(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018248
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】配信サーバ、遠隔監視システム、遠隔監視方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20240201BHJP
H04N 5/77 20060101ALI20240201BHJP
H04N 21/2343 20110101ALI20240201BHJP
【FI】
H04N7/18 D
H04N7/18 U
H04N5/77
H04N21/2343
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121454
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯田 康隆
(72)【発明者】
【氏名】稲村 浩之
(72)【発明者】
【氏名】田代 太一
【テーマコード(参考)】
5C054
5C164
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054DA06
5C054EA03
5C054EA07
5C054GA00
5C054GB02
5C054GB05
5C054HA18
5C164FA07
5C164MB13S
5C164PA31
5C164SA25S
5C164SB02P
5C164SB29S
5C164SB36S
(57)【要約】
【課題】複数のネットワークを利用した配信サーバ、遠隔監視システム、遠隔監視方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】実施形態に係る配信サーバは、ネットワークカメラが出力する動画像データをリアルタイムで受信し、前記動画像データを1以上のパラメータで変換して配信データを生成するネットワークカメラ処理部と、前記動画像データを録画して録画データを生成する録画データ処理部と、前記配信データを外部装置へリアルタイムで出力するWebサーバとを備え、前記Webサーバは、前記外部装置からのダウンロード要求に応じて前記録画データを出力する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークカメラが出力する動画像データをリアルタイムで受信し、前記動画像データを1以上のパラメータで変換して配信データを生成するネットワークカメラ処理部と、
前記動画像データを録画して録画データを生成する録画データ処理部と、
前記配信データを外部装置へリアルタイムで出力するWebサーバとを備え、
前記Webサーバは、前記外部装置からのダウンロード要求に応じて前記録画データを出力する配信サーバ。
【請求項2】
前記Webサーバは、前記パラメータを設定変更するパラメータ設定変更用のWeb画面を生成し前記外部装置へ出力する請求項1に記載の配信サーバ。
【請求項3】
前記パラメータは、映像のビットレート、映像の解像度、映像のフレームレート、映像の圧縮方式、画像サイズの少なくとも1つである請求項2に記載の配信サーバ。
【請求項4】
前記ネットワークカメラ処理部は、前記パラメータの異なる組み合わせで変換した複数の配信データを出力し、
前記パラメータ設定変更用のWeb画面から選択された前記パラメータの組み合わせに応じて出力する配信データを切り替える請求項3に記載の配信サーバ。
【請求項5】
前記録画データ処理部は、前記録画データを1以上の前記パラメータで再変換して再配信データを出力し、
前記Webサーバは、再配信データを表示するWeb画面を生成し、前記外部装置へ出力する請求項4に記載の配信サーバ。
【請求項6】
前記Webサーバは、ユーザーがリアルタイムで前記配信データを閲覧中に、前記配信データに対しタグデータを付与するためのマーキング情報を受信し、前記マーキング情報に基づいてタグデータを生成し、
前記録画データ処理部は、前記タグデータと前記タグデータが付与された前記配信データとを紐づけて録画データとして記録する請求項5に記載の配信サーバ。
【請求項7】
前記Webサーバは、前記ユーザーが前記マーキング情報を入力するタグデータ入力画面を出力するタグデータ入力画面処理部を備え、
前記タグデータ入力画面処理部は、タグデータ入力画面上に設置されたボタンを押下することにより、前記ボタンを押下した時点の時刻情報を前記マーキング情報として受信する請求項6に記載の配信サーバ。
【請求項8】
前記ユーザーがリアルタイムで閲覧中の前記配信データの表示画面をクリックすると、
前記タグデータ入力画面処理部は、前記クリックした時点の時刻情報と前記クリックした前記表示画面上の位置を前記マーキング情報として受信する請求項7に記載の配信サーバ。
【請求項9】
前記ネットワークカメラ処理部は、受信した前記動画像データから予め学習した特徴を抽出し、抽出した特徴を備えるポイントの周辺エリアを前記動画像データから切り出して配信データとして出力する請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の配信サーバ。
【請求項10】
前記パラメータ設定変更用のWeb画面は、ネットワークカメラごとに優先度を設定可能な入力手段を備え、
前記ネットワークカメラ処理部は、前記優先度ごとに上記パラメータを切り替えて前記配信データを生成し出力する請求項3に記載の配信サーバ。
【請求項11】
請求項1に記載の配信サーバと、
1以上のネットワークカメラと、
1以上のリモート端末と、
前記ネットワークカメラが接続される第1ネットワークと、
前記リモート端末が接続される前記第1ネットワークより通信容量の小さな第2ネットワークとを備える遠隔監視システム。
【請求項12】
請求項11に記載の遠隔監視システムにおいて、
リモート端末は、Webブラウザからネットワークカメラが出力する動画像データの配信要求と前記動画像データを変換するパラメータとを出力し、
配信サーバは、前記配信要求に基づいて前記動画像データをリアルタイムで受信し、
前記動画像データを前記パラメータで変換して配信データを生成し、
前記動画像データを録画して録画データを生成し、
前記配信データを前記リモート端末へリアルタイムで出力し、
前記リモート端末からのダウンロード要求に応じて前記録画データを出力し、
前記リモート端末は、前記Webブラウザに前記配信データ及び前記録画データを表示する遠隔監視方法。
【請求項13】
リモート端末からネットワークカメラが出力する動画像データの配信要求と前記動画像データを変換するパラメータとを受信する手順と、
前記配信要求に基づいて、前記動画像データをリアルタイムで受信する手順と、
前記動画像データを前記パラメータで変換して配信データを生成する手順と、
前記動画像データを録画して録画データを生成する手順と、
前記配信データを前記リモート端末へリアルタイムで出力する手順と、
