ5のステータコア51の径方向外側まで延びる延在部分73を備える。保持部72は、樹脂封止部材6に覆われるとともに、回転軸Lと直交する方向から見た場合に、ステータコア51と重なる部分において、延在部分73を覆う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心に回転するロータと、
前記ロータの周囲に配置され、ステータコアおよび前記ステータコアに巻回されたコイルを備えたステータと、
前記ステータを覆うとともに、前記回転軸に沿った他方側において開口する筒部を備える樹脂封止部材と、
前記樹脂封止部材に一部が覆われるとともに、複数のコネクタ端子および前記複数のコネクタ端子を保持する樹脂製の保持部を備えたコネクタ端子組立体と、
前記筒部の内部に収容され、前記複数のコネクタ端子と前記ステータのコイルとが、各々、前記回転軸に沿った一方側から電気的に接続された基板と、
を有し、
前記複数のコネクタ端子は、前記基板の前記一方側から前記ステータコアの径方向外側まで延びる延在部分と、前記延在部分の前記一方側の端部から径方向外側に屈曲する屈曲部分とを備え、
前記保持部は、前記樹脂封止部材に覆われるとともに、前記回転軸と直交する方向から見た場合に、前記ステータコアと重なる部分において、前記延在部分を覆うことを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記保持部の前記他方側の第1端面は、前記筒部の内部に向けて、前記樹脂封止部材から露出することを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記ステータコアの前記他方側の第2端面は、前記筒部の内部に向けて、前記樹脂封止部材から露出しており、
前記回転軸と直交する方向から見た場合に、前記第1端面と前記第2端面とは一致することを特徴とする請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記保持部は、前記延在部分を覆う本体部と、前記本体部の他方側の端部から前記回転軸を中心とした周方向の両側に突出したフランジ部とを備えることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項5】
前記保持部は、前記ステータコアの外周面に当接することを特徴とする請求項4に記載のモータ。
【請求項6】
前記保持部は、前記ステータコアの前記外周面の形状に対応した側壁面を備え、
前記側壁面は、前記ステータコアの前記外周面に当接することを特徴とする請求項5に記載のモータ。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載のモータを備えたポンプ装置であって、
前記モータによって回転駆動されるインペラを有することを特徴とするポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータおよびポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプ装置に用いられるモータは、特許文献1に記載されている。同文献モータは、ロータの周囲に配置され、ステータコアおよびステータコアに巻回されたコイルを備えたステータと、ステータを覆うとともに、回転軸に沿ったの他方側において開口する筒部を備える樹脂封止部材と、樹脂封止部材に覆われた複数のコネクタ端子と、筒部に収容され、複数のコネクタ端子とコイルとが、各々、回転軸に沿った一方側から電気的に接続された基板と、を有する。樹脂封止部材は、金型を用いたインサート成形によって、ステータおよびコネクタ端子と一体に形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献では、複数のコネクタ端子は、基板の一方側から延びる延在部分と、延在部分の一方側の端部から径方向外側に屈曲する屈曲部分とを備える。延在部分は、回転軸と直交する方向から見た場合に、ステータコアと重ならない位置まで延びる。屈曲部分は、基板とステータコアとの間に位置する。屈曲部分は、樹脂封止部材に覆われており、屈曲部分の先端は、樹脂封止部材から外側に突出している。屈曲部分の先端は、コネクタピンであり、屈曲部分の先端には、モータに電力を供給するためのコネクタが接続される。
【0005】
