(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018186
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】プロジェクターの制御方法、及び、プロジェクター
(51)【国際特許分類】
G09G 5/377 20060101AFI20240201BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240201BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20240201BHJP
G09G 5/14 20060101ALI20240201BHJP
H04N 5/66 20060101ALI20240201BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240201BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20240201BHJP
【FI】
G09G5/36 520L
G09G5/00 510B
G09G5/36 530Y
G09G5/36 520G
G09G5/36 520P
G09G5/00 530T
G09G5/00 530M
G09G5/14 A
H04N5/66 D
H04N5/74 Z
G06F3/0481
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121352
(22)【出願日】2022-07-29
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLU―RAY DISC
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】山田 壮真
【テーマコード(参考)】
5C058
5C182
5E555
【Fターム(参考)】
5C058BA21
5C058BA24
5C058BA35
5C058EA02
5C058EA26
5C182AA04
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5C182AC03
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5C182AC43
5C182BA01
5C182BA03
5C182BB05
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5C182BC25
5C182BC26
5C182BC41
5C182CA01
5C182CA02
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5C182CA21
5C182CB03
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5C182CB14
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5C182CB44
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5C182CB55
5C182CC01
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5C182CC26
5C182DA32
5C182DA65
5E555AA02
5E555AA26
5E555BA29
5E555BB29
5E555BC13
5E555CC25
5E555DB04
5E555DC27
5E555DD11
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】画像の表示中に設定を行うために設定画像を表示させる場合に、表示中の画像の視認性を確保する。
【解決手段】プロジェクターの制御方法であって、画像光を投写することにより、第1画像を表示領域に表示することと、第1機能を選択する操作を受け付けた場合に、第1画像を縮小した縮小画像を、表示領域の一部である第1領域に表示することと、第1機能の設定を行うための第1設定画像を、表示領域の一部であって第1領域とは異なる第2領域に表示することと、第1設定画像を利用して設定された設定内容に従って、第1機能に対応する処理を縮小画像に適用することと、第2機能を選択する操作を受け付けた場合に、第1画像を表示領域に表示することと、第2機能の設定を行うための第2設定画像を、表示領域の一部である第3領域に表示することと、を含む、プロジェクターの制御方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクターの制御方法であって、
画像光を投写することにより、第1画像を表示領域に表示することと、
第1機能を選択する操作を受け付けた場合に、前記第1画像を縮小した縮小画像を、前記表示領域の一部である第1領域に表示することと、
前記第1機能の設定を行うための第1設定画像を、前記表示領域の一部であって前記第1領域とは異なる第2領域に表示することと、
前記第1設定画像を利用して設定された設定内容に従って、前記第1機能に対応する処理を前記縮小画像に適用することと、
第2機能を選択する操作を受け付けた場合に、前記第1画像を前記表示領域に表示することと、
前記第2機能の設定を行うための第2設定画像を、前記表示領域の一部である第3領域に表示することと、
を含む、プロジェクターの制御方法。
【請求項2】
前記第1機能は、前記第1画像の全体を調整する機能を含む、請求項1に記載のプロジェクターの制御方法。
【請求項3】
前記第2機能は、前記第1画像の一部を調整する機能を含む、請求項2に記載のプロジェクターの制御方法。
【請求項4】
前記第1機能に対応する処理を前記縮小画像に適用した後、前記第1設定画像の表示を終了することと、
前記表示領域において少なくとも前記第1領域より広い領域に、前記第1機能に対応する処理が適用された前記第1画像を表示することと、を含む、請求項1から請求項3のいずれかに記載のプロジェクターの制御方法。
【請求項5】
前記表示領域は4つの辺を有する形状であり、
前記第2領域は、前記表示領域の少なくともいずれか一つの前記辺に沿って配置される領域である、請求項1から請求項3のいずれかに記載のプロジェクターの制御方法。
【請求項6】
前記第2領域は、前記表示領域の一つの前記辺に沿って配置される矩形の領域である、請求項5に記載のプロジェクターの制御方法。
【請求項7】
前記第2領域は、前記表示領域の二つの前記辺に沿って配置される領域である、請求項5に記載のプロジェクターの制御方法。
【請求項8】
前記第2設定画像の表示中に、設定画像を切り替える操作を受け付けた場合に、
前記第3領域における前記第2設定画像の表示を終了することと、
前記第2領域、および、前記表示領域の一部であって前記第2領域と異なる第4領域のいずれかに、前記第2機能の設定を行うための第3設定画像を表示することと、を含む、請求項1から請求項3のいずれかに記載のプロジェクターの制御方法。
【請求項9】
前記第4領域は前記第2領域と重ならない、請求項8に記載のプロジェクターの制御方法。
【請求項10】