前記リモート端末からのダウンロード要求に応じて前記録画データを出力する手順とをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、遠隔監視に適用する配信サーバ、遠隔監視システム、遠隔監視方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場やプラントにて作業管理監督者が現場に不在となる機会が増加しており、現場安全管理の量と質を劣化させないための仕組み作りが必要となっている。一例として、無軌道AGV(Automated Guided Vehicle:無人搬送車)にネットワークカメラを搭載し、自動で現場を巡回させ、リアルタイム動画像をリモート端末に配信することで、遠隔で現場作業員の監視や作業現場の安全巡回を実施する遠隔監視システムがある。
【0003】
従来の遠隔監視システムでは、ネットワークカメラのリアルタイム動画像をWebブラウザ上の再生手段で再生可能にすることで、工場やプラントなどの管理者が使用するイントラネットや一般のインターネットに接続されているリモート端末から自由に閲覧可能としている。近年、ローカル5Gの導入などにより、ネットワークカメラを接続するネットワークが大容量化しており、より高精細な動画像の伝送が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-45134号公報
【特許文献2】特開2017-212611号公報
【特許文献3】特開2004-357206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、リモート端末が接続されている工場やプラントなどの管理者が使用するイントラネットや一般のインターネットの通信容量は拡大されていないため、高精細な動画像が閲覧できない場合がある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、複数のネットワークを利用した配信サーバ、遠隔監視システム、遠隔監視方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る配信サーバは、ネットワークカメラが出力する動画像データをリアルタイムで受信し、前記動画像データを1以上のパラメータで変換して配信データを生成するネットワークカメラ処理部と、前記動画像データを録画して録画データを生成する録画データ処理部と、前記配信データを外部装置へリアルタイムで出力するWebサーバとを備え、前記Webサーバは、前記外部装置からのダウンロード要求に応じて前記録画データを出力する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る遠隔監視システムを示すイメージ図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る配信サーバの機能の構成例を示す構成図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る配信サーバの処理を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第2の実施形態に係る配信サーバの機能の構成例を示す構成図である。
【
図5】
図5は、第3の実施形態に係る配信サーバの機能の構成例を示す構成図である。
【
図6】
図6は、第3の実施形態に係る配信サーバの処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第4の実施形態に係る配信サーバの機能の構成例を示す構成図である。
【
図8】
図8は、第4の実施形態に係る配信サーバが生成するタグデータ入力・表示画面の例を示す図である。
【
図9】
図9は、第4の実施形態に係る配信サーバの処理を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、第5の実施形態に係る配信サーバの機能の構成例を示す構成図である。
【
図11】
図11は、第5の実施形態に係る配信サーバが生成する配信画面の例を示す図である。
【
図12】
図12は、第5の実施形態に係る配信サーバの処理を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、第6の実施形態に係る遠隔監視システムを示すイメージ図である。
【
図14】
図14は、第6の実施形態に係る配信サーバの機能の構成例を示す構成図である。
【
図15】
図15は、第6の実施形態に係る配信サーバの第1の処理を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、第6の実施形態に係る配信サーバが取得するデータの例を示す図である。
【
図17】
図17は、第6の実施形態に係る配信サーバの第2の処理を示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、変形例に係る配信サーバが生成するタグデータ表示画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態の遠隔監視システムに係る配信サーバは、ネットワークAに接続されるネットワークカメラが出力する高精細の動画像のデータを圧縮変換(データ量削減)して配信データを生成してストリーム配信する。ネットワークAよりも通信容量の小さなネットワークBに接続されるリモート端末は、配信データを受信することで動画像を確認することができる。同時に配信サーバは動画像データを録画する。リモート端末は、録画データをダウンロードして高精細の動画像を確認する。
【0010】
図1は、実施形態に係る遠隔監視システムを示すイメージ図である。
【0011】
本実施形態の遠隔監視システムは、ネットワークカメラ1と、配信サーバ2と、複数のリモート端末3を含む。ネットワークカメラ1と配信サーバ2とはネットワーク4Aを介して接続され、配信サーバ2とリモート端末3とはネットワーク4Bを介して接続される。遠隔監視システムにおいては基本的に、監視者は、リモート端末3のモニタなどで遠隔に設置されたネットワークカメラ1が撮影した動画像を視聴して、ネットワークカメラ1設置場所に関わる監視などをする。以降、リモート端末3の操作者をユーザーもしくは監視者と称する。
【0012】
ネットワークカメラ1は、動画像を撮影可能なネットワークカメラであり、撮影した動画像データ、映像ストリームなどを外部装置へ出力するための通信手段を備えている。本実施形態におけるネットワークカメラ1は、ルータ15を介してネットワーク4Aに接続される。ネットワークカメラ1は、ルータ15に接続するために、USBやLANケーブルなどのインターフェースなどを備えている。
【0013】
