(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018184
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】電子ペン
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0354 20130101AFI20240201BHJP
【FI】
G06F3/0354 440
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121350
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 淳
【テーマコード(参考)】
5B087
【Fターム(参考)】
5B087AA02
5B087AA09
5B087BC03
5B087BC32
(57)【要約】
【課題】電子ペンを小型化すること。ポインテング装置が大型化する。
【解決手段】電子ペン100は、照射光L1を照射させる光源10と、光源10からの照射光L1を反射させる回転体30と、回転体30が反射した照射光L1を受光する受光部材51と、光源10から受光部材51までの光路に設けられる遮光部材STと、第1位置SL1の場合に光源10からの照射光L1を受光部材51に入射させ、第2位置SL2の場合に光源10からの照射光L1を遮光部材STへ入射させるように移動される可動部材61とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射光を照射させる光源と、
前記光源からの前記照射光を反射させる回転体と、
前記回転体が反射した前記照射光を受光する受光部材と、
前記光源から前記受光部材までの光路に設けられる遮光部材と、
第1位置の場合に前記光源からの前記照射光を前記受光部材に入射させ、第2位置の場合に前記光源からの前記照射光を前記遮光部材へ入射させるように移動される可動部材と、
を備える電子ペン。
【請求項2】
前記可動部材は、外力が付加された場合に前記第2位置から前記第1位置へ移動され、外力が付加されない場合に前記第1位置から前記第2位置へ移動される、請求項1に記載の電子ペン。
【請求項3】
前記光源と前記受光部材とを設ける基板を備える、請求項1に記載の電子ペン。
【請求項4】
前記可動部材は、前記第1位置の場合に、前記照射光を前記受光部材が受光するように偏向させる第1偏向部材を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の電子ペン。
【請求項5】
前記遮光部材は、開口を有し、
前記第1偏向部材は、前記可動部材が前記第1位置の場合に、前記遮光部材の前記開口を通過した前記照射光を前記受光部材が受光するように偏向させ、前記可動部材が前記第2位置の場合に、前記照射光を前記遮光部材が遮光するように前記照射光を偏向させる、請求項4に記載の電子ペン。
【請求項6】
前記可動部材が前記第1位置の場合に、前記第1偏向部材が偏向した前記照射光を前記遮光部材の前記開口を介して前記回転体に向けて偏向させ、前記可動部材が前記第2位置の場合に、前記第1偏向部材が偏向した前記照射光を前記遮光部材に向けて偏向させる第2偏向部材を備える、請求項5に記載の電子ペン。
【請求項7】
前記遮光部材と前記回転体との間の光路に設けられ、前記遮光部材の前記開口を通過した前記照射光の一部を前記回転体に向けて透過させ、前記回転体で反射された前記照射光の一部を前記受光部材に向けて偏向させる第3偏向部材を備える、請求項6に記載の電子ペン。
【請求項8】
前記光源と前記受光部材との間に設けられ、前記可動部材が前記第1位置の場合に、前記回転体に向けて照射光を偏向させる第1偏向部材を備える、請求項1に記載の電子ペン。
【請求項9】
前記遮光部材は、開口を有し、
前記第1偏向部材は、前記可動部材が前記第1位置の場合に、前記遮光部材の開口を通過した照射光を受光部材が受光するように偏向させ、前記可動部材が前記第2位置の場合に、前記照射光を前記遮光部材が遮光するように前記照射光を偏向させる、請求項8に記載の電子ペン。
【請求項10】
前記受光部材が照射光を受光しているか否かを検出する検出部材を備える、請求項1に記載の電子ペン。
【請求項11】
前記受光部材からの出力信号に基づいて変位情報を送信する際に遅延をかける制御部材を有する、請求項1に記載の電子ペン。
【請求項12】
前記制御部材は、前記受光部材が前記照射光を受光しなくなったことに基づいてクリック信号を出力する際に、前記変位情報の出力よりも遅延が少なくなるようにする、請求項11に記載の電子ペン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポインター又はカーソルの移動やクリック動作を行うことができる電子ペンに関する。
【背景技術】
【0002】
