(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018324
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】車両警報装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240201BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
G08G1/16 C
H04N7/18 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121586
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】荒川 良作
(72)【発明者】
【氏名】原武 美沙枝
(72)【発明者】
【氏名】永田 絢香
(72)【発明者】
【氏名】馬場 弘幸
【テーマコード(参考)】
5C054
5H181
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054FC12
5C054FE14
5C054FE28
5C054HA30
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】混雑した道路状況下で運転者がすり抜け車両の存在を速やかに認識することができる車両警報装置を提供すること。
【解決手段】車両警報装置は、車両Vの後側方情報を取得する周囲情報取得部と、車両Vの運転者が視覚又は聴覚によって認識可能な態様で作動する報知装置と、後側方情報に基づいて車両Vの後側方に定められた後方死角領域AL1,AR1及び後方接近警報領域AL2,AR2における警報対象の存在を認識した場合、所定の報知態様で報知装置を作動させることによって警報対象の存在を報知する報知制御装置と、を備える。報知制御装置は、第1警報対象Vcの存在を認識した場合、第1態様の下で前記報知装置を作動させ、第1態様の下で報知装置を作動させている間に車両Vと第1警報対象Vcとの間をすり抜ける可能性のある第2警報対象Vfの存在を認識した場合、報知態様を第1態様から第2態様に切り替える。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲情報を取得する周囲情報取得部と、
前記車両の運転者が視覚又は聴覚によって認識可能な態様で作動する報知装置と、
前記周囲情報に基づいて前記車両の後側方における警報対象の存在を認識した場合、所定の報知態様で前記報知装置を作動させることによって前記警報対象の存在を報知する報知制御装置と、を備える車両警報装置であって、
前記報知制御装置は、
第1警報対象の存在を認識した場合、第1態様の下で前記報知装置を作動させ、
前記第1態様の下で前記報知装置を作動させている間に前記車両と前記第1警報対象との間をすり抜ける可能性のある第2警報対象の存在を認識した場合、前記報知態様を前記第1態様から第2態様に切り替えることを特徴とする車両警報装置。
【請求項2】
前記報知制御装置は、前記第1態様又は前記第2態様の下で前記報知装置を作動させている間に前記第1警報対象側への方向指示器スイッチの操作を検出した場合、前記報知態様を前記第1又は第2態様から第3態様に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の車両警報装置。
【請求項3】
前記報知装置は、運転者が認識可能な表示画面に画像を表示させる画像表示装置を備え、
前記報知制御装置は、
前記第1態様の下では、前記表示画面に前記第1警報対象の存在を示唆する報知画像を表示させ、
前記第2態様の下では、前記報知画像を前記第1態様よりも高い輝度で表示させ、
前記第3態様の下では、前記報知画像を前記第2態様よりも高い輝度で表示させるか又は前記報知画像を点滅させることを特徴とする請求項2に記載の車両警報装置。
【請求項4】
前記報知装置は、運転者が視認可能な表示画面に画像を表示させる画像表示装置を備え、
前記報知制御装置は、
前記第1態様の下では、前記表示画面に前記第1警報対象の存在を示唆する報知画像を表示させ、
前記第2態様の下では、前記報知画像を点滅させ、
前記第3態様の下では、前記報知画像を前記第2態様よりも短い周期で点滅させることを特徴とする請求項2に記載の車両警報装置。
【請求項5】
前記画像表示装置は、前記車両の車幅方向両側に設けられた車外後写鏡の少なくとも何れかの鏡面に画像を表示させることを特徴とする請求項3又は4に記載の車両警報装置。
【請求項6】
前記報知装置は、前記車両の車室内に設けられたスピーカに警告音を発音させる音響制御装置をさらに備え、
前記報知制御装置は、前記第2又は第3態様の下では、前記第1態様よりも警告音の音量を大きくすることを特徴とする請求項3又は4に記載の車両警報装置。
【請求項7】
前記報知装置は、前記車両の車室内に設けられたスピーカに警告音を発音させる音響制御装置をさらに備え、
