(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018301
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】半導体装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H03M 7/36 20060101AFI20240201BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20240201BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H03M7/36
H04R3/00 310
G01R31/28 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121541
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】片山 貴夫
(72)【発明者】
【氏名】福澤 晃弘
(72)【発明者】
【氏名】倍賞 文仁
(72)【発明者】
【氏名】野中 勉
【テーマコード(参考)】
2G132
5D220
5J064
【Fターム(参考)】
2G132AA01
2G132AC03
2G132AD15
2G132AK07
5D220AA50
5J064BA03
5J064BC12
(57)【要約】
【課題】比較的小さいサイズの回路によって、音源を再生する回路を検査することが可能な半導体装置を提供すること。
【解決手段】第1の音源信号が入力され、前記第1の音源信号に基づく信号をシグマデルタ変調して第1のシグマデルタ変調信号を出力する第1の変調回路と、前記第1のシグマデルタ変調信号に基づく信号をパルス幅変調して第1のパルス幅変調信号を出力する第2の変調回路と、前記第1の変調回路を検査する第1の変調検査回路と、前記第2の変調回路を検査する第2の変調検査回路と、を備え、前記第1の変調検査回路と前記第2の変調検査回路とが分離されている、半導体装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の音源信号が入力され、前記第1の音源信号に基づく信号をシグマデルタ変調して第1のシグマデルタ変調信号を出力する第1の変調回路と、
前記第1のシグマデルタ変調信号に基づく信号をパルス幅変調して第1のパルス幅変調信号を出力する第2の変調回路と、
前記第1の変調回路を検査する第1の変調検査回路と、
前記第2の変調回路を検査する第2の変調検査回路と、
を備え、
前記第1の変調検査回路と前記第2の変調検査回路とが分離されている、半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の変調回路は、前記第1の音源信号をデジタルフィルター処理した信号をシグマデルタ変調して前記第1のシグマデルタ変調信号を出力する、半導体装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1の変調検査回路は、
検査モードにおいて、前記第1の音源信号に代えてインパルス信号及びステップ信号の少なくとも一方を前記第1の変調回路に入力し、前記第1の変調回路から出力される信号に基づいて前記第1の変調回路を検査する、半導体装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記第2の変調検査回路は、所定周期で前記第1のパルス幅変調信号に基づく信号を積分した信号と前記第1のシグマデルタ変調信号とを比較して前記第2の変調回路を検査する、半導体装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記第1のパルス幅変調信号を増幅した増幅信号を音再生装置に出力する増幅回路と、
前記増幅回路と前記音再生装置との接続を検査する接続検査回路と、
を備える、半導体装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記接続検査回路は、
電源とグラウンドとの間に、前記音再生装置の内部抵抗と直列に接続される検査用の抵抗と、
前記検査用の抵抗と前記内部抵抗との接続ノードの電圧に応じて周波数が変化する電圧制御発振器と、
を含み、
前記電圧制御発振器から出力される発振信号に基づいて、前記増幅回路と前記音再生装置との接続を検査する、半導体装置。
【請求項7】
請求項1において、
第2の音源信号が入力され、前記第2の音源信号に基づく信号をシグマデルタ変調して第2のシグマデルタ変調信号を出力する第3の変調回路と、
前記第2のシグマデルタ変調信号に基づく信号をパルス幅変調して第2のパルス幅変調信号を出力する第4の変調回路と、
前記第4の変調回路を検査する第3の変調検査回路と、
を備え、
前記第1の変調検査回路と前記第2の変調検査回路と前記第3の変調検査回路とが分離されており、
前記第1の変調検査回路は、前記第1の変調回路及び前記第3の変調回路を検査する、半導体装置。
【請求項8】
請求項1に記載の半導体装置と、
音再生装置と、
を備え、
前記半導体装置は、前記第1のパルス幅変調信号を増幅した増幅信号を前記音再生装置に出力する増幅回路を備える、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、デジタル音情報を取得するシリアルオーディオインターフェイスと、デジタル音情報をアナログ音情報に変換するデジタルアナログコンバータと、増幅回路と、故障診断ユニットとを備え、故障診断ユニットでは、増幅回路から出力されるアナログ音情報を診断用デジタル音情報に変換し、診断用デジタル音情報とデジタル音情報とを比較して差分値を算出し、差分値が予め設定された閾値を超えるときに、故障状態にある故障信号が出力される、音出力装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の音出力装置は、故障診断ユニットにアナログ音情報を診断用デジタル音情報に変換するためのA/D変換器を必要とするため、回路規模が大きくなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る半導体装置の一態様は、
第1の音源信号が入力され、前記第1の音源信号に基づく信号をシグマデルタ変調して第1のシグマデルタ変調信号を出力する第1の変調回路と、
前記第1のシグマデルタ変調信号に基づく信号をパルス幅変調して第1のパルス幅変調信号を出力する第2の変調回路と、
前記第1の変調回路を検査する第1の変調検査回路と、
前記第2の変調回路を検査する第2の変調検査回路と、
を備え、
前記第1の変調検査回路と前記第2の変調検査回路とが分離されている。
【0006】
本発明に係る電子機器の一態様は、
前記半導体装置の一態様と、
音再生装置と、
を備え、
前記半導体装置は、前記第1のパルス幅変調信号を増幅した増幅信号を前記音再生装置に出力する増幅回路を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の半導体装置の構成例を示す図。
【
図2】パルス幅変調信号DOPを生成するためのパルス幅変調の一例を示す図。
【
図3】パルス幅変調信号DONを生成するためのパルス幅変調の一例を示す図。
【
図4】パルス幅変調信号DOPとパルス幅変調信号DONとの差分の一例を示す図。
【
図5】テスト信号、シグマデルタ変調信号及び期待値信号の一例を示す図。
【
図6】テスト信号、シグマデルタ変調信号及び期待値信号の他の一例を示す図。
【
図7】2値化回路の動作について説明するための図。
【
図9】第2実施形態の半導体装置の構成例を示す図。
【
図12】第3実施形態の半導体装置の構成例を示す図。
【
図13】パルス幅変調信号DONを生成するためのパルス幅変調の他の一例を示す図。
【
図14】パルス幅変調信号DOPとパルス幅変調信号DONとの差分の他の一例を示す図。
【
図16】電子機器の一例である警告装置の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
1.半導体装置
1-1.第1実施形態
図1は、第1実施形態の半導体装置の構成例を示す図である。
図1に示すように、第1実施形態の半導体装置1は、通信インターフェース回路10、メモリー20、スイッチ80、音源再生回路100及び検査回路110を備える。半導体装置1は、1チップの半導体集積回路装置であってもよいし、複数チップの半導体集積回路装置で構成されてもよいし、少なくとも一部が半導体集積回路装置以外の電子部品で構成されてもよい。
【0010】
