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  • 特開-水素入り飲料生成器及び生成の方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000183
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】水素入り飲料生成器及び生成の方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/68 20230101AFI20231225BHJP
   A23L 2/54 20060101ALI20231225BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20231225BHJP
   A23L 2/66 20060101ALI20231225BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20231225BHJP
   B01F 21/10 20220101ALI20231225BHJP
   B01F 23/233 20220101ALI20231225BHJP
   B01F 23/235 20220101ALI20231225BHJP
   B01F 23/2361 20220101ALI20231225BHJP
   B01F 27/808 20220101ALI20231225BHJP
【FI】
C02F1/68 520B
A23L2/54
A23L2/00 F
A23L2/66
C02F1/68 510B
C02F1/68 530E
B01F35/71
B01F21/10
B01F23/233
B01F23/235
B01F23/2361
B01F27/808
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098809
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】721000398
【氏名又は名称】原田 豊成
(72)【発明者】
【氏名】原田 豊成
【テーマコード(参考)】
4B117
4G035
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
4B117LC04
4B117LE10
4B117LK01
4B117LK19
4B117LP11
4B117LP18
4B117LT05
4G035AA01
4G035AB04
4G035AB31
4G035AE13
4G037AA01
4G037EA04
4G078AB09
4G078BA05
4G078CA13
4G078EA10
(57)【要約】
【課題】 水素ガスの吸引では人の脳・目・呼吸器系に関係する部分の治療に特に効果的であるが、消化器系の治療には直接消化器系から水素を摂取することが効果的である。しかし、従来から使用されている水素水では含有水素の量が極めて少ない事が難点であった。本発明では、水素水より水素を格段に多く含んだ飲料を提供する。
【解決手段】 攪拌機能の付いた容器内に、炭酸系以外の好みの飲料を半分程度入れ、、前記容器の内部への水素ガス導入手段と、容器内部の前記飲料より上部の空間の空気を外方に放出する空気放出手段を有し、前記容器を密閉して攪拌する事により、多量の水素泡を有する水素入り飲料を生成する。好ましくは、飲料には卵白成分、特に乾燥卵白を添加してより多量の水素泡を生成する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
攪拌機能が付いた容器(1)と、
該攪拌機能が付いた容器(1)の容器部(2)の内部に上下で略中間部位まで入れる飲料(4)と、
前記容器部(2)の外部から内部へ水素ガスを導入する水素ガス導入手段(7)と、
前記容器部(2)の内部の前記飲料(4)の液面上部から前記容器部(2)の外方へ空気を放出する空気放出手段(8)と、
前記水素ガス導入手段(7)及び前記空気放出手段(8)のそれぞれの開閉手段(9)(10)と、
を備えていることを特徴とする水素入り飲料生成器。
【請求項2】
請求項1記載の水素入り飲料生成器を用いて水素入り飲料を生成する方法であって、
前記攪拌機能が付いた容器(1)の前記容器部(2)の内部に、空気放出パイプ(8)の下端より下方未満に飲料(4)を入れる工程と、
