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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018235
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】時計バンド
(51)【国際特許分類】
   A44C 5/18 20060101AFI20240201BHJP
   A44C 5/20 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
A44C5/18 D
A44C5/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121435
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000231567
【氏名又は名称】日本精密株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002055
【氏名又は名称】弁理士法人iRify国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク ソン ジン
(72)【発明者】
【氏名】グエン タン
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 治浩
(57)【要約】
【課題】簡易な構成且つ簡単な操作で、装着時の長さを調整することが可能な時計バンドを提供する。
【解決手段】本発明は、第1バンド部材3と、第2バンド部材4と、中留2とを備え、中留2は、下側保持部材11と、下側保持部材11の平面に対して垂直な方向に突出した係止部12a,13aを備えた一対の押圧部材12,13と、係止部12a,13aが突出する開口部15aを備えた上側保持部材15と、上側保持部材15との間に隙間を保持しつつ、上側保持部材15に被覆され、下側保持部材11に勘合することで固定されるケース部材16とを備え、押圧部材12,13を押圧していない状態では、係止部12a,13aが凹部に係止して第1バンド部材3を中留2から外す動作が規制され、押圧部材12,13を押圧している状態では、規制が解除される時計バンド1である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1バンド部材と、第2バンド部材と、前記第1バンド部材と前記第2バンド部材とを繋ぐ中留と、を備え、
前記中留は、
下側保持部材と、
前記下側保持部材の上に配設されるもので、前記下側保持部材の平面に対して垂直な方向に突出した係止部を備えた一対の押圧部材と、
前記押圧部材を被覆するもので、前記係止部が突出する開口部を備えた上側保持部材と、
前記上側保持部材との間に隙間を保持しつつ、前記上側保持部材に被覆され、前記下側保持部材に勘合することで固定されるケース部材と、を備え、
前記第1バンド部材には、装着時に前記上側保持部材と対向する側の平面に、凹部が形成されており、
前記押圧部材を押圧していない状態では、前記係止部が前記凹部に係止して前記第1バンド部材を前記中留から外す動作が規制され、前記押圧部材を押圧している状態では、前記規制が解除される
時計バンド。
【請求項2】
前記第1バンド部材の凹部は、前記第1バンド部材の長尺方向に延びる各辺が内側に向けて垂直に立ち上がった立ち上がり部分と、頂点より外側に向けて緩やかに傾斜した傾斜部分とが、所定間隔で繰り返される形状となっており、
前記規制の際には、前記係止部が、前記立ち上がり部分に係止する
請求項1に記載の時計バンド。
【請求項3】
前記凹部の末端近傍の中央には、前記押圧部材を押圧している状態で、前記第1バンド部材が、前記中留から完全に抜けるのを防止する凸部が更に設けられている
請求項2に記載の時計バンド。
【請求項4】
前記第1バンド部材の凹部は、前記第1バンド部材の長尺方向に沿って端部から所定幅で2か所設けられており、各凹部は、前記第1バンド部材の長尺方向に延びる各辺が、直線状であり、前記直線状の辺から離間した対向する辺が、外側に向けて垂直に立ち上がった立ち上がり部分と頂点より内側に向けて緩やかに傾斜した傾斜部分とが所定間隔で繰り返される形状となっており、
前記規制の際には、前記係止部が、前記立ち上がり部分に係止する
請求項1に記載の時計バンド。
【請求項5】
前記各凹部の前記直線状の辺の末端近傍に、前記押圧部材を押圧している状態で、前記第1バンド部材が、前記中留から完全に抜けるのを防止する凸部が更に設けられている
請求項4に記載の時計バンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着の長さを調整可能な時計バンドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、腕時計の時計バンドには、様々なタイプのものがあり、装着時の長さを調整できるような機能を備えたものも多い。
