特開 2024-18187 電子ペン

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024018187

(43)【公開日】2024-02-08

(54)【発明の名称】電子ペン

(51)【国際特許分類】

   G06F 3/0354 20130101AFI20240201BHJP

【ＦＩ】

G06F3/0354 445

【審査請求】未請求

【請求項の数】12

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022121353

(22)【出願日】2022-07-29

(71)【出願人】

【識別番号】000002369

【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100179475

【弁理士】

【氏名又は名称】仲井 智至

(74)【代理人】

【識別番号】100216253

【弁理士】

【氏名又は名称】松岡 宏紀

(74)【代理人】

【識別番号】100225901

【弁理士】

【氏名又は名称】今村 真之

(72)【発明者】

【氏名】斎藤 淳

【テーマコード（参考）】

5B087

【Ｆターム（参考）】

5B087AA02

5B087BC03

(57)【要約】

【課題】電子ペンの移動を常に検出すること。
【解決手段】電子ペン１００は、物体ＭＰの上で回転が可能なように支持される回転体３０と、回転体３０の移動を検出する第１検出部材４１と、物体ＭＰの移動を検出する第２検出部材４２と、を備える。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

物体の上で回転が可能なように支持される回転体と、
前記回転体の移動を検出する第１検出部材と、
前記物体の移動を検出する第２検出部材と、を備える電子ペン。

【請求項2】

光を照射する光源を備え、
前記第１検出部材は、前記回転体が反射した光を受光する第１受光素子を有し、
前記第１検出部材は、前記第１受光素子が受光した光を基に前記回転体の移動を検出する、請求項１に記載の電子ペン。

【請求項3】

前記光源から照射された光の一部を前記回転体に向けて偏向させ、前記回転体が反射した光を前記第１検出部材に向けて透過させる第１偏向部材を備える、請求項２に記載の電子ペン。

【請求項4】

前記第１偏向部材は、前記回転体と前記第１検出部材との間に設けられる、請求項３に記載の電子ペン。

【請求項5】

前記第１偏向部材は、前記光源から照射された他の一部を前記物体に向けて偏向させ、
前記第２検出部材は、前記回転体が反射した光を受光する第２受光素子を有し、
前記第２検出部材は、前記第２受光素子が受光した光を基に前記物体の移動を検出する、請求項３に記載の電子ペン。

【請求項6】

前記光源と、前記第１偏向部材と、前記回転体、前記第１検出部材と、を収容する第１外装部材と、
前記第１外装部材に取り付けられ、前記第２検出部材を設ける第２外装部材と、を備える、請求項３に記載の電子ペン。

【請求項7】

前記第１偏向部材は、回折素子である、請求項３に記載の電子ペン。

【請求項8】

前記第１偏向部材が偏向した光を前記回転体に向けて偏向させる第２偏向部材と、
前記回転体が反射した光を前記第１検出部材に向けて偏向させる第３偏光部材と、を備える、請求項３に記載の電子ペン。

【請求項9】

前記光源は、前記回転体と前記第１偏向部材との間に設けられる、請求項３に記載の電子ペン。

【請求項10】

他の機器と通信する通信部材を備え、
前記通信部材は、前記回転体の移動量が前記物体の移動量よりも大きい場合に前記回転体の移動量を電子ペンの移動量とするように前記他の機器に出力し、前記物体の移動量が前記回転体の移動量よりも大きい場合に前記物体の移動量を電子ペンの移動量とするように前記他の機器に出力する、請求項１に記載の電子ペン。

【請求項11】

前記通信部材は、前記第１検出部材で前記回転体の移動量が検出できない場合に、前記物体の移動量を電子ペンの移動量とするように前記他の機器に出力する、請求項１０に記載の電子ペン。

【請求項12】

前記回転体の電子ペンの長手方向に沿う方向の移動を検出する第３検出部材を備え、
前記通信部材は、前記回転体が、電子ペンの長手方向に沿う方向において、前記物体と接する第１位置とは異なる第２位置である場合に、前記物体の移動量を電子ペンの移動量とするように前記他の機器に出力する、請求項１０に記載の電子ペン。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、ポインター又はカーソルの移動等を行うことができる電子ペンに関する。

【背景技術】

【0002】

電子ペンとして、筆記動作をペンチップに加わる圧力で検出する圧力センサーと、照射部と撮像部とを有しペン先が接する媒体上の画像を撮像する撮像ユニットとを備えるものが公知となっている（特許文献１）。特許文献１の装置では、圧力センサーがペン先への圧力を検出した場合に、照射部は、媒体に向けて光を照射させ、受光部は、媒体が反射した光を受光する。特許文献１の装置は、受光部で取得したパターン画像を解析してペン先の位置を検出している。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１０－１４１５２５号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

特許文献１の装置では、光照射対象である媒体の材質に関して、例えば色が黒色であったり、表面に凹凸がなかったりする場合、受光部は媒体が反射した光を受光できなくなるため、ペン先の位置を検出できない場合がある。

【課題を解決するための手段】

【0005】

本発明の一側面における電子ペンは、物体の上で回転が可能なように支持される回転体と、回転体の移動を検出する第１検出部材と、物体の移動を検出する第２検出部材と、を備える。

【図面の簡単な説明】

【0006】

【図1】第１実施形態の電子ペンを説明する縦断面図である。

【図2】電子ペンのうち第１偏向部材を拡大して説明する図である。

【図3】電子ペンの回転体が物体に接している状態、及び回転体が物体に接していない状態を説明する図である。

【図4】電子ペンの制御部を説明する図である。

【図5】電子ペンと通信する他の機器を説明するブロック図である。

【図6】第２実施形態の電子ペンを説明する縦断面図である。

【図7】第３実施形態の電子ペンを説明する縦断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0007】

〔第１実施形態〕
以下、図１等を参照して、本発明に係る電子ペンの第１実施形態について詳細に説明する。

【0008】

図１は、電子ペン１００の側方断面図である。電子ペン１００は、後述する電子機器に付随するペン型マウスであり、使用者ＵＳの手ＨＤが電子ペン１００のペン軸本体５ａを握って操作することで、ディスプレイ等に表示されるポインター又はカーソルについて移動やクリック動作を行うことができる。電子ペン１００は、所定の角度に傾いて自立可能となっている。