メモリー20には、n個の音源データ21-1~21-nが記憶されている。nは1以上の整数である。メモリー20は、例えば、フラッシュメモリーであってもよい。音源データ21-1~21-nは、それぞれ、例えば、パルス符号変調された音声データであってもよいし、適応的差分パルス符号変調された音声データであってもよい。音源データ21-1~21-nは、例えば、人が発話する際の声を模した音声、機械的な警告音や効果音等の各種の音の基となるデータであってもよい。
【0011】
通信インターフェース回路10は、マイクロコントロールユニット2とデータ通信を行う回路である。通信インターフェース回路10は、例えば、SPIインターフェース回路であってもよいし、I2Cインターフェース回路であってもよい。SPIはSerial Peripheral Interfaceの略であり、I2CはInter-Integrated Circuitの略である。
【0012】
通信インターフェース回路10は、マイクロコントロールユニット2から送信された各種のコマンドを受信し、受信したコマンドに応じた各種の制御信号を生成する。例えば、通信インターフェース回路10は、メモリー20に記憶されている音源データ21-1~21-nのうちのいずれか1つである音源データ21-iに対する音源再生コマンドを受信した場合、メモリー20から音源データ21-iを読み出して音源信号DIとして音源再生回路100に入力するとともに、音源再生回路100に再生を指示する。また、例えば、通信インターフェース回路10は、再生中の音源データ21-iに対する音源停止コマンドを受信した場合、音源再生回路100に再生の停止を指示する。また、例えば、通信インターフェース回路10は、音源再生に関する各種の設定コマンドを受信した場合、音源再生回路100に対して各種の設定を行う。また、例えば、通信インターフェース回路10は、半導体装置1の動作モードの設定コマンドを受信した場合、半導体装置1を当該コマンドで指定された動作モードに設定する。半導体装置1は、通常動作モード及び検査モードを含む複数の動作モードを有する。
【0013】
スイッチ80は、通信インターフェース回路10から出力される制御信号に応じて、音源信号DIとテスト信号TSのいずれか一方を音源再生回路100に出力する。具体的には、音源再生回路100には、通常動作モードでは音源信号DIが入力され、検査モードではテスト信号TSが入力される。
【0014】
本実施形態では、音源再生回路100に入力される音源信号DIはパルス符号変調信号である。音源データ21-1~21-nが圧縮された音声データである場合や適応的差分パルス符号変調された音声データである場合は、再生対象の音源データ21-iは不図示のデコーダーによってパルス符号変調信号である音源信号DIに変換される。
【0015】
音源再生回路100は、音源信号DIを音信号である増幅信号DOXP,DOXNに変換し、半導体装置1と接続される音再生装置3に出力する。これにより、音再生装置3から、増幅信号DOXP,DOXNに応じた音が出力される。例えば、音再生装置3は、スピーカーであってもよいし、ブザーであってもよい。なお、音再生装置3から出力される音声は、例えば、人が発話する際の声を模した音声であってもよいし、機械的な警告音や効果音等の各種の音であってもよい。
【0016】
図1に示すように、本実施形態では、音源再生回路100は、変調回路30、変調回路40及び増幅回路50を含む。
【0017】
変調回路30は、音源信号DIが入力され、音源信号DIに基づく信号をシグマデルタ変調してシグマデルタ変調信号DSを出力する。音源信号DIに基づく信号は、音源信号DIそのものであってもよいし、音源信号DIに何らかの処理が施された信号であってもよい。本実施形態では、変調回路30は、デジタルフィルター31及びシグマデルタ変調回路32を含む。
【0018】
デジタルフィルター31は、音源信号DIが入力され、音源信号DIに含まれる高周波ノイズを低減させた信号DFを出力するローパスフィルターである。シグマデルタ変調回路32は、デジタルフィルター31から信号DFが入力され、信号DFをn倍のサンプリング比でオーバーサンプリングしてシグマデルタ変調することにより、高周波数帯にノイズが偏ったシグマデルタ変調信号DSを出力する。nは2以上の整数である。したがって、音源信号DIのサンプリング周波数をfsとすると、デジタルフィルター31から出力される信号DFのサンプリング周波数はfsであり、シグマデルタ変調信号DSのサンプリング周波数はn×fsである。デジタルフィルター31は、シグマデルタ変調回路32のオーバーサンプリングによって信号帯域に折り返される高周波ノイズを低減させるアンチエイリアスフィルターとして機能する。
【0019】
このように、変調回路30は、音源信号DIをデジタルフィルター処理した信号をシグマデルタ変調してシグマデルタ変調信号DSを出力する。
【0020】
変調回路40は、シグマデルタ変調信号DSが入力され、シグマデルタ変調信号DSに基づく信号をパルス幅変調してパルス幅変調信号DOP,DONを出力する。シグマデルタ変調信号DSに基づく信号は、シグマデルタ変調信号DSそのものであってもよいし、シグマデルタ変調信号DSに何らかの処理が施された信号であってもよい。本実施形態では、変調回路40は、パルス幅変調回路41を含む。
【0021】
パルス幅変調回路41は、音源信号DIに基づく信号であるシグマデルタ変調信号DSをパルス幅変調してパルス幅変調信号DOP,DONを出力する。パルス幅変調信号DOP.DONは、それぞれ1ビットのデジタル信号である。シグマデルタ変調信号DSのサ
ンプリング周波数をn×fsとすると、パルス幅変調信号DOP,DONのサンプリング周波数はn×m×fsである。ここで、シグマデルタ変調信号DSのビット数をMとするとm=2Mである。
【0022】
パルス幅変調信号DOPを生成するためのパルス幅変調とパルス幅変調信号DONを生成するためのパルス幅変調とは、方式が異なる。
図2は、パルス幅変調信号DOPを生成するためのパルス幅変調の一例を示す図である。また、
図3は、パルス幅変調信号DONを生成するためのパルス幅変調の一例を示す図である。
図2及び
図3は、シグマデルタ変調信号DSのビット数Mが4の場合の例である。
図2及び
図3において、シグマデルタ変調信号DSは期間Tを周期として更新され、パルス幅変調信号DOP,DONは、期間Tが分割された16個の区間T1~T16の各々においてハイレベル又はローレベルとなる。すなわち、期間Tの長さは1/(n×fs)であり、区間T1~T16の各々の長さは1/(n×m×fs)である。
【0023】
図2に示すように、パルス幅変調信号DOPは、シグマデルタ変調信号DSの値が大きいほどハイレベルの時間が長くなる。例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「-7」、すなわち2進数の「1001」であるときは、パルス幅変調信号DOPは、1つの区間T1がハイレベルであり、15個の区間T2~T16がローレベルである。また、例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「0」、すなわち2進数の「0000」であるときは、パルス幅変調信号DOPは、8個の区間T1~T8がハイレベルであり、8個の区間T9~T16がローレベルである。また、例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「7」、すなわち2進数の「0111」であるときは、パルス幅変調信号DOPは、15個の区間T1~T15がハイレベルであり、1つの区間T16がローレベルである。
【0024】
図3に示すように、パルス幅変調信号DONは、シグマデルタ変調信号DSの値が大きいほどハイレベルの時間が短くなる。例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「-7」、すなわち2進数の「1001」であるときは、パルス幅変調信号DONは、15個の区間T1~T15がハイレベルであり、1つの区間T16がローレベルである。また、例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「0」、すなわち2進数の「0000」であるときは、パルス幅変調信号DONは、8個の区間T1~T8がハイレベルであり、8個の区間T9~T16がローレベルである。また、例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「7」、すなわち2進数の「0111」であるときは、パルス幅変調信号DONは、1つの区間T1がハイレベルであり、15個の区間T2~T16がローレベルである。
【0025】
したがって、例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「-7」、「0」、「7」であるときのパルス幅変調信号DOPとパルス幅変調信号DONとの差分は
図4に示すようになる。
【0026】
