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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018291
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20240201BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/12 301L
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121519
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂井 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 征輝
(57)【要約】      (修正有)
【課題】誤動作を抑制できる半導体モジュールを提供する。
【解決手段】半導体モジュール1は、第1スイッチング素子Q1~Q3はと、それに直列接続された第2スイッチング素子Q4~Q6と、各スイッチング素子を収容する筐体2と、筐体の第1の辺2a側に設けられた正極端子C1と、負極端子E2と、筐体の第2の辺2b側に設けられた出力端子E1C2と、筐体の第3の辺2c側に設けられた、第1スイッチング素子の第1制御端子G1と、第1スイッチング素子の第1センス端子E11と、第2スイッチング素子の第2制御端子G2と、第2スイッチング素子の第2センス端子E22と、第1スイッチング素子が配置され、正極端子に接続された第1導電パターンP1と、第2スイッチング素子が配置され、出力端子に接続された第2導電パターンP2と、負極端子及び第2スイッチング素子に接続され、第4の辺2d側に設けられた第3導電パターンP3と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1スイッチング素子と、
前記第1スイッチング素子に直列接続された第2スイッチング素子と、
平面視において第1方向に互いに対向する第1の辺および第2の辺と、前記第1方向と交差する第2方向に互いに対向する第3の辺および第4の辺と、を有し、前記第1および第2スイッチング素子を収容する筐体と、
前記筐体の前記第1の辺側に設けられた正極端子と、負極端子と、
前記筐体の前記第2の辺側に設けられた出力端子と、
前記筐体の前記第3の辺側に設けられた、前記第1スイッチング素子の第1制御端子と、前記第1スイッチング素子の第1センス端子と、前記第2スイッチング素子の第2制御端子と、前記第2スイッチング素子の第2センス端子と、
前記第1スイッチング素子が配置され、前記正極端子に接続された第1導電パターンと、
前記第2スイッチング素子が配置され、前記出力端子に接続された第2導電パターンと、
前記負極端子および前記第2スイッチング素子に接続され、前記第4の辺側に設けられた第3導電パターンと、
を備える半導体モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体モジュールであって、
平面視において、前記出力端子の面積は、前記正極端子および前記負極端子のそれぞれの面積よりも大きい、
半導体モジュール。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体モジュールであって、
前記第1制御端子と前記第1スイッチング素子とを接続するための第1制御導電パターンと、
前記第2制御端子と前記第2スイッチング素子とを接続するための第2制御導電パターンと、
を有し、
前記第1制御導電パターンは、前記第1導電パターンよりも前記第3の辺側に配置され、
前記第2制御導電パターンは、前記第2導電パターンよりも前記第3の辺側に配置されている
半導体モジュール。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体モジュールであって、
前記第1および第2スイッチング素子は、それぞれ、複数の半導体チップを含み、
前記第1制御導電パターンの長手方向の長さは、前記第1スイッチング素子の前記複数の半導体チップのうち前記第1の辺側に配置された半導体チップの制御電極の幾何中心と、前記第2の辺側に配置された半導体チップの制御電極の幾何中心との間の距離よりも長く、
前記第2制御導電パターンの長手方向の長さは、前記第2スイッチング素子の前記複数の半導体チップのうち前記第1の辺側に配置された半導体チップの制御電極の幾何中心と、前記第2の辺側に配置された半導体チップの制御電極の幾何中心との間の距離よりも長い、
半導体モジュール。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の半導体モジュールであって、
前記第1および第2制御導電パターンは、制御基板に形成されており、
前記第1~第3導電パターンは、基板に形成されており
前記第1方向および前記第2方向と交差する第3方向において、前記制御基板は、前記基板から離間した位置に配置されている、
半導体モジュール。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体モジュールであって、
前記制御基板および前記基板は、平面視において重なる重複領域を有する、
半導体モジュール。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体モジュールであって、
前記重複領域には、前記第1および第2スイッチング素子の少なくとも一部が含まれる、
半導体モジュール。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体モジュールであって、
前記第1および第2スイッチング素子は、それぞれ、半導体チップを含み、
