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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018300
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】半導体装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/00 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
G01R31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121540
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】片山 貴夫
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー バートン
(72)【発明者】
【氏名】倍賞 文仁
(72)【発明者】
【氏名】野中 勉
【テーマコード(参考)】
2G036
【Fターム(参考)】
2G036BA18
2G036BA41
2G036BB09
2G036CA06
2G036CA10
(57)【要約】
【課題】音源を再生する回路の故障検出を精度良く行うために必要な信号を生成可能な半導体装置を提供すること。
【解決手段】音源信号である第1のパルス符号変調信号に基づく信号をパルス幅変調して第1のパルス幅変調信号を出力するパルス幅変調回路と、前記第1のパルス幅変調信号に基づく第2のパルス幅変調信号を第2のパルス符号変調信号に変換する第1の変換回路と、前記第1のパルス符号変調信号を逆変換可能な変換方法により第1の比較対象信号に変換し、前記第2のパルス符号変調信号を前記変換方法により第2の比較対象信号に変換し、前記第1の比較対象信号と前記第2の比較対象信号とを比較する比較回路と、を備える、半導体装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音源信号である第1のパルス符号変調信号に基づく信号をパルス幅変調して第1のパルス幅変調信号を出力するパルス幅変調回路と、
前記第1のパルス幅変調信号に基づく第2のパルス幅変調信号を第2のパルス符号変調信号に変換する第1の変換回路と、
前記第1のパルス符号変調信号を逆変換可能な変換方法により第1の比較対象信号に変換し、前記第2のパルス符号変調信号を前記変換方法により第2の比較対象信号に変換し、前記第1の比較対象信号と前記第2の比較対象信号とを比較する比較回路と、
を備える、半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記比較回路の比較結果に基づいて、前記パルス幅変調回路を含む音源再生回路の故障を検出する故障検出回路を備える、半導体装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1のパルス幅変調信号を増幅した増幅信号を第1の音再生装置に出力する増幅回路を備え、
前記故障検出回路は、前記音源再生回路の故障を検出した場合に、前記第1のパルス符号変調信号に基づく信号を前記第1の音再生装置とは異なる第2の音再生装置に出力させる、半導体装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記変換方法は、ウェーブレットパケット分解である、半導体装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記第1の変換回路は、所定周期で前記第2のパルス幅変調信号を積分して前記第2のパルス符号変調信号を生成する、半導体装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記第1のパルス幅変調信号を増幅した増幅信号を出力する増幅回路と、
前記増幅信号を前記第2のパルス幅変調信号に変換する第2の変換回路と、
を備える、半導体装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記第2のパルス幅変調信号は、前記第1のパルス幅変調信号である、半導体装置。
【請求項8】
請求項1に記載の半導体装置と、
音再生装置と、
を備え、
前記半導体装置は、前記第1のパルス幅変調信号を増幅した増幅信号を前記音再生装置に出力する増幅回路を備える、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、音源を再生して再生信号を出力する音源再生部と、再生信号を増幅してスピーカーに出力する増幅部と、増幅部の故障を検出する故障検出部と、を含み、故障検出部は、再生信号を2値又は3値に変換した変換再生信号と出力信号を2値又は3値に変換した変換出力信号とを比較し、比較結果に基づいて増幅部の故障を判定する、音出力装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-41953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の音出力装置では、変換再生信号及び変換出力信号が2値又は3値であり、再生信号及び出力信号の一部の情報が欠落しているため、故障判定の精度が低下するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る半導体装置の一態様は、
音源信号である第1のパルス符号変調信号に基づく信号をパルス幅変調して第1のパルス幅変調信号を出力するパルス幅変調回路と、
前記第1のパルス幅変調信号に基づく第2のパルス幅変調信号を第2のパルス符号変調信号に変換する第1の変換回路と、
前記第1のパルス符号変調信号を逆変換可能な変換方法により第1の比較対象信号に変換し、前記第2のパルス符号変調信号を前記変換方法により第2の比較対象信号に変換し、前記第1の比較対象信号と前記第2の比較対象信号とを比較する比較回路と、
を備える。
【0006】
本発明に係る電子機器の一態様は、
前記半導体装置の一態様と、
