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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018178
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/038 20130101AFI20240201BHJP
   G06F 3/03 20060101ALI20240201BHJP
   G06F 3/042 20060101ALI20240201BHJP
   G06F 3/0346 20130101ALI20240201BHJP
   G06F 3/0354 20130101ALI20240201BHJP
【FI】
G06F3/038 320
G06F3/03 400F
G06F3/042
G06F3/042 410
G06F3/0346 424
G06F3/0354 431
G06F3/0354 440
G06F3/038 340
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121344
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】武田 高司
【テーマコード(参考)】
5B087
【Fターム(参考)】
5B087BB04
5B087BC03
5B087BC12
5B087BC32
5B087CC33
(57)【要約】
【課題】装置の大型化を抑制することが可能な電子機器を提供する。
【解決手段】電子ペン1は、照射光Lを出射する光源210と、回転が可能な回転体230と、光源210が出射する照射光Lを回転体230に向けて偏向させ、回転体230が反射した照射光Lを透過させる偏向部材221と、偏向部材221を透過した照射光Lを受光する検出部材240と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射光を出射する光源と、
回転が可能な回転体と、
前記光源が出射する前記照射光を前記回転体に向けて偏向させ、前記回転体が反射した前記照射光を透過させる第1偏向部材と、
前記第1偏向部材を透過した前記照射光を受光する検出部材と、を備える、電子機器。
【請求項2】
前記第1偏向部材は、前記回転体と前記検出部材との間に配置される、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記光源と前記検出部材とが配置された基板と、
前記第1偏向部材を透過した前記照射光を前記検出部材に向けて偏向させる第2偏向部材と、を備える、請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1偏向部材を基準とした場合に前記光源とは反対側に配置され、前記光源が出射した前記照射光のうち、前記第1偏向部材で偏向されずに、前記第1偏向部材を透過した前記照射光を吸光する光吸収部材を備える、請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第1偏向部材は、回折素子であり、
前記第1偏向部材に入射する前記照射光の主軸と、前記第1偏向部材において前記照射光が入射する面の法線との成す角度は、45°よりも大きく85°よりも小さい、請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記回折素子は、体積ホログラム型の回折素子である、請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記第1偏向部材と前記回転体との間に、λ/4波長板を備え、
前記光源から出射される前記照射光は第1偏光光であり、
前記第1偏向部材は、前記第1偏光光を偏向し、前記第1偏光光とは異なる第2偏光光を透過させる、請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
照射光を出射する光源と、
回転が可能な回転体と、
前記光源が出射する前記照射光を前記回転体に向けて透過させ、前記回転体が反射した前記照射光を偏向させる第1偏向部材と、
前記第1偏向部材が偏向した前記照射光を受光する検出部材と、を備える、電子機器。
【請求項9】
前記第1偏向部材は、前記回転体と前記光源との間に配置される、請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記光源と前記検出部材とが配置された基板と、
前記光源が出射した前記照射光を前記第1偏向部材に向けて偏向させる第2偏向部材と、を備える、請求項8に記載の電子機器。
【請求項11】
前記第1偏向部材を基準とした場合に前記検出部材とは反対側に配置され、前記光源が出射した前記照射光うち、前記第1偏向部材を透過せずに、前記第1偏向部材で偏向された前記照射光を吸光する光吸収部材を備える、請求項8に記載の電子機器。
