(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018158
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】採血装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/15 20060101AFI20240201BHJP
G01G 17/04 20060101ALI20240201BHJP
A61M 1/02 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
A61B5/15
G01G17/04 C
A61M1/02 160
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121315
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000200035
【氏名又は名称】SBカワスミ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】北村 和之
【テーマコード(参考)】
4C038
4C077
【Fターム(参考)】
4C038UA03
4C077AA13
4C077CC04
4C077DD01
4C077DD13
4C077EE01
4C077KK25
(57)【要約】
【課題】載せ皿の低コスト化とリサイクル性を向上させつつ、載せ皿を着脱可能に固定できる採血装置を提供する。
【解決手段】採血装置1は、血液バッグ3を載置する樹脂製の載せ皿40と、載せ皿40が取り付けられる載せ皿取付部60と、載せ皿取付部60を介して載せ皿40を揺動させる揺動機構50と、を備える。載せ皿40は、血液バッグ3が載置される平面の一方向に延びるリブ部46と、リブ部46に設けられ、載せ皿取付部60と係合して載せ皿取付部60から載せ皿40を引き剥がす動きを規制する規制部47と、を有する。載せ皿取付部60は、リブ部46を用いて載せ皿40を一方向に位置決めする位置決め部62,64と、を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液バッグを載置する樹脂製の載せ皿と、
前記載せ皿が取り付けられる載せ皿取付部と、
前記載せ皿取付部を介して前記載せ皿を揺動させる揺動機構と、を備え、
前記載せ皿は、
前記血液バッグを載置する平面の一方向に延びるリブ部と、
前記リブ部に設けられ、前記載せ皿取付部と係合して前記載せ皿取付部から前記載せ皿を引き剥がす動きを規制する規制部と、を有し、
前記載せ皿取付部は、前記リブ部を用いて前記載せ皿を前記一方向に位置決めする位置決め部を有する
採血装置。
【請求項2】
前記載せ皿は、底面部が長方形状であり、
前記リブ部は、前記載せ皿の長辺方向に延びている
請求項1に記載の採血装置。
【請求項3】
前記リブ部は、前記載せ皿の底面部から外側に突出し、
前記載せ皿取付部は、前記リブ部を収容する溝を有する
請求項2に記載の採血装置。
【請求項4】
前記載せ皿は、前記溝の延長方向に沿って前記載せ皿をスライドさせて前記載せ皿取付部に取り付けられる
請求項3に記載の採血装置。
【請求項5】
前記載せ皿は、前記載せ皿の前記リブ部を上面側から前記溝に挿入して前記載せ皿取付部に取り付けられる
請求項3に記載の採血装置。
【請求項6】
前記位置決め部は、前記載せ皿に設けられた位置決め穴と係合する係止片を有し、
前記載せ皿取付部に前記載せ皿が取り付けられる際に、前記載せ皿をスライドさせることで前記位置決め穴に前記係止片が係合する
請求項4に記載の採血装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採血装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、血液を採取する際に、採血した血液と血液バッグ内の抗血液凝固剤とを混和させるために使用される採血装置が知られている。この種の採血装置は、例えば、血液バッグを載置する載せ皿を揺動させる揺動機構を備え、揺動機構に載せ皿が固定されたものや着脱可能に構成されたものが提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-294478号公報
