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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018230
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】車両用充放電システムおよび電動車両
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240201BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20240201BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20240201BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20240201BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H02J7/00 301D
H02J7/00 P
H02J7/00 J
H02J50/12
B60L53/12
B60M7/00 X
B60L5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121426
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三松 隼太
(72)【発明者】
【氏名】山室 智幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 泰史
(72)【発明者】
【氏名】森村 暢夫
(72)【発明者】
【氏名】森賀 深樹
【テーマコード(参考)】
5G503
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503DA04
5G503FA06
5G503GB06
5H105BA09
5H105BB05
5H105CC07
5H105CC19
5H105DD20
5H105EE15
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC25
5H125BC24
5H125BE02
5H125DD02
5H125FF16
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で利便性を向上させることが可能な車両用充放電システム等を提供する。
【解決手段】本開示の一実施の形態に係る車両用充放電システムは、電動車両に適用される充放電システムであって、外部設備から電動車両内のコイルを介してバッテリーを非接触充電する際の、充電経路上に配置された整流器と、バッテリーとこのバッテリーに蓄えられている電力を出力するための電力出力端子との間の第1経路上に配置されたインバータと、インバータとコイルとの間の第2経路上に配置されたリレーと、バッテリーに蓄えられている電力が、上記第2経路上におけるインバータ、リレーおよびコイルをそれぞれ経由して外部設備へと非接触放電されるように、リレーの動作状態を制御する制御部と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両に適用される充放電システムであって、
外部設備から前記電動車両内のコイルを介してバッテリーを非接触充電する際の、充電経路上に配置された整流器と、
前記バッテリーと、前記バッテリーに蓄えられている電力を出力するための電力出力端子と、の間の第1経路上に配置されたインバータと、
前記インバータと前記コイルとの間の第2経路上に配置されたリレーと、
前記バッテリーに蓄えられている電力が、前記第2経路上における前記インバータ、前記リレーおよび前記コイルをそれぞれ経由して、前記外部設備へと非接触放電されるように、前記リレーの動作状態を制御する制御部と
を備えた車両用充放電システム。
【請求項2】
前記第2経路上に、可変抵抗素子が更に設けられており、
前記制御部は、
前記バッテリーに蓄えられている電力が、前記第2経路を介して前記外部設備へと非接触放電されるとともに、前記第1経路を介して前記電力出力端子から外部機器へと給電されるように、
前記リレーの動作状態と前記可変抵抗素子の抵抗値とを、それぞれ制御する
請求項1に記載の車両用充放電システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記外部設備への非接触放電と比べて、前記外部機器への給電が優先的に実行されるように、
前記可変抵抗素子の抵抗値を設定する
請求項2に記載の車両用充放電システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記インバータから供給される供給電力量から、前記外部機器へと給電される給電電力量を差し引いて得られる差分電力量を、前記外部設備への非接触放電の際の放電電力量として設定すると共に、
前記給電電力量の大きさに応じて、前記可変抵抗素子の抵抗値を設定する
