(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018206
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】指針読取装置、物理量測定装置、指針読取装置の取り付け方法
(51)【国際特許分類】
G01D 13/26 20060101AFI20240201BHJP
G01D 5/245 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
G01D13/26
G01D5/245 110L
G01D5/245 110A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121384
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000150707
【氏名又は名称】長野計器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】水越 貴之
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 正樹
(72)【発明者】
【氏名】金子 紘之
(72)【発明者】
【氏名】有賀 拓海
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA46
2F077JJ01
2F077JJ07
2F077JJ23
2F077VV02
2F077VV23
(57)【要約】
【課題】読み取り誤差が大きくなってしまうことを抑制できる指針読取装置、物理量測定装置、指針読取装置の取り付け方法を提供すること。
【解決手段】指針読取装置10は、支持部材8に固定される磁石9の磁場を検出する磁気センサ14と、磁気センサ14から出力される信号を入力し、指針の回動角に応じた信号を出力する測定回路基板13と、測定回路基板13を保持する基板支持部121と、基板支持部121から延出される筒部122とを有するガイド部材12と、支持部材8に対応する位置に孔部が形成され、孔部116にガイド部材12の筒部122が収納されるケース部材と、を有する。そして、ケース部材の孔部の周縁近傍から延出された係合爪部117は、筒部122が孔部に収納されていない状態で支持部材8と係合し、筒部122が孔部に収納された状態で筒部122に付勢されて支持部材との係合が解除される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定流体の物理量に応じて回動軸を中心に回動する指針の回動角を読み取る指針読取装置であって、
前記回動軸の先端に取り付けられる支持部材に固定される磁石の磁場を検出する磁気センサと、
前記磁気センサが取り付けられ、前記磁気センサから出力される信号を入力し、前記指針の回動角に応じた信号を出力する測定回路基板と、
前記測定回路基板を保持する基板支持部と、前記基板支持部から延出される筒部とを有するガイド部材と、
前記支持部材に対応する位置に孔部が形成され、前記孔部に前記ガイド部材の前記筒部が収納されるケース部材と、を有し、
前記ケース部材は、前記孔部の周縁近傍から前記支持部材に対して延出し、前記支持部材に係合可能な係合爪部を有し、
前記係合爪部は、前記筒部が前記孔部に収納されていない状態で前記支持部材と係合し、前記筒部が前記孔部に収納された状態で前記筒部に付勢されて前記支持部材との係合が解除される
ことを特徴とする指針読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の指針読取装置において、
前記ケース部材は、筒状で内部に前記測定回路基板および前記ガイド部材を収容可能なケース本体部と、前記ケース本体部の一方の端部側を覆い前記孔部が形成されるケース底部と、前記ケース本体部の他方の端部を覆い前記ケース本体部に着脱可能に取り付けられるケース蓋部と、を有する
ことを特徴とする指針読取装置。
【請求項3】
請求項2に記載の指針読取装置において、
前記ケース蓋部には、前記ケース本体部に収納された前記ガイド部材に対応する位置に、前記ガイド部材と当接して前記ガイド部材を前記支持部材に向かって付勢する突状部が形成される
ことを特徴とする指針読取装置。
【請求項4】
請求項1に記載の指針読取装置と、
被測定流体の物理量に応じて前記回動軸を中心に回動する前記指針と、
前記磁石と、
前記磁石を固定する前記支持部材とを備える
ことを特徴とする物理量測定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の物理量測定装置において、
