(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018140
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】衣類製造装置
(51)【国際特許分類】
A41H 42/00 20060101AFI20240201BHJP
A41H 43/00 20060101ALI20240201BHJP
A41H 43/04 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
A41H42/00
A41H43/00 A
A41H43/00 C
A41H43/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121266
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003399
【氏名又は名称】JUKI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】望月 祥代
(72)【発明者】
【氏名】椎名 隆行
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 啓宣
(72)【発明者】
【氏名】飯島 隆彰
(57)【要約】 (修正有)
【課題】衣類を効率良く製造するための、衣類製造装置を提供すること。
【解決手段】衣類製造装置1は、生地を縫製する縫製機3と、生地100を切断する切断機4と、生地に接着剤を塗布する塗布機5と、縫製が実施される縫製位置、切断が実施される切断位置、及び塗布が実施される塗布位置のそれぞれを含む所定面において生地を保持して移動可能なテーブル9と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生地を縫製する縫製機と、
前記生地を切断する切断機と、
前記生地に接着剤を塗布する塗布機と、
前記縫製が実施される縫製位置、前記切断が実施される切断位置、及び前記塗布が実施される塗布位置のそれぞれを含む所定面において前記生地を保持して移動可能なテーブルと、を備える、
衣類製造装置。
【請求項2】
前記縫製機は、前記生地を縫製するミシン針を保持する針棒を有し、
前記縫製位置は、前記ミシン針の直下の位置である、
請求項1に記載の衣類製造装置。
【請求項3】
前記切断機は、前記生地を切断するレーザ光を射出する射出面を有し、
前記切断位置は、前記射出面の直下の位置である、
請求項2に記載の衣類製造装置。
【請求項4】
前記塗布機は、前記接着剤を吐出する吐出口を有し、
前記塗布位置は、前記吐出口の直下の位置である、
請求項3に記載の衣類製造装置。
【請求項5】
前記縫製位置と前記切断位置と前記塗布位置との相対位置は、固定される、
請求項4に記載の衣類製造装置。
【請求項6】
前記テーブルは、前記ミシン針と前記射出面と前記吐出口とに同時に対向可能である、
請求項5に記載の衣類製造装置。
【請求項7】
前記生地が前記テーブルに保持された状態で、前記縫製及び前記塗布のそれぞれが実施されるように、前記縫製機及び前記塗布機のそれぞれを制御する制御装置を備える、
請求項1に記載の衣類製造装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記生地が前記テーブルに保持された状態で、前記縫製、前記切断、及び前記塗布のそれぞれが実施されるように、前記縫製機、前記切断機、及び前記塗布機のそれぞれを制御する、
請求項7に記載の衣類製造装置。
【請求項9】
前記テーブルは、型を保持し、
前記生地は、前記型を介して前記テーブルに保持され、
前記切断機は、前記型に合わせて前記生地を切断する、
請求項1に記載の衣類製造装置。
【請求項10】
前記テーブルは、プレートを保持し、
前記切断機は、前記プレートを切断して前記型を製造するための単板を作成する、
請求項9に記載の衣類製造装置。
【請求項11】
前記型は、相互に貼り合わせられた複数の前記単板を含む、
請求項10に記載の衣類製造装置。
【請求項12】
粘着性の表面を有する治具が前記型の縁部に装着され、
前記生地と前記治具との粘着により、前記生地が前記型に位置決めされる、
請求項9に記載の衣類製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、衣類製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類製造装置に係る技術分野において、特許文献1に開示されているようなボンディング装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
衣類は、複数の処理を経て製造される。衣類を効率良く製造できる技術が要望される。
【0005】
本明細書で開示する技術は、衣類を効率良く製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示する技術は、衣類製造装置を開示する。衣類製造装置は、生地を縫製する縫製機と、生地を切断する切断機と、生地に接着剤を塗布する塗布機と、縫製が実施される縫製位置、切断が実施される切断位置、及び塗布が実施される塗布位置のそれぞれを含む所定面において生地を保持して移動可能なテーブルと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本明細書で開示する技術によれば、衣類を効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る衣類製造装置を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る衣類製造装置を模式的に示す正面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る衣類製造装置を模式的に示す上面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る衣類製造装置を模式的に示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る衣類製造装置の動作の第1例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態に係る衣類製造装置の動作の第2例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態に係るテーブルを示す斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るテーブルを示す上面図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係るテーブルを示す分解斜視図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る型及び治具を示す分解斜視図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る型を示す分解斜視図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る衣類製造装置が型を使用して生地を切断している状態を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係るカット生地を示す斜視図である。
