IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日産自動車株式会社の特許一覧 ▶ ルノー エス.ア.エス.の特許一覧

特開2024-18290車両運行計画装置及び車両運行計画方法
<>
  • 特開-車両運行計画装置及び車両運行計画方法 図1
  • 特開-車両運行計画装置及び車両運行計画方法 図2
  • 特開-車両運行計画装置及び車両運行計画方法 図3
  • 特開-車両運行計画装置及び車両運行計画方法 図4
  • 特開-車両運行計画装置及び車両運行計画方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018290
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】車両運行計画装置及び車両運行計画方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/40 20240101AFI20240201BHJP
   G06Q 10/083 20230101ALI20240201BHJP
   G06Q 10/08 20240101ALI20240201BHJP
【FI】
G06Q50/30
G06Q10/08 300
G06Q50/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121518
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】中田 雄大
(72)【発明者】
【氏名】平林 知己
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
5L049CC42
5L049CC51
(57)【要約】
【課題】旅客と荷物とを車両に混載して輸送する輸送サービスにおいて、受取人が不在で配達が完了しなかった荷物によって生じる旅客輸送の機会損失を低減する。
【解決手段】車両運行計画装置は、送信装置22と、旅客サービスのサービスエリアにおける旅客サービスの過去の利用実績情報を少なくとも含むサービスエリア情報を収集する処理と、サービスエリア情報に基づいてサービスエリアにおける旅客需要を予測する処理と、予測した旅客需要に基づいて、旅客と荷物とを混載して輸送する車両1台当たりに割り当てる乗車定員数を算出する処理と、算出した乗車定員数に基づいて、荷物の受取人の不在により配送が中断された荷物である未配達荷物を所定のサービス拠点へ返却するか否かの判定に用いる閾値を算出する処理と、算出した閾値の情報である閾値情報を送信装置22により車両3に送信する処理と、を実行するコントローラ2と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置と、
旅客サービスのサービスエリアにおける前記旅客サービスの過去の利用実績情報を少なくとも含むサービスエリア情報を収集する処理と、前記サービスエリア情報に基づいて前記サービスエリアにおける旅客需要を予測する処理と、予測した前記旅客需要に基づいて、旅客と荷物とを混載して輸送する車両1台当たりに割り当てる乗車定員数を算出する処理と、算出した前記乗車定員数に基づいて、前記荷物の受取人の不在により配送が中断された荷物である未配達荷物を所定のサービス拠点へ返却するか否かの判定に用いる閾値を算出する処理と、算出した前記閾値の情報である閾値情報を前記送信装置により車両に送信する処理と、を実行するコントローラと、c
を備えることを特徴とする車両運行計画装置。
【請求項2】
受信装置と、
前記受信装置により閾値情報を受信する処理と、旅客と荷物とを混載して輸送する車両に積載され荷物のうち前記荷物の受取人の不在により配送が中断された荷物である未配達荷物の情報を取得する処理と、前記未配達荷物の量が前記閾値情報に基づき定まる閾値以上となったか否かを判定する処理と、前記未配達荷物の量が前記閾値以上となった場合に、前記未配達荷物の量が前記閾値以上となる前に設定されていた前記車両の運行計画を、前記未配達荷物を所定のサービス拠点へ返却する運行計画に変更する処理と、を実行するコントローラと、
を備えることを特徴とする車両運行計画装置。
【請求項3】
前記サービスエリア情報は、前記利用実績情報に加えて、前記旅客サービスの旅客需要に影響する外部要因の情報と、前記サービスエリア内のユーザ数情報と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両運行計画装置。
【請求項4】
前記外部要因は、前記サービスエリアの天候、前記サービスエリアの交通状況又は前記サービスエリアで実施されるイベントであることを特徴とする請求項3に記載の車両運行計画装置。
【請求項5】
前記ユーザ数情報は、前記サービスエリア内に存在するユーザの位置情報を収集して算出される情報であることを特徴とする請求項3に記載の車両運行計画装置。
【請求項6】
前記利用実績情報と前記外部要因の情報とに基づいて予測した前記旅客需要を前記ユーザ数情報に基づいて補正し、補正した前記旅客需要に基づいて前記乗車定員数を算出することを特徴とする請求項3に記載の車両運行計画装置。
【請求項7】
前記閾値は、前記車両に積載する前記未配達荷物の上限量であることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両運行計画装置。
【請求項8】
旅客サービスのサービスエリアにおける前記旅客サービスの過去の利用実績を少なくとも含むサービスエリア情報を収集する処理と、
前記サービスエリア情報に基づいて前記サービスエリアにおける旅客需要を予測する処理と、
予測した前記旅客需要に基づいて、旅客と荷物とを混載して輸送する車両1台当たりに割り当てる乗車定員数を算出する処理と、
