(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001823
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/131 20210101AFI20231227BHJP
H01M 50/121 20210101ALI20231227BHJP
【FI】
H01M50/131
H01M50/121
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100725
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川口 俊介
(72)【発明者】
【氏名】小川 止
【テーマコード(参考)】
5H011
【Fターム(参考)】
5H011AA02
5H011DD13
(57)【要約】
【課題】二次電池の放熱性能を向上させる。
【解決手段】扁平な正極集電体の少なくとも一の面に正極活物質層が形成された正極と、扁平な負極集電体の少なくとも一の面に負極活物質層が形成された負極とを、固体電解質を含む電解質層を介して交互に積層してなる発電要素と、発電要素と電気的に接続された扁平な電極タブと、発電要素及び電極タブを、電極タブの一部が外部に導出された状態で収容する外装材と、を含んで構成される二次電池において、発電要素の少なくとも一方の積層方向最外部にある正極または負極の集電体と外装材との間に、集電体及び外装材と接する伝熱部材を備え、伝熱部材は、熱伝導性を有する樹脂により形成され、かつ、その一部が電極タブに接着されていることを特徴とする、二次電池。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平な正極集電体の少なくとも一の面に正極活物質層が形成された正極と、扁平な負極集電体の少なくとも一の面に負極活物質層が形成された負極とを、固体電解質を含む電解質層を介して交互に積層してなる発電要素と、
前記発電要素と電気的に接続された扁平な電極タブと、
前記発電要素及び前記電極タブを、前記電極タブの一部が外部に導出された状態で収容する外装材と、
を含んで構成される二次電池において、
前記発電要素の少なくとも一方の積層方向最外部にある正極または負極の集電体と前記外装材との間に、前記集電体及び前記外装材と接する伝熱部材を備え、
前記伝熱部材は、熱伝導性を有する樹脂により形成され、かつ、その一部が前記電極タブに接着されていることを特徴とする、二次電池。
【請求項2】
請求項1に記載の二次電池において、
前記発電要素の一方の積層方向最外部にある正極または負極の集電体と前記外装材との間と、前記発電要素の他方の積層方向最外部にある負極または正極の集電体と前記外装材との間と、にそれぞれ前記伝熱部材を備え、
一方の積層方向最外部側に設けた前記伝熱部材を第1伝熱部材、他方の積層方向最外部側に設けた前記伝熱部材を第2伝熱部材としたときに、前記第1伝熱部材は前記電極タブの一方の面に接続され、前記第2伝熱部材は前記電極タブの他方の面に接続されている、二次電池。
【請求項3】
請求項2に記載の二次電池において、
前記第1伝熱部材と前記電極タブとの接続部と、前記第2伝熱部材と前記電極タブとの接続部とが、積層方向に直交する方向にオフセットしている、二次電池。
【請求項4】
請求項1に記載の二次電池において、
前記伝熱部材は、正極及び負極の両方の前記電極タブに接着されている、二次電池。
【請求項5】
請求項1に記載の二次電池において、
前記発電要素と正極及び負極の前記電極タブとは、正極及び負極の集電体と一体に又は別体として形成された集電タブの一部がそれぞれ正極及び負極の前記電極タブに面接合されることによって電気的に接続され、
前記伝熱部材と前記電極タブとの接着領域は、前記電極タブの前記外装材内部に露出する一方の面の、前記集電タブと前記電極タブとの接合領域を含む全域にわたる、二次電池。
【請求項6】
請求項5に記載の二次電池において、