前記報知制御装置は、前記第2又は第3態様の下では、前記第1態様よりも警告音の発音周期を短くすることを特徴とする請求項3又は4に記載の車両警報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両警報装置に関する。より詳しくは、車両の後側方における警報対象の存在を運転者に報知する車両警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通の安全性を向上させるため、ブラインドスポットインフォメーションシステム(以下「BSIシステム」との略称を用いる)の車両への搭載が進められている(特許文献1参照)。特許文献1に示されたBSIシステムでは、レーダやカメラによって運転者の死角に相当する車両後側方の所定の領域を監視するとともに、この領域内に他車両が存在することを認識した場合、例えばインジケータに他車両の存在を示唆する画像を表示する。特許文献1に記載の発明によれば、運転者はインジケータを視認することによって後側方における他車両の存在を速やかに認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで従来のBSIシステムの作動例について、
図2Bに示すような混雑した片側二車線の道路を走行している場合を例に説明する。
図2Bに示す例では、自車両Vに搭載されたBSIシステムは、その後側方を自車両Vとほぼ同じ速度で走行する他車両Vcを警報対象として認識し、インジケータに画像を表示することによってこの他車両Vcの存在を運転者に報知する。
【0005】
また
図2Bに示すように両車線とも混雑している場合、これら両車線の間を自動二輪車Vfがすり抜けてしまう場合がある。しかしながら従来のBSIシステムでは、このようなすり抜け車両の存在を想定していないため、既に他車両Vcを警報対象として認識し、この警報対象の存在を運転者に報知している間にこのような自動二輪車9cが自車両Vに接近しても、この自動二輪車Vfの存在を運転者に報知することができない。このため自車両Vの運転者は、自動二輪車Vfが自車両Vに十分に接近するか又は自動二輪車Vfが自車両Vを追い越すまで、その存在を認識することができない。
【0006】
本発明は、混雑した道路状況下で運転者がすり抜け車両の存在を速やかに認識することができる車両警報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る車両警報装置(例えば、後述の車両警報装置3)は、車両(例えば、後述の車両V)の周囲情報を取得する周囲情報取得部(例えば、後述の周囲情報取得部4)と、前記車両の運転者が視覚又は聴覚によって認識可能な態様で作動する報知装置(例えば、後述の報知装置5)と、前記周囲情報に基づいて前記車両の後側方における警報対象の存在を認識した場合、所定の報知態様で前記報知装置を作動させることによって前記警報対象の存在を報知する報知制御装置(例えば、後述の報知制御装置6)と、を備え、前記報知制御装置は、第1警報対象の存在を認識した場合、第1態様の下で前記報知装置を作動させ、前記第1態様の下で前記報知装置を作動させている間に前記車両と前記第1警報対象との間をすり抜ける可能性のある第2警報対象の存在を認識した場合、前記報知態様を前記第1態様から第2態様に切り替えることを特徴とする。
【0008】
(2)この場合、前記報知制御装置は、前記第1態様又は前記第2態様の下で前記報知装置を作動させている間に前記第1警報対象側への方向指示器スイッチ(例えば、後述の方向指示器スイッチ14)の操作を検出した場合、前記報知態様を前記第1又は第2態様から第3態様に切り替えることが好ましい。
【0009】
(3)この場合、前記報知装置は、運転者が認識可能な表示画面に画像を表示させる画像表示装置(例えば、後述の画像表示装置52)を備え、前記報知制御装置は、前記第1態様の下では、前記表示画面に前記第1警報対象の存在を示唆する報知画像(例えば、後述の報知画像P)を表示させ、前記第2態様の下では、前記報知画像を前記第1態様よりも高い輝度で表示させ、前記第3態様の下では、前記報知画像を前記第2態様よりも高い輝度で表示させるか又は前記報知画像を点滅させることが好ましい。
【0010】
(4)この場合、前記報知装置は、運転者が視認可能な表示画面に画像を表示させる画像表示装置(例えば、後述の画像表示装置52)を備え、前記報知制御装置は、前記第1態様の下では、前記表示画面に前記第1警報対象の存在を示唆する報知画像を表示させ、前記第2態様の下では、前記報知画像を点滅させ、前記第3態様の下では、前記報知画像を前記第2態様よりも短い周期で点滅させることが好ましい。
【0011】
(5)この場合、前記画像表示装置は、前記車両の車幅方向両側に設けられた車外後写鏡(例えば、後述の車外後写鏡51L,51R)の少なくとも何れかの鏡面に画像を表示させることが好ましい。
【0012】
(6)この場合、前記報知装置は、前記車両の車室内に設けられたスピーカ(例えば、後述のスピーカ53)に警告音を発音させる音響制御装置(例えば、後述の音響制御装置54)をさらに備え、前記報知制御装置は、前記第2又は第3態様の下では、前記第1態様よりも警告音の音量を大きくすることが好ましい。
【0013】
(7)この場合、前記報知装置は、前記車両の車室内に設けられたスピーカ(例えば、後述のスピーカ53)に警告音を発音させる音響制御装置(例えば、後述の音響制御装置54)をさらに備え、前記報知制御装置は、前記第2又は第3態様の下では、前記第1態様よりも警告音の発音周期を短くすることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