【請求項12】
前記第1偏向部材は、回折素子であり、
前記第1偏向部材において前記照射光が入射する面の法線と、前記第1偏向部材で偏向された前記照射光の主軸との成す角度は、45°よりも大きく85°よりも小さい、請求項8に記載の電子機器。
【請求項13】
前記回折素子は、体積ホログラム型の回折素子である、請求項12に記載の電子機器。
【請求項14】
前記第1偏向部材と前記回転体との間に、λ/4波長板を備え、
前記光源から出射される前記照射光は第1偏光光であり、
前記第1偏向部材は、前記第1偏光光を透過させ、前記第1偏光光とは異なる第2偏光光を偏向させる、請求項8に記載の電子機器。
【請求項15】
前記光源と前記第1偏向部材との間に、前記照射光を集光させる光学部材を備える、請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項16】
前記回転体と前記第1偏向部材との間に、前記照射光を集光させる光学部材を備える、請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポインターまたはカーソルの移動等を行うことができる電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、光源からボールに向けて照射光を出射し、ボールが反射した照射光を光学イメージセンサーによって受光することで、ボールの回転する方向を検出するポインティング装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-139562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のポインティング装置では、光源からボールまでの光路と、ボールから光学イメージセンサーまでの光路とが別々に配置されているため、ポインティング装置が大型化するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面における電子機器は、照射光を出射する光源と、回転が可能な回転体と、前記光源が出射する前記照射光を前記回転体に向けて偏向させ、前記回転体が反射した前記照射光を透過させる第1偏向部材と、前記第1偏向部材を透過した前記照射光を受光する検出部材と、を備える。
【0006】
また、本発明の別の一側面における電子機器は、照射光を出射する光源と、回転が可能な回転体と、前記光源が出射する前記照射光を前記回転体に向けて透過させ、前記回転体が反射した前記照射光を偏向させる第1偏向部材と、前記第1偏向部材が偏向した前記照射光を受光する検出部材と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1に係る電子ペンの概略構成を示す断面図。
図2】実施形態1に係る電子ペンの光学装置の概略構成を示す拡大断面図。
図3】実施形態1に係る電子ペンの、変形例1に係る光学装置を示す拡大断面図。
図4】実施形態1に係る電子ペンの、変形例2に係る光学装置を示す拡大断面図。
図5】実施形態1に係る電子ペンの、変形例3に係る光学装置を示す拡大断面図。
図6】実施形態1に係る電子ペンの、変形例4に係る光学装置を示す拡大断面図。
図7】実施形態1に係る電子ペンの、変形例5に係る光学装置を示す拡大断面図。
図8】実施形態2に係る電子ペンの光学装置の概略構成を示す拡大断面図。
図9】実施形態2に係る電子ペンの、変形例6に係る光学装置を示す拡大断面図。
図10】実施形態2に係る電子ペンの、変形例7に係る光学装置を示す拡大断面図。
図11】実施形態2に係る電子ペンの、変形例8に係る光学装置を示す拡大断面図。
図12】実施形態2に係る電子ペンの、変形例9に係る光学装置を示す拡大断面図。
図13】実施形態2に係る電子ペンの、変形例10に係る光学装置を示す拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1-1.実施形態1
実施形態1に係る電子機器としての電子ペン1の概略構成について説明する。
【0009】
電子ペン1は、PC、スマートフォン端末またはタブレット端末等の情報処理装置とともに用いられるペン型のポインティング装置である。使用者は、電子ペン1によって、情報処理装置のディスプレイ等に表示されるポインターまたはカーソルを移動させる動作、およびクリック動作を行うことができる。電子ペン1は、直立した状態に限らず、所定の範囲内で任意の角度に傾いていても、動作を正確に行うことができる。
【0010】
図1等において、X、Y、およびZは、直交座標系を表す。Z軸は、電子ペン1の長手方向に平行な座標軸であり、電子ペン1の一端のペン先から他端に向かう方向が+Z方向である。また、Y軸は、電子ペン1の内部において、Z軸に沿って配置される基板260の表面に垂直な座標軸である。基板260は、電子ペン1の内部において、-Y側に配置される。つまり、基板260の両面のうち、比較的狭い空間に面する裏面から比較的広い空間に面する表面に向かう方向が+Y方向である。X軸は、Y軸およびZ軸に垂直な座標軸であり、図1のように、+Y方向を上向き、+Z方向を左向きとする場合に、奥から手前に向かう方向が+X方向である。