【0003】
ここで、特許文献1では、合成樹脂製の腕時計用バンドの美錠において、バンド端部に一体成形されたバンド駒と、該バンド駒のバンドの長手方向の両端に肉薄の中央部を介して結合した美錠板と、該美錠板の裏面に形成したバンド幅方向の美錠位置決め用突起と、前記美錠板の上方に設けた美錠外し用突起と、前記美錠板の下方に設けた、剣先部バンドの凹部に係合する、美錠係合部とを備えた腕時計用バンド美錠構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平4-6572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般に、ウレタン等の合成樹脂製の時計バンドには、美錠タイプのものもあるが、その中留では、バンドの長さ調整を孔のピッチでしか行うことができず、装着時の長さ調整が煩雑であり、そのため、装着時に手元から落としたりすることもあり、更に片手では長さ調整をしながらの装着が難しい構成のものが多い。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡易な構成且つ簡単な操作で、装着時の長さを調整することが可能な時計バンドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る時計バンドは、第1バンド部材と、第2バンド部材と、前記第1バンド部材と前記第2バンド部材とを繋ぐ中留と、を備え、前記中留は、下側保持部材と、前記下側保持部材の上に配設されるもので、前記下側保持部材の平面に対して垂直な方向に突出した係止部を備えた一対の押圧部材と、前記押圧部材を被覆するもので、前記係止部が突出する開口部を備えた上側保持部材と、前記上側保持部材との間に隙間を保持しつつ、前記上側保持部材に被覆され、前記下側保持部材に勘合することで固定されるケース部材と、を備え、前記第1バンド部材には、装着時に前記上側保持部材と対向する側の平面に、凹部が形成されており、前記押圧部材を押圧していない状態では、前記係止部が前記凹部に係止して前記第1バンド部材を前記中留から外す動作が規制され、前記押圧部材を押圧している状態では、前記規制が解除される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡易な構成且つ簡単な操作で、装着時の長さを調整することが可能な時計バンドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る時計バンドの斜視図である。
図2】同時計バンドの底面図である。
図3】同時計バンドの分解斜視図である。
図4図4(a)、図4(b)は、同時計バンドの中留の動作を示す図である。
図5図5(a)はバンド部材の他の構成例を示し、図5(b)は同時計バンドの中留の動作を示す図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る時計バンドの底面図である。
図7】同時計バンドの分解斜視図である。
図8図8(a)、図8(b)は、同時計バンドの中留の動作を示す図である。
図9図9(a)はバンド部材の他の構成例を示し、図9(b)は同時計バンドの中留の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0011】
<第1実施形態>
【0012】
図1には、本発明の第1実施形態に係る時計バンドの構成を示し、図2には、同時計バンドの底面図を示し、図3には、同時計バンドの分解斜視図を示し、説明する。
【0013】
図1図2図3に示されるように、時計バンド1は、第1バンド部材3と、第2バンド部材4と、それらを繋ぐ中留2とで構成されている。第1バンド部材3は、第2バンド部材4に比べて長尺となっている。
【0014】
中留2は、下側保持部材11と、一対の押圧部材12,13と、一対のコイルバネ14a,14bと、上側保持部材15と、ケース部材16とを備えている。
【0015】
下側保持部材11は、全体が平板状で、その平面に垂直な方向(Z1方向)に立設された側壁部11a乃至11dを有している。側壁部11a乃至11dは、押圧部材12,13の平板部12b、13bが移動自在となる幅だけ離間して、四隅に計4か所、設けられている。側壁部11a乃至11dには、ケース部材16の凹部16c乃至16fと勘合するための凸部が、外側を向いて突出するように、それぞれ設けられている。
【0016】
押圧部材12,13は、先端の幅が狭い全体が凸形状の平板部12b,13bと、その平板部12b,13bの先端において、その平面に垂直な方向(Z1方向)に立設された係止部12a,13aと、を備えている。下側保持部材11に、押圧部材12,13が配設される際には、押圧部材12,13の平板部12b,13bの端部の間に、当該押圧部材12,13を離間するような付勢力(Y1,Y2方向)を与えるコイルバネ14a,14bが配設される。
【0017】
