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特開2024-1821パターン形成方法、テンプレートの製造方法および半導体装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001821
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】パターン形成方法、テンプレートの製造方法および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 43/27 20230101AFI20231227BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231227BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L29/78 371
H01L21/302 105A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100723
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】寺山 正敏
【テーマコード(参考)】
5F004
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F004AA16
5F004DB01
5F004DB03
5F004EA01
5F004EA03
5F004EA05
5F004EA37
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP32
5F083EP76
5F083ER21
5F083GA10
5F083GA27
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA39
5F083JA40
5F083MA06
5F083MA16
5F083PR03
5F083PR21
5F101BA46
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH02
5F101BH14
(57)【要約】
【課題】製造効率および精度を向上したパターン形成方法、テンプレートの製造方法および半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】パターン形成方法は、第1層と接する第2層の第1層とは反対側の面に、傾斜部に凹部を備える第1パターンを形成し、第2層をマスクとして第1層の一部を除去する第1のエッチングを行う、ことを含む。パターンを形成することは、面に傾斜部を形成し、傾斜部に第1層を露出する凹部を形成することで第2パターンを形成する、ことを含んでもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1層上に設けられた第2層の前記第1層とは反対側の面に、傾斜部と前記傾斜部に設けられた凹部とを備える第1パターンを形成し、
前記第2層をマスクとして前記第1層の一部を除去する第1のエッチングを行うことで前記第1層に第2パターンを形成する、
ことを含む、パターン形成方法。
【請求項2】
前記第1パターンを形成することは、
前記面に前記傾斜部を形成し、
前記傾斜部に前記第1層を露出する前記凹部を形成する、
ことを含む、請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記第1のエッチングによって前記第2層が除去されて前記第1層が露出する前に、前記第2層の一部を除去する第2のエッチングを行う、
ことを含む、請求項2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記第2層は、前記第1層と接する第1膜と前記第1膜と接する第2膜を含み、
前記第2膜は前記第1膜より前記第1のエッチングにおける加工速度が大きい、
ことを含む、請求項2に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
前記第1のエッチングによって前記第1膜の一部を露出し、
前記第1膜の一部を除去する第3のエッチングを行う、
ことを含む、請求項4に記載のパターン形成方法。
【請求項6】
前記第1パターンは、前記第1のエッチングにおける前記第1層と前記第2層の加工速度、前記第2パターンの配置、前記第2パターンの階調数、前記第2パターンの高さ、前記第2パターンの深さ、前記第2のエッチングにおける前記第2層の加工量バッファ、の何れか一つ以上によって設定される、請求項3に記載のパターン形成方法。
【請求項7】
前記第1パターンは、前記第1のエッチングにおける前記第1層と前記第2層の加工速度、前記第2パターンの配置、前記第2パターンの階調数、前記第2パターンの高さ、前記第2パターンの深さ、前記第3のエッチングにおける前記第1膜と前記第2膜の加工速度、前記第3のエッチングにおける前記第2膜の加工量バッファ、の何れか一つ以上によって設定される、請求項5に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
前記第1パターンを形成することは、
前記第2層の上に傾斜を有する第1樹脂層を形成し、
前記第2層に前記傾斜を転写して前記傾斜部を形成し、
前記第2層の上に前記傾斜部を露出する凹部を有する第2樹脂層を形成し、
前記第2樹脂層をマスクとして前記第2層の一部を除去する、
ことを含む、請求項2に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
前記第2層は、前記第1層と接する第1膜と前記第1膜と接する第2膜を含み、
前記第1パターンを形成することは、
前記第2膜に前記第1膜を露出する前記凹部を形成し、
前記第2膜に前記傾斜部を形成する、
ことを含む、請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
前記第1パターンを形成することは、
前記第2膜の上に前記第2膜を露出する凹部を有する第2樹脂層を形成し、
前記第2樹脂層をマスクとして前記第2層の一部を除去し、
前記第2膜の上に傾斜を有する第1樹脂層を形成し、
前記第2膜に前記傾斜を転写して前記傾斜部を形成する、
ことを含む、請求項9に記載のパターン形成方法。
【請求項11】
基板上に設けられた第1層の前記基板とは反対側の面に、傾斜部と前記傾斜部に設けられた凹部とを備える第1パターンを形成し、
前記第1層をマスクとして前記基板の一部を除去する第1のエッチングを行うことで前記基板に第2パターンを形成する、
ことを含む、テンプレートの製造方法。
【請求項12】
基板上に設けられた第1層の前記基板とは反対側の面に、傾斜部と前記傾斜部に設けられた凹部とを備える第1パターンを形成し、前記第1層をマスクとして前記基板の一部を除去する第1のエッチングを行うことで前記基板に第2パターンを形成する、ことを含む、パターン形成方法を用いて製造したテンプレートと、半導体基板上に複数の第3層と、複数の絶縁層とが交互に積層する積層体と、を準備し、
前記積層体を覆うように絶縁体を塗布し、
前記テンプレートを押印することで、前記絶縁体に前記複数の第3層の1つを露出する第1ホールと、前記第1ホールとは深さが異なり前記複数の第3層の他の1つを露出する第2ホールと、を形成し、
前記第1ホールと前記第2ホールに、導電体を形成すること、
を含む半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態はパターン形成方法、テンプレートの製造方法および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置として、NAND型フラッシュメモリを用いた半導体パッケージが知られている。このようなNAND型フラッシュメモリを大容量化するために、多くのメモリセルを積層した構成をとる3次元NAND型フラッシュメモリが実用化されている。それぞれのメモリセルに接続される複数の導電層は基板上に積層され、駆動回路などに接続される。
【0003】
基板上に積層される複数の導電層のそれぞれと接続するコンタクトは積層方向に多階調なパターンを有する。このため、多階調のテンプレートをレジストに押印してパターンを形成するナノインプリントリソグラフィが有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-120023号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2019/0074181号明細書
