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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018298
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】建物用シャッター装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
E06B9/17 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121536
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128392
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】山藤 義広
(72)【発明者】
【氏名】初見 空
(57)【要約】
【課題】シャッターケース6内において、強風を受けて浸入した雨水や、巻き取り体4に巻き取られるシャッターカーテン3から飛散した雨水が前方の駆動制御部5に掛からないようにする。
【解決手段】シャッターケース6の駆動側ケース部8内に、巻き取り体4と駆動制御部5とのあいだを仕切る仕切り体11を着脱自在に設けて、シャッターケース6内において浸入したり飛散する雨水が前方の駆動制御部5に掛かるのを防止する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部の左右に設けられるガイドレール、該ガイドレールに昇降案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテン、開口部の上方に配され、シャッターカーテンが巻装される巻き取り体、巻き取り体の前方に配され、巻き取り体の回転駆動制御をする駆動制御部、巻き取り体および駆動制御部を覆蓋するシャッターケース、を備えて構成される建物用シャッター装置において、
前記シャッターケースのケース内に、巻き取り体と駆動制御部とのあいだを仕切る仕切り体を設けたことを特徴とする建物用シャッター装置。
【請求項2】
シャッターケースは、駆動制御部が配設される左右方向一端側部位を覆蓋する駆動側ケース部と、該駆動側ケース部によって覆蓋される部位を除いた部位を覆蓋する本体側ケース部とを備え、
駆動側ケース部は、本体側ケース部に対して前方に突出する状態で設けられ、
仕切り体は、駆動側ケース部内に配されることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置。
【請求項3】
仕切り体は、取り外し可能に設けられることを特徴とする請求項1または2記載の建物用シャッター装置。
【請求項4】
仕切り体は、上下両端縁部が巻き取り体の軸心位置よりも前方側部位で取り外し可能に設けられることを特徴とする請求項3記載の建物用シャッター装置。
【請求項5】
仕切り体は、上端縁部がシャッターケースのマグサ部上方の奥側部位で取り外し可能に取り付けられ、下端縁部が巻き取り体の軸心位置よりも前方側で取り外し可能に取り付けられることを特徴とする請求項3記載の建物用シャッター装置。
【請求項6】
仕切り体は、左右に分割され、それぞれ取り外し可能に設けられる複数枚の分割仕切り板により構成されていることを特徴とする請求項3記載の建物用シャッター装置。
【請求項7】
仕切り体は、該仕切り体によって覆蓋される部位の一部または全部を開放できるよう左右方向移動自在に設けられることを特徴とする請求項2記載の建物用シャッター装置。
【請求項8】
仕切り体は、本体側ケース部のケース前板よりも後側に配され、
開放移動した仕切り体は、本体側ケース部のケース前板に対してケース内側で重合するよう移動することを特徴とする請求項7記載の建物用シャッター装置。
【請求項9】