上側保持部材15は、配設されたときに、押圧部材12,13の係止部12a,13aが突出するための開口部15aを備えている。ケース部材16は、側壁部16a,16bを有し、その側壁部16a,16bには、押圧部材12,13の平板部12b,13bが移動可能とするための開口部が設けられている。更に、側壁部16a,16bには、組み立て時に下側保持部材11の側壁部11a乃至11dの凸部と勘合するための凹部16c乃至16fが設けられている。
【0018】
以上の構成要素により、中留2は、下側保持部材11の平面上に押圧部材12,13が配設され、該押圧部材12,13の間に一対のコイルバネ14a,14bが配設され、押圧部材12,13の係止部12a,13aが開口部15aから突出するような位置関係で上側保持部材15が配設され、下側保持部材11の突出部11a乃至11dに設けられた凸部を、ケース部材16の側壁部16a,16bに設けられた凹部16c乃至16fに勘合させることで、ケース部材16が下側保持部材11に装着され、構成される。
【0019】
一方、第1バンド部材3、第2バンド部材4は、例えばウレタン等の樹脂を成型して構成されたものであり、図2に示されるように、第1バンド部材3の背面には、ノコギリ形状の凹部3Aが成型されている。より詳細には、第1バンド部材3の背面において、第1バンド部材3の長手方向に延びるようにノコギリ形状の凹部3Aが成型されている。この凹部3Aでは、第1バンド部材3の長尺方向に延びる各辺3a,3bが、内側に向けて垂直に立ち上がり頂点より外側に向けて緩やかに傾斜した山形状が所定間隔で繰り返される形状となっている。
【0020】
以下、図4(a)、図4(b)を参照して、中留2の動作を説明する。ここでは、説明をわかりやすくするために、中留側の構成を透過して示している。
【0021】
図4(a)に示されるように、第1バンド部材3を、中留2のケース部材16と上側保持部材15との間にできる挿通孔より長尺方向(X1方向)に挿通すると、第1バンド部材3の背面に成形された凹部3Aのノコギリ形状の各辺3a,3bの山形状の立ち上がり部分に押圧部材12,13の係止部12a,13aが係止して、第1バンド部材3は、中留2から抜き出せなくなる。換言すれば、第1バンド部材3を、中留2に対して、X2方向に抜く動作は規制される。尚、更に長さを短くするために第1バンド部材3を中留2に対してX1方向に移動させることは引き続き可能である。
【0022】
図4(b)に示されるように、押圧部材12,13を内側方向(それぞれY2,Y1方向)に押圧すると、係止部12a,13aが凹部3Aの中央まで移動するので、第1バンド部材3の背面に成形された凹部3Aのノコギリ形状の各辺3a,3bの山形状の立ち上がり部分への押圧部材12,13の係止部12a,13aの係止が解除され、第1バンド部材3は、中留2から抜き出せるようになる。換言すれば、第1バンド部材3を、中留2に対して、X2方向に抜く動作の規制が解除される。
【0023】
ここで、本発明の第1実施形態に係る時計バンドを、更に以下のように改良することで不本意な抜け落ち防止の機能を高めることもできる。尚、図5(b)では、説明をわかりやすくするために、中留側の構成を透過して示している。
【0024】
すなわち、図5(a)に示される構成では、第1バンド部材3のノコギリ形状の凹部3Aの末端付近の一部領域の各辺3a,3bを平坦にして、当該平坦な辺の間に島形状の凸部3Bを設けている。このように構成することで、図5(b)に示されるように、押圧部材12,13を押圧して、係止部12a,13aを中央部まで移動させ、第1バンド部材3を抜き出す作業の最中でも、中央部に位置する係止部12a,13aが凸部3Bに当接することで、不本意に第1バンド部材3を外してしまい、時計を落としてしまうなどといった事態を未然防止することが可能となる。尚、係止部12a,13aが凸部3Bに当接した後は、押圧部材12,13の押圧を緩めれば、当該当接が解除され、第1バンド部材3を完全に中留2より抜き出すことも可能となる。
【0025】
以上説明したように、本発明の第1実施形態によれば、以下の効果が奏される。
【0026】
本発明によれば、第1バンド部材3と、第2バンド部材4と、第1バンド部材3と第2バンド部材4とを繋ぐ中留2とを備え、中留2は、下側保持部材11と、下側保持部材11の上に配設されるもので、下側保持部材11の平面に対して垂直な方向に突出した係止部12a,13aを備えた一対の押圧部材12,13と、押圧部材12,13を被覆するもので、係止部12a,13aが突出する開口部15aを備えた上側保持部材15と、上側保持部材15との間に隙間を保持しつつ、上側保持部材15に被覆され、下側保持部材11に勘合することで固定されるケース部材16とを備え、第1バンド部材3には、装着時に上側保持部材15と対向する側の平面に、凹部3Aが形成されており、押圧部材12,13を押圧していない状態では、係止部12a,13aが凹部3Aに係止して第1バンド部材3を中留2から外す動作が規制され、押圧部材12,13を押圧している状態では、規制が解除される時計バンド1が提供される。したがって、簡易な構成により、バンド部材の装着時の締め付け具合を調整することが可能となる。
