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特開2024-1819処理装置、処理方法及び処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001819
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】処理装置、処理方法及び処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/9035 20190101AFI20231227BHJP
   G06F 16/904 20190101ALI20231227BHJP
【FI】
G06F16/9035
G06F16/904
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100720
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田上 翼
(72)【発明者】
【氏名】太田 光憲
(72)【発明者】
【氏名】泉 博明
(72)【発明者】
【氏名】梅田 建
【テーマコード(参考)】
5B175
【Fターム(参考)】
5B175DA01
5B175DA05
5B175HA01
(57)【要約】
【課題】人と人との間のつながりを正しく捉えたネットワークを取得し、取得したネットワークを可視化して提供することができる。
【解決手段】処理装置10は、ユーザと他のユーザとの会話の音声データ、及び/または、ユーザと他のユーザとの間におけるチャットデータを取得する取得部131と、会話の音声データ及び/またはチャットデータに基づくデータを用いて人と人とのつながりの情報であるネットワークを予測するネットワーク予測モデル1351に、取得部131によって取得された音声データ及び/またはチャットデータに基づくデータを入力し、ユーザと他のユーザとのネットワークを予測するネットワーク予測部135と、ユーザのネットワークの可視化データを作成する可視化データ作成部136と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザと他のユーザとの会話の音声データ、及び/または、前記ユーザと他のユーザとの間におけるチャットデータを取得する取得部と、
会話の音声データ及び/またはチャットデータに基づくデータを用いて人と人とのつながりの情報であるネットワークを予測するモデルに、前記取得部によって取得された前記音声データ及び/または前記チャットデータに基づくデータを入力し、前記ユーザと他のユーザとのネットワークを予測する予測部と、
前記ユーザのネットワークの可視化データを作成する作成部と、
を有することを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記モデルは、訓練対象のユーザから得られたアンケートの回答結果に基づくネットワーク分析結果を、教師データとした機械学習を用いて訓練されることを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記取得部によって取得された前記音声データ及び/または前記チャットデータを、所定の特徴量に変換する変換部
をさらに有し、
前記予測部は、前記変換部によって変換された特徴量を前記モデルに入力することを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項4】
前記特徴量は、前記音声データ及び/または前記チャットデータの単語を数値ベクトルに変換した単語ベクトル系特徴量、前記音声データ及び/または前記チャットデータのうち感情を含む発話に関する感情系特徴量、及び/または、前記音声データ及び/または前記チャットデータに含まれる文のタイプを示す文タイプ系特徴量であることを特徴とする請求項3に記載の処理装置。
【請求項5】
前記文タイプ系特徴量は、情報提供、情報獲得及び指示に対応する特徴量を含み、
前記予測部は、前記他のユーザへの総発言数に対する、前記情報提供、前記情報獲得及び前記指示に対応する前記ユーザの発話の割合の総和を算出し、算出した前記総和を基に、前記ユーザの前記他のユーザに対する依存度を取得し、取得した依存度を前記ユーザと前記他のユーザとのネットワークに追加することを特徴とする請求項4に記載の処理装置。
【請求項6】
前記感情系特徴量は、所定の感情に対応する特徴量を含み、
前記予測部は、前記他のユーザへの総発言数に対する、前記所定の感情に対応する前記ユーザの発話の割合の総和を算出し、算出した前記総和を基に、前記ユーザの前記他のユーザに対する依存度を取得し、取得した依存度を前記ユーザと前記他のユーザとのネットワークに追加することを特徴とする請求項4に記載の処理装置。
【請求項7】
前記ユーザのネットワークと、ロールモデルのネットワークと比して、前記ユーザに、前記ユーザのネットワークと前記ロールモデルのネットワークとの差をリコメンドするリコメンド情報を作成するリコメンド部
をさらに有し、
前記作成部は、前記リコメンド情報の可視化データを作成することを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項8】
処理装置が実行する処理方法であって、
ユーザと他のユーザとの会話の音声データ、及び/または、前記ユーザと他のユーザとの間におけるチャットデータを取得する工程と、
会話の音声データ及び/またはチャットデータに基づくデータを用いて人と人とのつながりの情報であるネットワークを予測するモデルに、前記取得する工程において取得された前記音声データ及び/または前記チャットデータに基づくデータを入力し、前記ユーザと他のユーザとのネットワークを予測する工程と、
前記ユーザのネットワークの可視化データを作成する工程と、
を含んだことを特徴とする処理方法。
【請求項9】
ユーザと他のユーザとの会話の音声データ、及び/または、前記ユーザと他のユーザとの間におけるチャットデータを取得するステップと、
会話の音声データ及び/またはチャットデータに基づくデータを用いて人と人とのつながりの情報であるネットワークを予測するモデルに、前記取得するステップにおいて取得された前記音声データ及び/または前記チャットデータに基づくデータを入力し、前記ユーザと他のユーザとのネットワークを予測するステップと、
前記ユーザのネットワークの可視化データを作成するステップと、