音再生装置と、
を備え、
前記半導体装置は、前記第1のパルス幅変調信号を増幅した増幅信号を前記音再生装置に出力する増幅回路を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の半導体装置の構成例を示す図。
図2】パルス幅変調信号DOPを生成するためのパルス幅変調の一例を示す図。
図3】パルス幅変調信号DONを生成するためのパルス幅変調の一例を示す図。
図4】パルス幅変調信号DOPとパルス幅変調信号DONとの差分の一例を示す図。
図5】2値化回路の動作について説明するための図。
図6】PCM変換回路の動作について説明するための図。
図7】ウェーブレットパケット分解によって音源信号を比較対象信号に変換する一例を示す図。
図8】第2実施形態の半導体装置の構成例を示す図。
図9】第3実施形態の半導体装置の構成例を示す図。
図10】変形例の半導体装置の構成例を示す図。
図11】パルス幅変調信号DONを生成するためのパルス幅変調の他の一例を示す図。
図12】パルス幅変調信号DOPとパルス幅変調信号DONとの差分の他の一例を示す図。
図13】本実施形態の電子機器の機能ブロック図。
図14】電子機器の一例である警告装置の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
1.半導体装置
1-1.第1実施形態
図1は、第1実施形態の半導体装置の構成例を示す図である。図1に示すように、第1実施形態の半導体装置1は、通信インターフェース回路10、メモリー20、音源再生回路100及び検査回路110を備える。半導体装置1は、1チップの半導体集積回路装置であってもよいし、複数チップの半導体集積回路装置で構成されてもよいし、少なくとも一部が半導体集積回路装置以外の電子部品で構成されてもよい。
【0010】
メモリー20には、n個の音源データ21-1~21-nが記憶されている。nは1以上の整数である。メモリー20は、例えば、フラッシュメモリーであってもよい。音源データ21-1~21-nは、それぞれ、例えば、パルス符号変調された音声データであってもよいし、適応的差分パルス符号変調された音声データであってもよい。音源データ21-1~21-nは、例えば、人が発話する際の声を模した音声、機械的な警告音や効果音等の各種の音の基となるデータであってもよい。
【0011】
通信インターフェース回路10は、マイクロコントロールユニット2とデータ通信を行う回路である。通信インターフェース回路10は、例えば、SPIインターフェース回路であってもよいし、I2Cインターフェース回路であってもよい。SPIはSerial Peripheral Interfaceの略であり、I2CはInter-Integrated Circuitの略である。
【0012】
通信インターフェース回路10は、マイクロコントロールユニット2から送信された各種のコマンドを受信し、受信したコマンドに応じた各種の制御信号を生成する。例えば、通信インターフェース回路10は、メモリー20に記憶されている音源データ21-1~21-nのうちのいずれか1つである音源データ21-iに対する音源再生コマンドを受信した場合、メモリー20から音源データ21-iを読み出して音源信号DIとして音源再生回路100に入力するとともに、音源再生回路100に再生を指示する。また、例えば、通信インターフェース回路10は、再生中の音源データ21-iに対する音源停止コマンドを受信した場合、音源再生回路100に再生の停止を指示する。また、例えば、通信インターフェース回路10は、音源再生に関する各種の設定コマンドを受信した場合、音源再生回路100に対して各種の設定を行う。
【0013】
本実施形態では、音源再生回路100に入力される音源信号DIはパルス符号変調信号である。音源データ21-1~21-nが圧縮された音声データである場合や適応的差分パルス符号変調された音声データである場合は、再生対象の音源データ21-iは不図示
のデコーダーによってパルス符号変調信号である音源信号DIに変換される。
【0014】
音源再生回路100は、音源信号DIを音信号である増幅信号DOXP,DOXNに変換し、半導体装置1と接続される音再生装置3に出力する。これにより、音再生装置3から、増幅信号DOXP,DOXNに応じた音が出力される。例えば、音再生装置3は、スピーカーであってもよいし、ブザーであってもよい。なお、音再生装置3から出力される音声は、例えば、人が発話する際の声を模した音声であってもよいし、機械的な警告音や効果音等の各種の音であってもよい。
【0015】
図1に示すように、本実施形態では、音源再生回路100は、変調回路30、変調回路40及び増幅回路50を含む。
【0016】
変調回路30は、音源信号DIが入力され、音源信号DIに基づく信号をシグマデルタ変調してシグマデルタ変調信号DSを出力する。音源信号DIに基づく信号は、音源信号DIそのものであってもよいし、音源信号DIに何らかの処理が施された信号であってもよい。本実施形態では、変調回路30は、デジタルフィルター31及びシグマデルタ変調回路32を含む。
【0017】
デジタルフィルター31は、音源信号DIが入力され、音源信号DIに含まれる高周波ノイズを低減させた信号DFを出力するローパスフィルターである。シグマデルタ変調回路32は、デジタルフィルター31から信号DFが入力され、信号DFをn倍のサンプリング比でオーバーサンプリングしてシグマデルタ変調することにより、高周波数帯にノイズが偏ったシグマデルタ変調信号DSを出力する。nは2以上の整数である。したがって、音源信号DIのサンプリング周波数をfsとすると、デジタルフィルター31から出力される信号DFのサンプリング周波数はfsであり、シグマデルタ変調信号DSのサンプリング周波数はn×fsである。デジタルフィルター31は、シグマデルタ変調回路32のオーバーサンプリングによって信号帯域に折り返される高周波ノイズを低減させるアンチエイリアスフィルターとして機能する。
【0018】
このように、変調回路30は、音源信号DIをデジタルフィルター処理した信号をシグマデルタ変調してシグマデルタ変調信号DSを出力する。
【0019】