前記支持部材は、柱状とされた支持部材本体部と、前記支持部材本体部の一方の端部に形成され前記磁石が収納される収納凹部と、前記支持部材本体部の他方の端部から延出され前記指針に係合可能な取付部と、を有する
ことを特徴とする物理量測定装置。
【請求項6】
被測定流体の物理量に応じて回動軸を中心に回動する指針の回動角を読み取る指針読取装置の取り付け方法であって、
ケース部材の係合爪部を支持部材に係合させることで、前記支持部材に対する前記ケース部材の孔部の位置を位置決めする位置決め工程と、
前記支持部材に対する前記ケース部材の位置を固定させる固定工程と、
磁気センサが取り付けられる測定回路基板を支持する基板支持部から延出された筒部を、前記ケース部材の前記孔部に収納し、かつ、前記筒部によって前記係合爪部を付勢して前記係合爪部と前記支持部材との係合状態を解除する収納・解除工程と、を備える
ことを特徴とする指針読取装置の取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指針読取装置、物理量測定装置、指針読取装置の取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アネロイド型圧力計の指針の回動を検出する指針読取装置が知られている(例えば、特許文献1等)。
特許文献1では、指針の回動中心部に磁石を設け、当該磁石に対向するように複数の磁気センサを配置している。これにより、指針の回動に連動して磁石が回動することで、磁石による磁場が変化する。そして、この磁場の変化を磁気センサにより検出することで、指針の回動角を電気信号に変換できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、指針の回動に影響を及ぼすことを抑制するために、指針に取り付ける磁石をできるだけ小型化することが望ましい。ただし、磁石を小型化すると、磁石による磁場が弱くなる。そうすると、アネロイド型圧力計に指針読取装置を取り付ける際に、磁石に対する磁気センサの取り付け位置のずれが大きいと誤差が大きくなるため、磁気センサをキャリブレーションしても、磁石に対する磁気センサの位置のずれを補正しきれずに、読み取り誤差が大きくなってしまうといった問題があった。
【0005】
本発明の目的は、磁石を小型化しても、読み取り誤差が大きくなってしまうことを抑制できる指針読取装置、物理量測定装置、指針読取装置の取り付け方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の指針読取装置は、被測定流体の物理量に応じて回動軸を中心に回動する指針の回動角を読み取る指針読取装置であって、前記回動軸の先端に取り付けられる支持部材に固定される磁石の磁場を検出する磁気センサと、前記磁気センサが取り付けられ、前記磁気センサから出力される信号を入力し、前記指針の回動角に応じた信号を出力する測定回路基板と、前記測定回路基板を保持する基板支持部と、前記基板支持部から延出される筒部とを有するガイド部材と、前記支持部材に対応する位置に孔部が形成され、前記孔部に前記ガイド部材の前記筒部が収納されるケース部材と、を有し、前記ケース部材は、前記孔部の周縁近傍から前記支持部材に対して延出し、前記支持部材に係合可能な係合爪部を有し、前記係合爪部は、前記筒部が前記孔部に収納されていない状態で前記支持部材と係合し、前記筒部が前記孔部に収納された状態で前記筒部に付勢されて前記支持部材との係合が解除されることを特徴とする。
【0007】
本発明では、磁石が固定される支持部材にケース部材の係合爪部が係合することで、支持部材とケース部材とが位置決めされる。そして、この状態でケース部材を固定した後、ケース部材の孔部に、磁気センサが取り付けられた測定回路基板を保持するガイド部材が収納される。これにより、ガイド部材と支持部材とが位置決めされる。そのため、測定回路基板、ガイド部材、ケース部材の孔部、および、支持部材を介して、磁石と磁気センサとが位置決めされることになるので、磁石と磁気センサとの位置関係がずれてしまうことを抑制できる。したがって、磁石を小型化したとしても、磁石に対する磁気センサの位置のずれを補正しきれず読み取り誤差が大きくなってしまうことを防止できる。
また、支持部材に対してケース部材を位置決めする係合爪部は、ガイド部材の筒部がケース部材の孔部に収納された状態で、筒部に付勢されて支持部材との係合が解除される。そのため、係合爪部によって指針の回動が影響されてしまうことを抑制できる。
【0008】
本発明の指針読取装置において、前記ケース部材は、筒状で内部に前記測定回路基板および前記ガイド部材を収容可能なケース本体部と、前記ケース本体部の一方の端部側を覆い前記孔部が形成されるケース底部と、前記ケース本体部の他方の端部を覆い前記ケース本体部に着脱可能に取り付けられるケース蓋部と、を有することが好ましい。