ここで、回転軸と直交する方向から見た場合に、ステータコアと重なる位置にコネクタピンが配置されたモータが要望されている。この場合、コネクタ端子の延在部分は、ステータコアの径方向外側まで延びて、ステータコアと共に樹脂封止部材に覆われる構成となる。しかしながら、このような構成では、樹脂封止部材を金型成形した際に、コネクタ端子の延在部分は、樹脂の流動によって、ステータコアに接触する恐れがある。接触した状態で樹脂封止部材が形成されたモータは、不良品となるという問題がある。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、コネクタ端子をステータコアの径方向外側まで延ばした場合であっても、コネクタ端子とステータコアとが接触することを抑制することができるモータ、および、このモータを用いたポンプ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のモータは、回転軸を中心に回転するロータと、前記ロータの周囲に配置され、ステータコアおよび前記ステータコアに巻回されたコイルを備えたステータと、前記ステータを覆うとともに、前記回転軸に沿った他方側において開口する筒部を備える樹脂封止部材と、前記樹脂封止部材に一部が覆われるとともに、複数のコネクタ端子および前記複数のコネクタ端子を保持する樹脂製の保持部を備えたコネクタ端子組立体と、前記筒部の内部に収容され、前記複数のコネクタ端子と前記ステータのコイルとが、各々、前記回転軸に沿った一方側から電気的に接続された基板と、を有し、前記複数のコネクタ端子は、前記基板の前記一方側から前記ステータコアの径方向外側まで延びる延在部分と、前記延在部分の前記一方側の端部から径方向外側に屈曲する屈曲部分とを備え、前記保持部は、前記樹脂封止部材に覆われるとともに、前記回転軸と直交する
方向から見た場合に、前記ステータコアと重なる部分において、前記延在部分を覆うことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、コネクタ端子組立体は、樹脂封止部材に一部が覆われるとともに、複数のコネクタ端子および複数のコネクタ端子を保持する樹脂製の保持部を備える。複数のコネクタ端子は、基板の一方側からステータコアの径方向外側まで延びる延在部分と、延在部分の一方側の端部から径方向外側に屈曲する屈曲部分とを備える。保持部は、樹脂封止部材に覆われるとともに、回転軸と直交する方向から見た場合に、ステータコアと重なる部分において、延在部分を覆う。このようにすれば、回転軸と直交する方向から見た場合に、ステータコアと重なる部分において、延在部分は保持部に覆われているので、モータの樹脂封止部材を金型成形した際に、複数のコネクタ端子の延在部分が、ステータコアに接触しない。これにより、ステータコアの径方向外側に屈曲部分を配置することが可能となるとともに、モータが不良品となることを抑制することができる。
【0009】
本発明において、前記保持部の前記他方側の第1端面は、前記筒部の内部に向けて、前記樹脂封止部材から露出することが好ましい。このようにすれば、モータの樹脂封止部材を金型成形する際に、コネクタ端子組立体を金型で支持することができる。これにより、樹脂封止部材に対するコネクタ端子組立体の位置決め精度を高くすることができる。
【0010】
本発明において、前記ステータコアの前記他方側の第2端面は、前記筒部の内部に向けて、前記樹脂封止部材から露出しており、前記回転軸と直交する方向から見た場合に、前記第1端面と前記第2端面とは一致することが好ましい。このようにすれば、モータの樹脂封止部材を金型成形する際に、ステータコアおよびコネクタ端子組立体を金型で支持することができる。これにより、樹脂封止部材に対する、ステータコアおよびコネクタ端子組立体の位置決め精度を高くすることができる。また、回転軸と直交する方向から見た場合に、第1端面と第2端面とが一致するので、ステータコアに対するコネクタ端子組立体の回転軸に沿った方向における位置決め精度を高くすることができる。
【0011】
本発明において、前記保持部は、前記延在部分を覆う本体部と、前記本体部の他方側の端部から前記回転軸を中心とした周方向の両側に突出したフランジ部とを備えることが好ましい。よって、フランジ部が本体部から周方向の両側に突出した分、第1端面を広くすることができるので、コネクタ端子組立体を金型で支持することが容易である。
【0012】
本発明において、前記保持部は、前記ステータコアの外周面に当接することが好ましい。このようにすれば、ステータコアに対するコネクタ端子組立体の径方向の位置決め精度を高くすることができる。この場合、本発明において、前記保持部は、前記ステータコアの前記外周面の形状に対応した側壁面を備え、前記側壁面は、前記ステータコアの前記外周面に当接することが好ましい。このようにすれば、保持部をステータコアの外周面に当接させやすい。
【0013】