電子ペンとして、光源と、装置全体の動きにより回転するボールと、装置の動きをイメージで検出する光学イメージセンサーとを備えるものが公知となっている(特許文献1)。特許文献1の装置は、光源によって照射光をボールに向けて照射し、光学イメージセンサーによってボールが反射した照射光を受光することで、移動方向を検出する。また、ボタン・スイッチは、外力が付加された場合にクリック操作を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記先行技術文献の装置では、電子ペンの動く向きを検出する機構とは別の機構としてクリック操作を検出する機構を電子ペン内に設けているので、電子ペンが大型化する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面における電子ペンは、照射光を照射させる光源と、光源からの照射光を反射させる回転体と、回転体が反射した照射光を受光する受光部材と、光源から受光部材までの光路に設けられる遮光部材と、第1位置の場合に光源からの照射光を受光部材に入射させ、第2位置の場合に光源からの照射光を遮光部材へ入射させるように移動される可動部材とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態の電子ペンを説明する縦断面図である。
【
図3】電子ペンの可動部材に外力が付加されない状態を説明する図である。
【
図4】電子ペンの制御部を説明するブロック図である。
【
図5】電子ペンと通信する電子機器を説明するブロック図である。
【
図7】第2実施形態の電子ペンを説明する縦断面図である。
【
図8】電子ペンの可動部材に外力が付加されない状態を説明する図である。
【
図9】第3実施形態の電子ペンを説明する縦断面図である。
【
図10】可動部材に対する外力を変化させた場合の部分拡大断面図である。
【
図11】電子ペンによる移動速度の検出を説明するチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
〔第1実施形態〕
以下、
図1等を参照して、本発明に係る電子ペンの第1実施形態について詳細に説明する。
【0008】
図1は、電子ペン100の縦断面図であり、
図2は、
図1に示す電子ペン100のC-C横断面図である。電子ペン100は、後述する電子機器に付随するペン型マウスであり、使用者USの手HDが電子ペン100のペン軸本体5aを握って操作することで、ディスプレイ等に表示されるポインター又はカーソルについて移動やクリック動作を行うことができる。電子ペン100は、図示のように直立した状態に限らず、所定の範囲内で任意の角度に傾いていても、動作を正確に行うことができる。
【0009】
電子ペン100は、光源10と、回転体30と、レンズ21と、第1偏向板41と、第2偏向板42と、受光部材51と、可動部材61と、制御部2と、電源3と、基板4と、ケース部材5とを備える。電子ペン100において、光源10、回転体30、レンズ21、第1偏向板41、第2偏向板42、及び受光部材51は、操作方向取得部91として機能する。操作方向取得部91は、電子ペン100の操作量及び操作方向に関する情報を取得する。また、光源10、回転体30、レンズ21、第1偏向板41、第2偏向板42、受光部材51、及び可動部材61は、操作検出部92として機能する。操作検出部92は、電子ペン100において、クリック等の特定の操作がされたことを検出する。操作検出部92は、操作方向取得部91に対して可動部材61を追加したものとなっていて、操作方向取得部91の状態を使用者USの意思で外的作用により変化させることを可能にし、かかる外的作用による変化を使用者USの特定操作に相当する情報として検出する。
【0010】
ケース部材5は、縦長の筒状部材であり、基準軸KLに沿って延びる。ケース部材5は、ペン軸本体5aと、ペン先5bとを有する。ペン軸本体5aは、ケース部材5の本体部分であり、肉厚が略一定の円筒形状を有する。ペン先5bは、回転体30が取り付けられる部分であり、下方に向けて先細りのテーパ形状を有する。ケース部材5の内部空間5iには、光源10、回転体30の上部、レンズ21、第1向部材41、受光部材51、制御部2、電源3、及び基板4が収納されている。光源10、受光部材51、及び制御部2は、ケース部材5の内側面5dに固定された基板4のうち可動部材61に対向する表面4a上に固定されている。レンズ21及び第1偏向板41は、ケース部材5の内側面5dから延びる支持部材5s(
図2参照)を介してケース部材5に固定されている。
【0011】
基板4は、縦方向に細長い板状部材であり、ケース部材5の内部空間5iのうち、ペン軸本体5aの下部側に配置され、電源3は、ペン軸本体5aの上部側に配置されている。基板4上には、光源10、受光部材51、制御部2等を含む各種電子部品や回路パターンが実装されている。つまり、基板4は、光源10と受光部材51とを設けたものとなっている。基板4は、その表面4aが可動部材61に対して略平行になるように配置され、基板4の横方向の端部4e,4fにおいてペン軸本体5aの内側面5dの2か所に固定される(
図2参照)。
【0012】
光源10は、照射光L1を照射させるものである。光源10は、基板4上で受光部材51よりも下側に配置され、照射光L1を下方に向けて出射する。光源10からの照射光L1は、直接回転体30に入射する。光源10としては、例えばレーザー、LED等が挙げられる。光源10としてレーザーを用いる場合、検出精度を向上させつつ消費電力をより低減することができる。なお、光源10がレーザーやLEDである場合、光源10の光射出部にレンズを設けることにより、光束断面を調整することができる。
【0013】
回転体30は、光源10からの照射光L1を反射し、かつ自在な方向への回転が可能となっている。回転体30は、ペン先5bの孔5oの周囲に設けられた軸受け部材35にはめ込まれている。軸受け部材35は、回転体30を回転可能に支持する。回転体30を軸受け部材35のみと接触させることにより、回転体30の回転が円滑になり、検出精度を向上させることができる。軸受け部材35は、ペン軸本体5aの軸方向すなわち第1方向Aの上下で回転体30を露出させる開口35d,35eを有しており、回転体30の一部が上下に露出するようになっている。回転体30のうち上側の露出部分は、光源10からの照射光L1を反射し、下側の露出部分は、マウスパッドや机等に接する。