図1の説明に戻り、増幅回路50は、パルス幅変調信号DOP,DONが入力され、パルス幅変調信号DOP,DONを増幅した増幅信号DOXP,DOXNを音再生装置3に出力する。本実施形態では、増幅回路50は、2つのD級アンプ51P,51Nを含む。D級アンプ51Pは、パルス幅変調信号DOPをD級増幅した増幅信号DOXPを出力する。D級アンプ51Nは、パルス幅変調信号DONをD級増幅した増幅信号DOXNを出力する。音再生装置3は、増幅信号DOXPと増幅信号DOXNとの電圧差に応じた大きさの音を再生する。
【0027】
なお、増幅回路50は、通常動作モードにおいて増幅信号DOXP,DOXNを音再生装置3に出力するが、検査モードでは音再生装置3が音を発生させないように増幅信号D
OXP,DOXNの出力を停止する。
【0028】
検査回路110は、音源再生回路100を検査する回路である。
図1に示すように、本実施形態では、検査回路110は、変調検査回路60及び変調検査回路70を含む。
【0029】
変調検査回路60は、検査モードにおいて変調回路30を検査する。本実施形態では、変調検査回路60は、テスト信号生成回路61及び比較回路62を含む。
【0030】
テスト信号生成回路61は、テスト信号TSとしてインパルス信号及びステップ信号の少なくとも一方を生成し、スイッチ80を介して変調回路30のデジタルフィルター31にテスト信号TSを入力する。したがって、変調回路30は、検査モードにおいて、デジタルフィルター31及びシグマデルタ変調回路32によって、テスト信号TSをシグマデルタ変調したシグマデルタ変調信号DSを出力する。
【0031】
比較回路62は、このシグマデルタ変調信号DSを期待値信号DEと比較する。変調回路30の処理はすべてデジタル処理であるので、テスト信号TSに対して生成されるシグマデルタ変調信号DSのデジタル値や遅延時間が変動することはない。したがって、
図5及び
図6に示すように、変調回路30が正常であれば、シグマデルタ変調信号DSは、シミュレーション等によってあらかじめ生成された期待値信号DEと正確に一致する。なお、
図5はテスト信号TSがインパルス信号である場合の例であり、
図6はテスト信号TSがステップ信号である場合の例である。比較回路62は、シグマデルタ変調信号DSを期待値信号DEと比較し、両者が一致しているか否かを示すフラグ信号FL1を生成する。
【0032】
このように、変調検査回路60は、検査モードにおいて、音源信号DIに代えてインパルス信号及びステップ信号の少なくとも一方を変調回路30に入力し、変調回路30から出力される信号に基づいて変調回路30を検査する。
【0033】
通信インターフェース回路10は、マイクロコントロールユニット2からフラグ信号FL1を読み出すコマンドを受信すると、変調検査回路60からフラグ信号FL1を取得してマイクロコントロールユニット2に送信する。例えば、マイクロコントロールユニット2は、フラグ信号FL1に基づいて、変調回路30の故障の有無を判定することができる。
【0034】
なお、音再生装置3がテスト信号TSに応じた異常な音を発生させないように、前述の通り、検査モードでは、増幅回路50は増幅信号DOXP,DOXNの出力を停止する。
【0035】
変調検査回路70は、検査モードにおいて変調回路40を検査する。さらに、変調検査回路70は、検査モードにおいて増幅回路50も検査する。本実施形態では、変調検査回路70は、2つの2値化回路71P,71N、変換回路72及び比較回路73を含む。
【0036】
2値化回路71Pは、増幅信号DOXPを2値化することによってパルス幅変調信号DBPを生成する。2値化回路71Nは、増幅信号DOXNを2値化することによってパルス幅変調信号DBNを生成する。
【0037】
図7に示すように、増幅信号DOXP,DOXNは、立ち上がりエッジにオーバーシュートが発生し、立ち下がりエッジにアンダーシュートが発生する。2値化回路71Pは、例えば、増幅信号DOXPの電圧を閾値電圧Vtと比較する比較器であり、増幅信号DOXPの電圧が閾値電圧Vtよりも高いときはハイレベルとなり、増幅信号DOXPの電圧が閾値電圧Vtよりも低いときはローレベルとなるパルス幅変調信号DBPを出力する。同様に、2値化回路71Nは、例えば、増幅信号DOXNの電圧を閾値電圧Vtと比較す
る比較器であり、増幅信号DOXNの電圧が閾値電圧Vtよりも高いときはハイレベルとなり、増幅信号DOXNの電圧が閾値電圧Vtよりも低いときはローレベルとなるパルス幅変調信号DBNを出力する。2値化回路71P,71Nにより、増幅信号DOXP,DOXNのオーバーシュートやアンダーシュートが除去されるとともにハイレベルがロジック回路の電源電圧にシフトされたパルス幅変調信号DBP,DBNが得られる。
【0038】
図1の説明に戻り、変換回路72は、パルス幅変調信号DOP,DONに基づくパルス幅変調信号DBP,DBNが入力され、パルス幅変調信号DBP,DBNをパルス符号変調信号DXに変換する。
【0039】
具体的には、変換回路72は、周波数がn×fsの不図示のクロック信号CLK1と周波数がn×m×fsの不図示のクロック信号CLK2とに基づいて、パルス幅変調信号DBP,DBNをパルス符号変調信号DXに変換する。具体的には、
図8に示すように、変換回路72は、クロック信号CLK1の1周期Taにおいて、パルス幅変調信号DBP,DBNの各々のハイレベルをクロック信号CLK2でカウントする。すなわち、変換回路72は、周期Taでパルス幅変調信号DBP,DBNの各々を積算する。そして、変換回路72は、パルス幅変調信号DBP,DBNの各々の積算値に基づいてパルス符号変調信号DXを生成する。パルス幅変調信号DBP,DBNからパルス符号変調信号DXへの変換は、シグマデルタ変調信号DSからパルス幅変調信号DOP,DONへの変換の逆変換に相当する。このように、変換回路72は、所定周期でパルス幅変調信号DBP,DBNを積分してパルス符号変調信号DXを生成する。
【0040】
比較回路73は、パルス符号変調信号であるシグマデルタ変調信号DSとパルス符号変調信号DXとが入力され、シグマデルタ変調信号DSとパルス符号変調信号DXとを比較する。実際には、シグマデルタ変調信号DSが変調回路40に入力されてから、このシグマデルタ変調信号DSに対応するパルス符号変調信号DXが生成されるまでに所定時間が必要であるので、比較回路73は、シグマデルタ変調信号DSを当該所定時間だけ遅延させてパルス符号変調信号DXと比較する。そして、比較回路73は、シグマデルタ変調信号DSとパルス符号変調信号DXとが一致しているか否かを示すフラグ信号FL2を生成する。
【0041】
このように、変調検査回路70は、検査モードにおいて、所定周期でパルス幅変調信号DBP,DBNを積分した信号であるパルス符号変調信号DXとシグマデルタ変調信号DSとを比較して変調回路40を検査する。なお、変調検査回路70は、通常モードにおいて音再生装置3が音源信号DIに応じた音を再生しているときも変調回路40を検査することができる。
【0042】
通信インターフェース回路10は、マイクロコントロールユニット2からフラグ信号FL2を読み出すコマンドを受信すると、変調検査回路70からフラグ信号FL2を取得してマイクロコントロールユニット2に送信する。例えば、マイクロコントロールユニット2は、フラグ信号FL2に基づいて、変調回路40の故障の有無を判定することができる。
【0043】
図1に示すように、本実施形態では、変調検査回路60と変調検査回路70とが分離されている。すなわち、変調検査回路60は、変調回路30の検査に特化した回路であり、変調回路40の検査を行わない。同様に、変調検査回路70は、変調回路40の検査に特化した回路であり、変調回路30の検査を行わない。そのため、マイクロコントロールユニット2は、変調検査回路60が生成したフラグ信号FL1によって変調回路30の故障の有無を判定し、変調検査回路70が生成したフラグ信号FL2によって変調回路40の故障の有無を判定することができる。
【0044】
なお、第1実施形態において、音源信号DIは「第1の音源信号」の一例であり、シグマデルタ変調信号DSは「第1のシグマデルタ変調信号」の一例であり、パルス幅変調信号DOP,DONは「第1のパルス幅変調信号」の一例である。また、変調回路30は「第1の変調回路」の一例であり、変調回路40は「第2の変調回路」の一例である。また、変調検査回路60は「第1の変調検査回路」の一例であり、変調検査回路70は「第2の変調検査回路」の一例である。
【0045】
第1実施形態の半導体装置1は、1つの音再生装置3に音を出力させることが可能な構成であるが、複数の音出力装置に音を出力させることが可能な構成であってもよい。
【0046】