算出した前記乗車定員数に基づいて、前記荷物の受取人の不在により配送が中断された荷物である未配達荷物を所定のサービス拠点へ返却するか否かの判定に用いる閾値を算出する処理と、
算出した前記閾値の情報である閾値情報を前記車両に送信する処理と、
をコントローラに実行させることを特徴とする車両運行計画方法。
【請求項9】
閾値情報を受信する処理と、
旅客と荷物とを混載して輸送する車両に積載され荷物のうち前記荷物の受取人の不在により配送が中断された荷物である未配達荷物の情報を取得する処理と、
前記未配達荷物の量が前記閾値情報に基づき定まる閾値以上となったか否かを判定する処理と、
前記未配達荷物の量が前記閾値以上となった場合に、前記未配達荷物の量が前記閾値以上となる前に設定されていた前記車両の運行計画を、前記未配達荷物を所定のサービス拠点へ返却する運行計画に変更する処理と、
をコントローラに実行させることを特徴とする車両運行計画方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運行計画装置及び車両運行計画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、利用者と荷物とを混載する車両の運行管理システムにおいて、乗車人数と荷物の積載量および積載体積の各々の容量を判断する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-87315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術によれば、車両内に荷物が多く存在するほど輸送できる旅客数が制限される。このため、受取人が不在で配達が完了しなかった荷物を積み続けていると、荷物の占有スペースが有効活用されず、旅客ユーザを輸送する機会を減らしてしまうという問題点があった。
本発明は、旅客と荷物とを車両に混載して輸送する輸送サービスにおいて、受取人が不在で配達が完了しなかった荷物によって生じる旅客輸送の機会損失を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様による車両運行計画装置は、送信装置と、旅客サービスのサービスエリアにおける旅客サービスの過去の利用実績情報を少なくとも含むサービスエリア情報を収集する処理と、サービスエリア情報に基づいてサービスエリアにおける旅客需要を予測する処理と、予測した旅客需要に基づいて、旅客と荷物とを混載して輸送する車両1台当たりに割り当てる乗車定員数を算出する処理と、算出した乗車定員数に基づいて、荷物の受取人の不在により配送が中断された荷物である未配達荷物を所定のサービス拠点へ返却するか否かの判定に用いる閾値を算出する処理と、算出した閾値の情報である閾値情報を送信装置により車両に送信する処理と、を実行するコントローラと、を備える。
【0006】
また、本発明の他の一態様による車両運行計画装置は、受信装置と、受信装置により閾値情報を受信する処理と、旅客と荷物とを混載して輸送する車両に積載され荷物のうち荷物の受取人の不在により配送が中断された荷物である未配達荷物の情報を取得する処理と、未配達荷物の量が閾値情報に基づき定まる閾値以上となったか否かを判定する処理と、未配達荷物の量が閾値以上となった場合に、未配達荷物の量が閾値以上となる前に設定されていた車両の運行計画を、未配達荷物を所定のサービス拠点へ返却する運行計画に変更する処理と、を実行するコントローラと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、旅客と荷物とを車両に混載して輸送する輸送サービスにおいて、受取人が不在で配達が完了しなかった荷物によって生じる旅客輸送の機会損失を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の輸送サービスシステムの一例の概略構成図である。
図2】制御装置の機能構成の一例のブロック図である。
図3】車両のコントローラの機能構成の一例のブロック図である。
図4】実施形態の車両運行計画方法の制御装置側の処理の一例のフローチャートである。
図5】実施形態の車両運行計画方法の車両側の処理の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下に示す本発明の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0010】
(構成)
図1は、実施形態の輸送サービスシステムの一例の概略構成図である。輸送サービスシステム1は、旅客と荷物とを車両3(サービス車両)に混載して輸送することにより、旅客輸送サービス及び荷物配送サービス(以下、総称して「輸送サービス」と表記することがある)を提供するシステムである。輸送サービスシステム1は、制御装置2と、車両3とを少なくとも備える。
【0011】
制御装置2は、輸送サービスを提供する1又は複数の営業エリア(以下「サービスエリア」と表記することがある)においてサービスに供する車両3の配車を制御する情報処理装置である。例えば制御装置2は、輸送サービスの管理センタに設けられたサーバ装置であってよい。
制御装置2は、プロセッサ20と、記憶装置21と、通信装置22と、ユーザデータベース(ユーザDB)23と、地図データベース(地図DB)24と、予約データベース(予約DB)25を備える。
【0012】
プロセッサ20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)であってよい。記憶装置21は、主記憶装置として使用されるROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリや、メモリレジスタ、キャッシュメモリ等、一時的でない有形の記憶媒体(non-transitory tangible storage media)を含んでよい。以下に説明する制御装置2の機能は、例えば、記憶装置21に格納されたコンピュータプログラムを、プロセッサ20が実行することにより実現される。