【0014】
回転体30は、小型の球体又はボールであり、例えば金属、樹脂、セラミック等で形成される。回転体30は、その表面30aにランダムな微細凹凸が形成されているが、表面30aに模様を有するものであってもよい。また、回転体30は、微細な凹凸や模様が形成されない表面であってもよい。
【0015】
レンズ21は、回転体30の上方に配置されている。レンズ21には、回転体30が反射した照射光L1が入射する。レンズ21は、回転体30の表面で反射され発散する照射光L1をコリメートし或いは収束させる。レンズ21の焦点距離は、回転体30からレンズ21までの距離や、レンズ21から受光部材51までの光路長を考慮して決定される。レンズ21は、一般的な光学レンズに限らず、板状のフレネルレンズであってもよい。なお、光源10がレーザーである場合、レンズ21を省略することもできる。
【0016】
第1偏向板41は、レンズ21の上方に配置されている。第1偏向板41は、小サイズの平面ミラーであり、回転体30で反射されレンズ21を通った照射光L1を第2偏向部材42に向けて反射する。第1偏向板41は、例えば平板の基材表面上に金属その他の反射膜が形成されたものである。第1偏向板41は、平面ミラーに限らず、光路の折り曲げに際して集束作用や発散作用を伴うものであってもよい。
【0017】
第2偏向板42は、可動部材61の内面側内に固定されており、可動部材61の操作に伴って姿勢が変化する。第2偏向板42は、第1偏向部材DF1に相当するものである。第2偏向板42は、開口5pを介してケース部材5の内部空間5iに臨むように配置されている。第2偏向板42は、小サイズの平面ミラーであり、第1偏向板41で反射された照射光L12を受光部材51に向けて反射する。第2偏向板42は、軸方向すなわち第1方向Aに関して第1偏向板41と受光部材51との略中間の高さ位置に配置される。第2偏向板42は、平面ミラーに限らず、光路の折り曲げに際して集束作用や発散作用を伴うものであってもよい。
【0018】
以上において、第1偏向板41のような1つ以上の偏向部材を光路上に設けることにより、第2偏向板42に照射光L1に導くことが容易になり、第2偏向板42や受光部材51のような光学要素の配置の自由度を高めることができる。
【0019】
受光部材51は、第2偏向板42で反射された照射光L1を受光し、つまりレンズ21等を介して回転体30が反射された照射光L1を受光し、操作量及び操作方向に関する情報を取得する。受光部材51は、例えば、18×18のマトリクス状に配置された光量センサーアレイ、具体的には、例えばフォトダイオードアレイを有し、光量センサーアレイによって回転体30からのスペックルパターン等を所定の時間周期で検出し、経時的に変化する一連のパターンの相関性を取って回転体30の移動量と移動方向との取得を可能にする。スペックルパターンは、細かな凹凸のある物体表面へ照射光を照射したとき、反射光が互いに干渉し合って生じるランダムな明暗模様である。光源10としてレーザーを用いる場合、以上のようなスペックルを検知することにより、高解像になる。
【0020】
可動部材61は、ペン軸本体5aのうち下部側に支持されて、ペン軸本体5aの内外に露出する。可動部材61は、操作の切り替えを可能にするボタン・スイッチ状の機械機構である。電子ペン100は、可動部材61を設けることにより、クリック動作の機能を有するものとなる。可動部材61は、ペン軸本体5aの外側面5eの一か所に形成された凹部5fに設けられる。可動部材61は、ボタン本体62と、支持部63と、バネ64とを有する。ボタン本体62は、ペン軸本体5aが延びる軸に平行な第1方向Aに細長く延びる。ボタン本体62の上部は、軸受けの機能を有する支持部63によって紙面に垂直な軸のまわりに回動可能に支持され、ボタン本体62の下部にバネ64の一端が保持されている。なお、バネ64の他端は、ペン軸本体5aの凹部5fの底部板5kに固定されている。可動部材61のうちボタン本体62は、ボタン本体62の下部に外力を付加することにより、バネ64の付勢力に抗してペン軸本体5aの凹部5fに収納された状態となっている。凹部5fの底部板5kには、ペン軸本体5aの側面を貫通する開口5pが形成されており、可動部材61の内面61aに、第1偏向板41からの照射光L1が入射可能になっている。可動部材61の内面61aには、第2偏向板42が固定されている。第2偏向板42は、可動部材61が後述する第1位置SL1にあるとき(
図1参照)、照射光L1が入射するように配置される。第2偏向板42は、可動部材61が第1位置SL1にある場合に照射光L1を受光部材51が受光するように偏向させるものであり、可動部材61の一部とみることもできる。この場合、可動部材61が第1偏向部材DF1を備えることになる。
【0021】
以下、
図1及び
図3を参照して、可動部材61の動作について説明する。可動部材61は、
図1に示すように、外力が付加された場合にボタン本体62において第2位置SL2から第1位置SL1に移動又は変位し、