【0009】

電子ペン１００は、光源１０と、第１偏向部材２１と、回転体３０と、第１検出部材４１と、第２検出部材４２と、操作検出部９２と、制御部２と、電源３と、基板４と、ケース部材５と、支持体６とを備える。電子ペン１００において、光源１０、第１偏向部材２１、回転体３０、及び第１検出部材４１は、第１操作方向取得部９１ａとして機能する。光源１０、第１偏向部材２１、及び、第２検出部材４２は、第２操作方向取得部９１ｂとして機能する。第１及び第２操作方向取得部９１ａ，９１ｂは、電子ペン１００の操作量及び操作方向に関する情報を取得する。操作検出部９２は、電子ペン１００において、クリック等の特定の操作がされたことを検出する。

【0010】

以上において、光源１０、及び第１偏向部材２１は、第１操作方向取得部９１ａにおける第１の投光系を構成し、第１偏向部材２１、及び第１検出部材４１は、第１の受光系を構成する。光源１０、及び第１偏向部材２１は、第２操作方向取得部９１ｂにおける第２の投光系を構成し、第２検出部材４２は、第２の受光系を構成する。光源１０、及び第１偏向部材２１は、第１及び第２操作方向取得部９１ａ，９１ｂの共通の投光系となっている。

【0011】

ケース部材５は、電子ペン１００の縦長の筒状部材であり、基準軸ＫＬに沿って延びる第１外装部材ＥＭ１である。ケース部材５は、電子ペンケース部材に対応し、ペン軸本体５ａと、ペン先５ｂとを有する。ペン軸本体５ａは、ケース部材５の本体部分であり、肉厚が略一定の円筒形状を有する。ペン先５ｂは、回転体３０が取り付けられる部分であり、下方に向けて先細りのテーパ形状を有する。ケース部材５の内部空間５ｉには、光源１０、第１偏向部材２１、回転体３０、第１検出部材４１、制御部２、電源３、及び基板４が収納されている。光源１０、及び制御部２は、ケース部材５の内側面５ｄに固定された基板４の第１面４ａに固定されている。第１偏向部材２１、及び第１検出部材４１は、ケース部材５の内側面５ｄから延びる支持部材（不図示）を介してケース部材５に固定されている。ペン先５ｂの一部には、後述する第２検出部材４２に照射光Ｌ３を導くための開口部５ｃが設けられている。

【0012】

支持体６は、下向きに末広がりの筒状部材であり、ケース部材５の下部を支持する第２外装部材ＥＭ２である。支持体６は、肉厚が略一定であり、ケース部材５のペン先５ｂ及びペン軸本体５ａの一部を周囲から覆っている。支持体６は、基部ＢＡ１と傾斜円錐部ＢＡ２とを有する。支持体６は、上側の開口部６ｂと下側の開口部６ｃとを有する。上側の開口部６ｂは、基部ＢＡ１に形成されており、ケース部材５を差し込み可能となっている。基部ＢＡ１は、上側の開口部６ｂに挿入され基部ＢＡ１に周囲を覆われたペン軸本体５ａを支持する。開口部６ｂに挿入されたケース部材５は、支持体６に対して基準軸ＫＬ方向に摺動可能となっている。傾斜円錐部ＢＡ２は、下側の開口部６ｃにおいて、物体ＭＰと接触している。下側の開口部６ｃの端は、同一平面上にあり、平坦な物体ＭＰと全体的に接する。傾斜円錐部ＢＡ２は、電子ペン１００における物体ＭＰの表面に平行な方向の移動を案内する。支持体６によってケース部材５を支持することにより、電子ペン１００から手ＨＤを放しても、電子ペン１００を自立させることができる。

【0013】

支持体６は、Ｙ軸に対して全体的に傾斜している。支持体６は、例えばＸＹの断面視において非対称な形状であり、ＸＹに垂直な断面視において対称な形状となっている。支持体６の傾斜角度は、物体ＭＰの表面を基準としており、使用者ＵＳの握りやすさを考慮したものとなっている。支持体６が傾斜していることにより、ケース部材５を所定角度に傾斜した状態で保持することができる。

【0014】

支持体６において、下側の開口部６ｃの外径は、上側の開口部６ｂの外径よりも大きくなっている。これにより、ケース部材５を安定して支持することができる。上側の開口部６ｂには、ケース部材５に対して遊びが設けてられている。つまり、基部ＢＡ１の内周の直径は、ペン軸本体５ａの外周の直径よりもわずかに大きくなっており、支持体６の自由な下方移動を許容する。これにより、支持体６の下側の開口部６ｃは、ペン先５ｂに設けられた回転体３０が下地となる物体ＭＰ（具体的には、マウスパッドや机等）に接触する、又は接触しないにかかわらず、常に物体ＭＰに接触した状態となる。支持体６の底部は、物体ＭＰ上を滑らかに移動可能なように、摩擦抵抗が少なくなるような加工が施されていてもよい。

【0015】

基板４は、電子ペン１００の長手方向、つまり縦方向に細長い板状部材である。基板４は、ケース部材５の内部空間５ｉのうち、ペン軸本体５ａの下方に配置される。電源３は、ペン軸本体５ａの上部側に配置されている。基板４上には、光源１０、制御部２等を含む各種電子部品や回路パターンが実装されている。基板４は、基板４の電子ペン１００の短手方向、つまり横方向の端部においてペン軸本体５ａの内側面５ｄの２か所に固定される。