【0013】
通信装置22は、制御装置2と外部装置との間における通信機能を提供する。通信装置22による通信方式は、例えば、公衆移動体通信網による有線通信や無線通信、衛星通信、車両3との間の路車間通信等であってよい。制御装置2は、通信装置22によって車両3及び電子装置4との間でデータを送受信する。
ユーザDB23は、輸送サービスシステム1が提供する旅客輸送サービスを利用する者(以下「旅客ユーザ」と表記する)を登録するデータベースである。
旅客ユーザは、輸送サービスシステム1による旅客輸送サービスを利用する際に、所定の利用規約等に同意した上で、輸送サービスシステム1にアカウントを作成し、必要情報(旅客ユーザの氏名、住所、決済口座等の情報)を登録する。旅客ユーザは、輸送サービスシステム1にアカウントを作成する際に、輸送サービスシステム1による旅客ユーザの現在位置情報の利用を許可するか否かを選択してよい。以下の説明において輸送サービスシステム1にアカウントを作成した者を「アカウント所有者」と表記することがある。
【0014】
図DB24には、輸送サービスシステム1がサービスエリアの地図情報が格納されている。地図情報は、例えば、ナビゲーション用の地図データ(以下、単に「ナビゲーション地図」という)であってよい。
予約DB25には、旅客輸送サービスの予約情報が記憶されている。例えば予約DB25には、希望乗車日時、希望乗車地、希望降車地、利用人数等の必要な予約情報が予約DB25に格納される。
【0015】
サービスエリア内の配送先に配送すべき荷物は、各サービスエリアに設けられているサービス拠点に届けられる。制御装置2は、サービス拠点に届けられた荷物を、サービス拠点から出発する車両3の各々に分配する。
制御装置2は、各々の車両3に分配した荷物の配送先と、配送指定時間と、予約DB25に格納されている旅客輸送サービスの予約情報とに基づいて、旅客ユーザに対する移動サービスを提供しつつ荷物を配送する走行ルートとスケジュールとを車両3毎に作成する。作成された走行ルートとスケジュールは運行計画として車両3に送信される。制御装置2の処理の詳細については後述する。
【0016】
旅客ユーザが旅客輸送サービスを予約する際には、電子装置4を用いて制御装置2にアクセスする。電子装置4は、輸送サービスシステム1による旅客輸送サービスを利用する旅客ユーザが使用する端末装置である。
電子装置4は、例えば、旅客ユーザが携行可能な携帯情報端末や、持ち運びが容易な小型コンピュータであってもよい。電子装置4は、測位装置40と、通信装置41と、ヒューマンマシンインタフェース(HMI)42と、コントローラ43とを備える。
【0017】
測位装置40は、電子装置4の現在位置(すなわち、旅客ユーザの現在位置)を測定する。測位装置40は、例えば、全地球型測位システム(GNSS)受信機を備えてよい。GNSS受信機は、例えば、地球測位システム(GPS)受信機等であってよい。測位装置40は、慣性航法装置を備えてもよい。測位装置50は、電子装置4の現在位置情報をコントローラ43へ出力する。
【0018】
通信装置41は、電子装置4と外部装置との間における通信機能を提供する。通信装置41による通信方式は、例えば、公衆移動体通信網による無線通信、衛星通信等であってよい。電子装置4は、通信装置41によって、制御装置2との間でデータを送受信する。
HMI42は、電子装置4と旅客ユーザとの間で情報を授受するインタフェース装置である。HMI42は、旅客ユーザが視認可能な表示装置や、警報音、通知音、音声情報を出力するスピーカやブザーを備える。また、HMI42は、旅客ユーザによる電子装置4への操作入力を受け付ける操作子や音声入力デバイスを備える。操作子は、ボタンやスイッチ、レバー、ダイヤル、キーボード、タッチパネル等であってもよい。
【0019】
コントローラ43は、電子装置4の動作を制御する電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)である。コントローラ43は、プロセッサ44と、記憶装置45等の周辺部品とを含む。プロセッサ44は、例えば、CPUやMPUであってよい。記憶装置45は、主記憶装置として使用されるROM、RAM等のメモリや、メモリレジスタ、キャッシュメモリ等、一時的でない有形の記憶媒体を含んでよい。
【0020】
旅客ユーザは、旅客輸送サービスを予約する前に、輸送サービスシステム1を使用するための専用アプリケーションソフトウエアを、電子装置4に予めインストールしておき、専用アプリケーションソフトウエアを用いて予約をしてもよい。以下の説明においては、「専用アプリケーションソフトウエア」を単に「専用ソフトウエア」と表記する。また、旅客ユーザは、電子装置4のブラウザ機能を利用して、インターネット上で旅客輸送サービスの予約を受け付けるサイトで、旅客輸送サービスを予約してもよい。
【0021】
電子装置4は、旅客輸送サービスの予約に関し、旅客ユーザによるHMI42の入力操作を受け付ける。コントローラ43は、旅客ユーザから入力された情報に基づいて、旅客輸送サービスの予約を申し込むための配車要求データを生成する。
配車要求データは、例えば、旅客ユーザが車両3への乗車を希望する日付及び時間(希望乗車日時)の情報と、旅客ユーザが車両3への乗車を希望する乗車場所(希望乗車地)と、旅客ユーザが車両3からの降車を希望する降車場所(希望降車地)の情報と、車両3を利用して移動する人数の情報を含んでよい。
コントローラ43は、通信装置41によって配車要求データを制御装置2へ送信する。
【0022】
コントローラ43は、測位装置40の測位結果に基づいて電子装置4を所持する旅客ユーザの現在の位置情報を取得する。