をコンピュータに実行させるための処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、処理方法及び処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キーワードに関するユーザ間の人間関係をマップ表示するシステムがある。このシステムでは、例えば、ユーザが、登録等を行ったデータを基に、ユーザの属性情報を登録し、任意のキーワードによってユーザが検索されると、このキーワードを属性情報として有する別のユーザを表示することで、ユーザ間の人間関係をマップ表示する。このようなマップは、組織のパフォーマンス向上対策、チームへの業務割り当て、人員異動等に利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-169112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術によって作成される人間関係マップは、ユーザが自分で登録等を行ったデータのみを用いて作成された限定的なものであり、日々構築される人と人との間のつながりを正しく捉えたものとはいえない。このため、従来技術によって作成される人間関係マップを用いて、組織のパフォーマンス向上の対策が難しい場合があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、人と人との間のつながりを正しく捉えたネットワークを取得し、取得したネットワークを可視化して提供することができる処理装置、処理方法及び処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、処理装置は、ユーザと他のユーザとの会話の音声データ、及び/または、前記ユーザと他のユーザとの間におけるチャットデータを取得する取得部と、会話の音声データ及び/またはチャットデータに基づくデータを用いて人と人とのつながりの情報であるネットワークを予測するモデルに、前記取得部によって取得された前記音声データ及び/または前記チャットデータに基づくデータを入力し、前記ユーザと他のユーザとのネットワークを予測する予測部と、前記ユーザのネットワークの可視化データを作成する作成部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、人と人との間のつながりを正しく捉えたネットワークを取得し、取得したネットワークを可視化して提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態に係る処理装置の処理を説明する図である。
図2図2は、実施の形態に係る処理装置の構成の一例を模式的に示す図である。
図3図3は、ネットワーク予測モデルの構築の一例について説明する図である。
図4図4は、ネットワーク予測モデルの構築の一例について説明する図である。
図5図5は、文タイプ系特徴量を示す図である。
図6図6は、感情系特徴量を示す図である。
図7図7は、文タイプ系特徴量と、予測対象のユーザの発話相手への総発言数に対する各発話種別の発言の割合との一例を示す図である。
図8図8は、感情系特徴量と、予測対象のユーザの発話相手への総発言数に対する各発話種別の発言の割合との一例を示す図である。
図9図9は、ネットワーク図の一例を示す図である。
図10図10は、リコメンド情報の一例を示す図である。
図11図11は、実施の形態における訓練処理の処理手順を示す図である。
図12図12は、実施の形態における予測処理の処理手順を示す図である。
図13図13は、プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
【0010】
[実施の形態]
図1は、実施の形態に係る処理装置の処理を説明する図である。本実施の形態に係る処理装置10は、業務におけるコミュニケーション情報、例えば、ユーザと他のユーザとの会話の音声データ、及び/または、ユーザと他のユーザとの間におけるチャットデータを入力とする(図1の(1))。具体的には、処理装置10は、ユーザと他のユーザとのWeb会議での発言データD1、ユーザと他のユーザとの間におけるチャットでの発言データD2を入力とする。
【0011】
処理装置10は、入力された会話の音声データ及び/またはチャットデータに基づくデータを基に、発話者(ユーザ)と他のユーザとのネットワークを予測する(図1の(2))。処理装置10は、入力された会話の音声データ及び/またはチャットデータを基にネットワークを予測するよう訓練されたネットワーク予測モデル(モデル)を用いる。ネットワークは、人と人とのつながりの情報である。ネットワークとして、例えば、スキル、知識、趣味等の共通項によってつながるユーザと他のユーザとを示すネットワークや、つながりを有するユーザ間の依存度を表したネットワークがある。
【0012】
そして、処理装置10は、ユーザのネットワークを可視化し(図1の(3))、可視化した可視化データを、ユーザやユーザが属する組織に提供する。例えば、ユーザが使用する棚末装置の画面には、ユーザ(社員A)の社員個人・組織間の関係を示すネットワーク図30Aが表示される。例えば、ネットワーク図30Aは、スキル、知識、趣味等の共通項で社員Aとつながりを有するユーザを示すネットワーク図31と、社員Aと、社員Aとつながりを有する他の社員との間の依存度を示すネットワーク図32とを含む。
【0013】
例えば、ネットワーク図31では、社員Aと、社員Aと共通のプログラミング言語「Python」スキルを有する社員Bとがエッジ311で接続されるとともに、社員Aと、社員Aと共通の趣味「ラグビー」を有する社員Cとがエッジ312で接続される。また、ネットワーク図32は、社員A,B、C間の依存関係を示す。例えば、ネットワーク図32は、社員Aは、エッジ321で接続される社員Bに対しては依存度が75%であることを示し、エッジ322で接続される社員Cに対しては依存度が30%であることを示す。
【0014】
さらに、処理装置10は、ユーザのネットワークと、ロールモデルのネットワークとを比して、ユーザに、ユーザのネットワークとロールモデルのネットワークとの差をリコメンドする。
【0015】
[処理装置]
図2は、実施の形態に係る処理装置の構成の一例を模式的に示す図である。図2に示すように、処理装置10は、各種情報に関する通信を制御する通信部11、制御部13による各種処理に必要なデータおよびプログラムを格納する記憶部12、及び、種々の処理を実行する制御部13を有する。
