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特開2024-18262モデル管理システム、モデル管理方法およびモデル管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018262
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】モデル管理システム、モデル管理方法およびモデル管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20240201BHJP
【FI】
G06T19/00 300B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121478
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】517005363
【氏名又は名称】株式会社スタイルポート
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100144440
【弁理士】
【氏名又は名称】保坂 一之
(72)【発明者】
【氏名】橋上 英宜
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 憲之介
【テーマコード(参考)】
5B050
【Fターム(参考)】
5B050AA03
5B050BA09
5B050BA17
5B050CA01
5B050EA26
5B050FA02
(57)【要約】
【課題】ウェブブラウザ上に表示させる建築物の3次元モデルに対する視点の移動可能な範囲を容易に生成させる。
【解決手段】
一例に係るモデル管理システムは、少なくとも1つのプロセッサを備え、少なくとも1つのプロセッサは、ウェブブラウザ上に表示可能な建築物の3次元モデルを取得し、ウェブブラウザ上での3次元モデルの表示に用いられ、かつ、3次元モデルに対する視点を提供する仮想カメラの移動可能なエリアを含むメッシュ情報を、3次元モデルを構成する各オブジェクトに含まれるポリゴンの法線ベクトルの向きに基づいて生成し、生成されたメッシュ情報を3次元モデルに関連付ける。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
ウェブブラウザ上に表示可能な建築物の3次元モデルを取得し、
前記ウェブブラウザ上での前記3次元モデルの表示に用いられ、かつ、前記3次元モデルに対する視点を提供する仮想カメラの移動可能なエリアを含むメッシュ情報を、前記3次元モデルを構成する各オブジェクトに含まれるポリゴンの法線ベクトルの向きに基づいて生成し、
生成された前記メッシュ情報を前記3次元モデルに関連付ける、
モデル管理システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記3次元モデルに予め設定された基本情報をさらに取得し、
複数の前記オブジェクトに関するジオメトリの内、その法線ベクトルが第1方向に沿う前記ポリゴンを有する前記ジオメトリを抽出し、
前記ジオメトリの内、前記建築物の床の少なくとも一部に対応する前記オブジェクトからの前記第1方向への距離が閾値未満である前記オブジェクトの前記ジオメトリを前記基本情報に基づいて抽出し、
抽出された当該ジオメトリに基づいて前記メッシュ情報を生成する、請求項1に記載のモデル管理システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記3次元モデル内における前記仮想カメラの移動不能なエリアを含む前記メッシュ情報を、前記3次元モデルを構成する各オブジェクトに含まれるポリゴンの法線ベクトルの向きに基づいて生成する、請求項1または2に記載のモデル管理システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記オブジェクトの大きさが閾値以上である前記オブジェクトに含まれるポリゴンの法線ベクトルの向きに基づいて、前記メッシュ情報を生成する、請求項1または2に記載のモデル管理システム。
【請求項5】
前記仮想カメラは、前記3次元モデル内を移動可能なオブジェクトに対応し、
前記建築物の床以外の対象物に対応する前記オブジェクトに含まれる前記ポリゴンと前記仮想カメラに対応する前記オブジェクトとが衝突しないと判定されたエリアに基づいて、前記メッシュ情報を更新する、請求項1または2に記載のモデル管理システム。
【請求項6】
少なくとも1つのプロセッサを備えるモデル管理システムによって実行されるモデル管理方法であって、
ウェブブラウザ上に表示可能な建築物の3次元モデルを取得するステップと、
前記ウェブブラウザ上での前記3次元モデルの表示に用いられ、かつ、前記3次元モデルに対する視点を提供する仮想カメラの移動可能なエリアを含むメッシュ情報を、前記3次元モデルを構成する各オブジェクトに含まれるポリゴンの法線ベクトルの向きに基づいて生成するステップと、
生成された前記メッシュ情報を前記3次元モデルに関連付けるステップと、
を含むモデル管理方法。
【請求項7】
ウェブブラウザ上に表示可能な建築物の3次元モデルを取得するステップと、
前記ウェブブラウザ上での前記3次元モデルの表示に用いられ、かつ、前記3次元モデルに対する視点を提供する仮想カメラの移動可能なエリアを含むメッシュ情報を、前記3次元モデルを構成する各オブジェクトに含まれるポリゴンの法線ベクトルの向きに基づいて生成するステップと、
生成された前記メッシュ情報を前記3次元モデルに関連付けるステップと、
をコンピュータに実行させるモデル管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の一側面は、モデル管理システム、モデル管理方法およびモデル管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ナビゲーションメッシュを設定した3次元モデル内のオブジェクトの移動を制御するための技術が知られている。例えば、特許文献1には、設定したナビゲーションメッシュ上に生成した複数の領域に基づいて、オブジェクトの移動領域を決定し、オブジェクトの移動経路を探索する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-37140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一側面は、ウェブブラウザ上に表示させる建築物の3次元モデルに対する視点の移動可能な範囲を容易に生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一形態に係るモデル管理システムは、少なくとも1つのプロセッサを備え、少なくとも1つのプロセッサは、ウェブブラウザ上に表示可能な建築物の3次元モデルを取得し、ウェブブラウザ上での3次元モデルの表示に用いられ、かつ、3次元モデルに対する視点を提供する仮想カメラの移動可能なエリアを含むメッシュ情報を、3次元モデルを構成する各オブジェクトに含まれるポリゴンの法線ベクトルの向きに基づいて生成し、生成されたメッシュ情報を3次元モデルに関連付ける。
【0006】
本開示の一形態に係るモデル管理方法は、少なくとも1つのプロセッサを備えるモデル管理システムによって実行されるモデル管理方法であって、ウェブブラウザ上に表示可能な建築物の3次元モデルを取得するステップと、ウェブブラウザ上での3次元モデルの表示に用いられ、かつ、3次元モデルに対する視点を提供する仮想カメラの移動可能なエリアを含むメッシュ情報を、3次元モデルを構成する各オブジェクトに含まれるポリゴンの法線ベクトルの向きに基づいて生成するステップと、生成されたメッシュ情報を3次元モデルに関連付けるステップと、を含む。
【0007】
本開示の一形態に係るモデル管理プログラムは、ウェブブラウザ上に表示可能な建築物の3次元モデルを取得するステップと、ウェブブラウザ上での3次元モデルの表示に用いられ、かつ、3次元モデルに対する視点を提供する仮想カメラの移動可能なエリアを含むメッシュ情報を、3次元モデルを構成する各オブジェクトに含まれるポリゴンの法線ベクトルの向きに基づいて生成するステップと、生成されたメッシュ情報を3次元モデルに関連付けるステップと、をコンピュータに実行させる。
【0008】
このような形態によれば、建築物の3次元モデル内において仮想カメラの移動可能なエリアを含むメッシュ情報が、3次元モデル内のポリゴンの法線ベクトルの向きに基づいて生成され、当該メッシュ情報が3次元モデルに関連付けられる。このように、上述した形態によれば、ウェブブラウザ上に表示させる建築物の3次元モデルに対する視点の移動可能な範囲を容易に生成することができる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一側面によれば、ウェブブラウザ上に表示させる建築物の3次元モデルに対する視点の移動可能な範囲を容易に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るモデル管理システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】実施形態に係るモデル管理システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】実施形態に係るモデル管理方法の一例を示すフローチャートである。