変調回路40は、シグマデルタ変調信号DSが入力され、シグマデルタ変調信号DSに基づく信号をパルス幅変調してパルス幅変調信号DOP,DONを出力する。シグマデルタ変調信号DSに基づく信号は、シグマデルタ変調信号DSそのものであってもよいし、シグマデルタ変調信号DSに何らかの処理が施された信号であってもよい。本実施形態では、変調回路40は、パルス幅変調回路41を含む。
【0020】
パルス幅変調回路41は、音源信号DIに基づく信号であるシグマデルタ変調信号DSをパルス幅変調してパルス幅変調信号DOP,DONを出力する。パルス幅変調信号DOP.DONは、それぞれ1ビットのデジタル信号である。シグマデルタ変調信号DSのサンプリング周波数をn×fsとすると、パルス幅変調信号DOP,DONのサンプリング周波数はn×m×fsである。ここで、シグマデルタ変調信号DSのビット数をMとするとm=2である。
【0021】
パルス幅変調信号DOPを生成するためのパルス幅変調とパルス幅変調信号DONを生成するためのパルス幅変調とは、方式が異なる。図2は、パルス幅変調信号DOPを生成するためのパルス幅変調の一例を示す図である。また、図3は、パルス幅変調信号DONを生成するためのパルス幅変調の一例を示す図である。図2及び図3は、シグマデルタ変調信号DSのビット数Mが4の場合の例である。図2及び図3において、シグマデルタ変
調信号DSは期間Tを周期として更新され、パルス幅変調信号DOP,DONは、期間Tが分割された16個の区間T1~T16の各々においてハイレベル又はローレベルとなる。すなわち、期間Tの長さは1/(n×fs)であり、区間T1~T16の各々の長さは1/(n×m×fs)である。
【0022】
図2に示すように、パルス幅変調信号DOPは、シグマデルタ変調信号DSの値が大きいほどハイレベルの時間が長くなる。例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「-7」、すなわち2進数の「1001」であるときは、パルス幅変調信号DOPは、1つの区間T1がハイレベルであり、15個の区間T2~T16がローレベルである。また、例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「0」、すなわち2進数の「0000」であるときは、パルス幅変調信号DOPは、8個の区間T1~T8がハイレベルであり、8個の区間T9~T16がローレベルである。また、例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「7」、すなわち2進数の「0111」であるときは、パルス幅変調信号DOPは、15個の区間T1~T15がハイレベルであり、1つの区間T16がローレベルである。
【0023】
図3に示すように、パルス幅変調信号DONは、シグマデルタ変調信号DSの値が大きいほどハイレベルの時間が短くなる。例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「-7」、すなわち2進数の「1001」であるときは、パルス幅変調信号DONは、15個の区間T1~T15がハイレベルであり、1つの区間T16がローレベルである。また、例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「0」、すなわち2進数の「0000」であるときは、パルス幅変調信号DONは、8個の区間T1~T8がハイレベルであり、8個の区間T9~T16がローレベルである。また、例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「7」、すなわち2進数の「0111」であるときは、パルス幅変調信号DONは、1つの区間T1がハイレベルであり、15個の区間T2~T16がローレベルである。
【0024】
したがって、例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「-7」、「0」、「7」であるときのパルス幅変調信号DOPとパルス幅変調信号DONとの差分は図4に示すようになる。
【0025】
図1の説明に戻り、増幅回路50は、パルス幅変調信号DOP,DONが入力され、パルス幅変調信号DOP,DONを増幅した増幅信号DOXP,DOXNを音再生装置3に出力する。本実施形態では、増幅回路50は、2つのD級アンプ51P,51Nを含む。D級アンプ51Pは、パルス幅変調信号DOPをD級増幅した増幅信号DOXPを出力する。D級アンプ51Nは、パルス幅変調信号DONをD級増幅した増幅信号DOXNを出力する。音再生装置3は、増幅信号DOXPと増幅信号DOXNとの電圧差に応じた大きさの音を再生する。
【0026】
検査回路110は、音源再生回路100を検査する回路である。図1に示すように、本実施形態では、検査回路110は、変換回路60、変換回路70及び比較回路80を含む。
【0027】
変換回路60は、増幅回路50から増幅信号DOXP,DOXNが入力され、増幅信号DOXP,DOXNをパルス幅変調信号DBP,DBNに変換する。本実施形態では、変換回路60は、2つの2値化回路61P,61Nを含む。2値化回路61Pは、増幅信号DOXPを2値化することによってパルス幅変調信号DBPを生成する。2値化回路61Nは、増幅信号DOXNを2値化することによってパルス幅変調信号DBNを生成する。
【0028】
図5に示すように、増幅信号DOXP,DOXNは、立ち上がりエッジにオーバーシュ
ートが発生し、立ち下がりエッジにアンダーシュートが発生する。2値化回路61Pは、例えば、増幅信号DOXPの電圧を閾値電圧Vtと比較する比較器であり、増幅信号DOXPの電圧が閾値電圧Vtよりも高いときはハイレベルとなり、増幅信号DOXPの電圧が閾値電圧Vtよりも低いときはローレベルとなるパルス幅変調信号DBPを出力する。同様に、2値化回路61Nは、例えば、増幅信号DOXNの電圧を閾値電圧Vtと比較する比較器であり、増幅信号DOXNの電圧が閾値電圧Vtよりも高いときはハイレベルとなり、増幅信号DOXNの電圧が閾値電圧Vtよりも低いときはローレベルとなるパルス幅変調信号DBNを出力する。2値化回路61P,61Nにより、増幅信号DOXP,DOXNのオーバーシュートやアンダーシュートが除去されるとともにハイレベルがロジック回路の電源電圧にシフトされたパルス幅変調信号DBP,DBNが得られる。