(1)本発明において、報知制御装置は、車両の周囲情報に基づいて車両の後側方における警報対象の存在を認識した場合、所定の報知態様で報知装置を作動させることによって警報対象の存在を運転者に報知する。特に本発明では、報知制御装置は、第1警報対象の存在を認識した場合、第1態様の下で報知装置を作動させることによってこの第1警報対象の存在を運転者に報知する。また報知制御装置は、第1態様の下で報知装置を作動させている間に車両と第1警報対象との間をすり抜ける可能性のある第2警報対象の存在を認識した場合、報知態様を第1態様から第2態様に切り替える。このように本発明によれば、報知態様を第1態様から第2態様に切り替えることにより、運転者は車両と第1警報対象との間をすり抜ける可能性のある第2警報対象の存在を速やかに認識することができるので、交通の安全性を向上することができる。
【0015】
(2)本発明において、報知制御装置は、第1態様又は第2態様の下で報知装置を作動させている間に第1警報対象側への方向指示器スイッチの操作を検出した場合、報知態様を第1又は第2態様から第3態様に切り替える。これにより、例えば運転者が第1又は第2警報対象の存在を認識しないまま、第1又は第2警報対象が走行する方へ車線を変更しようとした場合には、報知制御装置は第3態様の下で報知装置を作動させるので、運転者は第1又は第2警報対象の存在を速やかに認識することができる。
【0016】
(3)本発明において、報知制御装置は、第1態様の下では、表示画面に第1警報対象の存在を示唆する報知画像を表示させ、第2態様の下では、この報知画像を第1態様よりも高い輝度で表示させる。これにより運転者は、車両の後側方に第1警報対象が存在すること、及び車両と第1警報対象との間をすり抜ける可能性のある第2警報対象が存在することを速やかに認識することができる。また報知制御装置は、第3態様の下では、この報知画像を第2態様よりも高い輝度で表示させるか又はこの報知画像を点滅させることにより、運転者に対し自身が移動しようとする方向に第1又は第2警報対象が存在することを、第1又は第2態様よりも強く認識させることができる。
【0017】
(4)本発明において、報知制御装置は、第1態様の下では、表示画面に第1警報対象の存在を示唆する報知画像を表示させ、第2態様の下では、この報知画像を点滅させる。これにより運転者は、車両の後側方に第1警報対象が存在すること、及び車両と第1警報対象との間をすり抜ける可能性のある第2警報対象が存在することを速やかに認識することができる。また報知制御装置は、第3態様の下では、この報知画像を第2態様よりも短い周期で点滅させることにより、運転者に対し自身が移動しようとする方向に第1又は第2警報対象が存在することを、第1又は第2態様よりも強く認識させることができる。
【0018】
(5)運転者は、車線を変更するために車両の周囲の状況を確認する際、車外後写鏡を目視によって確認する場合が多い。そこで画像表示装置は、車両の車幅方向両側に設けられた車外後写鏡の少なくとも何れかの鏡面に画像を表示させることにより、警報対象の存在を効率的に認識させることができる。
【0019】
(6)本発明において、報知制御装置は、第2又は第3態様の下では、第1態様よりも警告音の音量を大きくすることにより、運転者に対し第1又は第2警報対象の存在を強く認識させることができる。
【0020】
(7)本発明において、報知制御装置は、第2又は第3態様の下では、第1態様よりも警告音の発音周期を短くすることにより、運転者に対し第1又は第2警報対象の存在を強く認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両警報装置及びこの車両警報装置が搭載された車両の構成を模式的に示す図である。
【
図2A】片側二車線の道路を走行している車両及びその周囲に存在する複数の他車両を上方から視た平面図である。
【
図2B】片側二車線の道路を走行している車両及びその周囲に存在する複数の他車両を上方から視た平面図である。
【
図3】右車外後写鏡の鏡面における報知画像の表示例を示す図である。
【
図4】車両の右後方死角領域内又は右後方接近警報領域内における警報対象の存在を運転者に報知する右後方報知処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
【
図5】
図2A及び
図2Bに示す状況下で
図4に示す右後方報知処理を実行した場合における報知態様の遷移を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係る車両警報装置について図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、本実施形態に係る車両警報装置1及びこの車両警報装置1が搭載された車両Vの構成を模式的に示す図である。
図1の上段には車両Vの平面図を示し、
図1の下段には車両Vの側面図を示す。なお以下では、車両Vは、運転者が着座する運転席が、進行方向に沿って視て車幅方向右側に設けられた所謂右ハンドルの四輪車両である場合について説明するが、本発明はこれに限らない。車両は、運転席が進行方向に沿って視て車幅方向左側に設けられた所謂左ハンドルの四輪車両であってもよい。
【0024】