図4】データセットを用いて3次元モデルを表示する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一または同などの要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
[システムの構成]
実施形態に係るモデル管理システムは、ウェブブラウザ上に表示可能な3次元モデル(以下、「閲覧モデル」と記載する場合がある)を表示する際に用いられるメッシュ情報を生成し、閲覧モデルにメッシュ情報を関連付けるコンピュータシステムである。具体的には、当該モデル管理システムは、有体物の閲覧モデルについて、3次元モデルに対する視点を提供する仮想カメラの移動可能なエリアを含むメッシュ情報を生成し、閲覧モデルにメッシュ情報を適切に関連付けるためのコンピュータシステムである。さらに、当該モデル管理システムは、例えば、閲覧モデルにメッシュ情報を関連付けたデータセットを管理する。モデル管理システムは、当該管理の一形態として、当該データセットを生成し、記憶する。当該データセットは、例えば、複数のユーザが有体物を閲覧するための情報として用いられる。データセットによって、仮想カメラがメッシュ情報に基づいて閲覧モデル内を仮想的に移動することが可能となり、仮想カメラからの視点としてウェブブラウザ上に閲覧モデルが表示される。
【0013】
従来から、ユーザ端末に対応するモデル生成システムにおいて、ユーザの入力操作によって閲覧モデルと当該閲覧モデルに対するメッシュ情報とが生成されていた。すなわち、メッシュ情報によって表現されていた情報を閲覧モデルに反映するには、ユーザが手作業で行う必要があった。
【0014】
本実施形態のモデル管理システムでは、閲覧モデルを構成するオブジェクトに含まれるポリゴンの法線ベクトルの向きに基づいてメッシュ情報を生成する。モデル管理システムは、メッシュ情報を生成した後に、閲覧モデルにメッシュ情報を関連付ける処理を行う。例えば、モデル管理システムは、さらに、閲覧モデル上にメッシュ情報を表示させるためのデータセットを生成する処理を行う。例えば、モデル管理システムは、上記のメッシュ情報の生成、関連付け、データセットの生成の各処理を自動的に実行する。
【0015】
仮想カメラとは、ウェブブラウザ上での3次元モデル(閲覧モデル)の表示に用いられ、当該閲覧モデルに対する視点を提供する。移動した仮想カメラの位置を視点として、当該視点から見える画角内の閲覧モデルを、後述の表示装置(表示部)の画面に示す。当該画角は、例えば、ユーザの画角に合わせて設定される。
【0016】
本実施形態の有体物とは、空間の一部を占める有形的存在である。有体物は、自然物および人工物を含む。自然物とは、人為的に生成された物でなく、自然界に存在する形ある物をいう。自然物は、例えば、樹木、草花、岩石、砂礫などを含む。人工物とは、人為的に製造または建造された物をいう。人工物は、例えば、家具、車などの製造物(動産)であってもよく、工作物、建物、建築物、土木構造物などの不動産であってもよい。以下では、有体物として建築物を例として説明する。本実施形態の建築物とは、所定の土地または空間に定着される工作物をいう。建築物は、例えば、屋根および柱若しくは壁を有する構造物である。建築物は、例えば、戸建住宅、マンション、オフィスビル、公共施設などである。建築物の種類は限定されない。
【0017】
建築物の3次元モデル(閲覧モデルを含む)は、建築物を立体的に示すための電子データである。3次元モデルは、建築物の外装および内装のモデル、建築物に設置可能な家財のモデルなどを含み得る。3次元モデルは、建築物の内部空間、および建築物の周囲環境を表現していてもよい。
【0018】
3次元モデルを生成するモデル生成システム(後述のモデル生成システム15)は、例えば、CAD(Computer Aided Design)と、当該CADにより作成された設計図を3次元モデルに変換する変換システムとを含む。モデル生成システムは、例えば、3DCAD(three-dimensional Computer Aided Design)、BIM(Building Information Modeling)、CIM(ConstructionInformation Modeling / Management)などであってもよい。3次元モデルの構成は限定されない。ユーザ端末に対応するモデル生成システムとは、ユーザ端末からのアクセスが可能であって、ユーザの入力操作によって3次元モデルを生成可能なモデル生成システムを指す。モデル生成システムはユーザ端末にインストールされてもよいし、いわゆるクラウドサービスとしてユーザ端末に提供されてもよい。
【0019】
建築物について閲覧するとは、対象の建築物に関する可視化された情報を閲覧する行為を指す。この閲覧行為は、例えば、建築物の設計、施工、検査、管理、内覧などの際に行われる。以下では、一例として、建築物の内覧の際に閲覧する場合を示す。建築物の内覧とは、限定された者(ユーザ)に建築物を披露することを指す。建築物の内覧によって、例えば、建築物の外装または内装に必要な構造または機能を検討する作業を行うことができる。建築物の内覧は、新築、改築、増築、移築、減築、解体などの際に行われる。建築物を内覧する目的は限定されない。以下では、一例として、新築住宅の内装の内覧を示す。
【0020】
ユーザとは、建築物の内覧に直接的にまたは間接的に参加する主体をいう。例えば、当該ユーザは、内覧を行う主体、ならびに、設計および施工によって建築された建築物に関わる主体の少なくとも1つを含む。当該ユーザは、例えば、建築物の購入または賃借を検討している顧客(施主)、建築物の設計を行う設計者および設計会社、建築物の賃貸または管理を行う大家、管理人および管理会社、建築物の売買を行う不動産会社およびデベロッパー、建築物の施工を行う施工者、施工者に材料を供給するサプライヤー、建築物の中に配置する家具・備品を供給するサプライヤーなどを含み得る。当該ユーザは、モデル管理システムの管理者を含んでもよい。
【0021】
図1は、実施形態に係るモデル管理システム1の全体構成の一例を示す図である。モデル管理システム1は、例えば、1または複数の第1ユーザ端末10と、モデルデータベース20と、基本情報データベース25と、サーバ30と、1または複数の第2ユーザ端末40と、通信ネットワーク50とを備える。第2ユーザ端末40は、例えば、通信ネットワーク50を介して、1または複数の第1ユーザ端末10と、モデルデータベース20と、基本情報データベース25と、サーバ30とにアクセスできる。モデル管理システム1において、第1ユーザ端末10において生成された閲覧モデルがモデルデータベース20に送信され、第1ユーザ端末10において設定された基本情報が基本情報データベース25に送信される。モデル管理システム1において、閲覧モデルおよび基本情報などに基づいて第2ユーザ端末40内でメッシュ情報の生成および関連付けが行われ、データセットの生成が行われる。以下、詳細を説明する。
【0022】
第1ユーザ端末10および第2ユーザ端末40はユーザにより用いられるコンピュータである。第1ユーザ端末10および第2ユーザ端末40として用いられるコンピュータの種類は限定されない。例えば、第1ユーザ端末10および第2ユーザ端末40は、パーソナルコンピュータ、高機能携帯電話機(スマートフォン)、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)、タブレット端末、または、ウェアラブル端末などの携帯端末でもよい。モデル管理システム1における第1ユーザ端末10および第2ユーザ端末40の台数は限定されない。
【0023】
第1ユーザ端末10および第2ユーザ端末40は、キーボード、マウス、タッチパネルなどの入力装置と、モニタ、タッチパネルなどの表示装置とを備える。第1ユーザ端末10は、例えば、ユーザの入力操作を受け付け、3次元モデルを生成し、当該3次元モデルに対する基本情報を設定する。
【0024】
第1ユーザ端末10は、閲覧モデルを生成するモデル生成システム15を有する。第1ユーザ端末10は、例えば、閲覧モデルを生成し、閲覧モデルに対応する基本情報を設定するためのシステムとして、モデル生成システム15を有する。モデル生成システム15は、ユーザの入力操作を受け付けて、閲覧モデルを生成する。モデル生成システム15は、例えば、第1ユーザ端末10にインストールされたソフトウェアであり得る。
【0025】