ルータ15は、ネットワークカメラ1をネットワーク4Aに接続するためのルータであり、ネットワークカメラ1やネットワーク4Aに接続するためのインターフェースを備える。ルータ15は、ネットワークカメラ1に接続するために、USBやLANケーブルなどのインターフェースなどを備えている。また、ルータ15は、ネットワーク4Aに接続するためのインターフェース及び付随する通信手段4Aを備える。通信手段4Aは、有線無線に限定されず、例えば、イーサーネット、BlueTooth(登録商標)、WiFi(登録商標)、5G通信(5 th Generation通信)に基づいたローカル5Gなど任意の通信方式でもよい。通信手段4Aが無線の場合は、インターフェースにはアンテナも含まれる。なお、ネットワークカメラ1が、ルータ15の機能を含み、通信手段4Aを備えて直接ネットワーク4Aに接続される場合もある。
【0014】
配信サーバ2は、クライアントであるリモート端末3に映像、音声など各種コンテンツ、映像ストリーム、Webページなどを配信するサーバであり、例えばCPUやメモリなどを備えたコンピュータなどにより構成されてもよい。配信サーバ2は、ネットワークカメラ1によって撮影された動画像データをネットワーク4経由で取得し、取得した動画像データから配信データなどを生成し、リモート端末3へ出力する。
【0015】
1以上のリモート端末3-11、3-12、3-13(特に区別しない場合は、リモート端末3と称する)は、ネットワークカメラ1から動画像データ、映像ストリームなどを取得して、監視者が遠隔監視をするための端末である。リモート端末3は、例えばPC、スマートフォンなど、CPUやメモリなどを備えたコンピュータなどにより構成されてもよい。リモート端末3は、ネットワーク4Bに接続可能なインターフェース及び付随する通信手段4Aを備える。リモート端末3は、マウス・キーボード(タッチパネルなど含んでもよい)などのデータ入力手段やモニタなどを備え、モニタに表示されたWebブラウザをデータ入力手段から操作できる。
【0016】
ネットワーク4Aは、ルータ15やBS40が接続されるネットワークである。ネットワーク4Aにおいて用いられる通信手段を通信手段4Aとする。すなわち、ルータ15やBS40は、通信手段4Aを備える。通信手段4Aは、有線無線に限定されず、例えば、イーサーネット、BlueTooth(登録商標)、WiFi(登録商標)、5G通信(5th Generation通信)に基づいたローカル5Gなど任意の通信方式でもよい。ネットワーク4Aが無線の場合、接続される装置は、電波を受信するアンテナなどを備える。
【0017】
ネットワーク4Bは、配信サーバ2や1以上のリモート端末3が接続されるネットワークを示す。ネットワーク4Bにおいて用いられる通信手段を通信手段4Bとする。すなわち、配信サーバ2、リモート端末3は、通信手段4Bを備える。通信手段4Bは、有線無線に限定されず、例えば、イーサーネット、BlueTooth(登録商標)、WiFi(登録商標)など任意の通信方式でもよい。ネットワーク4Bが無線の場合、接続される装置は、電波を受信するアンテナなどを備える。本実施形態におけるネットワーク4Bは、例えば一般的なインターネットなどのネットワークを想定し、ネットワーク4Aは、ネットワーク4Bよりも大容量の通信が可能である場合を想定する。
【0018】
BS40は、通信手段4Aを備えた送受信器であり、ネットワーク4Aを介してネットワークカメラ1が出力した動画像データを受信し、配信サーバ2へ出力する。BS40は、通信手段4Aに応じて、例えば、WiFiのアクセスポイント、ローカル5Gの基地局などであってもよい。
【0019】
図2は、第1の実施形態に係る配信サーバの機能の構成例を示す構成図である。
【0020】
配信サーバ2は、ストリーミング配信や各種Webサービスを提供するサーバであり、例えばCPUやメモリなどを備えたコンピュータなどにより構成されてもよい。配信サーバ2は、ネットワークカメラデータ処理機能、ライブデータ配信機能、Webサーバ機能を備える。また配信サーバ2は、配信データをWeb画面に出力する機能、録画データを一覧でWeb画面に出力する機能、録画データをダウンロードする機能などを備える。また配信サーバ2は、各種パラメータを設定したり、変更したりするためのWeb画面を出力する。
【0021】
ネットワークカメラデータ処理部21は、ネットワークカメラ1から動画像データを受信し、各種設定パラメータなどに応じて動画像データを処理し、配信データ、録画データを出力する。ネットワークカメラデータ処理部21は、例えばRTP(Real-time Transport Protocol)やRTSP(Real Time Streaming Protocol)などの通信プロトコルを利用して、ネットワークカメラ1から動画像データをストリームデータとして受信する。
【0022】
データ生成部211は、受信した動画像データを配信データ、録画データに分けて出力する。配信データに対しては、データ生成部211は、所定の設定パラメータに従って変換し、Webサーバのネットワークカメラライブ映像配信画面処理部221で再生可能な形式に変換する。より具体的にデータ生成部211は、動画像データを設定パラメータに従って圧縮処理して配信データを生成する。例えば動画像データの圧縮方法など示す設定パラメータは、リモート端末3のユーザーがリモート端末3から設定することでもよいし、配信サーバ2の管理者などがWebサーバ22に直接設定してもよい。
【0023】
Webサーバ22は、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)などの通信プロトコルを利用して外部装置へ各種画面データなど各種Webサービスをクライアントに提供する一般的に用いられるWebサーバである。またWebサーバ22は、受信したストリームデータをリアルタイムでストリーム配信する。
【0024】
録画データ処理部23は、ネットワークカメラデータ処理部21が出力する録画データを記憶部24へ格納したり、録画データの一覧データベースを作成したりする。
【0025】
ネットワークカメラライブ映像配信画面処理部221は、ネットワークカメラライブ映像配信画面を生成し、リモート端末3などのクライアントに出力する。またネットワークカメラライブ映像配信画面処理部221は、ネットワークカメラデータ処理部21が出力する配信データを受信し、ネットワークカメラライブ映像配信画面に配信データを表示させてリモート端末3へ出力する。
【0026】
録画データ一覧・ダウンロード画面処理部222は、録画データの一覧である録画データ一覧を表示する録画データ一覧・ダウンロード画面を生成し、リモート端末3などのクライアントに出力する。リモート端末3のモニタに表示された録画データ一覧・ダウンロード画面において、ダウンロードしたい録画データを選択できるようにしてもよく、リモート端末3のユーザーは、録画データ一覧・ダウンロード画面で選択した録画データをリモート端末3にダウンロードして、視聴することができる。
【0027】