車両Vは、車外に設けられた複数の方向指示器11L,11R,12L,12Rと、運転者が操舵操作を行うステリングホイール13と、このステアリングホイール13の近傍に設けられた方向指示器スイッチ14と、車体に設けられた外部センサユニット2と、これら方向指示器スイッチ14及び外部センサユニット2の検出信号に基づいて車両Vの周囲における移動体の存在を運転者に報知する車両警報装置3と、を備える。
【0025】
前側左方向指示器11Lは、車両Vの前部のうち進行方向に沿って視て左側に設けられ、後側左方向指示器12Lは、車両Vの後部のうち進行方向に沿って視て左側に設けられている。また前側右方向指示器11Rは、車両Vの前部のうち進行方向に沿って視て右側に設けられ、後側右方向指示器12Rは、車両Vの後部のうち進行方向に沿って視て右側に設けられる。図示しない制御装置は、運転者によって方向指示器スイッチ14が上方側へ傾倒操作されると左方向指示器11L,12Lを点滅させ、運転者によって方向指示器スイッチ14が下方側へ傾倒操作されると右方向指示器11R,12Rを点滅させる。
【0026】
外部センサユニット2は、前方カメラユニット20と、後方カメラユニット21と、複数(例えば、5つ)のライダユニット22a,22b,22c,22d,22eと、複数(例えば、5つ)のレーダユニット23a,23b,23c,23d,23eと、を備える。
【0027】
前方カメラユニット20は、車両Vの前方を撮影するカメラである。前方カメラユニット20は、例えば車両Vのルーフの車室内側のうちフロントウィンドウ寄りの位置に取り付けられている。前方カメラユニット20によって撮影された画像は、車両警報装置3の後述の周囲情報取得部4へ送信される。
【0028】
後方カメラユニット21は、車両Vの後方を撮影するカメラである。後方カメラユニット21は、例えば車両Vのルーフの車室内側のうちリアウィンドウ寄りの位置に取り付けられている。後方カメラユニット21によって撮影された画像は、周囲情報取得部4へ送信される。
【0029】
ライダユニット22a~22eは、それぞれパルス状に発光するレーザー照射に対する対象からの散乱光を測定することにより、車両Vの周囲の対象を検出するライダ(Light Detection and Ranging(LIDAR))である。第1ライダユニット22aは、車両Vの前部のうち進行方向に沿って視て右隅側に設けられ、車両Vの周囲の前方やや右側の対象を検出する。第2ライダユニット22bは、車両Vの前部のうち進行方向に沿って視て左隅側に設けられ、車両Vの周囲の前方やや左側の対象を検出する。第3ライダユニット22cは、車両Vの後部のうち車幅方向中央に設けられ、車両Vの周囲の後方の対象を検出する。第4ライダユニット22dは、車両Vの右側部のうち後部側に設けられ、車両Vの周囲の右側方やや後方側の対象を検出する。第5ライダユニット22eは、車両Vの左側部のうち後部側に設けられ、車両Vの周囲の左側方やや後方側の対象を検出する。これらライダユニット22a~22eの検出信号は、周囲情報取得部4へ送信される。
【0030】
レーダユニット23a~23eは、それぞれミリ波照射に対する対象物からの反射波を測定することにより、車両Vの周囲の対象を検出するミリ波レーダである。第1レーダユニット23aは、車両Vの前部のうち進行方向に沿って視て右隅側に設けられ、車両Vの周囲の前方やや右側の対象を検出する。第2レーダユニット23bは、車両Vの前部のうち進行方向に沿って視て左隅側に設けられ、車両Vの周囲の前方やや左側の対象を検出する。第3レーダユニット23cは、車両Vの前部のうち車幅方向中央に設けられ、車両Vの周囲の前方の対象を検出する。第4レーダユニット23dは、車両Vの後部のうち進行方向に沿って視て右隅側に設けられ、車両Vの周囲の後方やや右側の対象を検出する。第5レーダユニット23eは、車両Vの後部のうち進行方向に沿って視て左隅側に設けられ、車両Vの周囲の後方やや左側の対象を検出する。これらレーダユニット23a~23eの検出信号は、周囲情報取得部4へ送信される。
【0031】
車両警報装置3は、車両Vの周囲情報を取得する周囲情報取得部4と、車両Vの運転者が視覚又は聴覚によって認識可能な態様で作動する報知装置5と、周囲情報に基づいて車両Vの後側方における警報対象の存在を認識した場合、所定の報知態様で報知装置5を作動させることによって警報対象の存在を運転者に報知する報知制御装置6と、を備える。
【0032】
周囲情報取得部4は、前方カメラユニット20、後方カメラユニット21、ライダユニット22a~22e、及びレーダユニット23a~23eのうち一部又は全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行うことにより、車両Vの周囲の状態に関する周囲情報、特に車両Vの左右両側の後側方に存在する道路や物体の位置、形状、種類、速度等の情報(以下、これらをまとめて「後側方情報」ともいう)を取得するコンピュータである。周囲情報取得部4は、取得した後側方情報を、例えば報知制御装置6へ送信する。
【0033】
報知装置5は、車両Vの運転者が視覚又は聴覚によって認識可能な態様で作動することにより、運転者に対し各種情報を報知する。より具体的には、報知装置5は、車両Vの車幅方向両側に設けられた左車外後写鏡51L及び右車外後写鏡51Rと、報知制御装置6からの指令に基づいてこれら車外後写鏡51L,51Rの少なくとも何れかの鏡面に画像を表示させる画像表示装置52と、車室内に設けられたスピーカ53と、報知制御装置6からの指令に基づいてこのスピーカ53に警告音を発音させる音響制御装置54と、を備える。