第1ユーザ端末10のモデル生成システム15によって、閲覧モデルは所定のファイル形式で生成される。ファイル形式は、ある特定の種類の情報を、どのような形式および順序で記憶するか、または、コンピュータ上のどのソフトウェアで使用可能かを定義した規格である。閲覧モデルのファイル形式は、ウェブブラウザ上で表示可能な形式である。当該ファイル形式は、例えば、glTF(GL Transmission Format)などの形式であってもよい。
【0026】
閲覧モデルは、複数のオブジェクトによって構成されている。オブジェクトとは、3次元モデルを構成する要素であり、有体物(建築物)を構成する対象物を表す。本実施形態の対象物とは、例えば、床、柱、壁、梁、窓、扉、収納、内装、外装などのような、建築物の構成要素であってもよいし、家具、電化製品、車、樹木、草花、岩石、砂礫などのような、建築物内外に設置される物品であってもよい。対象物は、仮想的に空間内に配置された人物モデルの状況であってもよい。対象物は、建築物全体の駆体、駆体で構成される空間、階層などを含んでいてもよい。オブジェクトは、当該対象物を3次元モデルにおいて表現したデータである。仮想カメラは、3次元モデル内を移動可能なオブジェクトに対応する。仮想カメラに対応するオブジェクトは、例えば、後述のようにカプセル状を呈していてもよい。
【0027】
オブジェクトは、ジオメトリによって表現される。ジオメトリとは、3次元モデルのオブジェクトの形状、および、当該形状を定義づける頂点の座標や面などの図形を表す式の係数などを含むデータの組み合わせを意味する。オブジェクトは、ポリゴンによって構成されている。ポリゴンは、3つ以上の頂点を結んで定義した多角形の面である。ポリゴンは、例えば、三角形であり得る。この場合、ジオメトリ内の頂点の座標は、ポリゴンの座標の集合に対応する。オブジェクトの形状は、ポリゴンの集合によって表される。
【0028】
モデル生成システム15は、ユーザの入力操作を受け付けて、閲覧モデルに対する基本情報を設定する。基本情報とは、閲覧モデルに関連付けられる情報である。一例では、基本情報は、オブジェクトID、サイズ情報、境界情報および床情報を含む。
【0029】
オブジェクトIDとは、ポリゴンによって表現された建築物の対象物の種類に関する情報である。オブジェクトIDは、指定されたオブジェクトに対して割り当てられる、閲覧モデルで表現された建築物の対象物の種類を一意に特定する識別子である。
【0030】
サイズ情報は、閲覧モデルにおけるオブジェクトのサイズに関する情報である。サイズ情報は、例えば、各オブジェクトのサイズに関する情報と、当該オブジェクトのサイズの大小を判定する際に用いられる第1閾値に関する情報とを含む。オブジェクトのサイズに関する情報とは、オブジェクトのジオメトリを収容可能な立体のサイズを含む。当該立体は、直方体(バンディングボックス)であってもよく、球体(バンディングシェープ)であってもよい。当該立体が直方体である場合、オブジェクトのサイズに関する情報は、直方体の各辺の長さを含む。当該立体が球体である場合、オブジェクトのサイズに関する情報は、球体の半径を含む。オブジェクトのサイズに関する情報は、例えば、当該オブジェクトのオブジェクトIDと関連付けられる。第1閾値は、メッシュ情報を生成する対象のオブジェクトであるか否かを判定する場合に使用される。第1閾値は、直方体の各辺の長さであっても球体の半径であってもよく、ユーザによって適宜設定される。
【0031】
境界情報とは、閲覧モデルを複数の空間(領域)に分割する際の各空間に関する情報である。当該空間は、後述のメッシュ情報の生成において用いられる。境界情報は、位置、大きさ、形状などに関する情報を含む。境界情報における位置とは、建築物における階層、座標などの情報を含む。境界情報には、例えば、分割した空間毎に、当該空間に含まれるオブジェクトのオブジェクトIDが関連付けられる。閲覧モデルに設定される境界情報は、例えば、建築物の部屋などの所定の閉じた空間、または、当該閉じた空間同士を接続する建築物の階段、通路などの空間についてそれぞれ設定される。閲覧モデルを分割する各空間は、例えば、直方体状を呈する。この場合、境界情報は、当該空間を定義する直方体の頂点の座標を含む。
【0032】
床情報は、閲覧モデルにおいて、建築物の床の全部または一部に対応するオブジェクトと、建築物の床上に設置された家具および設備に対応するオブジェクトとの差異に関する情報である。床情報は、例えば、建築物の床の一部に対応するオブジェクトとして基準となる基準オブジェクトに関する情報と、当該基準オブジェクトからの高さに対して設定される第2閾値に関する情報とを含む。基準オブジェクトからの高さとは、建築物の床の少なくとも一部として設定された閲覧モデルの水平面に対する垂直方向の距離を指す。基準オブジェクトに関する情報には、例えば、基準オブジェクトのオブジェクトIDが関連付けられる。第2閾値は、ユーザによって適宜設定される。
【0033】
第1ユーザ端末10は、閲覧モデルを、通信ネットワーク50を介してモデルデータベース20に送信する。第1ユーザ端末10は、当該閲覧モデルに予め設定された基本情報を、通信ネットワーク50を介して基本情報データベース25に送信する。第1ユーザ端末10は、閲覧モデルおよび基本情報を、通信ネットワーク50を介して第2ユーザ端末40に直接送信してもよい。
【0034】
モデルデータベース20は、第1ユーザ端末10によって生成された閲覧モデルを記憶するデータベースである。一例では、基本情報は、モデル生成システム15の運営者、建築物の設計者などまたは第1ユーザ端末10の運営者によってモデルデータベース20に記憶される。モデルデータベース20は、第2ユーザ端末40によって生成されたデータセットを記憶するデータベースであってもよい。モデルデータベース20は、第2ユーザ端末40内にあってもよい。
【0035】
基本情報データベース25は、閲覧モデルに設定される基本情報を記憶するデータベースである。一例では、基本情報は、モデル生成システム15の運営者、建築物の設計者などまたは第2ユーザ端末40の運営者によって基本情報データベース25に記憶される。基本情報データベース25は、第2ユーザ端末40内にあってもよい。
【0036】
サーバ30は、ブラウザ上でモデル管理システム1の機能を利用可能なモデル管理プログラムを提供する。モデル管理プログラムは、メッシュ情報を生成し、閲覧モデルにメッシュ情報を関連付け、閲覧モデルにメッシュ情報を適切に関連付けたデータセットを生成することができるプログラムである。
【0037】
第2ユーザ端末40は、メッシュ情報を生成し、閲覧モデルにメッシュ情報を関連付け、閲覧モデルにメッシュ情報を適切に関連付けたデータセットを生成するコンピュータである。第2ユーザ端末40は、機能的構成要素として、取得部41、メッシュ生成部42、表示設定部43および出力部44を備える。これらの機能的構成要素が連携してデータセットを生成する。第2ユーザ端末40は、例えば、ユーザの入力操作に応じてWEBブラウザからサーバ30に接続し、モデル管理システム1の機能を利用可能なモデル管理プログラムを取得し、上述した機能的構成要素を実行する。
【0038】
取得部41は、第1ユーザ端末10において生成された、建築物の3次元モデル(閲覧モデル)と該3次元モデル(閲覧モデル)に予め設定された基本情報とを取得する機能要素である。取得部41は、第1ユーザ端末10に対応するモデル生成システム15によって生成された閲覧モデルをモデルデータベース20から取得する。例えば、取得部41は、通信ネットワーク50を介して基本情報データベース25から当該閲覧モデルに予め設定された基本情報を取得する。取得部41は、取得した閲覧モデルおよび基本情報をメッシュ生成部42に出力する。
【0039】
メッシュ生成部42は、閲覧モデル内における仮想カメラの移動可能なエリアを含むメッシュ情報を、閲覧モデルを構成する各オブジェクトに含まれるポリゴンの法線ベクトルの向きに基づいて生成する機能要素である。メッシュ生成部42は、例えば、閲覧モデルおよび基本情報に基づいてメッシュ情報を生成する。
【0040】
メッシュ情報とは、閲覧モデル内を移動する仮想カメラの中心が移動可能な領域を示す情報である。メッシュ情報は、例えば、3次元モデル内における仮想カメラの移動不能なエリアも含んでもよい。メッシュ情報は、例えば、ナビゲーションメッシュ(Navigation Mesh)またはナビメッシュ(Navi Mesh)である。メッシュ情報は、閲覧モデルの表示に用いられる情報である。メッシュ情報は、モデル生成システム15によって生成された閲覧モデルに応じて生成することで得られる情報である。
【0041】