配信設定変更管理画面処理部223は、配信サーバ2に対して設定または変更できるパラメータを表示する画面を生成し、リモート端末3などのクライアントに出力する。リモート端末3のユーザーは、配信設定変更管理画面から各種パラメータを設定する。配信設定変更管理画面処理部223は、受信した各種パラメータを、配信サーバ2内の対象部位に設定たり、記憶部23に格納したりする。
【0028】
配信設定変更管理画面処理部223は、受信した各種パラメータを、ネットワークカメラデータ処理部21に設定する。より具体的に配信設定変更管理画面処理部223は、各種パラメータを映像配信・録画設定ファイルに含めて、ネットワークカメラデータ処理部21に出力して設定する。映像配信・録画設定ファイルには、例えば、映像のビットレート、映像の解像度、映像のフレームレート、映像の圧縮方式、音声のサンプリングレート、音声のビット深度、音声のビットレート、音声の圧縮方式など各種パラメータのうち1つ以上を含めてもよい。ネットワークカメラデータ処理部21は、映像配信・録画設定ファイルに含まれる各種パラメータを用いて動画像データを処理し、配信データまたは録画データを生成する。
【0029】
また動画像データの圧縮率を映像配信・録画設定ファイルのパラメータに含めてもよい。圧縮率は、元の動画像データ量に対する圧縮後の動画像データ量の割合で定義する。例えば圧縮率1の場合は、圧縮しないことを意味する。動画像データに対する圧縮率(もしくはその近似値)は、上記した各種パラメータによって実現することでもよいし、またそれらの組み合わせなどによって実現することでもよい。例えば、圧縮率とそれを実現するための各種パラメータを紐づけてデータベースとして記憶部24に格納してもよい。この場合ネットワークカメラデータ処理部21は、圧縮率を設定パラメータとして受信した場合に、データベースを参照して動画像データの変換方法を決定することでもよい。
【0030】
映像配信・録画設定ファイル2231は、映像配信・録画設定ファイルの例であり、ネットワークカメラデータ処理部21に対して、ネットワークカメラ1から動画像データを取得させ、圧縮率CR1で動画像データを配信データに変換させる例である。また同時にネットワークカメラデータ処理部21に対して、ネットワークカメラ1から取得した動画像データを、圧縮率1(圧縮なし)で動画像データを録画データとして出力させる例である。なお、動画像取得源が複数ある場合は、映像配信・録画設定ファイル2231において、動画像取得源の項目に、例えば、ネットワークカメラ1に固有のID番号など動画像取得源を特定できるようなデータを入れてもよい。
【0031】
記憶部24は、各種データが格納される不揮発性メモリを含む記憶装置を示す。記憶部24には、録画データや各種パラメータなどが格納される。
【0032】
I/F部25は、BS40と接続し、データ通信をするインターフェースであり、有線無線に限定されず、USBなど各種ケーブルが接続されることでもよい。
【0033】
I/F部26は、通信手段4Bを備え、ネットワーク4Bと接続し、リモート端末3など外部装置とデータ通信をするインターフェースである。
【0034】
図3は、第1の実施形態の配信サーバに係る処理を示すフローチャートである。
【0035】
リモート端末3のユーザーは、Webブラウザから配信設定変更管理画面処理部223が提供する配信設定変更管理画面にアクセスし、各種パラメータを設定する。またリモート端末3のユーザーは、ネットワークカメラライブ映像配信画面処理部211の提供するネットワークカメラライブ映像配信画面にアクセスし、ネットワークカメラのライブ映像の配信を配信サーバ2に要求する。配信設定変更管理画面処理部223は、映像配信・録画設定ファイルに受信した各種パラメータを含めてネットワークカメラデータ処理部21に出力、設定する。ネットワークカメラライブ映像配信画面処理部221は、ネットワークカメラデータ処理部21に対して、映像配信・録画設定ファイルに基づいて動画像データを受信して配信データを出力させる命令を出力する。本実施形態においては、設定された映像配信・録画設定ファイルを
図2の映像配信・録画設定ファイル2231とする。
【0036】
ネットワークカメラデータ処理部21は、配信データの出力命令を受信すると(ステップS100)、映像配信・録画設定ファイル2231に基づいてネットワークカメラ1から動画像データを、例えばRTPやRTSPなどの通信プロトコルを利用して、ストリームデータとして受信する(ステップS101)。
【0037】
ネットワークカメラデータ処理部21において、データ生成部211は、受信したストリームデータを変換して動画像データを抽出し(ステップS102)、録画データを録画データ処理部23へ出力する(ステップS103)。データ生成部211は、映像配信・録画設定ファイル2231のパラメータを取得し(ステップS104の配信データ、ステップS105)、パラメータに基づいて配信データを変換する(S106)。
【0038】
より具体的にステップS106においてデータ生成部211は、動画像データを圧縮率CR1に従って圧縮変換し、Webサーバ22が提供するネットワークカメラライブ映像配信画面で再生可能な形式に変換して配信データを生成する。設定パラメータである圧縮率CR1は、例えば、ネットワーク4Bの性能を考慮して、配信データが十分に伝送可能なデータ量となるようにリモート端末3から設定してもよいし、また例えば配信設定変更管理画面処理部223が、ネットワーク4Bを測定するなどしてその測定値を用いて、圧縮率CR1を算出してもよい。ネットワーク4Aがネットワーク4Bよりも通信容量が小さいことを考慮すると、配信データは動画像データよりもデータ量が小さくなるように圧縮率CR1を決定するのが望ましい。データ生成部211は、圧縮率CR1に基づいて、データ圧縮方法や解像度などを決定し、圧縮変換処理を実施する。
【0039】
ネットワークカメラライブ映像配信画面処理部221は、生成された配信データをネットワークカメラライブ映像配信画面に表示させる(ステップS107)。
【0040】
一方、録画データは、ネットワークカメラ1から伝送される動画像データをそのまま記憶部24に保存する(ステップS104の録画データ、S111)。録画データ処理部23は、録画データとともに、録画データに関する情報である録画データ情報を生成し、録画データ情報に基づいてデータ一覧を生成し(ステップS112)、記憶部24に格納する(ステップS113)。ステップS112における録画データ情報には、例えば録画データの名称でもよい。
【0041】
以上の手順により、リモート端末3のユーザーは、ネットワークカメラライブ映像配信画面をWebブラウザにより閲覧することで、大容量ネットワーク4Aに接続されたネットワークカメラ3が出力する動画像をリアルタイムで閲覧可能となる。また、同時にリモート端末3のユーザーは、Webサーバ22が提供する録画データ一覧・ダウンロード画面から録画データをダウンロードして、ネットワークカメラ1が出力したもともとの高精細でデータ量の大きな動画像データを受信して閲覧することにより、詳細な遠隔監視が可能となる。なお本実施形態においては、ネットワーク4Aがネットワーク4Bよりも通信容量が大容量である場合を例に示したが、その場合に限定されることはなく当然に本実施形態の適用が可能である。