【
図14】
図14は、実施形態に係るボンディング装置を示す斜視図である。
【
図15】
図15は、実施形態に係る第1ローラ及び第2ローラを示す斜視図である。
【
図16】
図16は、実施形態に係る第1ローラ及び第2ローラを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態について図面を参照しながら説明する。実施形態においては、衣類製造装置1についてローカル座標系を規定し、ローカル座標系に基づいて各部の位置関係について説明する。ローカル作業系は、XYZ直交座標系により規定される。所定面のX軸に平行な方向をX軸方向とする。X軸に直交する所定面のY軸に平行な方向をY軸方向とする。X軸及びY軸のそれぞれに直交するZ軸に平行な方向をZ軸方向とする。所定面はXY平面であり、実施形態においては水平面に平行であることとする。+Z方向は上方に相当し、-Z方向は下方に相当する。
【0010】
[衣類製造装置]
図1は、実施形態に係る衣類製造装置1を模式的に示す斜視図である。
図2は、実施形態に係る衣類製造装置1を模式的に示す正面図である。
図3は、実施形態に係る衣類製造装置1を模式的に示す上面図である。
図4は、実施形態に係る衣類製造装置1を示すブロック図である。
【0011】
衣類製造装置1は、パターンシーマミシンを含む。衣類製造装置1は、テーブル装置2と、縫製機3と、切断機4と、塗布機5と、位置センサ6と、入力装置7と、制御装置8とを備える。
【0012】
テーブル装置2は、テーブル9と、テーブルアクチュエータ10とを有する。
【0013】
テーブル9は、XY平面において生地100を保持して移動可能である。
【0014】
テーブルアクチュエータ10は、テーブル9をXY平面において移動させる動力を発生する。テーブル9は、テーブルアクチュエータ10が発生する動力によりXY平面を移動する。テーブルアクチュエータ10は、パルスモータを含む。テーブルアクチュエータ10は、テーブル9をX軸方向に移動させる動力を発生するX軸モータ10Xと、テーブル9をY軸方向に移動させる動力を発生するY軸モータ10Yとを含む。
【0015】
位置センサ6は、XY平面におけるテーブル9の位置を検出する。実施形態において、位置センサ6は、テーブルアクチュエータ10の駆動量を検出することによって、テーブル9の位置を検出する。テーブルアクチュエータ10の駆動量とテーブル9の位置とは1対1で対応する。
【0016】
位置センサ6は、X軸モータ10Xの駆動量を検出するX軸センサ6Xと、Y軸モータ10Yの駆動量を検出するY軸センサ6Yとを含む。X軸モータ10Xの駆動量は、X軸モータ10Xの回転量を含む。Y軸モータ10Yの駆動量は、Y軸モータ10Yの回転量を含む。X軸センサ6Xは、X軸モータ10Xの回転量を検出するエンコーダを含む。Y軸センサ6Yは、Y軸モータ10Yの回転量を検出するエンコーダを含む。
【0017】
X軸センサ6Xは、X軸モータ10Xの回転量を検出することにより、ローカル座標系における原点からのテーブル9のX軸方向の移動量を検出可能である。Y軸センサ6Yは、Y軸モータ10Yの回転量を検出することにより、ローカル座標系における原点からのテーブル9のY軸方向の移動量を検出可能である。
【0018】
縫製機3は、生地100を縫製する縫製処理を実施する。縫製機3は、ミシンフレーム11と、針棒12と、ミシンアクチュエータ13とを有する。
【0019】
ミシンフレーム11は、針棒12を支持する。ミシンフレーム11は、水平アーム11Aと、ヘッド11Bとを有する。水平アーム11Aは、Y軸方向に延びるように配置される。ヘッド11Bは、水平アーム11Aの-Y側に配置される。
【0020】
針棒12は、テーブル9が対向可能な位置に配置される。針棒12は、テーブル9よりも上方に配置される。針棒12は、Z軸方向に移動可能にヘッド11Bに支持される。針棒12は、生地100を縫製するミシン針14を保持する。針棒12は、ミシン針14とZ軸とが平行になるようにミシン針14を保持する。ミシン針14に上糸が掛けられる。
【0021】
ミシンアクチュエータ13は、針棒12をZ軸方向に移動させる動力を発生する。針棒12は、ミシンアクチュエータ13が発生する動力によりZ軸方向に往復移動する。ミシンアクチュエータ13は、パルスモータを含む、ミシンアクチュエータ13は、水平アーム11Aに配置される。
【0022】
テーブル9の下方に釜(不図示)が配置される。釜にボビンが収容される。ボビンは、ボビンケースに入れられた状態で釜に収容される。釜から下糸が繰り出される。釜は、針棒12のZ軸方向の往復移動と同期して回転する。
【0023】
切断機4は、生地100を切断する切断処理を実施する。実施形態において、切断機4は、生地100にレーザ光を照射することにより生地100を切断するレーザ切断機を含む。切断機4は、導光器15と、射出器16とを有する。
【0024】
導光器15は、レーザ発振器(不図示)において発生したレーザ光を射出器16に導く。導光器15は、Y軸方向に延びるように配置される。
【0025】
射出器16は、テーブル9が対向可能な位置に配置される。射出器16は、テーブル9よりも上方に配置される。射出器16は、導光器15を介してレーザ発振器から供給されたレーザ光を射出する。射出器16は、生地100を切断するレーザ光を射出する射出面17を有する。射出面17は、下方を向く。レーザ光は、射出面17から下方に射出される。生地100は、射出面17に対向可能である。射出面17から射出されたレーザ光が生地100に照射されることによって、生地100が切断される。なお、切断機は、カッタで対象を切断してもよい。
【0026】
塗布機5は、生地100に接着剤を塗布する塗布処理を実施する。塗布機5は、接着剤を吐出するティスペンサを含む。塗布機5は、タンク18と、吐出ノズル19と、エアシリンダ20とを有する。
【0027】
タンク18は、接着剤を収容する。タンク18にヒータ(不図示)が設けられる。ヒータは、タンク18に収容された接着剤を加温する。接着剤が加温されることにより、接着剤の粘度が高くなることが抑制される。
【0028】
吐出ノズル19は、テーブル9が対向可能な位置に配置される。吐出ノズル19は、テーブル9よりも上方に配置される。吐出ノズル19は、タンク18から供給された接着剤を吐出する吐出口21を有する。エアシリンダ20は、タンク18に収容されている接着剤が吐出口21から吐出されるように作動する。吐出口21は、下方を向く。接着剤は、吐出口21から下方に吐出される。生地100は、吐出口21に対向可能である。吐出口21から吐出された接着剤が生地100に供給されることによって、生地100に接着剤が塗布される。
【0029】