【特許文献3】米国特許第10274822号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2017/0263445号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2018/0224740号明細書
【特許文献6】米国特許第9147687号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示に係る実施形態は、製造効率および精度を向上したパターン形成方法、テンプレートの製造方法および半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係るパターン形成方法は、第1層と接する第2層の第1層とは反対側の面に、傾斜部に凹部を備える第1パターンを形成し、第2層をマスクとして第1層の一部を除去する第1のエッチングを行うことで第2パターンを形成する、ことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係るテンプレートのパターンの構成を示す断面図である。
図2】一実施形態に係るテンプレートのパターン形成方法を示す断面図である。
図3】一実施形態に係るテンプレートのパターン形成方法を示す断面図である。
図4】一実施形態に係るテンプレートのパターン形成方法を示す断面図である。
図5】一実施形態に係るテンプレートのパターン形成方法を示す断面図である。
図6】一実施形態に係るテンプレートのパターン形成方法を示す断面図である。
図7】一実施形態に係るテンプレートのパターン形成方法を示す断面図である。
図8】一実施形態に係る半導体装置の全体構成を示す斜視図である。
図9】一実施形態に係る半導体装置のメモリセル領域MCRとコンタクト領域HURの構成を示す斜視図である。
図10】一実施形態に係る半導体装置の積層配線構造体の構成を示す断面図である。
図11】一実施形態に係る半導体装置の積層配線構造体の製造方法を示す断面図である。
図12】一実施形態に係る半導体装置の積層配線構造体の製造方法を示す断面図である。
図13】一実施形態に係る半導体装置の積層配線構造体の製造方法を示す断面図である。
図14】一実施形態に係る半導体装置の積層配線構造体の製造方法を示す断面図である。
図15】一実施形態に係るテンプレートのパターンの構成を示す断面図である。
図16】一実施形態に係るテンプレートのパターン形成方法を示す断面図である。
図17】一実施形態に係るテンプレートのパターン形成方法を示す断面図である。
図18】一実施形態に係るテンプレートのパターン形成方法を示す断面図である。
図19】一実施形態に係るテンプレートのパターン形成方法を示す断面図である。
図20】一実施形態に係るテンプレートのパターン形成方法を示す断面図である。
図21】一実施形態に係る積層配線構造体の構成を示す断面図である。
図22】一実施形態に係る半導体装置の積層配線構造体の製造方法を示す断面図である。
図23】一実施形態に係る半導体装置の積層配線構造体の製造方法を示す断面図である。
図24】一実施形態に係る半導体装置の積層配線構造体の製造方法を示す断面図である。
図25】一実施形態に係る半導体装置の積層配線構造体の製造方法を示す断面図である。
図26】一実施形態に係るテンプレートのパターン形成方法を示す断面図である。
図27】一実施形態に係るテンプレートのパターン形成方法を示す断面図である。
図28】一実施形態に係るテンプレートのパターン形成方法を示す断面図である。
図29】一実施形態に係るテンプレートのパターン形成方法を示す断面図である。
図30】一実施形態に係るテンプレートのパターン形成方法を示す断面図である。
図31】一実施形態に係るテンプレートのパターン形成方法を示す断面図である。
図32】一実施形態に係るテンプレートのパターン形成方法を示す断面図である。
図33】一実施形態に係るテンプレートのパターン形成方法を示す断面図である。
図34】一実施形態に係るテンプレートのパターン形成方法を示す断面図である。
図35】一実施形態に係るテンプレートのパターン形成方法を示す断面図である。
図36】一実施形態に係るテンプレートのパターン形成方法を示す断面図である。
図37】一実施形態に係るテンプレートのパターン形成方法を示す断面図である。
図38】一実施形態に係るテンプレートのパターン形成方法を示す断面図である。
図39】一実施形態に係るテンプレートのパターン形成方法を示す断面図である。
図40】一実施形態に係るテンプレートのパターン形成方法を示す断面図である。
図41】一実施形態に係るテンプレートのパターン形成方法を示す断面図である。
図42】一実施形態に係るテンプレートのパターン形成方法を示す断面図である。
図43】一実施形態に係るテンプレートのパターン形成方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態に係るパターン形成方法、テンプレートの製造方法および半導体装置の製造方法について図面を参照して具体的に説明する。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する要素について、同一符号又は同一符号の後にアルファベットが追加された符号が付されており、必要な場合にのみ重複して説明する。以下に示す各実施形態は、この実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示する。一実施形態は、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。これら実施形態やその変形例は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0009】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図面において、既出の図面に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0010】
本明細書において「αはA、B又はC」を含む、といった表現は、特に明示が無い限り、αがA~Cの複数の組み合わせを含む場合を排除しない。さらに、これらの表現は、αが他の要素を含む場合も排除しない。
【0011】
本明細書において、水平とは基板の底面と平行な方向(XY方向)を指し、鉛直とは前記水平方向に対して略垂直な方向(Z方向)を指す場合がある。
【0012】
以下の各実施形態は、技術的な矛盾を生じない限り、互いに組み合わせることができる。
【0013】
以下の各実施形態では、パターンを形成する基板としてナノインプリントリソグラフィに用いるテンプレートを例示して説明するが、本開示の技術をテンプレート以外のパターンの形成にも適用することができる。また、以下の各実施形態では、テンプレートを用いた半導体装置の製造方法を例示して説明するが、本開示の技術を半導体装置以外の製造方法にも適用することができる。
<第1実施形態>
[テンプレートの構成]
図1は、テンプレート1の構成を示す断面図である。テンプレート1は、第1面Aにパターン2を有する。パターン2は、第1面Aの外周部A1より内側に形成される。すなわち、第1面Aの外周部A1は、第1面Aとは反対側の第2面Bと略平行である。しかしながらこれに限定されず、パターン2は、第1面Aの任意の領域に形成することができる。パターン2は、外周部A1の任意の2辺より内側に形成されることが好ましい。テンプレート1の材料は、例えば、クオーツである。しかしながらこれに限定されず、テンプレート1の材料は、例えば、シリコンなどであってもよい。
[パターンの構成]
パターン2は、傾斜部Cに凹部Dを備える。傾斜部Cは、第1面Aと凹部Dの底面Eと交差する仮想面(鎖線)を有する。仮想面(鎖線)の形状は略平面である。しかしながらこれに限定されず、仮想面(鎖線)は、第1面Aから凹部Dの底面Eまで、なだらかな曲面で交差してもよいし、2つ以上の平面で交差してもよいし、平面と曲面の組み合わせで交差してもよい。2つ以上の面で交差する場合、それぞれの面は異なる角度で交差してもよく、反対向きの傾斜を有していてもよい。仮想面(鎖線)は、第1面Aと凹部Dの底面Eとの間に位置すればよい。傾斜部Cの仮想面(鎖線)と凹部Dの底面Eとは鋭角に交差してもよい。底面Eと第1面Aとは側壁Gで接続される。側壁Gは、第1面Aおよび第2面Bに対して略垂直に底面Eと第1面Aとを接続する。