プロジェクターであって、
光学装置と、
少なくとも1つのプロセッサーと、を含み、
前記少なくとも1つのプロセッサーは、
前記光学装置を用いて、画像光を投写することにより、第1画像を表示領域に表示することと、
第1機能を選択する操作を受け付けた場合に、前記光学装置を用いて、前記第1画像を縮小した縮小画像を、前記表示領域の一部である第1領域に表示することと、
前記光学装置を用いて、前記第1機能の設定を行うための第1設定画像を、前記表示領域の一部であって前記第1領域とは異なる第2領域に表示することと、
前記第1設定画像を利用して設定された設定内容に従って、前記第1機能に対応する処理を前記縮小画像に適用することと、
第2機能を選択する操作を受け付けた場合に、前記光学装置を用いて、前記第1画像を前記表示領域に表示することと、
前記光学装置を用いて、前記第2機能の設定を行うための第2設定画像を、前記表示領域の一部である第3領域に表示することと、
を実行する、プロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターの制御方法、及び、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクターの視聴環境を設定するためのメニュー画像等のOSD(On Screen Display)画像を表示する機能が知られている。例えば、特許文献1は、OSD画像を動画像と合成して表示する場合に、OSD画像の表示経過時間に応じて透過率を大きくする手法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、表示中の動画像に重ねてOSD画像を表示すると、OSD画像によって動画像が隠れてしまうため、OSD画像の背景となる動画像を視認しにくくなるという課題は依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る一態様は、プロジェクターの制御方法であって、画像光を投写することにより、第1画像を表示領域に表示することと、第1機能を選択する操作を受け付けた場合に、前記第1画像を縮小した縮小画像を、前記表示領域の一部である第1領域に表示することと、前記第1機能の設定を行うための第1設定画像を、前記表示領域の一部であって前記第1領域とは異なる第2領域に表示することと、前記第1設定画像を利用して設定された設定内容に従って、前記第1機能に対応する処理を前記縮小画像に適用することと、第2機能を選択する操作を受け付けた場合に、前記第1画像を前記表示領域に表示することと、前記第2機能の設定を行うための第2設定画像を、前記表示領域の一部である第3領域に表示することと、を含む、プロジェクターの制御方法である。
【0006】
本開示に係る別の一態様は、プロジェクターであって、光学装置と、少なくとも1つのプロセッサーと、を含み、前記少なくとも1つのプロセッサーは、前記光学装置を用いて、画像光を投写することにより、第1画像を表示領域に表示することと、第1機能を選択する操作を受け付けた場合に、前記光学装置を用いて、前記第1画像を縮小した縮小画像を、前記表示領域の一部である第1領域に表示することと、前記光学装置を用いて、前記第1機能の設定を行うための第1設定画像を、前記表示領域の一部であって前記第1領域とは異なる第2領域に表示することと、前記第1設定画像を利用して設定された設定内容に従って、前記第1機能に対応する処理を前記縮小画像に適用することと、第2機能を選択する操作を受け付けた場合に、前記光学装置を用いて、前記第1画像を前記表示領域に表示することと、前記光学装置を用いて、前記第2機能の設定を行うための第2設定画像を、前記表示領域の一部である第3領域に表示することと、を実行する、プロジェクターである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】プロジェクターの設定データの例を示す模式図。
【
図5】プロジェクターの動作の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0009】
[1.プロジェクターの構成]
図1は、プロジェクター1の構成を示す図である。
プロジェクター1は、制御部10を備える。制御部10は、プロセッサー110、及び、記憶部120を備える。制御部10は、記憶部120が記憶する制御プログラム121をプロセッサー110によって実行することにより、プロジェクター1の各部を制御する。プロセッサー110は、1以上のCPU(Central Processing Unit)や、MPU(Micro-Processing Unit)等のプロセッサーを含む演算処理装置である。
【0010】
記憶部120は、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性のメモリーと、RAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリーとを備える。ROMは、プロジェクター1の動作を制御するためのプログラムやデータを記憶する。RAMは、プロセッサー110の演算領域として使用され、各種のデータの一時記憶に用いられる。記憶部120は、例えば、制御プログラム121、設定データ122、及び、OSDデータ123を記憶する。
【0011】
プロジェクター1は、投写対象3に画像光を投写する投写部17を備える。投写部17は、バス19により制御部10に接続される。投写部17は、例えば、光源、光変調装置、及び投写光学系を含む。光源は、制御部10の制御に従って点灯し、光変調装置に向けて光を発する。光源の具体的な構成は制限されない。例えば、光源は、ハロゲンランプ、キセノンランプ、超高圧水銀ランプ等のランプ、或いは、LEDやレーザー光源等の固体光源が挙げられる。光変調装置は、光源が発する光を変調する。光変調装置の具体的な構成は制限されない。例えば、光変調装置は、透過型液晶パネル、反射型液晶パネル、或いは、デジタルミラーデバイス(Digital Micromirror Device)で構成することができる。投写部17が備える投写光学系は、光変調装置により変調された画像光を投写対象3に結像させるレンズ、ミラー、プリズム等を備える。投写部17は、光学装置の一例である。
【0012】
投写対象3は、平面であっても凹凸を有する面であってもよい。投写対象3は、例えば、幕形状のスクリーン、建物の壁面、自然物の表面である。
【0013】
投写部17は、光源に電力を供給する光源駆動回路、及び、光変調装置に描画を実行させる駆動回路を備えてもよい。投写部17は、ズーム機構や、フォーカスの調整を行うフォーカス調整機構等を備えてもよい。
【0014】
プロジェクター1は、通信部13、リモコン受光部14、操作パネル15、及び、画像処理部16を備える。これらの各部は、制御部10にバス19を介して接続される。
【0015】
通信部13は、プロジェクター1に映像信号を供給する映像供給装置に接続される。通信部13は、例えば、不図示の通信ネットワークを介して映像供給装置と通信を行う通信装置である。この場合、通信部13は、例えば、イーサネットケーブルを接続するコネクター、及び、信号を送受信する通信回路を備える。通信部13は、Wi-Fi等の無線通信を実行する無線通信装置であってもよい。イーサネットは登録商標である。Wi-Fiは登録商標である。