図3に示すように、外力が付加されない場合にボタン本体62において第1位置SL1から第2位置SL2に移動又は変位する。図示の例では、第1位置SL1に移動した可動部材61において、ボタン本体62は、指によって押し込まれ外力が付与された状態となり、支持部63を支点としてボタン本体62の下部がペン軸本体5aの凹部5fにはめ込まれるように第2方向Bに移動する(
図1参照)。また、第2位置SL2に移動した可動部材61において、ボタン本体62は、指から解放され押し込まれない状態となり、支持部63を支点としてボタン本体62の下部がペン軸本体5aの凹部5fから離れてペン軸本体5aから突出するように移動する(
図3参照)。第2偏向板42は、可動部材61が第1位置SL1の場合に、第1偏向板41が反射した照射光L1を受光部材51に入射させるように反射させる。また、第2偏向板42は、可動部材61が第2位置SL2の場合に、第1偏向板41が反射した照射光L1の光路から外れて配置され、第1偏向板41からの照射光L1は、バネ64に入射する。バネ64は、光透過性を有しない材料で形成され、その表面が吸光性の材料で被覆され、或いはバネ64の周囲に遮光性のカバーが設けられている。つまり、バネ64は、照射光L1の向きを変え、或いは照射光L1の向きを変えつつ減衰させるものであり、光源10から受光部材51までの光路に設けられる遮光部材STとして機能する。バネ64は、これに入射する照射光L1が受光部材51に導光されて迷光の原因となることを抑制している。
【0022】
なお、可動部材61は、ボタン本体62から指を離す動作に際して、或いはボタン本体62を指で押す際に、クリック音やクリック感覚が発生するような付加的機械機構を備えるものであってもよい。
【0023】
可動部材61との関係で操作方向取得部91を動作させる光路について説明する。可動部材61のボタン本体62が押し込まれ
図1に示す第1位置SL1に移動したとき、光源10からの照射光L1は、回転体30の表面30aで反射されてパターン情報を付与され、レンズ21を経て第1偏向板41と第2偏向板42とで反射され、受光部材51に入射する。つまり、可動部材61は、第1位置SL1の場合に光源10からの照射光L1を受光部材51に入射させる。制御部2において受光部材51の出力信号を処理することで、回転体30の回転量及び回転方向を算出することができる。
【0024】
可動部材61との関係で操作検出部92を動作させる光路について説明する。上記のように、可動部材61が
図1に示す第1位置SL1にあるとき、光源10から受光部材51までの光路がつながる。この場合、受光部材51は、照射光L1を所定の閾値を超える強度で受光し、クリックオフの操作情報に対応する光信号を検出する。一方、可動部材61が
図2に示す第2位置SL2に移動したとき、光源10からの照射光L1を遮光部材STへ入射させる。これにより、光源10から受光部材51までの光路が第2偏向板42以後において遮断される。つまり、受光部材51は、所定の閾値を超える強度を有する照射光L1を受光しなくなり、クリックオフの操作情報に対応する光信号の停止を検出する結果として、クリックオンの操作情報に対応する無信号を検出する。受光部材51による照射光L1の検出から非検出への切り換わりは、クリック動作のトリガーとして用いられ、制御部2においてクリック信号を抽出することができる。このように、可動部材61が第2位置SL2にある場合、すなわち可動部材61に外力が付加されていない場合に、クリックオンの操作情報又は操作状態であると設定することにより、使用者USの手HD等に起因する振動の発生及び動作への影響、つまりペン軸本体5aを介して回転体30に使用者USの意図しない力が伝達され操作方向取得部91の動作に影響することを抑えることができ、クリック操作の判断を正確に行うことができる。
【0025】
制御部2は、光源10及び受光部材51の動作を制御し、操作方向取得部91が電子ペン100の操作量及び操作方向に関する情報を取得することを可能にし、操作検出部92が特定の操作つまりクリック操作されたことを検出することを可能にする。制御部2は、制御部材CMである。
【0026】
電源3は、光源10、受光部材51、及び制御部2に電力を供給する。
【0027】
以下、
図4を参照しつつ、制御部2の詳細な構成について説明する。制御部2は、操作検出回路2aと、データ通信部2cと、制御回路2dとを有する。
【0028】
操作検出回路2aは、制御回路2dの制御下で、光源10、及び受光部材51を動作させる。操作検出回路2aは、光源10から照射光L1を出射させる。また、操作検出回路2aは、可動部材61が第1位置SL1にあって受光部材51で照射光L1を検出している場合、検出した照射光L1に対応する信号からスペックルの画像処理を行い、経時的に変化する一連のスペックルパターンの相関性を取って、回転体30の移動量及び移動方向(操作量、及び操作方向)に関するデータを生成する。操作検出回路2aは、回転体30の移動量と移動方向とに関するデータを回転体30の接する面に対する横又は縦の2次元的な変位データ又は変位情報として出力する。
【0029】
操作検出回路2aは、可動部材61が第1位置SL1から第2位置SL2に切り替わって、受光部材51で照射光L1を検出しなくなった場合、使用者USの指が可動部材61から離れたと判断し、クリック信号を出力する。なお、受光部材51で照射光L1を検出しなくなったか否かの判定は、受光部材51の検出信号が所定期間以上途絶えることや、検出信号に対して所定期間平均化を行うことを前提条件としてもよい。操作検出回路2aは、受光部材51が照射光L1を受光しているか否かを検出する検出部材SEであり、回転体30の移動量や移動方向だけでなく、クリック操作の検出を行う。
