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特開2024-18192データ収集装置及び方法、データ処理システムならびにプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018192
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】データ収集装置及び方法、データ処理システムならびにプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20240201BHJP
【FI】
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121359
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099933
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100124028
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 公雄
(74)【代理人】
【識別番号】100078813
【弁理士】
【氏名又は名称】上代 哲司
(74)【代理人】
【識別番号】100094477
【弁理士】
【氏名又は名称】神野 直美
(72)【発明者】
【氏名】福重 一樹
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC04
(57)【要約】
【課題】データ収集の設定変更があるときにも、データ収集を瞬断させずに継続することを可能にする。
【解決手段】データ収集装置は、データの収集に関する設定を管理する設定管理部と、第1設定に従ってデータを収集する第1収集部と、第1収集部と独立に動作する第2収集部とを含む収集部と、第1設定から第2設定への設定の更新指示がされたことに応答して、第1設定及び第2設定の共通部分と、共通部分以外の部分である非共通部分とを区別して、第1収集部によるデータの収集から第2収集部による第2設定によるデータの収集への切替を瞬断なしに行う切替部とを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データの収集に関する設定を管理する設定管理部と、
第1設定に従ってデータを収集する第1収集部と、第2設定に従ってデータを収集する第2収集部とを含む収集部と、
前記第1設定から前記第2設定への設定の更新指示がされたことに応答して、前記第1設定及び前記第2設定の共通部分と、前記共通部分以外の部分である非共通部分とを区別して、前記第1収集部によるデータの収集から前記第2収集部による前記第2設定によるデータの収集への切替を瞬断なしに行う切替部とを含む、データ収集装置。
【請求項2】
前記設定管理部は、
前記データの収集に関する前記設定を記憶する設定記憶部と、
少なくとも前記第2設定を受信して前記設定記憶部に格納する設定受信部と、
前記第1設定と前記第2設定とを解析し、前記第1設定及び前記第2設定の共通部分を抽出して共通収集設定を作成し前記設定記憶部に格納する設定解析部とを含む、請求項1に記載のデータ収集装置。
【請求項3】
前記設定解析部は、前記設定記憶部が前記第2設定を格納したことに応答して起動する、請求項2に記載のデータ収集装置。
【請求項4】
前記設定解析部は、前記設定の更新が指示されたことに応答して起動する、請求項2に記載のデータ収集装置。
【請求項5】
前記設定の更新が指示されたことに応答して、前記第2収集部を起動する収集処理管理部を含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のデータ収集装置。
【請求項6】
前記切替部は、
前記第1収集部及び前記第2収集部により収集されたデータを、前記共通部分により指定されるデータと前記非共通部分により指定されるデータとに分別する分別部と、
前記更新指示に応答して、前記分別部により前記非共通部分により指定されるデータに分別されたデータの収集を、前記第1収集部から前記第2収集部に切り替える非共通部分切替制御部と、
前記更新指示に応答して、前記分別部により前記共通部分により指定されるデータに分別されたデータの収集を、前記第1収集部と前記第2収集部とにおいて同期させながら、前記第1収集部による収集から前記第2収集部による収集に瞬断なしに切り替える同期制御部とを含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のデータ収集装置。
【請求項7】
前記第1収集部及び前記第2収集部は、収集したデータに、出力の順序が識別可能な識別情報を付与する第1識別情報付与部及び第2識別情報付与部をそれぞれ含み、
前記切替部は、
前記第2収集部の起動後に、前記第1収集部により収集されたデータ及び前記第2収集部により収集されたデータを、前記共通部分により指定されたデータと前記非共通部分により指定されたデータとに分別する分別部と、
前記分別部により前記共通部分により指定されたデータについて、各データに付与された前記識別情報を使用して、前記第1収集部により収集されたデータと前記第2収集部により収集されたデータとを同期させ、無瞬断により前記第1収集部により収集されたデータから前記第2収集部による収集されたデータへの切替を行う同期制御部と、
前記分別部により前記非共通部分により指定されたデータに関し、前記第2収集部の起動前には前記第1収集部により収集されたデータを選択し、前記第2収集部の起動後には前記第2収集部によるデータへの切替を行う即時切替部とを含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のデータ収集装置。
【請求項8】
前記識別情報は、前記第1収集部又は前記第2収集部がデータを収集した時刻を示す時刻情報を含む、請求項7に記載のデータ収集装置。
【請求項9】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のデータ収集装置と、
前記データ収集装置の出力に対して所定のデータ処理を実行するデータ処理部とを含む、データ処理システム。
【請求項10】
コンピュータが、第1設定に従ってデータを収集する第1収集ステップと、
コンピュータが、第2設定に従ってデータを収集する第2収集ステップと、
コンピュータが、前記第1設定から前記第2設定への設定の更新指示がされたことに応答して、前記第1設定及び前記第2設定の共通部分と、前記共通部分以外の部分である非共通部分とを区別して、それぞれ前記第1収集ステップによるデータの収集から前記第2収集ステップによる前記第2設定によるデータの収集への切替を瞬断なしに行う切替ステップとを含む、データ収集方法。
【請求項11】
コンピュータに、
第1設定に従ってデータを収集する第1収集ステップと、
第2設定に従ってデータを収集する第2収集ステップと、
前記第1設定から前記第2設定への設定の更新指示がされたことに応答して、前記第1設定及び前記第2設定の共通部分と、前記共通部分以外の部分である非共通部分とを区別して、それぞれ前記第1収集ステップによるデータの収集から前記第2収集ステップによる前記第2設定によるデータの収集への切替を瞬断なしに行う切替ステップとを実行させるための、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示はデータ収集装置及び方法、データ処理システムならびにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータの小型化、センサの多様化及び高度化、通信技術の発達などに伴い、工場などにセンサ、検査カメラなどを設け、ネットワークを介して工場内に設けたデータ処理システムに収集し、処理することが行われるようになった。収集されるデータは、センサデータに限らず、様々な設備を駆動するシーケンサ、アクチュエータ、電子機器などが生成するデータも含む。このようにデータが生成される現場に近い部分に設けられるデータ処理システムをエッジサーバと呼ぶことがある。