前記半導体チップの制御電極は、前記半導体チップの前記第4の辺側に設けられている、
半導体モジュール。
【請求項9】
請求項1に記載の半導体モジュールであって、
前記第1制御端子および前記第1センス端子の間と、前記第2制御端子および前記第2センス端子の間と、には、それぞれ、コモンモードノイズを除去するためのフィルタが設けられている、
半導体モジュール。
【請求項10】
請求項1に記載の半導体モジュールであって、
導電性の第1基板と、
前記第1基板上の第2基板および第3基板と、を有し、
前記第2導電パターンは、互いに接続された第1部位と第2部位を含み、
前記第3導電パターンは、互いに接続された第3部位と第4部位を含み、
前記第2基板は、前記第1導電パターンと、前記第1部位と、第4部位と、前記第1スイッチング素子とを有し、
前記第3基板は、前記第2部位と、前記第3部位と、前記第2スイッチング素子とを有する、
半導体モジュール。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体モジュールであって、
前記第1制御端子と前記第1スイッチング素子とを接続するための第1制御導電パターンと、
前記第2制御端子と前記第2スイッチング素子とを接続するための第2制御導電パターンと、
を有し、
前記第2基板には、前記第2方向に、前記第1制御導電パターン、前記第1導電パターン、前記第1部位、前記第4部位の順番に配置されており、
前記第3基板には、前記第2方向に、前記第2制御導電パターン、前記第2部位、前記第3部位の順番に配置されている、
半導体モジュール。
【請求項12】
請求項11に記載の半導体モジュールであって、
前記正極端子は、前記第1導電パターンに接続されており、
前記出力端子は、前記第2部位に接続されており、
前記負極端子は、前記第4部位に接続されている、
半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップを備えた半導体モジュールとして、例えば、特許文献1~4に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-118336号公報
【特許文献2】特開2007-116840号公報
【特許文献3】特開2018-101734号公報
【特許文献4】特開2009-177040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、半導体モジュールにおいて、導電パターンに流れる電流(主電流)の変化が大きい場合、電磁誘導の影響(ノイズ)により、半導体モジュールが誤動作する原因になることがある。
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、誤動作を抑制できる半導体モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決する本発明の半導体モジュールは、第1スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子に直列接続された第2スイッチング素子と、平面視において第1方向に互いに対向する第1の辺および第2の辺と、前記第1方向と交差する第2方向に互いに対向する第3の辺および第4の辺と、を有し、前記第1および第2スイッチング素子を収容する筐体と、前記筐体の前記第1の辺側に設けられた正極端子と、負極端子と、前記筐体の前記第2の辺側に設けられた出力端子と、前記筐体の前記第3の辺側に設けられた、前記第1スイッチング素子の第1制御端子と、前記第1スイッチング素子の第1センス端子と、前記第2スイッチング素子の第2制御端子と、前記第2スイッチング素子の第2センス端子と、前記第1スイッチング素子が配置され、前記正極端子に接続された第1導電パターンと、前記第2スイッチング素子が配置され、前記出力端子に接続された第2導電パターンと、前記負極端子および前記第2スイッチング素子に接続され、前記第4の辺側に設けられた第3導電パターンと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、誤動作を抑制できる半導体モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】比較例の半導体モジュール10の内部構造を示す平面図である。
図2図1の半導体モジュール10の等価回路を示す図である。
図3図2の破線で囲んだ部分で電磁誘導が発生するときの説明図である。
図4】第1実施形態の半導体モジュール1の内部構造を示す平面図である。
図5】半導体モジュール1のY方向に沿った断面図である。
図6図4の半導体モジュール1の等価回路を示す図である。
図7】第2実施形態の半導体モジュール1Aの内部構造を示す平面図である。
図8図7の半導体モジュール1Aの等価回路を示す図である。
図9図9Aは、第3実施形態の側面図であり、図9Bは斜視図、図9Cは平面図である。
図10図10Aは、第3実施形態の変形例の構成を示す側面図であり、図10Bは斜視図、図10Cは平面図である。
図11】第3実施形態の別の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
ここでは、各図面に示される同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、本実施形態で、「接続」とは、特段の言及がない限り電気的に接続されている状態をいう。このため「接続」には、2つの部品が配線のみならず、例えば、抵抗を介して接続されている場合も含む。
【0011】
=====第1実施形態=====
<<半導体モジュールの構成>>
本実施形態の半導体モジュールは、例えば、電力変換装置などに適用され、インバータ回路などを構成する半導体チップを有するパワーモジュールである。本実施形態の半導体モジュールについて説明する前に、まず、比較例について説明する。