前記伝熱部材を、前記電極タブに接着される接着部と、積層方向最外部の前記集電体と接する受熱部と、前記接着部と前記受熱部との間の中間部とに分けたとき、
前記中間部に、積層方向最外部の前記集電体と前記電極タブとを接続する前記集電タブが密着している、二次電池。
【請求項7】
請求項1に記載の二次電池において、
前記伝熱部材は、前記電極タブへの接着部分の積層方向寸法が、積層方向最外部の前記集電体と接する部分の積層方向寸法よりも大きい、二次電池。
【請求項8】
請求項1に記載の二次電池において、
前記発電要素の一方の積層方向最外部にある正極または負極の集電体と前記外装材との間と、前記発電要素の他方の積層方向最外部にある負極または正極の集電体と前記外装材との間と、にそれぞれ前記伝熱部材を備え、
一方の積層方向最外部側に設けた前記伝熱部材を第1伝熱部材、他方の積層方向最外部側に設けた前記伝熱部材を第2伝熱部材としたときに、前記第1伝熱部材は正極及び負極の前記電極タブそれぞれの一方の面に接続され、前記第2伝熱部材は正極及び負極の前記電極タブそれぞれの他方の面に接続されている、二次電池。
【請求項9】
請求項1に記載の二次電池において、
前記発電要素の一方の積層方向最外部にある正極または負極の集電体と前記外装材との間と、前記発電要素の他方の積層方向最外部にある負極または正極の集電体と前記外装材との間と、にそれぞれ前記伝熱部材を備え、
一方の積層方向最外部側に設けた前記伝熱部材を第1伝熱部材、他方の積層方向最外部側に設けた前記伝熱部材を第2伝熱部材としたときに、前記第1伝熱部材は正極または負極の前記電極タブのいずれか一方に接続され、前記第2伝熱部材は正極または負極の前記電極タブのいずれか他方に接続されている、二次電池。
【請求項10】
請求項1に記載の二次電池において、
前記伝熱部材を、前記電極タブに接着される接着部と、積層方向最外部の前記集電体と接する受熱部と、前記接着部と前記受熱部との間の中間部とに分け、
積層方向に直交し、かつ、前記電極タブと前記発電要素とが並ぶ方向に直交する方向を幅方向としたとき、
前記受熱部よりも前記接着部の方が、幅方向寸法が小さい、二次電池。
【請求項11】
請求項1に記載の二次電池において、
前記伝熱部材を、前記電極タブに接着される接着部と、積層方向最外部の前記集電体と接する受熱部と、前記接着部と前記受熱部との間の中間部とに分けたとき、
前記受熱部の表面硬度が、前記受熱部の内部、前記接着部、及び前記中間部の硬度より低い、二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電極積層体が外装材に封入された全固体電池セルの冷却効率を高めるための構成として、外装材の内部に、電極積層体と外装材とに接するように第1伝熱材を配置する構成の電池セルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献に記載の電池セルでは、電極積層体で発生した熱が第1伝熱材へ移動するが、二次電池の放熱性能を高めるためには、第1伝熱材の熱をさらに外部に移動させる必要がある。この点、上記文献では、電池セルの下部にセル外第1伝熱材、ローワープレート、セル外第2伝熱材、冷媒を順次配置した電池モジュールとすることにより、伝熱経路を形成している。
【0005】
すなわち、上記文献に記載の電池セルだけでは放熱性能を向上させる効果が十分ではない。また、放熱性能を向上させるために上記セル外第1伝熱材等の部品を追加した電池モジュールにすると、電池セル単体よりも大型化することによるエネルギ密度の低下や、部品点数の増加によるコストの増加を招くこととなる。
【0006】
そこで本発明では、エネルギ密度の低下やコストの増加を抑制しつつ、放熱性能を向上させ得る二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によれば、扁平な正極集電体の少なくとも一の面に正極活物質層が形成された正極と、扁平な負極集電体の少なくとも一の面に負極活物質層が形成された負極とを、固体電解質を含む電解質層を介して交互に積層してなる発電要素と、発電要素と電気的に接続された扁平な電極タブと、発電要素及び電極タブを、電極タブの一部が外部に導出された状態で収容する外装材と、を含んで構成される二次電池が提供される。この二次電池は、発電要素の少なくとも一方の積層方向最外部にある正極または負極の集電体と外装材との間に、集電体及び外装材と接する伝熱部材を備える。伝熱部材は、熱伝導性を有する樹脂により形成され、かつ、その一部が電極タブに接着されている。