【0016】
リモコン受光部14は、リモコン2が送信する無線信号を受信する。リモコン受光部14は、受信した信号を復号することによって操作信号を生成し、制御部10に出力する。リモコン2とリモコン受光部14とが送受信する無線信号は、例えば、赤外線信号が挙げられるが、その他の信号であってもよい。
【0017】
リモコン2は、ユーザーにより操作される操作部20を有する。操作部20は、例えば、MENUキー21、方向キー22、及び、決定キー23を含む。これらはリモコン2の筐体表面に配置されたスイッチである。リモコン2は、MENUキー21、方向キー22、及び、決定キー23のいずれかが操作されると、操作されたスイッチに応じた操作信号を生成し、プロジェクター1に無線送信する。リモコン受光部14は、リモコン2から送信される無線信号を受信して復号することにより、リモコン2において操作されたスイッチを示す操作信号を生成する。リモコン受光部14は、操作信号を制御部10に出力する。
【0018】
操作パネル15は、プロジェクター1の筐体に設けられ、ユーザーが操作可能な各種スイッチを備える。操作パネル15は、スイッチが操作されることに応じて制御部10に操作信号を出力する。
【0019】
画像処理部16は、制御部10の制御に従って、映像供給装置から入力される映像信号に対する画像処理を実行する。画像処理部16が行う画像処理は、例えば、解像度変換処理、リサイズ処理、幾何補正処理、デジタルズーム処理、輝度調整処理、投写位置補正処理が挙げられる。また、画像処理部16は、映像に重畳されるOSD画像を生成する処理、及び、映像にOSD画像を合成する処理を行う。画像処理部16は、画像処理後の映像を表示するための表示信号を生成し、投写部17の光変調装置に出力する。
【0020】
画像処理部16は、例えば集積回路により構成されてもよい。この種の集積回路は、LSI、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、SoC(System-on-a-chip)等を含む。また、集積回路の構成の一部にアナログ回路が含まれてもよく、上記の集積回路と制御部10とが統合された構成であってもよい。
【0021】
プロジェクター1は、通信部13に加え、映像供給装置に接続されるインターフェイスを有してもよい。例えば、プロジェクター1は、所定の通信規格に準拠したコネクター及びインターフェイス回路等の通信ハードウェアを備えるインターフェイスを備える。このインターフェイスは、例えば、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)、Displayport、HDBaseT、USB(Universal Serial Bus)等のデジタルインターフェイスである。HDMI、Displayportは登録商標である。HDBaseTは登録商標である。また、プロジェクター1は、インターフェイスとして、RCA端子や、VGA端子、S端子、D端子等のアナログの映像端子を備え、アナログの映像信号を受信可能な構成であってもよい。
【0022】
プロセッサー110は、記憶部120が記憶する制御プログラム121を読み出して実行することによって、ハードウェア及びソフトウェアの協働により各種処理を実行する。プロセッサー110は、受付部111、投写制御部112、及び、設定部113を備える。これらはプロセッサー110が制御プログラム121を実行することにより構成される機能部である。
【0023】
受付部111は、リモコン受光部14または操作パネル15から入力される操作信号に基づいて、ユーザーの入力操作を受け付ける。
【0024】
投写制御部112は、受付部111が受け付けたユーザーの入力操作に応じて、投写部17に映像を投写させる。例えば、投写制御部112は、受付部111が受け付けた操作により選択される映像を、投写部17により投写させる。また、投写制御部112は、画像処理部16を制御して、画像処理を実行させる。例えば、投写制御部112は、画像処理部16によってOSD画像を生成させ、投写部17により映像とともにOSD画像を投写対象3に投写させる。OSD画像は、例えば、プロジェクター1の機能を設定するための設定用の画像である。
設定部113は、受付部111によってOSD画像を利用した設定操作を受け付けた場合に、操作に従ってプロジェクター1の機能に関する設定を行う。例えば、設定部113は、プロジェクター1が投写する設定画像の表示形態を設定する設定操作が受け付けられた場合に、設定画像の表示形態に関する設定データ122を書き換える。
【0025】
記憶部120が記憶する制御プログラム121は、プロセッサー110が実行するプログラムである。
【0026】
設定データ122は、プロジェクター1の機能に関する設定内容を含む。設定データ122は、例えば、設定画像のOSD画像を表示する場合の表示形態に関するデータ等を含む。
【0027】
図2は、設定データ122の例を示す模式図である。
図2に示す設定データ122は、プロジェクター1の機能に関する設定項目に対応付けて、OSD画像の表示形態を指定する。
図2には、設定項目の例として、メインメニュー、カラーモード、明るさ、トラッキング、ブランキング、シャープネス、及び、ディテール強調を示す。メインメニューは、例えばリモコン2のMENUキー21が操作された場合に最初に表示されるメニューのOSD画像を指す。カラーモードは、投写部17が投写する画像の色調のモードを設定するためのOSD画像を指す。明るさは、投写部17が投写する画像の輝度を設定するためのOSD画像を指す。トラッキングは、投写部17が投写する画像のトラッキング調整をするためのOSD画像を指す。ブランキングは、投写部17が投写する画像のブランキング調整に関する設定をするためのOSD画像を指す。シャープネスは、投写部17が投写する画像のシャープネス調整をするためのOSD画像を指す。ディテール強調は、投写部17が投写する画像の一部の表示状態の強調に関するOSD画像を指す。
【0028】
設定データ122に含まれる設定項目は、プロジェクター1による画像調整機能に対応する。例えば、
図2に示すカラーモードの調整機能及び明るさの調整機能は、投写部17が投写対象3に投写する映像の全体に対する調整機能に対応する。トラッキング調整、ブランキング調整、シャープネス調整、及び、ディテール強調の機能は、投写部17が投写対象3に投写する映像の一部に対する調整機能に対応する。プロジェクター1が有する画像調整機能は
図2の例に限定されない。例えば、オーバースキャン設定、幾何補正、カラーマッチング調整、ポイント補正、コントラスト調整、色の濃さ調整、ガンマ補正、エフェクト設定等が挙げられる。
【0029】
プロジェクター1の機能に関する一部の設定項目は、その設定を行うためのOSD画像の表示形態が指定されている。設定データ122は、各設定項目に対応付けて、OSD画像の表示形態が固定されているか、可変であるかを示す情報を含む。
図2の例では、カラーモード、明るさ、トラッキング、及びブランキングについてはOSD画像の表示形態が固定されており、ユーザーの操作により変更できない仕様となっている。
【0030】