【0016】

光源１０は、照射光Ｌ１を照射させるものである。光源１０は、基板４上において制御部２の下側に配置され、照射光Ｌ１をケース部材５の中央の基準軸ＫＬ、つまり＋Ｘ方向に向けて出射する。光源１０からの照射光Ｌ１は、第１偏向部材２１に入射する。光源１０としては、例えばレーザー、ＬＥＤ等が挙げられる。光源１０としてレーザーを用いる場合、検出精度を向上させつつ消費電力をより低減することができる。なお、光源１０がレーザーやＬＥＤである場合、光源１０の光射出部にレンズを設けることにより、光束断面を調整することができる。

【0017】

第１偏向部材２１は、光源１０から出射した照射光Ｌ１を偏向させる。第１偏向部材２１は、第１検出部材４１と回転体３０との間に設けられる。これにより、第１偏向部材２１によって光路を分岐しつつこれらを直線的に配列することになり、回転体３０、及び第１検出部材４１の配置を簡単なものとすることができる。第１偏向部材２１は、第１検出部材４１の下方であって回転体３０に対向する位置に配置されている。第１偏向部材２１は、光源１０から射出された照射光Ｌ１の一部である照射光Ｌ２を下方に偏向させ回転体３０の表面３０ａに入射させ、回転体３０から戻ってきた照射光Ｌ２を透過させて第１検出部材４１に入射させる。つまり、１つの光源１０から照射された照射光Ｌ１を分岐させて回転体３０に入射させ、回転体３０で反射した照射光Ｌ２を第１検出部材４１に導くことができる。また、第１偏向部材２１は、光源１０から射出された他の一部である照射光Ｌ３を下方の物体ＭＰに偏向させる。つまり、１つの光源１０から照射された照射光Ｌ１を分岐させて、照射光Ｌ３を開口部５ｃを介して第２検出部材４２に導くことができる。１つの光源１０から照射された照射光Ｌ１を分岐させることにより、電子ペン１００の消費電力を抑えることができる。

【0018】

第１偏向部材２１は、反射型の第１回折素子２１ａである。これにより、第１検出部材４１等の配置の自由度を高めることができる。第１回折素子２１ａは、体積ホログラムや表面レリーフホログラムとすることができる。

【0019】

例えば、図２に拡大して示すように、第１偏向部材２１は、基部２１ｂと、体積ホログラム層２１ｃとを有する。体積ホログラム層２１ｃは、基部２１ｂの一方の面に形成された多層の反射型体積ホログラム層である、体積ホログラム層２１ｃは、体積ホログラム縞を内蔵する。体積ホログラム縞は、例えば２つの干渉パターン、具体的には、屈折率の回折パターンを立体的に記録したものとなっている。第１偏向部材２１は、光源１０から出射される照射光Ｌ１のうち、一部の照射光Ｌ２を回転体３０に向けて回折させ、他の一部の照射光Ｌ３を開口部５ｃ又は第２検出部材４２に向けて回折させる。また、第１偏向部材２１は、回転体３０で反射された照射光Ｌ２を透過させる。第１偏向部材２１において、体積ホログラムの縞に適宜レンズ効果を持たせることができる。また、体積ホログラム層２１ｃは、１つの干渉パターンを有するものとし、体積ホログラム層２１ｃの表面にハーフミラーを形成してもよい。第１偏向部材２１は、表面レリーフホログラムでもよい。表面レリーフホログラムは、基部の表面にレリーフ面として立体的なホログラムが形成された樹脂層を有するものである。

【0020】

回転体３０は、光源１０が出射する照射光Ｌ１の一部である照射光Ｌ２を反射し、かつ自在な方向への回転が可能となっている。回転体３０は、ペン先５ｂの開口部５ｏの周囲に設けられた軸受け部材３５にはめ込まれている。軸受け部材３５は、回転体３０を回転可能に支持する。回転体３０を軸受け部材３５のみと接触させることにより、回転体３０の回転が円滑になり、検出精度を向上させることができる。軸受け部材３５は、ペン軸本体５ａの軸方向の上下で回転体３０を露出させる開口３５ｄ，３５ｅを有しており、回転体３０の一部が上下に露出するようになっている。回転体３０のうち上側の露出部分は、光源１０からの照射光Ｌ２（照射光Ｌ１の一部）を反射し、下側の露出部分は、物体ＭＰ（具体的には、マウスパッドや机等）に接する。

【0021】

回転体３０は、小型の球体又はボールであり、例えば金属、樹脂、セラミック等で形成される。回転体３０は、その表面３０ａにランダムな微細凹凸が形成されているが、表面３０ａに模様を有するものであってもよい。

【0022】

図３の領域ＡＲ１に示すように、回転体３０が物体ＭＰに接触している場合、回転体３０には所定の圧力がかかっている。この場合、回転体３０は、回転情報を取り出すことができる第１位置ＳＬ１に位置する。図３の領域ＡＲ２に示すように、回転体３０が物体ＭＰから離れている場合、回転体３０には圧力がかかっていない。この場合、回転体３０は、第１位置ＳＬ１とは異なり、回転情報を取り出すことができない第２位置ＳＬ２に位置する。詳細は後述するが、回転体３０が第１位置ＳＬ１及び第２位置ＳＬ２のいずれに位置するかについては、制御部２が出力する第１検出部材４１の検出結果及び第２検出部材４２の検出結果の優先度に影響する。

【0023】

第１検出部材４１は、第１偏向部材２１で反射され、回転体３０で反射された照射光Ｌ２を受光し、操作量及び操作方向に関する情報を取得する。第１検出部材４１は、第１受光素子４１ａを有する。第１検出部材４１は、第１受光素子４１ａとして、例えば、１８×１８のマトリクス状に配置された光量センサーアレイ、具体的には、例えばフォトダイオードアレイを有する。第１検出部材４１は、光量センサーアレイによって回転体３０からのスペックルパターン等を所定の時間周期で検出し、経時的に変化する一連のパターンの相関性を取って回転体３０の移動量と移動方向との取得を可能にする。スペックルパターンは、細かな凹凸のある物体表面へ照射光を照射したとき、反射光が互いに干渉し合って生じるランダムな明暗模様である。光源１０としてレーザーを用いる場合、以上のようなスペックルを検知することにより、高解像になる。