メッシュ生成部42は、例えば、閲覧モデルにおける所定の空間内の所定の大きさ以上であるオブジェクトについて、仮想カメラが移動可能なエリアを示しているか、または、仮想カメラが移動不能なエリアを示しているかを判定する。メッシュ生成部42は、仮想カメラが移動可能なエリアとして判定されたオブジェクトのジオメトリに含まれ、かつ、所定の条件を満たすポリゴンを結合し、仮想カメラが移動可能なエリアを示すジオメトリを再構成する。メッシュ生成部42は、仮想カメラが移動可能なエリアとして判定されたオブジェクトのジオメトリに含まれるが、所定の条件を満たさないポリゴンを結合し、仮想カメラが移動不能なエリアを示すジオメトリを再構成してもよい。メッシュ生成部42は、仮想カメラが移動不能なエリアとして判定されたオブジェクトのジオメトリに含まれるポリゴンを結合し、仮想カメラが移動不能なエリアを示すジオメトリを再構成する。以下、仮想カメラが移動可能なエリアを示すオブジェクトおよびジオメトリを単に「移動可能なオブジェクト」および「移動可能なジオメトリ」と記載する場合がある仮想カメラが移動不能なエリアを示すオブジェクトおよびジオメトリを単に「移動不能なオブジェクト」および「移動不能なジオメトリ」と記載する場合がある。
【0042】
表示設定部43は、生成されたメッシュ情報を3次元モデル(閲覧モデル)に関連付ける機能要素である。表示設定部43は、仮想カメラの位置に基づいて3次元モデル(閲覧モデル)をウェブブラウザ上に表示させるためのデータセットを生成する機能要素である。表示設定部43は、生成部45および発行部46を含む。
【0043】
生成部45は、例えば、メッシュ生成部42によって生成されたメッシュ情報を閲覧モデルに関連付け、仮想カメラの位置に基づいて閲覧モデルをウェブブラウザ上に表示させる機能要素である。関連付けるとは、閲覧モデルにおいて表現された建築物の対象物のオブジェクトと、当該オブジェクトに付加するメッシュ情報とを対応させる処理を指す。この関連付けによって、閲覧モデルにメッシュ情報のデータ項目が反映され、メッシュ情報に基づいて移動する仮想カメラに応じてウェブブラウザ上において閲覧モデルが表示される。
【0044】
データセットとは、閲覧モデルとメッシュ情報とが互いに関連付けられたデータの集合である。データセットは、1個のファイルで実現されてもよいし、複数のファイルの組合せによって実現されてもよい。例えば、データセットが複数のファイルで構成される場合、データセットは、閲覧モデルのファイルと、メッシュ情報の少なくとも1個のファイルとによって構成される。
【0045】
発行部46は、上述したデータセットに基づいて閲覧モデルを表示するウェブページのURLを発行する機能要素である。発行部46はそのURLをデータセットに関連付ける。ユーザはこのURLにアクセスして、メッシュ情報が関連付けられた閲覧モデルを閲覧することができる。
【0046】
出力部44は、表示設定部43によって生成されたデータセットを出力する機能要素である。出力部44は、通信ネットワーク50を介してモデルデータベース20にアクセスして最新のデータセットをモデルデータベース20に格納し、これによりデータセットを新規登録するかまたは更新する。出力部44は、最新のデータセットを第2ユーザ端末40内に格納し、データセットを新規登録するかまたは更新してもよい。出力部44は、対象のウェブページのために当該データセットをアップロードしてもよい。出力部44は、当該データセットを第1ユーザ端末10に送信してもよい。出力部44は、当該データセットに含まれる閲覧モデルを第2ユーザ端末40の表示装置に表示させてもよい
【0047】
[第2ユーザ端末のハードウェア構成]
図2は、第2ユーザ端末40の一般的なハードウェア構成を示す図である。図2に示すように、例えば、第2ユーザ端末40は、物理的構成要素として、プロセッサ101、主記憶部102、補助記憶部103、通信制御部104、入力装置105、および出力装置106を備える。
【0048】
プロセッサ101は、オペレーティングシステムおよびアプリケーション・プログラムを実行する。主記憶部102は、例えばROMおよびRAMで構成される。補助記憶部103は、例えばハードディスクまたはフラッシュメモリで構成され、一般に主記憶部102よりも大量のデータを記憶する。補助記憶部103は、第2ユーザ端末40で上記の各機能要素を実現するためのモデル管理プログラムPを記憶する。通信制御部104は、例えば無線通信モジュールで構成される。入力装置105は、例えばキーボード、マウス、またはタッチパネルで構成される。出力装置106は、例えばモニタおよびスピーカで構成される。
【0049】
第2ユーザ端末40は1または複数のコンピュータで構成される。複数のコンピュータを用いる場合には、これらのコンピュータがインターネットやイントラネットなどの通信ネットワークを介して接続されることで、論理的に一つの第2ユーザ端末40が構築される。
【0050】
第2ユーザ端末40の各機能要素は、プロセッサ101または主記憶部102の上にモデル管理プログラムPを読み込ませてプロセッサ101にそのモデル管理プログラムPを実行させることで実現される。モデル管理プログラムPは取得部41、メッシュ生成部42、表示設定部43および出力部44を実現するためのコードを含む。プロセッサ101はモデル管理プログラムPに従って、通信制御部104、入力装置105、または出力装置106を動作させ、主記憶部102または補助記憶部103におけるデータの読み出しおよび書き込みを行う。この処理により第2ユーザ端末40の各機能要素が実現される。これにより、第1ユーザ端末10から3次元モデルおよび基本情報を取得してから自動的にデータセットが生成される。処理に必要なデータまたはデータベースは、主記憶部102または補助記憶部103内に格納されてもよい。
【0051】
モデル管理プログラムPは、例えば、半導体メモリなどの有形の記録媒体に固定的に記録された上で提供されてもよい。あるいは、モデル管理プログラムPは、搬送波に重畳されたデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。提供されたモデル管理プログラムPは補助記憶部103に格納される。
【0052】
[システムの動作]
図3を参照しながら、第2ユーザ端末40の動作を説明するとともに本実施形態に係るモデル管理方法について説明する。図3は、実施形態に係るモデル管理方法の一例を示すフローチャートである。このモデル管理方法は、モデル生成システム15によって閲覧モデルおよび基本情報が生成された後に実行される。このとき、第2ユーザ端末40は、通信ネットワーク50を介してサーバ30からモデル管理プログラムPを取得し、記憶している。
【0053】
ステップS1では、取得部41がその閲覧モデルおよび基本情報を取得する。一例では、取得部41は、閲覧モデルを、通信ネットワーク50を介してモデルデータベース20から取得し、当該閲覧モデルに設定された基本情報を、通信ネットワーク50を介して基本情報データベース25から取得する。取得部41は、通信ネットワーク50を介して閲覧モデルおよび基本情報を第1ユーザ端末10から取得してもよい。
【0054】
ステップS3では、メッシュ生成部42が、基本情報に含まれる境界情報に基づいて、メッシュ情報の生成の対象とする空間を抽出する。閲覧モデルのすべてのオブジェクトについてメッシュ情報の生成を行う場合には、メッシュ生成部42は、取得部41により取得された閲覧モデルの内、分割した空間を順に抽出し、当該空間毎にメッシュ情報の生成を行う。メッシュ生成部42は、移動可能なジオメトリまたは移動不能なジオメトリのいずれかが生成されていない(抽出されていない)オブジェクトを含む空間を抽出する。
【0055】
ステップS5では、メッシュ生成部42が、ステップS3において抽出された空間内のオブジェクトからメッシュ情報の生成の対象として1のオブジェクトを抽出する。オブジェクトの頂点の座標の最小値および最大値が、ステップS3において抽出された空間の座標の最小値および最大値の範囲内に収まっている場合、当該オブジェクトは、ステップS3において抽出された空間内に含まれるオブジェクトであると判定され、抽出されるオブジェクトの候補となる。当該空間内に含まれるオブジェクトのジオメトリについて、移動可能なジオメトリまたは移動不能なジオメトリのいずれかが生成されていない(抽出されていない)オブジェクトをメッシュ情報の生成の対象とするオブジェクトとして抽出する。
【0056】
ステップS7では、メッシュ生成部42が、基本情報に含まれるサイズ情報に基づいて、仮想カメラが移動可能なオブジェクトか否か判定する。すなわち、メッシュ生成部42は、ステップS5において抽出されたオブジェクトがサイズ情報における第1閾値以上か否かを判定する。当該オブジェクトのサイズが第1閾値以上である場合(ステップS7における「YES」)、メッシュ生成部42は、当該オブジェクトを抽出し、処理はステップS9に進む。当該オブジェクトのサイズが第1閾値未満である場合(ステップS7における「NO」)、メッシュ生成部42は、当該オブジェクトを移動不能なオブジェクトとして抽出し、処理はステップS15に進む。サイズが第1閾値未満であるオブジェクトは、例えば、建築物の床の少なくとも一部を構成していない植木鉢、小物など、ユーザが建築物の対象物上で歩行不能なエリアを示している。
【0057】