【0029】
図1の説明に戻り、変換回路70は、パルス幅変調信号DOP,DONに基づくパルス幅変調信号DBP,DBNが入力され、パルス幅変調信号DBP,DBNをパルス符号変調信号DXに変換する。本実施形態では、変換回路70は、PCM変換回路71を含む。PCMはPulse Code Modulationの略である。
【0030】
PCM変換回路71は、周波数がfsの不図示のクロック信号CLK1と周波数がn×m×fsの不図示のクロック信号CLK2とに基づいて、パルス幅変調信号DBP,DBNをパルス符号変調信号DXに変換する。具体的には、図6に示すように、PCM変換回路71は、クロック信号CLK1の1周期Taにおいて、パルス幅変調信号DBP,DBNの各々のハイレベルをクロック信号CLK2でカウントする。すなわち、PCM変換回路71は、周期Taでパルス幅変調信号DBP,DBNの各々を積算する。そして、PCM変換回路71は、パルス幅変調信号DBP,DBNの各々の積算値に基づいてパルス符号変調信号DXを生成する。パルス幅変調信号DBP,DBNからパルス符号変調信号DXへの変換は、信号DFからパルス幅変調信号DOP,DONへの変換の逆変換に相当する。
【0031】
このように、変換回路70は、所定周期でパルス幅変調信号DBP,DBNを積分してパルス符号変調信号DXを生成する。
【0032】
比較回路80は、パルス符号変調信号である音源信号DIとパルス符号変調信号DXとが入力され、音源信号DIを逆変換可能な変換方法により比較対象信号DI_Rに変換し、パルス符号変調信号DXを当該変換方法により比較対象信号DX_Rに変換し、比較対象信号DI_Rと比較対象信号DX_Rとを比較する。実際には、音源信号DIが変調回路30に入力されてから、この音源信号DIに対応するパルス符号変調信号DXが生成されるまでに所定時間が必要であるので、比較回路80は、音源信号DIを当該所定時間だけ遅延させて比較対象信号DI_Rに変換する。
【0033】
本実施形態では、比較回路80が音源信号DI及びパルス符号変調信号DXをそれぞれ比較対象信号DI_R及び比較対象信号DX_Rに変換する逆変換可能な変換方法は、ウェーブレットパケット分解である。図7に、ウェーブレットパケット分解によって音源信号DIを比較対象信号DI_Rに変換する一例を示す。図7の例では、音源信号DIの連続する8個のサンプルDI(0)~DI(7)が、比較対象信号DI_Rの8個のサンプルDI_R(0)~DI_R(7)に変換されている。DI(0)~DI(7)の値はそれぞれa0~a7である。
【0034】
図7において、s0=a0+a1,s1=a2+a3,s2=a4+a5,s3=a6+a7,d0=a0-a1,s1=a2-a3,s2=a4-a5,s3=a6-a7である。また、ss0=s0+s1,ss1=s2+s3,ds0=s0-s1,ds1=s2-s3,sd0=d0+d1,sd1=d2+d3,dd0=d0-d1,dd1=
d2-d3である。また、sss0=ss0+ss1,ssd0=ss0-ss1,dss0=ds0+ds1,dsd0=ds0-ds1,sds0=sd0+sd1,sdd0=sd0-sd1,dds0=dd0+dd1,ddd0=dd0-dd1である。そして、DI_R(0)~DI_R(7)の値はそれぞれsss0,ssd0,dss0,dsd0,sds0,sdd0,dds0,ddd0である。
【0035】
ここで、a0=(s0+d0)/2であり、a1=(s0-d0)/2であり、s0=(ss0+ds0)/2,d0=(sd0+dd0)/2である。さらに、ss0=(sss0+ssd0)/2,ds0=(dss0+dsd0)/2,sd0=(sds0+sdd0)/2,dd0=(dds0+ddd0)/2である。したがって、DI_R(0)~DI_R(7)からDI(0),DI(1)を復元することができる。同様に、DI(2)~DI(7)もDI_R(0)~DI_R(7)から復元可能である。すなわち、ウェーブレットパケット分解は逆変換可能な変換方法である。
【0036】
なお、ウェーブレットパケット分解によってパルス符号変調信号DXを比較対象信号DX_Rに変換する例も図7と同様であるため、その図示及び説明を省略する。
【0037】
図1の説明に戻り、比較回路80は、比較対象信号DI_Rと比較対象信号DX_Rとの相関値RREMを算出することにより、比較対象信号DI_Rと比較対象信号DX_Rとを比較してもよい。例えば、相関値RREMは、式(1)によって算出され、比較対象信号DI_Rと比較対象信号DX_Rとの差が小さいほど大きな値となる。
【0038】
【数1】
【0039】
通信インターフェース回路10は、マイクロコントロールユニット2から相関値RREMを読み出すコマンドを受信すると、比較回路80から相関値RREMを取得してマイクロコントロールユニット2に送信する。例えば、マイクロコントロールユニット2は、相関値RREMに基づいて、音源再生回路100の故障の有無を判定することができる。
【0040】
ここで、音源再生回路100が故障している場合は音源信号DIとパルス符号変調信号DXとの差はゼロではないが、音源再生回路100が正常である場合でも、ノイズ等の影響により音源信号DIとパルス符号変調信号DXとの差がゼロではない場合もあり得る。本実施形態では、検査回路110が、誤差を分散させる特徴を有するウェーブレットパケット分解を利用して相関値RREMを算出するので、マイクロコントロールユニット2は、相関値RREMに基づき、音源再生回路100が正常であって、かつ、音源信号DIとパルス符号変調信号DXとの差がゼロではない場合でも、正しく判定することができる。したがって、音源再生回路100が正常である場合に、マイクロコントロールユニット2が、音源再生回路100が故障していると誤判定するおそれが低減される。
【0041】