【0024】

第２検出部材４２は、第１偏向部材２１で反射された第３照射光Ｌ３（照射光Ｌ１の一部）を受光し、操作量及び操作方向に関する情報を取得する。第２検出部材４２は、ケース部材５の外側であって支持体６の内側面６ｄに設けられる。第２検出部材４２は、ペン先５ｂの開口部５ｃを通過し、物体ＭＰで反射された第３照射光Ｌ３を受光可能な位置に設けられる。第２検出部材４２は、第２受光素子４２ａを有する。第２検出部材４２は、第１検出部材４１と同様のものであり、第２受光素子４２ａとして、例えば、１８×１８のマトリクス状に配置された光量センサーアレイ、具体的には、例えばフォトダイオードアレイを有する。第２検出部材４２は、光量センサーアレイによって物体ＭＰからのスペックルパターン等を所定の時間周期で検出し、経時的に変化する一連のパターンの相関性を取って物体ＭＰの移動量と移動方向、実際には電子ペン１００の移動量と移動方向との取得を可能にする。

【0025】

操作検出部９２は、不図示のスイッチ機構を有し、例えばスイッチのオン操作又はオフ操作により、クリック等の特定の操作がされたことを検出する。操作検出部９２は、ケース部材５の外側面５ｅに設けられている。操作検出部９２は、所定以上の付勢力でスイッチの接点同士が接触して通電することでオンオフ操作を行う機械方式でもよいし、スイッチの変位による光の受光の有無によってオンオフ操作を行う光学方式でもよい。

【0026】

制御部２は、光源１０、第１検出部材４１、及び第２検出部材４２の動作を制御する。制御部２は、第１及び第２操作方向取得部９１ａ，９１ｂが電子ペン１００の操作量及び操作方向に関する情報を取得することを可能にし、操作検出部９２が特定の操作、つまりクリック操作されたことを検出することを可能にする。

【0027】

電源３は、光源１０、第１検出部材４１、第２検出部材４２、及び制御部２に電力を供給する。

【0028】

以下、図４を参照しつつ、制御部２の詳細な構成について説明する。制御部２は、操作方向検出回路２ａと、操作検出回路２ｂと、データ通信部２ｃと、制御回路２ｄとを有する。制御部２は、後述する他の電子機器８０と通信し、マウスポインターの移動に対応する回転体３０又は物体ＭＰの移動情報を出力する通信部材ＣＭである。

【0029】

操作方向検出回路２ａは、制御回路２ｄの制御下で、光源１０、第１検出部材４１、及び第２検出部材４２を動作させる。操作方向検出回路２ａは、光源１０から照射光Ｌ１を出射させる。また、操作方向検出回路２ａは、第１検出部材４１で取得した照射光Ｌ２からスペックルの画像処理を行い、経時的に変化する一連のスペックルパターンの相関性を取って、回転体３０の移動量、及び移動方向（操作量、及び操作方向）に関するデータを生成する。操作方向検出回路２ａは、回転体３０の移動量と移動方向とに関するデータを回転体３０の接する面に対する横又は縦の２次元的な変位データとして出力する。第２検出部材４２についても第１検出部材４１と同様に、操作方向検出回路２ａは、第２検出部材４２で取得した照射光Ｌ３から物体ＭＰの移動量、及び移動方向に関するデータを生成する。物体ＭＰの移動方向は、電子ペン１００の移動方向とは逆となるため、操作方向検出回路２ａは、上記データに対して物体ＭＰの移動方向を電子ペン１００の移動方向に変換した後、電子ペン１００の横又は縦の２次元的な変位データとして出力する。

【0030】

操作検出回路２ｂは、制御回路２ｄの制御下で、操作検出部９２を動作させる。操作検出回路２ｂは、操作検出部９２において、例えば使用者ＵＳの指が離れたことを感知して、クリック信号を出力する。

【0031】

データ通信部２ｃは、他の電子機器８０との通信を可能にする。データ通信部２ｃは、制御回路２ｄの制御下で、第１検出部材４１、及び第２検出部材４２での検出結果を無線又は有線でパーソナルコンピューター等の他の電子機器８０に送信する。具体的には、データ通信部２ｃは、操作方向検出回路２ａで生成された回転体３０の移動量、及び移動方向に関するデータを送信する。データ通信部２ｃは、操作方向検出回路２ａで生成された物体ＭＰの移動量、及び移動方向（実際には、電子ペン１００の移動量、及び移動方向）に関するデータを送信する。また、データ通信部２ｃは、操作検出回路２ｂで出力されたクリック信号を送信する。

【0032】

制御回路２ｄは、操作方向検出回路２ａ、操作検出回路２ｂ、及びデータ通信部２ｃの動作を制御する。

【0033】

制御回路２ｄは、データ通信部２ｃを介して、回転体３０及び物体ＭＰの移動量等の検出結果のうちのいずれかを電子ペン１００の移動量等として出力する。制御回路２ｄは、回転体３０及び物体ＭＰの移動量等の両方を検出した場合、いずれか一方の検出結果を出力するため、予め設定しているルールに従って、検出結果の優先度、つまり優先する操作情報を決定する。制御回路２ｄは、回転体３０及び物体ＭＰの移動量等のいずれかのみを検出した場合、その検出結果を出力する。