【0014】
傾斜部Cは凹部Dを備える。凹部Dは、側面Fおよび側面F同士を接続する底面Eを備える。凹部Dの側面Fは、第1面Aおよび第2面Bに対して略垂直に上面cを接続する。凹部Dの底面Eは、第1面Aおよび第2面Bに対して略平行な一面上で凹部Dの側面F同士を接続する。言い換えると、パターン2は、底面Eに複数の凸部Hを備える。凸部Hは、側面Fおよび側面F同士を接続する上面cを備える。凸部Hの側面Fは、第1面Aおよび第2面Bに対して略垂直に上面cを接続する。凸部Hの上面cは、仮想面(鎖線)に沿って凸部Hの側面F同士を接続する。すなわち、凸部Hの上面cは、第1面Aと同じ高さまたは第1面Aより低い。
【0015】
本実施形態に係るパターン2は、凹部Dの底面Eに高さ(階調)の異なる複数の凸部Hを備える。図1においては、1つの凹部Dに7つの凸部Hを示した。しかしながら凸部Hの数はとくに限定されず、パターン2は、凹部Dの底面Eに高さの異なる2つ以上の凸部Hを備えればよい。パターン2は、底面Eに凸部Hが配置されない領域があってもよい。本実施形態に係る凸部Hはいずれも円柱形状である。しかしながら凸部Hの形状はとくに限定されず、凸部Hは、角柱形状であってもよいし、壁形状であってもよい。例えば、凹部Dは、壁形状の凸部Hによって複数に分かれていてもよい。この場合、複数の凹部Dの底面Eは第1面Aおよび第2面Bに対して略平行な1面上に配置されればよい。なお図1では紙面左右方向に異なる高さの凸部Hを示したが、本実施形態に係るパターン2は紙面奥行き方向にも適用することもできる。
[パターンの形成方法]
図2図7を参照して、本実施形態に係るテンプレートの製造方法、特にテンプレートのパターンの形成方法について説明する。なお図2図7では紙面左右方向に異なる高さの凸部Hを形成する例を示すが、本実施形態に係るパターン2の形成方法は紙面奥行き方向にも適用することもできる。
【0016】
図2に示すように、第1層100、第2層200、および第3層300(第1樹脂層)がこの順に積層された積層体を準備する。積層体の製造方法は特に限定しない。第1層100、第2層200、および第3層300は、互いに接するように形成される。本実施形態において第1層100の材料はクオーツを例示したが、第1層100の材料はこれに限定されず、例えば、シリコンであってもよい。第2層200はハードマスクとして機能すればよく、第2層200の材料は、例えば、カーボンまたはシリコンを含む化合物であってもよい。または、第2層200の材料は、クロムまたはタンタルを含む金属化合物であってもよい。第3層300はレジストとして機能すればよく、第3層300の材料は、例えば、感光剤入りの樹脂であってもよい。
【0017】
第2層200と接する第3層300の第2層200とは反対側の面301に、傾斜部C3を形成する。傾斜部C3の形成方法はとくに限定しない。傾斜部C3は、例えば、ナノインプリントリソグラフィによって形成してもよく、フォトリソグラフィによって露光量に勾配をつけて形成してもよく、レーザ照射によってエネルギー量に勾配をつけて形成してもよい。傾斜部C3は、面301の外周部302より内側に形成される。すなわち、面301の外周部302は、第1層100の第2層200とは反対側の面Bと略平行である。しかしながらこれに限定されず、傾斜部C3は、面301の任意の領域に形成することができる。傾斜部C3は、外周部302の任意の2辺より内側に形成されることが好ましい。また、第3層300の面301には、傾斜部C3以外の構造が形成されてもよく、例えば、第2層200を露出する凹部などと組み合わされてもよい。
【0018】
図3に示すように、傾斜部C3を備える第3層300をマスクとして第2層200を加工する。第2層200には、第3層300と第2層200の加工速度(エッチングレート)で決定される傾斜部C2が転写される。例えば、第3層300のほうが第2層200より加工速度が大きければ、第2層200の第1層100と接する面202と傾斜部C2とのなす角度θ2は、第3層300の第2層200と接する面302と傾斜部C3とのなす角度θ3より小さくなる。例えば、第2層200のほうが第3層300より加工速度が大きければ、第2層200の面202と傾斜部C2とのなす角度θ2は、第3層300の面302と傾斜部C3とのなす角度θ3より大きくなる。
【0019】
図4に示すように、傾斜部C2を備える第2層200の上に、傾斜部C2を埋めるように第4層400(第2樹脂層)を形成する。第4層400はレジストとして機能すればよく、第4層400の材料は、例えば、感光剤入りの樹脂であってもよい。
【0020】
図5に示すように、第2層200と接する第4層400の第2層200とは反対側の面401に、凹部D4を形成する。凹部D4は、第2層200の傾斜部C2をストッパとして傾斜部C2の上に形成される。凹部D4は、第2層200の傾斜部C2を露出する。凹部D4の形成方法はとくに限定しない。凹部D4は、例えば、凹部D4の上面パターンを有するマスクを用いたフォトリソグラフィによって形成してもよい。
【0021】
図6に示すように、凹部D4を備える第4層400をマスクとして第2層200を加工する。第2層200の傾斜部C2には、第1層100の面Bとは反対側の面Aをストッパとして凹部D2が転写され、傾斜部C2に凹部D2を備えるパターン3が形成される。凹部D2は、凹部D2の底部に第1層100の面Aを露出する。第4層400の厚さは、この第4層400と第2層200の加工速度および第2層200の厚さによって適宜設定される。その後、残存した第4層400を剥離する。本実施形態に係るパターン形成方法は、第2層200の傾斜部C2に凹部D2を形成することで、第1層100の面Aの上に高さの異なる凸部H2を有するパターン3を形成することができる。
【0022】
図7に示すように、パターン3を備える第2層200をマスクとして第1層100を加工(第1のエッチング)する。パターン3の凹部D2によって露出される第1層100は、第1のエッチングによってエッチングされる。このとき、第2層200も、第1のエッチングによって減少する。第1のエッチングは、例えば、フッ素系の反応ガスを用いたRIEであってもよい。
【0023】
第1層100の面Aには、第1層100と第2層200の加工速度で決定される傾斜部Cに凹部Dを備えるパターン2が転写される。例えば、第1層100のほうが第2層200より加工速度が大きければ、凹部Dの底面Eと傾斜部Cとのなす角度θは、第2層200の面202と傾斜部C2とのなす角度θ2より大きくなり、面Aから底面Eまでの凹部Dの深さは、面201から面202までの凹部D2の深さより大きくなる。すなわち、パターン3を積層方向に拡張した、底面Eに高さの異なる凸部Hを有するパターン2を形成することができる。第2層200の厚さおよび第2層200の面202と傾斜部C2のなす角度θ2(パターン3の階調数)は、第1のエッチングにおける第1層100と第2層200の加工速度、パターン2の凹部Dまたは凸部Hの配置、凹部Dの底面Eと傾斜部Cのなす角度θ(パターン2の階調数)、底面Eから面Aまでの高さ(パターン2の高さ)、面Aから底面Eまでの凹部Dの深さ(パターン2の深さ)、および第1のエッチングにおける第1層100の加工量の制御精度などによって適宜設定される。その後、残存した第2層200を剥離することで、図1に示すテンプレート1を製造することができる。
【0024】
本実施形態に係るテンプレートの製造方法においては、凹部Dの底面Eに高さ(階調)の異なる複数の凸部Hを備えるパターン2の形成効率および精度を向上することができる。
[半導体装置の全体構成]
本実施形態に係る半導体装置の全体構成について、図8を用いて説明する。図8は本実施形態にかかる半導体装置10の各要素の配置を示した斜視図である。
【0025】