【特許文献2】特開2012-217632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、載せ皿と揺動機構とがネジ等で固定されていると、使用者自身の手によって載せ皿の取り外しを容易に行うことができず、筐体と載せ皿との隙間に物を落とした場合に落下物の回収を速やかに行うことができないといった問題がある。
【0005】
一方で、揺動機構に載せ皿を磁力で固定する着脱機構の場合、載せ皿に鉄板などの磁性体が取り付けられているが、載せ皿に付着した血液の清掃や消毒用の次亜塩素酸や塩化物(塩化ベンザルコニウム等)を含むアルコール消毒液との相性が悪く、消毒液が鉄板にかかることで錆が発生して他の部材に悪影響を及ぼしうる。
【0006】
また、載せ皿は金属と樹脂を組合わせて構成すると、交換時の部品コストが高くなるとともに、樹脂と金属が混在することから廃棄しづらくリサイクルにも不向きである。
【0007】
そこで、本発明は上記の状況に鑑みてなされたものであって、載せ皿の低コスト化とリサイクル性を向上させつつ、載せ皿を着脱可能に固定できる採血装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の採血装置は、血液バッグを載置する樹脂製の載せ皿と、載せ皿が取り付けられる載せ皿取付部と、載せ皿取付部を介して載せ皿を揺動させる揺動機構と、を備える。載せ皿は、血液バッグが載置される平面の一方向に延びるリブ部と、リブ部に設けられ、載せ皿取付部と係合して載せ皿取付部から載せ皿を引き剥がす動きを規制する規制部と、を有する。載せ皿取付部は、リブ部を用いて載せ皿を一方向に位置決めする位置決め部を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、載せ皿の低コスト化とリサイクル性を向上させつつ、載せ皿を着脱可能に固定できる採血装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】上蓋および載せ皿を取り外した状態の採血装置の平面図である。
【
図5】(a)は、
図4の載せ皿のB-B線断面図であり、(b)は、
図5(a)の載せ皿が載せ皿取付部に取り付けられたときの状態を示す図である。
【
図6】(a)、(b)は、載せ皿取付部への載せ皿の取り付けを示す図である。
【
図7】載せ皿と載せ皿取付部の第1変形例を示す図である。
【
図8】載せ皿と載せ皿取付部の第2変形例を示す図である。
【
図9】載せ皿と載せ皿取付部の第3変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本実施形態に係る採血装置の構成例について説明する。なお、図面における各部の形状、寸法等は模式的に示したもので、実際の形状や寸法等を示すものではない。
【0012】
図1は、本実施形態の採血装置の外観斜視図である。
図2は、
図1のA-A線断面図である。
図3は、上蓋および載せ皿を取り外した状態の採血装置の平面図である。
【0013】
本実施形態の採血装置1は、血液を採取する際に血液バッグ3を揺動させて、採血した血液と血液バッグ3内に予め充填された抗血液凝固剤を混和させるために使用される。採血装置1は、筐体10と、上蓋20と、操作部30と、載せ皿40と、揺動機構50とを備えている。
【0014】
筐体10は、上面側が開放された箱体状であり、筐体10の上面側は上蓋20で閉塞される。上蓋20は、例えば、透明な樹脂(例えばアクリル樹脂など)で構成され、装置背面側に設けられたヒンジ26によって筐体10に対して開閉可能に取り付けられている。
【0015】
装置正面側において、上蓋20には把手22が設けられ、例えば、上蓋ロック機構(不図示)を解除して把手22を持ち上げることで、上蓋20を開くことができる。
【0016】
また、筐体10と上蓋20に囲まれた吸引室2には、載せ皿40および揺動機構50が収容される。また、筐体10の内部には、筐体10および上蓋20で囲まれた吸引室2内を減圧するための減圧機構(不図示)、各部に電力を供給するための電源部(不図示)や、採血装置1の各部を統括制御する制御部(不図示)などが収容されている。
【0017】
上記の減圧機構は、真空ポンプと、空気流量を調整するバルブとを含む。制御部は、減圧機構を駆動させることで、吸引室2内に吸引圧(陰圧)を発生させて血液バッグ3内に血液を採取する。なお、制御部は、減圧機構の真空ポンプやバルブにより吸引圧を制御できる。
