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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018343
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】音声再生装置及び音声再生方法
(51)【国際特許分類】
   G10K 15/04 20060101AFI20240201BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
G10K15/04 302J
H04R3/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121623
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松浦 一茂
【テーマコード(参考)】
5D220
【Fターム(参考)】
5D220AA31
(57)【要約】
【課題】滑らかに変化するフェード機能を実現可能な音声再生装置を提供する。
【解決手段】複数の音声フレーズの各々に対応する複数の音声データの系列が格納されかつ当該複数の音声データの系列の各々が格納されているアドレスを示す管理情報を格納する外部メモリに接続され、外部メモリから音声データの系列を音声フレーズ毎に読み出して音声の再生を行う音声再生装置であって、シリアル通信を行うシリアルインタフェースと、外部メモリからシリアルインタフェースを介して伝送された少なくとも2以上の音声フレーズの音声データの系列に対応する管理情報を記憶するレジスタと、レジスタに記憶された管理情報に基づいて、シリアルインタフェースを介して外部メモリから音声データの系列の読み出しを音声フレーズ毎に行い、当該音声フレーズ毎の音声データの系列の読み出し順に音声を再生する再生制御回路と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の音声フレーズの各々に対応する複数の音声データの系列が格納されかつ当該複数の音声データの系列の各々が格納されているアドレスを示す管理情報を格納する外部メモリに接続され、前記外部メモリから前記音声データの系列を音声フレーズ毎に読み出して音声の再生を行う音声再生装置であって、
前記外部メモリとの間でシリアル通信を行うシリアルインタフェースと、
前記外部メモリから前記シリアルインタフェースを介して伝送された少なくとも2以上の前記音声フレーズの音声データの系列に対応する前記管理情報を記憶するレジスタと、
前記レジスタに記憶された前記管理情報に基づいて、前記シリアルインタフェースを介して前記外部メモリから前記音声データの系列の読み出しを音声フレーズ毎に行い、当該音声フレーズ毎の音声データの系列の読み出し順に音声を再生する再生制御回路と、
を有することを特徴とする音声再生装置。
【請求項2】
前記再生制御回路は、1の音声フレーズの音声と他の音声フレーズの音声とを連続して再生することが可能に構成され、
少なくとも前記1の音声フレーズの音声データの系列の前記外部メモリからの読み出しを開始する前に、前記1の音声フレーズ及び前記他の音声フレーズを含む複数の音声フレーズの音声データの系列に対応する前記管理情報を前記シリアルインタフェースを介して前記外部メモリから読み出し、前記レジスタに記憶させることを特徴とする請求項1に記載の音声再生装置。
【請求項3】
前記再生制御回路は、前記音声データの系列を構成する音声データの読み出しをサンプリング周波数の時間間隔で順次行い、
前記1の音声フレーズの音声と前記他の音声フレーズの音声との連続再生において、前記1の音声フレーズの音声データの系列の最後の読み出しと、前記他の音声フレーズの音声データの系列の最初の読み出しと、を1サンプリング周波数の時間間隔で連続して行うことを特徴とする請求項2に記載の音声再生装置。
【請求項4】
前記再生制御回路は、前記音声再生装置が起動したタイミングで前記少なくとも2以上の音声フレーズの音声データの系列に対応する前記管理情報を前記外部メモリから前記シリアルインタフェースを介して読み出し、前記レジスタに記憶させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の音声再生装置。
【請求項5】