【0012】
<比較例>
図1は、比較例の半導体モジュール10の内部構造を示す平面図である。図2は、図1の半導体モジュール10の等価回路を示す図である。また、図3は、図2の破線で囲んだ部分で電磁誘導が発生するときの説明図である。
【0013】
図1に示すように半導体モジュール10は、平面視において略四辺形の形状を有している。
【0014】
ここで、「四辺形」とは、例えば、正方形、長方形、台形、平行四辺形等を含む、4つの辺からなる形状をいう。また、「略四辺形」は、例えば、少なくとも一部の角が辺に対して斜めに切り欠かれていても良い。さらに、「略四辺形」は、辺の一部に切り込み(凹部)や出っ張り(凸部)が設けられていても良い。
【0015】
なお、以下の説明では図に示すように、半導体モジュールの短辺方向に沿った方向をX方向とし、長辺方向に沿った方向(X方向と交差する方向)をY方向とする。また、X方向およびY方向に直交(交差)する方向をZ方向とする(図5等参照)。各方向において図の矢印の向いた方向を「正側(+側)」とし、その反対方向を「負側(-側)」とする。また、Z方向の正側を「上」とし、負側を「下」とする。図1は、半導体モジュール10を上から見た図であり、後述する筐体12の上面を透過させて内部の構成を図示している。ただし、説明のため筐体12の各辺(辺12a~12d)は図示している。
【0016】
比較例の半導体モジュール10は、筐体12、基板14,15、半導体チップQ1~Q6、ダイオードD1~D6、正極端子C1、負極端子E2、出力端子E1C2、制御端子G1,G2、およびセンス端子E11,E22を備えている。
【0017】
筐体12(カバー)は、半導体モジュール10を構成する各部材(半導体チップQ1~Q6など)を収容する。筐体12は、平面視において四辺形であり、Y方向に互いに対向する2辺(正側の辺12aと負側の辺12b)、およびX方向に互いに対向する2辺(負側の辺12cと正側の辺12d)を有している。
【0018】
筐体12の辺12a側の部位には、正極端子C1と、負極端子E2が設けられている。また、辺12b側の部位には出力端子E1C2が設けられている。
【0019】
また、辺12c側の部位には制御端子G1とセンス端子E11が設けられており、辺12d側の部位には、制御端子G2と、センス端子E22が設けられている。制御端子G1は、基板15に設けられた半導体チップQ1~Q3の制御(オンオフ制御)用の端子である。センス端子E11は、半導体チップQ1~Q3のセンスエミッタ用の端子(半導体チップQ1~Q3を駆動/停止する際のゲート、エミッタ間電位を定める際のエミッタ電位となる端子)である。制御端子G2は、基板14に設けられた半導体チップQ4~Q6の制御(オンオフ制御)用の端子であり、センス端子E22は、半導体チップQ4~Q6のセンスエミッタ用の端子(半導体チップQ4~Q6を駆動/停止する際のゲート、エミッタ間電位を定める際のエミッタ電位となる端子)である。
【0020】
基板14,15は、例えば、DCB(Direct Copper Bonding)基板又はAMB(Active Metal Brazing)基板であり、絶縁プレート上に、銅(Cu)やアルミニウム(Al)などの導電パターンが形成されている。基板14の上面(つまり、おもて面)には、導電パターンPA,PB,PC,PDが形成され、基板15の上面には、導電パターンPE,PF,PG,PHが形成されている。また、基板14は、辺12a側(正極端子C1、負極端子E2の側)に配置され、基板15は、辺12b側(出力端子E1C2の側)に配置されている。
【0021】
導電パターンPAは、正極端子C1に配線部材Wを介して接続されており、導電パターンPBのX方向負側の領域を囲むように配置されている。なお、配線部材Wは、例えば、ボンディングワイヤであり、材質としては、金、銅、アルミニウム、金合金、銅合金、アルミニウム合金のいずれか1つ又はそれらの組み合わせを用いることができる。本実施形態では、所定の導電パターンと、所定の端子との間、及び所定の導電パターンと、他の導電パターンとの間などは、ボンディングワイヤ(配線部材W)を介して接続されているが、以下では「ボンディングワイヤを介して」との説明を適宜省略する。また、ボンディングワイヤを、単に「ワイヤ」と称することがある。
【0022】
導電パターンPBは、導電パターンPAと導電パターンPCの間に設けられており、基板15の導電パターンPFに接続されている。また、導電パターンPBのおもて面には半導体チップQ4~Q6およびダイオードD4~D6が配置されている。
【0023】
導電パターンPCは、負極端子E2に接続されており、導電パターンPBのX方向正側の領域の一部を囲むように配置されている。また、導電パターンPCは、センス端子E22及び負極端子E2に接続されている。
【0024】
導電パターンPDは、制御端子G2と半導体チップQ4~Q6のゲート電極とを接続するためのパターンである。導電パターンPDは、制御端子G2と導電パターンPCの間において主にY方向に沿って配置されている。そして、導電パターンPDは、制御端子G2及び半導体チップQ4~Q6の各ゲート電極に接続されている。
【0025】
導電パターンPEは、基板14の導電パターンPAに接続されている。また、導電パターンPEの上面(おもて面)には、半導体チップQ1~Q3及びダイオードD1~D3が配置されている。
【0026】
導電パターンPFは、導電パターンPEよりもX方向正側に設けられており、出力端子E1C2、および基板14の導電パターンPBに接続されている。
【0027】
導電パターンPGは、制御端子G1と半導体チップQ1~Q3のゲート電極とを接続するためのパターンであり、制御端子G1及び半導体チップQ1~Q3の各ゲート電極に接続されている。
【0028】
導電パターンPHは、センス端子E11及び導電パターンPFに接続されている。