半導体装置10はNAND型フラッシュメモリ装置であり、半導体基板11上に形成される。半導体基板11上にはメモリセル領域MCRおよびコンタクト領域HURが区画されている。メモリセル領域MCRには3次元に積層された複数のメモリセルを含むメモリセルアレイ16が形成されている。具体的には、半導体基板11の表面に対して垂直方向にソース側セレクトゲートトランジスタ、多数(例えば64個)のメモリセルトランジスタ、及びドレイン側セレクトゲートトランジスタが直列に接続されてメモリストリングを構成している。なお、直列に接続された多数のメモリセルトランジスタの両端、または多数のメモリセルトランジスタ間の一部に、ダミーセルトランジスタを含んでも良い。メモリセルアレイ16は、各トランジスタに接続されたソース側セレクトゲート線、ワード線、ドレイン側セレクトゲート線となる複数の導電層が、それぞれ絶縁層を介して積層された積層体を含む。複数の導電層はコンタクト領域HURに延在して積層配線構造体17が形成されている。メモリセルアレイ16上には、図示しないビット線が設けられ、周辺回路18に接続される。積層配線構造体17上には、図示しない配線が設けられ、周辺回路18に接続される。
【0026】
半導体基板11上はさらに周辺回路領域PERが区画されている。周辺回路領域PERには周辺回路18が形成される。周辺回路18は、多数のCMOSトランジスタを有する。周辺回路18は、メモリセルに接続された各ワード線を駆動する駆動回路、各ワード線を選択するデコーダ回路、読出時にビット線電位をセンスするセンスアンプ、及び書込時にビット線に電圧を供給するビット線電位制御回路を含むカラム系回路等を有する。なお、図8において周辺回路領域PERの配線は省略する。半導体基板11は、チップ外部と信号のやりとりや電源の供給をうけるところのパッド列19を有する。
[メモリセル領域MCR及びコンタクト領域HURの構成]
図9は本実施形態に係る半導体装置のメモリセル領域MCRとコンタクト領域HURの構成を示す斜視図である。図が錯綜するのを防ぐため、導電性を有する部材を示し、絶縁性を有する部材を省略してある。図9で部材が示されていない部分には、二酸化シリコン等の絶縁材料を用いて絶縁されている。
【0027】
メモリセル領域MCRには、シリコン単結晶を用いた半導体基板11上にメモリセルアレイ16が形成されている。メモリセルアレイ16は、半導体基板11の表面に対して略平行に伸びる導電層71、導電層72、導電層73、および導電層74(導電層71から導電層74を区別しないときには導電層70とする)を有する。メモリセルアレイ16は、これら複数の導電層70がそれぞれ絶縁層を介して積層された積層体を有する。図中では導電層が4層しか示されていないが、33層、65層というようにさらに多数の層が積層される。これら導電層はトランジスタに接続されたソース側セレクトゲート線、ワード線、またはドレイン側セレクトゲート線に対応する。
【0028】
メモリセル領域MCRには、複数の導電層と複数の絶縁層とを貫通するメモリピラー40が形成される。メモリピラー40は円筒状であり、外周側から中心側に向かって、二酸化シリコン膜を含むブロック絶縁膜、窒化シリコン膜を含む電荷蓄積膜、二酸化シリコン膜を含むトンネル絶縁膜、アモルファス又は多結晶シリコン膜を含む半導体チャネル、二酸化シリコン膜が積層されている。セレクトゲート線、またはワード線に対応する導電層71、72、73、74と半導体チャネルの間に位置する電荷蓄積膜の一部は、キャリアをトラップする不揮発性のメモリセルの一部として機能する。
【0029】
コンタクト領域HURには、シリコン単結晶を用いた半導体基板11上に積層配線構造体17が形成されている。コンタクト領域HURにも、メモリセル領域MCRから延在する複数の絶縁層と複数の導電層とが形成されている。積層配線構造体17は、半導体基板11の表面に対して略平行に伸びる導電層71、導電層72、導電層73、および導電層74を有する。積層配線構造体17は、これら複数の導電層70がそれぞれ絶縁層を介して積層された積層体を有する。図中では導電層が4層しか示されていないが、33層、65層というようにさらに多数の層が積層されることは前述したとおりである。そして、これら複数の導電層70はコンタクト領域HURにおいては、ソース側セレクトゲート線、ワード線、またはドレイン側セレクトゲート線から引き出された配線に対応する。
【0030】
コンタクト領域HURにおいて、セレクトゲート線、またはワード線から引き出された配線に対応する導電層71、72、73、74は、下層の導電層の一部を露出するように階段構造に形成されている。導電層71、72、73、74は、階段構造で露出される領域においてそれぞれ対応するコンタクトプラグ51、52、53、54(ここでコンタクトプラグ51からコンタクトプラグ54を区別しないときにはコンタクトプラグ50とする)に接続される。ここで導電層71はコンタクトプラグ51に接続され、導電層72はコンタクトプラグ52に接続され、導電層73はコンタクトプラグ53に接続され、導電層74はコンタクトプラグ54に接続される。図中ではコンタクトプラグ50が4本しか示されていないが、例えば、複数の導電層と同じ数だけ配置される。各コンタクトプラグ50は、図示しない絶縁体を貫通するコンタクトホールを介して積層配線構造体17の上に引き出される。
[積層配線構造体の構成]
図10は、積層配線構造体17の構成を示す断面図である。積層配線構造体17は、半導体基板11上に積層された絶縁層31、導電層71、絶縁層32、導電層72、絶縁層33、導電層73、絶縁層34、導電層74、絶縁層35、導電層75、絶縁層36、導電層76、絶縁層37、導電層77(ここで導電層71から導電層77を区別しないときには導電層70とし、絶縁層31から絶縁層37を区別しないときには絶縁層30とする)を有する。複数の導電層70と複数の絶縁層30とはそれぞれ1層ずつ交互に、半導体基板11の主面に対して垂直な方向(積層方向)に周期的に積層されている。半導体基板11と最下層の導電層71との間にも絶縁層31が形成されている。最上層の導電層77の上には絶縁体60が形成されている。絶縁体60は絶縁層31から絶縁層37よりも積層方向に厚くてもよい。
【0031】
各々の導電層70は単層である。つまり、1層の導電層70について断面形状を観察した場合、導電層70の膜厚方向(Z方向)に単一の材料が連続していてよい。また、1層の導電層70内部に界面は存在しなくてよい。または、導電層70は、バリアメタル層と金属層の2層であってもよい。導電層70の材料は、例えば、タングステンであってもよい。バリアメタル層は、例えば、窒化チタン(TiN)または窒化タンタル(TaN)であってもよい。積層方向に隣接する導電層70は互いに絶縁されていればよく、絶縁層30の材料は例えば二酸化シリコン(SiO2)、TEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)などの酸化シリコンであってもよい。絶縁層30は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置を用いて堆積される。
【0032】
複数の導電層70および複数の絶縁層30はそれぞれ、下層の導電層70の一部を露出するように階段構造に形成されている。積層体の階段構造の上には階段構造を包埋する絶縁体60が形成されている。絶縁体60の材料は例えば二酸化シリコン(SiO2)、T
EOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)などの酸化シリコンであってもよい。
【0033】
絶縁体60には、導電層71から導電層77の一部を露出する複数のコンタクトホールCH1、CH2、CH3、CH4、CH5、CH6、CH7(ここでコンタクトホールCH1からコンタクトホールCH7を区別しないときにはコンタクトホールCHとする)が形成されている。コンタクトホールCHは、対応する導電層70まで、絶縁体60を貫通して形成されている。コンタクトホールCHは、階段構造において対応する導電層70を底部に露出する。すなわち、コンタクトホールCHはそれぞれ、半導体装置上面からの深さが異なる。
【0034】
コンタクトホールCH1からコンタクトホールCH7には、コンタクトプラグ51、52、53、54、55、56、57(ここでコンタクトプラグ51からコンタクトプラグ57を区別しないときにはコンタクトプラグ50とする)が形成される。コンタクトプラグ50はコンタクトホールCHの底部において対応する導電層70に接続される。各コンタクトプラグ50は、対応する導電層70の上に配置される絶縁体60を貫通するコンタクトホールCHを介して積層配線構造体17の上(基板11とは反対側)に引き出される。具体的には、コンタクトプラグ51はコンタクトホールCH1を介して導電層71と接続され、コンタクトプラグ52はコンタクトホールCH2を介して導電層72と接続され、コンタクトプラグ53はコンタクトホールCH3を介して導電層73と接続され、コンタクトプラグ54はコンタクトホールCH4を介して導電層74と接続され、コンタクトプラグ55はコンタクトホールCH5を介して導電層75と接続され、コンタクトプラグ56はコンタクトホールCH6を介して導電層76と接続され、コンタクトプラグ57はコンタクトホールCH7を介して導電層77と接続される。すなわち、各コンタクトホールCHおよび各コンタクトプラグ50はそれぞれ、絶縁体60上面からの長さが異なる。コンタクトプラグ50はいずれも円柱形であるが、コンタクトプラグ50の形状は特に限定しない。コンタクトプラグ50の材料は、例えば、タングステンなどの金属であってもよい。