【0034】

電子ペン１００の支持体６は、ケース部材５と支持体６との遊びにより、回転体３０が物体ＭＰに接触する、又は接触しないにかかわらず、常に物体ＭＰに接触している。これにより、第２検出部材４２は、物体ＭＰからの反射光を受光できれば、常に物体ＭＰの移動量及び移動方向を検出する。電子ペン１００の操作において、下地となる物体ＭＰによっては回転体３０が回転しにくい場合がある。また、電子ペン１００を筆記具のように使用すると、図３の領域ＡＲ２に示すように、回転体３０が物体ＭＰから離れる瞬間があり、回転体３０の移動を検出できない場合がある。この場合、制御回路２ｄは、回転体３０の検出結果ではなく、物体ＭＰの検出結果を優先して電子ペン１００の移動量等として出力する。なお、物体ＭＰの反射が悪い場合、物体ＭＰの移動を検出できない。この場合、制御回路２ｄは、物体ＭＰの検出結果ではなく、回転体３０の検出結果を優先して電子ペン１００の移動量等として出力する。

【0035】

例えば、制御回路２ｄは、回転体３０の移動量等と物体ＭＰの移動量等とを比較して大きい方を出力し、電子機器８０においてマウスポインターを移動させる。すなわち、制御回路２ｄは、回転体３０及び物体ＭＰの移動量等の大小をトリガーとして、回転体３０又は物体ＭＰの移動量等の出力優先度を決定する。具体的には、制御回路２ｄは、回転体３０の移動量が物体ＭＰの移動量と等しいかそれよりも大きい場合に回転体３０の移動量を電子ペン１００の移動量とするように電子機器８０に出力する。また、物体ＭＰの移動量が回転体３０の移動量よりも大きい場合に物体ＭＰの移動量を電子ペン１００の移動量とするように電子機器８０に出力する。これにより、回転体３０の移動量と物体ＭＰの移動量との比較により、電子ペン１００の移動量に適用する対象を自動的に切り替えることができる。

【0036】

制御回路２ｄは、第１検出部材４１で回転体３０の移動量を検出できない場合に、物体ＭＰの移動量を電子ペンの移動量とするように電子機器８０に出力する。これにより、回転体３０が物体ＭＰから離れた場合でも電子ペン１００の移動量を出力することができる。また、制御回路２ｄは、第２検出部材４２で物体ＭＰの移動量を検出できない場合に、回転体３０の移動量を電子ペンの移動量とするように電子機器８０に出力する。

【0037】

図５は、図１等に示す電子ペン１００との間でデータ通信を行って信号出力を受け付ける電子機器８０を説明するブロック図である。電子機器８０は、主制御装置８１と、記憶装置８２と、データ通信インターフェース８３と、ユーザーインターフェース装置８４と、移動体用無線通信装置８５とを有する。記憶装置８２には、電子機器８０を動作させる基本的なプログラムが格納され、この基本的プログラム上で動作する様々なアプリケーションソフトが格納されている。データ通信インターフェース８３は、ブルートゥース（登録商標）やＷｉ－Ｆｉといった近距離無線通信規格に対応しており、電子ペン１００の制御部２との間でデータ信号を送受信する。ユーザーインターフェース装置８４は、ユーザーに情報を提示するディスプレイ、ユーザーが操作するキーボード等を含む。主制御装置８１は、記憶装置８２、データ通信インターフェース８３、ユーザーインターフェース装置８４等の動作を統括的に制御する。特に、主制御装置８１は、データ通信インターフェース８３を介して、電子ペン１００から情報を受信することができ、電子ペン１００に対して制御信号を送信することができる。これにより、主制御装置８１は、電子ペン１００に設けられた回転体３０の移動量及び移動方向に関するデータや、クリック信号を受信することができる。なお、電子機器８０は、移動体用無線通信装置８５により、不図示の通信ネットワークを経由して外部のサーバー等の各種装置と通信することができる。

【0038】

図５に示す電子機器８０は、典型的にはパーソナルコンピューターを想定しているが、各種映像表示装置やゲーム装置であってもよい。かかる機器と電子ペン１００とを組み合わせて動作させることができる。

【0039】

以上において、第１偏向部材２１は、第１回折素子２１ａの他にビームスプリッターでもよい。ビームスプリッターは、照射光Ｌ１を透過させつつ反射するハーフミラーである。ビームスプリッターは、光源１０からの照射光Ｌ１を照射光Ｌ２として回転体３０に向けて偏向させ、回転体３０から反射した照射光Ｌ２を透過させる。また、ビームスプリッターは、光源１０からの照射光Ｌ１を照射光Ｌ３として第２検出部材４２に向けて偏向させる。ビームスプリッターは、例えば平板の基材表面上に金属その他の半透過膜が形成されたものである。ビームスプリッターは、平面の半透過ミラーに限らず、光路の折り曲げに際して集束作用や発散作用を伴うものであってもよい。

【0040】

以上で説明した第１実施形態の電子ペン１００では、物体ＭＰの上で回転が可能なように支持される回転体３０と、回転体３０の移動を検出する第１検出部材４１と、物体ＭＰの移動を検出する第２検出部材４２と、を備える。

【0041】

上記電子ペン１００では、回転体３０の移動及び物体ＭＰの移動のいずれか一方が検出できない場合であっても、他方の移動を検出することができる。これにより、ペン型入力デバイス自体の移動が検出できないことを抑制することができる。

【0042】

〔第２実施形態〕
以下、本発明の第２実施形態に係る電子ペンについて説明する。なお、第２実施形態の電子ペンは、第１実施形態の電子ペンを部分的に変更したものであり、共通部分については説明を省略する。

【0043】

図６に示すように、電子ペン１００は、光源１０と、第１偏向部材２１と、第２偏向部材２２と、回転体３０と、第３偏向部材２３と、第１検出部材４１と、第２検出部材４２と、操作検出部９２と、制御部２と、電源３と、基板４と、ケース部材５と、支持体６とを備える。電子ペン１００において、光源１０、第１偏向部材２１、第２偏向部材２２、回転体３０、第３偏向部材２３、及び第１検出部材４１は、第１操作方向取得部９１ａとして機能する。光源１０、第１偏向部材２１、及び第２検出部材４２は、第２操作方向取得部９１ｂとして機能する。