テーブル9は、ミシン針14による縫製が実施される縫製位置Pa、レーザ光による切断が実施される切断位置Pb、及び接着剤の塗布が実施される塗布位置Pcのそれぞれを含むXY平面の可動範囲において生地100を保持して移動可能である。縫製位置Paは、ミシン針14の直下の位置である。切断位置Pbは、射出面17の直下の位置である。塗布位置Pcは、吐出口21の直下の位置である。
【0030】
ミシンフレーム11と射出器16とは、ブラケット22を介して固定される。導光器15及び射出器16の少なくとも一方と吐出ノズル19とは、ブラケット23を介して固定される。縫製位置Paと切断位置Pbと塗布位置Pcとの相対位置は、固定される。すなわち、縫製位置Paと切断位置Pbと塗布位置Pcとの相対位置は、変化しない。
図3に示すように、実施形態において、縫製位置Paは、切断位置Pbよりも-X側且つ+Y側に配置される。切断位置Pbは、塗布位置Pcよりも-X側且つ+Y側に配置される。縫製位置Paと切断位置Pbと塗布位置Pcとは近接する。テーブル9は、ミシン針14と射出面17と吐出口21とに同時に対向可能である。
【0031】
なお、吐出ノズル19が可動機構に支持され、吐出ノズル19が任意の位置に配置されてもよい。
【0032】
入力装置7は、作業者に操作される。入力装置7が操作されることにより、衣類製造装置1を作動させるための入力信号が生成される。入力装置7として、プッシュボタン、ダイヤル、コンピュータ用キーボード、及びタッチパネルが例示される。
【0033】
制御装置8は、衣類製造装置1を制御する制御信号を出力する。制御装置8は、コンピュータシステムを含む。
【0034】
制御装置8は、位置センサ6の検出データに基づいて、テーブルアクチュエータ10を制御する。制御装置8は、位置センサ6の検出データに基づいて、テーブル9が目標位置に移動するようにテーブルアクチュエータ10をフィードバック制御する。
【0035】
制御装置8は、複数の生産プログラムを記憶する。生産プログラムは、衣類を製造するためのシーケンスプログラムを含む。生産プログラムは、テーブル9の移動条件を含む。テーブル9の移動条件は、XY平面におけるテーブル9の目標移動軌跡を含む。制御装置8は、生産プログラムに基づいて、縫製機3による縫製処理、切断機4による切断処理、及び塗布機5による塗布処理の少なくとも一つを実施する。作業者は、入力装置7を操作して、複数の生産プログラムから1つの生産プログラムを指定することができる。制御装置8は、入力装置7を介して指定された生産プログラムに基づいて、縫製機3による縫製処理、切断機4による切断処理、及び塗布機5による塗布処理の少なくとも一つを実施する。
【0036】
[衣類製造装置の動作]
図5は、実施形態に係る衣類製造装置1の動作の第1例を示すフローチャートである。入力装置7が作業者に操作されると、制御装置8は、入力信号に基づいて生産プログラムを選択する。制御装置8は、選択した生産プログラムに基づいて、衣類製造装置1を制御する。
【0037】
図5に示すように、制御装置8は、テーブル9に保持されている生地100に縫製機3で縫い目を形成する縫製処理を実施する(ステップSA1)。
【0038】
縫製処理において、制御装置8は、生産プログラムに基づいて、ミシン針14に対して生地100を保持したテーブル9をXY平面において移動させる。テーブル9に保持された生地100がXY平面において移動しながらミシン針14がZ軸方向に往復移動することにより、生地100に縫い目が形成される。
【0039】
縫製処理が終了した後、制御装置8は、テーブル9に生地100が保持されている状態で、生地100に形成された縫い目に塗布機5で接着剤を塗布する塗布処理を実施する(ステップSA2)。
【0040】
塗布処理において、制御装置8は、生産プログラムに基づいて、吐出口21に対して生地100を保持したテーブル9をXY平面において移動させる。テーブル9に保持された生地100がXY平面において移動しながら吐出口21から接着剤が吐出されることにより、縫い目に接着剤が塗布される。縫い目は、接着剤で防水される。また、縫い目は、接着剤で補強される。
【0041】
このように、制御装置8は、生地100がテーブル9に保持された状態で、縫製処理及び塗布処理のそれぞれが実施されるように、縫製機3及び塗布機5のそれぞれを制御することができる。衣類製造装置1は、生地100がテーブル9に保持され続けたまま、縫製処理と塗布処理とを連続的に実施することができる。
【0042】
なお、制御装置8は、塗布処理の後に縫製処理を実施することができる。制御装置8は、例えば1枚の生地100に塗布機5で接着剤を塗布し、2枚の生地100を接着剤で接合した後、接着剤で接合された2枚の生地100を縫製機3で縫製することができる。この場合においても、制御装置8は、生地100がテーブル9に保持された状態で、縫製処理及び塗布処理のそれぞれが実施されるように、縫製機3及び塗布機5のそれぞれを制御することができる。衣類製造装置1は、生地100がテーブル9に保持され続けたまま、塗布処理と縫製処理とを連続的に実施することができる。
【0043】
図6は、実施形態に係る衣類製造装置1の動作の第2例を示すフローチャートである。入力装置7が作業者に操作されると、制御装置8は、入力信号に基づいて生産プログラムを選択する。制御装置8は、選択した生産プログラムに基づいて、衣類製造装置1を制御する。
【0044】
図6に示すように、制御装置8は、テーブル9に保持されている生地100に縫製機3で縫い目を形成する縫製処理を実施する(ステップSB1)。
【0045】
縫製処理が終了した後、制御装置8は、テーブル9に生地100が保持されている状態で、生地100に形成された縫い目に塗布機5で接着剤を塗布する塗布処理を実施する(ステップSB2)。
【0046】
塗布処理が終了した後、制御装置8は、テーブル9に生地100が保持されている状態で、生地100を切断機4で切断する切断処理を実施する(ステップSB3)。
【0047】
切断処理において、制御装置8は、生産プログラムに基づいて、射出面17に対して生地100を保持したテーブル9をXY平面において移動させる。テーブル9に保持された生地100がXY平面において移動しながら射出面17からレーザ光が射出されることにより、生地100が切断される。
【0048】
このように、制御装置8は、生地100がテーブル9に保持された状態で、縫製処理、切断処理、及び塗布処理のそれぞれが実施されるように、縫製機3、切断機4、及び塗布機5のそれぞれを制御することができる。衣類製造装置1は、生地100がテーブル9に保持され続けたまま、縫製処理と塗布処理とを切断処理とを連続的に実施することができる。
【0049】
なお、制御装置8は、縫製処理の後に切断処理を実施し、切断処理の後に塗布処理を実施することができる。この場合においても、制御装置8は、生地100がテーブル9に保持された状態で、縫製処理、切断処理、及び塗布処理のそれぞれが実施されるように、縫製機3、切断機4、及び塗布機5のそれぞれを制御することができる。衣類製造装置1は、生地100がテーブル9に保持され続けたまま、縫製処理と切断処理と塗布処理とを連続的に実施することができる。
