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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018314
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】気象予測装置及び気象予測方法
(51)【国際特許分類】
   G01W 1/00 20060101AFI20240201BHJP
   G01W 1/10 20060101ALI20240201BHJP
   G06N 20/10 20190101ALI20240201BHJP
   G06N 3/042 20230101ALI20240201BHJP
   G06N 7/01 20230101ALI20240201BHJP
【FI】
G01W1/00 Z
G01W1/10 Z
G06N20/10
G06N3/04 127
G06N7/00 150
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121568
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(74)【代理人】
【識別番号】100153040
【弁理士】
【氏名又は名称】川井 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 正雄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 綾美
(72)【発明者】
【氏名】西津 卓史
(72)【発明者】
【氏名】米倉 一男
(57)【要約】
【課題】気象に関する複数の予報に基づいて、気象に関しての精度が高い指標を得る。
【解決手段】気象予測装置20は、予測対象時における少なくとも予測対象を含む1以上の気象パラメータを予報した予報データを複数含む予測対象予報データを取得する予測対象予報データ取得部21と、予測対象予報データを予測モデルに入力することにより、予測対象時における予測対象の気象パラメータの観測値を含む予測観測データを取得する予測観測データ取得部であって、予測観測データは、複数の観測値又は観測値の確率分布を含む、予測観測データ取得部22と、予測観測データに基づいて、観測値等の確率分布である予測観測データ分布を算出する観測値分布算出部23と、予測観測データ分布を分類モデルからなる指標予測モデルに入力することにより指標を取得する指標取得部24とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気象に関する所定の指標を予測する気象予測装置であって、
特定の気象を表すパラメータである気象パラメータを予報の対象とし、前記指標の予測の対象の時点である予測対象時における、少なくとも予測対象の気象パラメータを含む1以上の前記気象パラメータを予報した予報データを複数含む予測対象予報データを取得する予測対象予報データ取得部と、
前記予測対象予報データを予測モデルに入力することにより、前記予測対象時における予測対象の前記気象パラメータに関する予測観測データを取得する予測観測データ取得部であって、前記予測観測データは、前記気象パラメータの複数の観測値若しくは該観測値に基づく所定の解析値、又は、前記観測値若しくは前記解析値の確率分布を含む、予測観測データ取得部と、
前記予測観測データに基づいて、前記観測値又は前記解析値の確率分布である予測観測データ分布を算出する観測値分布算出部と、
前記予測観測データ分布を指標予測モデルに入力することにより、気象に関する指標を取得する指標取得部であって、前記指標予測モデルは、各々が気象に関する所定の指標に対応する2以上のクラスに、前記予測観測データ分布により表される前記予測観測データを分類する分類モデルからなる、指標取得部と、を備え、
前記予測モデルは、
所定の統計解析手法に基づいて、複数の予報データを説明変数として観測データを目的変数として機械学習により生成された回帰モデルであって、
前記予報データは、予報の対象の時点である予報対象時における、少なくとも予測対象の前記気象パラメータを含む1以上の前記気象パラメータを予報したデータであり、
前記観測データは、前記予報対象時における前記予測対象の前記気象パラメータの観測値又は該観測値に基づく所定の解析値である、
気象予測装置。
【請求項2】
前記予測観測データ取得部は、モンテカルロドロップアウト手法により、前記予測観測データを取得する、
請求項1に記載の気象予測装置。
【請求項3】
前記予測モデルは、ガウス過程回帰に基づいて構成されたモデルであり、
前記予測観測データ取得部は、前記観測値又は前記解析値の確率分布を含む前記予測観測データを取得する、
請求項1に記載の気象予測装置。
【請求項4】
前記予測観測データ分布は、前記観測値又は前記解析値の平均値及び標準偏差により表される、
請求項1に記載の気象予測装置。
【請求項5】
前記予測モデルは、ガウス過程、ランダムフォレスト、サポートベクターマシン及びニューラルネットワークのいずれかにより構成される回帰モデルである、
請求項1に記載の気象予測装置。
【請求項6】
前記指標予測モデルは、所与の閾値に基づいて前記予測観測データ分布を分類する分類モデル及びサポートベクターマシンにより構成される分類モデルのいずれかである、
請求項1に記載の気象予測装置。
【請求項7】
前記予測対象の気象パラメータは、降水量であり、
前記予報データは、少なくとも降水量の予報を含み、