【0016】
通信部11は、ネットワーク等を介して接続された他の装置との間で、各種情報を送受信する通信インタフェースである。通信部11は、NIC(Network Interface Card)等で実現され、LAN(Local Area Network)やインターネットなどの電気通信回線を介した他の装置(例えば、ユーザが使用する端末装置)と制御部13(後述)との間の通信を行う。
【0017】
記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。なお、記憶部12は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、NVSRAM(Non Volatile Static Random Access Memory)等のデータを書き換え可能な半導体メモリであってもよい。記憶部12は、処理装置10で実行されるOS(Operating System)や各種プログラムを記憶する。さらに、記憶部12は、プログラムの実行で用いられる各種情報を記憶する。
【0018】
記憶部12は、ユーザ情報121、音声データ122、チャットデータ123、特徴量情報124、アンケート分析結果125、事後アンケート結果126及びリコメンド作成用情報127を記憶する。
【0019】
ユーザ情報121は、各ユーザの識別情報、属性、所属先、ビジネススキル、技術スキル、業務履歴、過去の処理装置10による予測結果、アンケート回答等を含む。
【0020】
音声データ122は、ユーザ間の会話の音声データであり、例えば、Web会議の音声データである。音声データ122は、予測対象であるユーザと他のユーザとの会話の音声データである。また、音声データ122は、ネットワーク予測モデル1351(後述)の訓練用データとして、訓練対象のユーザと他のユーザとの間で行われた会話の音声データを含む。
【0021】
チャットデータ123は、ユーザ間のチャットデータである。チャットデータ123は、予測対象であるユーザと他のユーザとの間のチャットデータを含む。音声データ122は、ネットワーク予測モデル1351の訓練用データとして、訓練対象のユーザと他のユーザとの間で行われたチャットデータを含む。
【0022】
特徴量情報124は、ユーザ間の会話の音声データの特徴量、及び/または、ユーザ間のチャットデータの特徴量である。特徴量は、例えば、音声データ及び/またはチャットデータの単語を数値ベクトルに変換した単語ベクトル系特徴量、音声データ及び/またはチャットデータのうち感情を含む発話に関する感情系特徴量、及び/または、音声データ及び/またはチャットデータに含まれる文のタイプを示す文タイプ系特徴量である。
【0023】
アンケート分析結果125は、情報収集対象者に対して実施されたアンケートのアンケート回答に基づくネットワーク分析結果である。例えば、アンケート項目として、属性、心理、他のユーザとの関係性に関する各種項目が設定される。アンケート分析結果125は、例えば、人間情報データベース(登録商標)等が分析した情報収集対象者のネットワークを含み、ネットワークとして、スキル、知識、趣味等の共通項によるネットワークや、ユーザ間の依存度を表したネットワークがある。
【0024】
アンケート分析結果125は、例えば、アンケートの質問及び回答の文言から変換された各種特徴量と、分析結果である訓練対象のユーザと他のユーザとのネットワークとが対応付けられたものである。ネットワークは、ユーザ間のつながりの有無と、つながりを有する共通項(スキル、知識、趣味等)と、依存度とを含む。特徴量は、例えば、単語ベクトル系特徴量、感情系特徴量、文タイプ系特徴量である。なお、これらのアンケート回答のうち、個人情報に関する回答については匿名加工等の処理が実行されている。
【0025】
事後アンケート結果126は、訓練対象のユーザと他のユーザとの間の会話(例えば、Web会議)及び/またはチャットの後に、会話及び/またはチャットを実際に行ったユーザに対して、会話及び/またはチャット後に実施されたアンケートに基づくネットワーク分析結果である。例えば、アンケート項目として、属性、心理、他のユーザとの関係性に関する各種項目が設定される。
【0026】
事後アンケート結果126は、例えば、アンケートの質問及び回答の文言から変換された各種特徴量と、分析結果である訓練対象のユーザと他のユーザとのネットワークとが対応付けられたものである。ネットワークは、ユーザ間のつながりの有無と、つながりを有する共通項(スキル、知識、趣味等)と、依存度とを含む。特徴量は、例えば、単語ベクトル系特徴量、感情系特徴量、文タイプ系特徴量である。事後アンケート結果126は、ネットワーク予測モデル1351の訓練時に使用される。なお、これらのアンケート回答のうち、個人情報に関する回答については匿名加工等の処理が実行されている。
【0027】
リコメンド作成用情報127は、ユーザの不足点をユーザにリコメンドするリコメンド情報が作成される際に使用されるデータである。リコメンド作成用情報127には、例えば、ユーザのネットワークとロールモデルのネットワークとの比較時に、リコメンドするリコメンド情報が予め設定される。例えば、リコメンド作成用情報127は、ユーザにリコメンドするためのネットワーク向上のための具体的な複数の方法を含む。リコメンドする方法は、ユーザのネットワークとロールモデルのネットワークにおける媒介中心性、次数中心性等の指標の差分が所定の閾値よりも大きい際に、所定ルールにしたがって選択される。
【0028】
制御部13は、処理装置10全体を制御する。制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路である。また、制御部13は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、内部メモリを用いて各処理を実行する。また、制御部13は、各種のプログラムが動作することにより各種の処理部として機能する。
【0029】
制御部13は、取得部131、特徴量変換部132(変換部)、ネットワーク予測部135(予測部)、可視化データ作成部136(作成部)、リコメンド部137及び訓練部138を有する。
【0030】