【0050】
なお、制御装置8は、塗布処理の後に縫製処理を実施し、縫製処理の後に切断処理を実施することができる。制御装置8は、例えば1枚の生地100に塗布機5で接着剤を塗布し、2枚の生地100を接着剤で接合した後、接着剤で接合された2枚の生地100を縫製機3で縫製し、2枚の生地100が縫製された後、2枚の生地100を切断機4で切断してもよい。この場合においても、制御装置8は、生地100がテーブル9に保持された状態で、縫製処理、切断処理、及び塗布処理のそれぞれが実施されるように、縫製機3、切断機4、及び塗布機5のそれぞれを制御することができる。衣類製造装置1は、生地100がテーブル9に保持され続けたまま、塗布処理と縫製処理と切断処理とを連続的に実施することができる。
【0051】
なお、制御装置8は、塗布処理の後に切断処理を実施し、切断処理の後に縫製処理を実施することができる。制御装置8は、例えば1枚の生地100に塗布機5で接着剤を塗布し、2枚の生地100を接着剤で接合した後、2枚の生地100を切断機4で切断し、2枚の生地100が切断された後、2枚の生地100を縫製機3で縫製してもよい。この場合においても、制御装置8は、生地100がテーブル9に保持された状態で、縫製処理、切断処理、及び塗布処理のそれぞれが実施されるように、縫製機3、切断機4、及び塗布機5のそれぞれを制御することができる。衣類製造装置1は、生地100がテーブル9に保持され続けたまま、塗布処理と切断処理と縫製処理とを連続的に実施することができる。
【0052】
[テーブル]
図7は、実施形態に係るテーブル9を示す斜視図である。
図8は、実施形態に係るテーブル9を示す上面図である。
図9は、実施形態に係るテーブル9を示す分解斜視図である。
図7、
図8、及び
図9のそれぞれは、切断処理におけるテーブル9を示す。実施形態において、テーブル9は、複数の貫通孔を有する。切断処理において、型30が使用される。テーブル9は、型30を保持する。生地100は、型30を介してテーブル9に保持される。切断機4は、型30に合わせて生地100を切断する。
【0053】
実施形態において、型30は、第1型31と、第2型32とを含む。型30の周囲に支持プレート33が配置される。支持プレート33の外形は、長方形状である。型30及び支持プレート33のそれぞれは、テーブル9の上面に配置される。型30の上面の高さと支持プレート33の上面の高さとは、実質的に等しい。テーブル9の上面の縁部に外枠部材24が固定される。外枠部材24は、支持プレート33の周囲の少なくとも一部に配置される。実施形態において、外枠部材24は、支持プレート33の4つの角部のそれぞれに接触するように4つ配置される。外枠部材24により、支持プレート33がテーブル9に位置決めされる。また、位置決めピンにより、型30が支持プレート33に位置決めされる。
【0054】
型30の縁部に治具40が装着される。治具40は、第1型31の縁部に装着される第1治具41と、第2型32の縁部に装着される第2治具42とを含む。
【0055】
切断処理において、生地100は、型30及び支持プレート33のそれぞれを上方から覆うように配置される。生地100の下面(裏面)の一部は、治具40の上面(表面)に接触する。治具40の上面は、粘着性である。生地100と治具40とが粘着されることにより、生地100が型30に位置決めされる。
【0056】
図10は、実施形態に係る型30及び治具40を示す分解斜視図である。第1治具41は、第1型31の-X側の縁部及び+X側の縁部のそれぞれに装着される。第2治具42は、第2型32の-X側の縁部及び+X側の縁部のそれぞれに装着される。
【0057】
第1型31の-X側の縁部は、Y軸方向に直線状に延びる。第1型31の+X側の縁部は、Y軸方向に直線状に延びる。第2型32の-X側の縁部は、Y軸方向の中央部が-X側に膨らむ曲線状である。第2型32の+X側の縁部は、Y軸方向の中央部が+X側に膨らむ曲線状である。
【0058】
第1治具41は、Y軸方向に長い。第1型31の-X側の縁部に装着される第1治具41は、第1型31の-X側の縁部に沿うように、Y軸方向に直線状に延びる。第1型31の+X側の縁部に装着される第1治具41は、第1型31の+X側の縁部に沿うように、Y軸方向に直線状に延びる。
【0059】
第2治具42は、Y軸方向に長い。第2型32の-X側の縁部に装着される第2治具42は、第2型32の-X側の縁部に沿うように、Y軸方向の中央部が-X側に膨らむ曲線状である。第2型32の+X側の縁部に装着される第2治具42は、第2型32の+X側の縁部に沿うように、Y軸方向の中央部が+X側に膨らむ曲線状である。
【0060】
第1治具41及び第2治具42のそれぞれは、可撓性である。実施形態において、第1治具41及び第2治具42のそれぞれは、ゴム製である。
【0061】
第1治具41は、ベース部43と、凸部44とを有する。ベース部43は、Y軸方向に長い帯状の部材である。凸部44は、ベース部43の下面(裏面)から下方に突出する。凸部44は、Y軸方向に長い。第1型31の-X側の縁部に装着される第1治具41のベース部43及び凸部44のそれぞれは、Y軸方向に直線状に延びる。第1型31の+X側の縁部に装着される第1治具41のベース部43及び凸部44のそれぞれは、Y軸方向に直線状に延びる。
【0062】
第2治具42は、ベース部45と、凸部46とを有する。ベース部45は、Y軸方向に長い帯状の部材である。凸部46は、ベース部45の下面(裏面)から下方に突出する。凸部46は、Y軸方向に長い。第2型32の-X側の縁部に装着される第2治具42のベース部45及び凸部46のそれぞれは、Y軸方向の中央部が-X側に膨らむ曲線状である。第2型32の+X側の縁部に装着される第2治具42のベース部45及び凸部46のそれぞれは、Y軸方向の中央部が+X側に膨らむ曲線状である。
【0063】
第1型31の+X側の縁部及び-X側の縁部のそれぞれに、凹部34が形成される。凹部34は、第1型31の上面から下方に窪むように形成される。第1型31の-X側の縁部に形成される凹部34は、第1型31の-X側の縁部に沿うように、Y軸方向に直線状に延びる。第1型31の+X側の縁部に形成される凹部34は、第1型31の+X側の縁部に沿うように、Y軸方向に直線状に延びる。
【0064】
第1治具41の凸部44は、第1型31の凹部34に挿入される。凸部44が凹部34に挿入されることにより、第1治具41が第1型31の縁部に装着される。
【0065】
第2型32の+X側の縁部及び-X側の縁部のそれぞれに、凹部35が形成される。凹部35は、第2型32の上面から下方に窪むように形成される。第2型32の-X側の縁部に形成される凹部35は、第2型32の-X側の縁部に沿うように、XY平面においてY軸方向の中央部が-X側に膨らむ曲線状である。第2型32の+X側の縁部に形成される凹部35は、第2型32の+X側の縁部に沿うように、XY平面においてY軸方向の中央部が+X側に膨らむ曲線状である。
【0066】