【0011】
図1は、電子ペン1の概略構成を示す断面図である。電子ペン1は、光学装置200と、光学装置200等の構成部品を覆う外装部材100とを備える。外装部材100は、持ち手部110と、ペン先部120とを有する。
【0012】
持ち手部110は、中空の部材であり、内部に光学装置200等を収容する。持ち手部110の形状は、特に限定されないが、Z方向に沿って延出する円柱状や六角柱状であることが好ましい。また、持ち手部110には、2つのボタン111,112が配置されている。
【0013】
ボタン111は、持ち手部110の-Y側に配置され、使用者からの特定の操作を受付ける。特定の操作は、特に限定されないが、クリック等の操作が挙げられる。
【0014】
ボタン112は、持ち手部110の-Y側で、かつ、ボタン111よりも+Z方向に配置されている。ボタン112は、光学装置200の電源スイッチとして機能する。なお、ボタン111,112のレイアウトは、上記に限定されない。
【0015】
外装部材100のペン先部120には、光学装置200の一部である回転体230が収容されている。回転体230は、ペン先部120の-Z側に形成された開口120aから一部が外部に露出するように収容され、露出した部分が外部の物体に接することで、自由な方向に回転が可能である。
【0016】
外装部材100は、持ち手部110とペン先部120とを一体型とする構成であってもよく、持ち手部110とペン先部120とを別々の構成としてもよい。持ち手部110とペン先部120とを別々の構成にする場合、図示は省略するが、嵌合構造または係合構造等の構造を、持ち手部110とペン先部120とにそれぞれ設けてもよい。
【0017】
図2は、実施形態1に係る電子ペン1の光学装置200の概略構成を示す拡大断面図である。光学装置200は、光源210と、第1偏向部材としての偏向部材221と、回転体230と、検出部材240と、光吸収部材251,252と、を有する。
【0018】
光源210は、基板260の+Y側の面上に配置される。光源210は、+Y方向に照射光Lを出射する。光源210としては、例えば、レーザー、LED等が挙げられる。光源210としてレーザーを用いる場合、検出精度を向上させつつ消費電力をより低減させることができる。また、光源210としてレーザーを用いる場合、照射光Lは、波長が750~1000nmの赤外光であることが好ましい。
【0019】
偏向部材221は、光源210の+Y側に配置される。偏向部材221は、光源210が+Y方向に出射した照射光Lの一部を、回転体230が配置されている-Z方向に向けて偏向させる。また、偏向部材221は、回転体230で反射されて+Z方向に進行する照射光Lの一部を、後述の検出部材240に向けて透過させる。つまり、偏向部材221は、Z方向において、回転体230と検出部材240との間に配置される。
【0020】
偏向部材221が回転体230と検出部材240との間に配置されることで、偏向部材221と、回転体230と、検出部材240とをZ方向に沿って直線的に並べることができ、光学装置200のY方向およびX方向への大型化を抑制することができる。
【0021】
偏向部材221は、光源210から回転体230までの光路と、回転体230から検出部材240までの光路とが、偏向部材221と回転体230との間において重なるように、照射光Lを偏向または透過させる。言い換えれば、光源210から回転体230までの光路と、回転体230から検出部材240までの光路とは、偏向部材221と回転体230との間において、一致または近接している。
【0022】
本実施形態の偏向部材221は、例えば、金属膜または誘電多層膜で構成されるハーフミラーであり、入射する照射光Lの一部を反射により偏向させるとともに、他の一部を透過させる。偏向部材221は、光源210から+Y方向に出射された照射光Lを-Z方向に反射できるように、反射面がY軸およびZ軸の双方に対して略45°傾いた姿勢で配置されている。偏向部材221は、図示しない支持部材によって、持ち手部110または基板260に支持されている。なお、偏向部材221は、ハーフミラーに限定されるものではなく、入射した光の一部を透過させ、入射した光の他の一部を反射させる半透過半反射性を有する部材であればよい。また、本実施形態の偏向部材221の反射率は、10%~90%であり、より好ましくは、70%である。
【0023】
上述したように、回転体230における-Z側の一部は、ペン先部120の開口120aから露出している。回転体230は、露出している部分がマウスパッドまたは机等の物体と接することで回転する。また、回転体230における+Z側の一部は、偏向部材221で-Z方向に偏向された照射光Lを+Z方向に反射させる。
【0024】