【0029】
半導体チップQ1~Q6は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイボーラトランジスタ)であり、それぞれ、ゲート電極と、エミッタ電極と、コレクタ電極を有している。このうち、ゲート電極とエミッタ電極は各半導体チップの一方の面(ここでは上面)に形成されており、コレクタ電極は他方の面(ここでは下面)に形成されている。
【0030】
半導体チップQ1~Q3は、上アーム用のスイッチング素子であり、基板15の導電パターンPEの上に配置されている。本実施形態では、半導体チップQ1~Q3の各コレクタ電極は、導電パターンPEにはんだ等の導電性材料(不図示)を介して接続されている。
【0031】
また、半導体チップQ4~Q6は、下アーム用のスイッチング素子であり、基板14の導電パターンPBの上に配置されている。す本実施形態では、半導体チップQ4~Q6の各コレクタ電極は、導電パターンPBにはんだ等の導電性材料(不図示)を介して接続されている。
【0032】
ダイオードD1~D6は、FWD(Free Wheeling Diode:還流ダイオード)であり、それぞれ、半導体チップQ1~Q6と並列に設けられている。ダイオードD1~D6の一方の面(ここでは上面)にはアノードが形成され、他方の面(ここでは下面)にはカソードが形成されている。
【0033】
ダイオードD1~D3は基板15の導電パターンPEの上に配置されている。本実施形態では、ダイオードD1~D3のカソードは、基板15の導電パターンPEにはんだ等の導電性材料(不図示)を介して接続されている。また、ダイオードD1のアノードは、半導体チップQ1のエミッタ電極および導電パターンPFに接続されている。また、半導体チップQ2のエミッタ電極は、ダイオードD2のアノードおよび導電パターンPFに接続されている。また、ダイオードD3のアノードは、半導体チップQ3のエミッタ電極および導電パターンPFに接続されている。
【0034】
また、ダイオードD4~D6は、基板14の導電パターンPBの上に配置されている。本実施形態では、ダイオードD4~D6のカソードは、基板14の導電パターンPBにはんだ等の導電性材料(不図示)を介して接続されている。また、半導体チップQ4のエミッタ電極は、ダイオードD4のアノードおよび導電パターンPCに接続されている。また、ダイオードD5のアノードは、半導体チップQ5のエミッタ電極および導電パターンPCに接続されている。また、半導体チップQ6のエミッタ電極は、ダイオードD6のアノードおよび導電パターンPCに接続されている。
【0035】
以上の構成により、半導体チップQ1~Q3のゲート電極には、制御端子G1の電圧が導電パターンPGを介して印加される。そして、半導体チップQ1~Q3がオンすると、正極端子C1→導電パターンPA→導電パターンPE→半導体チップQ1~Q3→導電パターンPF→出力端子E1C2に電流が流れる。また、半導体チップQ4~Q6のゲート電極には、制御端子G2の電圧が導電パターンPDを介して印加される。そして、半導体チップQ4~Q6がオンすると、出力端子E1C2→導電パターンPF→導電パターンPB→半導体チップQ4~Q6→導電パターンPC→負極端子E2の経路で電流が流れる。
【0036】
ここで、例えば、図3に示すように導電パターン(ここでは導電パターンPCとPD)に平行に電流が流れる場合、導電パターンPCに流れる電流の時間変化が大きいと、電磁誘導(相互インダクタンス)による磁気結合により、導電パターンPDに逆バイアス方向の電圧が発生することがある。この電磁誘導(例えば図2の拡大図に記載した電磁誘導)により、半導体チップQ6のゲート電圧に影響(ノイズ)を与えることがあり、半導体チップQ6が誤動作するおそれがある。なお、ここでは、半導体チップQ6を例に挙げて説明したが、他の半導体チップについても同様に電磁誘導により誤動作するおそれがある。
【0037】
そこで、本実施形態では、レイアウトの設定を変えることによって、誤動作を抑制できるようにしている。
【0038】
<本実施形態>
図4は、第1実施形態の半導体モジュール1の内部構造を示す平面図である。図5は、半導体モジュール1のY方向に沿った断面図である。また、図6は、図4の半導体モジュール1の等価回路を示す図である。本実施形態においても、比較例と同様に互いに直交(交差)するX方向、Y方向、及びZ方向を定めている。図4は、半導体モジュール1を上から見た図であり、後述する筐体2の上面を透過させて内部の構成を図示している。ただし、説明のため筐体2の各辺(辺2a~2d)は図示している。なお、本実施形態において、Y方向は「第1方向」に相当し、X方向は「第2方向」に相当し、Z方向は「第3方向」に相当する。
【0039】
半導体モジュール1は、筐体2、ベース基板3、基板4,5、半導体チップQ1~Q6、ダイオードD1~D6、正極端子C1、負極端子E2、出力端子E1C2、制御端子G1,G2、およびセンス端子E11,E22を備えている。なお、比較例と同一構成の部分には同一符号を付し、説明を省略することがある。
【0040】
ベース基板3は、Al、Cuなどで形成された導電性の高い大基板であり、平面視において、後述する筐体2と同様の形状(略四辺形)である。図4では、都合上、ベース基板3の平面形状を、筐体2の平面形状(辺2a~2d)に合わせている。ベース基板3の下側(Z方向負側)には放熱フィン(不図示)などが設けられている。また、ベース基板3の上には、基板4、基板5、筐体2(カバー)などが配置される。なお、ベース基板3は「第1基板」に相当する。
【0041】