【発明の効果】
【0008】
上記態様によれば、エネルギ密度の低下やコストの増加を抑制しつつ、放熱性能を向上させ得る二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る二次電池1を説明するための断面図である。
【
図2】
図2は、変形例1-1に係る二次電池1を説明するための断面図である。
【
図3】
図3は、変形例1-2に係る二次電池1を説明するための断面図である。
【
図4】
図4は、変形例1-4に係る二次電池1を説明するための断面図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係る二次電池1を説明するための断面図である。
【
図6】
図6は、変形例2-1に係る二次電池1を説明するための断面図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態に係る二次電池1を説明するための断面図である。
【
図8】
図8は、第4実施形態に係る二次電池1を説明するための断面図である。
【
図9】
図9は、変形例4-1に係る二次電池1を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図面における各部材の大きさや比率等は実際のものとは異なる場合がある。なお、図中において、xは二次電池1の短手方向(幅方向ともいう)を示し、yは二次電池1の長手方向を示し、zは発電要素2の積層方向を示している。
【0011】
[第1実施形態]
本実施形態では、二次電池1として、扁平積層型の全固体リチウムイオン二次電池を例示して説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る二次電池1を説明するための断面図である。なお、
図1は正極タブ5A側の一部だけを示し、負極タブ5B側については省略している。以下の説明において、正極タブ5Aと負極タブ5Bとを区別する必要がない場合には、電極タブ5と称する。集電タブ10についても同様に、正極集電タブ10Aと負極集電タブ10B(図示せず)とを区別する必要がない場合には集電タブ10と称する。
【0013】
二次電池1においては、発電要素2と、発電要素2と集電タブ10を介して電気的に接続された扁平な電極タブ5とが、電極タブ5の一部が外部に導出された状態で外装材4に収容されている。
【0014】
発電要素2は、扁平な正極集電体6Aの少なくとも一の面に正極活物質層6Bが形成された正極6と、扁平な負極集電体8Aの少なくとも一の面に負極活物質層8Bが形成された負極8とを、固体電解質を含む電解質層7を介して交互に積層したものである。なお、
図1は、正極6、電解質層7及び負極8を繰り返し積層することで4つの発電要素2が積層された状態を示しているが、積層数はこれに限られるわけではない。
【0015】
正極6は、正極活物質、硫化物固体電解質、導電助剤、バインダー及びキシレンを所定量秤量し、混合してスラリーを作製し、これをカーボンコートされたアルミ箔の両面又は片面に塗布した後、乾燥させたものである。
【0016】
電解質層7は、硫化物固体電解質、バインダー及びキシレンを所定量秤量し混合し、混合してスラリーを作製し、これをSUS箔の両面に塗布した後、乾燥させたものである。
【0017】
負極8は、負極活物質(Ag、Cを含む)、バインダー、NMPを所定量秤量し、混合してスラリーを作製し、SUS箔の両面又は片面に塗布した後、乾燥させたものである。
【0018】
集電タブ10は、正極集電体6A及び負極集電体8Aの一部が、略矩形の正極集電体6A及び負極集電体8Aの一辺から突出するように形成されたものである。なお、集電タブ10を、正極集電体6A及び負極集電体8Aとは別体の導電性材料で形成してもよい。