複数の音声フレーズの各々に対応する複数の音声データの系列が格納されかつ当該複数の音声データの系列の各々が格納されているアドレスを示す管理情報を格納する外部メモリに接続され、前記外部メモリとの間でシリアル通信を行うシリアルインタフェースと、前記外部メモリから前記シリアルインタフェースを介して伝送されたデータを記憶するレジスタと、前記シリアルインタフェースを介して前記外部メモリから前記音声データの読み出しを音声フレーズ毎に行い、当該音声フレーズ毎の音声データの読み出し順に音声を再生する再生制御回路と、を有する音声再生装置が実行する音声再生方法であって、
前記外部メモリから前記シリアルインタフェースを介して少なくとも2以上の前記音声フレーズの音声データの系列に対応する前記管理情報を読み出すステップと、
前記外部メモリから読み出した前記少なくとも2以上の前記音声フレーズの音声データの系列に対応する前記管理情報を前記レジスタに記憶させるステップと、
前記レジスタに記憶された前記管理情報に基づいて、前記シリアルインタフェースを介して前記外部メモリから前記音声データの系列の読み出しを音声フレーズ毎に行うステップと、
前記音声フレーズ毎の音声データの系列の読み出し順に基づいて音声を再生するステップと、
を含むことを特徴とする音声再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声再生装置及び音声再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電動モータで走行を行う電気自動車や電気ハイブリッド車として、エンジン車と比べて低速走行時の騒音が極めて小さいことから、自車両の接近を車両外部に知らせる音(以下、車両接近音と称する)を発生する車両接近通報装置を搭載したものが製品化されている。車両接近通報装置は、車両が所定速度よりも低速で走行している際に、その走行速度に応じて当該車両接近音の音色を変化させる。
【0003】
このような車両接近通報装置として、予め車両の走行速度に対応付けして、互いに音色が異なる複数の音色生成用データが予め格納されているメモリを備えたものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
車両接近通報装置では、先ず、当該メモリから、車両の現在の走行速度に対応した合成音を表す音色生成用データ片を読み出す。そして、車両接近通報装置は、当該メモリから順次読み出された当該音色生成用データ片同士を連結したものをアナログの音声信号に変換し、これをスピーカによって車両外部に音響出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-207390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような通報装置は、例えば音声を出力する音声LSI及び音声LSIを制御するホストマイコンからから構成されている。音声LSIは、メモリを内蔵していない場合、例えばシリアル・フラッシュメモリ等のメモリを接続し、外部から音声データの取得を行う。シリアル・フラッシュメモリには、複数の音声フレーズの各々に対応する複数の音声データの系列、及び音声フレーズ毎の音声データの系列の開始アドレス及び終了アドレス(すなわち、メモリ内の格納領域のアドレス)を示すフレーズ管理情報と、が格納されている。
【0007】
音声LSIは、まずシリアルインタフェースを介してシリアル・フラッシュメモリからフレーズ管理情報を読み出し、次に当該フレーズ管理情報に示される開始アドレスの情報を用いてシリアル・フラッシュメモリから音声データを読み出して音声の再生を開始する。そして、音声LSIは、サンプリング周波数毎に音声データの系列を読み出して読み出し順に音声の再生を行い、終了アドレスに到達して対応する音声データの読み出し及び再生を行うと、その音声フレーズの音声再生処理を終了する。
【0008】
しかしながら、上記構成の音声LSIでは、音声フレーズ毎の音声データの系列の読み出し及び音声の再生を行うにあたり、その都度当該音声フレーズに対応するフレーズ管理情報を読み出す必要があるため、複数の音声フレーズの音声を連続して再生することができない場合があるという問題があった。例えば、サンプリング周波数が高く、音声データの系列の読み出しの時間間隔が短い場合、1つの音声フレーズの音声データの系列の最後の読み出しが終了してから次の音声フレーズの音声データの系列の最初の読み出しを開始するまでの間に当該次の音声フレーズに対応するフレーズ管理情報の読み出しを行うことができない場合がある。このため、複数の音声フレーズの音声をスムーズに連続再生することができないという問題があった。