輸送サービスシステム1へのアカウント作成の際に旅客ユーザの現在位置情報の利用を許可した場合には、コントローラ43は取得した位置情報を制御装置2へ送信する。
【0023】
車両3は、旅客輸送サービスの旅客ユーザの要求に応じて運行する車両(いわゆる、オンデマンド型交通の車両)であり、例えば、乗り合いタクシーやロボットタクシーであってよい。
例えば車両3は、制御装置2から送信された運行計画に従って、コントローラ36によって(運転者が関与せずに)車両3を自動的に運転する自動運転車両であってよい。また例えば車両3は、運転者(人間)が運転する手動運転車両であってもよい。この場合に車両3は、制御装置2から送信された運行計画を運転者に提示することにより、運行計画に沿った車両3の運行を運転者に促すことができる。
【0024】
車両3は、センサ30と、測位装置31と、地図データベース(地図DB)32と、通信装置33と、HMI34と、コントローラ36と、アクチュエータ37とを備える。
センサ30は、車両3の周囲の物体を検出する物体センサや、車両3から得られる様々な情報(車両状態)を検出する車両センサを含む。
物体センサは、例えば、車両3の周囲に存在する物体と車両3との相対位置、車両3と物体との距離、物体が存在する方向等の車両3の周囲環境を検出する。物体センサは、例えば、車両3の周囲環境を撮影するカメラを含んでよい。また、例えば、物体センサは、レーザレンジファインダ(LRF)やレーダ、LiDAR(Light Detection and Ranging)のレーザレーダ等の測距装置を含んでもよい。物体センサは、検出した車両3の周囲環境の情報である周囲環境情報を、コントローラ36へ出力する。
【0025】
車両センサは、例えば、車両3の走行速度(車速)を検出する車速センサ、車両3が備える各タイヤの回転速度を検出する車輪速センサ、車両3の3軸方向の加速度(減速度を含む)を検出する3軸加速度センサ(Gセンサ)、操舵角(転舵角を含む)を検出する操舵角センサ、車両3に生じる角速度を検出するジャイロセンサ、ヨーレイトを検出するヨーレイトセンサを含んでよい。さらに、車両センサは、シートベルトの着脱を検出するシートベルトセンサや、ドアの開閉を検出するドアセンサを含んでよい。車両センサは、車両状態情報をコントローラ36へ出力する。
【0026】
測位装置31は、車両3の現在位置及び姿勢を測定する。測位装置31は、例えば、全地球型測位システム(GNSS)受信機を備えてよい。GNSS受信機は、例えば、地球測位システム(GPS)受信機等であってよい。測位装置31は、慣性航法装置を備えてもよい。測位装置31は、測定した現在位置の現在位置情報をコントローラ36へ出力する。コントローラ36は、車両3の現在位置情報を制御装置2に送信する。
図DB32は、地図情報を記憶する。地図情報は、ナビゲーション用の地図データ(以下、単に「ナビゲーション地図」という)と、自動運転用の地図として好適な高精度地図データ(以下、単に「高精度地図」という)とを含んでいてよい。
通信装置33は、車両3と外部装置との間における通信機能を提供する。通信装置33による通信方式は、例えば、公衆移動体通信網による無線通信、衛星通信、路車間通信等であってよい。
車両3は、通信装置33によって制御装置2との間でデータを送受信する。
【0027】
HMI34は、車両3の運転者や車両3が配送する荷物の受取人とコントローラ36との間で情報を授受するインタフェース装置である。HMI34は、コントローラ36から出力する視覚情報を出力する表示装置や、警報音、通知音、音声情報を出力するスピーカやブザーを備える。また、HMI34は、コントローラ36への操作入力を受け付ける操作子や音声入力デバイスを備える。操作子は、ボタンやスイッチ、レバー、ダイヤル、キーボード、タッチパネル等であってもよい。
【0028】
コントローラ36は、車両3を制御する電子制御ユニットである。コントローラ36は、プロセッサ38と、記憶装置39等の周辺部品とを含む。プロセッサ38は、例えば、CPUやMPUであってよい。記憶装置39は、レジスタ、キャッシュメモリや、主記憶装置として使用されるROM、RAM等のメモリ等の一時的でない有形の記憶媒体を含んでよい。コントローラ36の機能は、例えば、プロセッサ38が、記憶装置39に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0029】
例えば、車両3が自動運転車両である場合に、コントローラ36はセンサ30からの周囲環境情報及び車両状態情報と、測位装置31の測位結果と、地図DB32の地図情報とに基づいて、車両3を運行計画に従って走行させる自動運転制御を実行する。例えば、コントローラ36は、車両3の現在位置及び姿勢と、運行計画に含まれる走行ルートと、地図情報と、車両3の周囲環境とに基づいて、車両3を走行させる目標走行軌道を算出する。これに加え、コントローラ36は、例えば、車両3の周辺の経路や物体の有無を表現する経路空間マップと、走行時の危険度を数値化したリスクマップとを生成し、車両3の運動特性、車両状態情報、経路空間マップと、リスクマップとに基づいて、目標走行軌道を生成する。そして、コントローラ36は、生成した目標走行軌道に沿って車両3が走行するようにアクチュエータ37を駆動する。
アクチュエータ37は、コントローラ36からの制御信号に応じて、車両3の操舵装置と、駆動装置と制動装置を操作して、車両3の車両挙動を発生させることにより、車両3を自動的に運転する。アクチュエータ37は、操舵アクチュエータと、アクセル開度アクチュエータと、ブレーキ制御アクチュエータを備える。
【0030】
車両3は、予め定められた頻度(例えば1日3回など)でサービス拠点に立ち寄り、配送の対象となる荷物を積載する。車両3は、制御装置2から受信した運行計画で沿って走行することにより、旅客輸送サービスを予約した旅客ユーザに移動サービスを提供しつつ、同時に荷物も配送する貨客混載型の輸送サービスを実施する。