この構成では、ケース蓋部はケース本体部に着脱可能に取り付けられるので、ケース本体部に収納される測定回路基板や磁気センサ等を容易にメンテナンスすることができる。
【0009】
本発明の指針読取装置において、前記ケース蓋部には、前記ケース本体部に収納された前記ガイド部材に対応する位置に、前記ガイド部材と当接して前記ガイド部材を前記支持部材に向かって付勢する突状部が形成されることが好ましい。
この構成では、ガイド部材を支持部材に向かって付勢する突状部がケース蓋部に形成されているので、ケース蓋部をケース本体部に取り付ければガイド部材を支持部材に向かって付勢することができる。そのため、ケース蓋部をケース本体部に取り付けた状態で、支持部材に対するガイド部材の位置がずれてしまうことを抑制することができる。
【0010】
本発明の物理量測定装置は、上述した指針読取装置と、被測定流体の物理量に応じて前記回動軸を中心に回動する前記指針と、前記磁石と、前記磁石を固定する前記支持部材とを備えることを特徴とする。
この構成では、前述と同様の効果を奏することができる。さらに、指針に取り付けられた磁石の磁場を磁気センサにより検出することで、被測定流体の物理量に対応する指針の回動角に応じた信号を出力することできる。
【0011】
本発明の物理量測定装置において、前記支持部材は、柱状とされた支持部材本体部と、前記支持部材本体部の一方の端部に形成され前記磁石が収納される収納凹部と、前記支持部材本体部の他方の端部から延出され前記指針に係合可能な取付部と、を有することが好ましい。
この構成では、磁石を収納する収納凹部を備えた支持部材に、指針に係合可能な取付部が設けられるので、指針に対して磁石を容易に取り付けることができる。
【0012】
本発明の指針読取装置の取り付け方法は、被測定流体の物理量に応じて回動軸を中心に回動する指針の回動角を読み取る指針読取装置の取り付け方法であって、ケース部材の係合爪部を支持部材に係合させることで、前記支持部材に対する前記ケース部材の孔部の位置を位置決めする位置決め工程と、前記支持部材に対する前記ケース部材の位置を固定させる固定工程と、磁気センサが取り付けられる測定回路基板を支持する基板支持部から延出された筒部を、前記ケース部材の前記孔部に収納し、かつ、前記筒部によって前記係合爪部を付勢して前記係合爪部と前記支持部材との係合状態を解除する収納・解除工程と、を備えることを特徴とする。
この構成では、前述と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る物理量測定装置の概略を示す斜視図。
【
図2】第1実施形態の物理量測定装置の概略を示す分解斜視図。
【
図3】第1実施形態の物理量測定装置の概略を示す断面斜視図。
【
図4】第1実施形態の指針読取装置の要部の概略を示す断面斜視図。
【
図5】第1実施形態の指針読取装置の取り付け方法を示す図。
【
図6】第1実施形態の指針読取装置の取り付け方法を示す図。
【
図7】第1実施形態の指針読取装置の取り付け方法を示す図。
【
図8】第1実施形態の指針読取装置の取り付け方法を示す図。
【
図9】第1実施形態の指針読取装置の取り付け方法を示す図。
【
図10】第2実施形態に係る物理量測定装置の概略を示す斜視図。
【
図11】第2実施形態の物理量測定装置の概略を示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る物理量測定装置1を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の物理量測定装置1の概略を示す斜視図であり、
図2は、物理量測定装置1の概略を示す分解斜視図であり、
図3は、物理量測定装置1の概略を示す断面斜視図である。
図1~
図3に示すように、物理量測定装置1は、導入部材2と、物理量測定装置本体部3と、ブルドン管4と、指針5と、指針伝達機構6と、目盛板7と、支持部材8と、磁石9と、指針読取装置10とを備える。このように、本実施形態の物理量測定装置1はブルドン管式の圧力計として構成されている。
【0015】
[導入部材2]
導入部材2は、図示しない配管等の被取付部に取り付けられる所謂継手部材であり、黄銅・ステンレス鋼・鉄鋼等の金属部材で形成されている。そして、導入部材2は、導入部材本体部21と、当該導入部材本体部21の先端部に設けられた雄ねじ部22とを備える。導入部材本体部21の内部には、被取付部から被測定流体を導入する流体導入孔211が形成されており、当該流体導入孔211はブルドン管4に接続されている。また、雄ねじ部22は被取付部に螺合される。