【0019】
電極タブ5は、例えば正極タブ5Aがアルミニウム、負極タブ5Bはニッケルで形成されている。また、電極タブ5は発電要素2に比べて幅方向の寸法が小さい。
【0020】
外装材4は、いわゆるラミネートフィルムで構成されている。ラミネートフィルムの具体的な構成については特に限定されるものではなく、二次電池1の技術分野において外装材4として用いられる公知の構成を適用できる。外装材4と電極タブ5とは接着層9を介して接着されている。
【0021】
二次電池1の作製方法は次の通りである。まず、正極6の両面に電解質層7を配置し、ロールプレスすることで電解質層7を正極6に転写して正極/電解質層積層体を作製する。次に、正極/電解質層積層体と負極8とを積層してロールプレスすることで、正極/電解質層/負極積層体を作製する。その後、正極集電体6Aに正極タブ5Aを、負極集電体8Aに負極タブ5Bをそれぞれ超音波溶接等の方法で面接合し、後述する伝熱部材3を配置した状態で外装材4に入れて、真空封止する。なお、電極タブ5と集電タブ10との接合部は、電極タブ5の発電要素2側の端部に設けられる。
【0022】
ここで、伝熱部材3について説明する。
【0023】
伝熱部材3は、熱伝導性を有する樹脂材料により形成されており、発電要素2の一方の積層方向最外部にある集電体(本実施形態では正極集電体6A)と外装材4との間に、正極集電体6A及び外装材4と接する状態で配置されている。なお、使用する樹脂材料としては、例えば熱伝導率が1W/mK以上のものが望ましい。
【0024】
また、伝熱部材3の一部は正極タブ5Aに接着されている。なお、以下の説明において、正極タブ5Aに接着される部分を接着部3A、積層方向最外部の正極集電体6Aと接する部分を受熱部3C、接着部3Aと受熱部3Cとの間を中間部3Bと称する。受熱部3Cと積層方向最外部の正極集電体6Aとが接触する面積はより大きいことが望ましい。そこで本実施形態では、受熱部3Cを、積層方向最外部の正極集電体6Aの、外装材4と対向する面全体と接触する形状とする。なお、電極タブ5が発電要素2に比べて幅方向の寸法が小さいことに伴い、接着部3Aは受熱部3Cに比べて幅方向の寸法が小さい。また、発電要素2から受け取った熱を電極タブ5へ伝える効率の観点から、伝熱部材3の積層方向寸法(つまり厚さ)は、10μm以上であることが望ましい。
【0025】
上記のように伝熱部材3を配置すると、発電要素2で発生した熱は、積層方向最外部の正極集電体6Aから伝熱部材3の受熱部3Cへ移動し、そこから中間部3B及び接着部3Aを介して正極タブ5Aへと移動して、正極タブ5Aから二次電池1の外部へと放熱される。つまり、伝熱部材3を設けることによって、発電要素2から正極タブ5Aを介して外部へ放熱する放熱経路が形成され、放熱性能が向上する。なお、ここでいう放熱性能の向上とは、放熱量が増大すること、または放熱速度が高まることである。
【0026】
ところで、受熱部3Cと正極集電体6Aとの密着性が高いほど、発電要素2で発生した熱が伝熱部材3へ伝わり易い。また、受熱部3Cから外装材4へも放熱されることを考慮すると、受熱部3Cと外装材4との密着度も高い方が望ましい。このため、伝熱部材3は、受熱部3C、正極集電体6A及び外装材4のそれぞれの接触面に公差範囲内の凹凸があったとしてもそれを吸収できる程度の硬度(例えばビッカース硬度が75N/mm2以下)であることが望ましい。また、上記の密着度の観点からすると、伝熱部材3の全体の硬度が均一である必要はなく、受熱部3Cの表面硬度を、受熱部3Cの内部、接着部3A及び中間部3Bの硬度より低くしてもよい。
【0027】
なお、本実施形態では一方の積層方向最外部にある集電体が正極集電体6Aで、伝熱部材3を正極タブ5Aに接着する構成について説明したが、当該集電体が負極集電体8Aであってもよいし、伝熱部材3を接着する相手が負極タブ5B(図示せず)であってもよい。
【0028】