【0027】
ここで、第1バンド部材3の凹部3Aは、第1バンド部材3の長尺方向に延びる各辺3a,3bが内側に向けて垂直に立ち上がった立ち上がり部分と、頂点より外側に向けて緩やかに傾斜した傾斜部分とが、所定間隔で繰り返される形状となっており、規制の際には、係止部12a,13aが、立ち上がり部分に係止するようにしてよい。さらに、凹部3Aの末端近傍の中央には、押圧部材12,13を押圧している状態で、第1バンド部材3が、中留3から完全に抜けるのを防止する凸部3Bが更に設けられてよい。
【0028】
<第2実施形態>
【0029】
図6には、本発明の第1実施形態に係る時計バンドの底面図を示し、図7には、同時計バンドの分解斜視図を示し、説明する。尚、斜視図は、図1と略同様であるため、図示を省略する。
【0030】
図6図7に示されるように、時計バンド21は、第1バンド部材23と、第2バンド部材24と、それらを繋ぐ中留22とで構成されている。第1バンド部材23は、第2バンド部材24に比べて長尺となっている。
【0031】
中留22は、下側保持部材31と、一対の押圧部材32,33と、コイルバネ34と、上側保持部材35と、ケース部材36とを備えている。
【0032】
下側保持部材31は、全体が平板状で、その平面に垂直な方向(Z1方向)に立設された側壁部31a乃至31dを有している。側壁部31a乃至31dは、押圧部材32,33の平板部32b、33bが移動自在となる幅だけ離間して、四隅に計4か所、設けられている。側壁部31a乃至31dには、ケース部材36の凹部36c乃至36fと勘合するための凸部が、外側を向いて突出するように、それぞれ設けられている。
【0033】
押圧部材32,33は、その先端に行くにつれて左側の幅が狭くなる形状の平板部32b,33bと、該平板部32b,33bの先端において、その平面に垂直な方向(Z1方向)に立設された係止部32a,33aと、を備えている。下側保持部材31に、押圧部材32,33が配設される際には、押圧部材32,33の平板部32b,33bの端部の間に、当該押圧部材32,33を離間するような付勢力(Y1,Y2方向)を与えるコイルバネ34が配設される。
【0034】
上側保持部材35は、配設されたときに、押圧部材32,33の係止部32a,33aが突出するための2つの開口部35a、35bを備えている。ケース部材36は、側壁部36a,36bを有し、その側壁部36a,36bには、押圧部材32,33の平板部32b,33bが移動可能とするための開口部が設けられている。更に、側壁部36a,36bには、組み立て時に下側保持部材31の側壁部31a乃至31dの凸部と勘合するための凹部36c乃至36fが設けられている。
【0035】
以上の構成要素により、中留22は、下側保持部材31の平面上に押圧部材32,33が配設され、該押圧部材32,33の間にコイルバネ34が配設され、押圧部材32,33の係止部32a,33aが開口部35a、35bから突出するような位置関係で上側保持部材35が配設され、下側保持部材31の突出部31a乃至31dに設けられた凸部をケース部材36の側壁部36a,36bに設けられた凹部36c乃至36fに勘合させることで、ケース部材36が下側保持部材31に装着され、構成される。
【0036】
一方、第1バンド部材23、第2バンド部材24は、例えばウレタン等の樹脂を成型して構成されたものであり、図6に示されるように、第1バンド部材23の背面、長尺方向の両端には、それぞれ内側の辺がノコギリ形状である凹部23A、23Bが成型されている。より詳細には、第1バンド部材23の背面において、第1バンド部材23の長手方向に延びるように、ノコギリ形状の凹部23A、23Bが成型されている。
【0037】
この凹部23A、23Bでは、第1バンド部材23の長尺方向に延びる各辺23a,23bは平坦形状(直線状)であり、一方、当該平坦な辺と所定幅を介して離間した対向する辺は、外側に向けて垂直に立ち上がり頂点より内側に向けて緩やかに傾斜した山形状が所定間隔で繰り返される形状となっている。
【0038】
以下、図8(a)、図8(b)を参照して、中留22の動作を説明する。ここでは、説明をわかりやすくするために、中留側の構成を透過して示している。
【0039】
図8(a)に示されるように、第1バンド部材23を、中留22のケース部材36と上側保持部材35との間にできる挿通孔より長尺方向(X1方向)に挿通すると、第1バンド部材23の背面に成形された凹部23A、23Bのノコギリ形状の各辺の山形状の立ち上がり部分に押圧部材32,33の係止部32a,33aが係止して、第1バンド部材23は、中留22から抜き出せなくなる。換言すれば、第1バンド部材23を、中留22に対して、X2方向に抜く動作は規制される。尚、更に長さを短くするために第1バンド部材23を中留22に対してX1方向に移動させることは引き続き可能である。
【0040】