【0042】
なお、本実施形態においては、動画像データの圧縮率を設定パラメータとする例を示したが、映像のビットレート、映像の解像度、映像のフレームレート、映像の圧縮方式などをパラメータとしてもよい。また動画像データ、映像ストリームと同時に受信する音声データに対する音声のサンプリングレート、音声のビット深度、音声のビットレート、音声の圧縮方式などをパラメータとして設定できるようにして、音声データを圧縮して送信データ量を削減することでもよい。
(第2の実施形態)
本実施形態の遠隔監視システムに係る配信サーバは、ネットワークカメラから動画像データを受信して、異なるパラメータで動画像データを処理し、複数の配信データを生成し、出力する。例えば、圧縮率の大きな圧縮方法により高い圧縮をする場合の配信データと、圧縮率の小さな圧縮方法によりほとんど圧縮をしない場合の配信データとの組み合わせとすることでもよい。通信容量が小さいネットワークに接続しているリモート端末3には、高い圧縮をした配信データにアクセスさせることで、スムーズなリアルタイム動画像の閲覧が可能となる。
【0043】
図4は、第2の実施形態に係る配信サーバの機能の構成例を示す構成図である。
【0044】
配信サーバ2Aは、ネットワークカメラデータ処理部21A以外は、
図2の配信サーバ2の各構成と同様であるものとする。ネットワークカメラデータ処理部21Aは、ネットワークカメラデータ処理部21と異なり、複数の配信データを出力する。
【0045】
またネットワークカメラデータ処理部21Aは、受信した動画像データを、それぞれ異なるパラメータで変換して、複数の配信データを生成、出力する。映像配信・録画設定ファイル2231Aは、本実施形態の設定パラメータの例である。映像配信・録画設定ファイル2231Aの設定により、ネットワークカメラデータ処理部21Aは、ネットワークカメラ1から受信した動画像データを圧縮率CR1、CR2で変換し、配信データ1、配信データ2を生成、出力する。また同時にネットワークカメラデータ処理部21は、ネットワークカメラ1から取得した動画像データを、圧縮率1(圧縮なし)で動画像データを録画データとして出力する。
【0046】
配信サーバ2Aが配信データを複数出力する処理は、
図3に示すフローチャートにより、可能である。
図3のステップS100において、リモート端末3から映像配信・録画設定ファイル2231Aに示すパラメータが配信設定変更管理画面処理部223に設定されるとともに、ネットワークカメラライブ映像配信画面処理部221が配信データ出力命令を受信すると、ネットワークカメラデータ処理部21は、出力データ(配信データ1、配信データ2、録画データ)ごとにステップS101からS105、S111からS113を実行する。
【0047】
また配信サーバ2Aが複数の配信データを出力しているときに、リモート端末3のモニタに表示される配信データが1つの場合は、ネットワークカメラライブ映像配信画面処理部221は、例えばネットワークカメラライブ映像配信画面に配信データを切り替える機能を備えたボタンなどを表示させて、ユーザーがWeb画面からボタンで配信データを選択すると、配信データを切り替えることでもよい。
【0048】
以上の手順により、リモート端末3は、ネットワークカメラが出力する動画像を例えばネットワーク4Bの状態に応じて、圧縮率の異なる配信データにアクセスできるため、スムーズなリアルタイム動画像の閲覧が可能となる。
(第3の実施形態)
本実施形態の遠隔監視システムに係る配信サーバは、録画データを配信データと同様の形式に変換し、再配信データをストリーム配信などで出力する録画データ処理機能を備える。
【0049】
図5は、第3の実施形態に係る配信サーバの機能の構成例を示す構成図である。
【0050】
配信サーバ2Bは、Webサーバ22Bと録画データ処理部23B以外は、
図2の配信サーバ2の各構成と同様であるものとする。録画データ処理部23Bは、録画データ処理部23と異なり、所望のパラメータで録画データを再変換して、再配信データを出力する。Webサーバ22Bは、録画データ処理部23Bの出力する再配信データを画面表示させてクライアントに提供する録画データ配信画面処理部224を備える。
【0051】
映像配信・録画設定ファイル2231Bは、記憶部24に格納されている録画データ1を圧縮率CR1で変換し、再配信データとして出力する場合の設定パラメータの例である。映像配信・録画設定ファイル2231Bは、配信設定変更管理画面処理部223から録画データ処理部23Bに設定されることでもよい。録画データ処理部23Bは、記憶部24から指定された録画データ1の動画像データを取得し、圧縮率CR1で変換して再配信データを生成し、録画データ配信画面処理部224へ出力する。録画データ配信画面処理部224は、再配信データによる映像をWeb画面に含めて出力する。
【0052】
図6は、第3の実施形態の配信サーバに係る処理を示すフローチャートである。
【0053】
リモート端末3から映像配信・録画設定ファイル2231Bのパラメータが配信設定変更管理画面処理部223に設定されるとともに、録画データ配信画面処理部224が再配信データ出力命令を受信すると(ステップS301)、録画データ処理部23Bは、映像配信・録画設定ファイル2231Bの設定パラメータを取得する(ステップS302)。録画データ処理部23Bは、設定パラメータに基づいて、記憶部24から取得した録画データ1を圧縮率CR1で圧縮し、配信データと同様の形式に変換し、再配信データとして出力する(ステップS303)。録画データ配信画面処理部224は、再配信データを含めた録画データ配信画面をリモート端末3に出力する。
【0054】
以上の手順により、監視者はリモート端末3のモニタにて、録画データ配信画面をWebブラウザで閲覧することにより、録画した過去のデータを閲覧可能となる。
(第4の実施形態)
本実施形態の遠隔監視システムに係る配信サーバ2Cは、ユーザーがリモート端末3からリアルタイム動画像閲覧中に、後から再確認したい時刻やポイント、注意を要する時刻やポイントをマーキングすると、タグデータを生成し、記録する機能を備える。配信サーバ2Cは、記録したタグデータと録画データを統合して、例えば、タグデータの時刻近傍のみ記録したり、ポイント周辺の動画像エリアのみ記録したりする。タグデータとは、例えば、リアルタイム動画像閲覧中にマーキングされた時刻やポイントの情報である。
【0055】
図7は、第4の実施形態に係る配信サーバの機能の構成例を示す構成図である。
【0056】
配信サーバ2Cは、Webサーバ22C及び録画データ処理部23C以外は、
図2の配信サーバ2の各構成と同様であるものとする。
【0057】