回転体230は、例えば、金属、樹脂、またはセラミクス等で形成される小型の球体である。回転体230は、表面に微細な凹凸または模様を有するものであってもよい。回転体230に微細な凹凸または模様が形成されることにより、回転体230で反射される照射光Lは、明度分布が不均一となり、明暗のパターンが形成される。そして、回転体230が回転することで、検出部材240に入射する照射光Lの明暗のパターンが変化する。この明暗のパターンの経時的な変化を基に回転体230の移動量および移動方向の取得が可能となる。なお、光源210としてレーザーを用いる場合には、回転体230には、表面に微細な凹凸または模様が形成されなくてもよい。光源210にレーザーを用いる場合には、回転体230で反射される照射光Lにスペックルパターンが生じるため、スペックルパターンを基に回転体の移動量および移動方向を取得できるためである。スペックルパターンは、物体表面へ光を照射したとき、反射光が互いに干渉し合って生じる不規則な粒状模様の明暗パターンである。
【0025】
検出部材240は、偏向部材221よりも+Z方向に配置され、光源210よりも+Y方向に配置される。検出部材240は、光を受光する受光素子を有し、受光素子の受光面が-Z方向を向くように、図示しない支持部材によって持ち手部110または基板260に支持される。受光素子は、例えば、18×18のマトリクス状に配置された光量センサーアレイ、具体的にはフォトダイオードアレイを有する。これにより、検出部材240は、回転体230で反射され、かつ、偏向部材221を透過した照射光Lを受光する。
【0026】
検出部材240は、受光素子によって、回転体230からの明暗パターンを所定の時間周期で検出する。後述の制御部261は、経時的に変化する一連の明暗パターンの相関性に基づいて回転体230の移動量および移動方向を取得する。
【0027】
光吸収部材251は、光源210よりも+Z方向に配置され、検出部材240よりも-Z方向に配置される。つまり、光吸収部材251は、Z方向において、光源210と検出部材240との間に配置される。光吸収部材251は、光吸収性を有する部材であり、例えば、黒色の塗料を塗布された部材である。光吸収部材251は、光源210から出射される発散状態の照射光Lが検出部材240に直接入射することを抑制する。
【0028】
光吸収部材252は、偏向部材221の+Y側に配置される。光吸収部材252は、光吸収性を有する部材であり、例えば、黒色の塗料を塗布された部材である。光吸収部材252は、偏向部材221を基準とした場合に、光源210とは反対側に配置される。
【0029】
光吸収部材252は、光源210から出射された照射光Lのうち、偏向部材221によって偏向されずに偏向部材221を透過した照射光Lの一部を吸光する。これにより、偏向部材221によって偏向されなかった照射光Lの一部が外装部材100の内壁で乱反射し、検出部材240へ迷光として入射することを抑制できる。
【0030】
基板260は、持ち手部110の内部の-Y側に配置される。基板260は、X軸およびZ軸に平行な姿勢で、持ち手部110、即ち外装部材100に支持されている。図1に示すように、基板260には、制御部261と、通信部262と、電力部263とが配置されている。
【0031】
制御部261は、電子ペン1の動作を制御する。例えば、制御部261は、上述したように、検出部材240で取得した照射光Lの明暗パターンの画像処理を行い、経時的に変化する一連の明暗パターンの相関性に基づいて、回転体230の移動量および移動方向に関する情報を生成する。また、制御部261は、ボタン111,112に対する操作を検知する。
【0032】
また、制御部261は、図示しない配線により、ボタン111,112、光源210、検出部材240、通信部262、および電力部263と電気的に接続される。この配線には、基板260上に形成された配線に加え、基板260から±Y方向に延出する配線および接続部材等が含まれる。
【0033】
通信部262は、外部の情報処理装置と無線で通信が可能であり、回転体230の移動量および移動方向に関する情報を情報処理装置に送信する。また、ボタン111を使用者が操作したことを制御部261が検知した場合には、ボタン111が操作されたこと示す情報を情報処理装置に送信する。なお、電子ペン1と情報処理装置とが有線で接続されてる構成であってもよい。この場合、通信部262は、上記の情報等を有線で情報処理装置に送信する。
【0034】
電力部263は、小型の電池を含み、使用者によるボタン112の操作に基づいて、各部に電力を供給する状態と、電力の供給を停止した状態とを切り替える。電池は、特に限定はされないが、例えば、一次電池でもよいし、充電が可能な二次電池であってもよい。
【0035】
以上で説明した第1実施形態の電子ペン1は、照射光Lを出射する光源210と、回転が可能な回転体230と、光源210が出射する照射光Lを回転体230に向けて偏向させ、回転体230が反射した照射光Lを透過させる偏向部材221と、偏向部材221を透過した照射光Lを受光する検出部材240と、を備える。