車両3の稼働中に新たな旅客輸送サービスの配車要求データを受信すると、制御装置2は、配車要求データの希望乗車日時及び希望乗車地と、車両3の現在位置情報と、に基づいて配車可能な車両3を選択する。
【0031】
例えば制御装置2は、希望乗車日時までに希望乗車地に到着できる車両3の候補リストを抽出する。制御装置2は、候補リストに含まれる車両3の運行計画を変更可能であるか否かを判定する。
例えば、運行計画を変更して旅客ユーザを希望乗車地から希望降車地まで輸送しても、荷物の配送指定時間までに配送先へ荷物を配送できる場合(配送指定時間が指定されていない場合を含む)には、変更可能であると判定してよい。また、運行計画を変更して旅客ユーザを希望乗車地から希望降車地まで輸送しても、他の旅客ユーザの希望乗車日時までに希望乗車地に到着できる場合には、変更可能であると判定してよい。
運行計画を変更すると荷物の配送指定時間までに配送先へ荷物を配送できない場合や、他の旅客ユーザの希望乗車日時までに希望乗車地に到着できなくなる場合には変更可能でないと判定してよい。
【0032】
運行計画を変更できる車両3が存在する場合、制御装置2は、配車要求データに含まれている希望乗車日時、希望乗車地、希望降車地、利用人数等の情報を、新たな予約情報として予約DB25に登録する。
また、旅客ユーザを希望降車地まで輸送した後に、荷物の配送を再開したり、次の旅客ユーザの希望乗車地へ移動するように車両3の運行計画を変更して車両3へ送信する。
【0033】
車両3が荷物を配送する場合、荷物を受取人が受け取ることにより配送が完了する。受取人が不在の場合は宅配ボックスへの格納や、指定の場所に荷物を置くこと(いわゆる「置き配」)が可能であればこれをもって代替できる。
いずれの受け取り方法もできず、車両3が荷物を一時的に持ち帰る場合がある。このように荷物の受取人の不在により配送が中断された荷物を以下の説明において「未配達荷物」と表記することがある。本明細書における用語「未配達荷物」は、荷物の受取人の不在により配送が中断された荷物を意味し、サービス拠点で車両3に積載されてから1回も配送先まで運ばれていない荷物を除外する。
未配達荷物が引き続き車内に残留すると、その分だけ旅客ユーザを載せるスペースを十分に確保できず、旅客輸送サービスの効率が低下することになる。その結果、旅客輸送の機会損失が増加する虞がある。
【0034】
そこで実施形態の輸送サービスシステム1では、一定の条件下で未配達荷物をサービス拠点(例えば、配送センタのような荷物を集中管理する施設)へ返却することとした。具体的には、車両3が配送先に届けた荷物の配送が受取人の不在により中断される度に車両3に現在積載されている未配達荷物の量を積算する。車両3に現在積載されている未配達荷物の量が判定閾値以上となった場合に、車両3は、車両3に現在積載されている未配達荷物をサービス拠点へ運んで返却する。
【0035】
未配達荷物を所定のサービス拠点へ返却するか否かの判定に用いる判定閾値は、制御装置2により設定される。制御装置2は、旅客サービスの過去の利用実績情報を少なくとも含んだサービスエリア情報に基づいて、サービスエリアにおける旅客需要を予測する。制御装置2は、予測した旅客需要に基づいて車両3の1台当たりに割り当てる乗車定員数を算出し、乗車定員数に基づいて判定閾値を設定し、判定閾値の情報である閾値情報を車両3へ送信する。
車両3では、車両3に現在積載されている未配達荷物の量が、制御装置2が設定した判定閾値以上になった場合、未配達荷物をサービス拠点へ運ぶように運行計画を変更する。すなわち、未配達荷物の量が判定閾値以上となる前に設定されていた車両の運行計画を、未配達荷物を所定のサービス拠点へ返却する運行計画に変更する。
【0036】
以下、実施形態の制御装置2及び車両3の動作及び機能についてより詳細に説明する。図2は、制御装置2の機能構成の一例のブロック図である。制御装置2は、運行計画作成部60と、運行計画送信部61と、サービスエリア情報収集部62と、需要予測部63と、閾値設定部64と、閾値情報送信部65とを備える。
運行計画作成部60は、サービスエリア内の配送先に配送するためにサービス拠点に届けられた荷物を、車両3の各々に分配する。また運行計画作成部60は、旅客ユーザから旅客輸送サービスの配車要求データを受信すると、旅客輸送サービスの提供に供する車両3を指定して、旅客輸送サービスの予約情報を予約DB25に登録する。
【0037】
運行計画作成部60は、車両3に分配した荷物の配送先と、配送指定時間と、予約DB25に格納されている旅客輸送サービスの予約情報とに基づいて、旅客ユーザに対する移動サービスを提供しつつ荷物を配送する運行計画(走行ルートとスケジュール)を車両3毎に作成する。運行計画送信部61は、運行計画作成部60が作成した運行計画と、配送予定の荷物に関する情報である荷物情報を車両3へ送信する。
例えば荷物情報は、配送先の受取人の情報や、受取人に渡す荷物の数や、荷物の大きさ(体積、重量)の情報を含んでよい。
【0038】
車両3が運行計画を受信して、受信した運行計画に沿って走行している間(例えば、荷物の配送先へ移動している間)に、新たな配車要求データを受信すると、運行計画作成部60は、配車要求データの希望乗車日時及び希望乗車地と、車両3の現在位置情報と、に基づいて配車可能な車両3を選択する。
例えば運行計画作成部60は、希望乗車日時までに希望乗車地に到着できる車両3の候補リストを抽出する。制御装置2は、候補リストの車両3の各々について、現在荷物の配送先に移動している運行計画を変更可能であるか否かを判定する。
運行計画を変更できる車両3が存在する場合、制御装置2は、配車要求データに含まれている希望乗車日時、希望乗車地、希望降車地、利用人数等の情報を、新たな予約情報として予約DB25に登録する。