【0018】
操作部30は、例えば液晶タッチパネルで構成され、筐体10の装置正面側に配置される。操作部30の画面表示は制御部によって制御される。例えば、操作部30の画面に表示される文字情報又は画像情報によって、ユーザは各種情報を取得できる。操作部30の画面には、例えば、採血中は採血量または採血残量が表示される。その他にも、操作部30の画面には、採血速度などの状況を示す表示(色表示など)が行われる。また、操作部30のアイコン画像をタッチするユーザの操作により、操作部30は、採血開始や採血停止などの各種操作を受け付ける。
【0019】
なお、採血装置1への入力は、上記に限定されることなく、不図示の接続端子を介して接続された入力機器(例えば、バーコードリーダ等)が受け付けてもよい。また、採血装置1からの各種出力は、上記の接続端子を介して接続された公知の出力機器から行われてもよい。
【0020】
図4は、載せ皿40の概略平面図である。
図5(a)は、
図4の載せ皿40のB-B線断面図であり、
図5(b)は、
図5(a)の載せ皿40が載せ皿取付部60に取り付けられたときの状態を示す図である。
【0021】
載せ皿40は、揺動機構50に対して着脱可能に取り付けられ、採血時には
図2に示すように上面に血液バッグ3が載置される部材である。載せ皿40は、平面視形状が略長方形状で、上下方向に所定の深さを有する平底の椀状容器として形成されている。載せ皿40は、例えばアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、塩化ビニル樹脂などの樹脂材料で形成され、全体が透明である。また、載せ皿40は、略長方形状の底面部41aと、底面部41aの外周に立設される周壁部41bを有する。
【0022】
また、載せ皿40は、底面部41aから外側(載せ皿40の底面側)に向けて凸状に突出するリブ部46を有している。リブ部46は、載せ皿40の短辺中央部に形成され、載せ皿40の底面長辺方向に沿って延びている。リブ部46は、載せ皿40の底面部41aを長辺方向に補強するとともに、揺動機構50の後述する載せ皿取付部60に載せ皿40を取り付けるときのガイドなどに用いられる。また、リブ部46の内側には、例えば、載せ皿40に載置される血液バッグ3の一部や当該血液バッグ3に接続される部材(例えば、白血球除去フィルター等)の一部などが収容されてもよい。
【0023】
また、リブ部46には、載せ皿取付部60と係合するフランジ47が設けられている。フランジ47は、載せ皿取付部60との取り付け位置(リブ部46の長手方向中央の位置)において、リブ部46の両側にそれぞれ形成されている。各々のフランジ47は、載せ皿40の底面部41aと略平行にリブ部46から外向きに突出し、平面視でリブ部46の長手方向に延びるように形成されている。なお、フランジ47は、後述のスロット63と係合して載せ皿取付部60から載せ皿40を引き剥がす動きを規制する規制部の一例として機能する。
【0024】
また、リブ部46には、載せ皿取付部60の後述の係止片64を受ける位置決め穴48が形成されている。例えば、位置決め穴48は、載せ皿40が載せ皿取付部60に取り付けられたときに、リブ部46の底面側で係止片64と対応する位置に形成されている(
図8(b)参照)。なお、位置決め穴48は係止片64を受けることができれば、載せ皿40を貫通している必要はない。
【0025】
揺動機構50は、載せ皿40を揺動させる機構であればいかなるものも適用可能であり、例えば、図示は省略するが、モータや動力伝達機構を用いて、載せ皿40の姿勢を変化させて載せ皿40を所定方向に揺動させることができる。
【0026】
載せ皿取付部60は、上面側に載せ皿40が取り付けられる部材であって、本実施形態では、矩形状に形成されている。載せ皿取付部60は、揺動機構50と接続されており、揺動機構50の駆動によって載せ皿40を揺動させる。
【0027】
図6(a)、(b)は、載せ皿取付部60への載せ皿40の取り付けを示す図である。
載せ皿取付部60の上面は、載せ皿40の底面側と接触して載せ皿40を支持する。載せ皿取付部60の上面には、載せ皿40のリブ部46を受ける受け溝62が形成されている。受け溝62は、載せ皿取付部60の上面において一方側から他方側にかけて延び、受け溝62の幅および深さは、載せ皿40のリブ部46に対応する寸法で形成されている。これにより、載せ皿40を載せ皿取付部60に取り付けるときに、受け溝62は載せ皿40の長手方向に延びるリブ部46の一部を収容できる。