取得部131は、予測処理時には、予測対象であるユーザと他のユーザとの会話の音声データ、及び/または、予測対象であるユーザと他のユーザとの間におけるチャットデータを取得する。取得部131は、ネットワーク予測モデル1351の訓練時には、ネットワーク予測モデル1351の訓練用データとしてとして、訓練対象のユーザと他のユーザとの間で行われた会話の音声データ、及び/または、訓練対象のユーザと他のユーザとの間で行われたチャットデータを取得する。この際、取得部131は、会話データ及び/またはチャットデータの発言が、予測対象であるユーザ及び他のユーザのいずれによる発言であるか、すなわち、誰から誰に対する発言であるかを分類した上で、特徴量変換部132に出力する。
【0031】
特徴量変換部132は、取得部131が取得した音声データ及び/またはチャットデータを、所定の特徴量に変換する。特徴量変換部132は、音声データ及び/またはチャットデータのうち、予測対象であるユーザによる発言についてのみ特徴量変換を行う他、ユーザ及び他のユーザの発言の双方について特徴量変換を行う。そして、特徴量変換部132は、各特徴量に、この特徴量に対応する発言が、予測対象であるユーザ及び他のユーザのいずれによる発言であるか、誰から誰に対する発言であるかを示すfrom-to情報を付与する。
【0032】
特徴量変換部132は、例えば、音声データ及び/またはチャットデータを単語ベクトル系特徴量に変換する。特徴量変換部132は、音声データ及び/またはチャットデータのうち感情を含む発話に関する感情系特徴量を取得する。特徴量変換部132は、例えば、音声データ及び/またはチャットデータを基に、音声データ及び/またはチャットデータに含まれる文のタイプを示す文タイプ系特徴量を取得する。文タイプ系特徴量は、情報提供、情報獲得及び指示に対応する特徴量を含む。
【0033】
ネットワーク予測部135は、取得部131が取得した音声データ及び/またはチャットデータに基づくデータを用いて、予測対象であるユーザのネットワークを予測する。ネットワーク予測部135は、会話の音声データ及び/またはチャットデータに基づくデータを用いてユーザのネットワークを予測するネットワーク予測モデル1351を有する。
【0034】
ネットワーク予測部135は、取得部131が取得した予測対象のユーザの音声データ及び/またはチャットデータに基づくデータを、ネットワーク予測モデル1351に入力する。
【0035】
ネットワーク予測部135は、特徴量変換部132によって変換された特徴量を、ネットワーク予測モデル1351に入力する。ネットワーク予測モデル1351に入力される各特徴量は、この特徴量に対応する発言が、誰から誰に対する発言であるかを示す情報が付与されている。このため、ネットワーク予測モデル1351は、特徴量に付与された情報を基に、どのユーザ間がつながるかを判別することができる。ネットワーク予測モデル1351は、入力された各特徴量を基に、ユーザのネットワークを予測する。ネットワーク予測部135は、ネットワーク予測モデル1351から出力された、予測対象のユーザのネットワークを取得する。
【0036】
ネットワーク予測モデル1351は、例えば、訓練対象のユーザから得られたアンケートの回答結果に基づくネットワーク分析結果を、教師データとした、機械学習を用いて訓練される。教師データは、会話及び/またはチャットを実際に行った訓練対象のユーザに対して、会話及び/またはチャット後に実施されたアンケートの回答結果を、人間情報データベース等が分析したユーザのプロファイルである。
【0037】
教師データは、例えば、アンケート分析結果125または事後アンケート結果126である。アンケート分析結果125及び事後アンケート結果126は、例えば、アンケートの質問及び回答の文言から変換された各種特徴量と、分析結果であるユーザと他のユーザとのネットワークとが対応付けられたものである。ネットワークは、ユーザ間のつながりの有無と、つながりを有する共通項(スキル、知識、趣味等)と、依存度とを含む。ネットワーク予測モデル1351は、ネットワークとして、ユーザ間のつながりの有無と、つながりを有する共通項(スキル、知識、趣味等)と、依存度とを含む情報を出力する。
【0038】
可視化データ作成部136は、ネットワーク予測部135によって予測されたユーザのネットワークの可視化データを作成する。可視化データ作成部136は、作成した可視化データを、例えば、予測対象のユーザが使用する端末装置に表示出力させる。
【0039】
可視化データ作成部136は、例えば、図1に示すように、スキル、知識、趣味等の共通項でユーザとつながりを有する他のユーザを示すネットワーク図31や、ユーザと、ユーザとつながりを有する他のユーザとの間の依存度を示すネットワーク図32を作成する。また、可視化データ作成部136は、リコメンド部137(後述)によって作成されたリコメンド情報の可視化データを作成し、作成した可視化データを、例えば、予測対象のユーザが使用する端末装置に表示出力させる。
【0040】
リコメンド部137は、ユーザのネットワークと、ロールモデルのネットワークと比して、ユーザに、ユーザのネットワークとロールモデルのネットワークとの差をリコメンドするリコメンド情報を作成する。リコメンド部137は、リコメンド作成用情報127を参照し、ユーザのネットワークとロールモデルのネットワークとの差とともに、ユーザのネットワーク向上に関する具体的な方法をリコメンドするリコメンド情報を作成する。リコメンド部137は、ユーザのネットワークと、ロールモデルのネットワークとが入力されると、ユーザのネットワークとロールモデルのネットワークとの差を示すとともに、ユーザのネットワーク向上に関する方法を出力するよう訓練されたモデルを用いてもよい。
【0041】
訓練部138は、ネットワーク予測モデル1351を、例えば、訓練対象ユーザから得られたアンケートの回答結果に基づくネットワーク分析結果を、教師データとした、機械学習を用いて訓練する。
【0042】
[モデル構築]
図3及び図4は、ネットワーク予測モデル1351の構築の一例について説明する図である。ネットワーク予測モデル1351の構築において、例えば、人間情報データベースを用いたアンケートと、1on1ミーティングでの会話から取得した文字起こしファイルに基づく特徴量とを用いる。
【0043】
具体的には、教師データとして使用するために、ユーザMに、ネットワーク分析用のWebアンケートを実施し、その回答を取得する(図3の(1))。この回答を基に、ユーザMのネットワークが取得される。処理装置10は、取得したユーザMのネットワークを、ネットワーク予測モデル1351の教師データとする。
【0044】