以上に説明したように、第1実施形態の半導体装置1では、変調回路30はデジタル信号処理により音源信号DIをシグマデルタ変調信号DSに変調するので、変調検査回路60はデジタル処理により変調回路30を検査することができる。また、変調回路40はデジタル信号処理によりシグマデルタ変調信号DSをパルス幅変調信号DOP,DONに変調し、増幅回路50はパルス幅変調信号DOP,DONを増幅したデジタル信号である増幅信号DOXP,DOXNを出力するので、変調検査回路70はデジタル処理により変調回路40及び増幅回路50を検査することができる。したがって、第1実施形態の半導体装置1によれば、変調検査回路60及び変調検査回路70においてA/D変換器を必要とせず、比較的小さいサイズの検査回路110によって、変調回路30、変調回路40及び増幅回路50を含む音源再生回路100を検査することができる。
【0047】
また、第1実施形態の半導体装置1では、変調検査回路60と変調検査回路70とが分離されているので、変調検査回路60による変調回路30の検査と、変調検査回路70による変調回路40の検査とが互いに独立して行われる。したがって、マイクロコントロールユニット2は、変調検査回路60から出力されるフラグ信号FL1に基づいての変調回路30の故障検出を行うことができるとともに、変調検査回路70から出力されるフラグ信号FL2に基づいて変調回路40の故障検出を行うことができる。
【0048】
また、第1実施形態の半導体装置1では、変調検査回路60は、インパルス信号及びステップ信号の少なくとも一方を変調回路30に入力したときに変調回路30から出力されるシグマデルタ変調信号DSに基づいて、デジタルフィルター31を含む変調回路30の検査を精度良く行うことができる。
【0049】
また、第1実施形態の半導体装置1では、変調検査回路70において、2値化回路71P,71Nは、パルス幅変調された増幅信号DOXP,DOXNに生じるオーバーシュートやアンダーシュートを除去するものであり、増幅信号DOXP,DOXNからパルス幅変調信号DBP,DBNへの変換において有益な情報の欠落は生じない。また、変調検査回路70において、変換回路72は、所定周期でパルス幅変調信号DBP,DBNを積分することにより、情報を欠落させることなくパルス符号変調信号DXに変換することができる。したがって、変調検査回路70において、比較回路73は、シグマデルタ変調信号DSと情報の欠落がないパルス符号変調信号DXとを比較することにより、変調回路40を精度良く検査することができる。
【0050】
1-2.第2実施形態
以下、第2実施形態の半導体装置1について、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、第1実施形態と同様の説明は省略又は簡略し、主として第1実施形態と異なる内容について説明する。
【0051】
図9は、第2実施形態の半導体装置1の構成例を示す図である。
図9に示すように、第
2実施形態の半導体装置1は、
図1に示した第1実施形態の半導体装置1と比較して、検査回路110が接続検査回路90を含む点が異なる。接続検査回路90は、増幅回路50と音再生装置3との間に設けられ、検査モードにおいて、増幅回路50と音再生装置3との接続を検査する。前述の通り、検査モードでは、音再生装置3が異常な音を発生させないように、増幅回路50は増幅信号DOXP,DOXNの出力を停止する。
【0052】
図10は、接続検査回路90の構成例を示す図である。
図10の例では、接続検査回路90は、2つの抵抗91,92、3つのスイッチ93,94,95、電圧制御発振器96、カウンター97及び比較回路98を含む。
図10において、抵抗200は、音再生装置3の内部抵抗である。
【0053】
図10に示すように、増幅回路50が増幅信号DOXPを出力する出力端子は、配線W1によって抵抗200の一端と電気的に接続されている。また、増幅回路50が増幅信号DOXNを出力する出力端子は、配線W2によって抵抗200の他端と電気的に接続されている。
【0054】
抵抗91の一端はスイッチ93の一端と接続され、抵抗91の他端は抵抗200の一端と接続されている。スイッチ93の他端には、電源電圧VDDが供給される。抵抗92の一端は抵抗200の他端と接続され、抵抗92の他端はスイッチ94の一端と接続されている。スイッチ94の他端には、グラウンド電圧VSSが供給される。抵抗91,92は、電源とグラウンドとの間に、音再生装置3の内部抵抗である抵抗200と直列に接続される検査用の抵抗である。
【0055】
スイッチ93,94は、通常動作モードではともに非導通状態となり、検査モードではともに非導通状態となる。したがって、検査モードでは、配線W1及び配線W2が正常である場合、電源から抵抗91、抵抗200及び抵抗92を介してグラウンドへと電流が流れる。そのため、抵抗91の他端と抵抗200の一端とが接続されているノードN1の電圧V1は、式(1)のようになる。また、抵抗200の他端と抵抗92の一端とが接続されているノードN2の電圧V2は、式(2)のようになる。
【0056】
【0057】
【0058】
一方、配線W1又は配線W2が断線している場合、V1=VDD,V2=VSSとなる。また、配線W1及び配線W2が地絡している場合、V1=V2=VSSとなる。また、配線W1と配線W2とが短絡している場合、V1=V2=(VDD-VSS)/2となる。
【0059】
ここで、音再生装置3の内部抵抗200の値R1は数Ω程度であり、検査モードにおいて、抵抗91,200,92を流れる電流を1mA以下に抑えるためには、抵抗91の値R2及び抵抗92の値R3はそれぞれ数kΩとする必要がある。例えば、R1=8Ω,R2R3=4kΩであれば、抵抗91,200,92を流れる電流は1mAよりも小さくなる。この場合、配線W1及び配線W2が正常である場合は、式(1)よりV1=(400
8/8008)×(VDD-VSS)であり、式(2)よりV2=(4000/8008)×(VDD-VSS)である。一方、配線W1と配線W2とが短絡している場合は、V1=V2=(VDD-VSS)/2である。したがって、配線W1及び配線W2が正常である場合と配線W1と配線W2とが短絡しているある場合との電圧V1,V2のそれぞれの差は1mV程度になり、電圧V1,V2の測定分解能として1mV程度が必要となる。A/D変換器によってこの測定分解能を実現しようとすると、10ビット以上が必要となり、接続検査回路90の回路面積が大幅に増加してしまう。そこで、本実施形態では、電圧制御発振器96とカウンター97とを用いて電圧V1,V2を測定することで、接続検査回路90の回路面積の増加量を低減させる。
【0060】
図11は、電圧制御発振器96の構成例を示す図である。
図11の例では、電圧制御発振器96は、n個の論理反転回路121-1~121-n、n個の容量122-1~122-n、n個のPMOSトランジスター123-1~123-n、PMOSトランジスター124、抵抗125及び演算増幅器126を含む。nは1以上の奇数である。
【0061】
図11の例では、論理反転回路121-jの出力端子と論理反転回路121-(j+1)の入力端子とが接続され、論理反転回路121-1の入力端子と論理反転回路121-nの出力端子とが接続されている。jは1以上n以下の各整数である。また、論理反転回路121-jの電源端子とPMOSトランジスター123-jのドレインとが接続されており、論理反転回路121-jの出力端子とグラウンドとの間には、容量122-jが接続されている。このように、n個の論理反転回路121-1~121-nは直列にされて発振ループを構成し、論理反転回路121-nの出力信号が発振信号Soとして電圧制御発振器96から出力される。
【0062】
PMOSトランジスター123-1~123-n,124の各ソースには電源と接続され、PMOSトランジスター123-1~123-n,124の各ゲートは、演算増幅器126の出力端子と接続されている。したがって、PMOSトランジスター123-1~123-n,124は、ゲート-ソース間電圧が等しいのでソース-ドレイン間に同じ電流Iが流れる。
【0063】
PMOSトランジスター124のドレインと抵抗125の一端と演算増幅器126の非反転入力端子とが接続され、抵抗125の他端はグラウンドと接続されている。演算増幅器126の反転入力端子には電圧制御発振器96の入力電圧Viが印加される。
【0064】
このように構成されている電圧制御発振器96では、演算増幅器126の非反転入力端子の電圧V’が演算増幅器126の反転入力端子に印加される入力電圧Viと一致するように電流Iが変化する。そして、電流Iが変化することにより、発振信号Soの周波数foが変化する。抵抗125の値をRとし、容量122-1~122-nの値をともにCpとし、論理反転回路121-1~121-nの出力信号の中間電圧をともにVcpとすると、発振信号Soの周波数foは式(3)で計算される。式(3)において、kは、半導体装置1の製造プロセスや電圧制御発振器96の回路構成等によって決まる定数であり、例えば0.5程度である。 (3)より、入力電圧Viが高いほど、発振信号Soの周波数foが高くなる。