【0003】
エッジサーバにより処理されたデータはインターネットを介して企業の生産管理部門などに送られ、生産管理のために用いられる。
【0004】
一方、工場などにおいては、データ収集の設定変更が必要になることがある。しかし、工場のライン稼働中には、データ収集の設定変更を行うことが難しい。このような問題は、工場に限らず、一般的に継続して対象を観測することが必要なシステムにおいても生じる。
【0005】
こうした問題に関連すると思われる一つの提案が特許文献1に開示されている。特許文献1は、いわゆるIoTの分野において、設備機器を遠隔監視する遠隔監視システムに関し、1以上の設備機器の運転状態等を示す機器データを設備機器から収集するデータ収集装置と、複数のデータ収集装置からの機器データを集約し、機器データを解析して設備機器の監視を行うデータ集約装置とを含む。特許文献1に開示のシステムにおいては、データ収集装置は、収集対象となる機器データを抽出するための収集側定義情報を記憶し、この情報に従って各設備機器から機器データを収集する。収集すべき機器データを更新(変更)する場合には、集約装置側において更新後の収集側定義情報を準備し、所定の条件が成立したときにデータ収集装置が集約装置から更新後の収集側定義情報を受信する。データ収集装置は直ちに、又は一定の条件が成立したときに更新前の収集側定義情報から更新後の収集側定義情報に切り替えてデータ収集を続行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2020/245888号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に開示のシステムにおいては、収集側定義情報の更新前後においてデータの連続性が確保できない可能性があるという問題がある。上記した工場におけるデータ収集の問題に限らず、一般的に、継続して対象を観測することが必要なシステムにおいては、データの連続性が確保できないと所望の処理を正しく行うことができない。したがって特許文献1に開示の技術を、継続して対象を観測することが必要なシステムにおける収集対象の設定の変更に使用することはできない。
【0008】
こうした問題を解決するために、デバイスごとに異なる収集処理を並列動作させ、更新が必要となる収集処理のみ更新を行う方法があり得る。しかしこの方法によれば、既製のデータ収集用アプリケーションに対する設計変更が必要になるという問題がある。
【0009】
この開示は、データ収集の設定変更があるときにも、データ収集を瞬断させずに継続させることが可能なデータ収集装置及び方法、データ処理システムならびにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この開示の第1の局面に係るデータ収集装置は、データの収集に関する設定を管理する設定管理部と、第1設定に従ってデータを収集する第1収集部と、第2設定に従ってデータを収集する第2収集部とを含む収集部と、第1設定から第2設定への設定の更新指示がされたことに応答して、第1設定及び第2設定の共通部分と、共通部分以外の部分である非共通部分とを区別して、第1収集部によるデータの収集から第2収集部による第2設定によるデータの収集への切替を瞬断なしに行う切替部とを含む。
【0011】
この開示の第2の局面に係るデータ処理システムは、データ収集装置と、データ収集装置の出力に対して所定のデータ処理を実行するデータ処理部とを含む。
【0012】
この開示の第3の局面に係るデータ収集方法は、コンピュータが、第1設定に従ってデータを収集する第1収集ステップと、コンピュータが、第2設定に従ってデータを収集する第2収集ステップと、コンピュータが、第1設定から第2設定への設定の更新指示がされたことに応答して、第1設定及び第2設定の共通部分と、共通部分以外の部分である非共通部分とを区別して、それぞれ第1収集ステップによるデータの収集から第2収集ステップによる第2設定によるデータの収集への切替を瞬断なしに行う切替ステップとを含む。
【0013】
この開示の第4の局面に係るプログラムは、コンピュータに、第1設定に従ってデータを収集する第1収集ステップと、第2設定に従ってデータを収集する第2収集ステップと、第1設定から第2設定への設定の更新指示がされたことに応答して、第1設定及び第2設定の共通部分と、共通部分以外の部分である非共通部分とを区別して、それぞれ第1収集ステップによるデータの収集から第2収集ステップによる第2設定によるデータの収集への切替を瞬断なしに行う切替ステップとを実行させる。
【0014】
この開示の上記した目的及び他の目的、特徴、局面及び利点は、添付の図面と関連して理解されるこの開示に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【発明の効果】
【0015】
以上のようにこの開示によると、データ収集の設定変更があるときにも、データ収集を瞬断させずに継続させることが可能なデータ収集装置及び方法、データ処理システムならびにプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、この開示の実施形態に係るデータ管理システムの模式的ブロック図である。
図2図2は、この開示の実施形態に係るデータ処理装置の構成を示すブロック図である。
図3図3は、図2に示すデータ収集装置の機能的構成を示すブロック図である。
図4図4は、デバイスからのデータの収集設定ファイルの例を示す模式図である。
図5図5は、共通収集設定の構成を説明するための模式図である。
図6図6は、図3に示す切替部の機能的構成を示すブロック図である。
図7図7は、図6に示す第1受信バッファを実現するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
図8図8は、図6に示す第2受信バッファを実現するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
図9図9は、図6に示す同期制御部を実現するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
図10図10は、図9の同期制御のステップを実現するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
図11図11は、図6の選択部を実現するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
図12図12は、図11に示す第1読出処理を実現するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
図13図13は、図11に示す第2読出処理を実現するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
図14図14は、図2に示すデータ収集装置を実現するためのMCU(Micro Controller Unit)の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[本開示の実施形態の説明]
以下の説明及び図面では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。なお、以下の1又は複数の実施形態を任意に組み合わせてもよい。
【0018】