本発明に係るモータはポンプ装置に用いることができ、この場合、ポンプ装置は、前記モータによって回転駆動されるインペラを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、回転軸と直交する方向から見た場合に、ステータコアと重なる部分において、延在部分は保持部に覆われている。よって、複数のコネクタ端子の延在部分をステータコアの径方向外側まで延ばした場合であっても、モータの樹脂封止部材を金型成形した際に、複数のコネクタ端子の延在部分が、ステータコアに接触しない。これにより、モータが不良品となることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明を適用したポンプ装置の断面図である。
【
図4】カバーを外した状態を示すモータの分解斜視図である。
【
図5】
図4に示す状態から基板を外した状態を示すモータの分解斜視図である。
【
図6】樹脂封止部材を他方側から見た平面図である。
【
図8】ロータ、ステータおよびネクタ端子組立体の斜視図である。
【
図11】ステータとコネクタ端子組立体との関係を示す断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を用いて、本発明に係るインペラを備えるポンプ装置について説明する。以下の説明において、回転軸Lに沿った一方側にはL1を付し、他方側にはL2を付して説明する。また、以下の説明において、回転軸を中心とする径方向および周方向を各々、単に「径方向」および「周方向」とする。
【0017】
(ポンプ装置)
図1は、本発明を適用したポンプ装置100の断面図である。
図1に示すように、ポンプ装置100は、ロータ4およびステータ5を備えたモータ1と、モータ1に対して回転軸Lに沿った一方側L1に配置されたケース2と、ケース2の内部のポンプ室20に配置されたインペラ3と、を有する。
【0018】
ケース2は、回転軸Lに沿って延在する吸入管21と、回転軸Lに対して直交する方向に延在する不図示の吐出管とを備える。吸入管21は、回転軸Lに対して同心状に設けられている。吐出管は、インペラ3の径方向外側に位置する。
【0019】
ポンプ装置100は、インペラ3がロータ4と一体に回転軸Lを中心として回転することによりポンプ室20内の流体を移動させる。これにより、ポンプ室20内でインペラ3が回転してポンプ室20の内部が負圧となるため、流体は吸入管21からポンプ室20に吸い込まれて、吐出管から吐出される。
【0020】
(モータ)
図2は、一方側L1から見たモータ1の斜視図である。
図3は、他方側L2から見たモータ1の斜視図である。
図4は、カバー部材9を外した状態を示すモータ1の分解斜視図である。
図5は、
図4に示す状態から基板8を外した状態を示すモータ1の分解斜視図である。
図6は、樹脂封止部材6を他方側L2から見た平面図である。
図7は、モータ1の部分断面図である。
図8は、ロータ4、ステータ5およびコネクタ端子組立体7の斜視図である。
【0021】
図2および
図3に示すように、モータ1は、円筒形状である。
図1および
図7に示すように、モータ1は、ロータ4と、ロータ4の周囲に配置されたステータ5と、ステータ5を覆う樹脂製の樹脂封止部材6と、樹脂封止部材6に一部が覆われるコネクタ端子組立体7と、コネクタ端子組立体7の複数のコネクタ端子71およびステータ5のコイル53が接続された基板8と、基板8を他方側L2から覆うカバー部材9とを備える。
【0022】
図1および
図7に示すように、ロータ4は、ステータ5に径方向の内側で対向する位置からポンプ室20まで回転軸Lに沿った方向に延在する円筒部40を備える。円筒部40
は、ポンプ室20で開口する。円筒部40の外周面には、ステータ5の径方向の内側で対向する円筒状の磁石10が保持される。磁石10は、例えば、ネオジウムボンド磁石である。
【0023】
円筒部40の一方側L1の端部には、円板状のフランジ部41が形成されている。
図1に示すように、フランジ部41には、一方側L1から円板31が連結される。円板31の中央には、中央穴310が形成されている。円板31のフランジ部41と対向する面には、中央穴310の周囲から円弧状に湾曲しながら径方向の外側に延在する複数の羽根部32が等角度間隔に形成されている。円板31は、羽根部32を介してフランジ部41に固定される。よって、フランジ部41と円板31とにより、ロータ4の円筒部40に接続されたインペラ3が構成される。
【0024】
図1および
図7に示すように、円筒部40の径方向の内側には、円筒状のラジアル軸受11が保持されている。ロータ4は、ラジアル軸受11を介して支軸12に回転可能に支持される。支軸12の他方側L2の端部は、樹脂封止部材6の底部63に形成された軸穴63aに保持される。支軸12の一方側L1の端部には、円環状の板部材13が取り付けられている。板部材13は、ラジアル軸受11の一方側L1の端部と当接する。