【0034】
なお以下では、報知装置5は、運転者が視覚及び聴覚の両方で認識可能な態様で作動する場合について説明するが、本発明はこれに限らない。報知装置5は、運転者が視覚のみ又は聴覚のみで認識可能な態様で作動してもよい。また以下では、画像表示装置52は、車外後写鏡51L,51Rの鏡面を表示画面として利用する場合について説明するが、本発明はこれに限らない。画像表示装置52は、車室内に設けられたモニタやフロントガラス等を表示画面として利用し、この表示画面に画像を表示させてもよい。
【0035】
報知制御装置6は、周囲情報取得部4から送信される後側方情報に基づいて、車両Vの後側方に存在する移動体でありかつ後述の第1警報対象条件又は第2警報対象条件を満たすものを警報対象として認識するとともに、この警報対象を認識した場合、所定の報知態様で報知装置5を作動させることによってこの警報対象の存在を運転者に報知する。
【0036】
図2A及び
図2Bは、片側二車線の道路を走行している車両V及びその周囲に存在する他車両Va,Vb,Vc,Vd,Ve,Vfを上方から視た平面図である。なお
図2Bには、
図2Aに示す状態から数秒後の状態を示す。
【0037】
ここで車両Vの後側方に存在する移動体に対して定められる第1警報対象条件とは、車両Vの左右両後側方に定められた左後方死角領域AL1内又は右後方死角領域AR1内に存在すること、である。
図2A及び
図2Bに示すように、左後方死角領域AL1及び右後方死角領域AR1とは、車両Vの運転者にとって死角となる領域、すなわち車両Vの後側方のうち運転者から視て車外後写鏡51L,51Rの鏡面の中に写り込みにくい領域をいう。すなわち、報知制御装置6は、後方死角領域AL1,AR1内に他の移動体が存在する場合、これら後方死角領域AL1,AR1内に存在する移動体を警報対象として認識する。従って
図2A及び
図2Bに示す例では、車両Vに搭載された報知制御装置6は、右後方死角領域AR1内に存在する他車両Vcを警報対象として認識する。
【0038】
また車両Vの後側方に存在する移動体に対して定められる第2警報対象条件とは、車両Vの左右両後側方に定められた左後方接近警報領域AL2内又は右後方接近警報領域AR2内に存在しかつ所定の接近警報条件を満たすこと、である。ここで接近警報条件とは、車両Vに対する接近速度が所定速度以上であること、である。また
図2A及び
図2Bに示すように、左後方接近警報領域AL2は、上述の左後方死角領域AL1を包含しかつこの左後方死角領域AL1よりも車両Vの進行方向後方側へ所定距離長く定められる。また右後方接近警報領域AR2は、上述の右後方死角領域AR1を包含しかつこの右後方死角領域AR1とりも車両Vの進行方向後方側へ所定距離長く定められる。すなわち、報知制御装置6は、後方接近警報領域AL2,AR2内に存在しかつ所定速度以上の接近速度で車両Vに接近する移動体を警報対象として認識する。従って
図2Bに示す例では、車両Vに搭載された報知制御装置6は、右後方接近警報領域AR2内に存在しかつ車両Vと上述のように警報対象として既に認識している他車両Vcとの間をすり抜けて走行しようとする自動二輪車である他車両Vfを警報対象として認識する。
【0039】
報知制御装置6は、周囲情報取得部4から送信される後側方情報に基づいて、以上のような手順に従って警報対象の存在を認識した場合、車両Vの車幅方向両側に設けられた2つの車外後写鏡51L,51Rのうち警報対象が存在する方の鏡面にこの警報対象の存在を示唆する報知画像を所定の態様で表示させたり、スピーカ53に警告音を所定の態様で発音させたりすることによって、運転者に警報対象の存在を報知する。すなわち、報知制御装置6は、左後方死角領域AL1内又は左後方接近警報領域AL2内に警報対象の存在を認識した場合、左車外後写鏡51Lの鏡面に報知画像を表示させたりスピーカ53に警告音を発音させたりする。また報知制御装置6は、右後方死角領域AR1内又は右後方接近警報領域AR2内に警報対象の存在を認識した場合、右車外後写鏡51Rの鏡面に報知画像を表示させたりスピーカ53に警告音を発音させたりする。
【0040】
図3は、右車外後写鏡51Rの鏡面における報知画像Pの表示例を示す図である。より具体的には、
図3には、
図2Bに示す位置を走行している車両Vの右車外後写鏡51Rの鏡面に報知画像Pを表示した場合を示す。
【0041】
図3に示すように、車両Vの右車外後写鏡51Rの鏡面には、右後方死角領域AR1内に存在する他車両Vcと、この車両Vcの後続車である他車両Vdと、車両Vの後続車である他車両Vbと、車両Vと他車両Vcとの間をすり抜けようとする他車両Vfとが写り込む。報知制御装置6は、上述のような手順によって他車両Vcや他車両Vfを警報対象として認識した場合、このように複数の他車両が写り込んだ右車外後写鏡51Rの鏡面の運転者から視て上方の右隅に、これら警報対象の存在を示唆する報知画像Pを重畳表示することにより、運転者に対し警報対象の存在を報知する。
【0042】
図4は、車両Vの右後方死角領域AR1内又は右後方接近警報領域AR2内における警報対象の存在を運転者に報知する右後方報知処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