【0065】
【0066】
図10の説明に戻り、スイッチ95の第1入力端子はノードN1と接続され、スイッチ
95の第2入力端子はノードN2と接続され、スイッチ95の出力端子は電圧制御発振器96の入力端子と接続されている。
【0067】
検査モードにおいて、まず、スイッチ95の第1入力端子と出力端子とが導通し、電圧制御発振器96には、入力電圧ViとしてノードN1の電圧V1が入力される。その結果、電圧制御発振器96は、電圧V1に応じて周波数f1で発振し、周波数fo=f1の発振信号Soを出力する。次に、スイッチ95の第2入力端子と出力端子とが導通し、電圧制御発振器96には、入力電圧ViとしてノードN2の電圧V2が入力される。その結果、電圧制御発振器96は、電圧V2に応じて周波数f2で発振し、周波数fo=f2の発振信号Soを出力する。このように、電圧制御発振器96は、抵抗91と抵抗200との接続ノードN1の電圧V1又は抵抗92と抵抗200との接続ノードN2の電圧V2に応じて周波数foが変化する。
【0068】
カウンター97は、スイッチ95の第1入力端子と出力端子とが導通しているときに、所定期間において、電圧制御発振器96から出力される周波数fo=f1の発振信号Soのパルス数をカウントし、カウント値C1を保持する。また、カウンター97は、スイッチ95の第2入力端子と出力端子とが導通しているときに、所定期間において、電圧制御発振器96から出力される周波数fo=f2の発振信号Soのパルス数をカウントし、カウント値C2を保持する。
【0069】
比較回路98は、カウンター97が保持するカウント値C1を基準値RA1,RB1,RC1,RD1と比較する。また、比較回路98は、カウンター97が保持するカウント値C2を基準値RA2,RB2,RC2,RD2と比較する。基準値RA1,RA2は、配線W1及び配線W2が正常である場合の電圧V1,V2に対して期待されるカウンター97のカウント値である。基準値RB1,RB2は、配線W1又は配線W2が断線している場合の電圧V1,V2に対して期待されるカウンター97のカウント値である。基準値RC1,RC2は、配線W1及び配線W2が地絡している場合の電圧V1,V2に対して期待されるカウンター97のカウント値である。基準値RD1,RD2は、配線W1と配線W2とが短絡している場合の電圧V1,V2に対して期待されるカウンター97のカウント値である。
【0070】
そして、比較回路98は、カウント値C1と基準値RA1が一致し、かつ、カウント値C2と基準値RA2が一致する場合は、配線W1及び配線W2が正常であることを示すフラグ信号FL3を生成する。また、比較回路98は、カウント値C1と基準値RB1が一致し、かつ、カウント値C2と基準値RB2が一致する場合は、配線W1又は配線W2が断線していることを示すフラグ信号FL3を生成する。また、比較回路98は、カウント値C1と基準値RC1が一致し、かつ、カウント値C2と基準値RC2が一致する場合は、配線W1及び配線W2が地絡していることを示すフラグ信号FL3を生成する。また、比較回路98は、カウント値C1と基準値RD1が一致し、かつ、カウント値C2と基準値RD2が一致する場合は、配線W1と配線W2とが短絡していることを示すフラグ信号FL3を生成する。
【0071】
このように、本実施形態では、接続検査回路90は、電圧制御発振器96から出力される発振信号Soに基づいて、増幅回路50と音再生装置3との接続を検査する。
【0072】
図9に示すように、通信インターフェース回路10は、マイクロコントロールユニット2からフラグ信号FL3を読み出すコマンドを受信すると、接続検査回路90からフラグ信号FL3を取得してマイクロコントロールユニット2に送信する。例えば、マイクロコントロールユニット2は、フラグ信号FL3に基づいて、増幅回路50と音再生装置3との接続状態を判定することができる。具体的には、マイクロコントロールユニット2は、
フラグ信号FL3に基づいて、配線W1及び配線W2が正常であるか、配線W1又は配線W2が断線しているか、配線W1及び配線W2が地絡しているか、配線W1と配線W2とが短絡しているかを判定することができる。
【0073】
第2実施形態の半導体装置1のその他の構成は、
図1と同様であるため、その説明を省略する。
【0074】
なお、第2実施形態において、音源信号DIは「第1の音源信号」の一例であり、シグマデルタ変調信号DSは「第1のシグマデルタ変調信号」の一例であり、パルス幅変調信号DOP,DONは「第1のパルス幅変調信号」の一例である。また、変調回路30は「第1の変調回路」の一例であり、変調回路40は「第2の変調回路」の一例である。また、変調検査回路60は「第1の変調検査回路」の一例であり、変調検査回路70は「第2の変調検査回路」の一例である。
【0075】
以上に説明した第2実施形態の半導体装置1によれば、第1実施形態の半導体装置1と同様の効果を奏する。さらに、第2実施形態の半導体装置1によれば、変調回路30、変調回路40及び増幅回路50を含む音源再生回路100の検査だけでなく、音源再生回路100と音再生装置3との接続も検査することができる。
【0076】
また、第2実施形態の半導体装置1によれば、電圧制御発振器96を用いて、検査用の抵抗91,92と音再生装置3の内部抵抗200との接続ノードN1,N2の電圧V1,V2を高い分解能で測定することができる。したがって、検査用の抵抗91,92を音再生装置3の内部抵抗200よりも十分に大きくして、音源再生回路100と音再生装置3との接続検査時の消費電流を低減させることができる。
【0077】
1-3.第3実施形態
以下、第3実施形態の半導体装置1について、第1実施形態又は第2実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、第1実施形態又は第2実施形態と同様の説明は省略又は簡略し、主として第1実施形態及び第2実施形態と異なる内容について説明する。
【0078】
図12は、第3実施形態の半導体装置1の構成例を示す図である。
図12に示すように、第3実施形態の半導体装置1は、
図9に示した第2実施形態の半導体装置1と比較して、スイッチ80aと、変調回路30a、変調回路40a及び増幅回路50aを含み、音再生装置3aと接続される音源再生回路100aとを備える点、及び、メモリー20から音源再生回路100aに音源信号DIaが入力される点が異なる。さらに、第3実施形態の半導体装置1は、第2実施形態の半導体装置1と比較して、検査回路110が変調検査回路70a及び接続検査回路90aを含む点、及び、変調検査回路60が変調回路30だけでなく変調回路30aを検査する点が異なる。
【0079】
通信インターフェース回路10は、メモリー20に記憶されている音源データ21-1~21-nのうちのいずれか1つである音源データ21-iを音再生装置3によって再生させるコマンドを受信した場合、メモリー20から音源データ21-iを読み出して音源信号DIとして音源再生回路100に入力するとともに、音源再生回路100に再生を指示する。また、通信インターフェース回路10は、再生中の音源データ21-iに対する音源停止コマンドを受信した場合、音源再生回路100に再生の停止を指示する。また、通信インターフェース回路10は、メモリー20に記憶されている音源データ21-1~21-nのうちのいずれか1つである音源データ21-jを音再生装置3aによって再生させるコマンドを受信した場合、メモリー20から音源データ21-jを読み出して音源信号DIaとして音源再生回路100aに入力するとともに、音源再生回路100aに再生を指示する。また、通信インターフェース回路10は、再生中の音源データ21-jに
対する音源停止コマンドを受信した場合、音源再生回路100aに再生の停止を指示する。また、通信インターフェース回路10は、音源再生に関する各種の設定コマンドを受信した場合、音源再生回路100又は音源再生回路100aに対して各種の設定を行う。
【0080】
スイッチ80aは、通信インターフェース回路10から出力される制御信号に応じて、音源信号DIaとテスト信号TSのいずれか一方を音源再生回路100aに出力する。具体的には、音源再生回路100には、通常動作モードでは音源信号DIaが入力され、検査モードではテスト信号TSが入力される。
【0081】
本実施形態では、音源再生回路100aに入力される音源信号DIaはパルス符号変調信号である。音源データ21-1~21-nが圧縮された音声データである場合や適応的差分パルス符号変調された音声データである場合は、再生対象の音源データ21-jは不図示のデコーダーによってパルス符号変調信号である音源信号DIaに変換される。
【0082】