ステップS9では、メッシュ生成部42が、基本情報に含まれる床情報に基づいて、仮想カメラが移動可能なオブジェクトか否か判定する。すなわち、メッシュ生成部42は、基本情報に含まれる床情報に基づいて、ステップS7において抽出されたオブジェクトについて、基準オブジェクトからの高さ方向(第1方向の一例)への距離が第2閾値以上か否かを判定する。抽出されたオブジェクトについて、基準オブジェクトからの高さ方向への距離が第2閾値未満である場合(ステップS9における「YES」)、メッシュ生成部42は、当該オブジェクトを抽出し、処理はステップS11に進む。抽出されたオブジェクトについて、基準オブジェクトからの高さ方向への距離が第2閾値以上である場合(ステップS9における「NO」)、メッシュ生成部42は、当該オブジェクトを移動不能なオブジェクトとして抽出し、処理はステップS15に進む。床部分に対応するオブジェクトからの高さが第2閾値以上となっているオブジェクトは、例えば、建築物の床部分を構成していない家具、段差など、ユーザが建築物の対象物上で歩行不能なエリアを示している。
【0058】
ステップS11では、メッシュ生成部42が、閲覧モデルに基づいて、仮想カメラが移動可能なオブジェクトか否か判定する。すなわち、メッシュ生成部42が、ステップS9において抽出されたオブジェクトに含まれるポリゴンの法線ベクトルの向きが高さ方向に沿っているか否かを判定する。オブジェクトに含まれる1または複数のポリゴンの法線ベクトルの向きが高さ方向に沿っている場合(ステップS11における「YES」)、メッシュ生成部42は、当該オブジェクトを移動可能なオブジェクトとして抽出し、処理はステップS13に進む。オブジェクトに含まれるすべてのポリゴンの法線ベクトルの向きが高さ方向に沿っていない場合(ステップS11における「NO」)、メッシュ生成部42は、当該オブジェクトを移動不能なオブジェクトとして抽出し、処理はステップS15に進む。
【0059】
オブジェクト内のポリゴンの法線ベクトルが高さ方向に沿うことによって、当該オブジェクトの少なくとも一部が建築物の床の全部または一部として設定された閲覧モデルの水平面に沿って延在していることが示される。当該オブジェクトに対応する建築物の対象物上には、実際にユーザが立脚(位置)可能であることから、当該オブジェクトは、仮想カメラが移動可能なオブジェクトと判定される。法線ベクトルが高さ方向に沿うとは、当該法線ベクトルが高さ方向に平行であってもよく、ユーザが建築物の対象物上で立脚可能な角度まで傾斜した方向を含む方向であってもよい。法線ベクトルの向きが高さ方向に沿っていないポリゴンを含むオブジェクトは、例えば、建築物の床部分を構成していない窓、壁など、ユーザが建築物の対象物上で歩行不能なエリアを示している。
【0060】
ステップS13では、メッシュ生成部42が、ステップS11において抽出された移動可能なオブジェクトに基づいて、移動可能なジオメトリおよび移動不能なジオメトリを新たに生成する。メッシュ生成部42は、仮想カメラが移動可能なエリアとして判定されたオブジェクトのジオメトリに含まれ、所定の条件を満たすポリゴンのみを結合し、仮想カメラが移動可能なエリアを示すジオメトリを新たに生成する。メッシュ生成部42は、仮想カメラが移動可能なエリアとして判定されたオブジェクトのジオメトリに含まれ、所定の条件を満たさないポリゴンのみを結合し、仮想カメラが移動不能なエリアを示すジオメトリを新たに生成する。具体的には、メッシュ生成部42は、例えば、移動可能なオブジェクトの内、基準オブジェクトからの高さ方向への距離が第2閾値未満であって、法線ベクトルの向きが高さ方向に沿っているポリゴンのみを結合し、移動可能なジオメトリを再構成する。再構成するとは、ポリゴンが含まれるオブジェクトに関わらず、上述の条件に該当するポリゴンのみでジオメトリを新たに生成することを指す。また、メッシュ生成部42は、例えば、移動可能なオブジェクトの内、基準オブジェクトからの高さ方向への距離が第2閾値以上のポリゴン、または、法線ベクトルの向きが高さ方向に沿っていないポリゴンのみを結合し、移動不能なジオメトリを再構成する。これにより、当該オブジェクトについて移動可能なジオメトリまたは移動不能なジオメトリのいずれかを生成する(割り当てる)処理が完了する。
【0061】
ステップS15では、メッシュ生成部42が、ステップS7,S9,S11において抽出された移動不能なオブジェクトについて、当該オブジェクトのジオメトリを移動不能なジオメトリとして生成する。これにより、当該オブジェクトについて移動不能なジオメトリを生成する(割り当てる)処理が完了する。
【0062】
ステップS17では、メッシュ生成部42が、ステップS3において抽出した空間におけるすべてのオブジェクトについて移動可能なジオメトリまたは移動不能なジオメトリのいずれかを生成する処理を実行したか否かを判定する。当該空間において、すべてのオブジェクトのジオメトリについて移動可能なジオメトリまたは移動不能なジオメトリのいずれかを生成する処理が実行された場合(ステップS17における「YES」)、当該空間における生成処理が完了したとして、処理はステップS19に進む。当該空間において、すべてのオブジェクトのジオメトリについて移動可能なジオメトリまたは移動不能なジオメトリのいずれかを生成する処理が実行されていない場合(ステップS17における「NO」)、当該空間における生成処理が完了していないとして、処理はステップS5に戻る。
【0063】
ステップS19では、メッシュ生成部42が、ステップS1において取得部41により取得された閲覧モデルにおけるすべての空間のオブジェクトについて移動可能なジオメトリまたは移動不能なジオメトリのいずれかを生成する処理を実行したか否かを判定する。取得された閲覧モデルにおいて、すべての空間のすべてのオブジェクトのジオメトリについて移動可能なジオメトリまたは移動不能なジオメトリのいずれかを生成する処理が実行された場合(ステップS19における「YES」)、取得された閲覧モデルにおける生成処理が完了したとして、処理はステップS21に進む。取得された閲覧モデルにおいて、すべての空間のすべてのオブジェクトのジオメトリについて移動可能なジオメトリまたは移動不能なジオメトリのいずれかを生成する処理が実行されていない場合(ステップS19における「NO」)、取得された閲覧モデルにおける生成処理が完了していないとして、処理はステップS3に戻る。
【0064】
ステップS21では、メッシュ生成部42が、メッシュ情報を生成する。メッシュ生成部42は、ステップS13で各オブジェクトにおいて生成された移動可能なジオメトリを結合して仮想カメラが移動可能なエリアを示すメッシュ情報を生成する。また、メッシュ生成部42は、ステップS15で各オブジェクトにおいて生成された移動不能なジオメトリを結合して仮想カメラが移動不能なエリアを示すメッシュ情報を設定する。
【0065】
ステップS23では、生成部45が、メッシュ情報を閲覧モデルに関連付けてデータセットを生成する。生成部45は、生成されたメッシュ情報が、閲覧モデル内で表現されたいずれの対象物のオブジェクトに対応するかを判定して、対応するオブジェクトにメッシュ情報を関連付ける。具体的には、生成部45は、仮想カメラが移動可能なエリアを示すメッシュ情報を、閲覧モデル内の床の一部に対応するオブジェクト(ポリゴン)と対応させる。また、生成部45は、仮想カメラが移動不能なエリアを示すメッシュ情報を、閲覧モデル内の家具または段などに対応するオブジェクト(ポリゴン)と対応させる。発行部46は、上述したデータセットに基づいて閲覧モデルを表示するウェブページのURLを発行する。
【0066】
ステップS25では、出力部44がデータセットを出力する。出力部44は、通信ネットワーク50を介してモデルデータベース20にアクセスしてデータセットをモデルデータベース20に記憶させる。出力部44は、対象のウェブページのために当該データセットをアップロードしてもよい。出力部44はデータセットを第1ユーザ端末10に送信してもよい。これにより、閲覧モデルに対するメッシュ情報の生成方法が完了する。
【0067】
[メッシュ情報の例]
次に、図4を参照して、メッシュ生成部42におけるメッシュ情報の一例を説明する。図4はデータセットを用いて3次元モデルを表示する例を示す図である。図4に示される表示画面2は、ウェブブラウザにおいて閲覧可能な閲覧モデル3と、当該閲覧モデル3上に表示されたメッシュ情報とを少なくとも含む。表示画面2は、閲覧モデル3によって表現された建築物の室内を示す。建築物の室内にある対象物のオブジェクトとして、閲覧モデル3は、床60、植木鉢61、机62、椅子63、棚64、台所65、窓66、壁67などのオブジェクトを含む。
【0068】
メッシュ情報のデータ項目は、閲覧モデル3中のポリゴンについて仮想カメラが移動可能なジオメトリであることを示す移動可能エリア情報を少なくとも含む。メッシュ情報のデータ項目は、閲覧モデル3中のポリゴンについて仮想カメラが移動不能なジオメトリであることを示す移動不能エリア情報を含んでもよい。表示画面2において、閲覧モデル3に対して、メッシュ情報として移動可能エリア情報と移動不能エリア情報とが関連付けられている。移動可能エリア情報および移動不能エリア情報は、図4に示されるように表示画面2においてユーザが視認可能なように表示されてもよいし、表示画面2において表示されなくてもよい。ユーザは、移動可能エリア情報および移動不能エリア情報に基づいて仮想カメラの位置を移動させ、閲覧モデルを内覧することができる。