図4に示す右後方報知処理は、運転者によって図示しないスタートスイッチが操作され、車両Vが走行可能な状態となった後、報知制御装置6によって所定の制御周期の下で繰り返し実行される。なお車両Vの左後方死角領域AL1内又は左後方接近警報領域AL2内における警報対象の存在を運転者に報知する左後方報知処理の具体的な手順は、
図4に示す右後方報知処理とほぼ同じであるので、図示及び詳細な説明を省略する。
【0043】
始めにステップST1では、報知制御装置6は、周囲情報取得部4から送信される後側方情報に基づいて、右後方死角領域AR1内又は右後方接近警報領域AR2内に存在する警報対象を認識する警報対象認識処理を実行し、ステップST2に移る。
【0044】
この警報対象認識処理では、報知制御装置6は、先ず後側方情報に基づいて右後方接近警報領域AR2内に存在する移動体を抽出する。次に報知制御装置6は、上述の第1及び第2警報対象条件の何れかを満たすか否かを抽出した移動体毎に判定し、第1及び第2警報対象条件の何れかを満たす移動体を警報対象として認識する。なお以下では、この警報対象認識処理によって警報対象として認識された移動体の台数を認識数という。
【0045】
次にステップST2では、報知制御装置6は、認識数は0台であるか否かを判定する。報知制御装置6は、ステップST2の判定結果がYESである場合、すなわち車両Vの右後方死角領域AR1内又は右後方接近警報領域AR2内に警報対象が存在しない場合、ステップST3に移る。ステップST3では、報知制御装置6は、報知装置5を作動させずに右後方報知処理を終了する。
【0046】
また報知制御装置6は、ステップST2の判定結果がNOである場合、すなわち車両Vの右後方死角領域AR1内又は右後方接近警報領域AR2内に少なくとも1台の警報対象が存在する場合、ステップST4に移る。
【0047】
ステップST4では、報知制御装置6は、認識数は1台であるか否かを判定する。報知制御装置6は、ステップST4の判定結果がYESである場合、すなわち車両Vの右後方死角領域AR1内又は右後方接近警報領域AR2内に警報対象が1台のみ存在する場合、ステップST5に移る。また報知制御装置6は、ステップST4の判定結果がYESである場合、すなわち車両Vの右後方死角領域AR1内又は右後方接近警報領域AR2内に警報対象が2台以上存在する場合、ステップST7に移る。
【0048】
ステップST5では、報知制御装置6は、認識されている警報対象側(すなわち、運転者の右手側)への方向指示器スイッチがオンに操作されているか否かを判定する。報知制御装置6は、ステップST5の判定結果がNOである場合、ステップST6に移る。
【0049】
ステップST6では、報知制御装置6は、報知装置5を第1態様で作動させることにより、この警報対象の存在を運転者に報知し、右後方報知処理を終了する。より具体的には、報知制御装置6は、第1態様の下では、例えば
図3に例示するように、右車外後写鏡51Rの鏡面に警報対象の存在を示唆する報知画像Pを表示させることにより、警報対象の存在を運転者に報知する。なおこの第1態様の下では、報知制御装置6は、報知画像Pを所定の輝度で常時点灯させることが好ましい。また本実施形態では、運転者に煩わしさを感じさせないようにするため、第1態様の下では報知制御装置6は警告音を発音させない場合について説明するが、本発明はこれに限らない。報知制御装置6は、運転者に煩わしさを感じさせない程度の音量及び発音周期で警告音を発音させてもよい。
【0050】
ステップST7では、報知制御装置6は、認識されている警報対象側(すなわち、運転者の右手側)への方向指示器スイッチがオンに操作されているか否かを判定する。報知制御装置6は、ステップST7の判定結果がNOである場合、ステップST8に移る。
【0051】
ステップST8では、報知制御装置6は、認識されている全ての警報対象の中に、車両Vと他の警報対象との間をすり抜ける可能性のある警報対象が存在するか否かを判定する。より具体的には、報知制御装置6は、先ず、認識されている全ての警報対象の中から最も右後方死角領域AR1に近い位置に存在する警報対象を並走車両として特定するとともに、後側方情報に基づいて車両Vの警報対象側の側面と並走車両の車両V側の側面との間の車幅方向距離を算出する。次に報知制御装置6は、後側方情報に基づいて、並走車両を除く全ての警報対象の車幅長及び車両Vに対する速度差を算出する。次に報知制御装置6は、並走車両を除く全ての警報対象のうち、車幅長が車両Vと並走車両との間の車幅方向距離より短くかつ速度差が所定の速度差閾値より大きいものが存在する場合、車両Vと並走車両との間をすり抜ける可能性のある警報対象が存在すると判定する。
【0052】
報知制御装置6は、ステップST8の判定結果がNOである場合、すなわち認識されている全ての警報対象の中に、車両Vと他の警報対象との間をすり抜ける可能性のある警報対象が存在しないと判定した場合、ステップST6に移り、報知装置5を第1態様で作動させることにより、これら警報対象の存在を運転者に報知する。
【0053】