音源再生回路100aは、音源信号DIaを音信号である増幅信号DOXPa,DOXNaに変換し、半導体装置1と接続される音再生装置3aに出力する。これにより、音再生装置3aから、増幅信号DOXPa,DOXNaに応じた音が出力される。例えば、音再生装置3aは、スピーカーであってもよいし、ブザーであってもよい。なお、音再生装置3aから出力される音声は、例えば、人が発話する際の声を模した音声であってもよいし、機械的な警告音や効果音等の各種の音であってもよい。
【0083】
図12に示すように、本実施形態では、音源再生回路100aは、変調回路30a、変調回路40a及び増幅回路50aを含む。
【0084】
変調回路30aは、音源信号DIaが入力され、音源信号DIaに基づく信号をシグマデルタ変調してシグマデルタ変調信号DSaを出力する。音源信号DIaに基づく信号は、音源信号DIaそのものであってもよいし、音源信号DIaに何らかの処理が施された信号であってもよい。変調回路30aの構成及び機能は、変調回路30と同様であるため、その説明を省略する。
【0085】
変調回路40aは、シグマデルタ変調信号DSaが入力され、シグマデルタ変調信号DSaに基づく信号をパルス幅変調してパルス幅変調信号DOPa,DONaを出力する。シグマデルタ変調信号DSaに基づく信号は、シグマデルタ変調信号DSaそのものであってもよいし、シグマデルタ変調信号DSaに何らかの処理が施された信号であってもよい。変調回路40aの構成及び機能は、変調回路40と同様であるため、その説明を省略する。
【0086】
増幅回路50aは、パルス幅変調信号DOPa,DONaが入力され、パルス幅変調信号DOPa,DONaを増幅した増幅信号DOXPa,DOXNaを音再生装置3aに出力する。音再生装置3は、増幅信号DOXPaと増幅信号DOXNaとの電圧差に応じた大きさの音を再生する。増幅回路50aの構成及び機能は、増幅回路50と同様であるため、その説明を省略する。
【0087】
なお、増幅回路50は、通常動作モードにおいて増幅信号DOXPa,DOXNaを音再生装置3aに出力するが、検査モードでは音再生装置3aが音を発生させないように増幅信号DOXPa,DOXNaの出力を停止する。
【0088】
検査回路110は、音源再生回路100及び音源再生回路100aを検査する回路である。
図12に示すように、本実施形態では、検査回路110は、変調検査回路60、変調検査回路70、変調検査回路70a、接続検査回路90及び接続検査回路90aを含む。
【0089】
変調検査回路60は、検査モードにおいて変調回路30及び変調回路30aを検査する。
【0090】
変調検査回路60は、テスト信号TSとしてインパルス信号及びステップ信号の少なくとも一方を生成し、スイッチ80,80aを介して変調回路30,30aにテスト信号TSを入力する。したがって、変調回路30,30aは、検査モードにおいて、それぞれテスト信号TSをシグマデルタ変調したシグマデルタ変調信号DS,DSaを出力する。
【0091】
変調検査回路60は、これらのシグマデルタ変調信号DS,DSaをそれぞれ期待値信号と比較する。そして、変調検査回路60は、シグマデルタ変調信号DSが期待値信号と一致しているか否かを示すフラグ信号FL1及びシグマデルタ変調信号DSaが期待値信号と一致しているか否かを示すフラグ信号FL1aを生成する。
【0092】
このように、変調検査回路60は、検査モードにおいて、音源信号DI,DIaに代えてインパルス信号及びステップ信号の少なくとも一方を変調回路30,30aに入力し、変調回路30,30aから出力される信号に基づいて変調回路30,30aを検査する。なお、変調検査回路60は、変調回路30,30aの検査を同時に行ってもよいし、時分割に行ってもよい。
【0093】
通信インターフェース回路10は、マイクロコントロールユニット2からフラグ信号FL1aを読み出すコマンドを受信すると、変調検査回路60からフラグ信号FL1aを取得してマイクロコントロールユニット2に送信する。例えば、マイクロコントロールユニット2は、フラグ信号FL1aに基づいて、変調回路30aの故障の有無を判定することができる。
【0094】
なお、音再生装置3aがテスト信号TSに応じた異常な音を発生させないように、検査モードでは、増幅回路50aは増幅信号DOXPa,DOXNaの出力を停止する。
【0095】
変調検査回路70aは、検査モードにおいて変調回路40aを検査する。さらに、変調検査回路70aは、検査モードにおいて増幅回路50aも検査する。そして、変調検査回路70aは、フラグ信号FL2aを生成する。変調検査回路70aの構成及び機能は、変調検査回路70と同様であるため、その説明を省略する。なお、変調検査回路70aは、通常モードにおいて音再生装置3aが音源信号DIaに応じた音を再生しているときも変調回路40aを検査することができる。
【0096】
通信インターフェース回路10は、マイクロコントロールユニット2からフラグ信号FL2aを読み出すコマンドを受信すると、変調検査回路70aからフラグ信号FL2aを取得してマイクロコントロールユニット2に送信する。例えば、マイクロコントロールユニット2は、フラグ信号FL2aに基づいて、変調回路40aの故障の有無を判定することができる。
【0097】
図12に示すように、本実施形態では、変調検査回路60と変調検査回路70と変調検査回路70aとが分離されている。すなわち、変調検査回路60は、変調回路30,30aの検査に特化した回路であり、変調回路40,40aの検査を行わない。同様に、変調検査回路70は、変調回路40の検査に特化した回路であり、変調回路30,30a,40aの検査を行わない。同様に、変調検査回路70aは、変調回路40aの検査に特化した回路であり、変調回路30,30a,40の検査を行わない。そのため、マイクロコントロールユニット2は、変調検査回路60が生成したフラグ信号FL1,FL1aによって変調回路30,30aの故障の有無を判定し、変調検査回路70が生成したフラグ信号
FL2によって変調回路40の故障の有無を判定し、変調検査回路70aが生成したフラグ信号FL2aによって変調回路40の故障の有無を判定することができる。
【0098】
接続検査回路90aは、増幅回路50aと音再生装置3aとの間に設けられ、検査モードにおいて、増幅回路50aと音再生装置3aとの接続を検査する。そして、接続検査回路90aは、フラグ信号FL3aを生成する。接続検査回路90aの構成及び機能は、接続検査回路90と同様であるため、その説明を省略する。前述の通り、検査モードでは、音再生装置3aが異常な音を発生させないように、増幅回路50aは増幅信号DOXPa,DOXNaの出力を停止する。
【0099】
通信インターフェース回路10は、マイクロコントロールユニット2からフラグ信号FL3aを読み出すコマンドを受信すると、接続検査回路90aからフラグ信号FL3aを取得してマイクロコントロールユニット2に送信する。例えば、マイクロコントロールユニット2は、フラグ信号FL3aに基づいて、増幅回路50aと音再生装置3aとの接続状態を判定することができる。
【0100】
第3実施形態の半導体装置1のその他の構成は、
図9と同様であるため、その説明を省略する。
【0101】
なお、第3実施形態において、音源信号DIは「第1の音源信号」の一例であり、音源信号DIaは「第2の音源信号」の一例である。また、シグマデルタ変調信号DSは「第1のシグマデルタ変調信号」の一例であり、シグマデルタ変調信号DSaは「第2のシグマデルタ変調信号」の一例である。また、パルス幅変調信号DOP,DONは「第1のパルス幅変調信号」の一例であり、パルス幅変調信号DOPa,DONaは「第2のパルス幅変調信号」の一例である。また、変調回路30は「第1の変調回路」の一例であり、変調回路40は「第2の変調回路」の一例であり、変調回路30aは「第3の変調回路」の一例であり、変調回路40aは「第4の変調回路」の一例である。また、変調検査回路60は「第1の変調検査回路」の一例であり、変調検査回路70は「第2の変調検査回路」の一例であり、変調検査回路70aは「第3の変調検査回路」の一例である。
【0102】
第3実施形態の半導体装置1は、2つの音再生装置3,3aに音を出力させることが可能な構成であるが、3つ以上の音出力装置に音を出力させることが可能な構成であってもよい。
【0103】
以上に説明した第3実施形態の半導体装置1によれば、第2実施形態の半導体装置1と同様の効果を奏する。さらに、第3実施形態の半導体装置1では、変調回路30、変調回路40及び増幅回路50を含む音源再生回路100によって音再生装置3から音源信号DIに応じた音を発生させることができるとともに、変調回路30a、変調回路40a及び増幅回路50aを含む音源再生回路100aによって音再生装置3aから音源信号DIa応じた音を発生させることができる。すなわち、第3実施形態の半導体装置1によれば、2種類の音源信号DI,DIaに応じた音を同時に再生可能であるが、変調検査回路60を変調回路30の検査と変調回路30aの検査に兼用することにより、検査回路110のサイズの増加量が低減される。