また、旅客ユーザを希望降車地まで輸送した後に荷物の配送を再開したり、次の旅客ユーザの希望乗車地へ移動するように車両3の運行計画を変更して車両3へ送信する。
【0039】
サービスエリア情報収集部62は、未配達荷物を所定のサービス拠点へ返却するか否かの判定に用いる判定閾値を設定するために、各サービスエリアに関するサービスエリア情報を収集する。
サービスエリア情報は、その変更頻度に応じて「静的データ」と、「準動的データ」と、「動的データ」の3つに分類される。
静的データは、いったん取得するとその後は変更することのないデータである。例えばサービスエリア情報収集部62は、静的データとして、ユーザによる過去の旅客輸送サービス利用実績情報を取得する。
【0040】
準動的データは、日ごとによって変わるが、一日の中では比較的長い時間スパン(主に数時間単位)で変動するデータである。例えばサービスエリア情報収集部62は、準動的データとして、旅客サービスの旅客需要に影響する外部要因の情報を取得する。例えば、準動的データとして当日の天候情報や、サービスエリア内の交通状況、当日に開催されるイベントや催事の情報を取得する。
動的データは、時々刻々と高頻度で変更するデータである。例えばサービスエリア情報収集部62は、動的データとして、輸送サービスシステム1にアカウントを作成したアカウント所有者の位置情報を収集して、サービスエリア内のアカウント所有者の数を取得してもよい。例えばサービスエリア情報収集部62は、アカウント所有者が所持する電子装置4から送信された現在位置情報を収集してよい。
【0041】
需要予測部63は、サービスエリア情報に基づいてサービスエリアにおける当日の旅客需要を予測する。例えば需要予測部63は、当日の24時間のうち指定時間帯における旅客需要を予測してよい。指定時間帯は、例えば旅客需要が比較的高い時間帯(旅客需要のピーク時間帯や繁忙時間帯)であってよい。
例えば需要予測部63は、静的データ(例えば過去の旅客輸送サービス利用実績情報)と、準動的データ(例えば当日の天候情報や、サービスエリア内の交通状況、イベントや催事等の外部要因情報)に基づいて旅客需要を予測し、予測した旅客需要を動的データ(例えばサービスエリア内のアカウント所有者の数)に基づいて補正してよい。
【0042】
例えば需要予測部63は、過去の旅客輸送サービス利用実績情報から、予測対象日(当日)の時期的条件(季節、月日、曜日、時間帯)及び外部要因(天候、交通状況、イベント)が類似している状況における利用実績を抽出して、旅客需要を予測してよい。予測対象日(当日)の時期的条件が類似している状況における利用実績を抽出してから、外部要因による変動分を加味して旅客需要を予測してもよい。
そして、需要予測部63は、アカウント所有者の位置情報に基づいて、旅客需要を予測する予測時刻におけるサービスエリア内のアカウント所有者の数を取得する。需要予測部63は、過去の旅客輸送サービス利用実績情報と外部要因情報から予測した旅客需要を、サービスエリア内のアカウント所有者の数に基づいて補正してよい。例えば、所定の基準値とアカウント所有者の数との差分に応じた補正量や、基準値に対するアカウント所有者の数の比に応じた補正量で旅客需要を補正してよい。
【0043】
閾値設定部64は、需要予測部63が予測した旅客需要に基づいて、旅客輸送サービス用に確保すべき各車両3の乗車定員数を算出する。例えば閾値設定部64は、車両3の現在位置情報を収集して、サービスエリア内に存在する車両3の数を取得してよい。閾値設定部64が、需要予測部63が予測した旅客需要とサービスエリア内に存在する車両3の数とに基づいて各車両3の乗車定員数を算出してよい。
例えば、サービスエリア内に存在する車両3の数と旅客需要の組合せに応じて各車両3の乗車定員数を設定したテーブルを参照することにより各車両3の乗車定員数を算出してもよく、単純にサービスエリア内に存在する車両3の数で旅客需要を除算することにより、各車両3の乗車定員数を算出してもよい。
【0044】
閾値設定部64は、算出した乗車定員数と、各車両3に搭乗できる乗客の上限数とに基づいて、未配達荷物を所定のサービス拠点へ返却するか否かの判定に用いる判定閾値を設定する。判定閾値の単位は、未配達荷物の数でもよく、未配達荷物の体積でもよく、未配達荷物の重量でもよい。
閾値情報送信部65は、閾値設定部64が設定した判定閾値の閾値情報を車両3へ送信する。
【0045】
図3は、車両3のコントローラ6の機能構成の一例のブロック図である。コントローラ36は、運行計画受信部70と、自動運転制御部71と、車両制御部72と、閾値情報受信部73と、閾値設定部74と、未配達荷物情報受信部75と、返却判定部76と、運行計画変更部77を備える。運行計画受信部70は、制御装置2が送信した運行計画と配送予定の荷物の荷物情報を受信する。
【0046】
自動運転制御部71は、センサ30からの周囲環境情報及び車両状態情報と、測位装置31の測位結果と、地図DB32の地図情報とに基づいて、車両3を運行計画に従って走行させる自動運転制御を実行する。車両制御部72は、自動運転制御部71による自動運転制御に基づいて、アクチュエータ37を駆動することにより車両3を運転する。なお、車両3が手動運転車両である場合、自動運転制御部71と車両制御部72を省略してもよい。
車両3が手動運転車両である場合、運行計画受信部70は、制御装置2が送信した運行計画をHMI34によって運転者に提示することにより、運行計画に沿った車両3の運行を運転者に促す。
【0047】
閾値情報受信部73は、制御装置2が送信した閾値情報を受信する。閾値設定部74は、受信された閾値情報に基づいて、未配達荷物を所定のサービス拠点へ返却するか否かの判定に用いる判定閾値を車両3に設定する。
未配達荷物情報受信部75は、車両3が配送先まで荷物を運んだ際に、荷物の受取人の不在により配送が中断された場合、荷物の受取人の不在により配送が中断された未配達荷物の情報を取得する。
