(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018366
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】圧縮機の取付構造
(51)【国際特許分類】
F04B 39/00 20060101AFI20240201BHJP
F04C 29/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
F04B39/00 102Q
F04C29/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121660
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】江波 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】宮野 俊行
【テーマコード(参考)】
3H003
3H129
【Fターム(参考)】
3H003AA05
3H003AB05
3H003AB06
3H003AC03
3H003BA00
3H003BB06
3H003CE01
3H129AA02
3H129AA15
3H129AA16
3H129AB03
3H129BB21
3H129CC10
3H129CC30
(57)【要約】
【課題】圧縮機の騒音が車両の構成部材から拡散されることを抑制できる圧縮機の取付構造を提供すること。
【解決手段】圧縮機10の取付構造70は、圧縮機10に設けられた取付足60と、フレーム101に取り付けられた外側筒部材72と、外側筒部材72の内側に弾性部材73を介して取り付けられた内側筒部材74と、を備えている。内側筒部材74の内周面741cにはネジ溝741dが設けられている。ボルト71が取付足60に形成された挿通孔61に挿通されるとともにネジ溝741dに螺合されることで、圧縮機10がフレーム101に取り付けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機を車両の構成部材に取り付けるための圧縮機の取付構造であって、
前記圧縮機に設けられた取付足と、
前記構成部材に取り付けられた外側筒部材と、
前記外側筒部材の内側に弾性部材を介して取り付けられた内側筒部材と、を備え、
前記内側筒部材の内周面にはネジ溝が設けられ、
ボルトが前記取付足に形成された挿通孔に挿通されるとともに前記ネジ溝に螺合されることで、前記圧縮機が前記構成部材に取り付けられる、圧縮機の取付構造。
【請求項2】
前記外側筒部材は、前記構成部材に対向する端部から前記構成部材に沿って延在する環状のフランジ部を有しており、
前記フランジ部は、前記構成部材に対向する環状の対向面を有するとともに、前記対向面が前記構成部材に面接触している状態で前記構成部材に固定されている、請求項1に記載の圧縮機の取付構造。
【請求項3】
前記構成部材は、車体を構成するフレームである、請求項1又は請求項2に記載の圧縮機の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の圧縮機には、取付足が設けられている。取付足には、ボルトが挿通されている。ボルトは、車両の構成部材に螺合されている。これにより、圧縮機が車両の構成部材に取り付けられている。特許文献1に記載の圧縮機では、車両の構成部材と取付足との間に1枚以上のワッシャが設けられることにより、圧縮機から車両の構成部材に伝わる振動を減衰できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ボルトと取付足とが接触しており、且つボルトと車両の構成部材とが接触している。このため、圧縮機の振動は、ボルトを介して車両の構成部材に伝わる。よって、圧縮機の騒音が車体から拡散される虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する圧縮機の取付構造は、圧縮機を車両の構成部材に取り付けるための圧縮機の取付構造であって、前記圧縮機に設けられた取付足と、前記構成部材に取り付けられた外側筒部材と、前記外側筒部材の内側に弾性部材を介して取り付けられた内側筒部材と、を備え、前記内側筒部材の内周面にはネジ溝が設けられ、ボルトが前記取付足に形成された挿通孔に挿通されるとともに前記ネジ溝に螺合されることで、前記圧縮機が前記構成部材に取り付けられる。