【0036】
※請求項1
この構成によれば、光源210から出射されて偏向部材221で偏向された照射光Lと、回転体230で反射された照射光Lと、は、偏向部材221と回転体230との間で共通の光路、または近接した光路を通る。これにより、光源210から回転体230までの光路と、回転体230から検出部材240までの光路とを別々に配置する構成に比べて、電子ペン1の大型化を抑制することができる。
【0037】
1-2.変形例1
図3は、実施形態1に係る電子ペン1の、変形例1に係る光学装置200を示す拡大断面図である。図3に示すように、光学装置200は、光源210と偏向部材221との間に、光学部材270を備える。つまり、光学部材270は、光源210の+Y側で、偏向部材221の-Y側に配置されている。光学部材270は、光源210から発散状態で出射される照射光Lを集光化または平行化する。これにより、照射光Lの発散が抑制されるため、光源210から出射される照射光Lの光利用率を高めることができる。
【0038】
1-3.変形例2
図4は、実施形態1に係る電子ペン1の、変形例2に係る光学装置200を示す拡大断面図である。図4に示すように、光学部材270は、偏向部材221と回転体230との間に配置されてもよい。つまり、光学部材270は、偏向部材221の-Z側で、回転体230の+Z側に配置されてもよい。この光学部材270により、回転体230に向かう照射光Lおよび回転体230で反射した照射光Lが集光化または平行化される。つまり、照射光Lの発散が抑制されるため、光源210から出射される照射光Lの光利用率を高めることができる。
【0039】
1-4.変形例3
図5は、実施形態1に係る電子ペン1の、変形例3に係る光学装置200を示す拡大断面図である。図5に示すように、検出部材240は、光源210と同様、基板260に配置されてもよい。この場合、検出部材240は、光源210の+Z側で、受光面を+Y方向に向けて基板260上に配置される。このため、光学装置200は、偏向部材221を透過した照射光Lを、基板260上の検出部材240に向けて偏向させる偏向部材222を備える。偏向部材222は、偏向部材221と同様、例えば、金属膜または誘電多層膜で構成されるハーフミラーであり、第2偏向部材に相当する。偏向部材222は、検出部材240の+Y側に配置され、+Z方向に進行する照射光Lを-Y方向に反射できるように、偏向部材221と平行な姿勢、即ち反射面がY軸およびZ軸の双方に対して略45°傾いた姿勢で配置される。偏向部材222は、図示しない支持部材によって、持ち手部110または基板260に支持されている。光源210と検出部材240とが同一の基板260に配置されことで、検出部材240と基板260とを電気的に接続する接続部材等を削減できるため、電子ペン1の構成の複雑化を抑制することができる。
【0040】
1-5.変形例4
実施形態1および変形例3では、偏向部材221,222をハーフミラーとしたが、偏向部材221,222の構成は、これに限定されない。偏向部材221,222は、例えば、表面レリーフ型または体積ホログラム型の回折素子であってもよい。表面レリーフ型の回折素子は、基部の表面にレリーフ面として立体的なホログラムが形成された樹脂層を有する回折素子である。体積ホログラム型の回折素子は、基部内にホログラム縞として干渉パターンを有する回折素子である。
【0041】
図6は、実施形態1に係る電子ペン1の、変形例4に係る光学装置200を示す拡大断面図であり、偏向部材221の代わりに、回折素子である偏向部材223を用いた構成を示している。偏向部材223は、偏向部材221と同様、第1偏向部材に相当する。
図6に示すように、偏向部材223を回折素子とした場合、偏向部材223において照射光Lが入射す面の法線NLと、偏向部材223で偏向された照射光Lの主軸A2とのなす角度θ2を、光源210から偏向部材223に入射する照射光Lの主軸A1と、法線NLとのなす角度θ1よりも小さくすることができる。これにより、ハーフミラーである偏向部材221を用いる場合に比べて、回転体230に対する偏向部材223の角度の制限を緩和することができ、偏向部材223のZ方向における長さを短くすることができる。偏向部材223のZ方向における長さが短くなることで、回転体230と検出部材240との距離を短くすることができるため、Z方向における光学装置200の大型化を抑制することができる。
【0042】
なお、光源210から偏向部材223に入射する照射光Lの主軸A1と、法線NLとの成す角度θ1は、45°よりも大きく85°よりも小さいことが好ましく、略70°とすることがより好ましい。
【0043】
角度θ1が45°以下となる場合、偏向部材223は、Z方向に対して沿うように傾くため、ハーフミラーである偏向部材221を用いる場合と比べて、Y方向の長さは抑制されるが、Z方向の長さが長くなる。そのため、角度θ1が45°以下となる場合、回転体230と検出部材240との距離は、ハーフミラーである偏向部材221を用いる場合よりも長くなり、光学装置200がZ方向において大型化する。