前記指標予測モデルは、降水量に関する所与の閾値に基づいて、前記予測対象時が雨季及び乾季のいずれかに該当するかを示す指標を出力する、
請求項1に記載の気象予測装置。
【請求項8】
気象に関する所定の指標を予測する気象予測装置における気象予測方法であって、
特定の気象を表すパラメータである気象パラメータを予報の対象とし、前記指標の予測の対象の時点である予測対象時における、少なくとも予測対象の気象パラメータを含む1以上の前記気象パラメータを予報した予報データである予測対象予報データを取得する予測対象予報データ取得ステップと、
前記予測対象予報データを予測モデルに入力することにより、前記予測対象時における予測対象の前記気象パラメータに関する予測観測データを取得する予測観測データ取得ステップであって、前記予測観測データは、前記気象パラメータの複数の観測値若しくは該観測値に基づく所定の解析値、又は、前記観測値若しくは前記解析値の確率分布を含む、予測観測データ取得ステップと、
前記予測観測データに基づいて、前記観測値又は前記解析値の確率分布である予測観測データ分布を算出する観測値分布算出ステップと、
前記予測観測データ分布を指標予測モデルに入力することにより、気象に関する指標を取得する指標取得ステップであって、前記指標予測モデルは、各々が気象に関する所定の指標に対応する2以上のクラスに前記予測観測データ分布により表される前記予測観測データを分類する分類モデルからなる、指標取得ステップと、を有し、
前記予測モデルは、
所定の統計解析手法に基づいて、予報データを説明変数として観測データを目的変数として機械学習により生成された回帰モデルであって、
前記予報データは、予報の対象の時点である予報対象時における、少なくとも予測対象の前記気象パラメータを含む1以上の前記気象パラメータを予報したデータであり、
前記観測データは、前記予報対象時における前記予測対象の前記気象パラメータの観測値又は該観測値に基づく所定の解析値である、
気象予測方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気象に関する所定の指標を予測する気象予測装置及び気象予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、気象機関が予報する気象に関する予報値を気象予報士が判断及び評価し、気象に関する所定の指標が予報されていた。例えば、降水量等の予報値に基づいて、降水量の多い時期である雨季及び降水量の少ない時期である乾季の指標を予報していた。また、特許文献1には、時空局所的な将来の気象条件変動を、気象に関する過去の時系列データに基づいて、推定誤差を含めて予測する技術が開示されている。この技術では、標準偏差に基づいて、予測誤差の推定値が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5339317号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
気象機関により予報される気象に関する予報値は、実際の観測値に対してずれる場合があるので、予報値に基づく指標の予報の精度は低かった。また、気象機関により予報される予報値は、同じ気象パラメータを対象とするものであっても複数の気象機関のそれぞれにおいて異なっており、複数の予報値に基づく指標の予報は困難であった。
【0005】
そこで、本開示の一側面は、気象に関する複数の予報に基づいて、気象に関しての精度が高い指標を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の一側面に係る気象予測装置は、気象に関する所定の指標を予測する気象予測装置であって、特定の気象を表すパラメータである気象パラメータを予報の対象とし、指標の予測の対象の時点である予測対象時における、少なくとも予測対象の気象パラメータを含む1以上の気象パラメータを予報した予報データを複数含む予測対象予報データを取得する予測対象予報データ取得部と、予測対象予報データを予測モデルに入力することにより、予測対象時における予測対象の気象パラメータに関する予測観測データを取得する予測観測データ取得部であって、予測観測データは、気象パラメータの複数の観測値若しくは該観測値に基づく所定の解析値、又は、観測値若しくは解析値の確率分布を含む、予測観測データ取得部と、予測観測データに基づいて、観測値又は解析値の確率分布である予測観測データ分布を算出する観測値分布算出部と、予測観測データ分布を指標予測モデルに入力することにより、気象に関する指標を取得する指標取得部であって、指標予測モデルは、各々が気象に関する所定の指標に対応する2以上のクラスに、予測観測データ分布により表される予測観測データを分類する分類モデルからなる、指標取得部と、を備え、予測モデルは、所定の統計解析手法に基づいて、複数の予報データを説明変数として観測データを目的変数として機械学習により生成された回帰モデルであって、予報データは、予報の対象の時点である予報対象時における、少なくとも予測対象の気象パラメータを含む1以上の気象パラメータを予報したデータであり、観測データは、予報対象時における予測対象の気象パラメータの観測値又は該観測値に基づく所定の解析値である。