【0044】

以上において、光源１０、第１偏向部材２１、及び第２偏向部材２２は、第１操作方向取得部９１ａにおける第１の投光系を構成し、第３偏向部材２３及び第１検出部材４１は、第１の受光系を構成する。また、光源１０及び第１偏向部材２１は、第２操作方向取得部９１ｂにおける第２の投光系を構成し、第２検出部材４２は、第２の受光系を構成する。

【0045】

ケース部材５の内部空間５ｉには、光源１０、第１偏向部材２１、第２偏向部材２２、回転体３０、第３偏向部材２３、第１検出部材４１、制御部２、電源３、及び基板４が収納されている。光源１０、及び第１偏向部材２１は、基板４の一方の第１面４ａに固定され、第１検出部材４１、及び制御部２は、基板４の他方の第２面４ｂに固定されている。第２偏向部材２２、及び第３偏向部材２３は、ケース部材５の内側面５ｄに直接固定され、又は不図示の部材を介して内側面５ｄに間接的に固定されている。

【0046】

基板４は、板状部材であり、ケース部材５の内部空間５ｉのうち、ペン軸本体５ａの下方に配置される。基板４上には、光源１０、第１偏向部材２１、第１検出部材４１、制御部２等を含む各種電子部品や回路パターンが実装されている。

【0047】

図６に示すように、基板４は、基板４の一方の第１面４ａがケース部材５の傾斜の上方に向くように、基板４の横方向の端部においてペン軸本体５ａの内側面５ｄの対向する２か所に挟まれるように固定される。基板４は、ペン先５ｂの中心に配置される回転体３０の中心を通る基準軸ＫＬに沿うように配置される。これにより、基板４の両面に光学要素を配置することができ、省スペース化が容易になる。また、基板４をケース部材５の中央付近に配置することにより、基板４の面積を比較的大きく確保することができる。

【0048】

光源１０は、照射光Ｌ１を出射する。光源１０は、基板４の第１面４ａの下方に配置される。また、光源１０は、側断面視又は縦断面視で回転体３０と第１偏向部材２１との間に配置される。これにより、光源１０を第１偏向部材２１と同一基板上に配置することができる。

【0049】

第１偏向部材２１は、光源１０から出射した照射光Ｌ１を偏向させる。第１偏向部材２１は、側断面視で基板４の第１面４ａ上において、光源１０の上方に配置される。第１偏向部材２１は、反射型の第１回折素子２１ａである。第１回折素子２１ａは、体積ホログラムや表面レリーフホログラムとすることができる。

【0050】

第２偏向部材２２は、第１偏向部材２１が偏向した照射光Ｌ１の一部である照射光Ｌ２を回転体３０に向けて偏向させる。第２偏向部材２２は、第１偏向部材２１から回転体３０までの光路上に配置される。第２偏向部材２２は、側断面視でペン軸本体５ａの内側面５ｄにおいて、第１偏向部材２１と回転体３０との間の略中間の高さ位置に配置される。第２偏向部材２２は、反射型の第２回折素子２２ａである。第２回折素子２２ａは、体積ホログラムや表面レリーフホログラムとすることができる。

【0051】

第３偏向部材２３は、回転体３０が反射した照射光Ｌ２を第１検出部材４１に向けて偏向させる。第３偏向部材２３は、回転体３０から第１検出部材４１までの光路上に配置される。第３偏向部材２３は、側断面視でペン軸本体５ａの内側面５ｄにおいて、回転体３０と第１検出部材４１との間の略中間の高さ位置に配置される。第３偏向部材２３は、反射型の第３回折素子２３ａである。第３回折素子２３ａは、体積ホログラムや表面レリーフホログラムとすることができる。

【0052】

以上において、第２及び第３偏向部材２２，２３を光路上に設けることにより、任意の方向に光を偏向させ、光学要素の配置の自由度を広げることができる。

【0053】

第１検出部材４１は、回転体３０で反射された照射光Ｌ２を受光し、操作量及び操作方向に関する情報を取得する。第１検出部材４１は、側断面視で基板４の第２面４ｂにおいて、第３偏向部材２３よりも上側に配置される。

【0054】

第２検出部材４２は、第１偏向部材２１で反射された第３照射光Ｌ３を受光し、操作量及び操作方向に関する情報を取得する。第２検出部材４２は、ケース部材５の外側であって支持体６の内側面６ｄに設けられる。第２検出部材４２は、ペン先５ｂの開口部５ｃを通過し、物体ＭＰで反射された第３照射光Ｌ３を受光可能な位置に設けられる。

【0055】

以上において、第２及び第３偏向部材２２，２３は、第２及び第３回折素子２２ａ，２３ａに限らず、小サイズの平面ミラーであってもよい。平面ミラーは、例えば平板の基材表面上に金属その他の反射膜が形成されたものである。また、第２及び第３偏向部材２２，２３は、光路の折り曲げに際して集束作用を伴う凹面ミラー等であってもよい。

【0056】

〔第３実施形態〕
以下、本発明の第３実施形態に係る電子ペンについて説明する。なお、第３実施形態の電子ペンは、第１実施形態の電子ペンを部分的に変更したものであり、共通部分については説明を省略する。

【0057】

図７に示すように、本実施形態では、電子ペン１００は、回転体３０の電子ペン１００の長手方向に沿う方向の移動を検出する第３検出部材４３をさらに備える。第３検出部材４３としては、例えば圧力センサー、光学センサー等が用いられる。