第2治具42の凸部46は、第2型32の凹部35に挿入される。凸部46が凹部35に挿入されることにより、第2治具42が第2型32の縁部に装着される。
【0067】
第1治具41のベース部43の上面(表面)に粘着剤が塗布される。第1治具41のベース部43の上面(表面)は、粘着性である。生地100の下面(裏面)は、ベース部43の上面(表面)に粘着される。生地100の下面は、ベース部43の上面に接着したりベース部43の上面から剥離したりすることができる。生地100の下面とベース部43の上面とは、接着と剥離とを複数回繰り返すことができる。
【0068】
第2治具42のベース部45の上面(表面)に粘着剤が塗布される。第2治具42のベース部45の上面(表面)は、粘着性である。生地100の下面(裏面)は、ベース部45の上面(表面)に粘着される。生地100の下面は、ベース部45の上面に接着したりベース部45の上面から剥離したりすることができる。生地100の下面とベース部45の上面とは、接着と剥離とを複数回繰り返すことができる。
【0069】
[型の製造]
図11は、実施形態に係る型30を示す分解斜視図である。実施形態において、衣類製造装置1は、型30の製造に使用される。
【0070】
図11に示すように、第1型31は、複数の単板31A,31B,31C,31D,31Eを相互に貼り合わせることにより製造される。第2型32は、複数の単板32A,32B,32C,32D,32Eを相互に貼り合わせることにより製造される。
【0071】
衣類製造装置1は、単板31A,31B,31C,31D,31E及び単板32A,32B,32C,32D,32Eの作成に使用される。例えば、単板31A及び単板32Aを作成する場合、テーブル9にプレート300Aが保持される。プレート300Aの外形は、長方形状である。プレート300Aとして、厚紙又は木板が例示される。切断機4は、テーブル9に保持されたプレート300Aにレーザ光を照射して、プレート300Aを切断することにより、型30を製造するための単板31A及び単板32Aを作成する。単板31A及び単板32Aの作成に伴い、単板31A及び単板32Aの周囲には、支持プレート33を製造するための単板33Aが作成される。
【0072】
不図示ではあるが、複数のプレート300B,300C,300D,300Eのそれぞれがテーブル9に順次保持される。切断機4は、テーブル9に保持されたプレート300Bを切断することにより、型30を製造するための単板31B及び単板32Bを作成する。単板31B及び単板32Bの作成に伴い、単板31B及び単板32Bの周囲には、支持プレート33を製造するための単板33Bが作成される。同様に、切断機4は、テーブル9に保持されたプレート300C,300D,300Eのそれぞれを順次切断することにより、型30を製造するための単板31C,31D,31E及び単板32C,32D,32Eを順次作成する。単板31C,31D,31E及び単板32C,32D,32Eの作成に伴い、単板31C,31D,31E及び単板32C,32D,32Eの周囲には、支持プレート33を製造するための単板33C,33D,33Eが作成される。
【0073】
単板31A,31B,31C,31D,31Eが相互に貼り合わせられることにより、第1型31が製造される。単板31A,31B,31C,31D,31Eのそれぞれには、切断機4により位置決め開口36が形成される。複数の単板31A,31B,31C,31D,31Eを貼り合わせる場合、位置決め開口36に位置決めピン26が挿入される。複数の単板31A,31B,31C,31D,31Eは、位置決めピン26により位置決めされた状態で、接着剤を介して相互に貼り合わせられる。
【0074】
単板32A,32B,32C,32D,32Eが相互に貼り合わせられることにより、第2型32が製造される。単板32A,32B,32C,32D,32Eのそれぞれには、切断機4により位置決め開口37が形成される。複数の単板32A,32B,32C,32D,32Eを貼り合わせる場合、位置決め開口37に位置決めピン28が挿入される。複数の単板32A,32B,32C,32D,32Eは、位置決めピン28により位置決めされた状態で、接着剤を介して相互に貼り合わせられる。
【0075】
同様に、単板33A,33B,33C,33D,33Eが相互に貼り合わせられることにより、支持プレート33が製造される。
【0076】
このように、第1型31は、相互に貼り合わせられた複数の単板31A,31B,31C,31D,31Eを含む。第2型32は、相互に貼り合わせられた複数の単板32A,32B,32C,32D,32Eを含む。例えば、単板31Dの+X側の縁部及び-X側の縁部のそれぞれに開口34Dが形成され、単板31Eの+X側の縁部及び-X側の縁部のそれぞれに開口34Eが形成されることにより、第1型31に凹部34が形成される。例えば、単板32Dの+X側の縁部及び-X側の縁部のそれぞれに開口35Dが形成され、単板32Eの+X側の縁部及び-X側の縁部のそれぞれに開口35Eが形成されることにより、第2型32に凹部35が形成される。
【0077】
第1型31、第2型32、及び支持プレート33をテーブル9の上面に配置する場合、位置決めピン25及び位置決めピン26により第1型31が支持プレート33に位置決めされ、位置決めピン27及び位置決めピン28により第2型32が支持プレート33に位置決めされる。位置決めピン25と位置決めピン26とは、不図示の連結プレートを介して連結される。そのため、位置決めピン26が位置決め開口36に挿入され、位置決めピン25が支持プレート33に設けられている位置決め開口(不図示)に挿入されることにより、第1型31が支持プレート33に位置決めされる。位置決めピン27と位置決めピン28とは、不図示の連結プレートを介して連結される。そのため、位置決めピン28が位置決め開口37に挿入され、位置決めピン27が支持プレート33に設けられている位置決め開口(不図示)に挿入されることにより、第2型32が支持プレート33に位置決めされる。
【0078】
[切断処理及び塗布処理]
図12は、実施形態に係る衣類製造装置1が型30を使用して生地100を切断している状態を示す斜視図である。
【0079】
切断処理において、第1型31、第2型32、及び支持プレート33のそれぞれが、テーブル9の上面に配置される。第1型31の縁部に第1治具41が装着される。第2型32の縁部に第2治具42が装着される。生地100は、第1型31、第2型32、及び支持プレート33のそれぞれを上方から覆うように配置される。生地100の下面の一部は、第1治具41のベース部43の上面に粘着され、生地100の下面の一部は、第2治具42のベース部45の上面に粘着される。生地100と第1治具41及び第2治具42のそれぞれとが粘着されることにより、生地100が第1型31及び第2型32のそれぞれ0に位置決めされる。
【0080】