【0069】
図4に示されるように、上述のメッシュ情報の生成方法における各条件を満たす床60などを表現するオブジェクトについては移動可能エリア情報として表現される。メッシュ生成部42のステップS7の処理によって、植木鉢61のように、所定のサイズより小さい対象物を表現するオブジェクトについては移動不能エリア情報として表現される。メッシュ生成部42のステップS9の処理によって、机62、椅子63、棚64および台所65のように、建築物の床60から所定の高さより高い位置まで延在する対象物を表現するオブジェクトについては移動不能エリア情報として表現される。メッシュ生成部42のステップS11の処理によって、窓66および壁67のように、その法線ベクトルの向きが高さ方向に沿っていない対象物を表現するオブジェクトについては移動不能エリア情報として表現される。
【0070】
[効果]
以上説明したように、本開示の一形態に係るモデル管理システムは、少なくとも1つのプロセッサを備え、少なくとも1つのプロセッサは、ウェブブラウザ上に表示可能な建築物の3次元モデルを取得し、ウェブブラウザ上での3次元モデルの表示に用いられ、かつ、3次元モデルに対する視点を提供する仮想カメラの移動可能なエリアを含むメッシュ情報を、3次元モデルを構成する各オブジェクトに含まれるポリゴンの法線ベクトルの向きに基づいて生成し、生成されたメッシュ情報を3次元モデルに関連付ける。モデル管理システムは、仮想カメラの位置に基づいて当該3次元モデルをウェブブラウザ上に表示させるためのデータセットを管理してもよい。
【0071】
本開示の一形態に係るモデル管理方法は、少なくとも1つのプロセッサを備えるモデル管理システムによって実行されるモデル管理方法であって、ウェブブラウザ上に表示可能な建築物の3次元モデルを取得するステップと、ウェブブラウザ上での3次元モデルの表示に用いられ、かつ、3次元モデルに対する視点を提供する仮想カメラの移動可能なエリアを含むメッシュ情報を、3次元モデルを構成する各オブジェクトに含まれるポリゴンの法線ベクトルの向きに基づいて生成するステップと、生成されたメッシュ情報を3次元モデルに関連付けるステップと、を含む。モデル管理方法は、仮想カメラの位置に基づいて当該3次元モデルをウェブブラウザ上に表示させるためのデータセットを管理するステップをさらに含んでもよい。
【0072】
本開示の一形態に係るモデル管理プログラムは、ウェブブラウザ上に表示可能な建築物の3次元モデルを取得するステップと、ウェブブラウザ上での3次元モデルの表示に用いられ、かつ、3次元モデルに対する視点を提供する仮想カメラの移動可能なエリアを含むメッシュ情報を、3次元モデルを構成する各オブジェクトに含まれるポリゴンの法線ベクトルの向きに基づいて生成するステップと、生成されたメッシュ情報を3次元モデルに関連付けるステップと、をコンピュータに実行させる。モデル管理プログラムは、仮想カメラの位置に基づいて当該3次元モデルをウェブブラウザ上に表示させるためのデータセットを管理するステップをコンピュータにさらに実行させてもよい。
【0073】
このような形態によれば、建築物の3次元モデル内において仮想カメラの移動可能なエリアを含むメッシュ情報が、3次元モデル内のポリゴンの法線ベクトルの向きに基づいて生成され、当該メッシュ情報が3次元モデルに関連付けられる。さらに、当該メッシュ情報が3次元モデルに関連付けられたデータセットが、管理の一形態として生成され得る。このように、上述した形態によれば、ウェブブラウザ上に表示させる建築物の3次元モデルに対する視点の移動可能な範囲を容易に生成(設定)することができる。
【0074】
建築物のユーザ(設計者、デベロッパー、施工者、購入予定者)などに対して建築物の説明を行う際に、容易な理解を促すため、当該建築物の3次元モデルを示す場合がある。このとき、線図よりも3次元モデルを仮想的に内覧するようにユーザの視点から視認できる方が、上述した関係者の理解をより得やすい。また、ユーザが場所または時間に囚われずに3次元モデルにアクセスしたいというニーズがある。このため、上述したようなメッシュ情報が反映され、ウェブブラウザにて閲覧可能な3次元モデルの作成が求められている。
【0075】
メッシュ情報が反映された閲覧モデルを作成するには、例えば、特許文献1に記載されているような技術を用いて、閲覧モデルを作成した上で、作業者が手作業でメッシュ情報を反映する必要がある。閲覧モデル毎に間取りまたは対象物を表現するオブジェクトが異なるため、メッシュ情報を3次元モデルに適用するには作業者が手作業で反映する必要があった。このため、作業者の技術力如何によって、メッシュ情報が反映された閲覧モデルの作成に係る時間およびコスト、閲覧モデルの結果物の技術水準などが異なるという現象が生じてしまう。
【0076】
そのため、一例では、ウェブブラウザ上に表示させる建築物の3次元モデルに対する視点の移動可能な範囲を容易に生成可能なモデル管理システムが求められている。
【0077】
本開示に係るモデル管理システムは、閲覧モデルおよび基本情報に基づいて、閲覧モデルに対してメッシュ情報を生成し、関連付けることができる。さらに、モデル管理システムは、閲覧モデルおよびメッシュ情報を含むデータセットを自動的に生成する。したがって、ユーザは専門知識の有無にかかわらず、自身でメッシュ情報を生成し、メッシュ情報を閲覧モデルに関連付ける必要なくそのデータセットを入手することができる。このように、ウェブブラウザ上に表示させる建築物の3次元モデルに対する視点の移動可能な範囲を容易に生成(設定)することができる。作業者の技術力如何に関わらず、メッシュ情報の生成、閲覧モデルへのメッシュ情報の関連付け、および、データセットの生成において、一定の品質を確保することができる。
【0078】
別の形態に係るモデル管理システムでは、3次元モデルに予め設定された基本情報をさらに取得し、複数のオブジェクトに関するジオメトリの内、その法線ベクトルが第1方向に沿うポリゴンを有するジオメトリを抽出し、ジオメトリの内、建築物の床の少なくとも一部に対応するオブジェクトからの第1方向への距離が閾値未満であるオブジェクトのジオメトリを基本情報に基づいて抽出し、抽出された当該ジオメトリに基づいてメッシュ情報を生成してもよい。この場合には、建築物の床の一部に対応するオブジェクトを適切に抽出し、当該オブジェクトに基づいてメッシュ情報が生成される。これにより、例えば、家具や壁など、床以外の対象物を表現するオブジェクトにおけるポリゴンが抽出することが抑制され、床の少なくとも一部に対応するオブジェクトにおけるポリゴンを適切に抽出してジオメトリを再構成することができる。当該再構成処理によって、階段の踏板部分と床の一部とが連続したメッシュとなることが抑制され、階層ごとに仮想カメラが移動可能なエリアを示すジオメトリを生成することができる。
【0079】
別の形態に係るモデル管理システムでは、3次元モデル内における仮想カメラの移動不能なエリアを含むメッシュ情報を、3次元モデルを構成する各オブジェクトに含まれるポリゴンの法線ベクトルの向きに基づいて生成してもよい。このような形態によれば、メッシュ情報として仮想カメラが移動可能なエリアに加えて仮想カメラが移動不能なエリアを含む情報が生成される。よって、ユーザが一般的に位置し得ない対象物を表現するオブジェクトから見える3次元モデルを表示することが抑制され、適切な視点からの3次元モデルをユーザに提供することができる。
【0080】
別の形態に係るモデル管理システムは、オブジェクトの大きさが閾値以上であるオブジェクトに含まれるポリゴンの法線ベクトルの向きに基づいて、メッシュ情報を生成してもよい。このような形態によれば、ユーザが一般的に位置し得ない対象物を表現するオブジェクトから見える3次元モデルを表現することが抑制されると共に、メッシュ情報の生成方法の計算負荷を低減させることができる。
【0081】
本開示の一形態に係るモデル管理システムは、少なくとも1つのプロセッサを備え、少なくとも1つのプロセッサは、ウェブブラウザ上に表示可能な有体物の3次元モデルを取得し、ウェブブラウザ上での3次元モデルの表示に用いられ、かつ、3次元モデルに対する視点を提供する仮想カメラの移動可能なエリアを含むメッシュ情報を、3次元モデルを構成する各オブジェクトに含まれるポリゴンの法線ベクトルの向きに基づいて生成し、生成されたメッシュ情報を3次元モデルに関連付ける。モデル管理システムは、仮想カメラの位置に基づいて当該3次元モデルをウェブブラウザ上に表示させるためのデータセットを管理してもよい。
【0082】