基板4は、例えば、DCB基板又はAMB基板であり、絶縁物(アルミナ、AIN、SiNなど)で形成された絶縁プレート40を挟む両側に導電パターン(CuやAlなど)が形成されている。具体的には、絶縁プレート40の上側には、図4に示す導電パターン(導電パターンP1など)が形成され、導電パターンP1の上には、半導体チップQ1~Q3やダイオードD1~D3が配置される。基板4上の導電パターンについては後述する。また、絶縁プレート40の下側には、導電パターンP40が形成されており、導電パターンP40はベース基板3に接続されている。なお、基板4は「第2基板」に相当する。
【0042】
基板5も基板4と同様の構成(DCB基板又はAMB基板)である。基板5の絶縁プレート50の上側には、図4に示す導電パターンP22などが形成され、導電パターンP22の上には、半導体チップQ4~Q6やダイオードD4~D6が配置される。基板5上の導電パターンについては後述する。また、絶縁プレート50の下側には、導電パターンP50が形成されており、導電パターンP50はベース基板3に接続されている。なお、基板5は「第3基板」に相当する。
【0043】
筐体2(カバー)は、半導体モジュール1を構成する各部材(半導体チップQ1~Q6など)を収容する。具体的には、本実施形態の筐体2は、図5に示すように、ベース基板3の上に取り付けられて、ベース基板3とともに、各部材を収容する。筐体2は、平面視において略四辺形であり、Y方向に互いに対向する2辺(辺2aと辺2b)、及びX方向に互いに対向する2辺(辺2cと辺2d)を有している。なお、筐体2の辺2aは「第1の辺」に相当し、辺2bは「第2の辺」に相当する。また、辺2cは「第3の辺」に相当し、辺2dは「第4の辺」に相当する。
【0044】
筐体2の辺2a側の部位には、正極端子C1と、負極端子E2が設けられている。また、辺2b側の部位には出力端子E1C2が設けられている。なお、本実施形態の半導体モジュール1では、出力端子E1C2は2つ設けられている。このため、出力端子E1C2の面積は、正極端子C1及び負極端子E2のそれぞれの面積よりも大きい。これにより電流を多く流すことができる。なお、図4の2つの出力端子E1C2を一体に設けてもよい。
【0045】
また、本実施形態の半導体モジュール1では、辺2c側の部位に制御端子G1,G2とセンス端子E11,E22が設けられている。より具体的には、基板4に隣接する部位(Y方向の中央よりも正側)には、制御端子G1とセンス端子E11が設けられ、基板5に隣接する部位(Y方向の中央よりも負側)には、制御端子G2とセンス端子E22が設けられている。なお、制御端子G1は、「第1制御端子」に相当し、制御端子G2は「第2制御端子」に相当する。また、センス端子E11は「第1センス端子」に相当し、センス端子E22は「第2センス端子」に相当する。
【0046】
(基板4側の構成について)
図4に示すように、基板4上(絶縁プレート40の上)には、導電パターンP1,P21,P32、および制御導電パターンP4,P5が設けられている。
【0047】
導電パターンP1は、正極端子C1に接続されている。また、導電パターンP1には、半導体チップQ1~Q3、およびダイオードD1~D3が配置されている。半導体チップQ1~Q3とダイオードD1~D3は、Y方向に交互に並ぶように配置されている。これにより、発熱を分散させることができる。なお、半導体チップQ1~Q3は、上アーム側のスイッチング素子を構成しており、この上アーム側のスイッチング素子は、「第1スイッチング素子」に相当する。また、導電パターンP1は「第1導電パターン」に相当する。
【0048】
本実施形態では半導体チップとしてIGBTを用いており、図5に示すように上面(おもて面)にはゲート電極とエミッタ電極が設けられ、下面(うら面)にはコレクタ電極が設けられている。ただし、半導体チップは、IGBTには限られず、例えば、MOSFETでもよい。MOSFETの場合、上面には、ゲート電極とソース電極、下面にはドレイン電極が設けられる。
【0049】
半導体チップQ1~Q3のコレクタ電極、およびダイオードD1~D3のカソードは、はんだ等の導電性材料(不図示)を介して導電パターンP1に接続されている。また、ダイオードD1のアノードは、半導体チップQ1のエミッタ電極および導電パターンP21に接続されている。また、半導体チップQ2のエミッタ電極は、ダイオードD2のアノードおよび導電パターン21に接続されている。また、ダイオードD3のアノードは、半導体チップQ3のエミッタ電極および導電パターン21に接続されている。
【0050】
導電パターンP21は、基板5の導電パターンP22と互いに接続されており、導電パターンP22とともに導電パターンP2を構成している。なお、導電パターンP2は、「第2導電パターン」に相当し、導電パターンP21は、「第1部位」に相当し、導電パターンP22は「第2部位」に相当する。
【0051】
導電パターンP32は、負極端子E2に接続されている。また、導電パターンP32は、基板5の導電パターンP31と互いに接続されており、導電パターンP31とともに導電パターンP3を構成している。なお、導電パターンP3は、「第3導電パターン」に相当し、導電パターンP31は、「第3部位」に相当し、導電パターンP32は「第4部位」に相当する。
【0052】
制御導電パターンP4は、制御端子G1と半導体チップQ1~Q3の各ゲート電極を接続するためのパターンである。制御導電パターンP4は、導電パターンP1よりもX方向負側(辺2c側)に配置されており、Y方向に細長いパターンに形成されている。制御導電パターンP4の長手方向(Y方向)の長さは、半導体チップQ1~Q3のうち、最もY方向正側(辺2a側)に配置された半導体チップQ1のゲート電極の幾何中心と、最もY方向負側(辺2b側)に配置された半導体チップQ3のゲート電極の幾何中心との間の距離H1よりも長い。これにより、制御導電パターンP4と各半導体チップ(半導体チップQ1~Q3)のゲート電極とをX方向に沿って(主電流の流れる方向と垂直に)接続することができる。なお、半導体チップQ1~Q3(及び半導体チップQ4~Q6)のゲート電極は、「制御電極」に相当し、制御導電パターンP4は、「第1制御導電パターン」に相当する。また「幾何中心」とは、例えば、平面視における制御電極の形状の中心である。