なお、第1実施形態において、音源信号DIは「第1のパルス符号変調信号」の一例であり、パルス符号変調信号DXは「第2のパルス符号変調信号」の一例である。また、パルス幅変調信号DOP,DONは「第1のパルス幅変調信号」の一例であり、パルス幅変調信号DBP,DBNは「第2のパルス幅変調信号」の一例である。また、変換回路70は「第1の変換回路」の一例であり、変換回路60は「第2の変換回路」の一例である。また、比較対象信号DI_Rは「第1の比較対象信号」の一例であり、比較対象信号DX_Rは「第2の比較対象信号」の一例である。
【0042】
第1実施形態の半導体装置1は、1つの音再生装置3に音を出力させることが可能な構成であるが、複数の音出力装置に音を出力させることが可能な構成であってもよい。
【0043】
以上に説明したように、第1実施形態の半導体装置1では、パルス幅変調回路41が、パルス符号変調信号である音源信号DIに基づくシグマデルタ変調信号DSをパルス幅変調してパルス幅変調信号DOP,DONを出力し、変換回路60が、パルス幅変調信号DOP,DONが増幅された増幅信号DOXP,DOXNを2値化してパルス幅変調信号DBP,DBNを出力する。さらに、変換回路70が、パルス幅変調信号DBP,DBNをパルス符号変調信号DXに変換し、比較回路80が、音源信号DIをウェーブレットパケット分解により比較対象信号DI_Rに変換し、パルス符号変調信号DXをウェーブレットパケット分解により比較対象信号DX_Rに変換し、比較対象信号DI_Rと比較対象信号DX_Rとを比較して相関値RREMを算出する。
【0044】
ここで、変換回路60は、パルス幅変調された増幅信号DOXP,DOXNに生じるオーバーシュートやアンダーシュートを除去するものであり、増幅信号DOXP,DOXNからパルス幅変調信号DBP,DBNへの変換において有益な情報の欠落は生じない。また、変換回路70は、所定周期でパルス幅変調信号DBP,DBNを積分することにより、情報を欠落させることなくパルス符号変調信号DXに変換することができる。さらに、ウェーブレットパケット分解は逆変換可能な変換方法であるので、比較対象信号DI_R及びパルス符号変調信号DXからそれぞれ音源信号DI及びパルス符号変調信号DXを復元可能である。換言すれば、比較回路80が音源信号DI及びパルス符号変調信号DXをそれぞれ比較対象信号DI_R及び比較対象信号DX_Rに変換する際にも情報の欠落がない。
【0045】
したがって、第1実施形態の半導体装置1によれば、比較回路80は、情報の欠落がない比較対象信号DI_Rと比較対象信号DX_Rとを比較することにより、音源信号DIとパルス符号変調信号DXとの相関を示す相関値RREMを精度良く算出することができる。そのため、マイクロコントロールユニット2は、比較回路80から出力される相関値RREMに基づいて、音源再生回路100の故障検出を精度良く行うことができる。
【0046】
また、第1実施形態の半導体装置1によれば、比較回路80は、誤差を分散させる特徴を有するウェーブレットパケット分解を利用して相関値RREMを算出するので、マイクロコントロールユニット2は、相関値RREMに基づき、音源再生回路100が正常である場合に故障していると誤判定するおそれが低減される。
【0047】
また、第1実施形態の半導体装置1によれば、検査回路110においてA/D変換器やデジタルフィルター等のサイズの大きい回路が不要であるので、検査回路110の追加による回路面積の増加量が低減される。
【0048】
1-2.第2実施形態
以下、第2実施形態の半導体装置1について、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、第1実施形態と同様の説明は省略又は簡略し、主として第1実施形態と異なる内容について説明する。
【0049】
図8は、第2実施形態の半導体装置1の構成例を示す図である。図8に示すように、第2実施形態の半導体装置1は、図1に示した第1実施形態の半導体装置1と比較して、検査回路110が変換回路60を含まず、変換回路70にパルス幅変調信号DOP,DONが入力されている点が異なる。すなわち、第2実施形態では、変換回路70は、パルス幅変調信号DOP,DONが入力され、パルス幅変調信号DOP,DONをパルス符号変調信号DXに変換する。
【0050】
本実施形態では、変換回路70に含まれるPCM変換回路71が、周波数がfsの不図示のクロック信号CLK1と周波数がn×m×fsの不図示のクロック信号CLK2とに基づいて、パルス幅変調信号DOP,DONをパルス符号変調信号DXに変換する。具体的には、図6に示したのと同様に、PCM変換回路71は、クロック信号CLK1の1周期Taにおいて、パルス幅変調信号DOP,DONの各々のハイレベルをクロック信号CLK2でカウントする。すなわち、PCM変換回路71は、周期Taでパルス幅変調信号DOP,DONの各々を積算する。そして、PCM変換回路71は、パルス幅変調信号DOP,DONの各々の積算値に基づいてパルス符号変調信号DXを生成する。パルス幅変調信号DOP,DONからパルス符号変調信号DXへの変換は、信号DFからパルス幅変調信号DOP,DONへの変換の逆変換に相当する。
【0051】
このように、変換回路70は、所定周期でパルス幅変調信号DOP,DONを積分してパルス符号変調信号DXを生成する。
【0052】
第2実施形態の半導体装置1のその他の構成は、図1と同様であるため、その説明を省略する。
【0053】
なお、第2実施形態において、音源信号DIは「第1のパルス符号変調信号」の一例であり、パルス符号変調信号DXは「第2のパルス符号変調信号」の一例である。また、パルス幅変調信号DOP,DONは、「第1のパルス幅変調信号」の一例であり、かつ、「第2のパルス幅変調信号」の一例である。また、変換回路70は「第1の変換回路」の一例である。また、比較対象信号DI_Rは「第1の比較対象信号」の一例であり、比較対象信号DX_Rは「第2の比較対象信号」の一例である。
【0054】
第2実施形態の半導体装置1は、1つの音再生装置3に音を出力させることが可能な構成であるが、複数の音出力装置に音を出力させることが可能な構成であってもよい。
【0055】