【0006】
上記構成によれば、外側筒部材と内側筒部材との間に弾性部材が挟まれた状態で取付足と内側筒部材とがボルトにより固定されることにより圧縮機が車両の構成部材に取り付けられる。つまり、ボルトが車両の構成部材から離れた状態で、圧縮機を車両の構成部材に取り付けることができる。ボルトに伝わる圧縮機の振動は、内側筒部材を介して弾性部材に伝わることにより弾性部材に吸収される。このため、圧縮機の振動が外側筒部材に伝わることが抑制される。このため、圧縮機の振動が車両の構成部材に伝わりにくくなる。したがって、圧縮機の騒音が車両の構成部材から拡散されることを抑制できる。
【0007】
加えて、ボルトは、内側筒部材のネジ溝に螺合されている。取付足と内側筒部材とにボルトが挿通された状態でナット等の固定部材をボルトに螺合することにより取付足と内側筒部材とを固定する場合と比較すると、圧縮機の取付構造を簡易的な構成とすることができる。
【0008】
上記の圧縮機の取付構造において、前記外側筒部材は、前記構成部材に対向する端部から前記構成部材に沿って延在する環状のフランジ部を有しており、前記フランジ部は、前記構成部材に対向する環状の対向面を有するとともに、前記対向面が前記構成部材に面接触している状態で前記構成部材に固定されているとよい。
【0009】
圧縮機の振動によりボルトが傾斜するように振動する場合がある。上記構成によれば、この場合、ボルトが内側筒部材ごと弾性部材に支持される。圧縮機の振動によりボルトが傾斜するように振動する場合、弾性部材を介して圧縮機の重量が外側筒部材に伝わるが、環状の対向面が構成部材に面接触している。このため、フランジ部により外側筒部材に作用する応力を分散することができる。よって、圧縮機の重量に起因する外側筒部材の変形を抑制できる。
【0010】
上記の圧縮機の取付構造において、前記構成部材は、車体を構成するフレームであるとよい。
上記構成によれば、圧縮機の振動がボルトを介して車体のフレームに伝わりにくい。よって、圧縮機の振動が車両の車室内に伝わりにくくなるため、車室内の静粛性を向上できる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、圧縮機の騒音が車両の構成部材から拡散されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、圧縮機の取付構造を具体化した実施形態を
図1及び
図2にしたがって説明する。なお、本実施形態の圧縮機は、電動圧縮機である。本実施形態の圧縮機は、例えば、車両空調装置に用いられる。
【0014】
<圧縮機>
図1に示すように、圧縮機10は、ハウジング20と、圧縮部30と、電動モータ40と、インバータ50と、を備えている。ハウジング20は、円筒状である。ハウジング20は、金属製である。ハウジング20は、例えば、アルミニウム製である。なお、ハウジング20の軸線mが延びる方向を軸方向Aとすると、ハウジング20は、軸方向Aに分割可能とした複数のハウジング構成体により構成されている。
【0015】
ハウジング20は、圧縮部30、電動モータ40、及びインバータ50を収容している。圧縮部30、電動モータ40、及びインバータ50は、この順序で軸方向Aに並んでいる。電動モータ40は、インバータ50から電力が供給されることにより駆動する。圧縮部30は、冷媒を圧縮する。圧縮部30は、電動モータ40により駆動する。圧縮部30は、図示しない固定スクロール及び可動スクロールから構成されるスクロール式である。圧縮部30は、電動モータ40の駆動に伴い、ハウジング20内に吸入された冷媒を圧縮する。なお、圧縮部30はスクロール式でなくてもよい。
【0016】
ハウジング20は、複数の取付足60を有している。よって、圧縮機10には、取付足60が設けられている。本実施形態においては、取付足60は、圧縮機10に4つ設けられている。全ての取付足60は、ハウジング20の一部である。取付足60は、円筒状である。取付足60は、挿通孔61を有している。挿通孔61は、取付足60の軸線に沿って取付足60を貫通している。全ての取付足60は、ハウジング20の外周面20aから突出している。全ての取付足60は、全て同じ方向に延びている。
【0017】
<圧縮機の取付構造>