(1)この開示の第1の局面に係るデータ収集装置は、データの収集に関する設定を管理する設定管理部と、第1設定に従ってデータを収集する第1収集部と、第2設定に従ってデータを収集する第2収集部とを含む収集部と、第1設定から第2設定への設定の更新指示がされたことに応答して、第1設定及び第2設定の共通部分と、共通部分以外の部分である非共通部分とを区別して、第1収集部によるデータの収集から第2収集部による第2設定によるデータの収集への切替を瞬断なしに行う切替部とを含む。
【0019】
このデータ収集装置は、収集されるデータの内、第1設定と第2設定とにおいて共通する部分のみ同期をとるようにする。データの収集の設定の切替が容易となる。第1設定と第2設定とにおいて共通する部分がなければ、同期をとる必要もない。その結果、瞬断なしに設定の切替ができる。
【0020】
(2)上記(1)において、設定管理部は、データの収集に関する設定を記憶する設定記憶部と、少なくとも第2設定を受信して設定記憶部に格納する設定受信部と、第1設定と第2設定とを解析し、第1設定及び第2設定の共通部分を抽出して共通収集設定を作成し設定記憶部に格納する設定解析部とを含んでもよい。
【0021】
設定記憶部に設定を格納することにより、設定解析部による解析処理を行うタイミング及び実際の設定の切替を行うタイミングの自由度が高められる。
【0022】
(3)上記(2)において、設定解析部は、設定記憶部が第2設定を格納したことに応答して起動してもよい。
【0023】
第2設定が設定記憶部に記憶されたときに第1設定と第2設定との解析が開始される。実際の設定の切替が開始するまでに十分な時間をとることができる。
【0024】
(4)上記(2)において、設定解析部は、設定の更新が指示されたことに応答して起動してもよい。
【0025】
設定の更新が指示されたときに第1設定と第2設定との解析が開始される。実際の設定の切替が指示されない限り解析処理が行われないため、設定の切替が行われないときに不要な処理をする必要がなくなる。
【0026】
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つにおいて、設定の更新が指示されたことに応答して、第2収集部を起動する収集処理管理部を含んでもよい。
【0027】
設定の更新が指示されるまで第2収集部が動作せず、設定の更新が指示されて初めて起動する。第2収集部が不要なときに第2収集部を動作させる必要がない。
【0028】
(6)上記(1)から(5)のいずれか1つにおいて、切替部は、第1収集部及び第2収集部により収集されたデータを、共通部分により指定されるデータと非共通部分により指定されるデータとに分別する分別部と、更新指示に応答して、分別部により非共通部分により指定されるデータに分別されたデータの収集を、第1収集部から第2収集部に切替える非共通部分切替制御部と、更新指示に応答して、分別部により共通部分により指定されるデータに分別されたデータの収集を、第1収集部と第2収集部とにおいて同期させながら、第1収集部による収集から第2収集部による収集に瞬断なしに切替える同期制御部とを含んでもよい。
【0029】
分別部が、収集されるデータの内、第1設定と第2設定とにおいて共通する共通部分と非共通部分とを分別する。更新指示があると、非共通部分制御部が、非共通部分について第1収集部と第2収集部とを切替える。共通部分制御部は、共通部分があるときのみ第1収集部と第2収集部の同期をとって切替える。第1設定と第2設定とにおいて共通する部分がなければ、同期をとる必要はない。同期をとる部分も少なく済む。そのためデータの収集の設定の切替が容易で瞬断なしに設定の切替ができる。
【0030】
(7)上記(1)から(5)のいずれか1つにおいて、第1収集部及び第2収集部は、収集したデータに、出力の順序が識別可能な識別情報を付与する第1識別情報付与部及び第2識別情報付与部をそれぞれ含んでもよく、切替部は、第2収集部の起動後に、第1収集部により収集されたデータ及び第2収集部により収集されたデータを、共通部分により指定されたデータと非共通部分により指定されたデータとに分別する分別部と、分別部により共通部分により指定されたデータについて、各データに付与された識別情報を使用して、第1収集部により収集されたデータと第2収集部により収集されたデータとを同期させ、無瞬断により第1収集部により収集されたデータから第2収集部による収集されたデータへの切替を行う同期制御部と、分別部により非共通部分により指定されたデータに関し、第2収集部の起動前には第1収集部により収集されたデータを選択し、第2収集部の起動後には第2収集部によるデータへの切替を行う即時切替部とを含んでもよい。
【0031】
第1収集部及び第2収集部が収集したデータには、それぞれ出力の順序が識別可能な識別情報が付与される。分別部が、収集されるデータの内、第1設定と第2設定とにおいて共通する共通部分と非共通部分とを分別する。更新指示がされ第2収集部が起動すると、非共通部分制御部が、非共通部分について第1収集部の収集したデータから第2収集部の収集したデータに出力を切替える。共通部分制御部は、第1設定と第2設定とに共通部分があるときのみ、その共通部分に属するデータについて、識別情報を用いて第1収集部と第2収集部の同期をとり、同期が完成したら第1収集部の収集したデータから第2収集部の収集したデータに出力を切替える。第1設定と第2設定とにおいて共通する部分がなければ、同期をとる必要はない。同期をとる部分も少なく済み、識別情報を用いれば容易に同期をとることができる。そのためデータの収集の設定の切替が容易で瞬断なしに設定の切替ができる。
【0032】
(8)上記(7)において、識別情報は、第1収集部又は第2収集部がデータを収集した時刻を示す時刻情報を含んでもよい。
【0033】
データの同期をとるときに、そのデータが収集された時刻を基準にできる。その結果、第1収集部が収集したデータと第2収集部が収集したデータとの同期を容易にとることができ、瞬断なしに第1収集部から第2収集部への切替ができる。
【0034】
(9)この開示の第2の局面に係るデータ処理システムは、上記(1)から(8)のいずれか1つのデータ収集装置と、データ収集装置の出力に対して所定のデータ処理を実行するデータ処理部とを含む。
【0035】
このデータ処理システムは、収集されるデータの内、第1設定と第2設定とにおいて共通する部分のみ同期をとるようにする。データの収集の設定の切替が容易となる。第1設定と第2設定とにおいて共通する部分がなければ、同期をとる必要もない。その結果、瞬断なしに設定の切替を行い、異なる設定により得られたデータに対して所定のデータ処理が行える。
【0036】
(10)この開示の第3の局面に係るデータ収集方法は、コンピュータが、第1設定に従ってデータを収集する第1収集ステップと、コンピュータが、第2設定に従ってデータを収集する第2収集ステップと、コンピュータが、第1設定から第2設定への設定の更新指示がされたことに応答して、第1設定及び第2設定の共通部分と、共通部分以外の部分である非共通部分とを区別して、それぞれ第1収集ステップによるデータの収集から第2収集ステップによる第2設定によるデータの収集への切替を瞬断なしに行う切替ステップとを含む。
【0037】
このデータ収集方法によれば、収集されるデータの内、第1設定と第2設定とにおいて共通する部分のみ同期がとられる。データの収集の設定の切替が容易となる。第1設定と第2設定とにおいて共通する部分がなければ、同期をとる必要もない。その結果、瞬断なしに設定の切替ができる。
【0038】