【0030】
データ通信部2cは、制御回路2dの制御下で、受光部材51での検出結果を無線又は有線でパーソナルコンピューター等の外部にあって連携する電子機器に送信する。具体的には、データ通信部2cは、操作検出回路2aで生成された回転体30の移動量及び移動方向に関するデータやクリック信号を送信する。
【0031】
制御回路2dは、操作検出回路2a、及びデータ通信部2cの動作を制御する。
【0032】
図5は、
図1等に示す電子ペン100との間でデータ通信を行って信号出力を受け付ける電子機器80を説明するブロック図である。電子機器80は、主制御装置81と、記憶装置82と、データ通信インターフェース83と、ユーザーインターフェース装置84と、移動体用無線通信装置85とを有する。記憶装置82には、電子機器80を動作させる基本的なプログラムが格納され、この基本的プログラム上で動作する様々なアプリケーションソフトが格納されている。データ通信インターフェース83は、ブルートゥース(登録商標)又は規格IEEE 802.15、Wi-Fiといった近距離無線通信規格に対応しており、電子ペン100の制御部2との間でデータ信号を送受信する。ユーザーインターフェース装置84は、ユーザーに情報を提示するディスプレイ、ユーザーが操作するキーボード等を含む。主制御装置81は、記憶装置82、データ通信インターフェース83、ユーザーインターフェース装置84等の動作を統括的に制御する。特に、主制御装置81は、データ通信インターフェース83を介して、電子ペン100から情報を受信することができ、電子ペン100に対して制御信号を送信することができる。これにより、主制御装置81は、電子ペン100に設けられた回転体30の移動量及び移動方向に関するデータや、クリック信号を受信することができる。なお、電子機器80は、移動体用無線通信装置85により、不図示の通信ネットワークを経由して外部のサーバー等の各種装置と通信することができる。
【0033】
図5に示す電子機器80は、典型的にはパーソナルコンピューターを想定しているが、各種映像表示装置やゲーム装置であってもよい。かかる機器と電子ペン100とを組み合わせて動作させることができる。
【0034】
図6を参照して、電子ペン100に組み込まれる第1偏向板41等の変形例について説明する。第1偏向板41及び第2偏向板42は、平面ミラーに限らず、反射型の回折素子とすることができる。反射型の回折素子148は、基部48aと、基部48a上に形成された多層の体積ホログラム層48bとを有する。体積ホログラム層48bは、体積ホログラム縞を内蔵するものである。体積ホログラム縞は、干渉パターン、具体的には屈折率の回折パターンを立体的に記録したものである。第1偏向板41又は第2偏向板42として、反射型の回折素子148を用いることで、第1偏向板41に入射した照射光L1を所望の方向に回折させて射出させることができる。反射型の回折素子148において、体積ホログラムの縞に適宜レンズ効果を持たせることもできる。
【0035】
第1偏向板41は、例えばブレーズ型の回折素子に置き換えることができる。第1偏向板41は、透過型の回折素子であってもよい。
【0036】
以上で説明した第1実施形態の電子ペン100は、照射光L1を照射させる光源10と、光源10からの照射光L1を反射させる回転体30と、回転体30が反射した照射光L1を受光する受光部材51と、光源10から受光部材51までの光路に設けられる遮光部材STと、第1位置SL1の場合に光源10からの照射光L1を受光部材51に入射させ、第2位置SL2の場合に光源10からの照射光L1を遮光部材STへ入射させるように移動される可動部材61とを備える。
【0037】
上記電子ペンでは、可動部材61を用い、可動部材61が第1位置SL1にある場合に受光部材51に照射光L1を入射させ、可動部材61が第2位置SL2にある場合に照射光L1を遮光部材STへ入射させるので、回転体30を照明する光源10を利用し、可動部材61によって照射光L1を遮光部材STへ入射させる遮光状態とし、状態変化の検出に用いるので、クリック操作の検出機構を小型化することができる。
【0038】
〔第2実施形態〕
以下、本発明に係る電子機器の第2実施形態である電子ペンについて説明する。なお、第2実施形態の電子ペンは、第1実施形態の電子ペンを部分的に変更したものであり、共通部分については説明を省略する。
【0039】
図7は、電子ペンの可動部材に外力が付加されている状態を説明する断面図であり、
図8は、電子ペンの可動部材に外力が付加されない状態を説明する断面図である。
【0040】
図7等に示すように、第2実施形態の電子ペン100は、操作方向取得部91として、光源10、第1偏向板241、第2偏向板242、絞り44、ビームスプリッタ43、レンズ21、回転体30、及び受光部材51を有する。操作検出部92は、操作方向取得部91の構成要素に対して可動部材61を追加したものとなっている。この場合、光源10の方が受光部材51よりも上側に配置されている。
【0041】
ここで、絞り44は、ピンホール状の部材であり、レンズ21の上方に配置されている。絞り44は、開口44aを有し、開口44aが位置する予定された光路上の照射光L1のみを通過させ、その周辺に入射する照射光L1を遮光する遮光部材STである。
【0042】