【0053】
制御導電パターンP5は、センス端子E11と半導体チップQ1~Q3の各エミッタ電極とを接続するためのパターンである。制御導電パターンP5は、制御導電パターンP4の隣(制御導電パターンP4と導電パターンP1の間)において、制御導電パターンP4と同様の形状に形成されている。
【0054】
基板4には、上記の各パターンがX方向の負側から正側に向かって、制御導電パターンP4、制御導電パターンP5、導電パターンP1、導電パターンP21(P2)、導電パターンP32(P3)の順番に配置されている。なお、導電パターンP1の破線は、半導体チップQ1~Q3のゲート電極やエミッタ電極へのワイヤ(配線部材W)が設けられた領域と、設けられていない領域との境界を示している。破線よりもX方向負側では半導体チップQ1~Q3を制御するための電流が主に流れ、破線よりもX方向正側(導電パターンP3など)では、半導体チップQ1~Q3,Q4~Q6がオンすることによる電流(主電流)が主に流れる。
【0055】
(基板5側の構成について)
図4に示すように、基板5上(絶縁プレート50の上)には、導電パターンP22,P31、制御導電パターンP6,P7が設けられている。
【0056】
導電パターンP22は、2つの出力端子E1C2に接続されている。また、導電パターンP22には、半導体チップQ4~Q6およびダイオードD4~D6が配置されている。なお、半導体チップQ4~Q6は、下アーム側のスイッチング素子を構成している。この下アーム側のスイッチング素子は、「第2スイッチング素子」に相当し、上アーム側のスイッチング素子(第1スイッチング素子)に直列接続されている。
【0057】
半導体チップQ4~Q6のコレクタ電極、およびダイオードD4~D6のカソードは、はんだ等の導電性材料(不図示)を介して導電パターンP22に接続されている。また、ダイオードD4のアノードは、半導体チップQ4のエミッタ電極および導電パターンP31に接続されている。また、半導体チップQ5のエミッタ電極は、ダイオードD5のアノードおよび導電パターン31に接続されている。また、ダイオードD6のアノードは、半導体チップQ6のエミッタ電極および導電パターン31に接続されている。
【0058】
導電パターンP31は、前述したように基板4の導電パターンP32と接続されており、導電パターンP32とともに導電パターンP3を構成している。
【0059】
制御導電パターンP6は、制御端子G2と半導体チップQ4~Q6の各ゲート電極を接続するためのパターンである。制御導電パターンP6は、導電パターンP22(P2)よりもX方向負側(辺2c側)に配置されており、Y方向に細長いパターンに形成されている。制御導電パターンP6の長手方向(Y方向)の長さは、半導体チップQ4~Q6のうち、最もY方向正側(辺2a側)に配置された半導体チップQ4のゲート電極の幾何中心と、最もY方向負側(辺2b側)に配置された半導体チップQ6のゲート電極の幾何中心との間の距離H2よりも長い。これにより、制御導電パターンP6と各半導体チップ(半導体チップQ4~Q6)のゲート電極とをX方向に沿って接続することができる。なお、制御導電パターンP6は、「第2制御導電パターン」に相当する。
【0060】
制御導電パターンP7は、センス端子E22と半導体チップQ4~Q6の各エミッタ電極とを接続するためのパターンである。制御導電パターンP7は、制御導電パターンP6の隣(制御導電パターンP6と導電パターンP22の間)において、制御導電パターンP6と同様の形状に形成されている。
【0061】
基板5には、上記の各パターンがX方向の負側から正側に向かって、制御導電パターンP6、制御導電パターンP7、導電パターンP1、導電パターンP22(P2)、導電パターンP31(P3)の順番に配置されている。なお、導電パターンP22における破線は、基板4と同様に、半導体チップQ4~Q6のゲート電極やエミッタ電極へのワイヤ(配線部材W)が設けられた領域と、設けられていない領域との境界を示している。
【0062】
以上の構成により、半導体チップQ1~Q3のゲート電極には、制御端子G1の電圧が制御導電パターンP4を介して印加される。そして、半導体チップQ1~Q3がオンすると、正極端子C1→導電パターンP1→半導体チップQ1~Q3→導電パターンP21→導電パターンP22→出力端子E1C2に電流が流れる。また、半導体チップQ4~Q6のゲート電極には、制御端子G2の電圧が制御導電パターンP6を介して印加される。そして、半導体チップQ4~Q6がオンすると、出力端子E1C2→導電パターンP22→半導体チップQ4~Q6→導電パターンP31→導電パターンP32→負極端子E2の経路で電流が流れる。
【0063】
本実施形態では、比較例に対して、基板サイズを変えずに、端子や導電パターンのレイアウトを変えている。具体的には、制御端子G1,G2とセンス端子E11,E22を、筐体2の辺2cの側に設けている。そして、導電パターンP1は、半導体チップQ1~Q3が配置されるとともに正極端子C1に接続され、導電パターンP2は、半導体チップQ4~Q6が配置されるとともに出力端子E1C2に接続され、導電パターンP3は、負極端子E2および、半導体チップQ4~Q6に接続され、筐体2の辺2Dの側に設けられている。これにより、主電流が流れるパターン(導電パターンP3)と、制御端子G1,G2等を離間させることができるので、電磁誘導の影響を低減することができ、誤動作を抑制できる。
【0064】
=====第2実施形態=====
図7は、第2実施形態の半導体モジュール1Aの内部構造を示す平面図である。また、図8は、図7の半導体モジュール1Aの等価回路を示す図である。図7図8において、第1実施形態と同一構成の部分には、同一符号を付し説明を省略する。
【0065】