以上の通り本実施形態では、扁平な正極集電体6Aの一の面に正極活物質層6Bが形成された正極6と、扁平な負極集電体8Aの一の面に負極活物質層8Bが形成された負極8とを、固体電解質を含む電解質層7を介して交互に積層してなる発電要素2と、発電要素2と電気的に接続された扁平な電極タブ5と、発電要素2及び電極タブ5を、電極タブ5の一部が外部に導出された状態で収容する外装材4とを含んで構成される二次電池が提供される。発電要素2の一方の積層方向最外部にある集電体(本実施形態では正極集電体6A)と外装材4との間に、集電体6A及び外装材4と接する伝熱部材3を備え、伝熱部材3は、熱伝導性を有する樹脂により形成され、かつ、その一部が電極タブ5に接着されている。これにより、伝熱部材3から電極タブ5への伝熱経路が形成されることとなり、発電要素2で発生した熱の放熱経路が増加するので、放熱性能が向上する。また、追加部品は伝熱部材3だけなので、二次電池1の大型化に起因するエネルギ密度の低下や、部品点数の増加によるコストの増加を抑制することができる。
【0029】
本実施形態では、受熱部3Cよりも接着部3Aの方が、幅方向寸法が小さい。すなわち、受熱部3Cの集電体及び外装材4との接触面積をより広くとることができる。
【0030】
本実施形態では、受熱部3Cの表面硬度が、受熱部3Cの内部、接着部3A及び中間部3Bの硬度より低くてもよい。これにより、受熱部3Cと集電体6A及び外装材4との密着性を確保できる。
【0031】
次に、上述した第1実施形態の変形例について説明する。なお、以下に説明する各変形例は、第1実施形態と同様に本発明の範囲に属する。
【0032】
(変形例1―1)
図2は、第1実施形態の変形例1-1に係る二次電池1の断面図である。
図2では、
図1と同様に負極側を省略している。
【0033】
変形例1-1の二次電池1は、基本的には
図1に示した二次電池1と同様であるが、伝熱部材3の接着部3Aの接着領域が相違する。以下、この相違点について説明する。
【0034】
図1の接着部3Aの正極タブ5Aとの接着領域は、正極タブ5Aの外装材4内部に露出する一方の面の、正極集電体6Aとの接合領域を除いた領域である。これに対し変形例1-1の接着部3Aの正極タブ5Aとの接着領域は、正極タブ5Aの外装材4内部に露出する部分の一方の面の全域にわたる。つまり、正極タブ5Aと正極集電体6Aとの接合領域にも、伝熱部材3が接着されている。
【0035】
これにより、伝熱部材3と正極タブ5Aとの接着領域の面積が
図1の構成より広くなるので、放熱性能がさらに向上する。
【0036】
(変形例1-2)
図3は、第1実施形態の変形例1-2に係る二次電池1の断面図である。
図3では、
図1と同様に負極側を省略している。
【0037】
変形例1-2の二次電池1は、基本的には
図2に示した変形例1-1の二次電池1と同様であるが、伝熱部材3の中間部3Bに積層方向最外部の正極集電体6Aから延びる正極集電タブ10Aが密着している点が相違する。以下、この相違点について説明する。
【0038】
伝熱部材3と正極タブ5Aとの接着領域が変形例1-2のように広くなると、中間部3Bの正極タブ5A側の端部(つまり接着部3Aとの境界)は、正極タブ5Aの発電要素2側の端部となり、中間部3Bの積層方向に対する傾きは
図1の構成に比べて小さくなる。その結果、中間部3Bと積層方向最外部の正極集電体6Aから延びる正極集電タブ10Aとが接近する。
【0039】
そこで、中間部3Bと積層方向最外部の正極集電体6Aから延びる正極集電タブ10Aとを密着させる(
図3の領域A)。第1実施形態の集電タブ10は、両端が固定されているだけなので、充放電に伴う負極8の体積変化や外力の入力等に応じて変形したり振動したりする。特に、積層方向最外部の集電タブ10は変形量や振幅が大きい。その点、変形例1-2のように伝熱部材3に密着させることで、放熱性能を確保しつつ、集電タブ10の変形や振動を緩和することができる。
【0040】
(変形例1-3)
図4は、第1実施形態の変形例1-2に係る二次電池1の断面図である。
図4では、
図1と同様に負極側を省略している。
【0041】