OSDデータ123は、画像処理部16によって生成されるOSD画像のデータ、または、OSD画像を画像処理部16が生成するためのデータである。OSDデータ123は、OSD画像に含まれる文字列や画像を含む。例えば、OSDデータ123は、プロジェクター1の機能を設定するための設定メニューに関するOSD画像を生成するためのデータを含む。また、OSDデータ123は、OSD画像の表示サイズ等のデータを含む。
【0031】
[2.画像の表示形態]
ここで、プロジェクター1が投写するOSD画像の表示形態について説明する。
なお、以下の説明では、プロジェクター1が投写部17によって投写対象3に映像や画像を投写することを、表示と呼ぶ。投写部17が投写する画像光によって投写対象3に形成される画像を、表示画像と呼ぶ。表示画像は動画像すなわち映像であっても静止画像であってもよい。
【0032】
図3は、プロジェクター1による表示形態の遷移の一例を示す図である。
図3に示す表示領域300は、プロジェクター1が投写対象3に表示画像を表示可能な領域である。表示領域300は、例えば、プロジェクター1が画像光を投写できる範囲、或いは、プロジェクター1が幾何補正処理を施した表示画像を表示できる範囲である。
【0033】
本実施形態のプロジェクター1は、
図3(A)の表示形態、
図3(B)の表示形態、及び、
図3(C)の表示形態を切り替えることが可能である。
図3(A)は表示領域300の全体に表示画像を表示する状態を示す。第1画像P1はプロジェクター1が表示する表示画像である。第1画像P1の内容、及び、第1画像P1が映像であるか静止画像であるかは問わない。
【0034】
プロジェクター1は、ユーザーの操作によりプロジェクター1の機能に関する設定を行うことが指示された場合、設定画面を表示する。
図3(B)の表示形態、及び、
図3(C)の表示形態は、設定画面を表示する場合の表示形態である。ここで、
図3(B)の表示形態をL字表示とし、
図3(C)の表示形態を通常OSD表示とする。
【0035】
プロジェクター1は、
図3(B)に示すL字表示を行う場合、表示領域300を区分して第1領域301及び第2領域302を設ける。第1領域301及び第2領域302は、表示領域300の一部であり、互いに重複しない。第1領域301には、第1画像P1を縮小した縮小画像P2が表示される。第2領域302には、設定画像321が表示される。
【0036】
図4は、L字表示を行う場合の設定画像321の表示例を示す図である。
図4の表示例では、表示領域300にL字形状の第2領域302が設けられる。第2領域302の形状は任意であるが、矩形の表示領域300において、表示領域300の辺のうち少なくとも1つの辺に沿った形状であることが好ましい。具体的には、縦長の矩形、或いは、横長の矩形の第2領域302が挙げられる。
図4の例では、第2領域302は、表示領域300の2つの隣接する辺に沿ったL字形状である。第2領域302を表示領域300の辺に沿った形状にすると、第1領域301を矩形の領域とすることができるので、縮小画像P2を見易く表示できるという利点がある。設定画像321は、設定項目を選択するための画像であってもよいし、特定の設定項目に関する設定値の入力等を行うための画像であってもよい。設定画像321は、第1設定画像の一例に対応する。
【0037】
第2領域302には、機能選択部325が表示される。機能選択部325は、設定項目を選択するための画像である。機能選択部325は設定画像321の一部と見なしてもよいし、設定画像321とは独立した画像と見なしてもよい。機能選択部325には、設定可能な設定項目が一覧表示される。ユーザーは、操作部20または操作パネル15を操作することにより、機能選択部325に表示された設定項目を選択する。
【0038】
第2領域302の下部には、機能選択部325において選択された設定項目に対応する設定画像321が表示される。
図4には、機能選択部325において、シャープネス調整が選択された状態を例示する。設定画像321は、シャープネス調整を説明する文字列を含む説明表示部327と、シャープネス調整を行うための操作画像328とを含む。操作画像328は、例えば、シャープネス調整の調整値を指定するスライドバーである。機能選択部325で設定項目が選択されていない間、プロジェクター1は、説明表示部327及び操作画像328の表示位置に空白を表示してもよい。
【0039】
L字表示を実行する場合、第1領域301と第2領域302とが重複しないので、第2領域302に表示される設定画像によって縮小画像P2が隠れない。このため、ユーザーは、第1領域301に表示される縮小画像P2の全体を見ながら、第2領域302に表示される設定画像を利用して、設定を行うことができる。L字表示は、例えば、プロジェクター1の表示画像の全体に対する画像処理の設定を行う場合に好適である。
【0040】
図3(C)に示す通常OSD表示を行う場合、プロジェクター1は、表示領域300の全体に表示される第1画像P1に重ねて、第3領域303を設ける。第3領域303には、OSD設定画像322が表示される。OSD設定画像322は、プロジェクター1の機能に関する設定を行う場合に表示される設定画像である。OSD設定画像322は、設定項目を選択するための画像であってもよいし、特定の設定項目に関する設定値の入力等を行うための画像であってもよい。OSD設定画像322は、第2設定画像の一例に対応する。
【0041】
通常OSD表示を実行する場合、第1画像P1が縮小されないので、第1画像P1を見ながら容易に設定を行える。例えば、OSD設定画像322を利用する設定の対象が第1画像P1の一部分であって、設定の対象が第3領域303によって隠れていない場合は、より容易に設定を行うことができる。従って、通常OSD表示は、例えば、表示画像の一部分に対する画像処理の設定を行う場合に好適である。
【0042】
プロジェクター1は、ユーザーがプロジェクター1の機能に関する設定を行う場合に、設定データ122に従って、L字表示、及び通常OSD表示の表示形態のいずれかを選択して実行する。プロジェクター1の機能は、プロジェクター1の表示画像の全体に対する画像処理、或いは、画像調整に関する機能を含む。これらの機能は、第1画像P1の全体を調整する機能ということができ、第1機能の一例である。例えば、カラーモードの調整機能や明るさの調整機能は、第1機能の一例に対応する。また、プロジェクター1の機能は、プロジェクター1の表示画像の一部に対する画像処理、或いは、画像調整に関する機能を含む。これらの機能は、第1画像P1の一部を調整する機能をいうことができ、第2機能の一例である。例えば、トラッキング調整、ブランキング調整、シャープネス調整、及び、ディテール強調の各調整機能は、第2機能の一例に対応する。
【0043】
ユーザーが選択可能な設定項目のうち、プロジェクター1の表示画像の全体に対する画像処理、或いは、画像調整に関する設定項目、すなわち第1機能に関する設定項目は、L字表示が適している。従って、プロジェクター1の表示画像の全体に対する画像処理、或いは、画像調整に関する設定項目には、設定データ122によりL字表示が固定して設定される。この種の設定項目は、例えば、プロジェクター1が有するカラーモード調整、明るさ調整、コントラスト調整、色の濃さ調整、ガンマ調整、エフェクト設定等の機能に関する設定項目である。これらの機能は第1の機能の一例に対応する。
【0044】