【0009】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、複数の音声フレーズの音声を円滑に連続して再生することが可能な音声再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る音声再生装置は、複数の音声フレーズの各々に対応する複数の音声データの系列が格納されかつ当該複数の音声データの系列の各々が格納されているアドレスを示す管理情報を格納する外部メモリに接続され、前記外部メモリから前記音声データの系列を音声フレーズ毎に読み出して音声の再生を行う音声再生装置であって、前記外部メモリとの間でシリアル通信を行うシリアルインタフェースと、前記外部メモリから前記シリアルインタフェースを介して伝送された少なくとも2以上の前記音声フレーズの音声データの系列に対応する前記管理情報を記憶するレジスタと、前記レジスタに記憶された前記管理情報に基づいて、前記シリアルインタフェースを介して前記外部メモリから前記音声データの系列の読み出しを音声フレーズ毎に行い、当該音声フレーズ毎の音声データの系列の読み出し順に音声を再生する再生制御回路と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る音声再生方法は、複数の音声フレーズの各々に対応する複数の音声データの系列が格納されかつ当該複数の音声データの系列の各々が格納されているアドレスを示す管理情報を格納する外部メモリに接続され、前記外部メモリとの間でシリアル通信を行うシリアルインタフェースと、前記外部メモリから前記シリアルインタフェースを介して伝送されたデータを記憶するレジスタと、前記シリアルインタフェースを介して前記外部メモリから前記音声データの読み出しを音声フレーズ毎に行い、当該音声フレーズ毎の音声データの読み出し順に音声を再生する再生制御回路と、を有する音声再生装置が実行する音声再生方法であって、前記外部メモリから前記シリアルインタフェースを介して少なくとも2以上の前記音声フレーズの音声データの系列に対応する前記管理情報を読み出すステップと、前記外部メモリから読み出した前記少なくとも2以上の前記音声フレーズの音声データの系列に対応する前記管理情報を前記レジスタに記憶させるステップと、前記レジスタに記憶された前記管理情報に基づいて、前記シリアルインタフェースを介して前記外部メモリから前記音声データの系列の読み出しを音声フレーズ毎に行うステップと、前記音声フレーズ毎の音声データの系列の読み出し順に基づいて音声を再生するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る音声再生装置によれば、複数の音声フレーズの音声を円滑に連続して再生することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】車両接近通報システムの構成を示すブロック図である。
図2】実施例1の音声再生装置の内部構成を示すブロック図である。
図3】外部メモリに格納されたデータの例を示す図である。
図4】レジスタに格納されるフレーズ管理情報の例を示すブロック図である。
図5】フレーズ管理情報の読み出し動作を模式的に示す図である。
図6】音声データの読み出し動作を模式的に示す図である。
図7】比較例の音声再生装置の内部構成を示すブロック図である。
図8】比較例の音声データの読み出し動作を模式的に示す図である。
図9】比較例で連続してフレーズを読み出す場合の動作を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下の実施例における説明及び添付図面においては、実質的に同一または等価な部分には同一の参照符号を付している。
【0015】
図1は、本発明に係る車両接近通報システム100の構成を示すブロック図である。車両接近通報システム100は、車両CAに搭載され、車両CAの走行速度(すなわち、車速)に応じた音声を出力することにより車両CAが接近していることを通報する音声出力システムである。
【0016】
車両接近通報システム100は、車速センサ11、MCU12、音声再生装置13、及びスピーカ14を有する。
【0017】
車速センサ11は、車両CAの走行速度を検知し、走行速度の情報を表す速度信号VSをMCU12に供給する。
【0018】
MCU(Micro Controller Unit)12は、音声再生装置13による音声再生動作を制御するホストマイコンである。MCU12は、速度信号VSに基づいて音声再生装置13を制御し、車両CAの走行速度に応じたピッチ及びボリュームの車両接近音を再生させる。