以上に説明した第2実施形態の半導体装置1によれば、第1実施形態の半導体装置1と同様の効果を奏する。さらに、第2実施形態の半導体装置1によれば、増幅回路50の故障の有無は相関値RREMに反映されないため、マイクロコントロールユニット2による故障検出精度が低下するが、検査回路110において変換回路60が不要であるので、検査回路110の追加による回路面積の増加量がさらに低減される。
【0056】
1-3.第3実施形態
以下、第3実施形態の半導体装置1について、第1実施形態又は第2実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、第1実施形態又は第2実施形態と同様の説明は省略又は簡略し、主として第1実施形態及び第2実施形態と異なる内容について説明する。
【0057】
図9は、第3実施形態の半導体装置1の構成例を示す図である。図9に示すように、第3実施形態の半導体装置1は、図1に示した第1実施形態の半導体装置1と比較して、故障検出回路90、スイッチ92及び音源再生回路100aを備える点が異なる。
【0058】
スイッチ92は、故障検出回路90から出力される制御信号に応じて、音源信号DIを音源再生回路100と音源再生回路100aのいずれか一方に出力する。
【0059】
故障検出回路90は、比較回路80の比較結果に基づいて音源再生回路100の故障を検出する。具体的には、故障検出回路90は、比較回路80の比較結果である相関値RREMを所定の閾値と比較し、相関値RREMが所定の閾値よりも小さい場合に音源再生回路100の故障を検出する。例えば、通信インターフェース回路10が、マイクロコント
ロールユニット2から送信された当該閾値を設定するコマンドを受信し、当該閾値を設定してもよい。
【0060】
そして、故障検出回路90は、音源再生回路100の故障を検出した場合に、音源信号DIに基づく信号を音再生装置3とは異なる音再生装置3aに出力させる。音源信号DIに基づく信号は、音源信号DIそのものであってもよいし、音源信号DIに何らかの処理が施された信号であってもよい。具体的には、故障検出回路90は、音源再生回路100の故障を検出した場合、音源信号DIが音源再生回路100aに入力されるようにスイッチ92を切り替える。そして、音源再生回路100aは、音源信号DIを音信号に変換し、半導体装置1と接続される音再生装置3aに出力する。これにより、音再生装置3からの音の出力が停止するとともに、音再生装置3aから音信号に応じた音が出力される。例えば、音源再生回路100aは、音源再生回路100と同様の構成であってもよいし、より簡易な構成であってもよい。また、例えば、音再生装置3aは、スピーカーであってもよいし、ブザーであってもよい。なお、音再生装置3aから出力される音声は、例えば、人が発話する際の声を模した音声であってもよいし、機械的な警告音や効果音等の各種の音であってもよい。
【0061】
第3実施形態の半導体装置1のその他の構成は、図1と同様であるため、その説明を省略する。
【0062】
なお、第3実施形態において、音源信号DIは「第1のパルス符号変調信号」の一例であり、パルス符号変調信号DXは「第2のパルス符号変調信号」の一例である。また、パルス幅変調信号DOP,DONは「第1のパルス幅変調信号」の一例であり、パルス幅変調信号DBP,DBNは「第2のパルス幅変調信号」の一例である。また、変換回路70は「第1の変換回路」の一例であり、変換回路60は「第2の変換回路」の一例である。また、比較対象信号DI_Rは「第1の比較対象信号」の一例であり、比較対象信号DX_Rは「第2の比較対象信号」の一例である。また、音再生装置3は「第1の音再生装置」の一例であり、音再生装置3aは「第2の音再生装置」の一例である。
【0063】
第3実施形態の半導体装置1は、2つの音再生装置3,3aに音を出力させることが可能な構成であるが、3つ以上の音出力装置に音を出力させることが可能な構成であってもよい。
【0064】
以上に説明した第3実施形態の半導体装置1によれば、第1実施形態又は第2実施形態の半導体装置1と同様の効果を奏する。さらに、第3実施形態の半導体装置1は、故障検出回路90が、比較回路80から出力される精度の高い相関値RREMに基づいて、音源再生回路100の故障検出を精度良く行い、音源再生回路100が故障した場合、音再生装置3が異常な音を発生させることなく、音再生装置3aが正常な音を発生させることができる。
【0065】
1-4.変形例
本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0066】
例えば、上記の各実施形態では、比較回路80が音源信号DI及びパルス符号変調信号DXをそれぞれ比較対象信号DI_R及び比較対象信号DX_Rに変換する逆変換可能な変換方法は、ウェーブレットパケット分解であるが、ウェーブレット変換であってもよい。
【0067】
また、例えば、上記の各実施形態では、音源データ21-1~21-nが記憶されてい
るメモリー20が半導体装置1に内蔵されているが、メモリー20に代えて、音源データ21-1~21-nが記憶されている外部メモリーが半導体装置1と接続され、半導体装置1が当該外部メモリーから音源信号DIである音源データ21-iを読み出してもよい。あるいは、メモリー20に代えて、マイクロコントロールユニット2が音源データ21-1~21-nが記憶されているメモリーを内蔵し、マイクロコントロールユニット2が当該メモリーから音源データ21-iを読み出して音源信号DIとして半導体装置1に送信してもよい。
【0068】
また、例えば、上記の第3実施形態の半導体装置1は、第1実施形態の半導体装置1に対して故障検出回路90、スイッチ92及び音源再生回路100aが追加されているが、図10に示すように、これらの回路が第2実施形態の半導体装置1に対して追加された構成であってもよい。
【0069】