【0104】
また、第3実施形態の半導体装置1では、変調検査回路60と変調検査回路70と変調検査回路70aとが分離されているので、変調検査回路60による変調回路30,30aの検査と、変調検査回路70による変調回路40の検査と、変調検査回路70aによる変調回路40aの検査とが互いに独立して行われる。したがって、マイクロコントロールユニット2は、変調検査回路60から出力されるフラグ信号FL1に基づいて変調回路30,30aの故障検出を行い、変調検査回路70から出力されるフラグ信号FL2に基づい
て変調回路40の故障検出を行い、変調検査回路70aから出力されるフラグ信号FL2aに基づいて変調回路40aの故障検出を行うことができる。
【0105】
また、第3実施形態の半導体装置1によれば、変調回路30、変調回路40及び増幅回路50を含む音源再生回路100aの検査だけでなく、音源再生回路100aと音再生装置3aとの接続も検査することができる。
【0106】
1-4.変形例
本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0107】
例えば、上記の各実施形態では、変調検査回路70には、増幅信号DOXP,DOXNが入力されているが、パルス幅変調信号DOP,DONが入力されてもよい。この場合、2値化回路71P,71Nは不要であり、変換回路72は、パルス幅変調信号DOP,DONをパルス符号変調信号DXに変換すればよい。
【0108】
また、例えば、上記の各実施形態では、音源データ21-1~21-nが記憶されているメモリー20が半導体装置1に内蔵されているが、メモリー20に代えて、音源データ21-1~21-nが記憶されている外部メモリーが半導体装置1と接続され、半導体装置1が当該外部メモリーから音源信号DIである音源データ21-iを読み出してもよい。あるいは、メモリー20に代えて、マイクロコントロールユニット2が音源データ21-1~21-nが記憶されているメモリーを内蔵し、マイクロコントロールユニット2が当該メモリーから音源データ21-iを読み出して音源信号DIとして半導体装置1に送信してもよい。
【0109】
また、例えば、上記の各実施形態では、パルス幅変調回路41による変調方式として
図2~
図4の例を挙げたが、他の変調方式であってもよい。例えば、パルス幅変調信号DOPを生成するためのパルス幅変調は
図2と同じ方式であり、パルス幅変調信号DONを生成するためのパルス幅変調は
図13に示す方式であってもよい。
図13の例では、パルス幅変調信号DONは、
図2に示したパルス幅変調信号DOPの論理レベルを反転した信号であり、シグマデルタ変調信号DSの値が大きいほどハイレベルの時間が短くなる。例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「-7」、すなわち2進数の「1001」であるときは、パルス幅変調信号DONは、1つの区間T11がローレベルであり、15個の区間T2~T16がハイレベルである。また、例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「0」、すなわち2進数の「0000」であるときは、パルス幅変調信号DONは、8個の区間T1~T8がローレベルであり、8個の区間T9~T16がハイレベルである。また、例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「7」、すなわち2進数の「0111」であるときは、パルス幅変調信号DONは、15個の区間T1~T15がローレベルであり、1つの区間T16がハイレベルである。したがって、例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「-7」、「0」、「7」であるときのパルス幅変調信号DOPとパルス幅変調信号DONとの差分は
図14に示すようになる。
【0110】
2.電子機器
図15は、本実施形態の半導体装置1を用いた本実施形態の電子機器の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0111】
図15に示すように、本実施形態の電子機器300は、半導体装置1、m個の音再生装置3-1~3-m、処理部310、操作部320、記憶部330及び表示部340を備えている。なお、本実施形態の電子機器300は、
図15の構成要素の一部を省略又は変更し、あるいは、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
【0112】
処理部310は、電子機器300の各部の制御処理や種々のデータ処理を行う。例えば、処理部310は、半導体装置1に各種のコマンドを送信し、半導体装置1の動作を制御する。また、処理部310は、操作部320からの操作信号に応じた各種の処理、表示部340に各種の情報を表示させるための表示信号を送信する処理等を行う。例えば、処理部310は、前述のマイクロコントロールユニット2であってもよい。
【0113】
操作部320は、操作キーやボタンスイッチ等により構成される入力装置であり、ユーザーによる操作に応じた操作信号を処理部310に出力する。
【0114】
記憶部330は、処理部310が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。記憶部330は、例えば、ハードディスク、フレキシブルディスク、MO、MT、各種のメモリー、CD-ROM、又は、DVD-ROM等によって実現される。
【0115】
表示部340は、LCD等により構成される表示装置であり、入力される表示信号に基づいて各種の情報を表示する。LCDは、Liquid Crystal Displayの略である。表示部340には操作部320として機能するタッチパネルが設けられていてもよい。
【0116】
半導体装置1は、処理部310から送信される各種のコマンドに基づいて音信号を生成して音再生装置3-1に出力する。音再生装置3-1は、前述の音再生装置3に対応する。また、半導体装置1は、前述の音源再生回路100を検査して検査結果を処理部310に送信し、処理部310が音源再生回路100の故障の有無を判定してもよい。あるいは、半導体装置1は、音源再生回路100の故障を検出した場合、音信号の出力先を音再生装置3-1から音再生装置3-2に切り替えてもよい。音再生装置3-2は、前述の音再生装置3aに対応する。
【0117】
半導体装置1は、比較的小さいサイズの検査回路110によって音源再生回路100を検査することができるので、電子機器300の低コスト化に有利である。
【0118】
このような電子機器300としては種々の電子機器が考えられ、例えば、警告装置、炊飯器、IHクッキングヒーター、掃除機、洗濯機等の各種の家庭用電気製品、電子時計、モバイル型、ラップトップ型、タブレット型などのパーソナルコンピューター、スマートフォンや携帯電話機などの移動体端末、ディジタルカメラ、インクジェットプリンターなどのインクジェット式吐出装置、ルーターやスイッチなどのストレージエリアネットワーク機器、ローカルエリアネットワーク機器、移動体端末基地局用機器、テレビ、ビデオカメラ、ビデオレコーダー、カーナビゲーション装置、リアルタイムクロック装置、ページャー、電子手帳、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ゲーム用コントローラー、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡等の医療機器、魚群探知機、各種測定機器、車両、航空機、船舶等の計器類、フライトシミュレーター、ヘッドマウントディスプレイ、モーショントレース、モーショントラッキング、モーションコントローラー、歩行者自立航法装置等が挙げられる。
【0119】
図16は、電子機器300の一例である警告装置300Aの構成例を示す図である。
図16において、
図15と同じ構成要素には同じ符号が付されている。
図16に示す警告装置300Aは、車両400に搭載されている。音再生装置3-1はスピーカーであり、音再生装置3-2~3-5はそれぞれブザーである。
【0120】
処理部310は、不図示の各種センサーからの信号に基づいて、各種の音声の再生コマ
ンド等を半導体装置1に送信する。各種の音声には、例えば、ブレーキ、エンジンオイル、パワーステアリング、ブレーキオーバーライドシステム等の異常、半ドアでの走行、ふらつき走行、パーキングブレーキの未解除での走行、シートベルトの未着用、先行車への接近等を通知するための人の声を模した音声や警告音、ウィンカー、ハザード、バック等を通知するための効果音等が含まれる。
【0121】