【0035】
導電層70のコンタクトプラグ50が接続されるコンタクト領域には、コンタクトホールCHを形成するテンプレートの先端の形状に対応する境界70aがあってもよい。境界70aは、それぞれの導電層70の中(上面と下面の間)に配置されてもよい。それぞれのコンタクトプラグ50は、それぞれの導電層70の境界70aで接続する。
【0036】
本実施形態に係る半導体装置の積層配線構造体は、コンタクトプラグ50が導電層70の境界70aで接続することから、コンタクトプラグ50と導電層70の接触面積を増やすことができ、半導体装置の信頼性をさらに向上することができる。
[積層配線構造体の製造方法]
図11図14を参照して、本実施形態に係る半導体装置の積層配線構造体の製造方法、特に積層配線構造体のパターン形成方法について説明する。なお図11図14では紙面左右方向に異なる深さのコンタクトホールCHおよびコンタクトプラグ50を形成する例を示したが、本実施形態に係る半導体装置の積層配線構造体の製造方法は紙面奥行き方向に適用することもできる。
【0037】
図11に示すように、半導体基板11上に、絶縁層31、導電層71、絶縁層32、導電層72、絶縁層33、導電層73、絶縁層34、導電層74、絶縁層35、導電層75、絶縁層36、導電層76、絶縁層37、導電層77を順に成膜した、積層体を準備する。積層体の製造方法は特に限定しない。交互に積層された絶縁層30と導電層70とは互いに接するように形成される。複数の導電層70および複数の絶縁層30はそれぞれ、下層の導電層70の一部を露出するように階段構造に形成される。階段構造において導電層70が露出するコンタクト領域には、後述するコンタクトプラグ50が接続される。本実施形態において絶縁層30の材料はTEOS膜を例示したが、絶縁層30の材料はこれに限定されず、例えば二酸化シリコン(SiO2)であってもよい。導電層70の材料はタングステンを例示したが、導電層70はこれに限定されず、例えば、公知の半導体装置の製造方法において導電層に置き換える前の犠牲層であってもよく、窒化シリコン膜(SiN)やシリコンであってもよい。本実施形態において積層体は階段構造を有する構成を例示したが、これに限定されず、積層体は半導体基板11の水平後方において略同じサイズの絶縁層30と導電層70とが交互に積層されたべき乗コンタクト構造を有していてもよく、導電層70は導電層に置き換える前の犠牲層であってもよい。この場合、積層体は、後述する絶縁体60の加工とともに加工され、導電層70をコンタクト50が貫通する。
【0038】
積層体の上には、積層体の階段構造を覆うように絶縁体60を形成する。絶縁体60の材料は、例えば、酸化シリコンであってもよい。
【0039】
図12に示すように、絶縁体60の上に絶縁体80を塗布する。絶縁体80の材料は、例えば、レジストであり、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂であってもよい。また、絶縁体60と絶縁体80との間にハードマスク等の膜を形成してもよい。塗布した絶縁体80に、ナノインプリントリソグラフィによってコンタクトホールCH1、CH2、CH3、CH4、CH5、CH6、CH7のパターンを形成する。絶縁体80の上面は、ナノインプリントリソグラフィによって一部平坦化され、一部パターニングされる。ナノインプリントリソグラフィには、底面Eは平坦であり、底面Eに高さ(階調)の異なる複数の凸部Hを有するテンプレート1を用いる。テンプレート1の複数の凸部Hは、絶縁層30と導電層70の1層ずつの積層方向における厚みの和を1単位としてそれぞれ高さ(階調)が異なる。絶縁体80にテンプレート1を押印することによって、絶縁体80の上面は平坦化され、且つ深さの異なる複数のコンタクトホールCHのパターンが形成される。テンプレート1は、テンプレート1の面B(凸部を有する面とは反対側の面)と、半導体基板11の低面(積層体を有する面とは反対側の面)とが略平行になるように押印することが好ましい。コンタクトホールCHのパターンが押印された絶縁体80は、例えば、UV照射によって硬化してもよい。
【0040】
図13に示すように、テンプレート1を離型することによって、絶縁体80の上面は平坦化され、且つ深さの異なる複数のコンタクトホールCHのパターンが形成される。
【0041】
図14に示すように、深さの異なる複数のコンタクトホールCHのパターンを備える絶縁体80をマスクとして、絶縁体60を加工する。絶縁体80および絶縁体60の一部は、例えば、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching、RIE)のような異方性エッチングによって除去してもよい。絶縁体60には、絶縁体80の深さの異なる複数のコンタクトホールCHのパターンが転写される。形成されたコンタクトホールCH1、CH2、CH3、CH4、CH5、CH6、CH7は、それぞれ絶縁体60上面からの深さが異なる。コンタクトホールCHの底部(コンタクト領域)は、導電層70を露出する。このとき、絶縁体80および絶縁体60の加工とともに、導電層70も一部、除去されてもよい。コンタクト領域の導電層70には、コンタクトホールCHを形成するテンプレートの先端の形状に対応するパターン(凹部)が形成されてもよい。しかしながらこれに限定されず、導電層70はストッパとして機能し、導電層70の平坦な上面を露出してもよい。
【0042】
底部に対応する導電層70を露出するコンタクトホールCHには、例えばタングステンなどの金属(導電体)を埋め込むことで、図10に示すコンタクトプラグ50が形成される。
【0043】
本実施形態に係る半導体装置の積層配線構造体の製造方法においては、本実施形態に係るテンプレート1を用いたナノインプリントリソグラフィによって絶縁体60に深さ(階調)の異なるコンタクトホールCHを1度にパターニングすることができ、製造効率および精度を向上することができる。本実施形態に係るテンプレート1が仮想面(鎖線)に沿った凸部Hの上面cを有することから、テンプレート1を押印するときに応力が少なくなり、アライメントがより取りやすくなる。本実施形態に係るテンプレート1が仮想面(鎖線)に沿った凸部Hの上面cを有することから、導電層70のコンタクト領域に対応するパターン(凹部)を形成することができ、コンタクトプラグ50が嵌合することによって接触面積を増やすことができ、半導体装置の信頼性と歩留まりをさらに向上することができる。
<第2実施形態>
本実施形態に係るテンプレートの構成は、パターンの凸部の上面の形状以外、第1実施形態に係るテンプレートの構成と同じである。本実施形態に係るテンプレートのパターンの形成方法は、第2層200に傾斜部C2に凹部D2を備えるパターン3を形成するところまで、第1実施形態に係るテンプレートのパターンの形成方法と同じである。本実施形態に係る積層配線構造体の構成は、コンタクトプラグと導電層の接触部の形状以外、第1実施形態に係る積層配線構造体の構成と同じである。本実施形態に係る積層配線構造体の製造方法は、コンタクトプラグと導電層の接触部の形状以外、第1実施形態に係る積層配線構造体の製造方法と同じである。第1実施形態と同じである説明は省略し、ここでは第1実施形態と相違する部分について説明する。
[パターンの構成]
図15は、テンプレート1aの構成を示す断面図である。テンプレート1aは、第1面Aにパターン2aを有する。パターン2aは、傾斜部Cに凹部Dを備える。傾斜部Cは、第1面Aと凹部Dの底面Eと交差する仮想面(鎖線)を有する。仮想面(鎖線)の形状は略平面である。傾斜部Cの仮想面(鎖線)と凹部Dの底面Eとは鋭角に交差してもよい。底面Eと第1面Aとは側壁Gで接続される。側壁Gは、第1面Aおよび第2面Bに対して略垂直に底面Eと第1面Aとを接続する。
【0044】