【0044】
一方、角度θ1が85°以上となる場合、偏向部材223は、Z方向に対して直交するように傾くため、光源210が出射した照射光Lを回転体230に向けて回折させることが困難になる。これにより、光源210が出射した照射光Lの光量に対して検出部材240で受光する照射光Lの光量が減少し、光学装置200での光利用効率が低減する。
【0045】
また、偏向部材223を体積ホログラム型の回折素子にする場合、基部の屈折率およびホログラム縞により、発散状態の照射光Lを集光化または平行化することが可能となる。これにより、発散状態の照射光Lを集光化または平行化するための光学部材270を配置する必要がなくなるため、電子ペン1内の部材の数を削減することができる。
【0046】
1-6.変形例5
図7は、実施形態1に係る電子ペン1の、変形例5に係る光学装置200を示す拡大断面図である。図7に示すように、光学装置200は、偏向部材221の代わりに偏向部材224を備え、偏向部材224と回転体230との間に、λ/4波長板280を備える。λ/4波長板280は、Z方向において、偏向部材224と回転体230の間、即ち偏向部材224の-Z側で、回転体230の+Z側に配置されている。また、この構成において、光源210は、直線偏光の照射光Lを出射する。また、偏向部材224は、偏光ビームスプリッターによって構成され、光源210が出射する直線偏光の照射光Lと振動方向が同じ偏光光を反射し、光源210が出射する照射光Lに対して振動方向が直交する偏光光を透過させる。なお、偏向部材224は、偏向部材221と同様、第1偏向部材に相当する。また、光源210が出射する直線偏光の照射光Lは、第1偏光光に相当し、第1偏光光に対して振動方向が直交する偏光光が第2偏光光に相当する。
【0047】
光源210から出射された直線偏光の照射光Lは、偏向部材224によってλ/4波長板280に向けて反射される。その後、直線偏光の照射光Lは、λ/4波長板280を通過する際に直線偏光から円偏光になり、回転体230に入射する。
【0048】
回転体230に入射した円偏光の照射光Lは、回転体230でλ/4波長板280に向けて反射され、再びλ/4波長板280を通過する。円偏光の照射光Lは、λ/4波長板280を通過する際に、光源210が出射する照射光Lの直線偏光に対して振動方向が直交する直線偏光になり、その後、偏向部材224を透過して、検出部材240に入射する。
【0049】
この構成によれば、光源210から出射された照射光Lのほとんどは、偏光ビームスプリッターである偏向部材224によって回転体230に向けて偏向される。また、回転体230で反射された照射光Lのほとんどは、偏向部材224を透過する。このため、光源210から出射された照射光Lが偏向部材224で偏向されずに透過されることで生じる迷光を抑制しつつ、照射光Lの光利用率を高めることができる。
【0050】
なお、光源210から出射される直線偏光の照射光Lは、特に限定されないが、例えば、S偏光光またはP偏光光である。
【0051】
2-1.実施形態2
実施形態2に係る電子機器としての電子ペン2の概略構成について説明する。なお、実施形態1と共通する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
図8は、実施形態2に係る電子ペン2の光学装置200の概略構成を示す拡大断面図である。電子ペン2は、実施形態1の電子ペン1とは異なり、持ち手部110の-Y側に配置される基板260上に検出部材240が配置され、検出部材240の+Y方向かつ+Z方向に光源210を備える。
【0053】
光源210は、-Z方向に照射光Lを出射する。光源210は、図示しない支持部材によって持ち手部110または基板260に支持されている。
偏向部材221は、光源210よりも-Z方向に配置される。偏向部材221は、光源210が-Z方向に出射した照射光Lの一部を回転体230に向けて透過させ、回転体230で反射されて+Z方向に進行する照射光Lの一部を、基板260上の検出部材240に向けて-Y方向に偏向させる。つまり、偏向部材221は、Z方向において、光源210と回転体230との間に配置される。
【0054】
偏向部材221が光源210と回転体230との間に配置されることで、偏向部材221と、光源210と、回転体230とをZ方向に沿って直線的に並べることができ、光学装置200のY方向およびX方向への大型化を抑制することができる。
【0055】
検出部材240は、偏向部材221よりもの-Y方向に配置される。検出部材240は、受光素子の受光面が+Y方向を向くように基板260上に配置され、回転体230で反射されて偏向部材221で偏向された照射光Lを受光する。
【0056】