半導体装置1は、処理部310からのコマンドに基づいて、各種の音声に対応する複数の音源データの一部に基づいて音信号を生成して音再生装置3-1に出力する。また、半導体装置1は、前述の音源再生回路100を検査して検査結果を処理部310に送信し、処理部310が音源再生回路100の故障の有無を判定してもよい。あるいは、半導体装置1は、音源再生回路100の故障を検出した場合、音信号の出力先を音再生装置3-1から音再生装置3-2に切り替えてもよい。
【0122】
半導体装置1は、比較的小さいサイズの検査回路110によって音源再生回路100を検査することができるので、警告装置300Aの低コスト化に有利である。
【0123】
本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0124】
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0125】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0126】
上述した実施形態及び変形例から以下の内容が導き出される。
【0127】
半導体装置の一態様は、
第1の音源信号が入力され、前記第1の音源信号に基づく信号をシグマデルタ変調して第1のシグマデルタ変調信号を出力する第1の変調回路と、
前記第1のシグマデルタ変調信号に基づく信号をパルス幅変調して第1のパルス幅変調信号を出力する第2の変調回路と、
前記第1の変調回路を検査する第1の変調検査回路と、
前記第2の変調回路を検査する第2の変調検査回路と、
を備え、
前記第1の変調検査回路と前記第2の変調検査回路とが分離されている。
【0128】
この半導体装置では、第1の変調回路はデジタル信号処理により第1の音源信号を第1のシグマデルタ変調信号に変調するので、第1の変調検査回路はデジタル処理により第1の変調回路を検査することができる。また、第2の変調回路はデジタル信号処理により第1のシグマデルタ変調信号を第1のパルス幅変調信号に変調するので、第2の変調検査回路はデジタル処理により第2の変調回路を検査することができる。したがって、この半導体装置によれば、第1の変調検査回路及び第2の変調検査回路においてA/D変換器を必要とせず、比較的小さいサイズの回路によって、第1の変調回路及び第2の変調回路を含む音源再生回路を検査することができる。
【0129】
また、この半導体装置では、第1の変調検査回路と第2の変調検査回路とが分離されているので、第1の変調検査回路による第1の変調回路の検査と、第2の変調検査回路による第2の変調回路の検査とが互いに独立して行われる。したがって、例えば、外部装置が、第1の変調検査回路から出力される信号に基づいて第1の変調回路の故障検出を行うことができるとともに、第2の変調検査回路から出力される信号に基づいて第2の変調回路の故障検出を行うことができる。
【0130】
前記半導体装置の一態様において、
前記第1の変調回路は、前記第1の音源信号をデジタルフィルター処理した信号をシグマデルタ変調して前記第1のシグマデルタ変調信号を出力してもよい。
【0131】
前記半導体装置の一態様において、
前記第1の変調検査回路は、
検査モードにおいて、前記第1の音源信号に代えてインパルス信号及びステップ信号の少なくとも一方を前記第1の変調回路に入力し、前記第1の変調回路から出力される信号に基づいて前記第1の変調回路を検査してもよい。
【0132】
この半導体装置によれば、第1の変調検査回路は、インパルス信号及びステップ信号の少なくとも一方を第1の変調回路に入力したときに第1の変調回路から出力される信号に基づいて、デジタルフィルター処理を行う第1の変調回路の検査を精度良く行うことができる。
【0133】
前記半導体装置の一態様において、
前記第2の変調検査回路は、所定周期で前記第1のパルス幅変調信号に基づく信号を積分した信号と前記第1のシグマデルタ変調信号とを比較して前記第2の変調回路を検査してもよい。
【0134】
この半導体装置によれば、第2の変調検査回路は、第1のパルス幅変調信号を積分することにより情報を欠落させることなく第1のパルス幅変調信号を変換した信号と、第1のシグマデルタ変調信号とを比較することにより、第2の変調回路を精度良く検査することができる。
【0135】
前記半導体装置の一態様は、
前記第1のパルス幅変調信号を増幅した増幅信号を音再生装置に出力する増幅回路と、
前記増幅回路と前記音再生装置との接続を検査する接続検査回路と、
を備えてもよい。
【0136】
この半導体装置によれば、第1の変調回路、第2の変調回路及び増幅回路を含む音源再生回路の検査だけでなく、音源再生回路と音再生装置との接続も検査することができる。
【0137】
前記半導体装置の一態様において、
前記接続検査回路は、
電源とグラウンドとの間に、前記音再生装置の内部抵抗と直列に接続される検査用の抵抗と、
前記検査用の抵抗と前記内部抵抗との接続ノードの電圧に応じて周波数が変化する電圧制御発振器と、
を含み、
前記電圧制御発振器から出力される発振信号に基づいて、前記増幅回路と前記音再生装置との接続を検査してもよい。
【0138】
この半導体装置によれば、電圧制御発振器を用いて、検査用の抵抗と音再生装置の内部抵抗との接続ノードの電圧を高い分解能で測定することができる。したがって、検査用の抵抗を音再生装置の内部抵抗よりも十分に大きくして、音源再生回路と音再生装置との接続検査時の消費電流を低減させることができる。
【0139】
前記半導体装置の一態様は、
第2の音源信号が入力され、前記第2の音源信号に基づく信号をシグマデルタ変調して第2のシグマデルタ変調信号を出力する第3の変調回路と、
前記第2のシグマデルタ変調信号に基づく信号をパルス幅変調して第2のパルス幅変調信号を出力する第4の変調回路と、
前記第4の変調回路を検査する第3の変調検査回路と、
を備え、
前記第1の変調検査回路と前記第2の変調検査回路と前記第3の変調検査回路とが分離されており、
前記第1の変調検査回路は、前記第1の変調回路及び前記第3の変調回路を検査してもよい。
【0140】
この半導体装置では、第1の変調回路及び第2の変調回路を含む音源再生回路によって第1の音源信号を再生することができるとともに、第3の変調回路及び第4の変調回路を含む音源再生回路によって第2の音源信号を再生することができる。すなわち、この半導体装置によれば、2種類の音源信号を同時に再生可能であるが、第1の変調検査回路を第1の変調回路の検査と第3の変調回路の検査に兼用することにより、検査回路のサイズの増加量が低減される。
【0141】
また、この半導体装置では、第1の変調検査回路と第2の変調検査回路と第3の変調検査回路とが分離されているので、第1の変調検査回路による第1の変調回路及び第3の変調回路の検査と、第2の変調検査回路による第2の変調回路の検査と、第3の変調検査回路による第4の変調回路の検査とが互いに独立して行われる。したがって、例えば、外部装置が、第1の変調検査回路から出力される信号に基づいて第1の変調回路及び第3の変調回路の故障検出を行い、第2の変調検査回路から出力される信号に基づいて第2の変調回路の故障検出を行い、第3の変調検査回路から出力される信号に基づいて第4の変調回路の故障検出を行うことができる。
【0142】
電子機器の一態様は、
前記半導体装置の一態様と、
音再生装置と、
を備え、
前記半導体装置は、前記第1のパルス幅変調信号を増幅した増幅信号を前記音再生装置に出力する増幅回路を備える。
【0143】
この電子機器によれば、比較的小さいサイズの回路によって音源再生回路を検査することができる半導体装置を備えるので、低コスト化に有利である。
【符号の説明】
【0144】
1…半導体装置、2…マイクロコントロールユニット、3,3a,3-1~3-m…音再生装置、10…通信インターフェース回路、20…メモリー、21-1~21-n…音源データ、30,30a…変調回路、31…デジタルフィルター、32…シグマデルタ変調回路、40,40a…変調回路、41…パルス幅変調回路、50,50a…増幅回路、51P,51N…D級アンプ、60…変調検査回路、61…テスト信号生成回路、62…比較回路、70,70a…変調検査回路、71P,71N…2値化回路、72…変換回路、
73…比較回路、80,80a…スイッチ、90,90a…接続検査回路、91,92…抵抗、93,94,95…スイッチ、96…電圧制御発振器、97…カウンター、98…比較回路、100,100a…音源再生回路、110…検査回路、121-1~121-n…論理反転回路、122-1~122-n…容量、123-1~123-n…PMOSトランジスター、124…PMOSトランジスター、125…抵抗、126…演算増幅器、200…音再生装置の内部抵抗、300…電子機器、300A…警告装置、310…処理部、320…操作部、330…記憶部、340…表示部、400…車両