生地100を切断する場合、切断機4は、生地100を切断するレーザ光を射出器16の射出面17から射出する。切断処理において、制御装置8は、射出面17に対して生地100を保持したテーブル9をXY平面において移動させる。第1型31、第2型32、及び支持プレート33を介してテーブル9に保持された生地100がXY平面において移動しながら射出面17からレーザ光が射出されることにより、生地100が切断される。制御装置8は、射出面17から射出されたレーザ光が第1型31の外形及び第2型32の外形のそれぞれに沿って相対移動するように、テーブル9をXY平面において移動させる。これにより、生地100が第1型31の外形及び第2型32の外形のそれぞれに沿って切断される。以下の説明において、第1型31の外形に沿って切断された生地100を適宜、カット生地101、と称し、第2型32の外形に沿って切断された生地100を適宜、カット生地102、と称する。
【0081】
また、塗布機5は、切断処理の前又は後において、生地100の上面(表面)の一部に接着剤を塗布する。塗布機5は、生地100の上面のうち、XY平面においてベース部43の上面に重複する領域及びベース部45の上面に重複する領域のそれぞれに接着剤を塗布する。生地100に接着剤を塗布する場合、塗布機5は、接着剤を吐出口21から吐出する。切断処理の後に塗布処理が実施される場合、塗布機5は、第1治具41のベース部43に支持されているカット生地101の上面(表面)の縁部、及び第2治具42のベース部45に支持されているカット生地102の上面(表面)の縁部のそれぞれに接着剤を塗布する。塗布処理において、制御装置8は、吐出口21に対して生地100を保持したテーブル9をXY平面において移動させる。第1型31、第2型32、及び支持プレート33を介してテーブル9に保持された生地100がXY平面において移動しながら吐出口21から接着剤が吐出されることにより、生地100の上面のうち、XY平面においてベース部43の上面に重複する領域及びベース部45の上面に重複する領域のそれぞれに接着剤が塗布される。
【0082】
図13は、実施形態に係るカット生地101,102を示す斜視図である。第1治具41のベース部43の上面(表面)は、カット生地101の下面(裏面)の縁部に粘着する。第2治具42のベース部45の上面(表面)は、カット生地102の下面(裏面)の縁部に粘着する。カット生地101の上面(表面)のうち、XY平面においてベース部43が重複する領域に、接着剤の膜である接着膜51が設けられる。カット生地102の上面(表面)のうち、XY平面においてベース部45が重複する領域に、接着剤の膜である接着膜52が設けられる。凸部44は、ベース部43の下面(裏面)から下方に突出する。凸部46は、ベース部45の下面(裏面)から下方に突出する。カット生地101とカット生地102とは、接着膜51及び接着膜52を介して接合される。
【0083】
なお、実施形態においては、カット生地101の表面に接着膜51が形成され、カット生地102の表面に接着膜52が形成されることとするが、接着膜51及び接着膜52の一方が省略されてもよい。
【0084】
[ボンディング装置]
図14は、実施形態に係るボンディング装置61を示す斜視図である。ボンディング装置61は、接着膜51及び接着膜52を介してカット生地101とカット生地102とを接合する。ボンディング装置61は、接着膜51及び接着膜52を加熱することにより、カット生地101とカット生地102とを接着させる。
図14に示すように、ボンディング装置61は、接着膜51及び接着膜52を加熱する加熱ガスを噴射するノズル62と、加熱ガスで加熱された接着膜51と接着膜52とを介してカット生地101とカット生地102とを接合する第1ローラ63及び第2ローラ64とを備える。
【0085】
また、ボンディング装置61は、第1ローラ63を回転可能に支持する第1支持部材65と、第2ローラ64を回転可能に支持する第2支持部材66と、第1ローラ63をZ軸方向に移動するためのアクチュエータを含む第1駆動機構67と、第2ローラ64をZ軸方向に移動するためのアクチュエータを含む第2駆動機構68とを備える。
【0086】
接着膜51及び接着膜52のそれぞれは、熱可塑性のホットメルト接着剤で形成される。接着膜51及び接着膜52は、加熱されることにより溶融し、相互に接触した状態で固化することにより、接着力を発揮する。
【0087】
ノズル62は、カット生地101の表面の縁部に塗布された接着剤である接着膜51及びカット生地102の表面の縁部に塗布された接着剤である接着膜52が溶融されるように、カット生地101の表面とカット生地102の表面との境界に加熱ガスを噴射する。ノズル62は、カット生地101及びカット生地102が第1ローラ63及び第2ローラ64に供給される前に、カット生地101の表面とカット生地102の表面との境界に加熱ガスを噴射する。
【0088】
図15は、実施形態に係る第1ローラ63及び第2ローラ64を示す斜視図である。
図16は、実施形態に係る第1ローラ63及び第2ローラ64を示す断面図である。
【0089】
第1ローラ63及び第2ローラ64のそれぞれは、カット生地101の表面の縁部とカット生地102の表面の縁部とを接触させた状態で回転することによって、カット生地101の表面の縁部とカット生地102の表面の縁部とを接着膜51及び接着膜52を介して接合する。第1ローラ63と第2ローラ64とは、カット生地101の表面の縁部とカット生地102の表面の縁部とを接合する一対の押圧ローラである。第1ローラ63と第2ローラ64とはZ軸方向に配置される。第1ローラ63は、第2ローラ64よりも上方に配置される。
【0090】
第1ローラ63は、第1治具41を支持した状態で回転する。第1ローラ63は、第1支持部材65に回転可能に支持される。第1ローラ63は、X軸に平行な回転軸AX1を中心に回転する。第1治具41のベース部43の表面にはカット生地101の裏面の縁部が粘着されている。第1ローラ63は、カット生地101の裏面の縁部が粘着された可撓性の第1治具41を支持した状態で回転する。第1ローラ63は、第1治具41のベース部43の裏面を支持する外周面631と、凸部44が挿入されるガイド溝632とを有する。第1ローラ63は、ガイド溝632で凸部44をガイドしながら回転する。
【0091】
第2ローラ64は、第2治具42を支持した状態で回転する。第2ローラ64は、第2支持部材66に回転可能に支持される。第2ローラ64は、回転軸AX1に平行な回転軸AX2を中心に回転する。第2治具42のベース部45の表面にはカット生地102の裏面の縁部が粘着されている。第2ローラ64は、カット生地102の裏面の縁部が粘着された可撓性の第2治具42を支持した状態で回転する。第2ローラ64は、第2治具42のベース部45の裏面を支持する外周面641と、凸部46が挿入されるガイド溝642とを有する。第2ローラ64は、ガイド溝642で凸部46をガイドしながら回転する。
【0092】
第1ローラ63は、第1支持部材65にZ軸方向に移動可能に支持される。第1ローラ63は、第1駆動機構67のアクチュエータが発生する動力によりZ軸方向に移動可能である。第2ローラ64は、第2支持部材66にZ軸方向に移動可能に支持される。第2ローラ64は、第2駆動機構68のアクチュエータが発生する動力によりZ軸方向に移動可能である。第1ローラ63と第2ローラ64との間に、第1治具41に支持されたカット生地101と第2治具42に支持されたカット生地102とが配置された状態で、第1ローラ63と第2ローラ64とが相互に接近することにより、カット生地101とカット生地102とが第1ローラ63及び第2ローラ64に押圧される。これにより、ノズル62で加熱された接着膜51及び接着膜52を介して、カット生地101とカット生地102とが第1ローラ63及び第2ローラ64によって接合される。