(11)この開示の第4の局面に係るプログラムは、コンピュータに、第1設定に従ってデータを収集する第1収集ステップと、第2設定に従ってデータを収集する第2収集ステップと、第1設定から第2設定への設定の更新指示がされたことに応答して、第1設定及び第2設定の共通部分と、共通部分以外の部分である非共通部分とを区別して、それぞれ第1収集ステップによるデータの収集から第2収集ステップによる第2設定によるデータの収集への切替を瞬断なしに行う切替ステップと実行させる。
【0039】
コンピュータがこのプログラムを実行することにより、収集されるデータの内、第1設定と第2設定とにおいて共通する部分のみ同期がとられる。データの収集の設定の切替が容易となる。第1設定と第2設定とにおいて共通する部分がなければ、同期をとる必要もない。その結果、瞬断なしに設定の切替ができる。
【0040】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係るデータ処理装置及びデータ収集装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内における全ての変更が含まれることが意図される。
【0041】
1.第1実施形態
A.構成
A1)全体構成
図1に、この実施形態に係るデータ処理装置を含むデータ管理システム50の全体構成を示す。図1を参照して、データ管理システム50は、ある企業に関するシステムであって、工場部門60と、生産管理部門64とを含み、工場部門60と生産管理部門64とはネットワーク62を介した通信により互いに通信可能である。この実施形態においては、工場部門60において各デバイスから収集されたデータがネットワーク62を介して生産管理部門64に送信される。生産管理部門64はこのデータを用いて生産管理を行う。
【0042】
工場部門60には、多数のセンサが配置されている。このセンサは、例えばライン82において生産される物品を検査のために撮像する検査カメラ84、及び工場に存在する設備86を制御し、設備86の稼働状態に関する情報を出力するシーケンサ88を含む。
【0043】
工場部門60にはさらに、検査カメラ84、シーケンサ88などの種々のセンサからのデータを収集し、データによっては必要なデータ処理を行ってネットワーク62を介して生産管理部門64に送信する処理を行う、いわゆるエッジサーバとしてのデータ処理装置80が設けられている。データ処理装置80は、生産管理部門64からの指示及びユーザ156による操作に従って動作し、各センサからのデータ収集について予め準備された収集設定に基づいてデータを収集する。この実施形態に係るデータ処理装置80は、例えば新たなセンサが工場部門60に設けられたり、あるセンサが新しいものに置き換えられたりしたときに必要となる収集設定の更新を、工場部門60のラインの瞬断なく行う機能を持つ。なお、この明細書において「瞬断なし」及び「無瞬断」とは、このようにデータが矛盾なく連続するように、すなわちデータに脱落がなく、その順序の入れ替えもないようにデータが収集されることをいう。
【0044】
A2)データ処理装置80
図2を参照して、データ処理装置80は、工場内のネットワークに接続された受信側の通信I/F(Interface)190と、上記した検査カメラ84及びシーケンサ88(図2において図示せず)を含む多数のセンサからのデータを通信I/F190を介して収集するデータ収集装置180とを含む。この実施形態は、データ収集装置180において、データ収集設定の更新をラインの瞬断なく行う点に特徴がある。
【0045】
データ処理装置80はさらに、データ収集装置180により収集されたデータのうち、データ収集設定の更新前のデータに対して所定のデータ処理を実行する第1データ処理部182と、データ収集設定の更新後のデータに対して所定のデータ処理を実行するための第2データ処理部184とを含む。なお、この実施形態においては、データ処理の内容についても無瞬断により変更できることを前提としているため、このように2つのデータ処理部を設けている。この場合、データ収集装置180による収集設定の変更と、データ処理の内容の変更とは、互いに別々に行うことも、同時に行うこともできる。またデータ収集設定の更新において、データ処理の内容に変更がないことが前提となっているシステムであれば、データ処理部を2つ設ける必要はない。
【0046】
データ処理装置80はさらに、データ収集装置180が出力するデータにシーケンス番号を付与し、さらにそのデータが現用の収集設定によるものか否かにより、データを第1データ処理部182及び第2データ処理部184に選択的に振り分ける分岐入力部185と、各データのシーケンス番号に従って第1データ処理部182の出力、又は第2データ処理部184の出力を選択して、生産管理部門64に送信する処理を行うための切替/送信部186とを含む。データ収集設定の更新前後においてデータの構成に変化がない場合には、第1データ処理部182のみでもよい。しかし、新たな種類のセンサが追加されたりして、データ収集設定前の第1データ処理部182によっては対応できない場合には、第2データ処理部184を設けておき、データ収集装置180におけるデータ収集設定の更新にあわせて第1データ処理部182から第2データ処理部184にデータ処理を更新する必要がある。
【0047】
データ処理装置80はさらに、切替/送信部186の出力をネットワーク62を介して生産管理部門64に送信するための出力側の通信I/F192と、データ収集装置180におけるデータ収集設定の更新、及び第1データ処理部182から第2データ処理部184への切替などを管理するためのデータ処理管理部188とを含む。データ処理管理部188は例えば、図2に示されるように、現場のユーザ156による操作により動作してもよいし、図1に示す生産管理部門64からの遠隔操作により動作してもよい。なお、この実施形態においては、収集部240におけるデータ収集設定の更新と、第1データ処理部182及び第2データ処理部184の更新との双方を行うような構成となっている。そのために双方の更新をまとめて管理するためのデータ処理管理部188を設けている。しかしデータ収集設定の更新の指示は必ずしもデータ処理管理部188を経由せず、ユーザ156又は生産管理部門64から直接にデータ収集装置180(詳しくは、図3に示す設定管理部244)に与えるようにしてもよい。
【0048】
A3)データ収集装置180
A3-1)全体構成
図3を参照して、図2に示すデータ収集装置180は、各センサからのデータの収集を行うための収集部240を含む。収集部240は、無瞬断によりデータの収集設定の更新を行うために、更新前の現用のデータ収集設定に従ってデータの収集を行う第1収集部260と、更新後の新規のデータ収集設定に従ってデータの収集を行う第2収集部262とを含む。第1収集部260は、受信したデータに、その出力順序を決定するための識別子(順序識別子)として受信時刻情報を付与し、あわせて、受信したデータが共通収集設定に含まれるか否かを示す識別子(共通収集設定識別子)としてデバイス種別情報を付与する識別情報付与部264を持つ。同様に第2収集部262は、受信したデータに順序識別子として受信時刻情報を、共通収集設定識別子としてデバイス種別情報を付与する識別情報付与部266を持つ。
【0049】
なお以下の説明においては、現用の収集設定に基づいて第1収集部260により収集されるデータを第1収集データと呼び、新規の収集設定に基づいて第2収集部262により収集されるデータを第2収集データと呼ぶ。
【0050】
データ収集装置180はさらに、データの収集設定時に第1収集部260及び第2収集部262によるデータの収集処理を管理する収集処理管理部246と、第1収集部260の出力及び第2収集部262の出力を、データ収集設定の更新時に同期させることにより、データが矛盾なく連続するように、すなわち瞬断なしに、かつデータの脱落も順序の入れ替えもなしに、第1収集部260の出力から第2収集部262の出力に切替える切替部242とを含む。
【0051】