水素ガス導入パイプ(7)を通じて前記容器部(2)の内部に水素ガスを導入し、前記空気放出パイプ(8)により前記容器部(2)の内部の空気(11)が、前記容器部(2)の外方に順次放出されて、前記容器部(2)内部の飲料(4)の液面上部に水素ガス(12)が溜まるガス置換の工程と、
前記開閉手段(9)(10)を閉じて前記容器部(2)の内部を密閉にする工程と、
前記飲料(4)と水素ガス(12)を前記攪拌機能により攪拌する事により、飲料(4)に水素を溶存させると共に水素を含んだ泡を前記容器部(2)の内部に生成する工程と、
を含む事を特徴とする水素入り飲料生成の方法。
【請求項3】
前記飲料(4)に、予め卵白乃至は乾燥卵白を添加する事を特徴とする請求項2記載の水素入り飲料生成の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水素医療に用いられる水素入り飲料の生成技術の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、体内に発生する活性酸素を還元する医療効果の認められた水素水及び水素ガスが注目されており、その医学論文が世界で多数発表されている。そして、水素水を飲む方式の場合には、水に溶け込む水素の量は極めて少ない事から、多量の水素水を飲まなくてはならないという欠点が有り、水素ガスを鼻から直接吸引する方式が主流になりつつある。しかし、水素ガスの鼻からの吸引では、脳・目・気管支系には著効が認められるものの、直接に消化器系への作用力は弱く、腸炎などの症例の中では水素水を飲む方が効果が高いという報告もされている。そこで、水素水を飲料とする方法の上記の欠点を補う新たな方法も必要となっている。なお、ここでは「液に溶存する水素」と気体の「水素ガス」等を区別せずに「水素」と総称する場合もあるが、いずれも分子状水素の事である。
【0003】
先ず、水素水生成の場合には、特許文献1の様な容器内に直接生成する電解式と、特許文献2の様な出来上がった水素ガスを水に溶存させる方法が一般的である。しかし、水の飽和水素濃度は1.6ppmと極めて小さく、それは加圧すれば少しは大きくなるものの、多くの水素を摂取するには限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-111356号公報
【特許文献2】特開2002-301483号公報
【特許文献3】特開2004-42961号公報
【特許文献4】特開2021-95092号公報
【特許文献5】特開2018-140169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、人の消化器系に多くの水素を取り込む方法を見出す事である。しかし、従来から飲用に用いられている水素水では含有水素の量が極めて少ない事が難点であった。本発明では、水に限定せずに、人が飲みやすい好みの各種飲料を原料として、水素が多量に含まれる飲料を生成する機器を発明し、且つその生成方法を見出す事である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による水素入り飲料生成器を実現する手段は、攪拌機能が付いた容器(1)と、該攪拌機能が付いた容器(1)の容器部(2)の上下で略中間部位まで入れる飲料(4)と、前記容器部(2)の外部から内部へ水素ガスを導入する水素ガス導入手段(7)と、前記容器部(2)の内部の前記飲料(4)の液面上部から前記容器部(2)の外方へ空気を放出する空気放出手段(8)と、前記水素ガス導入手段(7)及び前記空気放出手段(8)のそれぞれの開閉手段(9)(10)と、により構成される。
【0007】
また、本発明による水素入り飲料を生成する方法は、前記の水素入り飲料生成器を用いて、その攪拌機能が付いた容器(1)の前記容器部(2)の内部に、空気放出パイプ(8)の下端より下方未満に飲料(4)を入れる工程と、水素ガス導入パイプ(7)を通じて前記容器部(2)の内部に水素ガスを導入し、前記空気放出パイプ(8)により前記容器部(2)の内部の空気(11)が、前記容器部(2)の外方に順次放出されて、前記容器部(2)内部の飲料(4)の液面上部に水素ガス(12)が溜まるガス置換の工程と、前記開閉手段(9)(10)を閉じて前記容器部(2)の内部を密閉にする工程と、前記飲料(4)と水素ガス(12)を前記攪拌機能により攪拌する工程とにより、前記飲料(4)に水素を溶存させると共に水素を含んだ泡を前記容器部(2)の内部に生成する事を特徴とする。そして、好ましくは、前記飲料(4)に、予め卵白乃至は乾燥卵白を添加する事を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