【0016】
[物理量測定装置本体部3]
物理量測定装置本体部3は、金属製で有底円筒状に形成されており、内部にブルドン管4、指針5、指針伝達機構6、目盛板7、支持部材8、および、磁石9を収納している。そして、物理量測定装置本体部3の開口部は、後述する指針読取装置10のケース底部112の円盤部1122に覆われている。なお、物理量測定装置本体部3は、上記構成に限られるものではなく、例えば、樹脂製であってもよい。
【0017】
[ブルドン管4]
ブルドン管4は、金属製であり、内部に導入された被測定流体の圧力に応じて先端部が変位する。本実施形態の物理量測定装置1は、当該ブルドン管4の変位量を、指針伝達機構6を介して指針5に伝達することで、被測定流体の圧力を測定可能に構成されている。
また、本実施形態では、前述したようにブルドン管4は、導入部材2と接続されており、流体導入孔211と連通している。
【0018】
[指針5]
指針5は、ブルドン管4にて検出した被測定流体の圧力を指示する部材であり、指針本体51と、回動軸52とを有する。
指針本体51は、回動軸52を回転軸として回動することにより、ブルドン管4にて検出した被測定流体の圧力に応じて目盛板7に表示された目盛71(後述)を指示する。
回動軸52は、目盛板7の中心部に形成された軸部挿通孔72を貫通するとともに、指針伝達機構6に連結している。これにより、被測定流体の圧力によるブルドン管4の先端部の変位量を、指針伝達機構6を介して、指針本体51に伝達可能に構成されている。
【0019】
[指針伝達機構6]
指針伝達機構6は、所謂内機を備えて構成され、ブルドン管4の先端部の変位量を拡大して指針5に伝達するように構成されている。
【0020】
[目盛板7]
目盛板7は、後述する指針読取装置10のケース底部112の円盤部1122に対向するように配置されており、表面に目盛71が表示されている。これにより、物理量測定装置1は、当該目盛71を指針本体51に指示させることにより、被測定流体の圧力を表示可能に構成されている。また、目盛板7には、表面から裏面へと貫通する軸部挿通孔72が形成されている。
【0021】
[支持部材8]
図4は、指針読取装置10の要部の概略を示す断面斜視図である。
図1~
図4に示すように、支持部材8は、磁石9を指針5の回動軸52の先端に取り付けるための部材である。本実施形態では、支持部材8は、支持部材本体部81と、収納凹部82と、取付部83とを有する。
【0022】
支持部材本体部81は、樹脂製で柱状とされている。そして、支持部材本体部81の一方の端部には、磁石9が嵌合されて収納される収納凹部82が設けられている。
また、支持部材本体部81の他方の端部には、指針本体51に係合可能とされた爪状の取付部83が設けられている。これにより、本実施形態では、支持部材本体部81が指針5に取り付けることができるように構成されている。このように、本実施形態では、磁石9を収納する収納凹部82を備えた支持部材8に、指針5に係合可能な取付部83が設けられるので、指針5に対して磁石9を容易に取り付けることができる。
さらに、本実施形態では、支持部材本体部81の他方の端部と回動軸52の先端とが、両面テープ等により構成される接着部材84により接着されている。
なお、支持部材8は、上記構成に限られるものではなく、例えば、接着部材が設けられず取付部のみにより指針に取り付けられていてもよく、あるいは、取付部が設けられず接着部材のみにより指針に取り付けられていてもよい。さらに、磁石が収納凹部に嵌合されることに限られるものではなく、例えば、支持部材の端部に磁石が接着部材により接着されていてもよい。
【0023】
[指針読取装置10]
指針読取装置10は、被測定流体の圧力に応じて回動軸52を中心に回動する指針本体51の回動角を読み取る装置である。本実施形態では、指針読取装置10は、ケース部材11と、ガイド部材12と、測定回路基板13と、磁気センサ14と、通信基板15と、電池16と、第1パッキン171と、第2パッキン172と、第3パッキン173とを有する。
【0024】
[ケース部材11]
ケース部材11は、ガイド部材12、測定回路基板13、磁気センサ14、通信基板15、および、電池16等を収納するケースである。本実施形態では、ケース部材11は、ケース本体部111と、ケース底部112と、ケース蓋部113とを有する。
【0025】
ケース本体部111は、樹脂製で筒状とされ、内部にガイド部材12、測定回路基板13、磁気センサ14、通信基板15、および、電池16等を収納している。本実施形態では、ケース本体部111が目盛板7の目盛71が表示されていない位置に配置されるように、指針読取装置10が物理量測定装置1に取り付けられている。これにより、指針読取装置10が物理量測定装置本体部3に取り付けられた際に、指針5による目盛71の指示が見えにくくなってしまうことを抑制することができる。