傾斜部Cは凹部Dを備える。凹部Dは、側面Fおよび側面F同士を接続する底面Eを備える。凹部Dの側面Fは、第1面Aおよび第2面Bに対して略垂直に上面c2を接続する。凹部Dの底面Eは、第1面Aおよび第2面Bに対して略平行な一面上で凹部Dの側面F同士を接続する。言い換えると、パターン2aは、底面Eに複数の凸部Haを備える。凸部Haは、側面Fおよび側面F同士を接続する上面c2を備える。凸部Haの側面Fは、第1面Aおよび第2面Bに対して略垂直に上面c2を接続する。凸部Haの上面c2の少なくとも一部は、仮想面(鎖線)に沿って配置される。すなわち、凸部Hの上面c2は、第1面Aと同じ高さまたは第1面Aより低い。
[パターンの形成方法]
図16図20を参照して、本実施形態に係るテンプレートの製造方法、特にテンプレートのパターンの形成方法について説明する。
【0045】
本実施形態に係るテンプレートのパターンの形成方法は、第2層200に傾斜部C2に凹部D2を備えるパターン3を形成するところまでは第1実施形態に係るテンプレートのパターンの形成方法(図2から図6)と同じであることから繰り返しの説明はここでは省略する。
【0046】
図16に示すように、パターン3を備える第2層200をマスクとして第1層100の一部を除去する加工(第1のエッチング)をする。パターン3の凹部D2によって露出される第1層100は、第1のエッチングによってエッチングされる。このとき、第2層200も、第1のエッチングによって減少する。第1のエッチングは、例えば、フッ素系の反応ガスを用いたRIEであってもよい。第1のエッチングによって、傾斜部C2の最も低い位置の凸部H2が除去されて第1層100が露出する前に、第1のエッチングを停止する。すなわち、第1のエッチングによって、最も薄い第2層200が除去されて第1層100が露出する前に、第1のエッチングを停止する。
【0047】
図17に示すように、第1層100をストッパとしてパターン3を備える第2層200の一部を除去する加工(第2のエッチング)をする。第2のエッチングは、例えば、塩素系の反応ガスを用いたRIEであってもよい。第2のエッチングによって、傾斜部C2の最も低い位置の凸部H2が除去されて第1層100の第1面Aが露出する。すなわち、第2のエッチングによって、最も薄い第2層200が除去されて第1層100の第1面Aが露出する。第2層200が除去されたあとには第1層100の凸部h1が形成される。
【0048】
図18に示すように、パターン3の一部を備える残りの第2層200をマスクとして、再び第1層100の一部を除去する加工(第1のエッチング)をする。パターン3の凹部D2によって露出される第1層100は、第1のエッチングによってエッチングされる。第2層200が除去されたあとの凸部h1も、第1のエッチングによって第1面Aと略平行にエッチングされる。このとき、第2層200も、第1のエッチングによって減少する。第1のエッチングによって、傾斜部C2の2番目に低い位置の凸部H2が除去されて第1層100が露出する前に、第1のエッチングを停止する。すなわち、第1のエッチングによって、2番目に薄い第2層200が除去されて第1層100が露出する前に、第1のエッチングを停止する。
【0049】
図19に示すように、パターン3の一部を備える残りの第2層200の一部を除去する加工(第2のエッチング)をする。第2のエッチングによって、傾斜部C2の2番目に低い位置の凸部H2が除去されて第1層100の第1面Aが露出する。すなわち、第2のエッチングによって、2番目に薄い第2層200が除去されて第1層100の第1面Aが露出する。第2層200が除去されたあとには第1層100の凸部h2が形成される。
【0050】
図20に示すように、第1のエッチングと第2のエッチングをパターン3の階調数だけ繰り返すことによって、第1層100の面Aには、第1層100と第2層200の加工速度で決定される傾斜部Cに凹部Dを備えるパターン2aが転写される。例えば、第1層100のほうが第2層200より加工速度が大きければ、凹部Dの底面Eと傾斜部Cとのなす角度θは、第2層200の面202と傾斜部C2とのなす角度θ2より大きくなり、面Aから底面Eまでの凹部Dの深さは、面201から面202までの凹部D2の深さより大きくなる。すなわち、パターン3を積層方向に拡張した、底面Eに高さの異なる凸部Haを有するパターン2aを形成することができる。第2層200の厚さおよび第2層200の面202と傾斜部C2のなす角度θ2(パターン3の階調数)は、第1のエッチングにおける第1層100と第2層200の加工速度、パターン2aの凹部Dまたは凸部Haの配置、凹部Dの底面Eと傾斜部Cのなす角度θ(パターン2aの階調数)、底面Eから面Aまでの高さ(パターン2aの高さ)、面Aから底面Eまでの凹部Dの深さ(パターン2aの深さ)、第1のエッチングにおける第1層100の加工量の制御精度、第2のエッチングにおける第1層100と第2層200の加工速度、および第2のエッチングにおける第2層200の加工量バッファなどによって適宜設定される。その後、残存した第2層200を剥離することで、図15に示すテンプレート1aを製造することができる。
【0051】
本実施形態に係るテンプレートの製造方法においては、凹部Dの底面Eに高さ(階調)の異なる複数の凸部Haを備えるパターン2aの形成効率および精度を向上することができる。
[積層配線構造体の構成]
図21は、積層配線構造体の構成を示す断面図である。本実施形態に係る積層配線構造体の構成は、コンタクトプラグと導電層の接触部の形状以外、第1実施形態に係る積層配線構造体の構成と同じであることから繰り返しの説明はここでは省略する。
【0052】
積層配線構造体17は、半導体基板11上に積層された複数の導電層70と複数の絶縁層30を有する。複数の導電層70と複数の絶縁層30とはそれぞれ1層ずつ交互に、半導体基板11の主面に対して垂直な方向(積層方向)に周期的に積層されている。半導体基板11と最下層の導電層71との間にも絶縁層31が形成されている。最上層の導電層77の上には絶縁体60が形成されている。複数の導電層70および複数の絶縁層30はそれぞれ、下層の導電層70の一部を露出するように階段構造に形成されている。積層体の階段構造の上には階段構造を包埋する絶縁体60が形成されている。
【0053】
絶縁体60には、導電層71から導電層77の一部を露出する複数のコンタクトホールCHが形成されている。コンタクトホールCHは、対応する導電層70まで、絶縁体60を貫通して形成されている。コンタクトホールCHは、階段構造において対応する導電層70を底部に露出する。すなわち、コンタクトホールCHはそれぞれ、半導体装置上面からの深さが異なる。
【0054】
コンタクトホールCHには、コンタクトプラグ50が形成される。コンタクトプラグ50はコンタクトホールCHの底部において対応する導電層70に接続される。各コンタクトプラグ50は、対応する導電層70の上に配置される絶縁体60を貫通するコンタクトホールCHを介して積層配線構造体17の上(基板11とは反対側)に引き出される。各コンタクトホールCHおよび各コンタクトプラグ50はそれぞれ、絶縁体60上面からの長さが異なる。導電層70のコンタクト領域には、コンタクトプラグ50が接続される。それぞれのコンタクトプラグ50は、それぞれの導電層70の上面に接続される。
【0055】
本実施形態に係る半導体装置の積層配線構造体は、コンタクトプラグ50が導電層70の上面に接続することから、半導体装置の信頼性を向上することができる。
[積層配線構造体の製造方法]
図22図25を参照して、本実施形態に係る半導体装置の積層配線構造体の製造方法、特に積層配線構造体のパターン形成方法について説明する。本実施形態に係る積層配線構造体の製造方法は、コンタクトプラグと導電層の接触部の形状以外、第1実施形態に係る積層配線構造体の構成と同じであることから繰り返しの説明はここでは省略する。
【0056】
図22に示すように、半導体基板11上に、導電層70および絶縁層30を交互に成膜した積層体を準備する。交互に積層された絶縁層30と導電層70とは互いに接するように形成される。複数の導電層70および複数の絶縁層30はそれぞれ、下層の導電層70の一部を露出するように階段構造に形成される。階段構造において導電層70が露出するコンタクト領域には、後述するコンタクトプラグ50が接続される。積層体の上には、積層体の階段構造を覆うように絶縁体60を形成する。
【0057】