圧縮機10は、取付構造70により車体100に取り付けられている。取付構造70は、車体100を構成するフレーム101に取り付けられている。フレーム101は、車両の構成部材である。取付構造70は、圧縮機10をフレーム101に取り付けるための構成である。取付構造70は、フレーム101の搭載平面101aに設けられている。搭載平面101aは、圧縮機10を取り付けるためのフレーム101の取付位置である。
【0018】
図1及び
図2に示すように、取付構造70は、取付足60と、ボルト71と、ボス部75と、を備えている。ボス部75は、筒状の外側筒部材72と、環状の弾性部材73と、内側筒部材74と、を有している。取付構造70は、外側筒部材72と、内側筒部材74と、を備えている。ボス部75は、1つの取付足60に対して1つずつ採用されている。ボルト71は、各取付足60に形成された挿通孔61に挿通されている。
【0019】
図2に示すように、ボルト71の頭部71aは、取付足60の第1端60aに当接している。ボルト71の先端71bは、取付足60の第2端60bから突出している。なお、挿通孔61の内径は、ボルト71の直径よりも若干大きい。
【0020】
<外側筒部材>
外側筒部材72は、筒部721と、環状の第1延設部722と、環状のフランジ部723と、を有している。筒部721は、円筒状である。筒部721は、第1端部721aと、第2端部721bと、を有している。第1端部721aは、外側筒部材72においてフレーム101に対向する端部である。第2端部721bは、外側筒部材72においてフレーム101とは反対側に位置する端部である。
【0021】
第1延設部722は、第2端部721bに連続している。第1延設部722は、第2端部721bから筒部721の軸線に向けて延びている。すなわち、外側筒部材72は、内側に延びる環状の第1延設部722を有している。第1延設部722には、貫通孔722aが設けられている。貫通孔722aは、円形孔である。貫通孔722aには、取付足60の第2端60bが挿入されている。第1延設部722の先端がなす円面の内径は、取付足60の第2端60bが第1延設部722に接触しない程度の大きさである。
【0022】
フランジ部723は、第1端部721aに連続している。フランジ部723は、第1端部721aから筒部721の外側に向けて延びている。外側筒部材72を筒部721の軸線方向から見て、フランジ部723の外形は、円形である。フランジ部723は、フレーム101に対向する環状の対向面723aを有している。対向面723aは、搭載平面101aに接触している。外側筒部材72は、第1端部721aからフレーム101に沿って延在する環状のフランジ部723を有している。フランジ部723は、対向面723aがフレーム101に接触している状態で複数の固定ボルト102によりフレーム101に取り付けられている。よって、外側筒部材72は、フレーム101に取り付けられている。なお、フランジ部723は、固定ボルト102によりフレーム101に取り付けられることに限らず、固定ボルト102以外の取り付け手段によりフレーム101に取り付けられていてもよい。
【0023】
<弾性部材>
弾性部材73は、筒部721の内面721cに設けられている。弾性部材73は、外側筒部材72の内面721cに設けられている。弾性部材73は、例えばゴム部材や、弾性変形可能な樹脂部材であるウレタン材により形成されている。弾性部材73は、内面721cに対して接着剤により固定されている。弾性部材73は、内面721cの全周に固定されている。なお、弾性部材73は、筒部721に圧入されていてもよい。
【0024】
弾性部材73は、第1端731と、第2端732と、を有している。第1端731は、弾性部材73におけるフレーム101とは反対側に位置する端である。第2端732は、弾性部材73における第1端731とは反対側に位置する端である。
【0025】
第1延設部722は、弾性部材73の第1端731に対向している。第1端731の一部分は、第1延設部722により覆われている。すなわち、第1延設部722は、第1端部721aから弾性部材73を覆うように延びている。弾性部材73は、挿入孔73aを有している。挿入孔73aは、円形孔である。挿入孔73aは、筒部721の軸線に沿って弾性部材73を貫通している。挿入孔73aの内径は、貫通孔722aの内径よりも小さい。
【0026】
<内側筒部材>