録画データ処理部23Cは、録画データ処理部23と異なり、記録されたタグデータとデータ生成部211が出力する録画データとを紐づける。また録画データ処理部23Cは、紐づけられたタグデータの時刻近傍のみの録画データを記憶部24に記録したり、ポイントの位置周辺(例えば、ポイントの位置を中心としてあらかじめ決められた長方形の範囲)のみを記憶部24に記録したりしてもよい。
【0058】
Webサーバ22Cは、タグデータ入力・表示画面処理部225以外は、Webサーバ22の機能と同様である。タグデータ入力・表示画面処理部225は、例えばリモート端末3でユーザーがリアルタイム動画像閲覧中にマーキングするためのタグデータ入力・表示画面をリモート端末3のモニタに表示させる。
【0059】
図8は、第4の実施形態に係る配信サーバが生成するタグデータ入力・表示画面の例を示す図である。
【0060】
図8(a)は、リモート端末3のモニタ31に、ネットワークカメラライブ映像配信画面311、タグデータ入力・表示画面312が表示されている例である。
【0061】
例えば、ユーザーは、モニタ31のネットワークカメラライブ映像配信画面311で動画像閲覧中に、入力ボタン3122を押下すると、押下した時点の時刻情報がタグデータ入力・表示画面3121に表示されると同時に、マーキング情報としてタグデータ入力・表示画面処理部225に入力され、タグデータ情報として配信サーバ2Cに登録される。制御ボタン313の削除ボタンは、登録したタグデータ情報を削除するためのボタンであり、例えば、タグデータ入力・表示画面312に表示されている時刻を選択した状態で削除ボタンを押下すると、選択時刻に関わるタグデータ情報が削除されるとともに、タグデータ入力・表示画面上の表示が消滅するようにしてもよい。なお、リモート端末3のユーザーが、キーボードなどから時刻入力・表示画面3121に時刻を直接入力して入力ボタンを押下すると、入力された時刻情報がタグデータ情報として配信サーバ2に登録されるようにしてもよく、任意の方法が考えられる。
【0062】
図9は、第4の実施形態に係る配信サーバの処理を示すフローチャートである。
【0063】
ユーザーは、リモート端末3のモニタ31からネットワークカメラライブ映像配信画面311を動画像閲覧中に、タグデータ入力・表示画面312からマーキング情報である時刻情報を入力する。タグデータ入力・表示画面処理部225は、時刻情報を受信すると(ステップS401)、時刻情報を含めてタグデータ情報を生成する(ステップS402)。タグデータ情報には、時刻情報の他に関連する任意の情報を含めてもよい。録画データ処理部23Cは、同時に取得している録画データ(動画像データ)とタグデータ情報を統合して(ステップS403)、記憶部24に格納する(ステップS404)。
【0064】
図8(b)は、ユーザーがリモート端末3から録画データをダウンロードなどするための録画データ一覧・ダウンロード画面の例である。
【0065】
録画データ一覧・ダウンロード画面処理部222は、録画データに統合したタグデータ情報を参照して、表示3141の例のように、録画データの名称(AAA.mp4)と、その録画データを閲覧中に付与された時刻情報(xx:yy、xx:zz)とを対応付けて表示する。
【0066】
ユーザーは、例えば、表示3141の時刻部分(例えばxx:yyの部分)をクリックするなどして時刻を選択すると、録画データ一覧・ダウンロード画面処理部224は、記憶部24の録画データ(AAA.mp4)から、選択された時刻の周辺データ(例えば、前後数分でもよい)を切り出してリモート端末3に出力する。選択された時刻の周辺データをどのように選択するかは、ユーザーが録画データをダウンロード要求する際に、録画データ一覧・ダウンロード画面314から例えば、選択時刻の前後1分などの時間幅を設定できるようにしてもよいし、配信サーバ2Cに予め設定されていてもよく、任意の方法が考えられる。
【0067】
以上の手順により、リモート端末3のユーザーは、後から再確認したい時刻の録画データを選択してダウンロードすることができ、より少ない通信量で、注視すべき点の高精細な映像を閲覧およびダウンロードすることができる。
(第5の実施形態)
本実施形態
本実施形態の遠隔監視システムに係る配信サーバは、ネットワークカメラから受信した高精細動画像から異常や不審なポイントを解析する機能と、解析して得られたポイント周辺のみを配信データとして出力する機能を備える。
【0068】
図10は、第5の実施形態に係る配信サーバの機能の構成例を示す構成図である。
【0069】
配信サーバ2Dは、ネットワークカメラデータ処理部21D以外は、
図2の配信サーバ2の各構成と同様であるものとする。ネットワークカメラデータ処理部21Dは、ネットワークカメラデータ処理部21と異なり、AI画像処理部212を備える。
【0070】
AI画像処理部212は、ネットワークカメラ1が出力した動画像データをAI(人工知能)処理することにより、動画像データに含まれる所望の特徴を持つ箇所(ポイント)を検知する。AI画像処理部212のAIは、所望の特徴について予め学習しているものとする。
【0071】
図11は、第5の実施形態に係る配信サーバが生成する配信画面の例を示す図である。
【0072】
動画像310は、ネットワークカメラ1が撮影した動画像データまたはデータ生成部211Dが出力する圧縮率なしの配信データによる表示画像に相当する。動画像310のデータがAI画像処理部212に入力されると、AI画像処理部212は、AI画像処理により動画像310から所望の特徴を持つポイント3112を検出する。
【0073】
AI画像処理部212は、ポイント3112の周辺領域3111を配信データとして、ネットワークカメラライブ映像配信画面処理部221に出力する。周辺領域3111の大きさは予め設定されていても、ユーザーがリモート端末3から配信要求の際に指定してもよい。
【0074】
ネットワークカメラライブ映像配信画面処理部221は、受信した周辺領域3111部分の動画像を配信データとしてネットワークカメラライブ映像配信画面に表示させ、リモート端末3に出力する。ユーザーはWeb画面から周辺領域3111の配信データを閲覧する。
【0075】
図12は、第5の実施形態に係る配信サーバの処理を示すフローチャートである。
本実施形態における配信サーバ2Dの処理フローは、
図3のフローチャートと同様であるため、差異のある部分を中心に説明する。
【0076】
ステップS500からS504は、
図3のステップS100からS104と同様であるため、説明を省略するが、ステップS500の配信データの要求においては、
図10の映像配信・録画設定ファイル2231Dに示す「AI検知のあり/なし」についての情報を要求に含めてもよい。さらにAI検知ありの場合においては、「配信データサイズ」を要求に含めてもよい。なお、「AI検知のあり/なし」、「配信データサイズ」は、予め固定的にネットワークカメラデータ処理部21Dに設定しておいてもよい。