ビームスプリッタ43は、照射光L1を透過させつつ反射するハーフミラーであり、レンズ21の上方であって受光部材51に対向する位置に配置されている。ビームスプリッタ43は、遮光部材STである絞り44と回転体30との間の光路に設けられ、光源10から第1偏向板241、第2偏向板242等を経た照射光L1を下方に透過させ、レンズ21を介して回転体30から戻って来た照射光L1を横方向に配置された受光部材51に入射させる。つまり、ビームスプリッタ43は、遮光部材STの開口44aを通過した照射光L1の一部を回転体30に向けて透過させ、回転体30で反射された照射光L1の一部を受光部材51に向けて偏向させる第3偏向部材DF3として機能する。
【0043】
第1偏向板241は、可動部材61に固定された平面ミラー又は反射型の回折素子であり、第1偏向部材DF1として機能する。すなわち、第1偏向板241は、可動部材61又はこれに固定された第1偏向板241が第1位置SL1の場合に、遮光部材STの開口44aを通過した照射光L1を受光部材51が受光するように偏向させ、可動部材61又はこれに固定された第1偏向板241が第2位置SL2の場合に、照射光L1を遮光部材STが遮光するように照射光L1を偏向させる。
【0044】
第2偏向板242は、ケース部材5内に固定された平面ミラー又は反射型の回折素子であり、第2偏向部材DF2として機能する。すなわち、第2偏向板242は、可動部材61が第1位置SL1の場合に、第1偏向部材DF1が偏向した照射光L1を遮光部材STの開口44aを介して回転体30に向けて偏向させ、可動部材61が第2位置の場合に、第1偏向部材DF1が偏向した照射光L1を遮光部材STの開口44aの周囲の遮光体44pに向けて偏向させる。
【0045】
可動部材61との関係で操作方向取得部91を動作させる光路について説明する。可動部材61のボタン本体62が押し込まれ
図7に示す第1位置SL1に移動したとき、光源10からの照射光L1は、第1偏向板241と第2偏向板242とで反射され、絞り44を通過し、ビームスプリッタ43を経て回転体30の表面30aに入射し、回転体30の表面30aで反射されてパターン情報を付与され、レンズ21及びビームスプリッタ43を経て受光部材51に入射する。つまり、可動部材61は、第1位置SL1の場合に光源10からの照射光L1を受光部材51に入射させる。
【0046】
可動部材61との関係で操作検出部92を動作させる光路について説明する。上記のように、可動部材61が
図7に示す第1位置SL1にあるとき、光源10から受光部材51までの光路がつながる。この場合、受光部材51は、照射光L1を所定の閾値を超える強度で受光し、クリックオフの操作情報に対応する光信号を検出する。一方、可動部材61が
図8に示す第2位置SL2に移動したとき、光源10からの照射光L1を遮光部材STへ入射させる。これにより、光源10から受光部材51までの光路がビームスプリッタ43以後において遮断される。つまり、受光部材51は、所定の閾値を超える強度を有する照射光L1を受光しなくなり、クリックオフの操作情報に対応する光信号の停止を検出する結果として、クリックオンの操作情報に対応する無信号を検出する。
【0047】
〔第3実施形態〕
以下、本発明に係る電子機器の第3実施形態である電子ペンについて説明する。なお、第3実施形態の電子ペンは、第1実施形態の電子ペンを部分的に変更したものであり、共通部分については説明を省略する。
【0048】
図9は、電子ペンの可動部材に外力が付加されていない状態を説明する断面図である。第3実施形態の電子ペン100は、操作方向取得部91として、光源10、第1偏向板341、絞り45、回転体30、レンズ21、第2偏向板342、及び受光部材51を有する。操作検出部92は、操作方向取得部91の構成要素に対して可動部材361を追加したものとなっている。
【0049】
ケース部材5は、ペン軸本体5aとペン先5bとを有し、ペン軸本体5aとペン先5bとは、連結部材5jを介して連結されている。本実施形態では、連結部材5jとペン先5bとが可動部材361として機能する。連結部材5jは、弾性変形する部材や機械機構を有し、ペン先5bの軸KLaをペン軸本体5aの基準軸KLに対して傾けることができる。使用者USの手HDが電子ペン100のペン軸本体5aを鉛直に対して傾けて握り、ペン軸本体5aの下端を手前側かつ斜め下方向に押し下げるように押すような外力を与えることで、ペン先5bの軸KLaが基準軸KLに対して数°から数十°傾き、ペン先5bが折れ曲がる。その後、手HDが電子ペン100のペン軸本体5aを握る力を弱めることで外力が除かれると、ペン先5bの軸KLaが基準軸KLと一致し、ペン先5bがペン軸本体5aに対して折れ曲がらない元の状態に復帰する。
【0050】
第1偏向板341は、反射型の回折素子であり、光源10の上方に配置されている。第1偏向板341は、例えば平板の基材表面上に体積ホログラム層が形成されたものである。第1偏向板341は、光源10と受光部材51との間の光路上に設けられている。第1偏向板341は、可動部材361が第1位置SL1の場合に、回転体30に向けて照射光L1を偏向させる第1偏向部材DF1として機能する。
【0051】
絞り45は、第1偏向板341と回転体30との間に配置されている。絞り45は、2つの開口45a,45bを有し、遮光部材STとして機能する。
【0052】
図10を参照して、可動部材61との関係で操作方向取得部91を動作させる光路について説明する。
図10中で、領域AR1は、可動部材361のペン先5bが折れ曲がらずペン軸本体5aに対して傾いてない状態を示し、領域AR2は、可動部材361のペン先5bが少し折れ曲がった状態を示し、領域AR3は、可動部材361のペン先5bが最も折れ曲がった状態を示す。