図23に示すように、絶縁体60の上に絶縁体80を塗布する。塗布した絶縁体80に、ナノインプリントリソグラフィによってコンタクトホールCH1、CH2、CH3、CH4、CH5、CH6、CH7のパターンを形成する。絶縁体80の上面は、ナノインプリントリソグラフィによって一部平坦化され、一部パターニングされる。ナノインプリントリソグラフィには、底面Eは平坦であり、底面Eに高さ(階調)の異なる複数の凸部Haを有するテンプレート1aを用いる。テンプレート1aの複数の凸部Haは、絶縁層30と導電層70の1層ずつの積層方向における厚みの和を1単位としてそれぞれ高さ(階調)が異なる。絶縁体80にテンプレート1aを押印することによって、絶縁体80の上面は平坦化され、且つ深さの異なる複数のコンタクトホールCHのパターンが形成される。テンプレート1aは、テンプレート1aの面B(凸部を有する面とは反対側の面)と、半導体基板11の低面(積層体を有する面とは反対側の面)とが略平行になるように押印することが好ましい。コンタクトホールCHのパターンが押印された絶縁体80は、例えば、UV照射によって硬化してもよい。
【0058】
図24に示すように、テンプレート1aを離型することによって、絶縁体80の上面は平坦化され、且つ深さの異なる複数のコンタクトホールCHのパターンが形成される。
【0059】
図25に示すように、深さの異なる複数のコンタクトホールCHのパターンを備える絶縁体80をマスクとして、絶縁体60を加工する。絶縁体80および絶縁体60の一部は、例えば、RIEのような異方性エッチングによって除去してもよい。絶縁体60には、絶縁体80の深さの異なる複数のコンタクトホールCHのパターンが転写される。形成されたコンタクトホールCH1、CH2、CH3、CH4、CH5、CH6、CH7は、それぞれ絶縁体60上面からの深さが異なる。コンタクトホールCHの底部(コンタクト領域)は、導電層70の上面を露出する。
【0060】
底部に対応する導電層70を露出するコンタクトホールCHには、例えばタングステンなどの金属を埋め込むことで、図21に示すコンタクトプラグ50が形成される。
【0061】
本実施形態に係る半導体装置の積層配線構造体の製造方法においては、本実施形態に係るテンプレート1aを用いたナノインプリントリソグラフィによって絶縁体60に深さ(階調)の異なるコンタクトホールCHを1度にパターニングすることができ、製造効率および精度を向上することができる。本実施形態に係るテンプレート1aは、導電層70のコンタクト領域と略平行な凸部Hの上面cを有することから、良好なコンタクトをとることができ、半導体装置の信頼性を向上することができる。
<第3実施形態>
本実施形態に係るテンプレートの構成は、第2実施形態に係るテンプレートの構成と同じである。本実施形態に係るテンプレートのパターンの形成方法は、第2層200が第1膜210と第2膜220を含むこと以外、第2実施形態に係るテンプレートのパターンの形成方法と同じである。本実施形態に係る積層配線構造体の構成は、第2実施形態に係る積層配線構造体の構成と同じである。本実施形態に係る積層配線構造体の製造方法は、第2実施形態に係る積層配線構造体の構成と同じである。第1実施形態および第2実施形態と同じである説明は省略し、ここでは第1実施形態および第2実施形態と相違する部分について説明する。
[パターンの形成方法]
図26図36を参照して、本実施形態に係るテンプレートの製造方法、特にテンプレートのパターンの形成方法について説明する。なお図26図36では紙面左右方向に異なる高さの凸部Hを形成する例を示すが、本実施形態に係るパターン2aの形成方法は紙面奥行き方向にも適用することもできる。
【0062】
図26に示すように、第1層100、第2層200、および第3層300がこの順に積層された積層体を準備する。積層体の製造方法は特に限定しない。第1層100、第2層200、および第3層300は、互いに接するように形成される。第2層200は、第1層100と接する第1膜210と、第1膜210と接する第2膜220と、を含む。本実施形態において第1膜210はハードマスクとして機能すればよく、第1膜210の材料は、例えば、クロムまたはタンタルを含む金属化合物であってもよい。第2膜220もハードマスクとして機能すればよく、第2膜220の材料は、例えば、カーボンまたはシリコンを含む化合物であってもよい。
【0063】
第2膜220と接する第3層300の第2膜220とは反対側の面301に、傾斜部C3を形成する。傾斜部C3の形成方法は、第2実施形態と同様であることからここでは省略する。
【0064】
図27に示すように、傾斜部C3を備える第3層300をマスクとして第2層200の第2膜220を加工する。第2膜220には、第3層300と第2膜220の加工速度で決定される傾斜部C2が転写される。例えば、第3層300のほうが第2膜220より加工速度が大きければ、第2膜220の第1膜210と接する面222と傾斜部C2とのなす角度θ2は、第3層300の第2層200と接する面302と傾斜部C3とのなす角度θ3より小さくなる。例えば、第2膜220のほうが第3層300より加工速度が大きければ、第2膜220の面222と傾斜部C2とのなす角度θ2は、第3層300の面302と傾斜部C3とのなす角度θ3より大きくなる。
【0065】
図28に示すように、傾斜部C2を備える第2膜220の上に、傾斜部C2を埋めるように第4層400を形成する。
【0066】
図29に示すように、第2膜220と接する第4層400の第2膜220とは反対側の面401に、凹部D4を形成する。凹部D4は、第2膜220の傾斜部C2をストッパとして傾斜部C2の上に形成される。凹部D4は、第2膜220の傾斜部C2を露出する。
【0067】
図30に示すように、凹部D4を備える第4層400をマスクとして第2膜220を加工する。第2膜220の傾斜部C2には、第1膜210をストッパとして凹部D2が転写され、傾斜部C2に凹部D2を備えるパターン3が形成される。凹部D2は、凹部D2の底部に第1膜210を露出する。第4層400の厚さは、この第4層400と第2膜220の加工速度および第2膜220の厚さによって適宜設定される。その後、残存した第4層400を剥離する。本実施形態に係るパターン形成方法は、第2膜220の傾斜部C2に凹部D2を形成することで、第1膜210の上に高さの異なる凸部H2を有するパターン3を形成することができる。
【0068】
図31に示すように、パターン3を備える第2膜220をマスクとして第1膜210を加工する。パターン3の凹部D2によって露出される第1膜210は、第1層100をストッパとしたエッチングによって除去される。このとき、第2膜220も、エッチングによって減少する。本エッチングの第1膜210の加工量は、第2膜220の加工量より多い。すなわち、第1膜210は第2膜220より本エッチングにおける加工速度が大きい。第1膜210が一部除去されることによって、パターン3の凹部D2の下に第1層100を露出する。
【0069】
図32に示すように、パターン3を備える第2膜220をマスクとして第1層100の一部を除去する加工(第1のエッチング)をする。パターン3の凹部D2によって露出される第1層100は、第1のエッチングによってエッチングされる。このとき、第2膜220も、第1のエッチングによって減少する。第1のエッチングは、例えば、フッ素系の反応ガスを用いたRIEであってもよい。第1のエッチングによって、傾斜部C2の最も低い位置の凸部H2が除去されて第1膜210が露出する。すなわち、第1のエッチングによって、最も薄い第2膜220が除去されて第1膜210が露出する。第1のエッチングの第2膜220の加工量は、第1膜210の加工量より多い。すなわち、第2膜220は第1膜210より第1のエッチングにおける加工速度が大きい。
【0070】
図33に示すように、第1層100をストッパとして第1のエッチングによって露出した第1膜210を除去する加工(第3のエッチング)をする。第3のエッチングの第1膜210の加工量は、第2膜220の加工量より多い。すなわち、第1膜210は第2膜220より第3のエッチングにおける加工速度が大きい。第3のエッチングの第1膜210の加工量は、第1層100の加工量より多い。すなわち、第1膜210は第1層100より第3のエッチングにおける加工速度が高い。第3のエッチングは、例えば、塩素系の反応ガスを用いたRIEであってもよい。第3のエッチングによって、第1のエッチングによって露出した第1膜210が除去されて第1層100の第1面Aが露出する。第1膜210が除去されたあとには第1層100の凸部h1が形成される。
【0071】