【0077】
ネットワークカメラデータ処理部21Dは、映像配信・録画設定ファイル2231Dの「AI検知のあり/なし」を確認し(ステップS505)、AI検知が「あり」である場合、AI画像処理部212は、入力された動画像データ(または圧縮率1の配信データ)に対して、AI処理により予め学習された特徴を持つポイントを検出する(ステップS505のYes、S506)。AI画像処理部212は、映像配信・録画設定ファイル2231Dから配信データサイズ(400×600画素)を取り出し、ステップS506で検出したポイントを中心として配信データサイズの長方形の動画像データを配信データとして生成し、ネットワークカメラライブ映像配信画面処理部221へ出力する(ステップS507)。
【0078】
一方、ステップS505において、AI検知が「なし」である場合は、AI処理を実施せずに
図3のS105、S106同様に、映像配信・録画設定ファイル2231Dのパラメータに基づいて、配信データを生成し、ネットワークカメラライブ映像配信画面処理部221へ出力する(ステップS505のNo、S508、S509)。ステップS507またはS509の後、ネットワークカメラライブ映像配信画面処理部221は、受信した配信データをネットワークカメラライブ映像配信画面に出力することで、リモート端末3のユーザーは、設定した配信データサイズに相当する大きさでモニタに表示されたネットワークカメラ3のリアルタイム動画像を閲覧可能となる。
【0079】
以上の手順により、AI画像処理部212がネットワークカメラからの高精細動画像から異常や不審なポイントを解析して、検知したポイント周辺の動画像データのみをリモート端末3に出力することで、動画像データの送信データ量を低減することができる。これにより、リモート端末3のユーザーは、通信容量の小さなネットワーク4Bを介しても、ネットワークカメラ1のリアルタイム映像の重要部分を高精細のままリモート端末3において確認できる。
(第6の実施形態)
本実施形態においては、複数のネットワークカメラ1が遠隔監視システムに接続される場合に、配信サーバ2は、ネットワークカメラ1ごとに優先度を決定し、優先度ごとに設定パラメータを切り替える機能を備える例を示す。2台のネットワークカメラ1A、1Bが接続される例を示す。また本実施形態のネットワーク4Aには、ローカル5Gネットワークを想定する。
【0080】
図13は、第6の実施形態に係る遠隔監視システムを示すイメージ図である。
【0081】
複数のネットワークカメラ1A、1Bがそれぞれルータ15A、15Bに接続される。ネットワークカメラ1A、1Bはそれぞれ同様のネットワークカメラ1を想定し、特に区別しない場合は、ネットワークカメラ1と総称する。またルータ15A、15Bは、同様のルータを想定し、特に区別しない場合は、ルータ15と総称する。本実施形態のルータ15は5G通信による通信手段(アンテナなどを含む)を備えている。BS40はローカル5Gの基地局とし、ローカル5Gネットワークであるネットワーク4Aにより、ルータ15と通信をする。本実施形態のローカル5Gネットワークは、ネットワーク4A上の通信帯域を分割して、異なる通信接続に対して通信帯域を割り当てるネットワークスライシング機能を備えるものとする。
【0082】
図14は、第6の実施形態に係る配信サーバの機能の構成例を示す構成図である。
【0083】
配信サーバ2Eは、
図2の配信サーバ2の各構成と同様の機能を2系統備える場合の例である。ネットワークカメラ1Aから受信した動画像データは、ネットワークカメラデータ処理部21、録画データ処理部23、記憶部24、I/F部25で各種処理がなされ、ネットワークカメラ1Bから受信した動画像データは、ネットワークカメラデータ処理部21-2、録画データ処理部23-2、記憶部24-2、I/F部25-2で各種処理がなされる。Webサーバ22、I/F部26は、共通に利用される。
【0084】
ネットワークカメラ1の性能などによっては、撮影する動画像データのデータ量が異なり、ネットワーク4Aで必要な通信帯域が異なる場合がある。このような場合ローカル5Gにおいては、ネットワークスライシング機能によって、ネットワーク4A上の各ルータ15とBS40との間の通信について、各ルータ15に割り当てる通信容量を決定できる。配信サーバ2Eは、BS40などから各ルータ15すなわちネットワークカメラ1に割り当てられた通信容量などの情報(ネットワークカメラ情報と称する)を取得する。
【0085】
図15は、第6の実施形態に係る配信サーバの第1の処理を示すフローチャートである。
【0086】
ネットワークカメラデータ処理部21は、リモート端末3から配信データの出力命令を受信する(ステップS601のYes)。
【0087】
図16は、第6の実施形態に係る配信サーバが取得するデータの例を示す図である。
図16(a)、(c)は、ユーザーからの設定パラメータの例を示し、
図16(b)は、例えばBS40から予め取得されて記憶部24などにデータベースとして格納されているネットワークカメラ情報の例である。
【0088】
図15のステップS601において、ネットワークカメラデータ処理部21は
図16(a)に示すように画質優先度「高」の要求をとともに、ネットワークカメラ1Aの配信データの出力命令を受信したとする(ステップS602)。ネットワークカメラデータ処理部21は、
図16(b)のネットワークカメラ情報から、ネットワークカメラ1Aが必要とする通信容量の情報を確認する(ステップS603)。ネットワークカメラデータ処理部21は、ネットワークカメラ1Aの必要通信容量と画質優先度「高」とから、ネットワークカメラ1Aから受信する動画像データの圧縮率を決定する(ステップS604)。
【0089】
ステップS604において、画質優先度「高」であることから、例えば、ネットワーク4Bが許容可能な最大のデータ量となるような圧縮率にすることでもよい。また、ステップS604において、必要通信容量及び画質優先度と圧縮率とが紐づけられたデータベース、また圧縮率と圧縮方式などが紐づけられたデータベースを記憶部24などに格納しておき、ネットワークカメラデータ処理部21は、必要通信容量及び画質優先度からデータベースにおいて紐づけられた圧縮率または圧縮方法などを取得するようにしてもよい。
【0090】
ネットワークカメラデータ処理部21は、決定した圧縮率で、ネットワークカメラ1Aから受信した動画像データを変換して、配信データを生成し、出力する(ステップS605)。
【0091】
以上の手順により、リモート端末3のユーザーは、画質優先度を指定して、ネットワークカメラ1Aから動画像データの配信データを受信することができる。上記に続き同じリモート端末3が、配信サーバ2Eにネットワークカメラ1Bへの接続要求をしたものとする。
【0092】
図17は、第6の実施形態に係る配信サーバの第2の処理を示すフローチャートである。
【0093】
ネットワークカメラデータ処理部21-2は、