仕切り体は、該仕切り体によって覆蓋される部位の一部または全部を開放できるよう上下方向移動自在に設けられることを特徴とする請求項2記載の建物用シャッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル等の建物の出入り口等の開口部を開閉するために建て付けられる建物用シャッター装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ビル等の建物の出入り口等の開口部を開閉するため建物用のシャッター装置が建て付けられることがあるが、このようなシャッター装置は、開口部の左右両側に設けられるガイドレール、ガイドレールに昇降案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテン、開口部上方に配され、シャッターカーテンが巻装される巻き取り体(巻き取りドラム、巻き取りホイール)、巻き取り体の左右方向一側前方に配され、巻き取り体の開閉駆動をする開閉機とその駆動制御をする制御部とが備えられる駆動制御部等の各種の部材装置を備えて構成されている。
そしてこのようなシャッター装置では、巻き取り体や駆動制御部等の開口部上方に配される部材装置を覆蓋するためシャッターケースが設けられる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-214237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで前記従来の様なシャッター装置では、シャッターケースを設けることで覆蓋される巻き取り体に巻き取られたシャッターカーテンや、開閉機、制御部等の電気・電子機器を備えたものとして構成される駆動制御部に対して直接的な防塵、防雨機能が発揮できることになって、好適なものとして採用されている。
このようにシャッターケースを設けることで、特に駆動制御部への雨水の直接的な被水防止が図れることになるが、近時の地球温暖化の影響を受けて天候の悪化傾向が顕著であって、大型化した台風の襲来等の荒天候時に、シャッターケースの下端後部に設けられるマグサ部から強風を受けてシャッターケース内に浸入した(吹き込んだ)雨水が、巻き取り体部位を通り越して前方に配した駆動制御部にまで被水することが想定される。
また、シャッターカーテンが巻き取り体に渦巻き状に巻き取られる際に、シャッターカーテンに付着した雨水が飛散して前方に配される駆動制御部に掛かることも想定される。
ところで駆動制御部は、電気・電子部品を備えた部材装置で構成されるため仮令防水処理が施されたものであっても水が掛かることは好ましくなく、そこでこのようにシャッターケース内において雨水が前方に配した駆動制御部に掛かるような異常な事態が生じた場合に、該雨水が駆動制御部に掛かることを防止(回避)できるようにすることに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、建物開口部の左右に設けられるガイドレール、該ガイドレールに昇降案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテン、開口部の上方に配され、シャッターカーテンが巻装される巻き取り体、巻き取り体の前方に配され、巻き取り体の回転駆動制御をする駆動制御部、巻き取り体および駆動制御部を覆蓋するシャッターケース、を備えて構成される建物用シャッター装置において、前記シャッターケースのケース内に、巻き取り体と駆動制御部とのあいだを仕切る仕切り体を設けたことを特徴とする建物用シャッター装置である。
請求項2の発明は、シャッターケースは、駆動制御部が配設される左右方向一端側部位を覆蓋する駆動側ケース部と、該駆動側ケース部によって覆蓋される部位を除いた部位を覆蓋する本体側ケース部とを備え、駆動側ケース部は、本体側ケース部に対して前方に突出する状態で設けられ、仕切り体は、駆動側ケース部内に配されることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置である。
請求項3の発明は、仕切り体は、取り外し可能に設けられることを特徴とする請求項1または2記載の建物用シャッター装置である。
請求項4の発明は、仕切り体は、上下両端縁部が巻き取り体の軸心位置よりも前方側部位で取り外し可能に設けられることを特徴とする請求項3記載の建物用シャッター装置である。
請求項5の発明は、仕切り体は、上端縁部がシャッターケースのマグサ部上方の奥側部位で取り外し可能に取り付けられ、下端縁部が巻き取り体の軸心位置よりも前方側で取り外し可能に取り付けられることを特徴とする請求項3記載の建物用シャッター装置である。
請求項6の発明は、仕切り体は、左右に分割され、それぞれ取り外し可能に設けられる複数枚の分割仕切り板により構成されていることを特徴とする請求項3記載の建物用シャッター装置である。