請求項2または請求項3に記載の車両用充放電システム。
【請求項5】
電動車両に適用される車両用充放電システムを備え、
前記車両用充放電システムは、
外部設備から前記電動車両内のコイルを介してバッテリーを非接触充電する際の、充電経路上に配置された整流器と、
前記バッテリーと、前記バッテリーに蓄えられている電力を出力するための電力出力端子と、の間の第1経路上に配置されたインバータと、
前記インバータと前記コイルとの間の第2経路上に配置されたリレーと、
前記バッテリーに蓄えられている電力が、前記第2経路上における前記インバータ、前記リレーおよび前記コイルをそれぞれ経由して、前記外部設備へと非接触放電されるように、前記リレーの動作状態を制御する制御部と
を有する電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用充放電システム、および、そのような車両用充放電システムを備えた電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
電動車両に適用される充電システム(車両用充電システム)として、各種の技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2013/118274号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電動車両に適用される充放電システムでは、例えば、簡易な構成で利便性を向上させることが求められている。簡易な構成で利便性を向上させることが可能な車両用充放電システム、および、そのような車両用充放電システムを備えた電動車両を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施の形態に係る車両用充放電システムは、電動車両に適用される充放電システムであって、外部設備から電動車両内のコイルを介してバッテリーを非接触充電する際の、充電経路上に配置された整流器と、バッテリーとこのバッテリーに蓄えられている電力を出力するための電力出力端子との間の第1経路上に配置されたインバータと、インバータとコイルとの間の第2経路上に配置されたリレーと、バッテリーに蓄えられている電力が、上記第2経路上におけるインバータ、リレーおよびコイルをそれぞれ経由して外部設備へと非接触放電されるように、リレーの動作状態を制御する制御部と、を備えたものである。
【0006】
本開示の一実施の形態に係る電動車両は、上記本開示の一実施の形態に係る車両用充放電システムを備えたものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施の形態に係る電動車両等の概略構成例を表すブロック図である。
図2】比較例に係る電動車両等の概略構成例を表すブロック図である。
図3A】実施の形態に係る放電動作等の際の処理例を表す流れ図である。
図3B図3Aに続く処理例を表す流れ図である。
図4図3A図3Bに示した処理の際の動作例を表すブロック図である。
図5図3A図3Bに示した処理の際の他の動作例を表すブロック図である。
図6図3A図3Bに示した処理の際の他の動作例を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(電動車両との間で非接触での充放電等を行う充放電システムの例)
2.変形例
【0009】
<1.実施の形態>
[構成]
図1は、本開示の一実施の形態に係る電動車両(電動車両1)の概略構成例を、ブロック図で表したものである。この電動車両1は、電気自動車(EV:Electric Vehicle)またはハイブリッド自動車(HEV)により構成されている。
【0010】
電動車両1は、車体10、バッテリー11、車両側コイル12、整流器13、電力出力端子14、インバータ15、リレー161,162、可変抵抗素子17および制御部18を、備えている。また、この電動車両1の近傍には、図1に示したように、地面G上に設置された外部設備9と、この外部設備9との間で外部ケーブルR9を介して電気的に接続された設備側コイル92とが、設けられている。電動車両1は、詳細は後述するが、この外部設備9との間で、車両側コイル12および設備側コイル92を介した、非接触による充電および放電の双方を、実現可能となっている。
【0011】
なお、整流器13、インバータ15、リレー162、可変抵抗素子17および制御部18は、本開示における「車両用充放電システム」の一具体例に対応している。また、車両側コイル12は、本開示における「電動車両内のコイル」の一具体例に対応しており、リレー162は、本開示における「リレー」の一具体例に対応している。
【0012】
バッテリー11は、電動車両1において使用される電力を貯蔵するものであり、例えばリチウムイオン電池等の各種の2次電池を用いて構成されている。また、詳細は後述するが、このバッテリー11に蓄えられた電力は、外部設備9へ向けて放電されたり、外部機器8へ向けて給電できるようになっている。
【0013】