【0028】
また、載せ皿取付部60には、受け溝62の一方側に載せ皿40のフランジ47が挿入されるスロット63が形成されている。
図5(b)に示すように、スロット63は、フランジ47を収容可能な寸法で受け溝62の幅方向両側に形成されている。スロット63は、フランジ47との係合により載せ皿取付部60から載せ皿40を引き剥がす動きを規制する。また、受け溝62は、載せ皿40の動きをリブ部46の延長方向のスライドに限定するため、載せ皿40を平面の一方向に位置決めする位置決め部の一例として機能する。
【0029】
また、載せ皿取付部60の受け溝62には、フランジ47がスロット63に挿入された取付状態で載せ皿40を位置決めする係止片64が設けられている。係止片64は、載せ皿40を平面の一方向に位置決めする位置決め部の一例である。係止片64は、例えば、バネ等で支持されてリブ部46に対して進退可能に構成され、載せ皿40の位置決め穴48と係合する。載せ皿40の取付時に係止片64が位置決め穴48と係合することで、載せ皿40が意図せずに載せ皿取付部60の一方側にずれて脱落することを防止できる。なお、係止片64に載せ皿40の取付を検知するスイッチ等を接続し、載せ皿40の取付状態を制御部が検出できるようにしてもよい。
【0030】
位置決め穴48に対する係止片64の係合の解除は、例えば載せ皿取付部60に係止片64を退避させるロック解除機構(不図示)を設け、ロック解除機構の操作により両者の係合を解除してもよい。あるいは、位置決め穴48が載せ皿40を貫通して形成されている場合には、係止片64を載せ皿40の内側から指等で押圧して係合を解除することもできる。
【0031】
載せ皿取付部60への載せ皿40の取り付けでは、
図6(a)に示すように受け溝62にリブ部46を合わせた後、載せ皿取付部60の一方側から載せ皿40をスライドさせる。すると、
図6(b)に示すように載せ皿40のフランジ47が載せ皿取付部60のスロット63に挿入され、係止片64が位置決め穴48と係合する。これにより、載せ皿40が載せ皿取付部60に取り付けられる。
【0032】
ここで、載せ皿40を載せ皿取付部60に取り付けた状態では、スロット63に挿入されたフランジ47によって、載せ皿40を垂直方向に引き剥がす動きが規制される。つまり、載せ皿取付部60に対して載せ皿40を垂直方向に引き剥がす力が作用した場合、フランジ47がスロット63に干渉するので、載せ皿40の離脱が抑制される。
【0033】
また、載せ皿40を載せ皿取付部60に取り付けた状態では、スロット63に挿入されたフランジ47と、受け溝62に収容されたリブ部46によって、載せ皿40をスライドさせる方向を除いて載せ皿40の平面方向の動きは拘束される。また、載せ皿40を載せ皿取付部60に取り付けた状態では、位置決め穴48と係止片64の係合により、載せ皿40がスライドしないように位置決めされる。したがって、載せ皿取付部60に対して載せ皿40を平面方向に動かす力が作用した場合、スロット63に挿入されたフランジ47と、受け溝62に収容されたリブ部46と、位置決め穴48と係止片64の係合により、載せ皿40が平面方向にずれることを抑制できる。
【0034】
また、後述の載せ皿40の揺動時には、載せ皿取付部60と載せ皿40の間に、載せ皿40の平面方向のせん断荷重が作用する。このとき、受け溝62に収容されたリブ部46の側面が上記のせん断荷重を受けることで、載せ皿40でせん断荷重を受ける部分の面積が増加し、揺動時の載せ皿40の応力集中が緩和される。そのため、載せ皿40の耐久性を向上させることもできる。
【0035】
制御部は、重量センサ(図示略)により検出された血液バッグ3の重量に基づいて現在の採血量を判断し、目標の採血量となったときに採血を停止できる。また、制御部は、血液バッグ3の重量に基づき、単位時間当たりの採血速度を算出できる。採血速度が所定値以下で遅い場合、制御部は例えば吸引圧を低めにする制御を行う。また、採血速度が所定値よりも速い場合、制御部は例えば吸引圧を高めにする制御を行う。これにより、採血対象となるドナー(供血者)の動態に合わせた採血を行うことが可能となる。
【0036】
以下、本実施形態の採血装置1の効果を述べる。