請求項7の発明は、仕切り体は、該仕切り体によって覆蓋される部位の一部または全部を開放できるよう左右方向移動自在に設けられることを特徴とする請求項2記載の建物用シャッター装置である。
請求項8の発明は、仕切り体は、本体側ケース部のケース前板よりも後側に配され、開放移動した仕切り体は、本体側ケース部のケース前板に対してケース内側で重合するよう移動することを特徴とする請求項7記載の建物用シャッター装置である。
請求項9の発明は、仕切り体は、該仕切り体によって覆蓋される部位の一部または全部を開放できるよう上下方向移動自在に設けられることを特徴とする請求項2記載の建物用シャッター装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、シャッターケース内に、シャッターカーテンが巻装される巻き取り体と、該巻き取り体の前方の配される駆動制御部とが配されたものにおいて、巻き取り体と駆動制御部とのあいだが仕切り体によって仕切られることになり、この結果、強風を受けてシャッターケース内に浸入した雨水や、シャッターカーテンの巻装過程で飛散した雨水が前方の駆動制御部に掛かることが、仕切り体によって阻止されることになって駆動制御部の雨水からの有効な保護が図れることになる。
請求項2の発明とすることにより、シャッターケースを、駆動制御部を覆蓋する駆動側ケース部が本体側ケース部よりも前方に突出する構造としたものにおいて、仕切り体が駆動側ケース部に配されたものとなってシャッターケース構造の簡略化が図れることになる。
請求項3の発明とすることにより、仕切り体が取り外し可能となる結果、仕切り体の奥側に配される巻き取り体等の部材のメンテナンスを容易にできることになる。
請求項4の発明とすることにより、仕切り体が、巻き取り体の軸心位置よりも前方側部位で上下両端縁部の取り外し作業ができることになってメンテナンス作業のため仕切り体を取り外すことが簡単になる。
請求項5の発明とすることにより、仕切り体は、上端縁部が奥側で取り外し可能となり、下端縁部が巻き取り体の軸心位置より前方で取り外しできることになってメンテナンス作業のため仕切り体を取り外すことが簡単になる。
請求項6の発明とすることにより、仕切り体が左右に分割されたものとなる結果、巻き取り体等のメンテナンスをする場合に、メンテナンスしたい部位の仕切り体を取り外すことでよいことになって作業性が向上する。
請求項7の発明とすることにより、奥側のメンテナンスをしたい場合に、仕切り体を左右方向に移動して仕切り体に仕切られていた部位の開放ができ、作業性が向上する。
請求項8の発明とすることにより、左右方向に移動した開放姿勢の仕切り体は、本体側ケース部のケース前板に重合する状態となる結果、開放姿勢の仕切り体は、本体側ケース部に収納した状態となって収納部を別途確保する必要がない。
請求項9の発明とすることにより、仕切り体は、上下方向に移動して開放できる結果、巻き取り体に巻装されるシャッターカーテンの外周スペースを有効に利用した開閉移動ができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】シャッター装置の正面図である。
図2】シャッターケースの底面図である。
図3】駆動側ケース部の縦断側面図である。
図4】駆動側ケース部部位のケース前面板を取り外した状態の正面図である。
図5】駆動側ケース部部位の仕切り体を取り外した状態の正面図である。
図6】駆動側ケース部部位の一部の分割仕切り板を取り外した状態の正面図である。
図7】第二の実施の形態を示す駆動側ケース部の縦断側面図である。
図8】第三の実施の形態を示す駆動側ケース部の縦断側面図である。
図9】第三の実施の形態の駆動側ケース部部位のケース前面板を取り外した状態の正面図である。
図10】第四の実施の形態の仕切り体を閉鎖した状態の駆動側ケース部の縦断側面図である。
図11】第四の実施の形態の仕切り体を開放した状態の駆動側ケース部の縦断側面図である。