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の一側面に係る気象予測方法は、気象に関する所定の指標を予測する気象予測装置における気象予測方法であって、特定の気象を表すパラメータである気象パラメータを予報の対象とし、指標の予測の対象の時点である予測対象時における、少なくとも予測対象の気象パラメータを含む1以上の気象パラメータを予報した予報データである予測対象予報データを取得する予測対象予報データ取得ステップと、予測対象予報データを予測モデルに入力することにより、予測対象時における予測対象の気象パラメータに関する予測観測データを取得する予測観測データ取得ステップであって、予測観測データは、気象パラメータの複数の観測値若しくは該観測値に基づく所定の解析値、又は、観測値若しくは解析値の確率分布を含む、予測観測データ取得ステップと、予測観測データに基づいて、観測値又は解析値の確率分布である予測観測データ分布を算出する観測値分布算出ステップと、予測観測データ分布を指標予測モデルに入力することにより、気象に関する指標を取得する指標取得ステップであって、指標予測モデルは、各々が気象に関する所定の指標に対応する2以上のクラスに予測観測データ分布により表される予測観測データを分類する分類モデルからなる、指標取得ステップと、を有し、予測モデルは、所定の統計解析手法に基づいて、予報データを説明変数として観測データを目的変数として機械学習により生成された回帰モデルであって、予報データは、予報の対象の時点である予報対象時における、少なくとも予測対象の気象パラメータを含む1以上の気象パラメータを予報したデータであり、観測データは、予報対象時における予測対象の気象パラメータの観測値又は該観測値に基づく所定の解析値である。
【0008】
上記の側面によれば、複数の予報データを説明変数とし予測対象時の観測データを目的変数として機械学習により生成された回帰モデルからなる予測モデルに、複数の予測対象予報データを入力することにより、予報データにおけるゆらぎが考慮された予測観測データが得られる。また、予測観測データが予測対象の複数の観測値若しくは解析値(以後、「観測値等」とする)又は観測値等の確率分布を含むので、予測観測データは、観測値等の予測における不確かさを内包する。そして、不確かさを含んだ予測観測データに基づいて算出された予測観測データ分布には、予測対象の観測値等の分散が表されているので、予測観測データ分布を指標予測モデルに入力することにより、精度の高い指標を得ることが可能となる。
【0009】
他の側面に係る気象予測装置では、予測観測データ取得部は、モンテカルロドロップアウト手法により、予測観測データを取得することとしてもよい。
【0010】
上記の側面によれば、複数の観測値等を含み観測値等における不確かさを適切に表した予測観測データを容易に得ることができる。
【0011】
他の側面に係る気象予測装置では、予測モデルは、ガウス過程回帰に基づいて構成されたモデルであり、予測観測データ取得部は、観測値又は解析値の確率分布を含む予測観測データを取得することとしてもよい。
【0012】
上記の側面によれば、観測値等の確率分布を含み観測値等における不確かさを適切に表した予測観測データを容易に得ることができる。
【0013】
他の側面に係る気象予測装置では、予測観測データ分布は、観測値又は解析値の平均値及び標準偏差により表されることとしてもよい。
【0014】
上記の側面によれば、予測観測データ分布において予測対象の観測値等の不確かさを好適に表現することができる。そして、そのように構成された予測観測データ分布が指標予測モデルに入力されることにより、高精度な指標を得ることができる。
【0015】
他の側面に係る気象予測装置では、予測モデルは、ガウス過程、ランダムフォレスト、サポートベクターマシン及びニューラルネットワークのいずれかにより構成される回帰モデルであることとしてもよい。
【0016】
上記の側面によれば、予測モデルが上記例示される回帰モデルにより構成されることにより、誤差(不確かさ)の要素を適切に内包する予測観測データを得ることが可能となる。
【0017】
他の側面に係る気象予測装置では、指標予測モデルは、所与の閾値に基づいて予測観測データ分布を分類する分類モデル及びサポートベクターマシンにより構成される分類モデルのいずれかであることとしてもよい。
【0018】
上記の側面によれば、指標予測モデルが上記例示される分類モデルにより構成されることにより、気象に関する指標が容易に取得できる。
【0019】
他の側面に係る気象予測装置では、予測対象の気象パラメータは、降水量であり、予報データは、少なくとも降水量の予報を含み、指標予測モデルは、降水量に関する所与の閾値に基づいて、予測対象時が雨季及び乾季のいずれかに該当するかを示す指標を出力することとしてもよい。
【0020】
上記の側面によれば、予測対象の気象パラメータを降水量として構築された予測モデル及び指標予測モデルにより、雨季及び乾季のいずれかを示す指標を高精度且つ容易に取得できる。
【発明の効果】
【0021】
本開示の一側面によれば、気象に関する複数の予報に基づいて、気象に関しての精度が高い指標を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】予測モデル生成装置の機能構成を示すブロック図である。
図2】気象予測装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】気象予測装置及び端末のハードウェア構成を示す図である。
図4】予測モデルの概略構成を示す図である。
図5】予測モデルの学習及び生成に用いられる学習用データとしての予報データの構成及び含まれるデータの例を示す図である。
図6】予測モデルの学習及び生成に用いられる学習用データとしての観測データの構成及び含まれるデータの例を示す図である。
図7】予測観測データの予測及び気象に関する指標の取得の局面における予測モデル及び指標予測モデル並びに各種データの流れの概略構成を例示する図である。