高い医療効果が年々認められつつある水素医療において、水素ガス吸引に比して、含有水素量が少ないことが難点であった水素水に代わるものとして、消化器系に充分な水素を摂取する事が出来る簡便な、水素入り飲料生成器とその生成の方法を世の中に提供する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の概念的説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明による水素入り飲料生成器の一例を、図1の概念的説明図を用いて詳しく説明する。まず、その前提として、本発明者は、水素水生成技術を極める過程で、水素は水以外の各種のほとんどの飲料の成分と混合しても、化学的に反応することが無いか、或は、有害成分を発生する事は無く、その飲料に水素を含ませても、水素の効用を全く害する事が無い事、従って、飲料を直接に電気分解して水素を得る事に挑戦しなければ、原料は水に限定しないで、様々な各種のお好みの飲料を原料とする事が出来ることを見出した。実際、例えばオレンジ100%生ジュースは電流を流す電解が可能で水素泡も生成するが、電極寿命が極端に短くなってしまった経験も有している。そこで、本発明では、水素ガス発生そのものは、原料の飲料にはよらないで、本発明の範疇外である、例えば特許文献5の様な本発明者の発明した水素発生手段から、攪拌機能の付いた容器内に導入し、その水素ガスと飲料を容器内で密閉し、攪拌する事により水素泡を形成し、含有水素が格段に多い水素入り飲料を生成する新しい方法を見出した。この際、原料としては、炭酸系飲料は攪拌する事により多量の炭酸ガスを発生するので除外する。
【0011】
図1は本発明の好ましい実施形態の一例を示すもので、攪拌機能が付いた容器(1)として一般に市販されている電動シェーカー(1)を用いる。電動シェーカーは容器部(2)と蓋(3)と回転モータを主とする電動部(5)と回転羽根(6)を備えている。容器部(2)に水素ガスを導入する手段として蓋(3)を上下に貫通するパイプ(7)を設置するが、この手段は容器部(2)のどの部位を貫通していても良く、導入された水素ガス(12)はその比重の軽さから必ず容器部(2)の最上部から順次蓄積されることになる。原料となる飲料(4)は、充分な量の水素ガス(12)と生成される水素泡の量を確保するために、容器部(2)の概略半分程を目安に入れる。そして、容器部(2)の内部から空気を放出する手段として蓋(3)を上下に貫通するパイプ(8)を設置するが、このパイプ(8)の最下端は飲料(4)の液面より上に在って、パイプ(8)の最下端は飲料(4)により塞がれる事は無いので、このパイプ(8)を通じて容器部(2)内の空気(11)は外方への放出が可能となる。その際に、パイプ(8)の最下端は空気の残存量を少なくする為に、好ましくは飲料(4)の液面上部すれすれにまで下げる。図1には示していないが、パイプ(8)は上下に長さを変えられる2段パイプの構造にすると、飲料(4)の量に応じて最適な状態を構成する事も出来る。このパイプ(7)とパイプ(8)にはそれらの開閉が可能となる開閉手段を設置する。この開閉手段はコック類でもバルブ類でもキャップ類でも良いが、本実施形態ではキャップ(9)(10)を用いる。
【0012】
次に、本発明による水素入り飲料の生成方法を説明する。 前記電動シェーカー(1)の前記容器部(2)の内部の略半分程で、且つ、前記パイプ(8)の最下端より下で、従ってその最下端を塞がない程度の位置にまで飲料(4)を入れた後に、パイプ(7)に水素導入チューブ(15)を繋いで水素発生手段(14)から水素ガスを容器部(2)の内部にゆっくりと入れる。この容器部(2)の内部に入った水素ガス(12)は、該内部に存在する空気より比重が10倍も軽いので、容器部(2)の内部に存在した空気(11)はパイプ(8)を通じて外部に放出される。こうして、導入された水素ガス(12)は大きな比重差により明確に出来るガス境界面(13)より上に蓄積されていく。水素発生手段(14)の単位時間当たりの水素ガス発生量から、容器部(2)内の液面上部の容量を満たす時間が計算できるので、概略その時間以上経過すると、容器部(2)内部のガス置換は完了するので、ここで水素ガスの導入を停止する。ここで、パイプ(7)とパイプ(8)にキャップ(9)(10)を被せて容器部(2)の内部を密閉にする。この際に、容器部(2)内部の水素ガス(12)が外方に少しでも漏れないようにする為に、キャップ(9)を先に被せることが好ましい。その後、電動シェーカー(1)の攪拌用の回転羽根(6)を回転させて前記飲料(4)の水素を含んだ液と泡を容器部(2)の内部に生成する。なお、この攪拌時に容器部(2)を水平近くまで傾けると、水素ガスと飲料と回転羽根(6)の接触が多くなりより短い時間で多くの水素泡が形成される。