データ収集装置180はさらに、データ収集設定の更新時における第1収集部260及び第2収集部262の動作を管理する収集処理管理部246と、データ処理管理部188を介して生産管理部門64から指示を受信することにより、データ収集装置180の各部を制御して、データの収集に関する設定を管理し、データ収集設定の更新をラインの瞬断なく実行するための設定管理部244とを含む。
【0052】
設定管理部244は、生産管理部門64(図1)又はユーザ156(図2)から、データ収集設定及び収集設定の更新指示を受信する設定受信部284と、設定受信部284が受信した新たな収集設定と、既存の現用収集設定とを記憶するための設定記憶部282と、収集設定の更新時に、設定記憶部282に記憶された既存の収集設定と新たな収集設定とを解析し、両者において共通する部分があれば、共通する部分に関する共通収集設定を生成し設定記憶部282に格納させる設定解析部280とを含む。既存の収集設定と新たな収集設定との間に共通部分がない場合には、共通収集設定の作成は行われない。
【0053】
別の実施形態としては、この共通収集設定を、生産管理部門64などにおいて作成し、データ処理装置80に送信するようにしてもよい。この場合には、設定受信部284はこの共通収集設定を設定記憶部282に保存する。
【0054】
複数個の新規収集設定が設定記憶部282に記憶されてもよい。この場合には、更新指示において、どの収集設定を使用するかを指定する。
【0055】
なお、設定受信部284は、更新指示を受信すると、収集処理管理部246及び切替部242に対して更新開始の指示を与える。収集処理管理部246はこの指示に応答して、第2収集部262を起動し、収集部240に収集設定の更新に応じた処理を開始させる。切替部242は更新指示に応答して、収集設定の更新に応じて第1収集部260の出力及び第2収集部262の出力を切替える処理を開始する。このようにすることにより、収集設定の解析処理の実行が、更新指示を受信する前であればいつでも行える。その結果、解析処理の実行のタイミングの自由度が高くなる。
【0056】
A3-2)収集設定
図4に、データの収集設定の簡単な例を示す。例えば収集設定ファイル330はカメラからのデータ収集設定の1例を示し、収集設定ファイル332はシーケンサからのデータ収集設定の1例を示す。
【0057】
収集設定は、デバイスごとの通信に関する設定、収集データの設定などを定義する。図4においては、デバイスの種類ごとに別ファイルとして作成しているが、この開示はそのような実施形態には限定されない。各デバイスについて収集設定を作成してもよいし、複数種類のデバイスに関する収集設定を一つの収集設定ファイルにまとめてもよい。
【0058】
図5に、現用収集設定ファイル390と新規収集設定ファイル392とから共通収集設定ファイル394を作成する具体例を示す。図5に示す例においては、説明を分かりやすくするために、1つのファイルに全デバイスに関する収集設定を記述するものとする。
【0059】
図5を参照して、新規収集設定ファイル392を現用収集設定ファイル390と比較すると、デバイスAに関しては、通信設定は現用収集設定ファイル390と同じものの、変更部分410の部分において新規収集設定ファイル392は現用収集設定ファイル390と相違する。したがってデバイスAについては共通収集設定ファイル394には記述されない。
【0060】
一方、新規収集設定ファイル392のデバイスBに関する記述は、現用収集設定ファイル390におけるデバイスBに関する記述と同じである。したがってこの共通部分412を共通収集設定ファイル394に共通部分416として記述する。さらに、新規収集設定ファイル392の新規部分414は、現用収集設定ファイル390には存在していない。したがって新規部分414も共通収集設定ファイル394には記述されない。このようにして作成された共通収集設定ファイル394は図3に示す設定記憶部282に記憶される。
【0061】
A3-3)切替部242
図6を参照して、図3に示す切替部242は第1受信バッファ470及び第2受信バッファ478と、第1受信バッファ470からデータを受信可能な第1入力バッファ472と、第2受信バッファ478からデータを受信可能な第2入力バッファ476と、第1受信バッファ470が収集したデータと、第2受信バッファ478が収集したデータとの内、共通収集設定に該当する収集データに関し、双方からの出力が連続するように同期させるための同期制御部474とを含む。
【0062】
切替部242はさらに、第1受信バッファ470からデータを受信可能な第1出力バッファ480と、第2受信バッファ478からデータを受信可能な第2出力バッファ482と、同期制御部474による同期が完了するまでは第1出力バッファ480を選択し、同期制御部474による同期が完了すると第2出力バッファ482を選択してデータを取り出し出力する選択部484とを含む。切替部242の各部の動作については後述する。
【0063】
A3-4)プログラム構成
-受信バッファ-
図7を参照して、図6に示す第1受信バッファ470を制御するプログラムは以下のような制御構造を持つ。
【0064】
図7を参照して、第1受信バッファ470を制御するプログラムは、データ収集装置180が収集設定の更新を行うに先立って起動されている必要がある。このプログラムは、ステップ532を繰返し実行するステップ530を含む。
【0065】
ステップ532は、第1受信バッファ470から第1収集データを読出すステップ540と、共通収集設定が作成され図3に示す設定記憶部282に保存されているか否かに従って制御の流れを分岐させるステップ542とを含む。ステップ542における判定が肯定的なら、制御はステップ544に進む。ステップ544においては、図3に示す第1収集部260の識別情報付与部264により付与された第1収集データのデバイス種別情報を参照する。
【0066】
このプログラムはさらに、ステップ544における処理に基づいて、第1収集データが共通収集設定内のデータか否かに従って制御の流れを分岐させるステップ548と、ステップ548における判定が肯定的なときに、第1収集データを図6に示す第1入力バッファ472に格納しステップ532を終了するステップ550と、ステップ548における判定が否定的なときに、第1収集データを第1出力バッファ480に格納しステップ532を終了するステップ552とを含む。
【0067】
ステップ542における判定が否定的なときは、ステップ544からステップ550は実行されず制御は直ちにステップ552に移動する。
【0068】
図8に、第2受信バッファ478を制御するプログラムの制御構造を示す。図8に制御構造を示すプログラムは、図7に制御構造を示すものともほぼ同様である。このプログラムは、図7に示すものと同様、データ収集装置180が収集設定の更新を行うに先立って起動されている必要がある。このプログラムは、ステップ572を繰返し実行するステップ570を含む。
【0069】
ステップ572は、第2受信バッファ478から第2収集データを読出すステップ580と、共通収集設定が作成され図3に示す設定記憶部282に保存されているか否かに従って制御の流れを分岐させるステップ582とを含む。ステップ548における判定が肯定的なら、制御はステップ584に進む。ステップ584においては、図3に示す第2収集部262の識別情報付与部266により付与された第1収集データのデバイス種別情報を参照する。
【0070】
このプログラムはさらに、ステップ584における処理に基づいて、第2収集データが共通収集設定内のデータか否かに従って制御の流れを分岐させるステップ588と、ステップ588における判定が肯定的なときに、第2収集データを図6に示す第2入力バッファ476に格納しステップ572を終了するステップ590と、ステップ588における判定が否定的なときに、第2収集データを第2出力バッファ482に格納しステップ572を終了するステップ582とを含む。