【0019】
音声再生装置13は、MCU12の制御に応じて、車両CAの走行速度に応じた車両接近音信号ALを生成し、スピーカ14に供給する。
【0020】
スピーカ14は、例えば車両CAのフロントバンパーに設置されており、車両接近音信号ALに基づく可聴音を車両接近音ASとして、車両CAの外部の空間に放出する。
【0021】
図2は、音声再生装置13の内部構成を示すブロック図である。ここでは、車速センサ11、MCU12及びスピーカ14については図示を省略している。
【0022】
音声再生装置13は、外部に接続された外部メモリ15から音声フレーズ毎に音声データの系列を読み出すことにより音声の再生を行う。
【0023】
外部メモリ15は、不揮発性の半導体メモリであり、例えばNAND又はNOR型のシリアル・フラッシュメモリから構成されている。外部メモリ15には、車両CAの走行速度に応じた複数の音声フレーズの音声データが格納されている。各音声フレーズの音声データの各々は、シリアルの音声データ群(換言すると、音声データの系列)から構成されている。また、外部メモリ15には、メモリ内での音声データの系列が格納された領域を表すアドレスを含むフレーズ管理情報が格納されている。
【0024】
図3は、外部メモリ15に格納されるデータの例を示す図である。外部メモリ15には、複数の音声フレーズの各々に対応する音声データの系列及びフレーズ管理情報が格納されている。
【0025】
外部メモリ15のアドレス「0x000000」には、フレーズ0の音声フレーズに対応する音声データの系列が外部メモリ15内のどのアドレスに格納されているかを示すフレーズ管理情報(すなわち、フレーズ0のフレーズ管理情報)が格納されている。具体的には、フレーズ0の開始アドレスが「0x000400」、終了アドレスが「0x001FFF」であることを示す情報がフレーズ0のフレーズ管理情報として、アドレス「0x000000」に格納されている。
【0026】
外部メモリ15のアドレス「0x000010」には、フレーズ1の音声フレーズに対応するフレーズ管理情報が格納されている。すなわち、フレーズ1の開始アドレスが「0x002000」、終了アドレスが「0x006FFF」であることを示す情報がフレーズ1のフレーズ管理情報として、アドレス「0x000010」に格納されている。
【0027】
以下同様に、フレーズ2~フレーズ63までの各々の音声フレーズの開始アドレス及び終了アドレスが、フレーズ2~フレーズ63のフレーズ管理情報として格納されている。例えば、外部メモリ15のアドレス「0x00020」には、フレーズ2の開始アドレス及び終了アドレスがフレーズ管理情報として格納されている。外部メモリ15のアドレス「0x0003F0」には、フレーズ63の開始アドレス及び終了アドレスがフレーズ管理情報として格納されている。
【0028】
フレーズ管理情報に示されているように、フレーズ0に対応する音声データの系列は、外部メモリ15のアドレス「0x000400」を開始アドレス、アドレス「0x001FFF」を終了アドレスとして、その間のアドレスに連続して格納されている。また、フレーズ1に対応する音声データの系列は、アドレス「0x002000」を開始アドレス、アドレス「0x006FFF」を終了アドレスとして、その間のアドレスに連続して格納されている。
【0029】
再び図2を参照すると、音声再生装置13は、インタフェース回路21、レジスタ22及び再生制御回路23を含む。
【0030】
インタフェース回路21は、再生制御回路23が外部メモリ15から音声データの読出しを行う際のデータ伝送に用いられるインタフェース回路である。インタフェース回路21は、例えばSPI(Serial Peripheral Interface)等のシリアル通信のインタフェース回路から構成されている。
【0031】
レジスタ22は、再生制御回路23が外部メモリ15から読みだしたフレーズ管理情報を一時的に記憶する記憶部である。本実施例では、再生制御回路23によって外部メモリ15から読みだされたフレーズ管理情報がレジスタ22に格納される。
【0032】
図4は、レジスタ22に格納されるフレーズ管理情報の例を示す図である。図3に示した外部メモリ15の格納データのうち、フレーズ0~63までの各々の音声フレーズに対応するフレーズ管理情報が再生制御回路23によって外部メモリ15から読みだされ、レジスタ22に格納される。
【0033】