第2実施形態の半導体モジュール1Aは、制御端子G1およびセンス端子E11の間と、制御端子G2およびセンス端子E22の間に、それぞれ、コモンモードノイズを除去するためのコモンモードコア7が設けられている。なお、コモンモードコア7は、「フィルタ」に相当する。コモンモードコア7を設けていることにより、制御端子G1(G2)とセンス端子E11(E22)の2つの端子にのるノイズを抑制できるので、精度よくスイッチのタイミングを定めることができる。
【0066】
また、第2実施形態の半導体モジュール1Aでは、半導体チップQ1~Q6およびダイオードD1~D6の配置が前述の実施形態と異なっている。具体的には、基板4において、半導体チップQ1~Q3は導電パターンP1のX方向負側に配置されており、それぞれY方向に並んでいる。また、ダイオードD1~D3はX方向正側に配置され、それぞれY方向に並んでいる。このように配置することで、ゲートーエミッタ配線を、主電流が流れるパターンからさらに離すことができる(図7における破線の位置が図4の位置よりもX方向負側になっている)。すなわち、電磁誘導の影響をより受けにくくすることができる。
【0067】
なお、基板5側についても同様であるので説明を省略する。
【0068】
=====第3実施形態=====
図9Aは、第3実施形態の側面図であり、図9Bは斜視図、図9Cは平面図である。
【0069】
ここでは半導体モジュールの構成を、一部簡略化して図示している。また、第1実施形態と対応する部分には同一符号を付し説明を省略する。また、以下では基板4側について説明するが、基板5側についても同様である。
【0070】
図9Aに示すように、第3実施形態では、制御導電パターンP4,P5と、導電パターンP1~P3が別の基板に形成されている。具体的には、制御導電パターンP4,P5は制御基板4Aに形成されており、導電パターンP1~P3は主回路基板4Bに形成されている。また、制御基板4Aおよび主回路基板4Bはベース基板3の上に配置されており、制御導電パターンP4,P5は、導電パターンP1~P3と同一平面上に形成されている。
【0071】
主回路基板4Bは、前述の実施形態の基板4と同様の基板(DCB基板等)である。なお、主回路基板4Bは、「基板」に相当する。
【0072】
制御基板4Aは、主回路基板4Bとは異なる種類の基板(例えば、プリント基板)であり、主回路基板4Bよりも低コストの基板である。
【0073】
図9B図9Cに示すように、主回路基板4B(DCB基板等)に半導体チップやダイオード素子を配置することにより、放熱性を確保することができる。また、放熱性のあまり必要のない制御導電パターンP4,P5は、低コストの制御基板4A(プリント基板)に配置することによりコストを削減することができる。
【0074】
図10Aは、第3実施形態の変形例の構成を示す側面図であり、図10Bは斜視図、図10Cは平面図である。また、図10B図10Cでは、図9B図9Cと、それぞれ対応する部分のみを示している。
【0075】
この変形例においても制御導電パターンP4,P5は制御基板4Aに形成されており、導電パターンP1~P3は主回路基板4Bに形成されている。
【0076】
ただし、この変形例では、制御基板4Aは、図10A図10Bに示すように、Z方向において、主回路基板4Bから離間した位置(主回路基板4Bよりも上方)に配置されている。具体的には、制御端子G1の内側の側面に台座100が設けられており、その台座100の上に制御基板4Aが配置されている。このように、制御部(制御導電パターンP4,P5)を上側に離すことにより、電磁誘導の影響を効率よく抑制できる。
【0077】
さらに、この変形例では、図10B図10Cに示すように、制御基板4Aおよび主回路基板4Bは、平面視において重なる重複領域Rを有する。これにより、図10CにおけるX方向の長さL2は、図9Cの長さL1よりも短くなる(L2<L1)。よって、平面視における基板面積を小さくでき、モジュールサイズを小さくすることができる。また、この場合においても、主電流からの電磁誘導の影響を抑制することができる。
【0078】
図11は、第3実施形態の別の変形例を示す図である。この変形例では、半導体チップQ1、Q3のゲート電極がX方向正側(筐体2の辺2D側)に設けられている。これにより、平面視において、制御基板4Aは、半導体チップQ1,Q3の一部と重なっている。よって、図10Cの場合と比べて、重複領域Rを大きくすることができ、図11におけるX方向の長さL3は、第3実施形態(図10C)のL2よりもさらに短くなる(L3<L2<L1)。これにより、さらにモジュールサイズを小さくすることができる。
【0079】
===まとめ===
以上、本実施形態の半導体モジュール1について説明した。
半導体モジュール1は、直列接続された第1スイッチング素子(半導体チップQ1~Q3)および第2スイッチング素子(半導体チップQ4~Q6)と、筐体2と、正極端子C1と、負極端子E2と、出力端子E1C2と、制御端子G1,G2とセンス端子E11,E22と、導電パターンP1~P3とを備えている。筐体2は、平面視においてX方向に互いに対向する辺2a,2bと、Y方向に互いに対向する辺2c,2dと、を有し、第1スイッチング素子および第2スイッチング素子を収容する。正極端子C1と負極端子E2は、筐体2の辺2a側に設けられ、出力端子E1C2は、筐体2の辺2b側に設けられている。また、制御端子G1,G2とセンス端子E11,E22は、筐体2の辺2c側に設けられている。そして、導電パターンP1は、第1スイッチング素子が配置されるとともに正極端子C1に接続され、導電パターンP2は、第2スイッチング素子が配置されるとともに出力端子E1C2に接続され、導電パターンP3は、負極端子E2および第2スイッチング素子に接続され、筐体2の辺2Dの側に設けられている。
【0080】