図8】予測対象の気象パラメータを降水量として雨季及び乾季を示す指標を取得する処理の概略を示す図である。
図9】気象予測方法の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0024】
図1は、本実施形態に係る予測モデル生成装置10の機能構成を示すブロック図である。予測モデル生成装置10は、気象パラメータに基づいて観測値を予測する予測モデルを生成する装置である。予測モデルは、所定の統計解析手法に基づいて、複数の予報データを説明変数として観測データを目的変数として機械学習により生成される回帰モデルである。
気象パラメータは、特定の気象を表すパラメータであって、例えば、降水量、気温及び気圧等である。
【0025】
予測モデル生成装置10は、図1に示されるように、プロセッサ101を含むコンピュータにより構成され、機能的には、予報データ取得部11、観測データ取得部12、予測モデル生成部13及びモデル出力部14を備える。これらの各機能部11~14は、図3を参照して説明されるプロセッサ101にプログラムP1(予測モデル生成プログラム)が読み込まれて、そのプログラムが実行されることにより実現される。各機能部の説明は後述する。なお、本実施形態では、各機能部11~14が、気象予測装置20に構成されることとしているが、複数のコンピュータに分散して構成されることとしてもよい。
【0026】
また、予測モデル生成装置10は、予報データ記憶部15,観測データ記憶部16及び予測モデル記憶部17といった記憶手段を備える。なお、これらの記憶部15,16,17は、図1に示す例では、予測モデル生成装置10に構成されることとしているが、予測モデル生成装置10からアクセス可能に構成された他の装置に構成されてもよい。各記憶部の説明は後述する。
【0027】
図2は、本実施形態に係る気象予測装置20の機能構成を示すブロック図である。気象予測装置20は、気象に関する所定の指標を予測する装置である。
【0028】
気象予測装置20は、プロセッサ101を含むコンピュータにより構成され、機能的には、予測対象予報データ取得部21、予測観測データ取得部22、観測値分布算出部23、指標取得部24及び指標出力部25を備える。これらの各機能部21~25は、図3を参照して説明されるプロセッサ101にプログラムP1(気象予測プログラム)が読み込まれて、そのプログラムが実行されることにより実現される。各機能部の説明は後述する。なお、本実施形態では、各機能部21~25が、気象予測装置20に構成されることとしているが、複数のコンピュータに分散して構成されることとしてもよい。
【0029】
また、気象予測装置20は、予測対象予報データ記憶部26及び予測モデル記憶部17といった記憶手段を備える。なお、これらの記憶部26,27は、図2に示す例では、気象予測装置20に構成されることとしているが、気象予測装置20からアクセス可能に構成されてもよい。また、予測モデル生成装置10と気象予測装置20とは一つの装置として構成されてもよい。各記憶部の説明は後述する。
【0030】
図3は、予測モデル生成装置10及び気象予測装置20のハードウェア構成の一例を示す図であって、予測モデル生成装置10又は気象予測装置20として機能するコンピュータ100を示す。
【0031】
一例として、コンピュータ100はハードウェア構成要素として、プロセッサ101、主記憶部102、補助記憶部103、および通信部104を備える。
【0032】
プロセッサ101は、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを実行する演算装置である。プロセッサの例としてCPU(Central Processing Unit)およびGPU(Graphics Processing Unit)が挙げられるが、プロセッサ101の種類はこれらに限定されない。例えば、プロセッサ101は専用回路の組合せでもよい。専用回路はFPGA(Field-Programmable Gate Array)のようなプログラム可能な回路でもよいし、他の種類の回路でもよい。
【0033】
主記憶部102は、予測モデル生成装置10又は気象予測装置20を実現するためのプログラム、プロセッサ101から出力された演算結果などを記憶する装置である。主記憶部102は例えばROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)のうちの少なくとも一つにより構成される。
【0034】
補助記憶部103は、一般に主記憶部102よりも大量のデータを記憶することが可能な装置である。補助記憶部103は例えばハードディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性記憶媒体によって構成される。補助記憶部103は、コンピュータ100を予測モデル生成装置10又は気象予測装置20として機能させるためのプログラムP1と各種のデータとを記憶する。本実施形態では、予測モデル生成装置10を実現させるための予測モデル生成プログラム、気象予測装置20を実現させる気象予測プログラムは、プログラムP1として実装される。また、各記憶部15~17,26~27が予測モデル生成装置10及び気象予測装置20のいずれかに含まれる場合には、各記憶部15~17,26~27は、主記憶部102、補助記憶部103及びその他の記憶素子のいずれかに構成されてもよい。
【0035】
通信部104は、通信ネットワークを介して他のコンピュータとの間でデータ通信を実行する装置である。通信部104は例えばネットワークカードまたは無線通信モジュールにより構成される。