【0048】
例えば車両3が手動運転車両であり、配達員(人間)が荷物を受取人に渡す(宅配ボックスへの格納や、置き配を含む)場合には、配達員がHMI34を操作して、配送が中断された荷物の情報を入力することによって、未配達荷物の情報を取得する
例えば車両3が自動運転車両であり、荷物を無人配達する場合には、荷物の到着を受取人に通知して所定時間が経過しても受取人が所定の受け取り操作を行わない場合に、配送を中断する。未配達荷物情報受信部75は、配送予定の荷物の荷物情報の中から未配達荷物の情報を取得する。
【0049】
返却判定部76は、荷物の配送が中断される度に、車両3に現在積載されている未配達荷物の量を積算する。返却判定部76は、車両3に現在積載されている未配達荷物の量が判定閾値以上となったか否かを判定する。未配達荷物の量が判定閾値以上とならない場合には現在の運行計画を変更せず、荷物配送又は旅客サービスを継続する。
車両3に現在積載されている未配達荷物の量が判定閾値以上である場合には、返却判定部76は、現在時刻が指定時間帯(旅客需要のピーク時間帯や繁忙時間帯)であるか否かを判定する。
【0050】
現在時刻が指定時間帯外であれば、急いで車両3内の未配達荷物を減らす必要性は低いと判断する。
例えば、現在時刻が旅客需要のピーク時間帯や繁忙時間帯外である場合には、乗車する旅客ユーザ数が少ないため、急いで車両3内の未配達荷物を減らす必要性は低いと判断する。この場合には、現在の運行計画を変更せず、荷物配送又は旅客サービスを継続する。
【0051】
反対に、例えば現在時刻がピーク時間帯だった場合は、旅客ユーザの乗車スペースを確保するべく未配達荷物は極力降ろしておく方がよい。そのため返却判定部76は、現在時刻が指定時間帯である場合には、未配達荷物を返却するためにサービス拠点に移動するように運行計画を変更できるか否かを判定する。
例えば、未配達荷物を返却するためにサービス拠点に移動すると、予約している旅客ユーザの希望乗車日時までに希望乗車地に到着できなくなる場合には、運行計画を変更できないと判定してよい。また、未配達荷物を返却するためにサービス拠点に移動すると、配送指定時間までに配送できない荷物がある場合には運行計画を変更できないと判定してよい。一方で、未配達荷物を返却するためにサービス拠点に移動しても、これらの問題が生じない場合には運行計画を変更できると判定してよい。
【0052】
運行計画を変更できると返却判定部76が判定した場合、運行計画変更部77は、未配達荷物を返却するサービス拠点を選定する。例えば運行計画変更部77は、車両3の現在位置に最も近いサービス拠点を選定してよい。運行計画変更部77は、現在の運行計画(例えば、現在位置から次の荷物の配送先へ移動する運行計画や、現在位置から次の旅客ユーザの希望乗車地へ移動する運行計画)を、選定したサービス拠点まで移動して未配達荷物を返却する運行計画へ変更する。すなわち、未配達荷物の量が判定閾値以上となる前に設定されていた運行計画を、選定したサービス拠点まで移動して未配達荷物を返却する運行計画へ変更する。
【0053】
車両3が自動運転車両である場合、自動運転制御部71は、変更後の運行計画に従って車両3を走行させる自動運転制御を実行する。車両制御部72は、自動運転制御部71による自動運転制御に基づいて、アクチュエータ37を駆動することにより車両3を運転する。
車両3が手動運転車両である場合、運行計画変更部77は、変更後の運行計画をHMI34によって運転者に提示することにより、未配達荷物をサービス拠点へ返却するためにサービス拠点まで車両3を運転するように運転者に促す。
【0054】
(動作)
図4は、実施形態の車両運行計画方法の制御装置2側における処理の一例のフローチャートである。
ステップS1においてサービスエリア情報収集部62は、サービスエリアに関するサービスエリア情報を収集する。サービスエリア情報は、静的データ(例えば過去の旅客輸送サービス利用実績情報)と、準動的データ(例えば当日の天候情報、サービスエリア内の交通状況、イベントや催事等の外部要因情報)と、動的データ(例えばサービスエリア内のアカウント所有者の数)を含んでよい。
【0055】
ステップS2において需要予測部63は、サービスエリア情報の静的データと、準動的データに基づいてサービスエリアにおける当日の旅客需要を予測する。例えば需要予測部63は、当日の24時間のうち指定時間帯における旅客需要を予測してよい。
ステップS3において需要予測部63は、ステップS2で予測した旅客需要を、動的データ(例えばサービスエリア内のアカウント所有者の数)に基づいて補正する。
【0056】
ステップS4において閾値設定部64は、需要予測部63が予測した旅客需要に基づいて、旅客輸送サービス用に確保すべき各車両3の乗車定員数を算出する。
ステップS5において閾値設定部64は、未配達荷物を所定のサービス拠点へ返却するか否かの判定に用いる判定閾値を設定する。
ステップS6において閾値設定部64が設定した判定閾値の閾値情報を車両3へ送信する。その後に処理は終了する。
【0057】
図5は、実施形態の車両運行計画方法の車両3側における処理の一例のフローチャートである。
ステップS10において閾値情報受信部73は、制御装置2が送信した閾値情報を受信する。
ステップS11において未配達荷物情報受信部75は、車両3が配送先まで荷物を運んだ際に、荷物の受取人の不在により配送が中断されたか否かを判定する。荷物の受取人の不在により配送が中断された場合(ステップS11:Y)に処理はステップS13へ進む。配送が中断されない場合(ステップS11:N)に処理はステップS12へ進む。
【0058】
ステップS12において、運行計画変更部77は運行計画を変更しない。したがって、荷物配送又は旅客サービスを継続する。その後に処理は終了する。