これにより、主電流が流れるパターン(第3パターン)と、制御端子G1,G2等を離間させることができるので、電磁誘導の影響を低減でき、誤動作を抑制できる。
【0081】
また、半導体モジュール1には出力端子E1C2が2つ設けられており、平面視において、出力端子E1C2の面積は、正極端子C1および負極端子E2のそれぞれの面積よりも大きい。
【0082】
これにより、出力端子E1C2に流れる電流を多く取ることができる。
【0083】
また、制御端子G1と半導体チップQ1~Q3を接続するための制御導電パターンP4と、制御端子G2と半導体チップQ4~Q6を接続するための制御導電パターンP6とを有し、制御導電パターンP4は、導電パターンP1よりも辺2cの側(X方向負側)に配置され、制御導電パターンP6は、導電パターンP2よりも辺2cの側に配置されている。
【0084】
これにより、主電流による電磁誘導の影響を受けにくくすることができる。
【0085】
また、制御導電パターンP4の長手方向(Y方向)の長さは、半導体チップQ1のゲート電極の幾何中心とQ3のゲート電極の幾何中心との間の距離H1よりも長く、制御導電パターンP6の長手方向(Y方向)の長さは、半導体チップQ4のゲート電極の幾何中心と半導体チップQ6のゲート電極の幾何中心との間の距離H2よりも長い。
【0086】
これにより、制御導電パターンP4と半導体チップQ1~Q3、および制御導電パターンP6と半導体チップQ4~Q6をX方向(主電流が流れる方向と直交する方向)に沿って接続できる。
【0087】
また、第3実施形態の変形例では、制御導電パターンP4は、制御基板4Aに設けられており、導電パターンP1~P3は、主回路基板4Bに設けられており、Z方向において、制御基板4Aは、主回路基板4Bから離間した位置に配置されている。
【0088】
これにより、電磁誘導の影響を効率的に抑制することができる。
【0089】
また、第3実施形態の変形例では、制御基板4Aと主回路基板4Bは、平面視において重なる重複領域Rを有している。
【0090】
これにより、モジュールサイズを小さくすることができる。
【0091】
また、第3実施系形態の別の変形例では、重複領域Rには、半導体チップQ1~Q3の少なくとも一部が含まれる。
【0092】
これにより、モジュールサイズをさらに小さくすることができる。
【0093】
また、第3実施系形態の別の変形例では、半導体チップQ1~Q3のゲート電極は、各半導体チップのX方向正側(筐体2の辺2Dの側)に設けられている。
【0094】
これにより、重複領域Rを大きくでき、モジュールサイズを小さくすることができる。
【0095】
また、第2実施形態では、制御端子G1およびセンス端子E11の間と、制御端子G2およびセンス端子E22の間と、には、コモンモードノイズを除去するためのコモンモードコア7が設けられている。
【0096】
これにより、ゲート電流とエミッタ電流が同じ値になるように動作させることができ、外部磁界の影響を抑制できる。
【0097】
また、第1実施系形態の半導体モジュール1は、導電性のベース基板3と、ベース基板3上の基板4および基板5と、を有している。導電パターンP2は、互いに接続された導電パターンP21と導電パターンP22を含み、導電パターンP3は、互いに接続された導電パターンP31と導電パターンP32を含む。そして、基板4は、導電パターンP1と、導電パターンP21と、導電パターンP32と、半導体チップQ1~Q3とを有し、基板5は、導電パターンP22と、導電パターンP31と、半導体チップQ4~Q5とを有している。
【0098】
これにより、各基板(基板4,5)で、電磁誘導の影響を低減できる。
【0099】
また、基板4には、X方向に、制御導電パターンP4、導電パターンP1、導電パターンP21、導電パターンP32の順番に配置されており、基板5には、X方向に、制御導電パターンP6、導電パターンP22、導電パターンP31の順番に配置されている。
【0100】
これにより、主電流による電磁誘導の影響を受けにくくすることができる。
【0101】
また、正極端子C1は、導電パターンP1に接続されており、出力端子E1C2は、導電パターンP22に接続されており、負極端子E2は、導電パターンP32に接続されている。
【0102】
これにより、各導電パターンに電流を流すことができる。
【0103】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。
【0104】
前述の実施形態では、半導体モジュールの形状(平面視における形状)は略四辺形であったが、四辺形でなくてもよい。例えば5以上の辺を有する形状であってもよい。
【0105】
前述の実施形態では、制御導電パターンP4、P5を設けていたが、制御端子G1と半導体チップQ1~Q3のゲート電極、およびセンス端子E11と半導体チップQ1~Q3のエミッタ電極を配線部材Wで直接接続してもよい(基板5側についても同様)。
【0106】
また、前述の実施形態では、上アーム側および下アーム側のスイッチング素子がそれぞれ複数(3つ)の半導体チップ(半導体チップQ1~Q3,Q4~Q6)で構成されていたが、これには限られず、2つ以下(例えば1つ)でもよいし、4つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0107】
1,1A,10 半導体モジュール
2,12 筐体
2a~2d,12a~12d 辺
3 ベース基板
4,14 基板
4A 制御基板
4B 主回路基板
5,15 基板
7 コモンモードコア
Q1~Q6 半導体チップ
D1~D6 ダイオード
C1 正極端子
E2 負極端子
E1C2 出力端子
G1,G2 制御端子
E11,E22 センス端子
PA~PG,P1~P3,P31,P32,P21,P22 導電パターン
P4~P7 制御導電パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11