ここで、外部設備9は、例えば電力系統に接続されており、電動車両1との間で、非接触(ワイヤレス)での充放電を実施可能な設備である。具体的には、詳細は後述するが、外部設備9から電動車両1に対して非接触での充電(非接触充電)が行われたり、電動車両1から外部設備9へ向けて非接触での放電(非接触放電)が行われ、更にこの外部設備9から電力系統へ向けて放電が行われることで、いわゆるV2G(Vehicle-to-Grid)が
実現されるようになっている。
【0014】
また、外部機器8は、例えば各種の家電機器である。詳細は後述するが、電動車両1から外部機器8へ向けての給電が行われることで、いわゆるV2L(Vehicle-to-Load)が実現されるようになっている。
【0015】
車両側コイル12は、図1に示したように、例えば電動車両1における車体10の下方に配置されている。具体的には、車両側コイル12は、外部設備9に接続された設備側コイル92と、対向するように配置されている。これにより、詳細は後述するが、車両側コイル12と設備側コイル92との間で、双方向の非接触給電が行われるようになっている。
【0016】
整流器13は、外部設備9から外部ケーブルR9、設備側コイル92および車両側コイル12を介して、バッテリー11を非接触充電する際の、充電経路Rc(図1参照)上に配置されている。具体的には、図1の例では、この充電経路Rc上における、車両側コイル12と後述するリレー161との間に、整流器13が配置されている。この整流器13は、外部設備9側からの非接触給電により供給された交流電力を、直流電力へと変換し、バッテリー11側へと出力する機器である。つまり、整流器13は、片方向のAC/DC変換(整流)を行うようになっている。
【0017】
なお、図1(および後述する図2図4図6)においては、便宜上、外部設備9、設備側コイル92、電動車両1内および外部機器8同士で接続されている経路のうち、交流電力の経路を破線で示し、直流電力の経路を実線で示している。ただし、上記した充電経路Rcや、後述する放電経路Rd1,Rd2および給電経路Rsについては、そのような交流の経路と直流の経路とを跨いでいるため、便宜上、全体として破線で示している。
【0018】
電力出力端子14は、バッテリー11に蓄えられている電力を、外部へと出力するための端子(コネクタ)である。具体的には、詳細は後述するが、バッテリー11に蓄えられている電力が、インバータ15を介して、電力出力端子14から外部機器8へと出力されることで、外部機器8への給電が行われるようになっている。
【0019】
インバータ15は、図1に示したように、バッテリー11と電力出力端子14との間の経路R1上に配置されている。このインバータ15は、バッテリー11から供給される直流電力を、交流電力へと変換して出力する(DC/AC変換を行う)機器である。
【0020】
リレー161は、上記した充電経路Rc上における、整流器13とバッテリー11との間に配置されている。このリレー161は、後述する制御部18による制御に従って、ON状態(充電経路Rcの接続状態)とOFF状態(充電経路Rcの遮断状態)との間で、相互に切替可能に構成されている。
【0021】
リレー162は、図1に示したように、インバータ15と車両側コイル12との間の経路R2上に配置されている。このリレー162もまた、制御部18による制御に従って、ON状態(経路R2の接続状態)とOFF状態(経路R2の遮断状態)との間で、相互に切替可能に構成されている。
【0022】
可変抵抗素子17は、図1に示したように、上記した経路R2上において、リレー162と車両側コイル12との間に配置されている。この可変抵抗素子17の抵抗値Rvは、詳細は後述するが、制御部18による制御に応じて変化するように構成されている。つまり、この抵抗値Rvは、可変抵抗値となっている。
【0023】
なお、上記した経路R1は、本開示における「第1経路」の一具体例に対応している。また、上記した経路R2は、本開示における「第2経路」の一具体例に対応している。
【0024】
制御部18は、電動車両1における各種動作(走行動作、バッテリー11の充放電動作、各種部品の動作など)を制御したり、各種の演算処理を行ったりする部分である。具体的には、制御部18は、例えば、バッテリー11に蓄えられている電力が、経路R2上におけるインバータ15、リレー162および車両側コイル12をそれぞれ経由して、外部設備9側へと非接触放電されるように、リレー162の動作状態等を制御する。また、制御部18は、例えば、バッテリー11に蓄えられている電力が、経路R2を介して外部設備へと非接触放電されるとともに、経路R1を介して電力出力端子14から外部機器8へと給電されるように、リレー162の動作状態と可変抵抗素子17の抵抗値Rvとを、それぞれ制御する。更に、制御部18は、例えば、このような外部設備9への非接触放電と外部機器8への給電とが、並行して行われている際に、外部設備9への非接触放電と比べて外部機器8への給電が優先的に実行されるように、可変抵抗素子17の抵抗値Rvを設定するようになっている。
【0025】