ユーザーが選択可能な設定項目のうち、プロジェクター1の一部分に対する画像処理、或いは、画像調整に関する設定項目、すなわち第2機能に関する設定項目は、通常OSD表示が適している。従って、プロジェクター1の表示画像の一部分に対する画像処理、或いは、画像調整に関する設定項目には、設定データ122により通常OSD表示が固定して設定される。この種の設定項目は、例えば、トラッキング調整、オーバースキャン調整、幾何補正、ブランキング調整、エッジブレンディング調整、カラーマッチング調整等の機能に関する設定項目である。これらの機能は第2の機能の一例に対応する。
【0045】
また、L字表示及び通常OSD表示のどちらも有効な設定項目があり得る。例として、シャープネス調整、及び、ディテール強調の設定が挙げられる。これらの設定項目について、プロジェクター1がL字表示及び通常OSD表示のどちらを実行するかは、ユーザーが任意に指定できる。すなわち、設定データ122は、これらの設定項目について、ユーザーが指定した表示形態を指定する。
【0046】
[3.プロジェクターの動作]
図5は、プロジェクター1の動作の一例を示すフローチャートである。
ステップS11、S12、S16、S23、S26の動作は受付部111により実行される。ステップS13~S15、S17~S22、S25、S27~S29の動作は投写制御部112により実行される。ステップS24の動作は設定部113により実行される。
【0047】
プロジェクター1は、ユーザーによるメニュー操作を受け付ける(ステップS11)。メニュー操作は、設定メニュー画像の表示を指示する操作であり、例えば、MENUキー21の操作である。続いて、プロジェクター1は、設定メニュー画像の表示形態を選択する、表示選択操作を受け付ける(ステップS12)。表示選択操作は、設定メニュー画像の表示形態として、L字表示と通常OSD表示のいずれかを選択または指定する操作である。表示選択操作は、例えば、リモコン2の方向キー22及び決定キー23、或いは操作パネル15を用いて行われる。
【0048】
プロジェクター1は、表示選択操作で選択された表示形態が、通常OSD表示か否かを判定する(ステップS13)。通常OSD表示が選択された場合(ステップS13;YES)、プロジェクター1は、通常OSD表示で設定メニュー画像を表示領域300に表示する(ステップS14)。例えば、プロジェクター1は、
図3(C)の第3領域303を表示し、第3領域303の中に設定メニュー画像を表示する。その後、プロジェクター1は、ステップS16に移行する。
【0049】
表示選択操作で通常OSD表示が選択されなかった場合(ステップS13;NO)、プロジェクター1は、L字表示が選択されたと判定して、L字表示で設定メニュー画像を表示領域300に表示する(ステップS15)。例えば、プロジェクター1は、第1画像P1の表示を終了して、
図3(B)の第1領域301及び第2領域302を形成し、第1領域301に縮小画像P2を表示し、第2領域302に設定メニュー画像を表示する。その後、プロジェクター1は、ステップS16に移行する。
【0050】
ステップS16で、プロジェクター1は、設定メニュー画像を利用して設定項目を選択する操作を待機する(ステップS16)。設定項目を選択する操作は、設定対象の機能を選択する操作ということができる。例えば、カラーモードの調整機能や明るさの調整機能等、第1機能に関する設定項目を選択する操作は、第1機能を選択する操作の一例に対応する。また、例えば、トラッキング調整、ブランキング調整、シャープネス調整、及び、ディテール強調等の第2機能に関する設定項目を選択する操作は、第2機能を選択する操作の一例に対応する。
【0051】
設定項目を選択する操作が行われた場合(ステップS16;YES)、プロジェクター1は、表示中の設定画像の表示を終了する(ステップS17)。表示中の設定画像とは、後述するステップS19、S21、S22で表示される設定画像を含み、さらに、ステップS14またはS15で表示された設定メニュー画像を含んでもよい。
【0052】
プロジェクター1は、ステップS16で選択された設定項目に対応する表示形態が、通常OSD表示に固定されているか否かを判定する(ステップS18)。ステップS18の判定は、例えば、設定データ122を参照することにより行われる。表示形態が通常OSD表示に固定されていると判定した場合(ステップS18;YES)、プロジェクター1は、通常OSD表示で設定画像を表示する(ステップS19)。例えば、プロジェクター1は、第1画像P1に重ねて、
図3(C)の第3領域303を形成し、第3領域303にOSD設定画像322を表示する。その後、プロジェクター1はステップS26に移行する。
【0053】
表示形態が通常OSD表示に固定されていないと判定した場合(ステップS18;NO)、プロジェクター1は、ステップS16で選択された設定項目に対応する表示形態が、L字表示に固定されているか否かを判定する(ステップS20)。表示形態がL字表示に固定されていると判定した場合(ステップS20;YES)、プロジェクター1は、L字表示で設定画像を表示する(ステップS21)。その後、プロジェクター1はステップS26に移行する。
【0054】
表示形態がL字表示に固定されていないと判定した場合(ステップS20;NO)、プロジェクター1は、設定画像を、その設定画像を前回表示したときと同じ表示形態で表示する(ステップS22)。ステップS22の動作は、例えば、設定画像を表示する際に、設定データ122に表示形態を書き込むことにより実現される。この場合、プロジェクター1は、ステップS16で選択された設定項目に対応する表示形態を設定データ122に書き込み、ステップS22では設定データ122を参照すればよい。
【0055】
ステップS22で設定画像を表示した後、プロジェクター1は、設定画像の表示形態の切り替えを指示する表示切替操作が行われたか否かを判定する(ステップS23)。表示切替操作は、例えば、リモコン2の方向キー22及び決定キー23、或いは、操作パネル15を利用して行われる。
【0056】
表示切替操作が行われない場合(ステップS23;NO)、プロジェクター1は、ステップS26に移行する。
表示切替操作が行われた場合(ステップS23;YES)、プロジェクター1は、表示中の設定項目に対応付けて設定データ122に書き込まれた設定を、表示切替操作に従って変更する(ステップS24)。その後、プロジェクター1は、ステップS22で表示した設定画像の表示形態を変更して、表示を更新する(ステップS25)。これにより、設定画像の表示形態が、L字表示から通常OSD表示に、或いは、その逆に切り替えられる。その後、プロジェクター1はステップS26に移行する。
【0057】
ステップS26で、プロジェクター1は、設定画像による操作が終了したか否かを判定する(ステップS26)。操作が終了していないと判定した場合8ステップS26;NO)、プロジェクター1はステップS16に戻る。
【0058】
操作が終了したと判定した場合(ステップS26;YES)、プロジェクター1は、設定画像を利用して設定された設定項目の内容を反映する画像処理を画像処理部16に実行させ、表示中の画像に画像処理を反映させることにより、画像の表示を更新する(ステップS27)。例えば、通常OSD表示で設定画像を表示した場合、ステップS27で、プロジェクター1は、設定された画像処理を第1画像P1に適用し、第1画像P1の表示を更新する。また、例えば、L字表示で設定画像を表示した場合、ステップS27で、プロジェクター1は、設定された処理を、第1領域301に表示している縮小画像P2に適用し、縮小画像P2の表示を更新する。