再生制御回路23は、MCU12(図2では図示を省略)の制御に応じて、車両CAの車速に応じた音声フレーズに対応する音声データの系列を外部メモリ15から読み出し、読みだした音声データの系列に基づいて、読み出した順番に音声を再生する。
【0034】
また、再生制御回路23は、音声フレーズ毎の音声データの系列の読み出しに先立ち、外部メモリ15からフレーズ管理情報の読み出しを行う。再生制御回路23は、例えば音声再生装置13の起動中又は起動直後にフレーズ管理情報の読み出しを行い、読み出したフレーズ管理情報をレジスタ22に格納する。再生制御回路23は、レジスタ22に記憶されたフレーズ管理情報を参照して、外部メモリ15から各音声フレーズに対応する音声データの系列の読み出しを行う。
【0035】
本実施例の音声再生装置13では、再生制御回路23が複数の音声フレーズに対応するフレーズ管理情報を予め外部メモリ15から読み出し、レジスタ22に記憶させる。したがって、音声再生装置13は音声データの系列の読み出すにあたって外部メモリ15からその都度フレーズ管理情報を読み出すのではなく、装置内部に設けられたレジスタ22を参照してフレーズ管理情報を取得すればよいため、複数のフレーズの音声を連続して再生する場合にも、円滑に音声の再生を行うことができる。
【0036】
次に、本実施例の音声再生装置13が実行するフレーズ管理情報の読み出し処理及び音声フレーズ毎の音声データの系列の読み出し処理の処理動作について図5及び図6を参照して説明する。
【0037】
図5は、本実施例におけるフレーズ管理情報の読み出し処理を模式的に示す図である。上段は音声再生装置13の状態、下段は外部メモリ15から読み出されるフレーズ管理情報を示している。
【0038】
音声再生装置13の電源がオフの状態(すなわち、パワーダウンの状態)から、音声再生装置13の電源が立ち上がり、起動中の状態に移行すると、再生制御回路23は、外部メモリ15からインタフェース回路21を介してフレーズ管理情報の読み出しを行う。その際、再生制御回路23は、フレーズ0からフレーズ63までのフレーズ管理情報(図中、F0~F63として示す)を順次連続して読み出す。
【0039】
再生制御回路23は、読み出したフレーズ0~63のフレーズ管理情報を、レジスタ22に格納する。音声再生装置13が待機中の状態に維持されている間、レジスタ22はフレーズ管理情報を保持し続ける。
【0040】
図6は、本実施例における音声データの読み出し処理の処理動作を模式的に示す図である。ここでは、音声再生装置13がフレーズ0の音声とフレーズ1の音声とを連続して再生する場合の音声データの読み出しを例として示している。
【0041】
再生制御回路23は、サンプリング周波数の時間間隔で音声データの系列の読み出しを順次行う。
【0042】
すなわち、再生制御回路23は、レジスタ22に記憶されているフレーズ管理情報を参照して、フレーズ0の開始アドレス(0x000400)に対応する外部メモリ15の領域に格納されている音声データを読み出す。その後、読み出し対象のアドレスをインクリメント(+1)しつつ、フレーズ0に対応する音声データの系列の読み出しを順次行う。再生制御回路23は、読み出し順にフレーズ0の音声を再生する。
【0043】
フレーズ0の終了アドレス(0x001FFF)まで外部メモリ15からの音声データの系列の読み出しを行うと、再生制御回路23は、引き続きフレーズ1の開始アドレス(0x002000)に対応する外部メモリ15の領域に格納されている音声データの読み出しを行う。その後、読み出し対象のアドレスをインクリメント(+1)しつつ、フレーズ1に対応する音声データの系列の読み出しを順次行う。再生制御回路23は、読み出し順にフレーズ1の音声を再生する。
【0044】
このように、本実施例の音声再生装置13では、複数の音声フレーズの音声を連続して再生する場合、1の音声フレーズの終了アドレスに対応する音声データを読み出した後、次のサンプリング周波数のタイミングで他の音声フレーズの開始アドレスに対応する音声データの読み出しを行うことができる。したがって、本実施例の音声再生装置13によれば、複数の音声フレーズの音声を連続して円滑に再生することができる。
【0045】
図7は、本実施例の音声再生装置13とは異なり、フレーズ管理情報を格納するためのレジスタを有しない比較例の音声再生装置13Aの内部構成を示すブロック図である。
【0046】
比較例の音声再生装置13Aでは、再生制御回路23が各音声フレーズの音声データの系列の読み出しを行う際に、その都度外部メモリ15から当該音声フレーズに対応するフレーズ管理情報の読み出しを行う。
【0047】