【0071】
ただし、第2受信バッファ478の場合には、ステップ582における判定が否定的なときには、ステップ586において切替指示が図6に示す選択部484に出力される。この結果、出力対象は第1収集データから第2収集データに変更される。共通収集設定が作成されていないということは、新規収集設定と現用の収集設定とに共通点がないことを意味し、両者を同期させる必要がないためである。この後、制御はステップ592に移動する。
【0072】
―同期制御部474―
図9を参照して、同期制御部474の機能を実現するプログラムは、第1入力バッファ472に第1収集データがあるか否かに従って制御の流れを分岐させるステップ610と、ステップ610における判定が肯定的なときに、第1入力バッファ472から第1収集データを読出し、変数RT1に第1収集データの順序識別子に基づいて収集時刻情報を代入し、変数ΔRT1に変数RT1の値と一つ前の変数RT1の値との時間差分を代入するステップ612とを含む。変数ΔRT1は第1収集データの受信間隔を表すためのものであり、変数ΔRT1の値としては、これ以外にも直近の複数個の変数RT1の階差の平均値など、第1収集データの受信間隔の最新の推定値を表す、統計的な代表値を用いてもよい。
【0073】
このプログラムはさらに、第2入力バッファ476に第2収集データがあるか否かに従って制御の流れを分岐させるステップ614と、ステップ614における判定が肯定的なときに、第2入力バッファ476から第2収集データを読出し、変数RT2に第2収集データの収集時刻情報を代入するステップ618と、ステップ618に続き、第1収集データと第2収集データとの同期処理を実行してこのプログラムの実行を終了するステップ620とを含む。
【0074】
ステップ610における判定が否定的なとき、及びステップ614における判定が否定的なときにはこのプログラムの実行は直ちに終了する。
【0075】
図10を参照して、図9のステップ620における同期制御を実現するプログラムは、変数RT2の値と変数RT1の値との差の絶対値が変数ΔRT1より大きいか否かに従って制御の流れを分岐させるステップ670を含む。ステップ670における判定が肯定的ならば、第1収集データの受信時刻と第2収集データの受信時刻との間に、通常の第1収集データの受信間隔より大きな相違がある。一方、ステップ670における判定が否定的ならば、両者の差が、通常の第1収集データの受信間隔以下となっている。したがってこの場合、同期は完了したものと考えられる。この実施形態においては、この2つの場合分けにより異なる処理を行う。
【0076】
このプログラムはさらに、ステップ670における判定が肯定的なときに、変数RT2の値から変数RT1の値を減算しその結果が変数ΔRT1の値より大きいか否かに従って制御の流れを分岐させるステップ672を含む。ステップ672における判定が肯定的なら、第2収集データの方が、第1収集データよりも遅く、かつその差が第1収集データの通常の受信間隔より大きいということである。ステップ672における判定が否定的なら、その関係が逆となり、第2収集データの方が、第1収集データよりも早く、かつその差が第1収集データの受信間隔より大きいということになる。この実施形態においては、このようにさらに2つの場合分けを行って同期制御を行う。
【0077】
このプログラムはさらに、ステップ672における判定が肯定的なときに、第1収集データを図6に示す第1出力バッファ480に格納するステップ674と、図6に示す第1入力バッファ472から第1収集データを読出するステップ676と、変数RT1にステップ676において読出した第1収集データの収集時刻情報を代入するステップ678と、変数ΔRT1に変数RT1と1つ前の変数RT1との時間差分を代入して制御をステップ670に戻すステップ680とを含む。
【0078】
このプログラムはさらに、ステップ672における判定が否定的なときに、第2収集データを図6に示す第2出力バッファ482に格納するステップ682と、第2入力バッファ476から第2収集データを読出すステップ684と、変数RT2にステップ684において読出された第2収集データの収集時刻情報を代入して制御をステップ670に戻すステップ686とを含む。
【0079】
このプログラムはさらに、ステップ670における判定が否定的なときに、切替指示を図6に示す選択部484に対して出力するステップ688と、第1収集データを第1出力バッファ480に格納するステップ690と、第2収集データを第2出力バッファ482に格納してこのプログラムの実行を終了するステップ692とを含む。ステップ688において切替指示が出力されることにより、選択部484において出力すべきデータが第1収集データから第2収集データに切替えられる。
【0080】
―選択部484―
図11から図13に、図6に示す選択部484の機能を実現するプログラムの制御構造を示す。図11を参照して、このプログラムは、出力対象が第1収集データか否かに従って制御の流れを分岐させるステップ750と、ステップ750における判定が肯定的なときに第1読出処理を実行してこのプログラムの実行を終了するステップ752と、ステップ750における判定が否定的なときに、第2読出処理を実行してこのプログラムの実行を終了するステップ754とを含む。
【0081】
図12を参照して、ステップ752において実行される第1読出処理を実現するプログラムは、第1出力バッファ480に格納された第1収集データ及び第2出力バッファ482に格納された第2収集データの収集時刻RT1及び2を比較するステップ810と、収集時刻RT2が収集時刻RT1より大きいか否かに従って制御の流れを分岐させるステップ812とを含む。
【0082】
このプログラムはさらに、ステップ812における判定が肯定的なときに、第1出力バッファ480から第1収集データを読出し、選択部484から出力してこのプログラムの実行を終了するステップ814と、ステップ812における判定が否定的なときに、同期制御部474又は第2受信バッファ478から切替指示を受信したか否かに従って制御の流れを分岐させるステップ816とを含む。
【0083】
このプログラムはさらに、ステップ816における判定が肯定的なときに、出力対象を第1収集データから第2収集データに切替えてこのプログラムの実行を終了するステップ818と、ステップ816における判定が否定的なときに、第2出力バッファ482から第2収集データを読出し、破棄してこのプログラムの実行を終了するステップ820とを含む。
【0084】
図13を参照して、図11に示すステップ754における第2読出処理を実現するプログラムは、図6に示す第1出力バッファ480に格納された第1収集データと、第2出力バッファ482に格納された第2収集データとの収集時刻情報を比較するステップ870と、ステップ870における比較に基づき、第1収集データの収集時刻が第2収集データの収集時刻より遅いか否かに従って制御の流れを分岐させるステップ872とを含む。
【0085】
このプログラムはさらに、ステップ872における判定が肯定的なときに、第2出力バッファ482から第2収集データを読出して選択部484から出力しこのプログラムの実行を終了するステップ874と、ステップ872における判定が否定的なときに、第1出力バッファ480から第1収集データを読出して選択部484から出力しこのプログラムの実行を終了するステップ876とを含む。
【0086】
B.動作
以上のような構成を持つデータ処理装置80は以下のように動作する。
【0087】
B1)新規収集設定のダウンロード