【0036】
予測モデル生成装置10及び気象予測装置20の各機能要素は、プロセッサ101または主記憶部102の上に、対応するプログラムP1を読み込ませてプロセッサ101にそのプログラムを実行させることで実現される。プログラムP1は、予測モデル生成装置10又は気象予測装置20の各機能要素を実現するためのコードを含む。プロセッサ101はプログラムP1に従って通信部104を動作させ、主記憶部102または補助記憶部103におけるデータの読み出しおよび書き込みを実行する。このような処理により、予測モデル生成装置10及び気象予測装置20の各機能要素が実現される。
【0037】
プログラムP1は、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどの有形の記録媒体に固定的に記録された上で提供されてもよい。あるいは、プログラムP1は、搬送波に重畳されたデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0038】
再び図1を参照して、予測モデル生成装置10の各機能部及び各記憶部を説明する。予報データ取得部11は、複数の予報データを含む学習用予報データを取得する。予報データは、少なくとも予測モデルにおける予測対象の気象パラメータを含む1以上の気象パラメータを予報したデータである。予報データは、予報の対象の時点である予報対象時における気象パラメータを、予報対象時以前に予報したデータである。
【0039】
図4は、予測モデルの概略構成を示す図である。図4に示されるように、予測モデルM1は、所定の統計解析手法に基づいて、複数の予報データを含む学習用予報データd11を説明変数として観測データd12を目的変数として機械学習により生成される回帰モデルにより構成される。
【0040】
本実施形態では、一例として、予測モデルM1は、降水量を予測対象の気象パラメータとするので、観測データd12は、降水量の観測値を含む。また、予測モデルM1は、降水量を予測するために、少なくとも降水量を含む1以上の気象パラメータを予報データとする。具体的には、予報データは、降水量、気温及び気圧を含むこととする。
【0041】
予報データ取得部11は、複数の気象機関の各々の予報に基づく複数の予報データを学習用予報データd11として取得してもよい。具体的には、予報データ取得部11は、予報データ記憶部15から学習用予報データd11を取得してもよい。予報データ記憶部15は、予め、気象機関により予報された予報データからなる学習用予報データd11を記憶している記憶手段である。
【0042】
図5は、予報データ記憶部15に記憶されている学習用予報データd11の構成及び含まれるデータの例を示す図である。図5に示されるように、予報データ記憶部15は、予報の対象の時点である予報対象時の気象パラメータを予報した予報データからなる学習用予報データd11を記憶している。また、学習用予報データd11は、同じ予報対象時の気象パラメータを予報した複数の予報データ(予報データ1,予報データ2,予報データ3)を記憶している。これらの予報データは、予報対象時の例えば14日前を予報出力時として予報された予報値を含む。また、一の予報データは、降水量、気温及び気圧を予報の対象の気象パラメータとして含む。
【0043】
気象機関は、独自に気象パラメータを予報するので、複数の気象機関の各々の予報に基づく予報データは、互いに異なる気象パラメータの予報値を含む。即ち、予報データ取得部11は、図5において予報データ1,予報データ2,予報データ3として例示されるような複数の予報データを取得することにより、複数の気象機関の各々に予報されたことに起因するゆらぎを含む学習用予報データd11を取得することとなる。
【0044】
また、予報データ取得部11は、一の気象機関による複数の予報のそれぞれに基づく複数の予報データを取得してもよい。気象機関は、一つの予報対象に関して、例えばアンサンブル予測といった手法により、複数又は分散を伴う予報データを出力する場合がある。予報データ記憶部15は、同一の予報対象に関して一つの気象機関により出力された複数の予報データを学習用予報データd11として記憶していることとしてもよい。この場合においても、予報データ取得部11は、同一の予報対象に関する複数の予報データを取得することにより、ゆらぎを含む学習用予報データd11を取得することとなる。
【0045】
再び図1を参照して、観測データ取得部12は、予報対象時における予測対象の気象パラメータの観測値又は当該観測値に基づく所定の解析値である観測データd12を取得する(なお、観測値又は解析値を、以後において「観測値等」と省略記載する場合がある)。
観測データd12は、予測モデルM1における予測対象の気象パラメータの観測値であってもよいし、観測値に基づく所定の演算等により得られる解析値であってもよい。
【0046】
具体的には、観測データ取得部12は、観測データ記憶部16から観測データd12を取得してもよい。観測データ記憶部16は、予め、例えば気象機関等により観測された観測データd12を記憶している記憶手段である。
【0047】
図6は、観測データ記憶部16に記憶されている観測データの構成及び含まれるデータの例を示す図である。図6に示されるように、観測データ記憶部16は、予報対象時における、予測モデルM1の予測対象の気象パラメータである降水量の観測値を記憶している。同じ予報対象時に関連付けられた学習用予報データd11と、予測対象の観測データd12とのペアにより、予測モデルM1の機械学習のための一つの学習用データが構成される。
【0048】