図12】第四の実施の形態を示す駆動側ケース部部位のケース前面板を取り外すと共に仕切り体を閉鎖した状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1はビル等の建物の出入り口等の開口部Eに建て付けられるシャッター装置であって、該シャッター装置1は、開口部Eの左右に設けられるガイドレール2、該ガイドレール2に昇降案内されて開口部Eの開閉をするシャッターカーテン3、開口部Eの上方に配され、前記シャッターカーテンの巻装をする巻き取り体(巻き取りドラム、巻き取りホイール)4、該巻き取り体4の左右方向一端側前方部位に配され、巻き取り体4の回転駆動をするべく該巻き取り体4にチエン伝動機構等の動力伝動部5cを介して連動連結される電動式の開閉機5aと、該開閉機5aの上部(近傍)に配され、開閉機5aの駆動制御をする制御部5bとを備えて構成される駆動制御部(開閉駆動制御部)5、開口部Eの上方の壁部(躯体側部材)Wから前方に突出(延出)する状態で配され、巻き取り体4および駆動制御部5を覆蓋するシャッターケース6、等の各種の部材装置が設けられることで構成されていること等は何れも従来通りである。
【0009】
前記シャッターケース6は、前記駆動制御部5が配設される左右方向一端側部位以外の左右幅広い部位を覆蓋する本体側ケース部7と、駆動制御部5が配設される左右方向一端側部位を覆蓋する駆動側ケース部8とを備えて構成され、そしてシャッターケース6の左右両端縁部には、巻き取り体4の左右両端部が支持される従動側、駆動側のブラケット9、10が備えられ、またシャッターケース6の壁部W側の下端縁部には、シャッターカーテン3のシャッターケース6への出入り(繰り出し、繰り入れ)をするべく左右ガイドレール2の上端縁部間に対応する部位が開口となったマグサ部6aが形成されている。因みにシャッターケース6としては、壁部W側にケース後板(ケース背面板)が設けられたものであっても勿論よい。
【0010】
本体側ケース部7は、巻き取り体4の上方、前方、そして下方を覆蓋するケース上板(ケース天板)7a、ケース前板(ケース正面板)7b、そしてケース下板(ケース底板)7cを備え、背面躯体側の壁部W側が開口した側面視でコ字形をした汎用の構造になっている。
そして駆動側ケース部8についても、本体側ケース部7と同様、ケース上板8a、ケース前板8b、ケース下板8cとを備えた側面視で壁部W側が開口した側面視でコ字形をしたものとなっているが、ケース前板8bについては、巻き取り体4の前方に配した駆動制御部5も覆蓋する必要があることから、本体側ケース部7のケース前板7bに対して前方に段差状に突出する位置に配されている。
これに対し、駆動側ケース部8のケース上板8a、ケース下板8cについては、本体側ケース部7のケース上板7a、ケース下板7cに対して左右方向面一状に設けられるが、前記前方の駆動制御部5も覆蓋する必要があることから、本体側ケース部7のケース上板7a、ケース下板7cよりも前方に長く延出したものとなっている。
【0011】
そして前述したように駆動側ケース部8では、ケース上板8a、ケース下板8cが本体側ケース部7のケース上板7a、ケース下板7cに対して前方に延出したものになっていることから、このままでは駆動側ケース部8の本体側ケース部7に隣接する左右方向内側の端縁部が開口状態となり、そこで該開口する内側部位を覆蓋するためケース内側板8eが設けられたものとなっている。
因みに両ケース部7、8のケース前板7b、8bは、着脱自在に取り付けられる点検板となっていてシャッターケース6内の各部位のメンテナンスが必要においてできるように構成されている。さらに両ケース部7、8のケース下板7c、8cには、着脱自在に構成される点検板7d、8dが設けられていて、シャッターケース6内の各部位のメンテナンスが必要においてできるように構成されている。
さらにシャッターケース6として、本体側ケース部7のケース前板7bを、駆動側ケース部8のケース前板8bと同じ前側位置に延出したものとすることもできるが、この様にした場合、該シャッターケース6は、駆動側ケース部8での延出(突出)がなく前後方向の出幅が同寸法になって前述したケース内側板8eが不要の形状となってケース構造の簡略化が図れるが、本体側ケース部7部位が前方の延出した分、大型化したものとなる。
【0012】
一方、前記ブラケット9、10のうち、従動側ブラケット9は、本体側ケース部7の左右方向外端部部位に配され、後端縁部が壁部Wに固着される状態で設けられるものであって、前述したように巻き取り体4の従動側端部が支持される。
また駆動側ブラケット10についても、駆動側ケース部8の左右方向外端部部位に配され、後端縁部が壁部Wに固着される状態で設けられるものであって、巻き取り体4の駆動側端部が支持されることになるが、該駆動側ブラケット10には前方に向けて延出した延出部10aが設けられ、該延出部10aに、前記駆動制御部5が取り付けられたものとなっている。