【0058】

図７は、第３検出部材４３が圧力センサー４３ａである例を示す。回転体３０は、保持部材５１によってケース部材５のペン先５ｂの先端部に自転可能かつ後退可能に支持されている。具体的には、回転体３０は、保持部材５１に設けられた支持部材６１によって回転可能に支持され、保持部材５１に設けられた可動部材６２によって支持部材６１とともに基準軸ＫＬの方向に移動可能に案内されている。

【0059】

保持部材５１において、支持部材６１は、フリーボールベアリングと同様の構造を有し、回転体３０の自在な回転を許容する。支持部材６１は、枠体６１ａと複数のボール６１ｂとを有する。枠体６１ａは、円筒容器状で底板６１ｋに開口６１ｏを有するボール受けであり、複数のボール６１ｂを介して回転体３０を支持している。複数のボール６１ｂは、枠体６１ａの底に対応する上側の隅に回転可能に支持されている。

【0060】

可動部材６２は、プランジャ－と同様の構造を有し、支持部材６１が内部で基準軸ＫＬの方向に摺動することを許容する。可動部材６２は、ペン先５ｂに設けられた円筒状の内壁部６２ａと、内壁部６２ａに囲まれて配置されたスプリング６２ｂと、スプリング６２ｂの上端を固定するストッパー６２ｃとを有する。内壁部６２ａは、支持部材６１の枠体６１ａを収納し、枠体６１ａを基準軸ＫＬに沿って滑らかに摺動させる。スプリング６２ｂは、支持部材６１の枠体６１ａを下方に付勢する。使用者がペン軸本体５ａを介してペン先５ｂを下方に押すと、スプリング６２ｂに抗して支持部材６１が可動部材６２内で後退する。使用者がペン軸本体５ａを押す力を弱めペン先５ｂが下方に押されなくなると、スプリング６２ｂに付勢されて支持部材６１が可動部材６２内で前進する。ペン先５ｂには、内壁部６２ａの先端側に減径した細径部６２ｒが形成され、支持部材６１又は可動部材６２に支持された回転体３０が先端側に所定以上突出することを規制している。

【0061】

保持部材５１の支持部材６１において、枠体６１ａの底板６１ｋに形成された開口６１ｏは、回転体３０の上部を内部空間５ｉ側に開放している。また、可動部材６２において、ストッパー６２ｃには、開口６２ｏが形成されている。ストッパー６２ｃの開口６２ｏは、開口６１ｏよりも大きな直径を有し、枠体６１ａの底板６１ｋを内部空間５ｉに露出させ、支持部材６１中の回転体３０の上部が内部空間５ｉに臨むことを許容している。結果的に、回転体３０は、上下に部分的に露出するようになっている。回転体３０のうち上側の露出部分は、光源１０からの第１照射光Ｌ１を反射し、下側の露出部分は、物体ＭＰに接する。

【0062】

第３検出部材４３は、圧力センサー４３ａであり、枠体６１ａとスプリング６２ｂとの間に設けられている。圧力センサー４３ａは、可動部材６２を利用した回転体３０の長手方向に沿う方向の変位により回転体３０にかかる圧力を検出する。

【0063】

図７の領域ＢＲ１に示すように、回転体３０が物体ＭＰに接触している場合、回転体３０には所定の圧力がかかっている。この場合、回転体３０は、回転情報を取り出すことができる第１位置ＳＬ１に位置する。図７の領域ＢＲ２に示すように、回転体３０が物体ＭＰから離れている場合、回転体３０には圧力がかかっていない。この場合、回転体３０は、第１位置ＳＬ１とは異なり、回転情報を取り出すことができない第２位置ＳＬ２に位置する。

【0064】

図４に示す制御部２において、制御回路２ｄは、データ通信部２ｃを介して、回転体３０が、電子ペン１００の長手方向に沿う方向において、物体ＭＰと接する第１位置ＳＬ１とは異なる第２位置ＳＬ２である場合に、物体ＭＰの移動量を電子ペン１００の移動量とするように電子機器８０に出力する。すなわち、第３検出部材４３において、回転体３０が物体ＭＰから離れた第２位置ＳＬ２にある場合、圧力を検出せず、結果的に回転体３０の上下方向の変位をトリガーとして、制御回路２ｄは、物体ＭＰの移動量等の出力を優先させる。これにより、第３検出部材４３により回転体３０の電子ペン１００の長手方向に向かう方向の位置を間接的に監視し、回転体３０が物体ＭＰから離れた第２位置ＳＬ２にあっても電子ペン１００の移動量を出力することができる。

【0065】

以上において、図示を省略するが、第３検出部材４３は、光学センサーでもよい。光学センサーが受光する光は、光源１０の照射光Ｌ１を利用してもよいし、他の光源を設けてもよい。この場合、例えば枠体６１ａとスプリング６２ｂとの間に偏向部材を設け、光センサーは、偏向部材からの反射光を受光するように配置する。偏向部材は、光源１０からの光を反射し、光センサーは、偏向部材で反射された光を受光する。第１位置ＳＬ１と第２位置ＳＬ２とにおいて、光学センサーで受光する光の光量は異なるため、第１位置ＳＬ１と第２位置ＳＬ２を判別することができる。

【0066】

〔その他の事項〕
以上で説明した構造は例示であり、同様の機能を達成できる範囲で、種々変更することができる。

【0067】

以上において、操作方向取得部９１ａ，９１ｂを構成する光学素子の配置や数は、例示であり、用途に応じて様々な変更が可能である。

【0068】

第２検出部材４２は、ケース部材５の内部空間５ｉに設けることができる。この場合、支持体６を設けなくてもよい。ただし、光路の設計にもよるが、第２検出部材４２が物体ＭＰから反射する照射光Ｌ３を検出できるように電子ペン１００を保持することが望ましい。

【0069】

電子ペン１００は、ＰＣ作業の他、ＨＭＤ等の入力デバイスとして使用することができる。

【0070】

具体的な態様における電子ペンは、物体の上で回転が可能なように支持される回転体と、回転体の移動を検出する第１検出部材と、物体の移動を検出する第２検出部材と、を備える。