本開示の一側面は、ウェブブラウザ上に表示させる有体物の3次元モデルに対する視点の移動可能な範囲を容易に生成することを目的とする。上記の形態によれば、有体物の3次元モデル内において仮想カメラの移動可能なエリアを含むメッシュ情報が、3次元モデル内のポリゴンの法線ベクトルの向きに基づいて生成され、当該メッシュ情報が3次元モデルに関連付けられたデータセットが生成される。このように、上述した形態によれば、ウェブブラウザ上に表示させる有体物の3次元モデルに対する視点の移動可能な範囲を容易に生成することができる。
【0083】
以上、本開示をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。本開示は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。例えば、モデル管理システム1は、第1ユーザ端末10に対応するモデル生成システム15によって生成された有体物の3次元モデル(以下、「端末モデル」と記載する場合がある)を閲覧モデルに変換する機能を有していてもよい。端末モデルから閲覧モデルへの変換とは、例えば、ファイル形式の変換を指す。端末モデルは、ウェブブラウザ上において表示可能な形式ではなく、モデル生成システム15において利用可能な固有の形式であってもよい。モデル管理システム1は、端末モデルを取得した後に閲覧モデルに変換し、閲覧モデルに対してメッシュ情報を関連付ける機能を有してもよい。これにより、第1ユーザ端末10のモデル生成システム15によって生成される3次元モデル(端末モデルおよび閲覧モデルを含む)のファイル形式に関わらず、閲覧モデルにメッシュ情報を関連付け、データセットを生成することができる。
【0084】
第1ユーザ端末10は、閲覧モデルを閲覧可能な機能を有していてもよく、第2ユーザ端末40は、閲覧モデルを生成する機能を有していてもよい。基本情報は、第1ユーザ端末10において閲覧モデルに応じて予め設定されなくてもよく、第2ユーザ端末40は、基本情報データベース25に予め記憶された基本情報を用いてもよい。モデル管理システム1の各機能は、通信ネットワーク50を介して第1ユーザ端末10、モデルデータベース20、基本情報データベース25および第2ユーザ端末40と通信可能に接続するサーバ30によって実行されてもよい。すなわち、第2ユーザ端末40は、サーバ30に接続し、ブラウザ上で利用可能なWEBアプリケーションを利用する。この場合、第2ユーザ端末40におけるユーザの入力操作がサーバ30に送信されることで、サーバ30においてメッシュ情報が生成され、メッシュ情報が閲覧モデルに関連付けられる。サーバ30は、メッシュ情報が閲覧モデルに関連付けられたデータセットを生成し、第2ユーザ端末40に対して当該データセットを送信する。このように、ユーザがメッシュ情報を生成する対象の閲覧モデルを第2ユーザ端末40上で選択した後、第2ユーザ端末40とは別のコンピュータによって構成されるサーバ30上で、取得部41、メッシュ生成部42、表示設定部43および出力部44の各機能が自動的に実行されてもよい。この場合、第2ユーザ端末40とは別のシステム上(例えば上述のサーバ30)にてデータセットが生成されるため、この生成処理はユーザ端末のマシンスペックに依存しない。また、第2ユーザ端末40はサーバ30に接続することなく、第2ユーザ端末40内に予めインストールされたソフトウェアによって上述の機能的構成要素を実行してもよい。
【0085】
[利用形態]
モデル管理システム1において生成されたデータセットを用いて、ウェブブラウザ上に閲覧モデルを表示した場合に、仮想カメラを移動させる形態を説明する。ユーザは、入力装置を用いて閲覧モデル内の仮想カメラの位置を移動させて建築物の仮想的な内覧操作を行う。ユーザが閲覧モデルを閲覧する際に、第2ユーザ端末40は、リアルタイムで仮想カメラと閲覧モデルとの衝突判定を行うことで、仮想カメラの適切な移動可能範囲を検知することができる。
【0086】
仮想カメラは、閲覧モデル内を移動可能なオブジェクトに対応する。一例として、閲覧モデル内における仮想カメラは、カプセル状の形状を有した仮想的なオブジェクトに対応する。カプセル状とは、高さ方向に延在する円柱の両端部において半球がそれぞれ外側(上方および下方)に突出するように設けられている形状を指す。カプセルの水平方向(床の延在方向)の半径は、例えば、閲覧モデルに対する人のサイズに応じて設定される。カプセルの形状は、円柱であってもよく、直方体であってもよい。以下、ウェブブラウザに表示された閲覧モデル上でユーザが操作するオブジェクトをカプセルと記載する場合がある。
【0087】
仮想カメラは、カプセルからの視点を提供する。仮想カメラは、ユーザの目(視点)の位置としてカプセルの上側の半球の中心に設けられる。仮想カメラは、カプセルを所定の距離から離れた位置から俯瞰可能な視点を提供できるように切替可能であってもよい。仮想カメラとカプセルとの間に他のオブジェクトが位置しないように、仮想カメラの位置は適宜設定される。高さ方向における仮想カメラの位置は、例えば、閲覧モデルを閲覧するユーザの視点の高さ(身長)に対応するように、ユーザの操作に応じて移動可能に設定する。当該位置の変更に合わせて、高さ方向においてカプセルが伸縮してもよい。カプセルは、例えば、閲覧モデルの階層および空間に収まるように高さ方向に伸縮する。
【0088】
仮想カメラは、メッシュ情報における移動可能なジオメトリが示すエリア(オブジェクト)上を移動する。仮想カメラは、例えば、第2ユーザ端末40に対するユーザの操作に応じて当該エリアを水平方向(床の延在方向)に移動する。仮想カメラは、例えば、ユーザの操作によらず自動的に当該エリアを水平方向(床の延在方向)に移動してもよい。第2ユーザ端末40は、カプセルが移動する度にカプセルと閲覧モデルの床以外の対象物を表現するオブジェクトのポリゴンとが衝突するか否かを判定する。第2ユーザ端末40は、例えば、カプセルの下端とオブジェクトのポリゴンとが衝突するか否かの判定を行わない。第2ユーザ端末40は、カプセルが移動する度にカプセルの下端以外の部位と閲覧モデルのすべてのオブジェクトのポリゴンとが衝突するか否かを判定してもよい。第2ユーザ端末40は、例えば、BVH(Bounding Volume Hierarchy)またはkd木(kd-tree,k-dimensional tree)などに関する技術を用いて計算負荷を軽くして当該衝突判定を行う。カプセルとポリゴンとが衝突する状態は、カプセル内部にポリゴンが突出している状態を指す。
【0089】
カプセルとポリゴンとが衝突している場合、第2ユーザ端末40は、当該衝突がカプセルの表面で発生するように、カプセルを移動させる。具体的には、まず、第2ユーザ端末40は、カプセルの高さ方向に延在する軸上の点の内、ポリゴンと最も近い位置にある第1点を算出し、ポリゴンを構成する頂点の内、当該軸と最も近い位置にある第2点を算出する。続いて、第2ユーザ端末40は、第2点から第1点に向かって延びるベクトルを算出する。続いて、第2ユーザ端末40は、カプセルの円柱部の半径から当該ベクトルの長さを減じた長さを、ポリゴンの貫通距離として算出する。続いて、第2ユーザ端末40は、当該ベクトルの方向に向かって、貫通距離分だけ移動させる。これにより、カプセルとポリゴンとの衝突がカプセルの表面で発生するようにカプセルを移動できる。
【0090】
第2ユーザ端末40は、建築物の床以外の対象物に対応するオブジェクトに含まれるポリゴンと仮想カメラに対応するカプセル(オブジェクト)とが衝突しないと判定されたエリアに基づいて、メッシュ情報を更新する。一例として、第2ユーザ端末40は、建築物の床以外の対象物に対応するすべてのオブジェクトに含まれるポリゴンとカプセルとが衝突していない場合のカプセルの位置に対応し、かつ、建築物の床に対応するオブジェクトに含まれるポリゴンを記憶する。当該記憶されるポリゴンは、例えば、カプセルの直下のポリゴンであり得る。第2ユーザ端末40は、当該ポリゴンを移動可能なジオメトリとして更新する。また、一例として、第2ユーザ端末40は、建築物の床以外の対象物に対応するオブジェクトに含まれるポリゴンとカプセルとが衝突していた際のカプセルの位置に対応し、かつ、建築物の床に対応するオブジェクトに含まれるポリゴンを記憶する。第2ユーザ端末40は、当該ポリゴンを移動不能なジオメトリとして更新する。
【0091】
閲覧モデルにおいて階段に対応するオブジェクト上に位置するカプセルを上の階層へと移動させる場合、第2ユーザ端末40は、カプセルの下部の半球部分と階段に対応するオブジェクトのポリゴンとの衝突判定などの上述の手法に基づいてカプセルを移動させる。第2ユーザ端末40は、ポリゴンからカプセルに向かって延びる上述のベクトルと、ユーザ操作による仮想カメラの移動方向のベクトルと、を足し合わせた方向にカプセルを移動させる。これにより、階段を表すオブジェクトが貫通した状態でカプセルが上の階層へと移動することが抑制される。
【0092】