【0053】
可動部材361のペン先5bが折れ曲がらず第1位置SL1にあるとき、光源10からの照射光L1は、第1偏向板341で反射され、絞り45の開口45aを通過し、回転体30の表面30aに入射し、回転体30の表面30aで反射されてパターン情報を付与され、レンズ21及び第2偏向板342を経て受光部材51に入射する。つまり、可動部材61は、第1位置SL1の場合に光源10からの照射光L1を受光部材51に入射させる。一方、可動部材361のペン先5bが最も折れ曲がって第2位置SL2にあるとき、光源10からの照射光L1を遮光部材STである絞り45つまり開口45aの周囲へ入射させる。これにより、光源10から受光部材51までの光路がビームスプリッタ43以後において遮断される。つまり、受光部材51は、所定の閾値を超える強度を有する照射光L1を受光しなくなり、クリックオフの操作情報に対応する光信号の停止を検出する結果として、クリックオンの操作情報に対応する無信号を検出する。
【0054】
以上のように、第1偏向板341すなわち第1偏向部材DF1は、可動部材361が第1位置SL1の場合に、遮光部材STである絞り45の開口45a,45bを通過した照射光L1を受光部材51が受光するように偏向させ、可動部材361が第2位置SL2の場合に、照射光L1を遮光部材STである絞り45が遮光するように照射光L1を偏向させる。
【0055】
図10の領域AR2に示すように、可動部材361のペン先5bが少し折れ曲がった状態であっても、第1偏向部材DF1で反射された照射光L1は、絞り45の開口45aを通過し、回転体30の表面30aで反射されてパターン情報を付与され、再度絞り45を通過し第2偏向板342等を経て受光部材51に入射する。つまり、可動部材61は、第1位置SL1から第2位置SL2に遷移する過渡的な状態でも、光源10からの照射光L1を受光部材51に入射させる。しかしながら、照射光L1の回転体30の表面30a上での入射位置がシフトし周辺に移動するので、クリック信号の検出直前に、操作量つまり移動量の算出値が異常に増加する現象が生じる。このような移動量算出値の急増を抑制するため、電子ペン100の出力信号にエラー抑制処理を施す。
【0056】
図11は、電子ペン100の出力信号に加工を施していない場合における移動速度の変化を示す。横軸は時間であり、縦軸はエラー抑制処理を施していない移動速度の元の検出値を示す。区間D1は、電子ペン100のペン先5bを通常の状態で移動させている状態に対応し、区間D2は、電子ペン100のペン先5bを目的位置の付近に移動させた状態に対応し、区間D3は、可動部材361のペン先5bを折れ曲げたクリック操作に対応し、区間D4は、電子ペン100のペン先5bの通常移動を再開させた状態に対応する。区間D3の一方のピークP1は、クリックオンの操作状態に遷移する直前を示し移動速度が急増している。また、区間D3の他方のピークP2は、クリックオフの操作状態に遷移する直線を示し移動速度が急増している。一対のピークP1,P2の間では、照射光L1が遮断され、受光部材51に入射しなくなっている。
【0057】
制御部2において、操作検出回路2aは、2次元的な移動量に対応する変位データ又は変位情報を出力する際に、変位データの出力タイミングに関して遅延をかけることができる。この際、操作検出回路2aは、クリック信号を出力する際に遅延が発生することを抑制する。つまり、操作検出回路2aは、受光部材51が照射光L1を受光しなくなったことに基づいてクリック信号を出力する際に、変位データ又は変位情報よりも遅延が少なくなるようにする。クリック信号の遅延を少なくし、変位データの出力タイミングの遅延を相対的に大きくすることで、
図11に示すピークP1,P2が検出され変位データとして扱われることを回避することができる。変位データの出力タイミングに関して遅延をかける際の遅延時間は、可動部材61の応答速度等を考慮し、区間D3のピークP1等を除去することができる時間以上とするが、あまり長くすると操作に違和感が生じやすくなるので、最小限とすることが望ましい。変位データ又は変位情報の遅延は、
図5に示す電子機器80において行うこともできる。
【0058】
第3実施形態の電子ペン100では、可動部材361のペン先5bが真っすぐな状態から折れ曲がって第2位置になるとき、クリックオンとしているが、可動部材361のペン先5bが折れ曲がった状態から真っすぐの第1位置になるとき、クリックオンとしてもよい。この場合、光学系は、可動部材361のペン先5bが折れ曲がった状態で、光源10からの照射光L1を受光部材51に入射させるものとする。
【0059】
〔その他の事項〕
以上で説明した構造は例示であり、同様の機能を達成できる範囲で、種々変更することができる。
【0060】
ケース部材5の外形は、円筒に限らず、用途や使用者USの嗜好を反映したものとすることができる。
【0061】
操作方向取得部91や操作検出部92を構成する光学素子の配置や数は、例示であり、用途に応じて様々な変更が可能である。
【0062】
以上では説明を省略したが、操作検出部92は、左クリックや右クリックのいずれとして用いることができ、例示した電子ペン100に2つの操作検出部92を組み込むことで左クリック及び右クリックに対応する機能を組み込んだものとすることができる。この場合、例えば回転体30で反射された照射光L1を2分割し、2つの可動部材にそれぞれ設けられた偏向板で反射させ、2つの受光部材に入射させる。各光路に設けられた受光部材、可動部材等は、各操作検出部の構成要素として機能する。