続いて、処理装置10は、ユーザMと他のユーザとの間のWeb会議データを取得する(図3の(2))。例えば、ユーザMがフォロワーであり、他のユーザがファシリテータとして参加する1on1ミーティングを実施し、各ユーザの発話の音声データを取得する。その後、ユーザM及びファシリテータであるユーザに対し、スキル、知識、趣味、依存度に等ついて事後アンケートをWeb上で実施し、その回答を基にユーザMとファシリテータであるユーザとのネットワークを取得する(図3の(3))。処理装置10は、事後アンケートの回答を基に取得したユーザMのネットワークも、ネットワーク予測モデル1351の教師データとする。
【0045】
そして、処理装置10は、取得したWeb会議での音声データを特徴量に変換する(図3の(4))。処理装置10は、変換した特徴量をネットワーク予測モデル1351に入力する。
【0046】
ネットワーク予測モデル1351は、入力された音声データの特徴量を基に、ユーザMのネットワークを予測する。処理装置10は、ネットワーク予測モデル1351によるユーザMのネットワーク予測結果が、ユーザMのネットワーク分析用のWebアンケート及び事後アンケートの回答によって取得したユーザMのネットワークに近づくように、ネットワーク予測モデル1351のパラメータの更新を行う。
【0047】
処理装置10は、ユーザM以外の他のユーザについても同様に、アンケートによって取得されたネットワーク、Web会議等の会話データ、事後アンケートによって取得されたネットワークを用いて、ネットワーク予測モデル1351のパラメータを更新する。このように、処理装置10は、ネットワーク予測モデル1351を構築する(図3の(5))。
【0048】
この際、処理装置10では、ネットワーク予測モデル1351については、複数の入力データのパターンに対して複数の機械学習アルゴリズムで精度検証し、予測精度が一番良いモデルを採用した。
【0049】
具体的には、ネットワーク予測モデル1351への入力データのパターンとして、単語ベクトル系特徴量のみ、感情系特徴量のみ、文タイプ系特徴量のみ、単語ベクトル系特徴量と感情系特徴量と文タイプ系特徴量との全ての4パターンに分けて、特徴量を入力する(図4の(1))。
【0050】
そして、これらの4パターンの入力データに対し、ネットワーク予測モデル1351をそれぞれ構築し(図4の(2))、予測及び検証を行う(図4の(3))。モデルの構築では、複数のアルゴリズムを用いて、ネットワーク予測モデル1351を構築する。例えば、木系アルゴリズムを重点的に用いて各モデルを構築する。
【0051】
そして、処理装置10では、入力する特徴量のパターンと、各アルゴリズムで構築した予測モデルの予測精度を比較し、予測精度が最もよいネットワーク予測モデル1351を採用する。
【0052】
[特徴量]
次に、特徴量変換部132が変換する特徴量について説明する。処理装置10では、特徴量として、自然言語処理のモデルであるWord2Ve及びBERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)を用いて変換した単語ベクトル系特徴量、文タイプ判定器(例えば、“COTOHA-API”, [online],[令和4年4月6日検索],インターネット<URL:https://api.ce-cotoha.com/contents/api-all.html>参照)を用いて判定した文タイプ系特徴量、感情分析器(例えば、“COTOHA-API”, [online],[令和4年4月6日検索],インターネット<URL:https://api.ce-cotoha.com/contents/api-all.html>参照)を用いて分析した感情系特徴量を採用した。
【0053】
特徴量変換部132は、Word2Vecを用いて、音声データ及びチャットデータに含まれる各単語に対し固定長(100次元、300次元)のベクトル量を付与した。特徴量変換部132では、計算に利用する品詞パターンについて、全品詞、名詞と形容詞と動詞、名詞と形容詞、形容詞と動詞、名詞と動詞、名詞のみ、形容詞のみ、動詞のみ、の8通りを用いた。
【0054】
特徴量変換部132は、BERTを用いて、音声データ及びチャットデータに含まれる各単語に対し固定長(768次元)のベクトル量を付与する。BERTは、文脈も考慮したベクトル量付与が可能である。
【0055】
図5は、文タイプ系特徴量を示す図である。特徴量変換部132は、文タイプ特徴量として、図5に示すように、音声データ及びチャットデータの各発言に対し、文の法(叙述/質問/命令)タイプと、挨拶、情報提供などの発話行為タイプとの22次元の発話種別を付与する。
【0056】
図6は、感情系特徴量を示す図である。特徴量変換部132は、感情系特徴量として、図6に示すように、音声データ及びチャットデータのうち、発話相手への各発言に、19次元の感情ラベルを付与する。感情ラベルには、Positive、Negative、PositiveかつNegativeに加え、喜ぶ、驚く、不安等の特定の感情に対応する感情ラベルがある。特徴量変換部132は、発話相手への総発言数をカウントし、各発言に付与された感情ラベルを基に、「Positiveの割合」、「Negativeの割合」等を計算してもよい。
【0057】
[スコアリング]
ネットワーク予測モデル1351に入力される特徴量は、誰から誰に対する発言であるかを示すfrom-to情報が付与されている。ネットワーク予測モデル1351は、この特徴量に付与されたfrom-to情報を基に、人と人とのつながりを予測する。
【0058】
そして、ネットワーク予測モデル1351は、入力された特徴量を基に、人と人とのつながりが、どのような意味合いを持ったつながりであるかを予測する。ネットワーク予測モデル1351は、どの人とどの人がつながっているかを予測するとともに、スキル、知識、趣味等の共通項でつながっているのか、或いは、一方から他方のユーザに依存がある状態でつながっているのか、を予測する。例えば、ネットワーク予測モデル1351は、人と人とのつながりを、スコアリングする。
【0059】
以降においては、人をノードとし、人と人とのつながりをエッジとして説明する。ネットワーク予測モデル1351は、Web会議の出席者情報やアンケートの回答結果等を基にノードを求める。ノードは、from-to情報を基にエッジの方向を求める。そして、ネットワーク予測モデル1351は、どのような意味合いを持ったつながりであるかを示すスコアをエッジに付与する。このスコアは、例えば、一方から他方のユーザへの依存度である。