【0059】
続いて、プロジェクター1は、設定画像の表示を終了する(ステップS28)。これにより、プロジェクター1は、例えば
図3(A)に示したように、第1領域301よりも広い領域に第1画像P1を表示する状態となる。
プロジェクター1は、設定画像を利用して設定された各設定項目の内容を反映する画像処理を、画像処理部16に実行させて、第1画像P1の表示を更新する(ステップS29)。これにより、プロジェクター1の表示画像に関する設定が行われ、設定された機能により画像処理部16が画像処理または画像の調整を実行し、画像処理または画像の調整が行われた表示画像が表示される。
【0060】
また、ステップS19で表示された通常OSD表示の設定画像を利用して、画像処理または画像調整の機能に関する設定が行われた場合、この設定の内容を、設定画像の表示中に有効にしてもよい。すなわち、プロジェクター1は、設定画像が通常OSD表示で表示されている間に、設定画像を利用して設定された内容に基づく画像処理または画像調整を第1画像P1に施して第1画像P1の表示を更新してもよい。ステップS21またはS23でL字表示された設定画像を利用して、画像処理または画像調整の機能に関する設定が行われた場合も同様である。
【0061】
[4.画像の表示形態の別の例]
図3、
図4及び
図5を参照して、L字表示と通常OSD表示とを選択して実行する例を説明したが、プロジェクター1による設定画像の表示形態は、L字表示と通常OSD表示とに制限されない。以下では表示形態の別の例を説明する。
【0062】
図6は、プロジェクター1による表示形態の遷移の別の例を示す図である。
図6(B)は、
図3(B)に示したL字表示の表示形態である。
図6(D)は、L字表示の別の例を示し、この表示形態を逆L字表示とする。
【0063】
逆L字表示は、表示領域300を構成する4つの辺のうち、L字表示とは異なる2つの辺に沿った第4領域304を有する。逆L字表示では、表示領域300に、第5領域305とは異なる第4領域304が設けられ、第4領域304に縮小画像P2が表示される。第4領域304と第5領域305とは、例えば、互いに重複しない領域である。
【0064】
第4領域304には、第2領域302と同様に、機能選択部325や、説明表示部327、操作画像328が配置される。第4領域304に表示される設定画像は、第3設定画像の一例に対応する。
【0065】
プロジェクター1は、操作部20または操作パネル15によるユーザーの操作に従って、L字表示と、逆L字表示とを切り替える構成とすることができる。具体的には、表示切替操作(ステップS23)により、通常OSD表示と、L字表示と、逆L字表示とを切り替え可能な構成としてもよいし、L字表示の実行中に、L字表示と逆L字表示とを切り替える操作を受け付けてもよい。
【0066】
縮小画像P2とともに表示される設定画像の形状、すなわち第2領域302の形状は、L字、及び、逆L字に制限されない。例えば、表示領域300に、表示領域300の辺のいずれかに沿った矩形の第2領域302を配置してもよい。この場合、第2領域302は縦長であっても横長であってもよい。
【0067】
また、第2領域302の形状をU字形状としてもよく、この場合、U字形状の向きは任意である。いずれの向きでも、U字形状の第2領域302の中に第1領域301が配置される。この構成では、第2領域302に、より多くの情報を表示できる。
【0068】
図7は、プロジェクター1の動作の説明図であり、プロジェクター1がL字表示と逆L字表示とを切り替える場合の動作の一例を示している。
【0069】
プロジェクター1は、通常OSD表示、L字表示、及び逆L字表示のいずれかで設定画像を表示する場合、制御部10の制御により画像処理部16によって設定画像を生成する。画像処理部16は、さらに、設定画像と第1画像P1または縮小画像P2を合成することにより、表示画像のデータを生成する。L字表示及び逆L字表示のいずれかを表示する場合、画像処理部16は、
図7に示す拡張画像330を生成してもよい。
【0070】
拡張画像330は、第1画像P1を縮小することによって生成された縮小画像P2に、第2領域302に表示されるL字形状の設定画像331、及び、第4領域304に表示される逆L字形状の設定画像332を合成した画像である。
【0071】
図7には、表示領域300に表示可能な範囲を仮想線で示す。拡張画像330は表示領域300に比べて大きいため、拡張画像330の全体を表示領域300に表示することはできない。プロジェクター1は、拡張画像330のうち投写部17によって表示する範囲を、例えば
図7に矢印Dで示す方向に移動させる。拡張画像330を移動させる処理は、具体的には、画像処理部16により実行される。すなわち、画像処理部16は、拡張画像330を生成した後に、拡張画像330において投写部17に表示させる範囲を切り出し、切り出した範囲の画像を投写部17に出力する。
【0072】
画像処理部16が拡張画像330を生成することによって、プロジェクター1は、L字表示と逆L字表示とを速やかに切り替えることが可能となる。さらにプロジェクター1は、L字表示と逆L字表示とを切り替えることがユーザーによって指示された場合に、投写部17が表示する画像を、矢印Dで示すように移動させる表示を行ってもよい。この場合、設定画像の表示をいったん終了してL字表示と逆L字表示とを切り替える場合とは異なり、縮小画像P2が継続して表示されるので、ユーザーの利便性がより一層高まることが期待できる。
【0073】
図8は、プロジェクター1による表示形態の遷移のさらに別の例を示す図である。
図8(A)、及び、
図8(B)は、設定画像を第1画像P1に重ねて表示する表示形態の例である。
【0074】
図8(A)の表示形態では、表示領域300の全体に表示された第1画像P1に重ねて、設定画像341が配置される。設定画像341は、例えば、設定画像321や設定画像331と同様の画像である。設定画像341は、表示領域300を構成する4つの辺のうち隣接する2つの辺に沿った形状であり、L字形状ということができる。この表示形態を、L字重畳表示とする。
【0075】
図8(B)の表示形態では、表示領域300の全体に表示された第1画像P1に重ねて、設定画像342が配置される。設定画像342は、例えば、設定画像341と同様の画像である。設定画像342は、表示領域300を構成する4つの辺のうち、設定画像341とは異なる、隣接する2つの辺に沿った形状である。設定画像341の形状を逆L字形状ということができる。この表示形態を、逆L字重畳表示とする。
【0076】
L字重畳表示及び逆L字重畳表示は、第1画像P1に重ねて設定画像341、342を表示するので、第1画像P1の一部の視認性が低下するが、第1画像P1を縮小しないという特徴がある。この利点は、
図3(C)に示した通常OSD表示と同様である。
プロジェクター1は、例えば、通常OSD表示のバリエーションとして、L字重畳表示及び逆L字重畳表示を行う。この場合、プロジェクター1は、設定画像を通常OSD表示で表示している状態で、操作部20または操作パネル15を用いた設定画像を切り替える操作に従って、通常OSD表示をL字重畳表示または逆L字重畳表示に切り替えて表示する。また、プロジェクター1は、操作部20または操作パネル15の操作に従って、L字重畳表示と逆L字重畳表示とを切り替えて表示する。