なお、制御部18による(リレー161,162および可変抵抗素子17等の)制御処理の詳細については、後述する(図3A図6)。
【0026】
このような制御部18は、例えば、プログラムを実行する1または複数のプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)と、これらのプロセッサに通信可能に接続される1または複数のメモリと、を含んで構成される。また、このようなメモリは、例えば、処理データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、および、プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)等により構成される。
【0027】
[動作および作用・効果]
続いて、本実施の形態における動作および作用・効果について、比較例と比較しつつ詳細に説明する。
【0028】
(A.比較例)
図2は、上記した比較例に係る電動車両(電動車両101)等の概略構成例を、ブロック図で表したものである。この比較例の電動車両101は、図1に示した本実施の形態の電動車両1において、整流器13および制御部18の代わりに、双方向インバータ(整流器兼インバータ)103および制御部108をそれぞれ設けると共に、リレー162および可変抵抗素子17を設けないようにしたものに対応しており、他の構成は基本的には同様となっている。
【0029】
この比較例の電動車両101では、制御部108による各種制御に従って、外部設備9と電動車両101内のバッテリー11との間で、双方向インバータ103を経由した非接触での充放電が行われると共に、バッテリー11から外部機器8への給電が行われるようになっている。
【0030】
具体的には、外部設備9から設備側コイル92、車両側コイル12、双方向インバータ103およびリレー161を経由して、外部設備9からバッテリー11への非接触充電が行われる(図2中の経路R101参照)。この場合、双方向インバータ103では、交流電力から直流電力へのAC/DC変換(整流)が行われる。また、逆に、バッテリー11からリレー161、双方向インバータ103、車両側コイル12および設備側コイル92を経由して、バッテリー11から外部設備9への非接触放電が行われる(図2中の経路R101参照)。この場合、双方向インバータ103では逆に、直流電力から交流電力へのDC/AC変換が行われる。更に、電動車両101では、バッテリー11からインバータ15および電力出力端子14を経由して、バッテリー11から外部機器8への給電が行われる(図2中の経路R102参照)。このようにして、この比較例では、従来の非接触充電に加えて、外部設備9への非接触放電や外部機器8への給電も行われることから、いわゆるV2GやV2Lが実現される結果、利便性が向上することになる。
【0031】
ところがこの比較例では、上記したように、双方向インバータ103を経由した非接触での充放電が行われることから、本実施の形態のような片方向の整流器13を設けた場合と比べ、以下のようになる。すなわち、整流器13と比べて、双方向インバータ103が大型化し、コストや重量への影響が大きくなる。また、双方向インバータ103の場合、上記したように、整流器13の場合と同様の整流(AC/DC変換)に加え、逆方向のDC/AC変換も行われることから、DC/AC変換用の、新たなスイッチング制御が必要となる。これらのことから、この比較例では、簡易な構成で利便性を向上させるのが困難であると言える。
【0032】
(B.本実施の形態)
これに対して、本実施の形態の電動車両1では、前述した充電経路Rc上の片方向の整流器13と、インバータ15と車両側コイル12との間の経路R2上のリレー162と、このリレー162の動作状態等を制御する制御部18とが、設けられている。これにより本実施の形態では、以下詳述する手法にて、バッテリー11への非接触充電に加えて、外部設備9への非接触放電と外部機器8への給電とが、それぞれ実現されるようになっている。
【0033】
(放電動作等の際の処理例)
以下、図1に加えて図3A図3B図4図6を参照して、本実施の形態に係る放電動作等(上記した非接触放電および給電の各動作)の際の処理例(制御部18による制御処理例等)について、詳細に説明する。
【0034】
図3A図3Bはそれぞれ、本実施の形態に係る放電動作等の際の処理例を、流れ図で表したものである。また、図4図6はそれぞれ、図3A図3Bに示した処理の際の動作例を、ブロック図で表したものである。
【0035】
この図3A図3Bに示した一連の処理例では、まず、制御部18は、電動車両1の停止中であるのか否かを判定する(図3AのステップS11)。電動車両1の停止中ではない(走行中)であると判定された場合(ステップS11:N)、再度、このステップS11の判定が行われる。
【0036】
一方、例えば図4に示したように、電動車両1の停止中であると判定された場合(ステップS11:Y)、次に、以下のステップS12へと進む。なお、この図4(停止中の初期状態)では、リレー161,162がいずれも、OFF状態(遮断状態)に設定されている。また、以下説明する図4図6の例ではそれぞれ、リレー161はOFF状態が維持されるものとする。