また、本実施形態では、ケース本体部111の四隅近傍に爪部114が形成されている。そして、当該爪部114が後述するケース蓋部113の係合溝部115と係合することにより、ケース蓋部113がケース本体部111に着脱可能に取り付けられるように構成されている。
【0026】
ケース底部112は、ケース本体部111の一方の端部側を覆うように構成されている。本実施形態では、ケース底部112は、ケース底部本体部1121と、円盤部1122とを有する。
ケース底部本体部1121は、樹脂製でケース本体部111の一方の端部を覆うように構成されている。そして、ケース底部本体部1121には、支持部材8に対向する位置に、孔部116が形成されている。さらに、ケース底部本体部1121には、孔部116の周縁近傍から支持部材8に向かって延出する係合爪部117が複数設けられている。なお、係合爪部117の詳細については、後述する。
円盤部1122は、透明樹脂により円盤状に形成され、物理量測定装置本体部3の開口部を覆うように配置されており、物理量測定装置本体部3に対して着脱可能に取り付けられている。これにより、ケース底部112は、物理量測定装置本体部3に対して着脱可能とされている。さらに、円盤部1122は透明樹脂により形成されるので、円盤部1122を通して指針5や目盛板7を視認することができるように構成されている。
【0027】
ケース蓋部113は、ケース本体部111の他方の端部を覆うように配置され、前述したようにケース本体部111に着脱可能に形成されている。具体的には、ケース蓋部113における四隅近傍に係合溝部115が形成され、当該係合溝部115にケース本体部111の爪部114が係合できるように構成されている。また、本実施形態では、ケース蓋部113とケース本体部111との間には、環状とされた第1パッキン171が介装されて、ケース蓋部113とケース本体部111との間が封止されている。
このように、本実施形態では、ケース蓋部113はケース本体部111に着脱可能に取り付けられるので、ケース本体部111に収納される測定回路基板13や磁気センサ14等をメンテナンスしたり、電池16を交換したりすることを容易にすることができる。
さらに、本実施形態では、ケース蓋部113におけるケース本体部111を覆う内面側には、ガイド部材12に対応する位置に、ガイド部材12に向かって突出する突状部118が形成されている。
【0028】
[ガイド部材12]
ガイド部材12は、磁気センサ14が取り付けられる測定回路基板13を所定の位置に位置決めするための部材である。本実施形態では、ガイド部材12は、基板支持部121と、筒部122とを有する。
【0029】
基板支持部121は、樹脂製で有底円筒状に形成され、内部に測定回路基板13を収納して保持するように構成されている。筒部122は、円筒状とされ、基板支持部121からケース底部112の孔部116に向かって延出している。そして、筒部122は、ケース底部112の孔部116に収納されるように構成されている。この際、筒部122は、ケース底部112に設けられた係合爪部117を付勢するように構成されている。
さらに、前述したように、ケース蓋部113にはガイド部材12に対応する位置に突状部118が形成されているので、ケース蓋部113がケース本体部111に取り付けられた際に、ガイド部材12は突状部118により支持部材8に向かって付勢される。そのため、ケース蓋部113をケース本体部111に取り付けた状態で、支持部材8に対するガイド部材12の位置がずれてしまうことを抑制することができる。
なお、本実施形態では、突状部118と基板支持部121との間には第2パッキン172が介装され、かつ、基板支持部121とケース底部112との間には第3パッキン173が介装されている。
【0030】
[測定回路基板13]
測定回路基板13は、図示略の電子部品等が配置されており、通信基板15と電気的に接続されている。そして、本実施形態では、測定回路基板13には磁気センサ14が取り付けられている。これにより、測定回路基板13は、磁気センサ14から出力される信号を入力して、指針5の回動角に応じた信号を通信基板15に出力可能に構成されている。
【0031】
[磁気センサ14]
磁気センサ14は、磁気検出素子を備えて構成され、支持部材8に固定される磁石9の磁場を検出可能に構成されている。本実施形態では、磁気センサ14は、測定回路基板13の磁石9に対向する側の面に取り付けられている。