【0077】
ここで、表示領域300において、重複領域351、352は、L字重畳表示と逆L字重畳表示のいずれにおいても、設定画像341、342に重なる。このため、L字重畳表示と逆L字重畳表示とを切り替えても、重複領域351、352は設定画像341、342に覆われた状態が変わらない。そこで、重複領域351、352の視認性を高めるため、設定画像341、342を、重複領域351、352に重ならない形状としてもよい。例えば、設定画像341及び設定画像342の少なくともいずれかにおいて、重複領域351及び重複領域352に重なる領域を空白にしてもよい。この場合、重複領域351、352における表示領域300の視認性が向上する。また、設定画像341及び設定画像342の両方で、重複領域351及び重複領域352の少なくともいずれかに、カラーパターンを表示してもよい。この場合、設定画像341、342の表示中に表示領域300における表示色の確認が容易になる。この構成は、例えば、第1画像P1の表示色の調整を行う場合に有用である。
【0078】
[5.効果等]
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1は、プロジェクター1の機能に関する設定を行うための設定画像を、異なる複数の表示形態で表示できる。表示形態としては、通常OSD表示と、L字表示とが挙げられる。また、表示形態は、逆L字表示であってもよい。また、表示形態は、L字重畳表示、及び、逆L字重畳表示のいずれか1以上を含んでもよい。通常OSD表示の表示形態では、表示領域300の全体に第1画像P1が表示されるため、設定画像に覆われていない部分に関する設定を行う場合には、プロジェクター1の表示画像が大きく表示された状態で設定を行えるという利点がある。また、L字表示の表示形態では、第1画像P1を縮小した縮小画像P2が、設定画像に重ならずに表示されるので、プロジェクター1の表示画像の全体を見ながら設定を行えるという利点がある。そして、これらの表示形態を利用することによって、プロジェクター1が表示画像を表示中に、プロジェクター1の機能を設定するために設定画像を表示させる場合に、表示中の画像の視認性を確保することができる。そのため、ユーザーは、所望の機能に対する設定項目の設定を容易に行うことができる。
【0079】
プロジェクター1の機能のうち、第1機能に該当する一部の機能には、L字表示が対応付けられる。第1機能は、例えば、カラーモードの調整機能や明るさの調整機能である。このため、ユーザーがプロジェクター1の表示画像の全体を見ながら設定を行うことが適切な機能について、ユーザーが特に操作を行わなくても、設定画像がL字表示される。従って、ユーザーが特に意識しなくても、設定対象の機能に適する表示形態が選択されるので、ユーザーが容易に設定を行うことができる。
【0080】
また、プロジェクター1の機能のうち、第2機能に該当する一部の機能には、通常OSD表示が対応付けられる。第2機能は、例えば、トラッキング調整、ブランキング調整、シャープネス調整、及び、ディテール強調等の調整機能である。このため、ユーザーがプロジェクター1を縮小せずに設定を行うことが適切な機能について、ユーザーが特に操作を行わなくても、設定画像が通常OSD表示される。従って、ユーザーが特に意識しなくても、設定対象の機能に適する表示形態が選択されるので、ユーザーが容易に設定を行うことができる。
【0081】
さらに、プロジェクター1の機能の一部についてはユーザーの操作によりL字表示と通常OSD表示とを切り替えることが可能である。このため、ユーザーが望む表示形態で設定画像を表示させることができる。
【0082】
また、プロジェクター1が、ユーザーの操作により、L字表示と逆L字表示とを切り替えることが可能な構成とすることができる。この場合、プロジェクター1の設置環境や、投写対象3の場所、或いはユーザーの好みに応じて、設定画像と縮小画像P2との相対的な表示位置を変化させることができ、より容易に、ユーザーがプロジェクター1の機能を設定できる。
【0083】
また、プロジェクター1は、L字重畳表示の形態で設定画像を表示することが可能な構成であってもよい。この場合、第1画像P1の視認性を大幅に低下させることなく、設定画像を表示する面積を大きくすることができる。このため、通常OSD表示に比べて、設定画像に多くの情報を表示できる。さらにまた、プロジェクター1は、ユーザーの操作により、L字重畳表示と逆L字重畳表示とを切り替える構成であってもよい。この場合、第1画像P1において設定画像により覆われる領域を変化させることができる。従って、プロジェクター1の設置環境や、投写対象3の場所、或いはユーザーの好みに応じて、より容易に、ユーザーがプロジェクター1の機能を設定できる。
【0084】
[6.他の実施形態]
上述した実施形態は本発明の好適な実施の形態である。但し、これに限定されるものでなはく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0085】
例えば、上記実施形態において、プロジェクター1が、ユーザーが操作に用いる手段としてリモコン2及び操作パネル15を備える構成を説明した。これは一例であり、例えば、プロジェクター1は、無線ポインティングデバイスによる操作を受け付ける構成であってもよい。
【0086】
図2に示したプロジェクター1の各機能部は、機能的構成を示すものであって、具体的な実装形態は特に制限されない。図示された各機能部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサーがプログラムを実行することで複数の機能部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上記各実施形態においてソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアで実現してもよく、また、ハードウェアで実現される機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。
【0087】
また、
図5に示すフローチャートの処理単位は、制御部10の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって本発明が制限されることはない。これらの処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできるし、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。また、上記のフローチャートの処理順序も、図示した例に限られるものではない。
【0088】
制御部10が制御プログラム121やその他のプログラムは、例えば、プロジェクター1によって読み取り可能に記録した記録媒体に記録しておくことも可能である。記録媒体としては、磁気的、光学的記録媒体又は半導体メモリーデバイスを用いることができる。具体的には、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD(Digital VerSAtile Disc)、Blu-ray Disc、光磁気ディスク、フラッシュメモリー、カード型記録媒体等の可搬型、或いは固定式の記録媒体が挙げられる。また、これらのプログラムをサーバー装置等に記憶させておき、サーバー装置から制御プログラムをダウンロードすることで上述の制御方法を実現することもできる。Blu-rayは登録商標である。