また、例えば、上記の各実施形態では、パルス幅変調回路41による変調方式として図2図4の例を挙げたが、他の変調方式であってもよい。例えば、パルス幅変調信号DOPを生成するためのパルス幅変調は図2と同じ方式であり、パルス幅変調信号DONを生成するためのパルス幅変調は図11に示す方式であってもよい。図11の例では、パルス幅変調信号DONは、図2に示したパルス幅変調信号DOPの論理レベルを反転した信号であり、シグマデルタ変調信号DSの値が大きいほどハイレベルの時間が短くなる。例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「-7」、すなわち2進数の「1001」であるときは、パルス幅変調信号DONは、1つの区間T11がローレベルであり、15個の区間T2~T16がハイレベルである。また、例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「0」、すなわち2進数の「0000」であるときは、パルス幅変調信号DONは、8個の区間T1~T8がローレベルであり、8個の区間T9~T16がハイレベルである。また、例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「7」、すなわち2進数の「0111」であるときは、パルス幅変調信号DONは、15個の区間T1~T15がローレベルであり、1つの区間T16がハイレベルである。したがって、例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「-7」、「0」、「7」であるときのパルス幅変調信号DOPとパルス幅変調信号DONとの差分は図12に示すようになる。
【0070】
2.電子機器
図13は、本実施形態の半導体装置1を用いた本実施形態の電子機器の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0071】
図13に示すように、本実施形態の電子機器300は、半導体装置1、m個の音再生装置3-1~3-m、処理部310、操作部320、記憶部330及び表示部340を備えている。なお、本実施形態の電子機器300は、図13の構成要素の一部を省略又は変更し、あるいは、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
【0072】
処理部310は、電子機器300の各部の制御処理や種々のデータ処理を行う。例えば、処理部310は、半導体装置1に各種のコマンドを送信し、半導体装置1の動作を制御する。また、処理部310は、操作部320からの操作信号に応じた各種の処理、表示部340に各種の情報を表示させるための表示信号を送信する処理等を行う。例えば、処理部310は、前述のマイクロコントロールユニット2であってもよい。
【0073】
操作部320は、操作キーやボタンスイッチ等により構成される入力装置であり、ユーザーによる操作に応じた操作信号を処理部310に出力する。
【0074】
記憶部330は、処理部310が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。記憶部330は、例えば、ハードディスク、フレキシブルディ
スク、MO、MT、各種のメモリー、CD-ROM、又は、DVD-ROM等によって実現される。
【0075】
表示部340は、LCD等により構成される表示装置であり、入力される表示信号に基づいて各種の情報を表示する。LCDは、Liquid Crystal Displayの略である。表示部340には操作部320として機能するタッチパネルが設けられていてもよい。
【0076】
半導体装置1は、処理部310から送信される各種のコマンドに基づいて音信号を生成して音再生装置3-1に出力する。音再生装置3-1は、前述の音再生装置3に対応する。また、半導体装置1は、前述の音源再生回路100を検査して検査結果を処理部310に送信し、処理部310が音源再生回路100の故障の有無を判定してもよい。あるいは、半導体装置1は、音源再生回路100の故障を検出した場合、音信号の出力先を音再生装置3-1から音再生装置3-2に切り替えてもよい。音再生装置3-2は、前述の音再生装置3aに対応する。
【0077】
半導体装置1は、音源再生回路100の故障検出を精度良く行うために必要な信号を生成することができるので、信頼性の高い電子機器300を実現することができる。
【0078】
このような電子機器300としては種々の電子機器が考えられ、例えば、警告装置、炊飯器、IHクッキングヒーター、掃除機、洗濯機等の各種の家庭用電気製品、電子時計、モバイル型、ラップトップ型、タブレット型などのパーソナルコンピューター、スマートフォンや携帯電話機などの移動体端末、ディジタルカメラ、インクジェットプリンターなどのインクジェット式吐出装置、ルーターやスイッチなどのストレージエリアネットワーク機器、ローカルエリアネットワーク機器、移動体端末基地局用機器、テレビ、ビデオカメラ、ビデオレコーダー、カーナビゲーション装置、リアルタイムクロック装置、ページャー、電子手帳、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ゲーム用コントローラー、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡等の医療機器、魚群探知機、各種測定機器、車両、航空機、船舶等の計器類、フライトシミュレーター、ヘッドマウントディスプレイ、モーショントレース、モーショントラッキング、モーションコントローラー、歩行者自立航法装置等が挙げられる。
【0079】
図14は、電子機器300の一例である警告装置300Aの構成例を示す図である。図14において、図13と同じ構成要素には同じ符号が付されている。図14に示す警告装置300Aは、車両400に搭載されている。音再生装置3-1はスピーカーであり、音再生装置3-2~3-5はそれぞれブザーである。
【0080】
処理部310は、不図示の各種センサーからの信号に基づいて、各種の音声の再生コマンド等を半導体装置1に送信する。各種の音声には、例えば、ブレーキ、エンジンオイル、パワーステアリング、ブレーキオーバーライドシステム等の異常、半ドアでの走行、ふらつき走行、パーキングブレーキの未解除での走行、シートベルトの未着用、先行車への接近等を通知するための人の声を模した音声や警告音、ウィンカー、ハザード、バック等を通知するための効果音等が含まれる。
【0081】