光吸収部材251は、検出部材240よりも+Z方向に配置され、光源210よりも-Z方向に配置される。つまり、光吸収部材251は、Z方向において、光源210と検出部材240との間に配置されている。光吸収部材251は、光源210から出射される発散状態の照射光Lが検出部材240に直接入射することを抑制する。
【0057】
光吸収部材252は、偏向部材221の+Y側に配置される。光吸収部材252は、偏向部材221を基準とした場合に、検出部材240とは反対側に配置される。すなわち、光吸収部材252は、光源210から出射される照射光Lのうち、偏向部材221を透過せずに偏向部材221で偏向された照射光Lの一部を吸光する。これにより、偏向部材221によって偏向された照射光Lが外装部材100の内壁で乱反射し、検出部材240へ迷光として入射することを抑制できる。
【0058】
以上で説明した第2実施形態の電子ペン2は、照射光Lを出射する光源210と、回転が可能な回転体230と、光源210が出射する照射光Lを回転体230に向けて透過させ、回転体230が反射した照射光Lを偏向させる偏向部材221と、偏向部材221が偏向した照射光Lを受光する検出部材240と、を備える。
【0059】
この構成によれば、光源210から出射されて偏向部材221を透過する照射光Lと、回転体230で反射された照射光Lとは、偏向部材221と回転体230との間で共通の光路、または近接した光路を通る。これにより、光源210から回転体230までの光路と、回転体230から検出部材240までの光路とを別々に配置する構成に比べて、電子ペン2の大型化を抑制することができる。
【0060】
2-2.変形例6
図9は、実施形態2に係る電子ペン2の、変形例6に係る光学装置200を示す拡大断面図である。図9に示すように、光学装置200は、光源210と偏向部材221との間に、光学部材270を備える。つまり、光学部材270は、光源210の-Z側で、偏向部材221の+Z側に配置されている。光学部材270は、光源210から発散状態で出射される照射光Lを集光化または平行化する。これにより、照射光Lの発散が抑制されるため、光源210から出射される照射光Lの光利用率を高めることができる。
【0061】
2-3.変形例7
図10は、実施形態2に係る電子ペン2の、変形例7に係る光学装置200を示す拡大断面図である。図10に示すように、光学部材270は、変形例2と同様、偏向部材221と回転体230との間に配置されてもよい。つまり、光学部材270は、偏向部材221の-Z側で、回転体230の+Z側に配置されてもよい。この光学部材270により、回転体230に向かう照射光Lおよび回転体230で反射した照射光Lが集光化または平行化される。つまり、照射光Lの発散が抑制されるため、光源210から出射される照射光Lの光利用率を高めることができる。
【0062】
2-4.変形例8
図11は、実施形態2に係る電子ペン2の、変形例8に係る光学装置200を示す拡大断面図である。図11に示すように、光源210は、検出部材240と同様、基板260に配置されてもよい。この場合、光源210は、検出部材240の+Z側に配置され、+Y方向に向けて照射光Lを出射する。このため、光学装置200は、光源210が出射した照射光Lを、偏向部材221に向けて偏向させる偏向部材225を備える。偏向部材225は、偏向部材221と同様、例えば、金属膜または誘電多層膜で構成されるハーフミラーであり、第2偏向部材に相当する。偏向部材225は、光源210の+Y側に配置され、+Y方向に進行する照射光Lを-Z方向に反射できるように、偏向部材221と平行な姿勢、即ち反射面がY軸およびZ軸の双方に対して略45°傾いた姿勢で配置される。偏向部材225は、図示しない支持部材によって、持ち手部110または基板260に支持されている。光源210と検出部材240とが同一の基板260に配置されことで、光源210と基板260とを電気的に接続する部材等を削減できるため、電子ペン1の構成の複雑化を抑制することができる。
【0063】
2-5.変形例9
実施形態2および変形例8では、偏向部材221,225をハーフミラーとしたが、偏向部材221,225の構成は、これに限定されない。変形例4と同様、偏向部材221,225は、例えば、表面レリーフ型または体積ホログラム型の回折素子であってもよい。
【0064】
図12は、実施形態2に係る電子ペン2の、変形例9に係る光学装置200を示す拡大断面図であり、偏向部材221の代わりに、回折素子である偏向部材223を用いた構成を示している。
図12に示すように、偏向部材223を回折素子とした場合、回転体230で反射されて偏向部材223に入射する照射光Lの主軸A3と、偏向部材223において回転体230から照射光Lが入射する面の法線NLとのなす角度θ3を、偏向部材223で偏向された照射光Lの主軸A4と、法線NLとのなす角度θ4よりも小さくすることができる。これにより、ハーフミラーである偏向部材221を用いる場合に比べて、回転体230に対する偏向部材223の角度の制限を緩和することができ、偏向部材223のZ方向における長さを短くすることができる。偏向部材223のZ方向における長さが短くなることで、回転体230と検出部材240との距離を短くすることができるため、Z方向における光学装置200の大型化を抑制することができる。