新規収集設定により現用の収集設定を更新するときには、例えば図1に示される生産管理部門64において新規収集設定のファイルを作成し、ネットワーク62を介してデータ処理装置80にそのファイルを送信する。データ処理装置80は、新規収集設定のファイルを受信するとデータ処理管理部188を介してデータ収集装置180にそのファイルを渡す。図3に示すデータ収集装置180においては、設定受信部284が新規収集設定のファイルを受信し、設定記憶部282に保存する。
【0088】
設定解析部280は、設定記憶部282に記憶された現用の収集設定と、新たに保存された新規収集設定とを解析し、共通部分に関する共通収集設定ファイルを作成して設定記憶部282に保存する。なお、設定解析部280による共通収集設定ファイルの作成は、設定記憶部282に新規収集設定ファイルが保存されたことをトリガーに開始させてもよいし、データ収集装置180が収集設定の更新指示を受信したことをトリガーとして開始させてもよい。
【0089】
B2)収集設定の更新の開始
図3に示す設定記憶部282に新規収集設定ファイルが保存された後、図1に示す生産管理部門64から、又は図2に示すユーザ156から、更新すべき新規収集設定ファイルを指定した更新指示がデータ処理装置80に与えられる。データ処理装置80のデータ処理管理部188はこの指示をデータ収集装置180に与える。図3に示すデータ収集装置180の設定受信部284がこの更新指示を受信し、収集処理管理部246及び切替部242に収集設定の更新処理を開始させる。前記したように更新指示を受信したことをトリガーに設定解析部280による収集設定の解析を開始するようにしてもよい。しかし、ここでは新規収集設定が設定記憶部282に保存された時点において設定解析部280による収集設定の解析と共通収集設定ファイルの作成が行われるものとする。
【0090】
B3)収集設定の更新
収集処理管理部246は、設定受信部284から更新指示を受けると、第2収集部262を起動する。受信されるデータの各々に対して以下の処理が実行される。
【0091】
このとき、以下のような場合分けができる。
【0092】
(1)共通収集設定が未作成
図7の処理が第1受信バッファ470及び第2受信バッファ478に対してそれぞれ行われる。すなわち、第1受信バッファ470に対しては図7に示すステップ540及び542が、第2入力バッファ476に対して図8に示すステップ580及び582が、それぞれ実行される。共通収集設定が作成されていないためステップ542及びステップ582の判定が否定となる。その結果、第1受信バッファ470についてはステップ552が実行される。すなわち、第1収集データが第1出力バッファ480に格納される。一方、第2入力バッファ476に対しては、共通収集設定がなく同期が不要なため、切替指示がステップ586において選択部484に対し出力される。ステップ582に続いてステップ592において第2収集データが第2出力バッファ482に格納される。
【0093】
同期制御部474は図9に示す処理を実行している。図7におけるステップ550も、図8におけるステップ590も実行されていない。そのため図9のステップ610の判定が否定的となりステップ612、618及び620は実行されない。
【0094】
選択部484は図11から図13に示す処理を実行している。第1収集データの受信時刻の方が先なら選択部484は第1出力バッファ480に格納された第1収集データを出力する。それ以外の場合には、切替指示があったため、ステップ816の判定が肯定的となり、選択部484は出力対象を第2収集データに切替える。
【0095】
(2)共通収集設定が作成済かつ収集データが共通収集設定外
図7及び図8に示す処理においては、第1収集データ及び第2収集データに対して、図7のステップ540、542、544及び548、並びに図8のステップ580、582、584及び588が、それぞれ実行される。ステップ548及び580の判定が否定的となる。その結果、ステップ550及び590は実行されない第1収集データ及び第2収集データがそれぞれステップ552及び592において第1出力バッファ480及び第2出力バッファ482に格納される。なお、第2収集データに対してステップ586は実行されない。
【0096】
同期制御部474においては図9に示す処理が実行される。この場合には図7のステップ550も図8のステップ590も実行されていないため、ステップ610における判定は否定的となる。同期制御部474は何も処理しない。
【0097】
選択部484は図11に示す処理を実行している。図11を参照して、収集設定の切替はまだ行われていないため、選択部484はステップ752を実行する。
【0098】
図12を参照して、ステップ812における判定が肯定的なら、選択部484はステップ814において第1出力バッファ480に格納されたデータを出力する。
【0099】
ステップ812における判定が否定的ならステップ816における判定が行われる。ステップ816における判定は否定的である。したがってステップ820において第2出力バッファ482に格納されているデータが破棄される。
【0100】
(3)共通収集設定が作成済かつ収集データが共通収集設定内
図7及び図8の処理が第1受信バッファ470及び第2受信バッファ478に対してそれぞれ行われる。この状況においては第1受信データについては図7に示すステップ540、542、544、548、550及び552の処理が、第2受信データについてはステップ580、582、584、588、590及び592の処理が、それぞれ実行される。その結果、第1入力バッファ472には第1収集データが、第2入力バッファ476には第2収集データが、それぞれ格納される。
【0101】
同期制御部474は図9に示す処理を実行している。ステップ610における判定が肯定的となり、ステップ612の処理が実行される。ステップ614における判定も肯定的となり、ステップ618の処理が実行される。この結果、変数RT1及び2、ならびに変数ΔRT1にそれぞれの値が代入される。この後、図10に示す同期処理が実行される。
【0102】
図10を参照して、ステップ670における判定が肯定的、かつステップ672における判定も肯定的なら、ステップ674からステップ680が実行される。この結果、第2収集部262が受信した第2収集データの受信時刻が第1収集データの受信時刻より通常の受信間隔以上におくれている場合には、第1収集データが第1出力バッファ480に格納される。ステップ670における判定が肯定的かつステップ672が否定的ならば、第2収集データが第2出力バッファ482に格納される。
【0103】
ステップ670における判定が否定的なら、第1収集データの収集時刻と第2収集データの収集時刻とが第1収集データの通常の受信間隔内に双方とも受信されたことになる。したがって、同期がほぼ完了したものと考えられ、同期制御部474はステップ688において切替指示を選択部484に対し出力する。同期制御部474はさらに、ステップ690及び692において第1収集データを第1出力バッファ480に、第2収集データを第2出力バッファ482に、それぞれ格納する。
【0104】
選択部484は、図11から図13の処理を実行している。図11を参照して、第1収集部及び第2収集部の切替がまだ行われていなければ、ステップ752が実行される。図12を参照して、第1収集データの収集時刻が第2収集データの収集時刻より早ければステップ812の判定が肯定的となりステップ814が実行される。ステップ812の判定が否定的ならステップ816において切替指示を受信しているか否かが判定される。切替指示を受信していれば出力対象を第2収集データに切替える(ステップ818)。切替指示をまだ受信していなければ第2出力バッファ482から第2収集データを破棄する。
【0105】