半導体装置1は、処理部310からのコマンドに基づいて、各種の音声に対応する複数の音源データの一部に基づいて音信号を生成して音再生装置3-1に出力する。また、半導体装置1は、前述の音源再生回路100を検査して検査結果を処理部310に送信し、処理部310が音源再生回路100の故障の有無を判定してもよい。あるいは、半導体装置1は、音源再生回路100の故障を検出した場合、音信号の出力先を音再生装置3-1から音再生装置3-2に切り替えてもよい。
【0082】
半導体装置1は、音源再生回路100の故障検出を精度良く行うために必要な信号を生成することができるので、信頼性の高い警告装置300Aを実現することができる。
【0083】
本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0084】
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0085】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0086】
上述した実施形態及び変形例から以下の内容が導き出される。
【0087】
半導体装置の一態様は、
音源信号である第1のパルス符号変調信号に基づく信号をパルス幅変調して第1のパルス幅変調信号を出力するパルス幅変調回路と、
前記第1のパルス幅変調信号に基づく第2のパルス幅変調信号を第2のパルス符号変調信号に変換する第1の変換回路と、
前記第1のパルス符号変調信号を逆変換可能な変換方法により第1の比較対象信号に変換し、前記第2のパルス符号変調信号を前記変換方法により第2の比較対象信号に変換し、前記第1の比較対象信号と前記第2の比較対象信号とを比較する比較回路と、
を備える。
【0088】
この半導体装置では、比較回路は、音源信号である第1のパルス符号変調信号を逆変換可能な変換方法により第1の比較対象信号に変換するので、第1の比較対象信号から音源信号を復元可能である。また、比較回路は、音源信号をパルス幅変調した第1のパルス幅変調信号に基づく第2のパルス符号変調信号を当該逆変換可能な変換方法により第2の比較対象信号に変換するので、第2の比較対象信号から第2のパルス符号変調信号を復元可能である。すなわち、音源信号及び第2のパルス符号変調信号をそれぞれ第1の比較対象信号及び第2の比較対象信号に変換する際に情報の欠落がない。そのため、比較回路は、第1の比較対象信号と第2の比較対象信号とを比較することにより、音源信号と第2のパルス符号変調信号との相関を示す信号を精度良く生成することができる。したがって、例えば、外部装置が、比較回路から出力される信号に基づいて、パルス幅変調回路を含む音源再生回路の故障検出を精度良く行うことができる。
【0089】
前記半導体装置の一態様は、
前記比較回路の比較結果に基づいて、前記パルス幅変調回路を含む音源再生回路の故障を検出する故障検出回路を備えてもよい。
【0090】
この半導体装置によれば、故障検出回路は、比較回路から出力される精度の高い信号に基づいて、音源再生回路の故障検出を精度良く行うことができる。
【0091】
前記半導体装置の一態様は、
前記第1のパルス幅変調信号を増幅した増幅信号を第1の音再生装置に出力する増幅回
路を備え、
前記故障検出回路は、前記音源再生回路の故障を検出した場合に、前記第1のパルス符号変調信号に基づく信号を前記第1の音再生装置とは異なる第2の音再生装置に出力させてもよい。
【0092】
この半導体装置によれば、音源再生回路が故障した場合、第1の音再生装置が異常な音を発生させることなく、第2の音再生装置が正常な音を発生させることができる。
【0093】
前記半導体装置の一態様において、
前記変換方法は、ウェーブレットパケット分解であってもよい。
【0094】
この半導体装置によれば、比較回路は、誤差を分散させる特徴を有するウェーブレットパケット分解を利用して音源信号と第2のパルス符号変調信号との相関を示す信号を生成するので、例えば、外部装置は、比較回路から出力される信号に基づいて、パルス幅変調回路を含む音源再生回路が正常である場合に故障していると誤判定するおそれが低減される。
【0095】
前記半導体装置の一態様において、
前記第1の変換回路は、所定周期で前記第2のパルス幅変調信号を積分して前記第2のパルス符号変調信号を生成してもよい。
【0096】
この半導体装置によれば、情報を欠落させることなく第2のパルス幅変調信号を第2のパルス符号変調信号に変換することができる。
【0097】
前記半導体装置の一態様は、
前記第1のパルス幅変調信号を増幅した増幅信号を出力する増幅回路と、
前記増幅信号を前記第2のパルス幅変調信号に変換する第2の変換回路と、
を備えてもよい。
【0098】
この半導体装置によれば、例えば、外部装置が、比較回路から出力される信号に基づいて、パルス幅変調回路及び増幅回路を含む音源再生回路の故障検出を精度良く行うことができる。
【0099】
前記半導体装置の一態様において、
前記第2のパルス幅変調信号は、前記第1のパルス幅変調信号であってもよい。
【0100】
電子機器の一態様は、
前記半導体装置の一態様と、
音再生装置と、
を備え、
前記半導体装置は、前記第1のパルス幅変調信号を増幅した増幅信号を前記音再生装置に出力する増幅回路を備える。
【0101】
この電子機器によれば、音源再生回路の故障検出を精度良く行うために必要な信号を生成することができる半導体装置を備えるので、信頼性を高めることができる。
【符号の説明】
【0102】
1…半導体装置、2…マイクロコントロールユニット、3,3a,3-1~3-m…音再生装置、10…通信インターフェース回路、20…メモリー、21-1~21-n…音源データ、30…変調回路、31…デジタルフィルター、32…シグマデルタ変調回路、4
0…変調回路、41…パルス幅変調回路、50…増幅回路、51P,51N…D級アンプ、60…変換回路、61P,61N…2値化回路、70…変換回路、71…PCM変換回路、80…比較回路、90…故障検出回路、92…スイッチ、100,100a…音源再生回路、110…検査回路、300…電子機器、300A…警告装置、310…処理部、320…操作部、330…記憶部、340…表示部、400…車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14