本実施形態の採血装置1は、血液バッグ3を載置する樹脂製の載せ皿40と、載せ皿40が取り付けられる載せ皿取付部60と、載せ皿取付部60を介して載せ皿40を揺動させる揺動機構50と、を備える。載せ皿40は、血液バッグ3が載置される平面の一方向に延びるリブ部46と、リブ部46と係合して載せ皿取付部60から載せ皿40を引き剥がす動きを規制するフランジ47(規制部)と、を有する。載せ皿取付部60は、リブ部46を用いて載せ皿40を一方向に位置決めする受け溝62および係止片64(位置決め部)を有する。
本実施形態の採血装置1では、載せ皿40のリブ部46のフランジ47で載せ皿40を引き剥がす動きを規制し、載せ皿取付部60の受け溝62および係止片64により、リブ部46を用いて載せ皿40を平面方向に位置決めする。したがって、本実施形態では、樹脂製のリブ部46の構造で載せ皿40を載せ皿取付部60に着脱可能に固定できるとともに、載せ皿40の着脱のための金属部材(例えば、鉄板)を不要として、載せ皿40の低コスト化を図ることができ、さらに、消毒液による錆の発生の問題も生じない。また、廃棄時に材料の分別も不要となるのでリサイクル性も向上する。
このように、載せ皿40の低コスト化とリサイクル性を向上させつつ、載せ皿40を着脱可能に固定できる採血装置1を提供することができる。
【0037】
また、載せ皿40は、底面部41aが長方形状であり、リブ部46は、載せ皿40の長辺方向に延びている。そのため、リブ部46の形成により載せ皿40を効果的に補強できるので、載せ皿40の耐久性を向上させることができる。
【0038】
また、リブ部46は、載せ皿40の底面部41aから外側に突出し、載せ皿取付部60は、リブ部46を収容する受け溝62を有する。受け溝62がリブ部46を収容することで、揺動時の載せ皿40に作用する平面方向のせん断荷重に対して、せん断荷重を受ける部分の面積が大きくなり、揺動時における載せ皿40の応力集中が緩和される。これにより、揺動に対する載せ皿40の耐久性を向上させることができる。
【0039】
また、載せ皿40は、受け溝62の延長方向に沿って載せ皿40をスライドさせて載せ皿取付部60に取り付けられる。これにより、採血装置1において載せ皿40の着脱をスムーズに行うことができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0040】
また、本実施形態において載せ皿取付部60に載せ皿40を取り付ける際には、作業者は透明な載せ皿40を上側から透視して、載せ皿40の裏面側を載せ皿取付部60に取り付ける作業を容易に行うことができる。このとき、リブ部46を受け溝62に収容することで、載せ皿40の取付方法を作業者に直感的に正しく認識させることが可能となる。
【0041】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行ってもよい。
例えば、載せ皿40と載せ皿取付部60の構成は、以下の構成であってもよい。
【0042】
図7は、載せ皿と載せ皿取付部の第1の変形例を示す図である。第1の変形例は、載せ皿40aのリブ部46を載せ皿取付部60aの上面側から受け溝62に挿入し、載せ皿40aを載せ皿取付部60aに取り付ける構成である。
【0043】
第1の変形例では、載せ皿取付部60aの受け溝62の両側面に爪部65が形成されている。また、載せ皿40aのリブ部46には爪部65と係合する切り欠き46aがそれぞれ形成されている。爪部65および切り欠き46aは、例えば長手方向の所定位置に一対設けられるが、複数箇所に設けられていてもよい。
【0044】
載せ皿取付部60aの受け溝62に載せ皿40aのリブ部46を収容すると、爪部65と切り欠き46aが係合する。爪部65と切り欠き46aの係合により、載せ皿取付部60aから載せ皿40aを引き剥がす動きが規制される。また、受け溝62にリブ部46が収容された状態で爪部65と切り欠き46aが係合することで、載せ皿40aは平面方向に位置決めされる。したがって、第1の変形例の構成においても、樹脂製のリブ部46aの構造で載せ皿40aを載せ皿取付部60aに着脱可能に固定でき、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0045】
図8は、載せ皿と載せ皿取付部の第2の変形例を示す図である。第2の変形例は、載せ皿40bのリブ部46を載せ皿取付部60bの上面側から受け溝62に挿入し、ねじ止めを併用して載せ皿40bを載せ皿取付部60bに取り付ける構成である。
【0046】
第2の変形例では、載せ皿取付部60bの受け溝62の一方の側面(