これにより、指針5が回動すると、支持部材8を介して回動軸52の先端に取り付けられた磁石9が回動し、この回動角を磁気センサ14にて検出できるように構成されている。そして、前述したように、指針5の回動角に応じて磁気センサ14が検出した信号は、測定回路基板13を介して通信基板15に出力される。
【0032】
[通信基板15]
通信基板15は、アンテナ等を備えて構成され、外部装置と信号を送受信可能に構成されている。本実施形態では、通信基板15は、Bluetooth(登録商標)の電波を送受信可能に構成されている。これにより、通信基板15は、磁気センサ14が出力した信号を外部装置に出力することができる。なお、通信基板15は、上記構成に限られるものではなく、例えば、LPWA(Low Power Wide Area)、Wi-Fi(登録商標)、NFC等の電波や赤外線等を送受信可能に構成されていてもよく、あるいは、有線ケーブル等により磁気センサ14が出力した信号を外部装置に出力することができるように構成されていてもよい。さらに、通信基板15は、外部の装置から入力される信号を磁気センサ14に出力するように構成されていてもよい。このように構成することで、外部の装置を用いて磁気センサ14をキャリブレーションすることができる。
また、通信基板15は、記憶装置を備えていてもよい。このように構成することで、例えば、通信基板15は、磁気センサ14が出力した信号に対応するデータを記憶しておき、所定のデータを記憶した際にデータを出力するように構成できる。
さらに、本実施形態では、通信基板15には、電池16を収納する電池ケース151が設けられている。
【0033】
[電池16]
電池16は、前述したように、通信基板15に設けられた電池ケース151に1個収納されており、測定回路基板13、磁気センサ14、通信基板15等に電力を供給可能に構成されている。本実施形態では、電池16は、コイン型電池を含む所謂ボタン型電池として構成されている。なお、電池16は、上記構成に限られるものではなく、例えば、円筒型乾電池、円筒型充電池、ポリマー電池等として構成されていてもよい。さらに、指針読取装置10に電池16が複数内蔵されていてもよい。
【0034】
[指針読取装置10の取り付け方法]
次に、指針読取装置10の取り付け方法について説明する。
図5~
図9は、指針読取装置10の取り付け方法を示す図である。
先ず、
図5に示すように、磁石9が取り付けられた支持部材8を指針5に取り付ける。具体的には、支持部材8の取付部83を指針本体51に係合させ、かつ、支持部材本体部81と回動軸52とを接着部材84により接着させることで、支持部材8を指針5に取り付ける。このように、本実施形態では、指針5に係合可能な取付部83が支持部材8に設けられるので、指針5に対して磁石9を容易に取り付けることができる。
【0035】
次に、
図6、
図7に示すように、ケース底部112の複数の係合爪部117を支持部材本体部81に係合させる(位置決め工程)。なお、この状態、すなわち筒部122が孔部116に収納されていない状態では、複数の係合爪部117は、孔部116の中心に向かって内側に傾斜している。
そして、この状態で、ケース底部112の円盤部1122を物理量測定装置本体部3に対して固定させる(固定工程)。これにより、支持部材8に取り付けられた磁石9に対するケース底部112の位置が決められる。そのため、測定回路基板13、ガイド部材12、孔部116、および、支持部材8を介して、磁石9と磁気センサ14とが位置決めされることになるので、磁石9と磁気センサ14との位置関係がずれてしまうことを抑制できる。したがって、磁石9を小型化したとしても、磁石9に対する磁気センサ14の位置のずれを補正しきれず読み取り誤差が大きくなってしまうことを防止できる。
【0036】
次に、
図8、
図9に示すように、測定回路基板13が収納されたガイド部材12の筒部122をケース底部112の孔部116に収納し、この状態でケース蓋部113をケース本体部111に取り付ける。そうすると、ガイド部材12はケース蓋部113の突状部118によって支持部材8に向かって付勢され、筒部122がケース底部112の係合爪部117の内面側に当接して係合爪部117を付勢する。具体的には、筒部122は、係合爪部117に当接することで、係合爪部117を外側に向かって付勢する。このため、支持部材8に対する係合爪部117の係合が筒部122に付勢されることで解除される(収納・解除工程)。すなわち、本実施形態では、係合爪部117は、筒部122が孔部116に収納されていない状態で支持部材8と係合し、筒部122が孔部116に収納された状態で筒部122に付勢されて支持部材8との係合が解除されるように構成されている。