図16(c)に示す画像サイズの要求とともに、リモート端末3から配信データの出力命令を受信する(ステップS651)。ネットワークカメラデータ処理部21-2は、
図16(b)、
図16(c)のデータを確認する(ステップS652)。ネットワークカメラデータ処理部21は、ネットワークカメラ1Bに対するネットワーク4Aの必要通信容量であるネットワークスライス容量「N2(低通信容量)」と画像サイズ「100×100[画素]」とから、ネットワークカメラ1Bから受信する動画像データの圧縮率を決定する(ステップS653)。
【0094】
ネットワークカメラデータ処理部21-2は、決定した圧縮率で、ネットワークカメラ1Bから受信した動画像データを変換して、配信データを生成し、出力する(ステップS654)。ステップS653において、ネットワークスライス容量、画像サイズと圧縮率とが紐づけられたデータベースや圧縮率と圧縮方式などが紐づけられたデータベースを記憶部24などに格納しておき、ネットワークカメラデータ処理部21は、データベースからネットワークスライス容量、画像サイズと紐づけられた圧縮率や圧縮方式などを取得するようにしてもよい。
【0095】
以上の手順により、1つのリモート端末3から複数のネットワークカメラ1A、1Bが出力する動画像データを画質、画像サイズを指定して閲覧することができる。以上の例では、画質、画像サイズを別に指定する例を示したが、組み合わせで指定することでもよい。
【0096】
ネットワークカメラ1A、1Bは、それぞれの性能により出力する動画像データのデータ量が確定している場合、ネットワーク4Aにおける通信の優先度(割り当てられる通信容量)は、ローカル5Gのスライシング機能により決定される。例えば、ネットワーク4Aにおいて、通信の優先度の高いネットワークカメラ1(例えば1Aとする)は、通信の優先度の低いネットワークカメラ1(例えば1Bとする)に比べて通信容量が大きくなる。
【0097】
ローカル5Gのスライシング機能により決定される通信の優先度をスライシング優先度と称し、上記のリモート端末3から設定した画質優先度、画像サイズなど遠隔監視システムがシステム的に決定する優先度をシステム優先度と称して区別することもできる。システム優先度には、リモート端末3が監視する動画像データに関わるさまざまなパラメータを含めてもよい。またスライシング優先度をシステム的にリモート端末3から指定することも可能であり、その場合、スライシング優先度はシステム優先度に含められることでもよい。
【0098】
例えば、監視したい領域(それぞれのネットワークカメラ1がカバーするエリア)に対してより高精細な動画像を閲覧したい場合は、該当するネットワークカメラ1に対するシステム優先度またはスライシング優先度を高くすればよい。
【0099】
またネットワークカメラデータ処理部21(21-2を含む)は、スライシング優先度の高いネットワークカメラ1に対しては、例えば、より高い圧縮をするパラメータとしてシステム優先度の画質優先度を下げることでもよい。これにより、ネットワークカメラ1に割り当てられるネットワーク4Aの通信容量やリモート端末3の接続しているネットワーク4Bの通信容量によらず、リモート端末3は、ネットワークカメラ1が出力するリアルタイム動画像の閲覧が可能となる。
(変形例)
本変形例は、第4の実施形態の変形例であり、
図7の配信サーバ2Cに対するその他の実施例である。
【0100】
図18は、変形例に係る配信サーバが生成するタグデータ表示画面の例を示す図である。
【0101】
リモート端末3のユーザーが、モニタ31でリアルタイム動画像を閲覧中であるとする。ユーザーは、リアルタイム動画像中に、後から再確認したいまたは注意を要するポイントを発見した時に、ネットワークカメラライブ映像配信画面311上で、マウスなどでクリックしてマーキングする。ポイント3112Aは、ユーザーがクリックしたマーキングの例である。ポイント3112Aをクリックすることにより、タグデータ入力・表示画面処理部225は、ポイント3112Aが表示された時刻情報とともに、ネットワークカメラライブ映像配信画面311中の位置情報を把握する。
【0102】
タグデータ入力・表示画面処理部225は、ポイントがクリックされたことを検知すると、ポイントの時刻情報、位置情報を含めてタグデータ情報を生成し、タグデータ表示画面315に時刻情報、位置情報を表示する。(xx:yy)、(xx:zz)は表示された時刻情報の例を示し、(x1、y1)、(x2、y2)は、それぞれの時刻にクリックされたポイントの位置情報の例を示す。
【0103】
タグデータ入力・表示画面処理部225が生成したタグデータ情報は、
図9のフローチャートと同様の処理によって、タグデータ情報と録画データを統合して、記憶部24に格納される。
【0104】
以上の手順により、第4の実施形態と同様にリモート端末3のユーザーは、後から再確認したい時刻やポイントを記録されている録画データを選択してダウンロードすることができる。
【0105】
以上に述べた少なくとも1つの実施形態、変形例によれば、複数のネットワークを利用した配信サーバ、遠隔監視システム、遠隔監視方法及びプログラムを提供することができる。
【0106】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。また、フローチャート、シーケンスチャートなどに示す処理は、CPU、ICチップ、デジタル信号処理プロセッサ(Digital Signal ProcessorまたはDSP)などのハードウェアもしくはマイクロコンピュータを含めたコンピュータなどで動作させるソフトウェア(プログラムなど)またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって実現してもよい。また請求項を制御ロジックとして表現した場合、コンピュータを実行させるインストラクションを含むプログラムとして表現した場合、及び前記インストラクションを記載したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として表現した場合でも本発明の装置を適用したものである。また、使用している名称や用語についても限定されるものではなく、他の表現であっても実質的に同一内容、同趣旨であれば、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0107】
1…ネットワークカメラ、2…配信サーバ、3…リモート端末、4A…ネットワーク、4B…ネットワーク、15…ルータ、21…ネットワークカメラデータ処理部、22…Webサーバ、23…録画データ処理部、24…記憶部、25…I/F部、26…I/F部、31…モニタ、40…BS、211…データ生成部、212…AI画面処理部、221…ネットワークカメラライブ映像配信画面処理部、222…録画データ一覧・ダウンロード画面処理部、223…配信設定変更管理画面処理部、224…録画データ配信画面処理部、225…タグデータ入力・表示画面処理部。