【0060】
ネットワーク予測モデル1351は、エッジのスコアリングのために、予測対象のユーザから発話相手のユーザへの発言が、依頼、相談、情報提供、感情表明のいずれの意味合いを有しているかを判別する。
【0061】
依頼は、発話相手に物事を頼んで任せることや、特定の物事をしてもらうように頼むことなどを意味する。相談は、発話相手に判断を求めること、問題解決のために話し合うこと、相談のために相手の意見を聞くことなどを意味する。情報提供は、発話相手に役立ててもらうために、自分が持つ情報を提供することを意味する。感情表明は、発話相手に対して、「喜ぶ」、「驚く」、「不安」、「安心」等の感情的な意思を表明していることを意味する。
【0062】
ネットワーク予測モデル1351は、依頼、相談、情報提供については、特徴量変換部132が出力する文タイプ系特徴量を基に判別する。図7は、文タイプ系特徴量と、予測対象のユーザの発話相手への総発言数に対する各発話種別の発言の割合との一例を示す図である。
【0063】
図7に示すように、特徴量変換部132は、各発言に対し、挨拶、情報提供、フィードバック/相槌、情報獲得、同意、理解確認、約束、受領、言い直し、感謝、謝罪、時間梅、指示等の文タイプ系特徴量を示す発話種別を付与する。
【0064】
ネットワーク予測モデル1351は、予測対象のユーザの発話相手への総発言数をカウントする。ネットワーク予測モデル1351は、総発言数に対する、情報提供、情報獲得、指示の発話種別が付与された発言の割合をそれぞれ算出し、これらの割合の総和を算出する。ネットワーク予測モデル1351は、算出した総和に対応するスコアを、エッジに付与する。ネットワーク予測モデル1351は、情報提供、情報獲得、指示がラベル付けされた発言の割合の総和と、付与するスコアとの対応関係を訓練済みである。
【0065】
そして、ネットワーク予測モデル1351は、感情表明については、特徴量変換部132が出力する感情系特徴量を基に判別する。図8は、感情系特徴量と、予測対象のユーザの発話相手への総発言数に対する各発話種別の発言の割合との一例を示す図である。
【0066】
図8に示すように、特徴量変換部132は、各発言に対し、喜ぶ、怒る、悲しい、不安等の感情系特徴量を示す感情ラベルを付与する。
【0067】
ネットワーク予測モデル1351は、予測対象のユーザの発話相手への総発言数をカウントする。ネットワーク予測モデル1351は、総発言数に対する、喜ぶ、驚く、不安等の所定の感情ラベルが付与された発言の割合をそれぞれ算出し、これらの割合の総和を算出する。ネットワーク予測モデル1351は、算出した総和に対応するスコアを、エッジに付与する。ネットワーク予測モデル1351は、所定の感情ラベルが付与された発言の割合の総和と、付与するスコアとの対応関係を訓練済みである。
【0068】
そして、ネットワーク予測モデル1351は、文タイプ系特徴量を基に付与したスコア及び/または感情系特徴量を基に付与したスコアを基に、予測対象のユーザの他のユーザに対する依存度を求める。なお、ネットワーク予測モデル1351は、スコアと依存度との対応関係を訓練済みである。
【0069】
また、ネットワーク予測モデル1351は、例えば、ユーザ間の発話状況を判別して、場面等に分けて依存度を求めてもよい。
【0070】
例えば、ネットワーク予測モデル1351は、Web会議の内容やチャットの内容が問題解決に関することを判別し、これらのWeb会議の音声データやチャットデータを基に、問題解決の場において、誰が誰にどの程度依存しているかを示すネットワークを予測する。また、ネットワーク予測モデル1351は、Web会議の内容やチャットの内容が技術面に関することを判別し、これらのWeb会議の音声データやチャットデータを基に、技術面において、誰が誰にどの程度依存しているかを示すネットワークを予測する。
【0071】
可視化データ作成部136は、ネットワーク予測部135が予測したユーザのネットワークを基に、人と人との関係性を表すネットワーク指標を算出する。可視化データ作成部136は、次数、中心性、クラスタリングなどを行い、可視化データを作成する。
【0072】
図9は、ネットワーク図の一例を示す図である。図9に例示するネットワーク図は、可視化データ作成部136によって作成される。可視化データ作成部136は、図1に示す、スキル、知識、趣味等の共通項でのユーザ間のつながりを示すネットワーク図31や、ユーザ間の依存度を示すネットワーク図32の他、図9に例示するネットワーク図33,34を作成する。
【0073】
例えば、ネットワーク図33は、問題解決の依存度合を示す。エッジを矢印で示し、依存度の段階を矢印の太さやテキストで示すことで、問題解決を行う際に、誰が誰にどの程度依存しているかを示す。同様に、技術面の依存度合を示すネットワーク図34のように、技術面において、誰が誰にどの程度依存しているかを示すことも可能である。
【0074】
また、可視化データ作成部136は、ユーザが使用する端末装置等からの指示情報にしたがって、各ユーザのネットワークを、指標ごと、または、複数の指標を組み合わせて、順位付けを行い、その順位順に各ユーザの識別情報を表示した可視化データを作成してもよい。可視化データ作成部136は、ユーザ等が端末装置を介して、順位順に表示されたいずれかのユーザが選択されると、選択されたユーザのネットワーク図の可視化データを作成して、端末装置に表示させる。
【0075】
[リコメンド]
図10は、リコメンド情報の一例を示す図である。図10に示すように、ネットワーク予測部135は、ユーザのネットワークを予測するとともに(図10の(1))、ロールモデルのネットワークを予測する(図10の(2))。
【0076】
そして、リコメンド部137は、媒介中心性、次数中心性といったネットワーク分析の指標を比較し、ロールモデルとの差をリコメンドするリコメンド情報を作成する(図10の(3))。例えば、リコメンド部137は、ユーザのネットワーク図が、ユーザが使用するユーザ端末に表示されている際に、このユーザとロールモデルとの差を示すコメントC1をポップアップ表示させる。この際、リコメンド部137は、コメントC1に示すように、「あなたはロールモデルの○○さんと比べるとチーム内で人間関係が閉じてしまっているようです。もっと△△△△するようにしてみましょう。」という、ユーザのネットワーク向上に関する方法をユーザにリコメンドする。
【0077】
[訓練処理]