再び図1及び図4を参照して、予測モデル生成部13は、所定の統計解析手法に基づいて、学習用予報データd11を説明変数として観測データd12を目的変数とする予測モデルM1を機械学習により生成する。予測モデルM1は、例えば、ガウス過程、ランダムフォレスト、サポートベクターマシン及びニューラルネットワークのいずれかにより構成される回帰モデルであってもよい。これらの例示された回帰モデルは、いずれも当業者に技術的に周知のものである。予測モデル生成部13は、例えば、誤差逆伝搬学習法を一例とする機械学習の手法に基づいて、予測モデルM1を構成する重み等を更新する。即ち、予測モデル生成部13は、矢印udに示されるように、学習用予報データd11の入力に応じて予測モデルM1から出力されるモデル出力データmoと観測データd12との間の誤差情報erを用いて、予測モデルM1に含まれる重み等を更新することにより、予測モデルM1の学習を実施する。
【0049】
モデル出力部14は、予測モデル生成部13により生成された予測モデルM1を出力する。具体的には、モデル出力部14は、予測モデル記憶部17に学習済みの予測モデルM1を記憶させる。予測モデル記憶部17は、学習済みの又は学習過程の予測モデルM1を記憶させるための記憶手段である。
【0050】
続いて、図2及び図7を参照して、気象予測装置20の各機能部及び各記憶部を説明する。図7は、予測観測データの予測及び気象に関する指標の取得の局面における予測モデル及び指標予測モデル並びに各種データの流れの概略構成を例示する図である。
【0051】
予測対象予報データ取得部21は、予測対象予報データd21を取得する。予測対象予報データd21は、気象に関する指標の予測の対象の時点である予測対象時における、少なくとも予測対象の気象パラメータを含む1以上の気象パラメータを予報した予報データを複数含む。本実施形態では、予測対象予報データd21に含まれる予報データは、降水量、気温及び気圧の予報値を含む。
【0052】
具体的には、予測対象予報データ取得部21は、予測対象予報データ記憶部26から、予測対象予報データd21を取得してもよい。予測対象予報データ記憶部26は、予め、予測対象予報データd21を記憶している記憶手段である。
【0053】
予測対象予報データd21は、学習用予報データd11と同様の形式を有している。即ち、図5に例示したように、学習用予報データd11が3つの予報データからなる場合には、後に図8を参照して説明するように、予測対象予報データd21は、学習用予報データd11と同様に、3つの予報データからなる。予測対象予報データd21は、複数の気象機関の各々に予報された複数の予報データを含んでもよい。また、予測対象予報データd21は、一の気象機関による複数の予報値の基づく複数の予報データを含んでもよい。
【0054】
予測観測データ取得部22は、予測対象予報データd21を予測モデルM1に入力することにより、予測対象時における予測対象の気象パラメータの観測値又は当該観測値に基づく所定の解析値を含む予測観測データd22を取得する。予測観測データ取得部22は、予測モデル記憶部17に記憶されている学習済みの予測モデルM1を参照及び取得できる。
【0055】
予測観測データd22は、複数の観測値等mdを含む。また、予測観測データd22は、観測値等mdの確率分布を含んでもよい。観測値等mdを複数取得又は確率分布により取得するための手法は限定されないが、例えば、予測観測データ取得部22は、モンテカルロドロップアウト手法により、複数の観測値等mdからなる予測観測データd22を取得してもよい。モンテカルロドロップアウトは、ニューラルネットワークのニューロンをランダムに切り替えたり、中間層の一部をランダムに消去したりすることにより、分布を構成する複数の出力を得る手法である。このように予測観測データd22が取得されることにより、複数の観測値等を含み観測値等における不確かさを適切に表した予測観測データを容易に得ることができる。
【0056】
また、予測モデルM1が、ガウス過程回帰に基づいて構成されたモデルである場合には、予測観測データ取得部22は、観測値等mdの確率分布からなる予測観測データd22を取得してもよい。このように予測観測データd22が取得されることにより、観測値等の確率分布を含み観測値等における不確かさを適切に表した予測観測データを容易に得ることができる。
【0057】
観測値分布算出部23は、予測観測データd22に基づいて、観測値等mdの確率分布である予測観測データ分布d23を算出する。予測観測データ分布d23は、例えば、観測値等mdの平均値E及び標準偏差σにより表される。具体的には、観測値分布算出部23は、複数の観測値等mdに基づいて、予測観測データ分布d23を算出する。また、観測値分布算出部23は、観測値等mdの分布に基づいて、予測観測データ分布d23を取得してもよい。
【0058】
このように、予測観測データ分布d23において予測対象の観測値等の不確かさを好適に表現することができる。そして、そのように構成された予測観測データ分布d23が指標予測モデルM2に入力されることにより、高精度な指標を得ることができる。
【0059】
指標取得部24は、予測観測データ分布d23を指標予測モデルM2に入力することにより、気象に関する指標d24を取得する。指標予測モデルM2は、各々が気象に関する所定の指標d24に対応する2以上のクラスに予測観測データ分布d23により表される予測観測データを分類する分類モデルからなる。
【0060】
分類モデルの種別は限定されないが、指標予測モデルM2は、所与の閾値に基づいて予測観測データ分布d23を分類する分類モデル及びサポートベクターマシンにより構成される分類モデルのいずれかであってもよい。