【0037】
上記したステップS12では、制御部18は、例えば電動車両1のユーザからの操作指示等に応じて、外部設備9への非接触放電を行うのか否かを、判定する。そのような非接触放電を行わないと判定された場合(ステップS12:N)、制御部18は、リレー162においてOFF状態を維持する(ステップS13)。なお、この場合には、その後、図3A図3Bに示した一連の処理例が終了となる。
【0038】
一方、上記した非接触放電を行うと判定された場合(ステップS12:Y)、次に制御部18は、インバータ15が動作状態であるのか否かを判定する(ステップS14)。ここで、インバータ15が動作状態ではない(停止状態である)と判定された場合(ステップS14:N)、制御部18は、インバータ15を動作状態に設定し(図3BのステップS15)、以下説明するステップS16へと進むことになる。
【0039】
一方、インバータ15が動作状態であると判定された場合(ステップS14:Y)、次に制御部18は、例えば電動車両1のユーザからの操作指示等に応じて、外部機器8への給電を行うのか否かを、判定する(ステップS16)。ここで、そのような外部機器8への給電を行うと判定された場合には(ステップS16:Y)、後述するステップS23(図3B)以降へと進むことになる。
【0040】
一方、外部機器8への給電を行わないと判定された場合(ステップS16:N)、次に制御部18は、リレー162がOFF状態である場合には、ON状態(接続状態)に設定する(ステップS17)。なお、この際に、可変抵抗素子17の抵抗値Rvは、Rv≒0に設定される。続いて、制御部18は、例えば図5中の放電経路Rd1にて示したように、前述した経路R2を介した、外部設備9への非接触放電(放電電力量Pd:最大出力)を実行する(ステップS18)。
【0041】
次いで、制御部18は、再度、外部機器8への給電を行うのか否かを判定する(ステップS19)。ここで、外部機器8への給電を行うと判定された場合には(ステップS19:Y)、制御部18は、リレー162をOFF状態に設定し(図3BのステップS20)、後述するステップS23(図3B)以降へと進むことになる。
【0042】
一方、外部機器8への給電を行わないと判定された場合(ステップS19:N)、次に制御部18は、例えば電動車両1のユーザからの操作指示等に応じて、外部設備9への非接触放電を終了させるのか否かを、判定する(ステップS21)。ここで、非接触放電を終了させないと判定された場合には(ステップS21:N)、上記したステップS19へと戻ることになる。
【0043】
一方、非接触放電を終了させると判定された場合には(ステップS21:Y)、制御部18は、リレー162をOFF状態に設定すると共に、インバータを停止状態に設定する(ステップS22)。なお、この場合には、その後、図3A図3Bに示した一連の処理例が終了となる。
【0044】
ここで、上記したステップS23(図3B)では、制御部18は、外部機器8への給電の際の給電電力量Psを、演算処理等を用いてモニタリングする。なお、例えば、外部機器8が電力出力端子14に接続されていなかったり、外部機器8の動作が停止している場合には、給電電力量Ps=0として計算される。
【0045】
次に、制御部18は、モニタリングされた給電電力量Psの大きさに応じて、可変抵抗素子17の抵抗値Rv(Rv>0)を設定する(ステップS24)。続いて、制御部18は、リレー162がOFF状態である場合には、ON状態に設定する(ステップS25)。
【0046】
次いで、制御部18は、例えば図6中の放電経路Rd2にて示したように、前述した経路R2を介した、外部設備9への非接触放電を実行する(ステップS26)。また、この際には、例えば図6中の給電経路Rsにて示したように、前述した経路R1を介した外部機器8への給電も、並行して行われる。ここで、この際の放電電力量Pdは、インバータ15から供給(出力)される供給電力量Pinから、外部機器8への給電電力量Psを差し引いて得られる、差分電力量となる。つまり、この際の放電電力量Pdは、そのような差分電力量(Pd=Pin-Ps)に設定される。
【0047】
続いて、制御部18は、再度、外部機器8への給電を行うのか否かを判定する(ステップS27)。ここで、外部機器8への給電を行わないと判定された場合には(ステップS27:N)、前述したステップS17(図3A)へと進むことになる。
【0048】
一方、外部機器8への給電を行うと判定された場合には(ステップS27:Y)、次に制御部18は、例えば電動車両1のユーザからの操作指示等に応じて、外部設備9への非接触放電を終了させるのか否かを、判定する(ステップS28)。ここで、非接触放電を終了させないと判定された場合には(ステップS28:N)、前述したステップS23へと戻ることになる。
【0049】
一方、非接触放電を終了させると判定された場合には(ステップS28:Y)、制御部18は、リレー162をOFF状態に設定する(ステップS29)。なお、この場合には、その後、図3A図3Bに示した一連の処理例が終了となる。