【0025】
図1、
図7および
図8に示すように、ステータ5は、ステータコア51と、インシュレータ52を介してステータコア51に巻回されたコイル53とを有している。
図8に示すように、ステータコア51は、ロータ4の周囲を囲む円環部54と、円環部54から径方向の内側へ突出する複数の突極55とを備えている。
図1に示すように、コイル53は、突極55を覆うインシュレータ52の径方向内側の第1鍔部521と径方向外側の第2鍔部522との間に巻回される。本形態において、モータ1は3相モータであり、コイル53には、U相コイル、V相コイル、およびW相コイルが含まれている。
【0026】
図8に示すように、インシュレータ52の一方側Lの端部には、3つの巻線端子56と1つのコモン端子57が保持されている。3つの巻線端子56の各々には、直列に接続された3つのコイル53を構成する巻線の一方の端部が接続され、他方の端部は、コモン端子57に電気的に接続されている。
【0027】
図7および
図8に示すように、コネクタ端子組立体7は、複数のコネクタ端子71と、複数のコネクタ端子71を保持する保持部72とを備える。本形態では、コネクタ端子71は、4本である。コネクタ端子71は、金属の板部材からなる。コネクタ端子71は、基板8の一方側L1からステータコア51の径方向外側まで延びる延在部分73と、延在部分73の一方側L1の端部から径方向外側に屈曲する屈曲部分74とを備える。屈曲部分74の先端部74aは、樹脂封止部材6から突出している。屈曲部分74の先端部74aは、コネクタピンである。
図5に示すように、延在部分73は、樹脂封止部材6から他方側L2に突出し、露出している。
【0028】
図1および
図7に示すように、樹脂封止部材6は、ポンプ室20の側壁23に対抗する第1隔壁部61と、ステータ5と磁石10との間に介在する第2隔壁部62と、ロータ4の他方側L2の端面と対向する底部63と、ステータ5と径方向の外側から覆う円筒状の胴部64とを備える。本形態において、樹脂封止部材6は、ステータ5を径方向外側および径方向内側から覆うととともに、および回転軸Lに沿った方向の両側から覆う樹脂封止部材である。
【0029】
樹脂封止部材6は、金型を用いたインサート成形によって形成されている。具体的には、ステータ5およびコネクタ端子組立体7が金型に設置された後、金型に樹脂を流し込んで樹脂封止部材6がステータ5およびコネクタ端子組立体7と一体となるように形成され
る。樹脂封止部材6の材質は、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS:Poly
Phenylene Sulfide)や、BMC(Bulk Molding Compound)等を用いることができる。
【0030】
図1および
図5に示すように、胴部64は、他方側L2に開口する筒部65を備える。筒部65の内部には、基板8が収容される。筒部65の内周面には、径方向内側に突出する環状の段部66が設けられている。筒部65の内部には、底部63から他方側L2に突出する載置部67が設けられている。
【0031】
図2、
図3および
図7に示すように、胴部64は、基板8と電気的に接続するコネクタ端子71の先端部74aを覆うコネクタハウジング68を備える。
図7に示すように、回転軸Lと直交する方向から見た際に、コネクタハウジング68は、ステータ5と重なっている。
【0032】
図1および
図4に示すように、基板8は、コイル53に対して給電を制御する回路等が設けられている。基板8は、段部66および載置部67に他方側L2から載置されて、ネジ15によって、載置部67に固定されている。
【0033】
基板8には、コネクタ端子71の延在部分73が、一方側L1から電気的に接続される。また、基板8には、巻線端子56、およびコモン端子57が、各々、一方側L1から電気的に接続される。すなわち、コイル53は、巻線端子56、およびコモン端子57を介して、一方側L1から基板8に電気的に接続される。本形態では、コネクタ端子71の延在部分73、巻線端子56、およびコモン端子57は、ハンダによって、基板8に電気的に接続される。
【0034】
カバー部材9は、樹脂製である。本形態では、カバー部材9は、樹脂封止部材6と同一の樹脂で構成されている。カバー部材9は、他方側L2から筒部65を覆う。カバー部材9は、溶着により、筒部65に固定されている。溶着方法としては、超音波溶着や振動溶着が用いられる。
【0035】
(コネクタ端子組立体の詳細)
図9は、コネクタ端子組立体7の斜視図である。
図10は、コネクタ端子組立体7の断面斜視図である。
【0036】
図5および