【0061】
指標予測モデルM2が、所与の閾値に基づいて予測観測データ分布d23を分類する分類モデルにより構成される場合には、閾値は、任意に設定される値であってもよく、予測観測データ分布d23と指標との組合せの過去の実績に基づいて、設定されてもよい。
【0062】
また、指標予測モデルM2が、サポートベクターマシンにより構成される分類モデルにより構成される場合には、予測観測データ分布d23と指標との組合せの過去の実績に基づく機械学習により、指標予測モデルM2が生成されることとしてもよい。
【0063】
指標出力部25は、指標取得部24により取得された指標d24を出力する。出力の態様は限定されないが、指標出力部25は、所定の記憶手段に記憶させたり、所定の表示装置に表示させたり、所定の装置に送信したりすることにより、取得された指標d24を出力してもよい。
【0064】
次に、図8を参照して、気象に関する指標を予測する気象予測処理の具体例を説明する。図8は、予測対象の気象パラメータを降水量として雨季及び乾季を示す指標を取得する処理の概略を示す図である。また、予報データは、少なくとも降水量を含み、降水量、気温及び気圧を含む。
【0065】
予測対象予報データ取得部21は、予測対象予報データd21を取得する。予測対象予報データd21は、「2022/6/1 0:00」を予測対象時として、予測対象時の14日前に出力された予報データに基づく。予測対象予報データd21は、予報データ1,2,3を含む。これらの複数の予報データは、一の気象機関により予報された複数の予報データであってもよいし、複数の気象機関のそれぞれにより予報された予報データであってもよい。
【0066】
予測観測データ取得部22は、予測対象予報データd21を予測モデルM1に入力することにより、予測対象時における予測対象の気象パラメータの観測値等を含む予測観測データd22を取得する。図8に示される予測観測データd22は、例えば、モンテカルロドロップアウトといった手法により予測モデルM1から出力された複数の観測値等mdを含む。観測値等mdは、予測対象時における降水量の予測値である。
【0067】
観測値分布算出部23は、予測観測データd22に含まれる観測値等mdの確率分布である予測観測データ分布d23を算出する。予測観測データ分布d23は、観測値の平均値E及び標準偏差σにより表される。例えば任意に設定された重みnを用いて、予測観測データ分布d23(f(t))は、図8に示されるように、以下の式(1)により表される。
f(t)=E(t)+nσ(t) ・・・(1)
式(1)におけるtは、時刻を表す。
【0068】
指標取得部24は、予測観測データ分布d23を指標予測モデルM2に入力することにより、気象に関する指標d24を取得する。図8に示される例では、指標予測モデルM2は、閾値に基づいて予測観測データ分布d23を分類する分類モデルにより構成される。具体的には、指標予測モデルM2は、降水量に関する閾値を1mmとして、予測観測データ分布d23(式(1))に基づいて算出される、分布が考慮された降水量の上限値が閾値を超える場合には指標1(雨季)を出力し、閾値を超えない場合には指標0(乾季)を出力する。
【0069】
次に、図9を参照して、本実施形態の気象予測装置20の動作の例について説明する。図9は、気象予測装置20において実施される気象予測方法の処理内容を示すフローチャートである。
【0070】
ステップS1において、予測対象予報データ取得部21は、予測対象予報データd21を取得する。
【0071】
ステップS2において、予測観測データ取得部22は、予測対象予報データd21を予測モデルM1に入力する。そして、ステップS3において、予測観測データ取得部22は、予測対象時における予測対象の気象パラメータの観測値等を含む予測観測データd22を取得する。予測観測データd22は、複数の観測値等又は観測値等の確率分布を含む。
【0072】
ステップS4において、観測値分布算出部23は、予測観測データd22により表される観測値等mdの確率分布である予測観測データ分布d23を算出する。
【0073】
ステップS5において、指標取得部24は、予測観測データ分布d23を指標予測モデルM2に入力する。そして、ステップS6において、指標取得部24は、指標予測モデルM2の出力として、気象に関する指標d24を取得する。
【0074】
ステップS7において、指標出力部25は、指標取得部24により取得された指標d24を出力する。
【0075】
以上説明した本実施形態の気象予測装置20、気象予測方法及び気象予測プログラムによれば、複数の予報データを説明変数とし予測対象時の観測データを目的変数として機械学習により生成された回帰モデルからなる予測モデルに、複数の予測対象予報データを入力することにより、予報データにおけるゆらぎが考慮された予測観測データが得られる。また、予測観測データが予測対象の複数の観測値等又は観測値等の確率分布を含むので、予測観測データは、観測値等の予測における不確かさを内包する。そして、不確かさを含んだ予測観測データに基づいて算出された予測観測データ分布には、予測対象の観測値等の分散が表されているので、予測観測データ分布を指標予測モデルに入力することにより、精度の高い指標を得ることが可能となる。
【0076】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0077】
以下、本発明の要旨を示す。
[1]
気象に関する所定の指標を予測する気象予測装置であって、