これにより、支持部材8に対してケース部材11を位置決めする係合爪部117は、ガイド部材12の筒部122が孔部116に収納された状態で、筒部122に付勢されて支持部材8との係合が解除されるので、係合爪部117によって指針5の回動が影響されてしまうことを抑制できる。なお、この段階で係合爪部117の係合状態が解除されても、ケース底部112が物理量測定装置本体部3に対して固定されているので、磁石9と磁気センサ14との位置関係がずれてしまうことはない。
なお、上記構成に限られるものではなく、例えば、係合爪部の筒部に対向する面に突起を設け、筒部が係合爪部の突起を付勢することで、係合爪部と支持部材との係合状態が解除されるように構成されていてもよい。
【0037】
以上のような本実施形態では、次の効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、磁石9が固定される支持部材8にケース部材11の係合爪部117が係合することで、支持部材8とケース部材11とが位置決めされる。そして、この状態でケース部材11を固定した後、ケース部材11の孔部116に、磁気センサ14が取り付けられた測定回路基板13を保持するガイド部材12が収納される。これにより、ガイド部材12と支持部材8とが位置決めされる。そのため、測定回路基板13、ガイド部材12、孔部116、および、支持部材8を介して、磁石9と磁気センサ14とが位置決めされることになるので、磁石9と磁気センサ14との位置関係がずれてしまうことを抑制できる。したがって、磁石9を小型化したとしても、磁石9に対する磁気センサ14の位置のずれを補正しきれず読み取り誤差が大きくなってしまうことを防止できる。
また、支持部材8に対してケース部材11を位置決めする係合爪部117は、ガイド部材12の筒部122が孔部116に収納された状態で、筒部122に付勢されて支持部材8との係合が解除される。そのため、係合爪部117によって指針5の回動が影響されてしまうことを抑制できる。
【0038】
(2)本実施形態では、ケース蓋部113はケース本体部111に着脱可能に取り付けられるので、ケース本体部111に収納される測定回路基板13や磁気センサ14等をメンテナンスしたり、電池16を交換したりすることを容易にすることができる。
【0039】
(3)本実施形態では、ガイド部材12を支持部材8に向かって付勢する突状部118がケース蓋部113に形成されているので、ケース蓋部113をケース本体部111に取り付ければガイド部材12を支持部材8に向かって付勢することができる。さらに、本実施形態では、突状部118と基板支持部121との間には第2パッキン172が介装されていることから、第2パッキン172の摩擦力によりガイド部材12が回転してしまうことを抑制できる。そのため、ケース蓋部113をケース本体部111に取り付けた状態で、支持部材8に対するガイド部材12の位置がずれてしまうことを抑制することができる。
【0040】
(4)本実施形態では、指針5に取り付けられた磁石9の磁場を磁気センサ14により検出することで、被測定流体の圧力に対応する指針5の回動角に応じた信号を出力することができる。
【0041】
(5)本実施形態では、磁石9を収納する収納凹部82を備えた支持部材8に、指針5に係合可能な取付部83が設けられるので、指針5に対して磁石9を容易に取り付けることができる。
【0042】
次に、本発明の第2実施形態について図面に基づいて説明する。
第2実施形態では、ケース蓋部113Aに、ケース底部112Aの爪部114Aが挿通される係合孔部119Aが形成される点で第1実施形態と異なる。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一または同様の構成には同一符号を付し、説明を省略する。
【0043】
図10は、本実施形態の物理量測定装置1Aの概略を示す斜視図であり、
図11は、物理量測定装置1Aの概略を示す分解斜視図である。
図10、
図11に示すように、物理量測定装置1Aは、前述した第1実施形態の物理量測定装置1と同様に、指針読取装置10Aを備える。
【0044】
[指針読取装置10A]
指針読取装置10Aは、前述した第1実施形態の指針読取装置10と同様に、被測定流体の圧力に応じて回動軸52を中心に回動する指針本体51の回動角を読み取る装置である。本実施形態では、指針読取装置10Aは、ケース部材11Aと、ガイド部材12と、測定回路基板13と、磁気センサ14(
図4参照)と、通信基板15と、電池16と、第1パッキン171と、第2パッキン172と、第3パッキン173とを有する。
【0045】
[ケース部材11A]