因みに延出部10aとしては、駆動側ブラケット10を前後方向に長いものとして一体に設けたもの、別部材として連設したものの何れであっても勿論よい。
【0013】
前記駆動側ケース部8内には、巻き取り体4と駆動制御部5とのあいだ、具体的には巻き取り体4に巻装されたシャッターカーテン3の最外周の軌跡と駆動制御部5とのあいだを前後に仕切る仕切り体11が設けられ、該仕切り体11によって、強風を受けてマグサ部6aからシャッターケース内に入り込んだ雨水や、シャッターカーテン3が巻き取り体4に巻装される際に該シャッターカーテン3から前方に飛散した雨水を捕捉できることになって、該雨水が前方の駆動制御部5に掛かってしまう(付着する)ことの防止(阻止)が効率よく図れるよう構成されている。
そして仕切り体11としては、後述するような各種の実施の形態のものを提唱できるが、本発明はこれら実施の形態のものに限定されないことは勿論である。
【0014】
具体的に説明すると、第一の実施の形態の仕切り体11は、図4図6に示すように左右方向に複数枚(本実施の形態では三枚)に分割された分割仕切り板11x、11y、11zを用いて構成されるが、該分割仕切り板11x、11y、11zは、隣接する左右端縁部同士が互いに積層(重合)したものとして配設される。この場合の積層構造については後述する。そしてこれら分割仕切り板11x、11y、11zとしては、隣接する端縁部同士を積層することなく互いに突き合う状態として配設したものとすることもできる。勿論、仕切り体11としては、本実施の形態のように分割型にする必要はなく、一枚板状のものとしても良い。
【0015】
そして以下の説明において、仕切り板11として、特に分割した分割仕切り板11x、11y、11zとしての説明が必要になる場合を除いて一体型の仕切り体11として説明するものとする。
前記仕切り体11は、上下両端縁部11a、11bが、駆動側ケース部8のケース上板8a、ケース下板8cに設けた上下両側の取り付け金具8f、8gに着脱自在に取り付けられる。この着脱構造としては、後述するようにビス(締結具)11cによるものや、仕切り体11の先端縁部をシャッターケース6側に設けた係止受け部に係脱自在に係止する構成にしてもよく、これらは必要において適宜選択することができるものである。
【0016】
これに対し仕切り体11の左右方向外側端縁部11dは、前側の開閉機5aと巻き取り体4とを連動連結する動力伝動部5cにまでは至らないものとなっていて動力伝動部5cとの干渉がないよう構成されている。
そして仕切り体11としては、駆動制御部5部位を覆蓋して巻き取り体4に巻装されるシャッターカーテン3から飛散する雨水が駆動制御部5に掛かるのを防止する大きさを有するものであれば充分であることから、シャッターケース6内の全幅に亘って設ける必要はなく、本実施の形態のように駆動側ケース部8が設けられるものにおいては、該駆動側ケース部8内に納まる大きさにすることで、殆どの場合、対応することができる。
勿論、駆動制御部5が、本体側ケース部7に近接していて雨水の被水が予測されるような場合には、仕切り体11を本体側ケース部7側にまで入り込む構造とすることができる。
【0017】
次に、本実施の形態における仕切り体11の取り付け構造について具体的に説明をする。
このものでは仕切り体11は、上下両端縁部11a、11bが駆動側ケース部8に設けた上下側の取り付け金具8f、8gに着脱自在に取り付けられるものである。
この場合に上側取り付け金具8fは、巻き取り体4と駆動制御部5とのあいだのスペースSbの上方においてケース上板8aに取り付けられたものになっており、該上側取り付け金具8fの先端縁部(下端縁部)がL字形に折曲されることで係止受け部8faとなっており、該係止受け部8faに仕切り体11の上端縁部11aが係脱自在に係止されるように構成される。
【0018】
一方、下側取り付け金具8gは逆L字形をしたものとなっており、該下側取り付け金具8gの上片部8gaには、前端縁部に上方に突出した起立片部8gbが形成され、該起立片部8gbに仕切り板11の下端縁部11bがビス11cを介して着脱自在に取り付けられる構成になっている。