ステップS13において返却判定部76は、車両3に現在積載されている未配達荷物の量を積算する。例えば、未配達荷物の数を1つ増加する。
ステップS14において返却判定部76は、車両3に現在積載されている未配達荷物の量が判定閾値以上となったか否かを判定する。未配達荷物の量が判定閾値以上となった場合(ステップS14:Y)に処理はステップS15へ進む。未配達荷物の量が判定閾値以上とならない場合(ステップS14:N)に処理はステップS12へ進む。
【0059】
ステップS15において返却判定部76は、現在時刻が指定時間帯(旅客需要のピーク時間帯や繁忙時間帯)であるか否かを判定する。現在時刻が指定時間帯である場合(ステップS15:Y)に処理はステップS16へ進む。現在時刻が指定時間帯でない場合(ステップS15:N)に処理はステップS12へ進む。
ステップS16において返却判定部76は、未配達荷物を返却するためにサービス拠点に移動するように運行計画を変更できるか否かを判定する。運行計画を変更できる場合(ステップS16:Y)に処理はステップS17へ進む。運行計画を変更できない場合(ステップS16:N)に処理はステップS12へ進む。
【0060】
ステップS17において運行計画変更部77は、未配達荷物を返却するサービス拠点を選定する。
ステップS18において運行計画変更部77は、未配達荷物の量が判定閾値以上となる前に設定されていた運行計画を、選定したサービス拠点まで移動して未配達荷物を返却する運行計画へ変更する。その後に処理は終了する。
【0061】
(実施形態の効果)
(1)制御装置2は、旅客サービスのサービスエリアにおける過去の旅客サービスの利用実績情報を少なくとも含むサービスエリア情報を収集する処理と、サービスエリア情報に基づいてサービスエリアにおける旅客需要を予測する処理と、予測した旅客需要に基づいて、旅客と荷物とを混載して輸送する車両1台当たりに割り当てる乗車定員数を算出する処理と、算出した乗車定員数に基づいて、荷物の受取人の不在により配送が中断された荷物である未配達荷物を所定のサービス拠点へ返却するか否かの判定に用いる閾値を算出する処理と、算出した閾値の情報である閾値情報を通信装置22により車両3に送信する処理と、を実行する。
例えば閾値は、車両に積載する未配達荷物の上限量であってよい。
これにより旅客と荷物とを車両に混載して輸送する車両3は、旅客需要に基づいて設定された閾値に基づいて、荷物の受取人の不在により配送が中断された荷物である未配達荷物を所定のサービス拠点へ返却するか否かを判定できるようになる。この結果、車両3内に未配達荷物が残留して旅客ユーザを載せるスペースを十分に確保できないことにより、旅客輸送の機会損失が増加するのを抑制できる。
【0062】
(2)車両3のコントローラ36は、通信装置33により閾値情報を受信する処理と、旅客と荷物とを混載して輸送する車両に積載され荷物のうち荷物の受取人の不在により配送が中断された荷物である未配達荷物の情報を取得する処理と、未配達荷物の量が閾値情報に基づき定まる閾値以上となったか否かを判定する処理と、未配達荷物の量が閾値以上となった場合に、未配達荷物の量が閾値以上となる前に設定されていた車両の運行計画を、未配達荷物を所定のサービス拠点へ返却する運行計画に変更する処理と、を実行する。
これにより旅客と荷物とを車両に混載して輸送する車両3は、受信した閾値情報に基づいて、荷物の受取人の不在により配送が中断された荷物である未配達荷物を所定のサービス拠点へ返却するか否かを判定できるようになる。この結果、車両3内に未配達荷物が残留して旅客ユーザを載せるスペースを十分に確保できないことにより、旅客輸送の機会損失が増加するのを抑制できる。
【0063】
(3)サービスエリア情報は、利用実績情報に加えて、旅客サービスの旅客需要に影響する外部要因の情報と、サービスエリア内のユーザ数情報と、を含んでもよい。
これにより、経時的に変動する外部要因やサービスエリア内のユーザ数に基づいて、より精度の高い旅客需要を予測できる。
【0064】
(4)外部要因は、サービスエリアの天候、サービスエリアの交通状況又はサービスエリアで実施されるイベントであってよい。
これにより、天候、サービスエリアの交通状況、サービスエリアで実施されるイベント等の外部要因に基づいてより精度の高い旅客需要を予測できる。
【0065】
(5)ユーザ数情報は、サービスエリア内に存在するユーザの位置情報を収集して算出される情報であってよい。
これにより、サービスエリア内のユーザ数に基づいて、より精度の高い旅客需要を予測できる。
【0066】
(6)利用実績情報と外部要因の情報とに基づいて予測した旅客需要をユーザ数情報に基づいて補正し、補正した旅客需要に基づいて乗車定員数を算出してもよい。
これにより経時的に変動する外部要因やサービスエリア内のユーザ数に基づいて、より精度の高い旅客需要を予測できる。
【符号の説明】
【0067】
1…輸送サービスシステム、2…制御装置、3…車両、4…電子装置、6…コントローラ、20…プロセッサ、21…記憶装置、22…通信装置、23…ユーザデータベース、24…地図データベース、25…予約データベース、30…センサ、31…測位装置、32…地図データベース、33…通信装置、34…ヒューマンマシンインタフェース、36…コントローラ、37…アクチュエータ、38…プロセッサ、39…記憶装置、40…測位装置、41…通信装置、42…ヒューマンマシンインタフェース、43…コントローラ、44…プロセッサ、45…記憶装置、50…測位装置、60…運行計画作成部、61…運行計画送信部、62…サービスエリア情報収集部、63…需要予測部、64…閾値設定部、65…閾値情報送信部、70…運行計画受信部、71…自動運転制御部、72…車両制御部、73…閾値情報受信部、74…閾値設定部、75…未配達荷物情報受信部、76…返却判定部、77…運行計画変更部
図1
図2
図3
図4
図5