【0050】
以上で、図3A図3Bに示した一連の処理例についての説明が、終了となる。
【0051】
(C.作用・効果)
このようにして本実施の形態の電動車両1では、充電経路Rc上の片方向の整流器13と、インバータ15と車両側コイル12との間の経路R2上のリレー162とが、設けられている。そして、電動車両1内のバッテリー11に蓄えられている電力が、経路R2上におけるインバータ15、リレー162および車両側コイル12をそれぞれ経由して外部設備9へと非接触放電されるように、リレー162の動作状態が制御される。
【0052】
これにより本実施の形態では、例えば上記比較例のように、片方向の整流器13の代わりに双方向インバータ103を設けた場合と比べ、バッテリー11から外部設備9への非接触放電が、簡易な構成で実現される。つまり、そのような双方向インバータ103の場合と比べ、整流器13では、小型化や、コストおよび重量の低減が図られると共に、DC/AC変換用の新たなスイッチング制御も不要となり、汎用の構成で非接触放電が実現される。その結果、本実施の形態では上記比較例と比べ、簡易な構成で利便性を向上させることが可能となる。
【0053】
また、本実施の形態では、上記した外部設備9への非接触放電が行われるとともに、経路R1を介して電力出力端子14から外部機器8への給電が行われるように、リレー162の動作状態と可変抵抗素子17の抵抗値Rvとが、それぞれ制御されることから、以下のようになる。すなわち、そのような制御が行われることで、外部設備9への非接触放電と外部機器8への給電とがそれぞれ、簡易な構成で実現される。その結果、簡易な構成で利便性を更に向上させることが可能となる。
【0054】
更に、本実施の形態では、外部設備9への非接触放電と比べて外部機器8への給電が優先的に実行されるように、可変抵抗素子17の抵抗値Rvが設定されることから、以下のようになる。すなわち、外部設備9への非接触放電と外部機器8への給電との双方が実行される際に、そのような抵抗値Rvの設定に応じて、外部機器8への給電の優先的な実行が、容易に実現される。その結果、簡易な構成で、利便性の更なる向上を図ることが可能となる。
【0055】
<2.変形例>
以上、実施の形態を挙げて本開示を説明したが、本開示はこの実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。
【0056】
例えば、電動車両1等における各部材の構成(形式、形状、配置、個数等)については、上記実施の形態で説明したものには限られない。すなわち、これらの各部材における構成については、他の形式や形状、配置、個数等であってもよい。また、上記実施の形態で説明した各種パラメータの値や範囲、大小関係等についても、上記実施の形態で説明したものには限られず、他の値や範囲、大小関係等であってもよい。
【0057】
具体的には、例えば上記実施の形態では、インバータ15と車両側コイル12との間の経路R2上に、可変抵抗素子17が配置されている場合の例について説明したが、例えば場合によっては、このような可変抵抗素子17を設けないようにしてもよい。また、例えば場合によっては、このような可変抵抗素子17の代わりに、抵抗ロスを低減可能な半導体スイッチ等を、設けるようにしてもよい。
【0058】
また、例えば、上記実施の形態では、充放電動作の際の処理例(制御部18による制御処理例等)について、具体的に説明したが、この処理例には限られない。すなわち、例えば他の手法を用いて、充放電動作の際の処理を行うようにしてもよい。具体的には、例えば場合によっては、電動車両1から外部機器8への給電処理が行われないようにしてもよい。
【0059】
更に、上記実施の形態で説明した一連の処理は、ハードウェア(回路)で行われるようにしてもよいし、ソフトウェア(プログラム)で行われるようにしてもよい。ソフトウェアで行われるようにした場合、そのソフトウェアは、各機能をコンピュータにより実行させるためのプログラム群で構成される。各プログラムは、例えば、上記コンピュータに予め組み込まれて用いられてもよいし、ネットワークや記録媒体から上記コンピュータにインストールして用いられてもよい。
【0060】
加えて、これまでに説明した各種の例を、任意の組み合わせで適用させるようにしてもよい。
【0061】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…電動車両、10…車体、11…バッテリー、12…車両側コイル、13…整流器、14…電力出力端子、15…インバータ、161,162…リレー、17…可変抵抗素子、18…制御部、8…外部機器、9…外部設備、92…設備側コイル、R1,R2…経路、R9…外部ケーブル、Rc…充電経路、Rd1,Rd2…放電経路、Rs…給電経路、Rv…抵抗値、Pin…供給電力量、Pd…放電電力量、Ps…給電電力量、G…地面。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6