そしてこのように構成される上下取り付け金具8f、8gによる仕切り板11の上下両端縁部11a、11bの着脱部位は、巻き取り体4の軸心位置4aよりも前側位置となっており、この様に構成することで仕切り体11の着脱操作が、巻き取り体4よりも手前側においてできるよう配慮されている。
【0019】
また本実施の形態のものでは、下側取り付け金具8gの本体部8gcの前面に、障害物検知用の受信機(受信器)15が設けられたものとなっており、このように受信器15が配されることにより、該受信器15は、下側取り付け金具8gが仕切り板11の延長部材となって仕切り板11の奥側からの雨水の飛散を防止できるように構成されている。因みに受信器15は、電気・電子機器であって駆動制御部5の駆動制御の一役を担うものとなっている。
尚、障害物検知用の送信機15aは、シャッターカーテン3の座板3aに設けられたものとなっており、シャッターカーテン3の閉鎖作動中において、座板3aに設けた図示しない障害物検知手段が障害物検知したことを受けた送信器15aが受信器15に対して検知信号を送信するようになっており、斯かる検知信号を受信器15が受信することにより、制御部5bは開閉機5aの閉鎖駆動を緊急停止した後、開放作動、警報発令をする等、予め設定された障害物回避作動をするよう設定されている。
【0020】
そしてこのものでは、仕切り体11がビス11cを介して着脱できる構成になっている結果、例えば動力伝動部5cの巻き取り体4側部位(奥側部位)のメンテナンスや仕切り体11に覆蓋される部位のシャッターカーテン3や巻き取り体4のメンテナンスを行う場合に、仕切り体11を取り外すことで該仕切り体11が邪魔になることなくメンテナンス作業を行うことができ、シャッターケース6内で飛散する雨水が掛かるのを防止するため仕切り体11を設けたことによってメンテナンス作業の作業性が損なわれることを回避できる。
【0021】
因みに本実施の形態の仕切り体11は、前述したように分割仕切り板11x、11y、11zと分割型となっており、この場合に頻繁なメンテナンスが必要とする部位は、動力伝動部5cが連結される巻き取り体4の駆動側ブラケット10部位であり、そこで分割仕切り板11x、11y、11zの積層関係を、最も動力伝動部5c側の分割仕切り板11zが前側に配され、動力伝動部5cから遠い分割仕切り板11xが後側に配されるように積層しておくことが好ましく、この様に構成することで、最も動力伝動部5c側の分割仕切り板11xだけを取り外すことができ、この結果、動力伝動部5cのメンテナンス、シャッターカーテン3の巻装状態のメンテナンス等の点検、整備作業が、他の分割仕切り板11y、11zは取り外すことなく、分割仕切り板11xを取り外すだけでできることになり、作業性が向上する。勿論、必要において分割仕切り板11y、11zの両者、何れか一方を取り外してメンテナンス作業をしてもよい。
【0022】
このように、強風を受けてシャッターケース6内に浸入した雨水や、巻装されるシャッターカーテン3から飛散した雨水が前方の駆動制御部5に掛かるのを防止するため設けられる仕切り体11としては、前記第一の実施の形態のように平板状のものに限定されず、図7に示す第二の実施の形態のように弧状(湾曲状)にしたものとすることができる。そしてこのように仕切り体11を弧状にした場合には、シャッターケース6内で飛散する雨水の捕捉面積を前記平板状にしたものより広いものにできることになって、雨水の効率の良い捕捉ができるという利点がある。因みにこの場合においても、仕切り体11を、前記第一の実施の形態のように分割型とすることができる。
【0023】
そして前記第二の実施の形態のものでは、仕切り体11の上端縁部11a先端に係止部11aaを形成する一方、ケース上板8aの壁部W側部位に、前記係止部11aaが係脱自在に係止取り付けされる上側係止受け部8hが設けられたものとしている。因みに仕切り体11は、下端縁部11bについては前記第一の実施の形態のようにビス11cによる着脱構造にしてもよいが、弧状の仕切り体11とした場合、該仕切り体11を、自然状態で弧状の取り付け形状よりは大きい(大径の)弧形状か平板状のものとしておく。そして、上端縁部である係止部11aaを係止受け部8hに係止した状態で、仕切り体11の下端縁部11b側を湾曲せしめて取り付け形状(納まり形状)に強制変形せしめた状態で、下端縁部11bを、下側取り付け金具上片部8gaの上面に設けた下側係止受け部8gdに係止する構成にしたものにでき、この様にした場合には、仕切り体11のスプリングバック(弾性復元)機能によりビス11cを不要にした着脱作業ができながら、仕切り体11の取り付け状態(係止状態、納まり状態)の維持を、スプリングバック機能により図ることができる。