ケース部材11Aは、前述した第1実施形態のケース部材11と同様に、ガイド部材12、測定回路基板13、磁気センサ14、通信基板15、および、電池16等を収納するケースである。本実施形態では、ケース部材11Aは、ケース本体部111Aと、ケース底部112Aと、ケース蓋部113Aとを有する。そして、ケース底部112Aは、ケース底部本体部1121Aと、円盤部1122Aとを有する。
ここで、本実施形態では、ケース蓋部113Aには、ケース本体部111Aの爪部114Aに対応する位置に、爪部114Aが挿通される係合孔部119Aが設けられている。これにより、本実施形態では、爪部114Aが係合孔部119Aに挿通された状態でケース蓋部113Aの上面に係合することで、ケース蓋部113Aがケース本体部111Aに取り付けられるように構成されている。そのため、ケース本体部111Aに対するケース蓋部113Aの取り付け状態を強固にすることができる。
【0046】
以上のような本実施形態では、次の効果を奏することができる。
(6)本実施形態では、ケース蓋部113Aには、ケース本体部111の爪部114Aに対応する位置に、爪部114Aが挿通される係合孔部119Aが設けられているので、爪部114Aが係合孔部119Aに挿通された状態でケース蓋部113Aの上面に係合することで、ケース蓋部113Aがケース本体部111Aに取り付けられるように構成されている。そのため、ケース本体部111Aに対するケース蓋部113Aの取り付け状態を強固にすることができる。
【0047】
[変形例]
なお、本発明は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0048】
前記各実施形態では、ケース蓋部113,113Aには、ガイド部材12に対応する位置に、ガイド部材12に向かって突出してガイド部材を付勢する突状部118が形成されていたが、これに限定されない。例えば、ケース蓋部のガイド部材に対応する位置にネジ孔部を設け、当該ネジ孔部に調整ネジを螺合させることで、ガイド部材を支持部材に向かって付勢するように構成されていてもよい。また、ガイド部材を付勢する突状部が設けられない場合も、本発明に含まれる。
【0049】
前記各実施形態では、ケース部材11,11Aは、透明樹脂を用いて形成された円盤部1122,1122Aを有して構成されていたが、これに限定されない。例えば、ケース部材は、物理量測定装置本体部の開口部を覆う透明カバー部材に対して、接着部材等により取り付けられるように構成されていてもよい。この場合、ケース部材のケース底部に孔部が設けられるとともに、透明カバー部材にも当該孔部に対応する位置に孔部が設けられる。
【0050】
前記各実施形態では、ケース蓋部113,113Aは、ケース本体部111,111Aの爪部114,114Aが係合することで、ケース本体部111,111Aに対して着脱可能に取り付けられるように構成されていたが、これに限定されない。例えば、ケース蓋部は、取り付けネジ等により、ケー本体部に対して着脱可能に取り付けられるように構成されていてもよい。
【0051】
前記各実施形態では、磁石9は支持部材8を介して、指針5に取り付けられていたが、これに限定されない。例えば、磁石は、指針の回動軸の先端に、接着部材等により直接取り付けられていてもよい。この場合、回動軸は支持部材を兼ねることになる。
【0052】
前記各実施形態では、指針読取装置10,10Aは、電池16を電源として駆動するように構成されていたが、これに限定されない。例えば、指針読取装置は、外部の装置から電力が供給されて駆動するように構成されていてもよい。
【0053】
前記各実施形態では、物理量測定装置1,1Aは、被測定流体の圧力を測定可能に構成されていたが、これに限定されない。例えば、物理量測定装置は、温度や差圧等の物理量を測定可能に構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1,1A…物理量測定装置、2…導入部材、3…物理量測定装置本体部、4…ブルドン管、5…指針、6…指針伝達機構、7…目盛板、8…支持部材、9…磁石、10,10A…指針読取装置、11,11A…ケース部材、12…ガイド部材、13…測定回路基板、14…磁気センサ、15…通信基板、16…電池、21…導入部材本体部、22…雄ねじ部、51…指針本体、52…回動軸、71…目盛、72…軸部挿通孔、81…支持部材本体部、82…収納凹部、83…取付部、84…接着部材、111,111A…ケース本体部、112,112A…ケース底部、113,113A…ケース蓋部、114,114A…爪部、115…係合溝部、116…孔部、117…係合爪部、118…突状部、119A…係合孔部、121…基板支持部、122…筒部、151…電池ケース、171…第1パッキン、172…第2パッキン、173…第3パッキン、211…流体導入孔、1121,1121A…ケース底部本体部、1122,1122A…円盤部。