図11は、実施の形態における訓練処理の処理手順を示す図である。図11に示すように、処理装置10では、取得部131が、訓練に必要となる各種データを取得する(ステップS1)。例えば、取得部131は、訓練対象のユーザの音声データ及び/またはチャットデータを取得するとともに、訓練対象のユーザから得られたアンケートの回答結果に基づくネットワーク分析結果を教師データとして取得する。
【0078】
特徴量変換部132が、ステップS1において取得された、訓練対象のユーザの音声データ及び/またはチャットデータ、所定の特徴量に変換する(ステップS2)。ステップS2において変換された特徴量は、ネットワーク予測モデル1351に入力される。
【0079】
ネットワーク予測部135では、ネットワーク予測モデル1351が、入力された特徴量を基に、訓練対象のユーザのネットワークを予測する(ステップS3)。訓練部138は、ステップS3における予測結果が、教師データである訓練対象のユーザから得られたアンケートの回答結果に基づくネットワーク分析結果に近づくように、ネットワーク予測モデル1351のパラメータの更新を行う(ステップS4)。
【0080】
訓練部138は、所定の終了条件を満たすか否かを判定する(ステップS5)。終了条件は、例えば、予測結果と教師データとの間の差が所定の閾値以下となった場合、パラメータの更新回数が所定の回数に到達した場合、パラメータ更新量が所定の閾値以下となった場合などである。
【0081】
所定の終了条件を満たす場合(ステップS5:Yes)、訓練部138は、この訓練対象のユーザについて、ネットワーク予測モデル1351の訓練を終了する。一方、所定の終了条件を満たさない場合(ステップS5:No)、訓練部138は、ステップS3に戻り、ネットワーク予測モデル1351の訓練を継続する。
【0082】
[予測処理]
図12は、実施の形態における予測処理の処理手順を示す図である。図12に示すように、処理装置10では、取得部131が、予測対象のユーザの音声データ及び/またはチャットデータを取得する(ステップS11)。
【0083】
特徴量変換部132が、ステップS11において取得された、予測対象のユーザの音声データ及び/またはチャットデータ、所定の特徴量に変換する(ステップS12)。ステップS12において変換された特徴量は、ネットワーク予測モデル1351に入力される。
【0084】
ネットワーク予測部135では、ネットワーク予測モデル1351が、入力された特徴量を基に、予測対象のユーザのネットワークを予測する(ステップS13)。可視化データ作成部136は、ネットワーク予測部135によって予測されたユーザのネットワークを示す可視化データを作成する(ステップS14)。
【0085】
リコメンド部137は、予測対象のユーザのネットワークと、ロールモデルのネットワークとを比較して、ユーザのネットワークとロールモデルのネットワークとの差とともに、ユーザのネットワーク向上に関する方法をリコメンドするリコメンド情報を作成する(ステップS15)。
【0086】
制御部13は、通信部11を介して、可視化データ作成部136及びリコメンド部137が作成したデータを、例えば、予測対象のユーザが使用するユーザ端末に出力する(ステップS16)。処理装置10は、ユーザ端末のほか、ユーザが所属する組織が使用するサーバや、処理装置10に接続するディスプレイ等に、データを出力してもよい。
【0087】
[実施の形態の効果]
実施の形態に係る処理装置10は、業務におけるコミュニケーション情報、例えば、ユーザと他のユーザとの会話の音声データ、及び/または、ユーザと他のユーザとの間におけるチャットデータに基づくデータを基に、発話者であるユーザのネットワークを予測する。処理装置10は、ユーザのネットワークを可視化し、可視化した可視化データを、ユーザやユーザが属する組織に提供する。
【0088】
このように、処理装置10は、客観的にユーザのネットワークを予測し、予測したネットワークを可視化して提供する。すなわち、処理装置10は、人と人との間のつながりを正しく捉えたネットワークを取得し、取得したネットワークを可視化して提供することができる。処理装置10は、ユーザのネットワーク、言い換えると、ユーザ自身も気づいていないユーザの他のユーザとの関係性を可視化して提供する。
【0089】
このため、ユーザや組織は、ユーザのネットワークを、共通項、依存度及び各指標に応じて、適切に評価することができる。また、ユーザや組織は、ユーザのネットワークを、共通項、依存度及び各指標に応じて、客観的に把握することができる。これによって、ユーザや組織は、ユーザのネットワークを多角的に検討することで、ユーザのパフォーマンス向上の具体的な対策を行うことができる。また、組織は、ユーザのパフォーマンスを発揮できる職種や部署への異動についても、適切に検討することができる。
【0090】
また、処理装置10は、Web会議やチャットの発言など日々積み重ねられていく組織内でのコミュニケーション情報から、ユーザのネットワークを予測する。このため、ユーザ自身がネットワーク予測のためにアンケートに回答する等の煩雑な処理を行わずとも、ユーザや組織はユーザのネットワークを簡易に取得することができる。
【0091】
さらに、処理装置10は、ユーザのネットワークと、ロールモデルのネットワークとを比較し、ユーザに、ユーザのネットワークとロールモデルのネットワークとの差をリコメンドする。そして、処理装置10は、ユーザのネットワーク向上に関する具体的な方法をリコメンドする。これによって、ユーザや組織は、リコメンド内容を基に、ユーザのパフォーマンス向上の具体的な対策を迅速に行うことができる。
【0092】
以上のように、処理装置10は、可視化したユーザのネットワークを、ユーザ個人や組織に提供することによって、ユーザ個人や組織が抱える多様な課題の解決を支援することができる。
【0093】
また、処理装置10は、音声データ及び/またはチャットデータを、所定の特徴量に変換し、変換した特徴量を、ネットワーク予測モデル1351に入力して、ユーザのネットワークを予測する。このように、処理装置10は、音声データ及び/またはチャットデータを、予測に適した特徴量に加工し、ネットワーク予測モデル1351に入力することで、安定した予測精度を保持することができる。
【0094】
また、処理装置10は、ネットワーク予測モデル1351を、訓練対象のユーザから得られたアンケートの回答結果に基づくネットワーク分析結果を、教師データとした機械学習を用いて訓練する。このように、処理装置10は、ネットワーク予測モデル1351を適切に訓練するため、ネットワーク予測の精度を適切に保持することができる。