図7に示すように、コネクタ端子組立体7は、延在部分73の他方側L2の端部および屈曲部分74の先端部74aを除き、樹脂封止部材6に覆われている。これに対応して、筒部65の内部には、コネクタ端子組立体7の延在部分73を覆う突出部60が形成される。突出部60は、筒部65の内側に突出する。
【0037】
図7、
図9および
図10に示すように、延在部分73は、基板8に電気的に接続される第1部分731と、第1部分731の他方側L2の端部から径方向外側に屈曲した第2部分732と、第2部分732の端部から他方側L2に延びる第3部分733を備える。第1部分731の一方側L1の端部は、ハンダによって、基板8に電気的に接続される。第3部分733は、ステータコア51の他方側L2の端部まで延びている。
【0038】
保持部72は、樹脂製である。本形態では、保持部72は、樹脂封止部材6と同一の樹脂で構成されている。
図7~
図10に示すように、保持部72は、本体部721と、本体部721の他方側L2の端部から周方向の両側に突出したフランジ部722とを備える。本体部721は、延在部分73を覆う第1部分723と、第1部分723の一方側L1の端部から径方向外側に屈曲して屈曲部分74を覆う第2部分724とを備える。より具体
的には、本体部721の第1部分723は、回転軸Lと直交する方向から見た場合に、ステータコア51と重なる部分において、延在部分73の第3部分733を覆う。本体部721の第2部分724は、屈曲部分74の先端部74aを除いて、屈曲部分74を覆う。なお、本体部721は、第2部分724を備えない構成であってもよい。
【0039】
保持部72は、他方側L2の第1端面72aと、円環部54の外周面51bの形状に対応した側壁面72bを備える。第1端面72aは、回転軸Lと直交する平面である。
図7および
図8に示すように、第1端面72aは、回転軸Lと直交する方向から見た場合に、ステータコア51の他方側L2の第2端面51aと一致する。
図8および
図9に示すように、側壁面72bは、外周面51bの円形状に対応した凹面形状であり、外周面51bに当接する。
【0040】
ここで、
図11は、ステータ5とコネクタ端子組立体7との関係を示す断面斜視図である。
図6および
図11に示すように、筒部65の内部において、コネクタ端子組立体7を覆う突出部60の径方向の両端部には、孔部69が設けられている。孔部69は、底部63を貫通しており、第1端面72aおよびの第2端面51aは、筒部65の内部に向けて、樹脂封止部材6から露出している。また、
図11に示すように、突出部60の他方側L2の端面には、一方側L1に凹んだ凹部60aが形成されている。凹部60aは、周方向に延びる。凹部60aからは、第2部分732が露出している。これにより、モータ1の樹脂封止部材6を金型成形する際に、コネクタ端子71の第2部分732を金型で支持することができるので、樹脂封止部材6に対するコネクタ端子組立体7の位置決め精度を高くすることができる。
【0041】
(作用効果)
本形態によれば、コネクタ端子組立体7は、樹脂封止部材6に一部が覆われるとともに、複数のコネクタ端子71および複数のコネクタ端子71を保持する樹脂製の保持部72を備える。複数のコネクタ端子71は、基板8の一方側L1からステータコア51の径方向外側まで延びる延在部分73と、延在部分73の一方側L1の端部から径方向外側に屈曲する屈曲部分74とを備える。保持部72は、樹脂封止部材6に覆われるとともに、回転軸Lと直交する方向から見た場合に、ステータコア51と重なる部分において、延在部分73を覆う。よって、回転軸Lと直交する方向から見た場合に、ステータコア51と重なる部分において、延在部分73は保持部72に覆われているので、モータ1の樹脂封止部材6を金型成形した際に、複数のコネクタ端子71の延在部分73が、ステータコア51に接触しない。これにより、ステータコア51の径方向外側に屈曲部分74の先端部74a(コネクタピン)を配置することが可能となるとともに、モータ1が不良品となることを抑制することができる。
【0042】
本形態では、保持部72の他方側L2の第1端面72aは、筒部65の内部に向けて、樹脂封止部材6から露出する。よって、モータ1の樹脂封止部材6を金型成形する際に、コネクタ端子組立体7を金型で支持することができる。これにより、樹脂封止部材6に対するコネクタ端子組立体7の位置決め精度を高くすることができる。
【0043】