図34に示すように、パターン3の一部を備える残りの第2膜220をマスクとして、再び第1層100の一部を除去する加工(第1のエッチング)をする。パターン3の凹部D2によって露出される第1層100は、第1のエッチングによってエッチングされる。第1膜210が除去されたあとの凸部h1も、第1のエッチングによって第1面Aと略平行にエッチングされる。このとき、第2膜220も、第1のエッチングによって減少する。第1のエッチングによって、傾斜部C2の2番目に低い位置の凸部H2が除去されて第1膜210が露出する。すなわち、第1のエッチングによって、2番目に薄い第2膜220が除去されて第1膜210が露出する。
【0072】
図35に示すように、第1層100をストッパとして第1のエッチングによって露出した第1膜210を除去する加工(第3のエッチング)をする。第3のエッチングによって、第1のエッチングによって露出した第1膜210が除去されて第1層100の第1面Aが露出する。第1膜210が除去されたあとには第1層100の凸部h2が形成される。
【0073】
図36に示すように、第1のエッチングと第3のエッチングをパターン3の階調数だけ繰り返すことによって、第1層100の面Aには、第1層100と第2膜220の加工速度で決定される傾斜部Cに凹部Dを備えるパターン2aが転写される。例えば、第1層100のほうが第2膜220より加工速度が大きければ、凹部Dの底面Eと傾斜部Cとのなす角度θは、第2膜220の面222と傾斜部C2とのなす角度θ2より大きくなり、面Aから底面Eまでの凹部Dの深さは、面221から面222までの凹部D2の深さより大きくなる。すなわち、パターン3を積層方向に拡張した、底面Eに高さの異なる凸部Haを有するパターン2aを形成することができる。第2膜220の厚さおよび第2膜220の面222と傾斜部C2のなす角度θ2(パターン3の階調数)は、第1のエッチングにおける第1層100と第2膜220の加工速度、パターン2aの凹部Dまたは凸部Haの配置、凹部Dの底面Eと傾斜部Cのなす角度θ(パターン2aの階調数)、底面Eから面Aまでの高さ(パターン2aの高さ)、面Aから底面Eまでの凹部Dの深さ(パターン2aの深さ)、第1のエッチングにおける第1層100の加工量の制御精度、第3のエッチングにおける第1層100と第1膜210と第2膜220の加工速度、第3のエッチングにおける第2膜220の加工量バッファなどによって適宜設定される。その後、残存した第1膜210および第2膜220を剥離することで、図15に示すテンプレート1aを製造することができる。
【0074】
本実施形態に係るテンプレートの製造方法においては、凹部Dの底面Eに高さ(階調)の異なる複数の凸部Haを備えるパターン2aの形成効率および精度を向上することができる。
<第4実施形態>
本実施形態に係るテンプレートの構成は、第2実施形態に係るテンプレートの構成と同じである。本実施形態に係るテンプレートのパターンの形成方法は、第2膜220のパターンの形成方法以外、第3実施形態に係るテンプレートのパターンの形成方法と同じである。本実施形態に係る積層配線構造体の構成は、第2実施形態に係る積層配線構造体の構成と同じである。本実施形態に係る積層配線構造体の製造方法は、第2実施形態に係る積層配線構造体の構成と同じである。第1実施形態から第3実施形態と同じである説明は省略し、ここでは第1実施形態から第3実施形態と相違する部分について説明する。
[パターンの形成方法]
図37図42を参照して、本実施形態に係るテンプレートの製造方法、特にテンプレートのパターンの形成方法について説明する。なお図37図42では紙面左右方向に異なる高さの凸部Hを形成する例を示すが、本実施形態に係るパターン2aの形成方法は紙面奥行き方向にも適用することもできる。
【0075】
図37に示すように、第1層100、第2層200、および第4層400がこの順に積層された積層体を準備する。積層体の製造方法は特に限定しない。第1層100、第2層200、および第4層400は、互いに接するように形成される。第2層200は、第1層100と接する第1膜210と、第1膜210と接する第2膜220と、を含む。
【0076】
図38に示すように、第2膜220と接する第4層400の第2膜220とは反対側の面401に、凹部D4を形成する。凹部D4は、第2膜220をストッパとして第2膜220の上に形成される。凹部D4は、第2膜220を露出する。
【0077】
図39に示すように、凹部D4を備える第4層400をマスクとして第2膜220を加工する。第2膜220には、第1膜210をストッパとして凹部D2が転写される。凹部D2は、凹部D2の底部に第1膜210を露出する。第4層400の厚さは、この第4層400と第2膜220の加工速度および第2膜220の厚さによって適宜設定される。その後、残存した第4層400を剥離する。
【0078】
図40に示すように、凹部D2を備える第2膜220の上に、凹部D2を埋めるように第3層300を形成する。
【0079】
図41に示すように、第2膜220と接する第3層300の第2膜220とは反対側の面301に、傾斜部C3を形成する。傾斜部C3の形成方法は、第2実施形態と同様であることからここでは省略する。
【0080】
図42に示すように、傾斜部C3を備える第3層300をマスクとして凹部D2を備える第2膜220を加工する。第2膜220には、第3層300と第2膜220の加工速度で決定される傾斜部C2が転写され、凹部D2に傾斜部C2を備えるパターン3が形成される。例えば、第3層300のほうが第2膜220より加工速度が大きければ、第2膜220の第1膜210と接する面222と傾斜部C2とのなす角度θ2は、第3層300の第2膜220と接する面302傾斜部C3とのなす角度θ3より小さくなる。例えば、第2膜220のほうが第3層300より加工速度が大きければ、第2膜220の面222と傾斜部C2とのなす角度θ2は、第3層300の面302と傾斜部C3とのなす角度θ3より大きくなる。本実施形態に係るパターン形成方法は、第2膜220の凹部D2に傾斜部C2を形成することで、第1膜210の上に高さの異なる凸部H2を有するパターン3を形成することができる。
【0081】
図43に示すように、パターン3を備える第2膜220をマスクとして第1膜210を加工する。パターン3の凹部D2によって露出される第1膜210は、第1層100をストッパとしたエッチングによって除去される。このとき、第2膜220も、エッチングによって減少する。本エッチングの第1膜210の加工量は、第2膜220の加工量より多い。すなわち、第1膜210は第2膜220より本エッチングにおける加工速度が大きい。第1膜210が一部除去されることによって、パターン3の凹部D2の下に第1層100を露出する。
【0082】
第1層100の面Aに、第1層100と第2膜220の加工速度で決定される傾斜部Cに凹部Dを備えるパターン2aを形成する方法は、第3実施形態に係るテンプレートのパターンの形成方法(図30から図34)と同じであることから繰り返しの説明はここでは省略する。残存した第1膜210および第2膜220を剥離することで、図14に示すテンプレート1aを製造することができる。
【0083】
本実施形態に係るテンプレートの製造方法においては、凹部Dの底面Eに高さ(階調)の異なる複数の凸部Haを備えるパターン2aの形成効率および精度を向上することができる。
【0084】
以上、本発明について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本実施形態の半導体装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。さらに、上述した各実施形態は、相互に矛盾がない限り適宜組み合わせが可能であり、各実施形態に共通する技術事項については、明示の記載がなくても各実施形態に含まれる。
【0085】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0086】
1:テンプレート、2:パターン、3:パターン、10:半導体装置、11:半導体基板、16:メモリセルアレイ、17:積層配線構造体、18:周辺回路、19:パッド列、30:絶縁層、40:メモリピラー、50:コンタクトプラグ、60:絶縁体、70:導電層、70a:凹部、100:第1層、200:第2層、210:第1膜、220:第2膜、300:第3層、400:第4層
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