【0024】
前記各実施の形態の仕切り体11としては、駆動側ケース部8(シャッターケース6)内において巻き取り体4と駆動制御部5とのあいだに設けた構成にしている。そしてこの場合に、仕切り体11によって覆蓋される部位のメンテナンスをするため、仕切り体11を着脱自在に取り付ける構成にしたが、仕切り体11としては、後述する第三の実施の形態、第四の実施の形態のように移動自在な構成にすることで前記メンテナンスができるように構成したものであってもよく、次にこれらの実施の形態について詳述する。
【0025】
また図8、9に示す第三の実施の形態のものは、仕切り体11を、本体側ケース部7側に移動できるよう左右方向移動自在に構成したものである。そのためこのものでは、駆動側ケース部8から従動側ケース部7に至るようケース上板7a、8aに上側案内レール12を設ける一方、ケース下板7b、8bに設けた下側取り付け金具7g、8gに下側案内レール13を設けた構成にし、これら上下両側の案内レール12、13に仕切り体11の上下端縁部11a、11bを左右方向移動自在にスライド移動できる構成にしている。因みに取り付け金具7g、8gは一連状のものとして構成することができる。
つまりこのものでは、駆動側ケース部8に配された仕切り体11を本体側ケース部7にまで移動できるようにするため、仕切り体11を、本体側ケース部7のケース前板7bよりも後側、つまり前後方向ケース前板7bと巻き取り体4とのあいだに位置するよう配したものとし、同様にして上下両案内レール12、13についても、本体側ケース部7のケース前板7bよりも後側、つまりケース前板7bと巻き取り体4とのあいだに配された構成にする。
そして仕切り体11の上下端縁部11a、11bを前記上下側のレール12、13に左右方向スライド移動自在に組み付けたものとしており、このように構成することで、仕切り体11を、駆動側ケース部8側に位置していて、巻き取り体4と駆動制御部5とのあいだを仕切る閉鎖姿勢(仕切り姿勢)から、本体側ケース部8側に移動して、前記仕切り体11で仕切った部位の全部を開放するか、一部を残す状態で開放する開放姿勢とに移動自在になるよう構成されている。
【0026】
そしてこのように構成することで、強風を受けてシャッターケース6内に浸入した雨水や、巻き取り体4に巻装されるシャッターカーテン3から飛散した雨水が前方の駆動制御部5に掛かるのを、閉鎖姿勢に位置する仕切り体11によって防止できながら、メンテナンス時においては、仕切り体11を本体側ケース7側に移動して開放姿勢にすることで、前記仕切り体11によって覆蓋されていた部位を、ケース前板8bが外した状態で前方から視認でき、掛かる部位に配される駆動制御部5等の部材のメンテナンスが仕切り体11に邪魔されることなくできることになり、作業性が損なわれることがない。
この場合に仕切り体11の本体側ケース部7側に移動した部位は、該本体側ケース部7のケース前板7bに対して後側(ケース奥側)に重複(重合、積層)する状態で配されることになり、仕切り体11の移動に支障を来すこともない。
因みにこのものでは、閉鎖姿勢の仕切り体11が不用意に移動しないよう下側案内レール13に螺入したビス13aによって下端縁部11bを下側案内レール13に押し付ける構成にしている。
【0027】
一方、図10~12に示す第四の実施の形態のように、仕切り体11を上下移動する構成にしたものてあってもよい。このためこのものでは、駆動側ブラケット10とケース内側板8eに弧状をした左右の案内レール14を設け、該左右案内レール14に、仕切り体11の左右両端縁部11eが上下方向移動案内される構成にしたものである。そして左右案内レール14を設ける場合に、本実施の形態では案内レール14を駆動側ブラケット10とケース内側板8eに直接設けているが、取り付け金具を介して駆動側ブラケット10に取り付けてもよく、また駆動側ブラケット10ではなく取り付け金具を介して駆動側ケース部8に取り付けてもよい。
【0028】