変形例1-3の二次電池1は、基本的には
図1に示した第1実施形態の二次電池1と同様であるが、伝熱部材3が相違する。具体的には、
図1の伝熱部材3は積層方向寸法(つまり厚さ)が均一であるのに対し、変形例1-3では、接着部3Aの積層方向寸法が受熱部3Cの積層方向寸法より大きい。なお、中間部3Bは受熱部3Cから接着部3Aへ向かって徐々に積層方向寸法が大きくなっている。
【0042】
伝熱部材3を上記のような構成にすることで、
図1の構成に比べて接着部3Aの熱容量が大きくなり、その分、受熱部3Cの熱が接着部3Aへ移動し易くなるので、結果的に放熱経路が増えたのと同等の効果が得られる。
【0043】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態に係る二次電池1の断面図である。
図5では、
図1と同様に負極側を省略している。
【0044】
本実施形態に係る二次電池1は、第1実施形態に係る二次電池1にさらに伝熱部材3を設けたものである。この追加した伝熱部材3を第1実施形態で説明した伝熱部材3と区別するため、第1実施形態で説明した伝熱部材3を第1伝熱部材3-1、本実施形態で追加した伝熱部材3を第2伝熱部材3-2とする。
【0045】
第2伝熱部材3-2の受熱部3-2Cは、第1伝熱部材3-1とは反対側の積層方向最外部の正極集電体6Aと外装材4との間に、当該正極集電体6Aと外装材4とに接触する状態で配置されている。第2伝熱部材3-2の接着部3-2Aは、正極タブ5Aの接着部3-1Aが接着されている面とは反対側の面の、接着部3-1Aと対向する位置に接着されている。
【0046】
本実施形態では、第1実施形態と同様の効果に加え、さらに以下の効果が得られる。本実施形態では、発電要素2の一方の積層方向最外部にある正極または負極の集電体6A、8Aと外装材4との間と、発電要素2の他方の積層方向最外部にある負極または正極の集電体8A、6Aと外装材4との間と、にそれぞれ伝熱部材3を備える。そして、一方の積層方向最外部側に設けた伝熱部材3を第1伝熱部材3-1、他方の積層方向最外部側に設けた伝熱部材3を第2伝熱部材3-2としたときに、第1伝熱部材3―1は電極タブ5の一方の面に接続され、第2伝熱部材3-2は電極タブ5の他方の面に接続されている。これにより、第2伝熱部材3-2を追加した分、第1実施形態の二次電池1に比べて発電要素2から正極タブ5Aへの放熱経路が増加するので、放熱性能が第1実施形態に係る二次電池1よりさらに向上する。
【0047】
(変形例2-1)
次に、上述した第2実施形態の変形例2-1について説明する。なお、変形例2-1は、第2実施形態と同様に本発明の範囲に属する。
【0048】
図6は、第2実施形態の変形例2-1に係る二次電池1の断面図である。
図6では、
図1と同様に負極側を省略している。
【0049】
変形例2-1に係る二次電池1は、第2実施形態に係る二次電池1と、接着部3-2Aの位置が異なる。変形例2-1に係る二次電池1では、接着部3-1Aと接着部3―2Aが長手方向(つまり積層方向に直交する方向)にオフセットしている。
【0050】
接着部3-1Aと接着部3-2Aとが正極タブ5Aを介して対向する位置にあると、正極タブ5Aの両接着部3-1A、3-2Aが接着される領域には、両面から熱が伝わることで熱が集中する。これに対し接着部3-1Aと接着部3―2Aが長手方向にオフセットしていれば、熱の集中が抑制されるので、正極タブ5Aの局所的な温度上昇を抑制できる。
【0051】
[第3実施形態]
図7は、第3実施形態に係る二次電池1の断面図である。
【0052】
本実施形態に係る二次電池1は、正極タブ5A側の部分については第1実施形態に係る二次電池1と同じだが、伝熱部材3が負極タブ5Bにも接着されている点が異なる。
【0053】
本実施形態の伝熱部材3は、負極タブ5B側にも正極タブ5A側と同様の中間部3B及び接着部3Aを備える。ここでは、正極タブ5A側の接着部3Aを正極側接着部3A+、同中間部3Bを正極側中間部3B+とし、負極タブ5B側の接着部3Aを負極側接着部3A-、同中間部3Bを負極側中間部3B-とする。