【0065】
なお、偏向部材223で偏向された照射光Lの主軸A4と、法線NLとのなす角度θ4は、45°よりも大きく85°よりも小さいことが好ましく、略70°とすることがより好ましい。
【0066】
角度θ4が45°以下となる場合、偏向部材223は、Z方向に対して沿うように傾くため、ハーフミラーである偏向部材221を用いる場合と比べて、Y方向の長さは抑制されるが、Z方向の長さが長くなる。そのため、角度θ4が45°以下となる場合、回転体230と検出部材240との距離は、ハーフミラーである偏向部材221を用いる場合よりも長くなり、光学装置200がZ方向において大型化する。
【0067】
一方、角度θ4が85°以上となる場合、偏向部材223は、Z方向に対して直交するように傾くため、回転体230で反射された照射光Lを検出部材240に向けて回折させることが困難になる。これにより、光源210が出射した照射光Lの光量に対して検出部材240で受光する照射光Lの光量が減少し、光学装置200での光利用効率が低減する。
【0068】
また、変形例4と同様、偏向部材223を体積ホログラム型の回折素子にする場合、基部の屈折率およびホログラム縞により、発散状態の照射光Lを集光化または平行化することが可能となる。これにより、発散状態の照射光Lを集光化または平行化するための光学部材270を配置する必要がなくなるため、電子ペン1内の部材の数を削減することができる。
【0069】
2-6.変形例10
図13は、実施形態2に係る電子ペン2の、変形例10に係る光学装置200を示す拡大断面図である。図13に示すように、光学装置200は、偏向部材221の代わりに偏向部材224を備え、偏向部材224と回転体230との間に、λ/4波長板280を備える。λ/4波長板280は、Z方向において、偏向部材224と回転体230の間、即ち偏向部材224の-Z側で、回転体230の+Z側に配置されている。また、この構成において、光源210は、直線偏光の照射光Lを出射する。また、偏向部材224は、偏光ビームスプリッターによって構成され、光源210が出射する直線偏光の照射光Lと振動方向が同じ偏光光を透過させ、光源210が出射する照射光Lに対して振動方向が直交する偏光光を反射させる。
【0070】
光源210から出射された直線偏光の照射光Lは、偏向部材224を透過してλ/4波長板280に入射する。その後、直線偏光の照射光Lは、λ/4波長板280を通過する際に直線偏光から円偏光になり、回転体230に入射する。
【0071】
回転体230に入射した円偏光の照射光Lは、回転体230でλ/4波長板280に向けて反射され、再びλ/4波長板280を通過する。円偏光の照射光Lは、λ/4波長板280を通過する際に、光源210が出射する照射光Lの直線偏光に対して振動方向が直交する直線偏光になり、その後、偏向部材224で反射されて、検出部材240に入射する。
【0072】
この構成によれば、光源210から出射された照射光Lのほとんどは、偏光ビームスプリッターである偏向部材224を透過する。また、回転体230で反射された照射光Lのほとんどは、偏向部材224で反射される。このため、光源210から出射された照射光Lが偏向部材224を透過せずに偏向されることで生じる迷光を抑制しつつ、照射光Lの光利用率を高めることができる。
【0073】
なお、光源210から出射される直線偏光の照射光Lは、特に限定されないが、例えば、S偏光光またはP偏光光である。
【0074】
3.その他の変形例
上記実施形態において、照射光Lを偏向させる偏向部材221,222,223,224,225として、ハーフミラー、回折素子、および偏光ビームスプリッターを例示したが、偏向部材221,222,223,224,225は、この構成に限定されず、例えば、光の屈折を利用して偏向させる部材であってもよい。
【0075】
上記実施形態では、電子機器の一例として、ペン型のポインティング装置である電子ペン1,2について説明を行ったが、ペン型以外のポインティング装置であってもよい。また、ポインティング装置以外の電子機器であってもよい。
【符号の説明】
【0076】
1,2…電子ペン、100…外装部材、110…持ち手部、111,112…ボタン、120…ペン先部、120a…開口、200…光学装置、210…光源、221,222,223,224,225…偏向部材、230…回転体、240…検出部材、251,252…光吸収部材、260…基板、261…制御部、262…通信部、263…電力部、270…光学部材、280…λ/4波長版、A1,A2,A3,A4…主軸、L…照射光、NL…法線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13