図8中右側面)に爪部65が形成されている。また、載せ皿取付部60bの受け溝62の外側には、受け溝62の他方の側面の近傍にねじ穴66が形成されている。
【0047】
また、載せ皿40bのリブ部46には爪部65と係合する切り欠き46aが形成されている。そして、載せ皿40bの底面部41aには、ねじ70を挿通するための穴41cが形成されている。
【0048】
第2の変形例において、載せ皿取付部60bの受け溝62に載せ皿40bのリブ部46を収容すると、爪部65と切り欠き46aが係合する。その後、載せ皿40bの穴41cと載せ皿取付部60bのねじ穴66にねじ70を螺合し、載せ皿取付部60bと載せ皿40bが固定される。ねじ70には、樹脂製のねじやステンレス製のねじなどを用いることができる。
【0049】
第2の変形例では、爪部65と切り欠き46aの係合により、載せ皿取付部60bから載せ皿40bを引き剥がす動きが規制される。また、受け溝62にリブ部46が収容された状態で爪部65と切り欠き46aを係合させてねじ止めすることで、載せ皿40bは平面方向に位置決めされる。したがって、第2の変形例の構成でも、載せ皿40bを載せ皿取付部60bに着脱可能に固定でき、リブ部46とねじ70を組み合わせることにより、ねじ70のみで固定するよりも載せ皿40bの着脱の作業性を向上させることができる。さらに、ねじ70の使用量も少なくすることができ、載せ皿40bとねじ70は容易に分別できるため、リサイクルも容易である。
【0050】
図9は、載せ皿と載せ皿取付部の第3の変形例を示す図である。第3の変形例は、階段状の段差部62aを有する載せ皿取付部60cに載せ皿40cを取り付ける構成である。
【0051】
第3の変形例では、載せ皿取付部60cの段差部62aの側面(
図9中右側面)に爪部65が形成されている。また、載せ皿取付部60bには、上面側にねじ穴66が形成されている。
【0052】
また、載せ皿40cのリブ部46の側面には爪部65と係合する切り欠き46aが片側のみ形成されている。また、載せ皿40cの底面部41aには、ねじ70を挿通するための穴41cが形成されている。
【0053】
第3の変形例では、載せ皿取付部60cの段差部62aに載せ皿40cのリブ部46を配置し、爪部65と切り欠き46aを係合させる。その後、載せ皿40cの穴41cと載せ皿取付部60cのねじ穴66にねじ70を螺合し、載せ皿取付部60cと載せ皿40cが固定される。第3の変形例においても、ねじ70には、樹脂製のねじやステンレス製のねじなどを用いることができる。
【0054】
第3の変形例では、爪部65と切り欠き46aの係合とねじ止めにより、載せ皿取付部60cから載せ皿40cを引き剥がす動きの規制と、載せ皿40cの平面方向の位置決めが行われる。第3の変形例の構成でも、載せ皿40cを載せ皿取付部60cに着脱可能に固定でき、リブ部46とねじ70を組み合わせることにより、ねじ70のみで固定するよりも載せ皿40cの着脱の作業性を向上させることができる。さらに、ねじ70の使用量も少なくすることができ、載せ皿40cとねじ70は容易に分別できるため、リサイクルも容易である。
【0055】
第3の変形例では、爪部65と切り欠き46aを係合させた状態でねじ止めすることで、載せ皿取付部60cに載せ皿40cが固定され、載せ皿40cが安定して保持される。そのため、第3の変形例では、ねじ止めを忘れた場合やねじ止めが不十分な場合には載せ皿40cが脱落するので、ねじ止めの確認が容易となる。
【0056】
なお、上記実施形態では、載せ皿40にリブ部46(フランジ47)を設け、載せ皿取付部60に受け溝62を設けるようにしたが、例えば、図示は省略するが、載せ皿取付部60にリブ部(フランジ)を設け、載せ皿40に受け溝を設けるようにしてもよい。同様に、載せ皿40を位置決めするための位置決め穴48及び係止片64についても、載せ皿40と載せ皿取付部60の配置を逆にしてもよい。
【0057】
加えて、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0058】
1…採血装置、2…吸引室、3…血液バッグ、10…筐体、20…上蓋、40,40a,40b,40c…載せ皿、41a…底面部、46…リブ部、46a…切り欠き、47…フランジ、50…揺動機構、60,60a,60b,60c…載せ皿取付部、62…受け溝、63…スロット、64…係止片、65…爪部、70…ねじ