【0093】
第1治具41のベース部43及び凸部44のそれぞれは、第1ローラ63の回転方向(接線方向)に長い。第2治具42のベース部45及び凸部46のそれぞれは、第2ローラ64の回転方向(接線方向)に長い。これにより、第1治具41は、回転する第1ローラ63に回転方向にガイドされ続ける。第1治具41が回転軸AX1に平行な方向に揺動することが抑制される。第2治具42は、回転する第2ローラ64に回転方向にガイドされ続ける。第2治具42が回転軸AX2に平行な方向に揺動することが抑制される。
【0094】
第1ローラ63と第2ローラ64とによりカット生地101とカット生地102とが接合された後、カット生地101から第1治具41が剥がされ、カット生地102から第2治具42が剥がされる。
【0095】
[効果]
以上説明したように、実施形態に係る衣類製造装置1は、生地100を縫製する縫製機3と、生地100を切断する切断機4と、生地100に接着剤を塗布する塗布機5と、縫製が実施される縫製位置Pa、切断が実施される切断位置Pb、及び塗布が実施される塗布位置Pcのそれぞれを含むXY平面において生地100を保持して移動可能なテーブル9と、を備える。
【0096】
上記の構成では、衣類製造装置1が、生地100の縫製処理、生地100の切断処理、及び生地100の塗布処理のそれぞれを実施することができるので、生地100から衣類を効率良く製造することができる。
【0097】
縫製機3は、生地100を縫製するミシン針14を保持する針棒12を有する。縫製位置Paは、ミシン針14の直下の位置である。そのため、テーブル9は、ミシン針14の下方に移動することにより、縫製位置Paに移動することができる。
【0098】
切断機4は、生地100を切断するレーザ光を射出する射出面17を有する。切断位置Pbは、射出面17の直下の位置である。そのため、テーブル9は、射出面17の下方に移動することにより、切断位置Pbに移動することができる。
【0099】
塗布機5は、接着剤を吐出する吐出口21を有する。塗布位置Pcは、吐出口21の直下の位置である。そのため、テーブル9は、吐出口21の下方に移動することにより、塗布位置Pcに移動することができる。
【0100】
縫製位置Paと切断位置Pbと塗布位置Pcとの相対位置は、固定される。これにより、衣類製造装置1の構造の複雑化が抑制される。
【0101】
テーブル9は、ミシン針14と射出面17と吐出口21とに同時に対向可能である。これにより、衣類製造装置1は、生地100の縫製処理と切断処理と塗布処理との少なくとも2つの処理を連続的に実施することができる。
【0102】
衣類製造装置1は、生地100がテーブル9に保持された状態で、縫製及び塗布のそれぞれが実施されるように、縫製機3及び塗布機5のそれぞれを制御する制御装置8を備える。これにより、生地100がテーブル9に保持されたまま、縫製処理と塗布処理とが連続的に実施される。
【0103】
制御装置8は、生地100がテーブル9に保持された状態で、縫製、切断、及び塗布のそれぞれが実施されるように、縫製機3、切断機4、及び塗布機5のそれぞれを制御する。これにより、生地100がテーブル9に保持されたまま、縫製処理と切断処理と塗布処理とが連続的に実施される。
【0104】
切断処理において、テーブル9は、型30を保持する。生地100は、型30を介してテーブル9に保持される。切断機4は、型30に合わせて生地100を切断する。生地100が型30に合わせて裁断されることにより、カット生地101,102が生成される。
【0105】
単板(31A~31E,32A~32E)の作成において、テーブル9は、プレート(300A~300E)を保持する。切断機4は、プレート(300A~300E)を切断して、型(31,32)を製造するための単板(31A~31E,32A~32E)を作成する。これにより、衣類製造装置1を用いて型30が製造される。
【0106】
型(31,32)は、相互に貼り合わせられた複数の単板(31A~31E,32A~32E)を含む。これにより、型(31,32)が円滑に製造される。
【0107】
粘着性の表面を有する治具40が型30の縁部に装着される。生地100と治具40との粘着により、生地100が型30に位置決めされる。これにより、型30に合わせた切断処理が円滑に実施される。
【0108】
実施形態に係る治具40は、カット生地(101,102)の裏面の縁部が粘着され、可撓性であり、カット生地(101,102)の表面の縁部と接合対象とを接着剤を介して接合するボンディング装置61のローラ(63,64)に支持される。
【0109】
上記の構成では、カット生地101とカット生地102とを第1ローラ63と第2ローラ64とで接合する場合、カット生地101の裏面の縁部に第1治具41が粘着され、カット生地102の裏面の縁部に第2治具42が粘着されるので、カット生地101とカット生地102とが円滑に接合される。そのため、カット生地101,102から衣類を効率良く製造することができる。カット生地101,102の縁部は、伸縮し易い。また、カット生地101,102の縁部は、変形し易い。そのため、作業者は、第1ローラ63と第2ローラ64との間にカット生地101,102を円滑に挿入することが困難な場合がある。第1ローラ63と第2ローラ64との間にカット生地101,102を挿入することについて作業者の技量が必要となり、未熟な作業者の場合、例えばカット生地101,102に皺ができた状態で第1ローラ63と第2ローラ64との間に挿入されてしまう可能性がある。また、未熟な作業者の場合、第1ローラ63と第2ローラ64との間にカット生地101,102を挿入するのに長時間を要してしまう可能性がある。実施形態によれば、カット生地101,102の縁部にカット生地101,102よりも高剛性で伸縮し難い治具40が粘着されるので、カット生地101,102の縁部の伸縮及び変形が抑制される。また、治具40は、可撓性なので、取り扱い易い。また、第1ローラ63及び第2ローラ64の回転に合わせて、治具40は撓むことができる。そのため、未熟な作業者でも、第1ローラ63と第2ローラ64との間にカット生地101,102を適正に且つ短時間で挿入することができる。治具40とカット生地101,102とは粘着されているので、カット生地101とカット生地102とが接合された後、作業者は、カット生地101,102から治具40を簡単に剥がすことができる。
【0110】