【0071】

上記電子ペンでは、回転体の移動及び物体の移動のいずれか一方が検出できない場合であっても、他方の移動を検出することができる。これにより、ペン型入力デバイス自体の移動が検出できないことを抑制することができる。

【0072】

具体的な側面において、光を照射する光源を備え、第１検出部材は、回転体が反射した光を受光する第１受光素子を有し、第１検出部材は、第１受光素子が受光した光を基に回転体の移動を検出する。

【0073】

具体的な側面において、光源から照射された光の一部を回転体に向けて偏向させ、回転体が反射した光を第１検出部材に向けて透過させる第１偏向部材を備える。この場合、第１偏向部材により、１つの光源から照射された光を分岐させて回転体に入射させ、回転体で反射した光を第１検出部材に導くことができる。

【0074】

具体的な側面において、第１偏向部材は、回転体と第１検出部材との間に設けられる。この場合、第１偏向部材によって光路を分岐しつつこれらを直線的に配列することになり、回転体、及び第１検出部材の配置を簡単なものとすることができる。

【0075】

具体的な側面において、第１偏向部材は、光源から照射された他の一部を物体に向けて偏向させ、第２検出部材は、物体が反射した光を受光する第２受光素子を有し、第２検出部材は、第２受光素子が受光した光を基に物体の移動を検出する。この場合、１つの光源から照射された光を分岐させることにより、電子ペンの消費電力を抑えることができる。

【0076】

具体的な側面において、光源と、第１偏向部材と、回転体、第１検出部材と、を収容する第１外装部材と、第１外装部材に取り付けられ、第２検出部材を設ける第２外装部材と、を備える。この場合、第２外装部材を第１外装部材に取り付けることにより、第１外装部材を自立させることができる。

【0077】

具体的な側面において、第１偏向部材は、回折素子である。この場合、第１検出部材等の配置の自由度を高めることができる。

【0078】

具体的な側面において、第１偏向部材が偏向した光を回転体に向けて偏向させる第２偏向部材と、回転体が反射した光を第１検出部材に向けて偏向させる第３偏光部材と、を備える。この場合、第２及び第３偏向部材を光路上に設けることにより、任意の方向に光を偏向させ、光学要素の配置の自由度を広げることができる。

【0079】

具体的な側面において、光源は、回転体と第１偏向部材との間に設けられる。この場合、光源を第１偏向部材と同一基板に配置することができる。

【0080】

具体的な側面において、他の機器と通信する通信部材を備え、通信部材は、回転体の移動量が物体の移動量よりも大きい場合に回転体の移動量を電子ペンの移動量とするように他の機器に出力し、物体の移動量が回転体の移動量よりも大きい場合に物体の移動量を電子ペンの移動量とするように他の機器に出力する。この場合、回転体の移動量と物体の移動量との比較により、電子ペンの移動量に適用する対象を自動的に切り替えることができる。

【0081】

具体的な側面において、通信部材は、第１検出部材で回転体の移動量が検出できない場合に、物体の移動量を電子ペンの移動量とするように他の機器に出力する。この場合、回転体が物体から離れた場合でも電子ペンの移動量を出力することができる。

【0082】

具体的な側面において、回転体の電子ペンの長手方向に沿う方向の移動を検出する第３検出部材を備え、通信部材は、回転体が、電子ペンの長手方向に沿う方向において、物体と接する第１位置とは異なる第２位置である場合に、物体の移動量を電子ペンの移動量とするように他の機器に出力する。この場合、第３検出部材により回転体の電子ペンの長手方向に向かう方向の位置を監視し、回転体が物体から離れた第２位置にあっても電子ペンの移動量を出力することができる。

【符号の説明】

【0083】

２…制御部、２ａ…操作方向検出回路、２ｂ…操作検出回路、２ｃ…データ通信部、２ｄ…制御回路、３…電源、４…基板、４ａ…第１面、４ｂ…第２面、５…ケース部材、５ａ…ペン軸本体、５ｂ…ペン先、５ｃ,５ｏ…開口部、５ｄ…内側面、５ｅ…外側面、５ｉ…内部空間、６…支持体、６ｂ,６ｃ…開口部、６ｄ…内側面、１０…光源、２１…第１偏向部材、２１ａ…第１回折素子、２１ｂ…基部、２１ｃ…体積ホログラム層、２２…第２偏向部材、２２ａ…第２回折素子、２３…第３偏向部材、２３ａ…第３回折素子、３０…回転体、３０ａ…表面、３５…軸受け部材、３５ｄ，３５ｅ…開口、４１…第１検出部材、４１ａ…第１受光素子、４２…第２検出部材、４２ａ…第２受光素子、４３…第３検出部材、４３ａ…圧力センサー、５１…保持部材、６１…支持部材、６１ａ…枠体、６１ｂ…ボール、６１ｋ…底板、６１ｏ…開口、６２…可動部材、６２ａ…内壁部、６２ｂ…スプリング、６２ｃ…ストッパー、６２ｒ…細径部、６２ｏ…開口、８０…電子機器、８１…主制御装置、８２…記憶装置、８３…データ通信インターフェース、８４…ユーザーインターフェース装置、８５…移動体用無線通信装置、９１ａ…第１操作方向取得部、９１ｂ…第２操作方向取得部、９２…操作検出部、１００…電子ペン、ＢＡ１…基部、ＢＡ２…傾斜円錐部、ＣＭ…通信部材、ＥＭ１…第１外装部材、ＥＭ２…第２外装部材、ＨＤ…手、ＫＬ…基準軸、Ｌ１，Ｌ２，Ｌ３…照射光、ＭＰ…物体、ＳＬ１…第１位置、ＳＬ２…第２位置、ＵＳ…使用者

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】