報知制御装置6は、ステップST8の判定結果がYESである場合、すなわち認識されている全ての警報対象の中に、車両Vと他の警報対象との間をすり抜ける可能性のある警報対象が存在する場合、ステップST9に移る。ステップST9では、報知制御装置6は、報知装置5を上述の第1態様と異なる第2態様で作動させることにより、すり抜け可能性のある警報対象の存在を運転者に報知し、右後方報知処理を終了する。より具体的には、報知制御装置6は、第2態様の下では、第1態様と同様に右車外後写鏡51Rの鏡面に警報対象の存在を示唆する報知画像Pを表示させることにより、警報対象の存在を運転者に報知する。なおこの第2態様の下では、報知制御装置6は、すり抜け可能性のある警報対象の存在を運転者に報知するため、報知画像Pを第1態様よりも高い輝度で表示させることが好ましい。また上述のように第1態様の下では報知画像Pを常時点灯させる場合、報知制御装置6は、第2態様の下では報知画像Pを所定の周期で点滅させてもよい。また報知制御装置6は、すり抜け可能性のある警報対象の存在を運転者に報知するため、上述のような報知画像Pの表示と併せて第1態様よりも大きな音量又は第1態様よりも短い発音周期で警告音を発音させてもよい。
【0054】
報知制御装置6は、ステップST5又はステップST7の判定結果がYESである場合、すなわち少なくとも1台の警報対象が認識されている状態で、この警報対象側への方向指示器スイッチがオンに操作されている場合、ステップST10に移る。ステップST10では、報知制御装置6は、報知装置5を上述の第1及び第2態様と異なる第3態様で作動させることにより、警報対象の存在を運転者に強く報知し、右後方報知処理を終了する。より具体的には、報知制御装置6は、第3態様の下では、第1及び第2態様と同様に右車外後写鏡51Rの鏡面に警報対象の存在を示唆する報知画像Pを表示させることにより、警報対象の存在を運転者に報知する。なおこの第3態様の下では、報知制御装置6は、警報対象の存在を強く運転者に報知するため、報知画像Pを第2態様よりも高い輝度で表示させることが好ましい。また上述のように第2態様の下では報知画像Pを所定の周期で点滅させる場合、報知制御装置6は、第3態様の下では報知画像Pを第2態様よりも短い周期で点滅させてもよい。また報知制御装置6は、警報対象の存在を運転者に強く報知するため、上述のような報知画像Pの表示と併せて第1態様よりも大きな音量又は第1態様よりも短い発音周期で警告音を発音させてもよい。また報知制御装置6は、上述の第2態様よりも強く警報対象の存在を運転者に報知するため、第2態様よりも大きな音量又は第2態様よりも短い発音周期で警告音を発音させてもよい。
【0055】
次に、
図2A及び
図2Bに示す状況下で
図4に示す右後方報知処理を実行した場合における報知態様の遷移について、
図5に示すタイムチャートを参照しながら説明する。なお
図5のタイムチャートにおいて、時刻t0では車両V及び他車両Va~Vfは
図2Aに示すような位置に存在し、時刻t1以降では車両V及び他車両Va~Vfは
図2Bに示すような位置に存在するものとする。
【0056】
先ず時刻t0~t1の間では、報知制御装置6は、警報対象認識処理(
図4のステップST1参照)を実行することにより、車両Vの後側方に存在する複数の他車両Vb~Vfの中から、右後方死角領域AR1内に存在する他車両Vcを第1警報対象として認識する。なお時刻t0~t1の間では、他車両Vb,Vfは右後方接近警報領域AR2外に存在するため、警報対象として認識されない。また時刻t0~t1の間では、他車両Vd,Veは右後方接近警報領域AR2内に存在するが、車両Vに対する接近速度が所定速度未満であるため、警報対象として認識されない。このように時刻t0~t1の間では、報知制御装置6は、他車両Vcのみを警報対象として認識しているため、報知装置5を第1態様で作動させることによってこの警報対象の存在を運転者に報知する。より具体的には、報知制御装置6は、第1態様の下では
図3に例示するように右車外後写鏡51Rの鏡面に報知画像Pを所定の第1輝度で常時点灯させることにより、警報対象の存在を運転者に報知する。
【0057】
次に時刻t1では、
図2Bに示すように他車両Vfが車両Vよりも高い速度で右後方接近警報領域AR2内に進入する。このため時刻t1以降では、報知制御装置6は、警報対象認識処理(
図4のステップST1参照)を実行することにより、車両Vの後側方に存在する複数の他車両Vb~Vfの中から、右後方死角領域AR1内に存在する他車両Vcを第1警報対象として継続して認識するとともに、右後方接近警報領域AR2内に進入した他車両Vfを第2警報対象として認識する。なお時刻t1以降では、他車両Vb,Vd,Veは、時刻t0~t1の間と同じ理由によって警報対象として認識されない。
【0058】
また時刻t1以降では、報知制御装置6は、第2警報対象として認識している他車両Vfの車幅長が車両Vと第1警報対象との間の車幅方向距離より短くかつ速度差が速度差閾値より大きいと判断することにより、この第2警報対象は車両Vと第1警報対象との間をすり抜ける可能性があると判定する(
図4のステップST8参照)。このため報知制御装置6は、時刻t1において車両Vと第1警報対象との間をすり抜ける可能性のある第2警報対象の存在を認識したことに応じて、報知態様を第1態様から第2態様に切り替えて報知装置5を作動させ続けることにより(