【0054】
そして、負極側接着部3A-が負極タブ5Bに接着されている。
【0055】
上記の構成により、受熱部3Cが発電要素2から受けた熱は、正極タブ5A及び負極タブ5Bの両方に移動することができる。つまり、放熱経路が第1実施形態の二次電池1よりも増加する。これにより、放熱性能が第1実施形態の二次電池1よりもさらに向上する。
【0056】
本実施形態では、第1実施形態と同様の効果に加え、さらに以下の効果が得られる。本実施形態では、伝熱部材3は、正極及び負極の両方の電極タブ5に接着されている。これにより、放熱経路が第1実施形態の二次電池1よりも増加し、放熱性能が第1実施形態の二次電池1よりもさらに向上する。
【0057】
[第4実施形態]
図8は、第4実施形態に係る二次電池1の断面図である。
【0058】
本実施形態に係る二次電池1は、正極タブ5A側の部分については第2実施形態に係る二次電池1と同じだが、第1伝熱部材3―1及び第2伝熱部材3-2がそれぞれ負極タブ5Bにも接着されている点が異なる。
【0059】
本実施形態の第1伝熱部材3―1及び第2伝熱部材3-2は、それぞれ負極タブ5B側にも正極タブ5A側と同様の中間部3B及び接着部3Aを備える。ここでは、第1伝熱部材3-1の正極タブ5A側の接着部3―1Aを正極側接着部3―1A+、同中間部3―1Bを正極側中間部3―1B+とし、負極タブ5B側の接着部3―1Aを負極側接着部3―1A-、同中間部3―1Bを負極側中間部3―1B-とする。また、第2伝熱部材3-2についても同様に、正極タブ5A側の接着部3―2Aを正極側接着部3―2A+、同中間部3―2Bを正極側中間部3―2B+とし、負極タブ5B側の接着部3―2Aを負極側接着部3―2A-、同中間部3―2Bを負極側中間部3―2B-とする。
【0060】
そして、負極側接着部3―1A-と負極側接着部3―2A-がそれぞれ負極タブ5Bに接着されている。
【0061】
上記の構成により、第1伝熱部材3-1の受熱部3―1C及び第2伝熱部材3-2の受熱部3-2Cが発電要素2から受けた熱は、正極タブ5A及び負極タブ5Bの両方に移動することができる。つまり、放熱経路が第2実施形態の二次電池1よりも増加する。これにより、放熱性能が第2実施形態の二次電池1よりもさらに向上する。
【0062】
本実施形態では、第2実施形態と同様の効果に加え、さらに以下の効果が得られる。本実施形態では、第1伝熱部材3-1は正極及び負極の電極タブ5の一方の面に接続され、第2伝熱部材3-2は正極及び負極の電極タブ5の他方の面に接続されている。これにより、放熱経路が第2実施形態の二次電池1よりも増加する。これにより、放熱性能が第2実施形態の二次電池1よりもさらに向上する。
【0063】
(変形例4-1)
次に、上述した第4実施形態の変形例4-1について説明する。なお、説明する変形例4-1は、第4実施形態と同様に本発明の範囲に属する。
【0064】
図9は、変形例4-1に係る二次電池1の断面図である。
【0065】
第4実施形態に係る二次電池1では、第1伝熱部材3-1及び第2伝熱部材3-2がいずれも正極タブ5A及び負極タブ5Bの両方に接着されている。これに対し変形例4-1に係る二次電池1では、第1伝熱部材3-1は正極タブ5Aに接続され、第2伝熱部材3-2は負極タブ5Bに接続されている。なお、第1伝熱部材3-1が負極タブ5Bに、第2伝熱部材3-2が正極タブ5Aにそれぞれ接着される構成であってもよい。
【0066】
上記のように第1伝熱部材3-1と第2伝熱部材3-2が異なる電極タブ5に接着される構成にすることで、電極タブ5への熱集中を抑制可能な放熱経路を形成することができる。
【0067】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で様々な変更を成し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0068】
1 二次電池、 2 発電要素、 3 伝熱部材、 4 外装材、 5 電極、 6 正極、 7 電解質層、 8 負極