このようにして、第2受信データが第1受信データに対して、通常の受信間隔以上に遅れているときには第2受信データは破棄される。第2受信データの受信時刻が、第1受信データの受信間隔から通常の受信間隔未満になれば同期が完成したものとして第1収集部260から第2収集部262への切替が行われる。
【0106】
B4)データ処理部の切替え
この実施形態においては、第1収集データに対するデータ処理を第1データ処理部182が実行し、第2収集データに対するデータ処理を第2データ処理部184が実行する。データ収集装置180から出力されるデータが第1収集データか第2収集データかが分かるため、以下のようにして第1データ処理部182と第2データ処理部184との処理を切替えることができる。
【0107】
現用の収集設定により収集されるデータは第1データ処理部182が処理する。分岐入力部185はデータ収集装置180の出力を第1データ処理部182に入力する。切替/送信部186は第1データ処理部182の出力を選択して生産管理部門64に送信する。
【0108】
データ収集装置180において収集設定の更新が開始されると、第2データ処理部184が起動する。分岐入力部185は、データ収集装置180の出力が第1収集データなら第1データ処理部182に、第2収集データなら第2データ処理部184に、それぞれデータを渡す。このとき分岐入力部185は各データにシーケンス番号を付与する。第1データ処理部182及び第2データ処理部184はそれぞれ、分岐入力部185からデータを受信すると、そのデータに対する所定のデータ処理を行い、結果をそれぞれの内部の受信バッファに格納する。切替/送信部186は、第1データ処理部182及び第2データ処理部184の出力バッファの先頭に存在するデータに付与されたシーケンス番号が正しい順番となるように第1データ処理部182及び第2データ処理部184の出力を選択し生産管理部門64に送信する。
【0109】
データ収集装置180の内部において、更新の完了を示す切替信号が出力されると、分岐入力部185及び切替/送信部186は第2データ処理部184のみが動作するように接続を切替える。第1データ処理部182は停止する。以後、データ収集装置180の出力に対して第2データ処理部184が所定のデータ処理を行う。
【0110】
2.コンピュータによる実現
図14に、上記した実施形態におけるデータ収集装置180を実現するコンピュータであるMCU930の構成をブロック図形式により示す。
【0111】
図14を参照して、このMCU930は、プロセッサであるMPU(Micro Processing Unit)942と、MPU942が接続される高速バス940と、高速バス940に接続されたSRAM(Static Random Access Memory)944と、高速バス940に接続された、フラッシュメモリ946と、高速バス940に接続されたROM(Read-Only Memory)948とを含む。SRAM944には、プログラムの実行に必要なデータなどが保持される。フラッシュメモリ946には、データ収集装置180が実現する各機能を実現するためのプログラム966が記憶される。ROM948にはMPU942のブートアッププログラム、現用の収集設定ファイル、新規収集設定ファイル、及び共通収集設定ファイルなどが記憶される。
【0112】
上記説明において記載した第1受信バッファ470、第1入力バッファ472、第2入力バッファ476、第2受信バッファ478、第1出力バッファ480及び第2出力バッファ482などは、SRAM944により実現される。
【0113】
MCUはさらに、高速バス940にブリッジ952を介して接続された低速バス950と、いずれも低速バス950に接続されたシリアルI/F(Interface)954、ADC(Analog-to-Digital Converter)956、タイマ・カウンタ958、クロック発生器960、電源制御部962及び汎用I/F964を含む。
【0114】
なお、MCUの動作はよく知られており、実施形態において意味があるのはその実行するプログラムの機能なため、以下説明においてはMCU自体の動作については説明しない。
【0115】
以上のようにこの開示によれば、収集設定を共通部分とそれ以外とに分け、共通収集設定を作成し、この共通収集設定において記述されたデバイスから収集されたデータに対して同期処理を行っている。しかしこの開示はそのような実施形態には限定されない。共通収集設定ではなく、共通しない部分に関する非共通収集設定を作成してもよい。この場合、非共通収集設定に記述されたデバイス以外から収集されたデータに対して同期処理を行えばよい。
【0116】
また、独立した共通収集設定ファイル394を作成するのではなく、現用収集設定ファイル390及び新規収集設定ファイル392を、それぞれ、互いに共通する部分とそれ以外の部分とを区別するように書き換えてもよい。
【0117】
また、上記実施形態においては、設定記憶部282に新規収集設定ファイル392が格納されると設定解析部280が現用収集設定ファイル390及び新規収集設定ファイル392の解析を開始する。しかしこの開示はそのような実施形態には限定されない。例えば収集設定の更新指示に応答して設定解析部280が収集設定ファイルの解析を行うようにしてもよい。この場合には、第2収集部262の起動は解析が終了し共通収集設定ファイル394が作成された後に行うことが望ましい。
【0118】
上記実施形態においては、設定解析部280が共通収集設定ファイル394を作成する。しかしこの開示はそのような実施形態に限定されるわけではない。例えば生産管理部門64など、新旧の収集設定を把握している部署において作成し、新規収集設定ファイル392とともにデータ処理装置80に送信するようにしてもよい。この場合には図3に示す設定解析部280は不要となる。
【0119】
今回開示された実施の形態は全ての点において例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、開示の詳細な説明の記載により示されるわけではなく、特許請求の範囲の各請求項によって示され、特許請求の範囲の文言と均等の意味及び範囲内における全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0120】
50 データ管理システム
60 工場部門
62 ネットワーク
64 生産管理部門
80 データ処理装置
82 ライン
84 検査カメラ
86 設備
88 シーケンサ
156 ユーザ
180 データ収集装置
182 第1データ処理部
184 第2データ処理部
185 分岐入力部
186 切替/送信部
188 データ処理管理部
190、192 通信インターフェイス
240 収集部
242 切替部
244 設定管理部
246 収集処理管理部
260 第1収集部
262 第2収集部
264、266 識別情報付与部
280 設定解析部
282 設定記憶部
284 設定受信部
330、332 収集設定ファイル
390 現用収集設定ファイル
392 新規収集設定ファイル
394 共通収集設定ファイル
410 変更部分
412、416 共通部分
414 新規部分
470 第1受信バッファ
472 第1入力バッファ
474 同期制御部
476 第2入力バッファ
478 第2受信バッファ
480 第1出力バッファ
482 第2出力バッファ
484 選択部
930 MCU
940 高速バス
942 MPU
944 SRAM
946 フラッシュメモリ
948 ROM
950 低速バス
952 ブリッジ
954 シリアルI/F
956 ADC
958 タイマ・カウンタ
960 クロック発生器
962 電源制御部
964 汎用I/F
966 プログラム
図1
図2
図3
図4
図5
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