本形態では、ステータコア51の他方側L2の第2端面51aは、筒部65の内部に向けて、樹脂封止部材6から露出する。回転軸Lと直交する方向から見た場合に、第1端面72aと第2端面51aとは一致する。よって、モータ1の樹脂封止部材6を金型成形する際に、ステータコア51およびコネクタ端子組立体7を金型で支持することができる。これにより、樹脂封止部材6に対する、ステータコア51およびコネクタ端子組立体7の位置決め精度を高くすることができる。また、回転軸Lと直交する方向から見た場合に、第1端面72aと第2端面51aとが一致するので、ステータコア51に対するコネクタ端子組立体7の回転軸Lに沿った方向における位置決め精度を高くすることができる。
【0044】
本形態では、保持部72は、延在部分73を覆う本体部721と、本体部721の他方側L2の端部から周方向の両側に突出したフランジ部722とを備える。よって、フランジ部722が本体部721から周方向の両側に突出した分、第1端面72aを広くすることができるので、コネクタ端子組立体7を金型で支持することが容易である。
【0045】
本形態では、保持部72は、ステータコア51の外周面51bの形状に対応した側壁面72bを備える。側壁面72bは、ステータコア51の外周面51bに当接する。よって、保持部72をステータコア51の外周面51bに当接させやすいので、ステータコア51に対するコネクタ端子組立体7の径方向の位置決め精度を高くすることができる。
【0046】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
【0047】
(1)
回転軸を中心に回転するロータと、
前記ロータの周囲に配置され、ステータコアおよび前記ステータコアに巻回されたコイルを備えたステータと、
前記ステータを覆うとともに、前記回転軸に沿った他方側において開口する筒部を備える樹脂封止部材と、
前記樹脂封止部材に一部が覆われるとともに、複数のコネクタ端子および前記複数のコネクタ端子を保持する樹脂製の保持部を備えたコネクタ端子組立体と、
前記筒部の内部に収容され、前記複数のコネクタ端子と前記ステータのコイルとが、各々、前記回転軸に沿った一方側から電気的に接続された基板と、
を有し、
前記複数のコネクタ端子は、前記基板の前記一方側から前記ステータコアの径方向外側まで延びる延在部分と、前記延在部分の前記一方側の端部から径方向外側に屈曲する屈曲部分とを備え、
前記保持部は、前記樹脂封止部材に覆われるとともに、前記回転軸と直交する方向から見た場合に、前記ステータコアと重なる部分において、前記延在部分を覆うことを特徴とするモータ。
【0048】
(2)
前記保持部の前記他方側の第1端面は、前記筒部の内部に向けて、前記樹脂封止部材から露出することを特徴とする(2)に記載のモータ。
【0049】
(3)
前記ステータコアの前記他方側の第2端面は、前記筒部の内部に向けて、前記樹脂封止部材から露出しており、
前記回転軸と直交する方向から見た場合に、前記第1端面と前記第2端面とは一致することを特徴とする(2)に記載のモータ。
【0050】
(4)
前記保持部は、前記延在部分を覆う本体部と、前記本体部の他方側の端部から前記回転軸を中心とした周方向の両側に突出したフランジ部とを備えることを特徴とする(1)から(3)のうち何れかに記載のモータ。
【0051】
(5)
前記保持部は、前記ステータコアの外周面に当接することを特徴とする(1)から(4)のうち何れかに記載のモータ。
【0052】
(6)
前記保持部は、前記ステータコアの前記外周面の形状に対応した側壁面を備え、
前記側壁面は、前記ステータコアの前記外周面に当接することを特徴とする(5)に記載のモータ。
【0053】
(7)
(1)から(6)の何れかに記載のモータを備えたポンプ装置であって、
前記モータによって回転駆動されるインペラを有することを特徴とするポンプ装置。
【符号の説明】
【0054】
1…モータ、2…ケース、3…インペラ、4…ロータ、5…ステータ、6…樹脂封止部材、7…コネクタ端子組立体、8…基板、9…カバー部材、10…磁石、11…ラジアル軸受、12…支軸、13…板部材、15…ネジ、20…ポンプ室、21…吸入管、23…側壁、31…円板、32…羽根部、40…円筒部、41…フランジ部、51…ステータコア、51a…第2端面、51b…外周面、52…インシュレータ、53…コイル、54…円環部、55…突極、56…巻線端子、57…コモン端子、60…突出部、60a…凹部、61…第1隔壁部、62…第2隔壁部、63…底部、63a…軸穴、64…胴部、65…筒部、66…段部、67…載置部、68…コネクタハウジング、69…孔部、71…コネクタ端子、72…保持部、72a…第1端面、72b…側壁面、73…延在部分、74…屈曲部分、74a…先端部、100…ポンプ装置、310…中央穴、521…第1鍔部、522…第2鍔部、721…本体部、722…フランジ部、723…第1部分、724…第2部分、731…第1部分、732…第2部分、733…第3部分