特定の気象を表すパラメータである気象パラメータを予報の対象とし、前記指標の予測の対象の時点である予測対象時における、少なくとも予測対象の気象パラメータを含む1以上の前記気象パラメータを予報した予報データを複数含む予測対象予報データを取得する予測対象予報データ取得部と、
前記予測対象予報データを予測モデルに入力することにより、前記予測対象時における予測対象の前記気象パラメータに関する予測観測データを取得する予測観測データ取得部であって、前記予測観測データは、前記気象パラメータの複数の観測値若しくは該観測値に基づく所定の解析値、又は、前記観測値若しくは前記解析値の確率分布を含む、予測観測データ取得部と、
前記予測観測データに基づいて、前記観測値又は前記解析値の確率分布である予測観測データ分布を算出する観測値分布算出部と、
前記予測観測データ分布を指標予測モデルに入力することにより、気象に関する指標を取得する指標取得部であって、前記指標予測モデルは、各々が気象に関する所定の指標に対応する2以上のクラスに、前記予測観測データ分布により表される前記予測観測データを分類する分類モデルからなる、指標取得部と、を備え、
前記予測モデルは、
所定の統計解析手法に基づいて、複数の予報データを説明変数として観測データを目的変数として機械学習により生成された回帰モデルであって、
前記予報データは、予報の対象の時点である予報対象時における、少なくとも予測対象の前記気象パラメータを含む1以上の前記気象パラメータを予報したデータであり、
前記観測データは、前記予報対象時における前記予測対象の前記気象パラメータの観測値又は該観測値に基づく所定の解析値である、
気象予測装置。
[2]
前記予測観測データ取得部は、モンテカルロドロップアウト手法により、前記予測観測データを取得する。
[1]に記載の気象予測装置。
[3]
前記予測モデルは、ガウス過程回帰に基づいて構成されたモデルであり、
前記予測観測データ取得部は、前記観測値又は前記解析値の確率分布を含む前記予測観測データを取得する、
[1]に記載の気象予測装置。
[4]
前記予測観測データ分布は、前記観測値又は前記解析値の平均値及び標準偏差により表される、
[1]~[3]のいずれかに記載の気象予測装置。
[5]予測モデルの具体例限定、列挙。
前記予測モデルは、ガウス過程、ランダムフォレスト、サポートベクターマシン及びニューラルネットワークのいずれかにより構成される回帰モデルである、
[1]~[4]のいずれかに記載の気象予測装置。
[6]
前記指標予測モデルは、所与の閾値に基づいて前記予測観測データ分布を分類する分類モデル及びサポートベクターマシンにより構成される分類モデルのいずれかである、
[1]~[5]のいずれかに記載の気象予測装置。
[7]
前記予測対象の気象パラメータは、降水量であり、
前記予報データは、少なくとも降水量の予報を含み、
前記指標予測モデルは、降水量に関する所与の閾値に基づいて、前記予測対象時が雨季及び乾季のいずれかに該当するかを示す指標を出力する、
[1]~[6]のいずれかに記載の気象予測装置。
[8]
気象に関する所定の指標を予測する気象予測装置における気象予測方法であって、
特定の気象を表すパラメータである気象パラメータを予報の対象とし、前記指標の予測の対象の時点である予測対象時における、少なくとも予測対象の気象パラメータを含む1以上の前記気象パラメータを予報した予報データである予測対象予報データを取得する予測対象予報データ取得ステップと、
前記予測対象予報データを予測モデルに入力することにより、前記予測対象時における予測対象の前記気象パラメータに関する予測観測データを取得する予測観測データ取得ステップであって、前記予測観測データは、前記気象パラメータの複数の観測値若しくは該観測値に基づく所定の解析値、又は、前記観測値若しくは前記解析値の確率分布を含む、予測観測データ取得ステップと、
前記予測観測データに基づいて、前記観測値又は前記解析値の確率分布である予測観測データ分布を算出する観測値分布算出ステップと、
前記予測観測データ分布を指標予測モデルに入力することにより、気象に関する指標を取得する指標取得ステップであって、前記指標予測モデルは、各々が気象に関する所定の指標に対応する2以上のクラスに前記予測観測データ分布により表される前記予測観測データを分類する分類モデルからなる、指標取得ステップと、を有し、
前記予測モデルは、
所定の統計解析手法に基づいて、予報データを説明変数として観測データを目的変数として機械学習により生成された回帰モデルであって、
前記予報データは、予報の対象の時点である予報対象時における、少なくとも予測対象の前記気象パラメータを含む1以上の前記気象パラメータを予報したデータであり、
前記観測データは、前記予報対象時における前記予測対象の前記気象パラメータの観測値又は該観測値に基づく所定の解析値である、
気象予測方法。
【符号の説明】
【0078】
10 予測モデル生成装置
11 予報データ取得部
12 観測データ取得部
13 予測モデル生成部
14 モデル出力部
15 予報データ記憶部
16 観測データ記憶部
17 予測モデル記憶部
20 気象予測装置
21 予測対象予報データ取得部
22 予測観測データ取得部
23 観測値分布算出部
24 指標取得部
25 指標出力部
26 予測対象予報データ記憶部
d11 学習用予報データ
d12 観測データ
d21 予測対象予報データ
d22 予測観測データ
d23 予測観測データ分布
d24 指標
M1 予測モデル
M2 指標予測モデル
P1 プログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9