図8は、比較例の音声再生装置13Aにおけるフレーズ管理情報及び音声データの系列の読み出し処理を模式的に示す図である。ここでは、フレーズ0に対応するフレーズ管理情報及び音声データの系列の読み出しを行う場合を例として示している。
【0048】
比較例の再生制御回路23は、まずフレーズ0に対応するフレーズ管理情報(図中、F0として示す)をインタフェース回路21を介して外部メモリ15から読み出す。そして、再生制御回路23は、フレーズ管理情報に示されたフレーズ0の開始アドレス及び終了アドレスの情報に基づいて、フレーズ0の音声データの系列の読み出しをサンプリング周波数の時間間隔で順次行う。
【0049】
図9は、比較例の音声再生装置13Aがフレーズ0の音声とフレーズ1の音声とを連続して再生する場合のフレーズ管理情報及び音声データの系列の読み出し処理を模式的に示す図である。
【0050】
比較例の再生制御回路23は、フレーズ0の終了アドレスに対応する音声データの読み出しが終わると、フレーズ1のフレーズ管理情報(図中、F1として示す)の読み出しを行う。そして、フレーズ管理情報に示されるフレーズ1の開始アドレスの情報に基づいて、フレーズ1の音声データの系列の読み出しを開始する。
【0051】
比較例の再生制御回路23では、フレーズ0に対応する音声データの系列の読み出しを完了後、フレーズ1に対応する音声データの系列の読み出しを開始するまでの間にフレーズ1の管理情報の読み出しを行う必要がある。このため、フレーズ0の終了アドレスに対応する音声データの読み出しを行った後、次のサンプリング周波数のタイミングではフレーズ1の開始アドレスに対応する音声データの読み出しが間に合わない。したがって、比較例の音声再生装置13Aでは、複数の音声フレーズの音声の再生を連続して円滑に行うことが出来ない。
【0052】
これに対し、本実施例の音声再生装置13では、再生制御回路23が、図5に示すようにフレーズ0~フレーズ63までの複数の音声フレーズに対応するフレーズ管理情報を予め外部メモリ15から読み出し、レジスタ22に格納しておく。これにより、各音声フレーズに対応する音声データの系列を読み出して音声の再生を行う段階では、レジスタ22に格納されているフレーズ管理情報を参照すればよく、外部メモリ15から改めてフレーズ管理情報の読み出しを行う必要がない。
【0053】
したがって、本実施例の音声再生装置13によれば、複数の音声フレーズの音声を円滑に連続して再生することが可能となる。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施例では、再生制御回路23が外部メモリ15から読み出したフレーズ管理情報を、レジスタ22に格納する場合を例として説明した。しかし、レジスタ22の代わりにRAM(Random Access Memory)を設け、フレーズ管理情報をRAMに格納する構成であってもよい。
【0055】
また、上記実施例では、音声再生装置13の起動中に外部メモリ15からフレーズ管理情報の読み出しを行う場合を例として説明した。しかし、フレーズ管理情報を読み出すタイミングはこれに限られない。例えば音声再生装置13の起動直後等、音声データの系列の読み出しを開始する前のタイミングで少なくとも2以上のフレーズ管理情報の読み出しを予め行うように構成されていればよい。
【0056】
また、上記実施例では、フレーズ0~63までの音声フレーズの各々に対応するフレーズ管理情報が外部メモリ15に格納されており、再生制御回路23がインタフェース回路21を介してこれらを読み出し、レジスタ22に記憶させる場合を例として説明した。しかし、必ずしも外部メモリ15に格納されているすべてのフレーズ管理情報を読み出してレジスタ22に記憶させる必要はなく、少なくとも2以上の音声フレーズに対応するフレーズ管理情報を読み出してレジスタ22に記憶させるように構成されていればよい。
【0057】
また、上記各実施例では、音声再生装置13が車両接近通報システム100を構成する場合を例として説明した。しかし、本発明の音声再生装置の構成は、車両接近通報システムに搭載されるものに限定されず、複数の音声フレーズの音声再生を行う装置全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0058】
100 車両接近通報システム
11 車速センサ
12 MCU
13 音声再生装置
14 スピーカ
15 外部メモリ
21 インタフェース回路
22 レジスタ
23 再生制御回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9