【0013】
さらに、原料として、特に卵白の成分を少し添加した飲料を用いる。こうすると、泡の発生量は格段に増加して容器部(2)の内部のガス部分を全て水素泡で満杯にする事が出来て、その泡もコップに移した後も相当時間維持する事が出来る。卵白は料理にも発泡剤として重宝されメレンゲ造りにも欠かせないものであり、水素泡を多く含んだ水素入り飲料の生成には特に卵白を乾燥させた乾燥卵白を各種飲料に少し添加する方法を見出した。
【実施例0014】
本発明によるその概念を示している図1の水素入り飲料生成器を以下の記述では本器と称して、実施例1について説明する。本器の電動シェーカーの容器部分(2)の容量が満杯で380ccであり、そこに飲料(4)として天然水220ccを入れて蓋(3)を被せて蓋をし、空気放出手段としてのプラスチック製のパイプ(8)の上部は開放し、水素導入手段としてのプラスチック製のパイプ(7)から水素発生手段(14)が発生する水素ガスを、シリコーンゴム製の水素ガス導入チューブ(15)を用いて導入した。この時、容器部分(2)内の空気(11)は160ccであり、水素発生手段(14)は毎分14ccの水素を発生していたので、約12分で水素ガスに置換される計算となる。約15分間水素ガスを導入し、、パイプ(8)の上部に開閉手段としてビニール製のキャツプ(10)を被せ、次にパイプ(7)から水素導入チューブ(15)を外して同様にキャップ(9)を被せて容器部分(2)内を密閉にした。次に、電動部(5)を動作させて回転羽根(6)を約3分間回転させた。この時、容器部分(2)の上部にある水素ガスと飲料水(4)との接触面積を大きくする為に電動シェーカー(1)は略水平にまで傾斜させた。この実施例では、水素泡は少し発生しまもなく消えてしまうものの、水素溶存濃度は0.6ppm程度の水素入り飲料が形成された。
【実施例0015】
実施例1の原料となる飲料(4)の天然水に代えて、動物に由来する、油脂、たんぱく質、アミノサンの各一つ以上の成分を含む飲料を用いて実施例1と全く同様な実験を行った。先ず、牛乳を用いた結果、攪拌中には容器部分(2)内の飲料(4)部分以外の約80%に泡が形成された。しかし、攪拌中止後しばらくするとそれは20%程度になりそれなりの水素泡の多い水素入り飲料が生成された。これは、各種乳酸菌飲料、粉ミルク飲料を原料としても同様であった。
【0016】
同様に植物に由来する、油脂、たんぱく質、アミノサンの各一つ以上の成分を含む飲料を用いて実施例1と全く同様な実験を行った。先ず、野菜ジュース用いた結果、攪拌中には容器部分(2)内の飲料(4)部分以外の約90%に泡が形成された。しかし、攪拌中止後しばらくするとそれは40%程度になりそれなりの水素泡の多い水素入り飲料が生成された。オレンジ100%生ジュースの場合は、攪拌中には容器部分(2)内の飲料(4)部分以外の約60%に泡が形成された。しかし、攪拌中止後しばらくするとそれは15%程度になりそれなりの水素泡を含む水素入り飲料が生成された。これは、グレープ、グレープフルーツ、マンゴ、リンゴ等のジュースなどの他に豆乳、プロテイン、お茶、コーヒー等でも、泡の量には多少の違いはあるもののほとんど同様であった。
【実施例0017】
実施例1の原料となる飲料(4)の天然水に、市販されている乾燥卵白を約1g添加して同様の実験を行った。攪拌中には飲料(4)部分以外の約70%に泡が形成された。しかし、攪拌中止後しばらくするとそれは50%程度になり、泡の多い水素泡飲料が形成された。次に、実施例2の各種飲料、特に豆乳の場合は、乾燥卵白を約2gを添加して実験を行ったところ、攪拌中には約100%=160ccの細かい泡が形成され、攪拌中止後も10分以上その状態のまま泡が残存し、水素ガスを内包した水素泡をスプーンで口に入れ、残存の液状の水素入り飲料と共に飲むことが出来た。市販されている水素水の溶存水素濃度は0.8ppm程度であるので、飲料(4)と同じ220ccであれば、水素ガスを約4cc含んでいるに過ぎず、従って本実施例のこの場合には最大で水素水の約40倍という多量の水素ガスを摂取する事が出来た。豆乳以外では、泡の生成は幾分少なかったが水素水よりは充分に多量の水素を摂取する事が出来た。
【符号の説明】
【0018】
1 電動シェーカー(攪拌機能が付いた容器)
2 容器部
3 蓋
4 飲料
5 電動部
6 回転羽根
7 パイプ(水素ガス導入手段)
8 パイプ(空気放出手段)
9,10 キャップ(開閉手段)
11 空気
12 水素ガス
13 ガス境界面
14 水素発生手段
15 水素ガス導入チューブ
図1