【0063】
第1実施形態において、可動部材61は、軸受けを有する支持部63やバネ64を用いたものである必要はなく、外力に応じて弾性的に変位し外力がなくなると復帰する様々な機構とすることができる。
【0064】
具体的な態様における電子ペンは、照射光を照射させる光源と、光源からの照射光を反射させる回転体と、回転体が反射した照射光を受光する受光部材と、光源から受光部材までの光路に設けられる遮光部材と、第1位置の場合に光源からの照射光を受光部材に入射させ、第2位置の場合に光源からの照射光を遮光部材へ入射させるように移動される可動部材とを備える。
【0065】
上記電子ペンでは、可動部材を用い、可動部材が第1位置にある場合に受光部材に照射光を入射させ、可動部材が第2位置にある場合に照射光を遮光部材へ入射させるので、回転体を照明する光源を利用し、可動部材によって照射光を遮光部材へ入射させる遮光状態とし、状態変化の検出に用いるので、クリック操作の検出機構を小型化することができる。
【0066】
具体的な側面において、可動部材は、外力が付加された場合に第2位置から第1位置へ移動され、外力が付加されない場合に第1位置から第2位置へ移動される。この場合、例えば可動部材を押し込んだ状態から可動部材を浮き上がらせた状態とすることによって、可動部材が第1位置から第2位置に移動し、クリック操作を検出することができる。
【0067】
具体的な側面において、光源と受光部材とを設ける基板を備える。この場合、光源や受光部材の駆動回路を基板上に設けることができる。
【0068】
具体的な側面において、可動部材は、第1位置の場合に、照射光を受光部材が受光するように偏向させる第1偏向部材を有する。この場合、第1偏向部材によって光路を所望の方向に折り曲げることができる。
【0069】
具体的な側面において、遮光部材は、開口を有し、第1偏向部材は、可動部材が第1位置の場合に、遮光部材の開口を通過した照射光を受光部材が受光するように偏向させ、可動部材が第2位置の場合に、照射光を遮光部材が遮光するように照射光を偏向させる。
【0070】
具体的な側面において、可動部材が第1位置の場合に、第1偏向部材が偏向した照射光を遮光部材の開口を介して回転体に向けて偏向させ、可動部材が第2位置の場合に、第1偏向部材が偏向した照射光を遮光部材に向けて偏向させる第2偏向部材を備える。この場合、第1偏向部材を経た照射光を第2偏向部材によって開口とその近傍の遮光体とに切り替えて入射させることになる。
【0071】
具体的な側面において、遮光部材と回転体との間の光路に設けられ、遮光部材の開口を通過した照射光の一部を回転体に向けて透過させ、回転体で反射された照射光の一部を受光部材に向けて偏向させる第3偏向部材を備える。この場合、第3偏向部材によって光源からの照射光を回転体に入射させつつ回転体で反射された照射光を受光部材に入射させることができる。
【0072】
具体的な側面において、光源と受光部材との間に設けられ、可動部材が第1位置の場合に、回転体に向けて照射光を偏向させる第1偏向部材を備える。この場合、第1偏向部材によって光路を所望の方向に折り曲げることができる。
【0073】
具体的な側面において、遮光部材は、開口を有し、第1偏向部材は、可動部材が第1位置の場合に、遮光部材の開口を通過した照射光を受光部材が受光するように偏向させ、可動部材が第2位置の場合に、照射光を遮光部材が遮光するように照射光を偏向させる。
【0074】
具体的な側面において、受光部材が照射光を受光しているか否かを検出する検出部材を備える。この場合、検出部材が回転体の移動方向やクリック操作の検出を行う。
【0075】
具体的な側面において、受光部材からの出力信号に基づいて変位情報を送信する際に遅延をかける制御部材を有する。
【0076】
具体的な側面において、制御部材は、受光部材が照射光を受光しなくなったことに基づいてクリック信号を出力する際に、変位情報の出力よりも遅延が少なくなるようにする。
【符号の説明】
【0077】
2…制御部、 2a…操作検出回路、 2c…データ通信部、 2d…制御回路、 3…電源、 4…基板、 4a…表面、4e,4f…端部、 5…ケース部材、 5a…ペン軸本体、 5b…ペン先、 5d…内側面、 5e…外側面、 5f…凹部、 5i…内部空間、 5j…連結部材、 5k…底部板、 5p…開口、5o…孔、 5s…支持部材、 10…光源、 21…レンズ、 30…回転体、 30a…表面、 35…軸受け部材、 35d,35e…開口、 41,241,341…第1偏向板、 42,242,342…第2偏向板、 43…ビームスプリッタ、 44…絞り、 44a…開口、 44p…遮光体、 45…絞り、 45a,45b…開口、 48a…基部48a、 48b…体積ホログラム層、 51…受光部材、 61,361…可動部材、 61a…内面、 62…ボタン本体、 63…支持部、 64…バネ、 80…電子機器、 81…主制御装置、 82…記憶装置、 83…データ通信インターフェース、 84…ユーザーインターフェース装置、85…移動体用無線通信装置、 91…操作方向取得部、 92…操作検出部、 100…電子ペン、 148…回折素子、 KLa…軸、 L1…照射光、 SE…検出部材、 ST…遮光部材、 US…使用者、 HD…手、 SL1…第1位置、 SL2…第2位置、 DF1…第1偏向部材、 DF2…第2偏向部材、 DF3…第3偏向部材