【0095】
なお、実施の形態では、処理装置10は、人と人とのネットワークを予測する場合を例に説明したが、これに限らず、人と組織とのネットワーク、組織と組織とのネットワーク、チームとチームとのネットワーク等を予測してもよい。処理装置10が予測した人と組織とのネットワーク、組織と組織とのネットワーク、チームとチームとのネットワーク等の可視化データを基に、組織やチームのパフォーマンス向上や、人事や組織の改編に役立てることができる。
【0096】
[実施の形態のシステム構成について]
処理装置10の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、処理装置10の機能の分散及び統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散または統合して構成することができる。
【0097】
また、処理装置10においておこなわれる各処理は、全部または任意の一部が、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、及び、CPU、GPUにより解析実行されるプログラムにて実現されてもよい。また、処理装置10においておこなわれる各処理は、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されてもよい。
【0098】
また、実施の形態において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともできる。もしくは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上述及び図示の処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて適宜変更することができる。
【0099】
[プログラム]
図13は、プログラムが実行されることにより、処理装置10が実現されるコンピュータの一例を示す図である。コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010、CPU1020を有する。また、コンピュータ1000は、ハードディスクドライブインタフェース1030、ディスクドライブインタフェース1040、シリアルポートインタフェース1050、ビデオアダプタ1060、ネットワークインタフェース1070を有する。これらの各部は、バス1080によって接続される。
【0100】
メモリ1010は、ROM1011及びRAM1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、ハードディスクドライブ1090に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、ディスクドライブ1100に接続される。例えば磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が、ディスクドライブ1100に挿入される。シリアルポートインタフェース1050は、例えばマウス1110、キーボード1120に接続される。ビデオアダプタ1060は、例えばディスプレイ1130に接続される。
【0101】
ハードディスクドライブ1090は、例えば、OS(Operating System)1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093、プログラムデータ1094を記憶する。すなわち、処理装置10の各処理を規定するプログラムは、コンピュータ1000により実行可能なコードが記述されたプログラムモジュール1093として実装される。プログラムモジュール1093は、例えばハードディスクドライブ1090に記憶される。例えば、処理装置10における機能構成と同様の処理を実行するためのプログラムモジュール1093が、ハードディスクドライブ1090に記憶される。なお、ハードディスクドライブ1090は、SSD(Solid State Drive)により代替されてもよい。
【0102】
また、上述した実施の形態の処理で用いられる設定データは、プログラムデータ1094として、例えばメモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶される。そして、CPU1020が、メモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出して実行する。
【0103】
なお、プログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1090に記憶される場合に限らず、例えば着脱可能な記憶媒体に記憶され、ディスクドライブ1100等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、プログラムモジュール1093及びプログラムデータ1094は、ネットワーク(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等)を介して接続された他のコンピュータに記憶されてもよい。そして、プログラムモジュール1093及びプログラムデータ1094は、他のコンピュータから、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。
【0104】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施の形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0105】
10 処理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
121 ユーザ情報
122 音声データ
123 チャットデータ
124 特徴量情報
125 アンケート分析結果
126 事後アンケート結果
127 リコメンド作成用情報
131 取得部
132 特徴量変換部
135 ネットワーク予測部
136 可視化データ作成部
137 リコメンド部
138 訓練部
1351 ネットワーク予測モデル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13