閲覧モデルにおいて階段に対応するオブジェクト上に位置するカプセルを下の階層へと移動させる場合、第2ユーザ端末40は、カプセルの下部の半球部分と階段に対応するオブジェクトのポリゴンとの衝突判定などの上述の手法に基づいてカプセルを移動させる。第2ユーザ端末40は、重力方向のベクトルと、ユーザ操作による仮想カメラの移動方向のベクトルと、を足し合わせた方向にカプセルを移動させる。第2ユーザ端末40は、ポリゴンからカプセルに向かって延びる上述のベクトルと、足し合わせた仮想カメラの移動方向のベクトルと、を足し合わせた方向にカプセルを移動させる。これにより、階段を表すオブジェクトが貫通した状態でカプセルが下の階層へと移動することが抑制される。
【0093】
また、第2ユーザ端末40は、カプセルの移動中における仮想カメラのブレを補正する。第2ユーザ端末40は、カプセルの移動後の位置とカプセルの移動前の位置とに基づいて、カプセルの移動中の閲覧モデルに対する視点の動きを多項式補間によって設定する。例えば、第2ユーザ端末40は、線形補間によって、カプセルの移動後の位置と、カプセルの移動前の位置とにそれぞれ対応する重み付けを行い、カプセル(仮想カメラ)の位置を算出する。
【0094】
さらに、第2ユーザ端末40は、ユーザの入力装置への入力に応じて、カプセルの速度を上方向に加速させてもよい。第2ユーザ端末40は、カプセルが床の少なくとも一部に対応するオブジェクトから離間してから重力加速度をカプセルに付与することで、カプセルを床方向に戻すことができる。これにより、ユーザのジャンプ動作を閲覧モデル内のカプセルよって再現することができる。
【0095】
以上説明したように、本開示の一形態に係るモデル管理システム1は、少なくとも1つのプロセッサを備え、少なくとも1つのプロセッサは、ウェブブラウザ上に表示可能な建築物の3次元モデルを取得し、ウェブブラウザ上での3次元モデルの表示に用いられ、3次元モデルに対する視点を提供する仮想カメラをユーザの操作により3次元モデル上を移動するよう設定し、ユーザの操作によって移動する仮想カメラと建築物の床の一部を構成するオブジェクト以外のオブジェクトのポリゴンとが衝突するか否かの判定を行い、仮想カメラと当該ポリゴンとが衝突していないと判定されたエリアに仮想カメラを移動させる。この場合には、リアルタイムで仮想カメラと閲覧モデルとの衝突判定を行うことで、仮想カメラの適切な移動可能範囲を検知することができる。また、閲覧モデルに対する仮想カメラの移動可能範囲と、実際の建築物に対するユーザの移動可能範囲との齟齬が少なくなり、ユーザにより直感的な内覧操作させることができる。
【0096】
別の形態に係るモデル管理システム1は、カプセルの移動後の位置とカプセルの移動前の位置とに基づいて、カプセルの移動中の閲覧モデルに対する視点の動きを多項式補間によって設定する。この場合、仮想カメラから提供される表示画面のブレが補正され、処理負荷を低減し、ユーザに生じ得る3D酔いを抑制することができる。
【0097】
別の形態に係るモデル管理システム1は、仮想カメラの位置をカプセルの位置またはカプセルから所定の距離だけ離れた位置のいずれかに切り替え可能に設定する。この場合には、この場合には、カプセルという移動する主体の視点と、閲覧モデルおよびカプセルを俯瞰可能な視点とをユーザが容易に利用できる。
【0098】
別の形態に係るモデル管理システム1は、建築物の床の少なくとも一部に対応するオブジェクトに対して仮想カメラの位置を高さ方向(第1方向の一例)に沿って移動可能に設定する。この場合には、例えば、閲覧モデルを閲覧するユーザの視点の高さ(身長)に対応するように仮想カメラの位置を適宜変更することができる。よって、ユーザに対して、より理解しやすい閲覧モデルの画面情報を提供することができる。
【0099】
別の形態に係るモデル管理システム1において、仮想カメラは、3次元モデル内を移動可能なオブジェクトに対応し、建築物の床以外の対象物に対応するオブジェクトに含まれるポリゴンと仮想カメラに対応するオブジェクトとが衝突しないと判定されたエリアに基づいて、メッシュ情報を更新する。この場合、メッシュ情報が更新されることで、更新後に仮想カメラを移動させる場合に、仮想カメラに対応するカプセル(オブジェクト)が建築物の床以外の対象物に対応するオブジェクトと衝突するエリアに移動する回数が減るため、第2ユーザ端末40がカプセルとポリゴンとが衝突するか否かの判定を行う回数を減らすことができ、第2ユーザ端末40における処理負荷を低減させることができる。モデル管理システム1は、データセットを更新してもよい。
【0100】
以上、利用形態を詳細に説明した。しかし、利用形態は上述の形態に限定されるものではない。利用形態は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。例えば、モデル管理システム1において生成されたデータセットを用いることなく、メッシュ情報が関連付けられていない閲覧モデルをウェブブラウザ上に表示した場合であっても、第2ユーザ端末40は、カプセルを用いて閲覧モデルとの衝突判定を行い、仮想カメラを移動させてもよい。第2ユーザ端末40とは別のコンピュータによって構成されるサーバ上で、上述のカプセルとポリゴンとの衝突判定が行われてもよい。
【0101】
ここで、本開示に含まれる種々の例示的実施形態を、以下の[形態1]~[形態7]に記載する。
【0102】
[形態1]
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
ウェブブラウザ上に表示可能な建築物の3次元モデルを取得し、
前記ウェブブラウザ上での前記3次元モデルの表示に用いられ、かつ、前記3次元モデルに対する視点を提供する仮想カメラの移動可能なエリアを含むメッシュ情報を、前記3次元モデルを構成する各オブジェクトに含まれるポリゴンの法線ベクトルの向きに基づいて生成し、
生成された前記メッシュ情報を前記3次元モデルに関連付ける、
モデル管理システム。
[形態2]
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記3次元モデルに予め設定された基本情報をさらに取得し、
複数の前記オブジェクトに関するジオメトリの内、その法線ベクトルが第1方向に沿う前記ポリゴンを有する前記ジオメトリを抽出し、
前記ジオメトリの内、前記建築物の床の少なくとも一部に対応する前記オブジェクトからの前記第1方向への距離が閾値未満である前記オブジェクトの前記ジオメトリを前記基本情報に基づいて抽出し、
抽出された当該ジオメトリに基づいて前記メッシュ情報を生成する、[形態1]に記載のモデル管理システム。
[形態3]
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記3次元モデル内における前記仮想カメラの移動不能なエリアを含む前記メッシュ情報を、前記3次元モデルを構成する各オブジェクトに含まれるポリゴンの法線ベクトルの向きに基づいて生成する、[形態1]または[形態2]に記載のモデル管理システム。
[形態4]
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記オブジェクトの大きさが閾値以上である前記オブジェクトに含まれるポリゴンの法線ベクトルの向きに基づいて、前記メッシュ情報を生成する、[形態1]~[形態3]の何れか一項に記載のモデル管理システム。
[形態5]
前記仮想カメラは、前記3次元モデル内を移動可能なオブジェクトにより示され、
前記建築物の床以外の対象物に対応する前記オブジェクトに含まれる前記ポリゴンと前記仮想カメラに対応する前記オブジェクトとが衝突しないと判定されたエリアに基づいて、メッシュ情報を更新する、[形態1]~[形態4]の何れか一項に記載のモデル管理システム。
[形態6]
少なくとも1つのプロセッサを備えるモデル管理システムによって実行されるモデル管理方法であって、
ウェブブラウザ上に表示可能な建築物の3次元モデルを取得するステップと、
前記ウェブブラウザ上での前記3次元モデルの表示に用いられ、かつ、前記3次元モデルに対する視点を提供する仮想カメラの移動可能なエリアを含むメッシュ情報を、前記3次元モデルを構成する各オブジェクトに含まれるポリゴンの法線ベクトルの向きに基づいて生成するステップと、
生成された前記メッシュ情報を前記3次元モデルに関連付けるステップと、
を含むモデル管理方法。
[形態7]
ウェブブラウザ上に表示可能な建築物の3次元モデルを取得するステップと、
前記ウェブブラウザ上での前記3次元モデルの表示に用いられ、かつ、前記3次元モデルに対する視点を提供する仮想カメラの移動可能なエリアを含むメッシュ情報を、前記3次元モデルを構成する各オブジェクトに含まれるポリゴンの法線ベクトルの向きに基づいて生成するステップと、
生成された前記メッシュ情報を前記3次元モデルに関連付けるステップと、
をコンピュータに実行させるモデル管理プログラム。
【符号の説明】
【0103】
1…モデル管理システム、3…閲覧モデル(3次元モデルの一例)、10…第1ユーザ端末、20…モデルデータベース、25…基本情報データベース、30…サーバ、40…第2ユーザ端末、41…取得部、42…メッシュ生成部、43…表示設定部、44…出力部、45…生成部、46…発行部、P…モデル管理プログラム。
図1
図2
図3
図4