叙述の如く構成された本実施の形態において、シャッターケース6内に、シャッターカーテン3が巻装される巻き取り体4と、該巻き取り体4の前方の配される駆動制御部5とが配されたシャッター装置1において、巻き取り体4と駆動制御部5とのあいだが仕切り体11によって仕切られたものとなり、この結果、強風を受けてシャッターケース6内に浸入した雨水や、シャッターカーテン3の巻装過程で飛散した雨水等の雨水が前方の駆動制御部5に掛かることが仕切り体11によって阻止されることになって駆動制御部5の雨水からの有効な保護が図れることになる。
【0029】
この場合にシャッターケース6は、駆動制御部5が配設される左右方向一端側部位を覆蓋する駆動側ケース部8と、該駆動側ケース部8によって覆蓋される部位を除いた部位を覆蓋する本体側ケース部7とを備え、そして駆動側ケース部8が、本体側ケース部7に対して前方に突出する状態で設けられたものであり、このようにコンパクト化が図れるシャッターケース6に配される仕切り体11についても、駆動側ケース部8に配された幅狭なものとして構成され、コンパクト化に寄与できることになる。
しかもこの場合に仕切り体11は取り外し可能に設けられるため、該仕切り体11の奥側(後側)に配される巻き取り体4や動力伝動部5c等の部材のメンテナンスを容易にできる。そしてこのよう仕切り体11を取り外し可能の構成とした場合に、該仕切り体11の取り外し位置を、上下両端縁部11a、11bが巻き取り体4の軸心位置4aよりも前方側部位としているため、巻き取り体4の前方側部位での仕切り体11の取り外し作業ができることになってメンテナンス作業が簡単になる。
【0030】
一方、仕切り体11として、第二の実施の形態のように上端縁部11aがシャッターケース6のマグサ部6a上方の奥側部位で取り外し可能に取り付けられ、下端縁部11bが巻き取り体4の軸心位置4aよりも前方側で取り外し可能に取り付けられるものであっても、仕切り体11の着脱作業が容易になってメンテナンス作業が簡単になる。
このように仕切り体11を着脱型としたものにおいて、該仕切り体11を、左右に分割された分割仕切り板11x、11y、11zで構成し、そしてこれらを各別に取り外し可能に構成したものとすることができ、この様にした場合には、巻き取り体4等の仕切り体11よりも後方部材のメンテナンスをする場合に、メンテナンスしたい部位の分割仕切り板11x、11y、11zを取り外すことでよいことになって作業性が向上する。
【0031】
また仕切り体11としては、前記第一、第二の実施の形態の場合のように着脱型とするものではなく、スライド移動型のものとすることができ、例えば第三の実施の形態のもののように、仕切り体11を、該仕切り体11によって覆蓋される部位の一部または全部を開放できるよう左右方向移動自在に構成することができ、仕切り体11より奥側部材のメンテナンスをしたい場合に、仕切り体11を左右方向内方の本体側ケース部7側に移動して仕切り体11によって仕切られていた部位の全部または一部を開放することでメンテナンスができることになって作業性が向上する。
この場合に、左右方向に移動して開放姿勢になった仕切り体11は、本体側ケース部7のケース前板7bに重合する状態となる結果、該開放姿勢の仕切り体11は、本体側ケース部7に収納された状態となって収納部を別途確保する必要がない。
【0032】
このように仕切り体11を移動可能とする場合に、前記第三の実施の形態のように左右方向移動自在に構成するものでなく、第四の実施の形態のように前後方向移動自在なものとすることもできることになって、仕切り体11は、巻き取り体4に巻装されるシャッターカーテン3の外周側スペースを有効に利用した開閉移動ができるものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、ビル等の建物の出入り口等の開口部を開閉するために建て付けられる建物用シャッター装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 シャッター装置
2 ガイドレール
3 シャッターカーテン
4 巻き取り体
4a 軸心
5 駆動制御部
5c 動力伝動部
6 シャッターケース
6a マグサ部
7 本体側ケース部
8 駆動側ケース部
8f 上側取り付け金具
8g 下側取り付け金具
11 仕切り体
11a 上端縁部
11b 下端縁部
11c ビス
E 開口部
図1
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図12