図8(b)に示されるように、押圧部材32,33を内側方向(それぞれY2,Y1方向)に押圧すると、係止部32a,33aが凹部33A,33Bの中で外側方向に移動するので、第1バンド部材23の背面に成形された凹部23A,23Bのノコギリ形状の内側の辺の山形状の立ち上がり部分への押圧部材32,33の係止部32a,33aの係止が解除されるので、第1バンド部材23は、中留22から抜き出せるようになる。換言すれば、第1バンド部材23を、中留22に対して、X2方向に抜く動作の規制が解除される。
【0041】
ここで、本発明の第2実施形態に係る時計バンドを、更に以下のように改良することで不本意な抜け落ち防止の機能を高めることもできる。尚、図9(b)では、説明をわかりやすくするために、中留側の構成を透過して示している。
【0042】
すなわち、図9(a)に示される構成では、第1バンド部材23のノコギリ形状の凹部23A,23Bの末端付近の一部領域の外側の辺に島形状の凸部23C,23Dを設けている。このように構成することで、図9(b)に示されるように、押圧部材32,33を押圧して、係止部32a,33aを外側に移動させ、第1バンド部材23を抜き出す作業の最中でも、外側に位置する係止部32a,33aが凸部33C,33Dに当接することで、不本意に第1バンド部材23を外してしまい、時計を落としてしまうなどといった事態を未然防止することが可能となる。尚、係止部32a,33aが凸部23C,23Dに当接した後は、押圧部材32,33の押圧を緩めれば、当該当接が解除され、第1バンド部材23を完全に中留22より抜き出すことも可能となる。
【0043】
以上説明したように、本発明の第2実施形態によれば、以下の効果が奏される。
【0044】
本発明によれば、第1バンド部材23と、第2バンド部材24と、第1バンド部材23と第2バンド部材24とを繋ぐ中留22とを備え、中留22は、下側保持部材31と、下側保持部材31の上に配設されるもので、下側保持部材31の平面に対して垂直な方向に突出した係止部32a,33aを備えた一対の押圧部材32,33と、押圧部材32,33を被覆するもので、係止部32a,33aが突出する開口部35a,35bを備えた上側保持部材35と、上側保持部材35との間に隙間を保持しつつ、上側保持部材35に被覆され、下側保持部材31に勘合することで固定されるケース部材36とを備え、第1バンド部材23には、装着時に上側保持部材35と対向する側の平面に、凹部23A,23Bが形成されており、押圧部材32,33を押圧していない状態では、係止部32a,33aが凹部23A,23B係止して第1バンド部材23を中留22から外す動作が規制され、押圧部材32,33を押圧している状態では、規制が解除される時計バンド21が提供される。したがって、簡易な構成により、バンド部材の装着時の締め付け具合を調整することが可能となる。
【0045】
ここで、第1バンド部材23の凹部23A,23Bは、第1バンド部材23の長尺方向に沿って端部から所定幅で2か所設けられており、各凹部23A,23Bは、第1バンド部材23の長尺方向に延びる各辺が、直線状であり、直線状の辺から離間した対向する辺が、外側に向けて垂直に立ち上がった立ち上がり部分と頂点より内側に向けて緩やかに傾斜した傾斜部分とが所定間隔で繰り返される形状となっており、規制の際には、係止部32a,33aが、立ち上がり部分に係止するようにしてよい。さらに、各凹部23A,23Bの直線状の辺の末端近傍に、押圧部材32,33を押圧している状態で、第1バンド部23材が、中留22から完全に抜けるのを防止する凸部23C,23Dが更に設けられてよい。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなくその趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能であることは勿論である。
【0047】
例えば、バンド部材は、前述したウレタン等の樹脂製のものに限定されず、皮革、合成皮革等を複数枚、貼り合わせたものであってもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0048】
1…時計バンド、2…中留、3…第1バンド部材、3A…凹部、4…第2バンド部材、11…下側保持部材、11a~11d…側壁部、12…押圧部材、12a…係止部、12b…平板部、13…押圧部材、13a…係止部、13b…平板部、14a,14b…コイルバネ、15…上側保持部材、15a…開口部、16…ケース部材、16a,16b…側壁部、16c~16f…凹部、21…時計バンド、22…中留、23…第1バンド部材、23A…凹部、24…第2バンド部材、31…下側保持部材、31a~31d…側壁部、32…押圧部材、32a…係止部、32b…平板部、33…押圧部材、33a…係止部、33b…平板部、31…コイルバネ、35…上側保持部材、35a,35b…開口部、36…ケース部材、36a,36b…側壁部、36c~36f…凹部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9