図4のステップST9参照)、この第2警報対象の存在を運転者に報知する。より具体的には、報知制御装置6は、第2態様の下では報知画像Pを上述の第1輝度とこの第1輝度よりも高く定められた第2輝度との間で点滅させることにより、第2警報対象の存在を運転者に報知する。なおこの第2態様の下では、報知制御装置6は、スピーカ53から警告音を発音させてもよい。
【0059】
その後時刻t2では、報知制御装置6は、第1及び第2警報対象側への方向指示器スイッチが運転者によってオンに操作されたことを検出する(
図4のステップST7参照)。このため報知制御装置6は、時刻t2において第1及び第2警報対象側への方向指示器スイッチがオンに操作されたことを検出したことに応じて、報知態様を第2態様から第3態様に切り替えて報知装置5を作動させ続けることにより(
図4のステップST10参照)、運転者が車線変更しようとする方向には第1及び第2警報対象が存在することを運転者に報知する。より具体的には、報知制御装置6は、第3態様の下では報知画像Pを上述の第2輝度と上述の第1輝度よりも低く定められた第3輝度との間で、第2態様よりも短い周期で点滅させることにより、これら第1及び第2警報対象の存在を運転者に強く報知する。なおこの第3態様の下では、報知制御装置6は、スピーカ53から警告音を発音させてもよい。
【0060】
本実施形態に係る車両警報装置3によれば、以下の効果を奏する。
(1)報知制御装置6は、車両Vの後側方情報に基づいて車両Vの後側方における警報対象の存在を認識した場合、所定の報知態様で報知装置5を作動させることによって警報対象の存在を運転者に報知する。特に本実施形態では、報知制御装置6は、第1警報対象の存在を認識した場合、第1態様の下で報知装置5を作動させることによってこの第1警報対象の存在を運転者に報知する。また報知制御装置6は、第1態様の下で報知装置5を作動させている間に車両Vと第1警報対象との間をすり抜ける可能性のある第2警報対象の存在を認識した場合、報知態様を第1態様から第2態様に切り替える。このように本実施形態によれば、報知態様を第1態様から第2態様に切り替えることにより、運転者は車両Vと第1警報対象との間をすり抜ける可能性のある第2警報対象の存在を速やかに認識することができるので、交通の安全性を向上することができる。
【0061】
(2)報知制御装置6は、第1態様又は第2態様の下で報知装置を作動させている間に第1警報対象側への方向指示器スイッチ14の操作を検出した場合、報知態様を第1又は第2態様から第3態様に切り替える。これにより、例えば運転者が第1又は第2警報対象の存在を認識しないまま、第1又は第2警報対象が走行する方へ車線を変更しようとした場合には、報知制御装置6は第3態様の下で報知装置を作動させるので、運転者は第1又は第2警報対象の存在を速やかに認識することができる。
【0062】
(3)報知制御装置6は、第1態様の下では、表示画面に第1警報対象の存在を示唆する報知画像Pを表示させ、第2態様の下では、この報知画像Pを第1態様よりも高い輝度で表示させる。これにより運転者は、車両の後側方に第1警報対象が存在すること、及び車両Vと第1警報対象との間をすり抜ける可能性のある第2警報対象が存在することを速やかに認識することができる。また報知制御装置6は、第3態様の下では、この報知画像Pを第2態様よりも高い輝度で表示させるか又はこの報知画像Pを点滅させることにより、運転者に対し自身が移動しようとする方向に第1又は第2警報対象が存在することを、第1又は第2態様よりも強く認識させることができる。
【0063】
(4)報知制御装置6は、第1態様の下では、表示画面に第1警報対象の存在を示唆する報知画像Pを表示させ、第2態様の下では、この報知画像Pを点滅させる。これにより運転者は、車両の後側方に第1警報対象が存在すること、及び車両Vと第1警報対象との間をすり抜ける可能性のある第2警報対象が存在することを速やかに認識することができる。また報知制御装置6は、第3態様の下では、この報知画像Pを第2態様よりも短い周期で点滅させることにより、運転者に対し自身が移動しようとする方向に第1又は第2警報対象が存在することを、第1又は第2態様よりも強く認識させることができる。
【0064】
(5)運転者は、車線を変更するために車両の周囲の状況を確認する際、車外後写鏡51L,51Rを目視によって確認する場合が多い。そこで画像表示装置52は、車両の車幅方向両側に設けられた車外後写鏡51L,51Rの少なくとも何れかの鏡面に画像を表示させることにより、警報対象の存在を効率的に認識させることができる。
【0065】
(6)報知制御装置6は、第2又は第3態様の下では、第1態様よりも警告音の音量を大きくすることにより、運転者に対し第1又は第2警報対象の存在を強く認識させることができる。
【0066】
(7)報知制御装置6は、第2又は第3態様の下では、第1態様よりも警告音の発音周期を短くすることにより、運転者に対し第1又は第2警報対象の存在を強く認識させることができる。
【0067】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限らない。本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0068】
V…車両
14…方向指示器スイッチ
2…外部センサユニット
3…車両警報装置
4…周囲情報取得部
5…報知装置
51L…左車外後写鏡
51R…右車外後写鏡
52…画像表示装置
53…スピーカ
54…音響制御装置
6…報知制御装置