治具(41,42)は、カット生地(101,102)の裏面の縁部が粘着される粘着性の表面を有するベース部(43,45)と、ベース部(43,45)の裏面から突出する凸部(44,46)と、を有する。ローラ(63,64)にガイド溝(632,642)が形成される。カット生地(101,102)がベース部(43,45)に粘着された状態で、凸部(44,46)が回転するローラ(63,64)のガイド溝(632,642)にガイドされる。これにより、第1治具41は、回転する第1ローラ63に回転方向にガイドされ続ける。第1治具41が回転軸AX1に平行な方向に揺動することが抑制される。第2治具42は、回転する第2ローラ64に回転方向にガイドされ続ける。第2治具42が回転軸AX2に平行な方向に揺動することが抑制される。
【0111】
治具(41,42)は、カット生地(101,102)を生成するための生地100の切断に使用される型(31,32)の縁部に装着され、生地100との粘着により生地100を型(31,32)に位置決めする。これにより、切断処理が円滑に実施される。
【0112】
型(31,32)の縁部に凹部(34,35)が形成され、凸部(44,46)が凹部(34,35)に挿入される。これにより、治具(41,42)は、型(31,32)との位置ずれが抑制された状態で、型(31,32)に装着される。
【0113】
ベース部(43,45)及び凸部(44,46)のそれぞれは、ローラ(63,64)の回転方向(接線方向)に長い。これにより、治具(41,42)は、回転するローラ(63,64)に回転方向にガイドされ続ける。
【0114】
治具40は、ゴム製である。ゴム製の治具40がカット生地101,102の縁部に粘着されることにより、カット生地101,102の縁部の伸縮及び変形が抑制される。また、作業者は、治具40を簡単に取り扱うことができる。また、第1ローラ63及び第2ローラ64の回転に合わせて、治具40は撓むことができる。
【0115】
実施形態に係るボンディング装置61は、第1カット生地であるカット生地101の裏面の縁部が粘着された可撓性の第1治具41を支持した状態で回転する第1ローラ63と、第2カット生地であるカット生地102の裏面の縁部が粘着された可撓性の第2治具42を支持した状態で回転する第2ローラ64と、加熱ガスを噴射するノズル62と、を備える。第1ローラ63及び第2ローラ64のそれぞれは、カット生地101の表面の縁部とカット生地102の表面の縁部とを接触させた状態で回転する。ノズル62は、カット生地101の表面の縁部及びカット生地102の表面の縁部の少なくとも一方に塗布された接着剤が溶融されるように、カット生地101の表面とカット生地102の表面との境界に加熱ガスを噴射する。
【0116】
上記の構成では、カット生地101とカット生地102とを第1ローラ63と第2ローラ64とで接合する場合、カット生地101の裏面の縁部に第1治具41が粘着され、カット生地102の裏面の縁部に第2治具42が粘着されるので、カット生地101とカット生地102とが円滑に接合される。そのため、カット生地101,102から衣類を効率良く製造することができる。カット生地101,102の縁部は、伸縮し易い。また、カット生地101,102の縁部は、変形し易い。そのため、作業者は、第1ローラ63と第2ローラ64との間にカット生地101,102を円滑に挿入することが困難な場合がある。第1ローラ63と第2ローラ64との間にカット生地101,102を挿入することについて作業者の技量が必要となり、未熟な作業者の場合、例えばカット生地101,102に皺ができた状態で第1ローラ63と第2ローラ64との間に挿入されてしまう可能性がある。また、未熟な作業者の場合、第1ローラ63と第2ローラ64との間にカット生地101,102を挿入するのに長時間を要してしまう可能性がある。実施形態によれば、カット生地101,102の縁部にカット生地101,102よりも高剛性で伸縮し難い治具40が粘着されるので、カット生地101,102の縁部の伸縮及び変形が抑制される。また、治具40は、可撓性なので、取り扱い易い。また、第1ローラ63及び第2ローラ64の回転に合わせて、治具40は撓むことができる。そのため、未熟な作業者でも、第1ローラ63と第2ローラ64との間にカット生地101,102を適正に且つ短時間で挿入することができる。治具40とカット生地101,102とは粘着されているので、カット生地101とカット生地102とが接合された後、作業者は、カット生地101,102から治具40を簡単に剥がすことができる。
【0117】
第1治具41は、カット生地101の裏面の縁部が粘着される粘着性の表面を有する第1ベース部であるベース部43と、ベース部43の裏面から突出する第1凸部である凸部44と、を有する。第2治具42は、カット生地102の裏面の縁部が粘着される粘着性の表面を有する第2ベース部であるベース部45と、ベース部45の裏面から突出する第2凸部である凸部46と、を有する。第1ローラ63は、凸部44が挿入される第1ガイド溝であるガイド溝632を有する。第2ローラ64は、凸部46が挿入される第2ガイド溝であるガイド溝642を有する。第1ローラ63は、ガイド溝632で凸部44をガイドしながら回転する。第2ローラ64は、ガイド溝642で凸部46をガイドしながら回転する。これにより、第1治具41は、回転する第1ローラ63に回転方向にガイドされ続ける。第1治具41が回転軸AX1に平行な方向に揺動することが抑制される。第2治具42は、回転する第2ローラ64に回転方向にガイドされ続ける。第2治具42が回転軸AX2に平行な方向に揺動することが抑制される。
【符号の説明】
【0118】
1…衣類製造装置、2…テーブル装置、3…縫製機、4…切断機、5…塗布機、6…位置センサ、6X…X軸センサ、6Y…Y軸センサ、7…入力装置、8…制御装置、9…テーブル、10…テーブルアクチュエータ、10X…X軸モータ、10Y…Y軸モータ、11…ミシンフレーム、11A…水平アーム、11B…ヘッド、12…針棒、13…ミシンアクチュエータ、14…ミシン針、15…導光器、16…射出器、17…射出面、18…タンク、19…吐出ノズル、20…エアシリンダ、21…吐出口、22…ブラケット、23…ブラケット、24…外枠部材、25…位置決めピン、26…位置決めピン、27…位置決めピン、28…位置決めピン、30…型、31…第1型、31A…単板、31B…単板、31C…単板、31D…単板、31E…単板、32…第2型、32A…単板、32B…単板、32C…単板、32D…単板、32E…単板、33…支持プレート、33A…単板、34…凹部、34D…開口、34E…開口、35…凹部、35D…開口、35E…開口、36…位置決め開口、37…位置決め開口、40…治具、41…第1治具、42…第2治具、43…ベース部(第1ベース部)、44…凸部(第1凸部)、45…ベース部(第2ベース部)、46…凸部(第2凸部)、51…接着膜、52…接着膜、61…ボンディング装置、62…ノズル、63…第1ローラ、64…第2ローラ、65…第1支持部材、66…第2支持部材、67…第1駆動機構、68…第2駆動機構、100…生地、101…カット生地(第1カット生地)、102…カット生地(第2カット生地)、300A…プレート、631…外周面、632…ガイド溝(第1ガイド溝)、641…外周面、642…ガイド溝(第2ガイド溝)、AX1…回転軸、AX2…回転軸、Pa…縫製位置、Pb…切断位置、Pc…塗布位置。