【0089】
[7.本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
(付記1)
プロジェクターの制御方法であって、画像光を投写することにより、第1画像を表示領域に表示することと、第1機能を選択する操作を受け付けた場合に、前記第1画像を縮小した縮小画像を、前記表示領域の一部である第1領域に表示することと、前記第1機能の設定を行うための第1設定画像を、前記表示領域の一部であって前記第1領域とは異なる第2領域に表示することと、前記第1設定画像を利用して設定された設定内容に従って、前記第1機能に対応する処理を前記縮小画像に適用することと、第2機能を選択する操作を受け付けた場合に、前記第1画像を前記表示領域に表示することと、前記第2機能の設定を行うための第2設定画像を、前記表示領域の一部である第3領域に表示することと、を含む、プロジェクターの制御方法。
これにより、ユーザーは、プロジェクターの第1機能の設定を行う場合は、縮小画像と第1設定画像とを異なる領域に表示する形態を利用し、第2機能の設定を行う場合は、第1画像が表示される領域の一部に第2設定画像を表示する形態を利用できる。このため、プロジェクターが画像を表示中に設定を行うために設定画像を表示させる場合の、表示画像の視認性を確保できる。従って、ユーザーは、表示画像を見ながら容易に設定を行うことができる。
【0090】
(付記2)
前記第1機能は、前記第1画像の全体を調整する機能を含む、付記1に記載のプロジェクターの制御方法。
これにより、プロジェクターの表示画像の全体を調整する機能に関して設定を行う場合、ユーザーは、第1設定画像によって縮小画像が隠れない表示形態を利用できる。このため、ユーザーは、設定対象である表示画像の全体の状態を見ながら設定を行うことができる。従って、設定中の表示画像の視認性を確保し、ユーザーが設定を行う場合の利便性の向上を図ることができる。
【0091】
(付記3)
前記第2機能は、前記第1画像の一部を調整する機能を含む、付記1又は付記2に記載のプロジェクターの制御方法。
これにより、プロジェクターの表示画像の一部を調整する機能に関して設定を行う場合、ユーザーは、第1画像と第2設定画像とが表示される表示形態を利用できる。このため、ユーザーは、設定対象である表示画像の一部の状態を、縮小されない状態で視認しながら、設定を行うことができる。従って、設定中の表示画像の視認性を確保し、ユーザーが設定を行う場合の利便性の向上を図ることができる。
【0092】
(付記4)
前記第1機能に対応する処理を前記縮小画像に適用した後、前記第1設定画像の表示を終了することと、前記表示領域において少なくとも前記第1領域より広い領域に、前記第1機能に対応する処理が適用された前記第1画像を表示することと、を含む、付記1から付記3のいずれかに記載のプロジェクターの制御方法。
これにより、プロジェクター1が、第1設定画像を利用して設定された内容に従って、画像処理や画像調整の処理を実行し、これらの処理を反映した表示画像を表示する。このため、プロジェクター1の表示に関する設定を、速やかに反映させることができる。
【0093】
(付記5)
前記表示領域は4つの辺を有する形状であり、前記第2領域は、前記表示領域の少なくともいずれか一つの前記辺に沿って配置される領域である、付記1から付記4のいずれかに記載のプロジェクターの制御方法。
これにより、プロジェクター1は、縮小画像の視認を妨げない位置に設定画像を表示する。このため、設定中の表示画像の視認性を高めることができる。
【0094】
(付記6)
前記第2領域は、前記表示領域の一つの前記辺に沿って配置される矩形の領域である、付記5に記載のプロジェクターの制御方法。
これにより、プロジェクター1は、縮小画像の視認を妨げない範囲に設定画像を表示する。このため、設定中の表示画像の視認性を高めることができる。
【0095】
(付記7)
前記第2領域は、前記表示領域の二つの前記辺に沿って配置される領域である、付記5に記載のプロジェクターの制御方法。
これにより、プロジェクター1は、縮小画像の視認を妨げない位置に、より多くの情報を表示可能な設定画像を表示する。このため、設定中の表示画像の視認性を高めることができる。
【0096】
(付記8)
前記第2設定画像の表示中に、設定画像を切り替える操作を受け付けた場合に、前記第3領域における前記第2設定画像の表示を終了することと、前記第2領域、および、前記表示領域の一部であって前記第2領域と異なる第4領域のいずれかに、前記第2機能の設定を行うための第3設定画像を表示することと、を含む、付記1から付記7のいずれかに記載のプロジェクターの制御方法。
【0097】
(付記9)
前記第4領域は前記第2領域と重ならない、付記8に記載のプロジェクターの制御方法。
【0098】
(付記10)
プロジェクターであって、光学装置と、少なくとも1つのプロセッサーと、を含み、前記少なくとも1つのプロセッサーは、前記光学装置を用いて、画像光を投写することにより、第1画像を表示領域に表示することと、第1機能を選択する操作を受け付けた場合に、前記光学装置を用いて、前記第1画像を縮小した縮小画像を、前記表示領域の一部である第1領域に表示することと、前記光学装置を用いて、前記第1機能の設定を行うための第1設定画像を、前記表示領域の一部であって前記第1領域とは異なる第2領域に表示することと、前記第1設定画像を利用して設定された設定内容に従って、前記第1機能に対応する処理を前記縮小画像に適用することと、第2機能を選択する操作を受け付けた場合に、前記光学装置を用いて、前記第1画像を前記表示領域に表示することと、前記光学装置を用いて、前記第2機能の設定を行うための第2設定画像を、前記表示領域の一部である第3領域に表示することと、を実行する、プロジェクター。
これにより、ユーザーは、プロジェクターの第1機能の設定を行う場合は、縮小画像と第1設定画像とを異なる領域に表示する形態を利用し、第2機能の設定を行う場合は、第1画像が表示される領域の一部に第2設定画像を表示する形態を利用できる。このため、プロジェクターが画像を表示中に設定を行うために設定画像を表示させる場合の、表示画像の視認性を確保できる。従って、ユーザーは、表示画像を見ながら容易に設定を行うことができる。
【符号の説明】
【0099】
1…プロジェクター、2…リモコン、3…投写対象、10…制御部、13…通信部、14…リモコン受光部、15…操作パネル、16…画像処理部、17…投写部(光学装置)、19…バス、20…操作部、21…MENUキー、22…方向キー、23…決定キー、110…プロセッサー、111…受付部、112…投写制御部、113…設定部、120…記憶部、121…制御プログラム、122…設定データ、123…OSDデータ、301…第1領域、302…第2領域、303…第3領域、304…第4領域、305…第5領域、321…設定画像(第1設定画像)、322…OSD設定画像(第2設定画像)、P1…第1画像、P2…縮小画像。