内側筒部材74は、挿入筒部741と、環状の第2延設部742と、を有している。挿入筒部741は、円筒状である。挿入筒部741は、第1端部741aと、第2端部741bと、を有している。第1端部741aは、内側筒部材74においてフレーム101に対向する端部である。第2端部741bは、内側筒部材74においてフレーム101とは反対側に位置する端部である。挿入筒部741は、弾性部材73の挿入孔73aに挿入されている。挿入筒部741は、弾性部材73の内面に対して接着剤により固定されている。挿入筒部741は、弾性部材73の内面の全周に固定されている。内側筒部材74は、外側筒部材72の内側に弾性部材73を介して取り付けられている。なお、挿入筒部741は、挿入孔73aに圧入されていてもよい。
【0027】
挿入筒部741は、弾性部材73を貫通している。第1端部741a及び第2端部741bは、弾性部材73の外部に位置している。第1端部741aは、フレーム101に接触していない。弾性部材73は、外側筒部材72の内面721cと内側筒部材74の外面741eとの間に挟まれている。本実施形態において、外面741eは、円筒面である。なお、外面741eは、円筒面に限らず、四角筒面であってもよい。外面741eは、外側筒部材72との間で弾性部材73を挟むことができれば形状を適宜変更してもよい。
【0028】
挿入筒部741の内周面741cには、ネジ溝741dが形成されている。内側筒部材74の内周面741cにはネジ溝741dが設けられている。ボルト71における取付足60の第2端60bから突出した部分は、挿入筒部741に挿入されている。内側筒部材74は、フレーム101から離れた状態でボルト71が挿通されている。ボルト71における取付足60の第2端60bから突出した部分は、挿入筒部741のネジ溝741dに螺合されている。ボルト71は、内側筒部材74に固定されている。ボルト71の先端71bは、フレーム101から離れている。よって、ボルト71が取付足60に形成された挿通孔61に挿通されるとともにネジ溝741dに螺合されることで、圧縮機10がフレーム101に取り付けられている。
【0029】
第2延設部742は、第1端部741aに連続している。第2延設部742は、第1端部741aから挿入筒部741の外側に向けて延びている。すなわち、内側筒部材74は、外側に延びる環状の第2延設部742を有している。内側筒部材74の挿入筒部741の軸線方向から見て、第2延設部742の外形は、円形である。
【0030】
第2延設部742は、弾性部材73の第2端732に対向している。第2端732の一部分は、第2延設部742により覆われている。第2延設部742は、第1端部741aから弾性部材73を覆うように延びている。弾性部材73は、第1延設部722と第2延設部742との間に配置されている。第2延設部742の外径は、外側筒部材72の筒部721の内径よりも小さい。第2延設部742の先端は、筒部721の内面721cから離れている。内側筒部材74は、フレーム101から離れた状態で外側筒部材72に接触しないように外側筒部材72の内側に配置されている。第2延設部742の外径は、第1延設部722の先願のなす円面の内径よりも大きい。第1延設部722と第2延設部742は、内側筒部材74の軸方向において重なるように配置されている。
【0031】
<本実施形態の作用>
本実施形態の作用を説明する。
圧縮機10が駆動すると、圧縮部30及び電動モータ40の駆動により発生する振動が取付足60からボルト71に伝わる。本実施形態によれば、外側筒部材72と内側筒部材74との間に弾性部材73が挟まれた状態で取付足60と内側筒部材74とがボルト71により固定されることにより圧縮機10がフレーム101に取り付けられる。つまり、ボルト71がフレーム101から離れた状態で、圧縮機10をフレーム101に取り付けることができる。ボルト71に伝わる圧縮機10の振動は、内側筒部材74を介して弾性部材73に伝わることにより弾性部材73に吸収される。このため、圧縮機10の振動が外側筒部材72に伝わることが抑制される。このため、圧縮機10の振動がフレーム101に伝わりにくくなる。
【0032】
加えて、ボルト71は、内側筒部材74のネジ溝741dに螺合されている。取付足60と内側筒部材74とにボルト71が挿通された状態でナット等の固定部材をボルト71に螺合することにより取付足60と内側筒部材74とを固定する場合と比較すると、圧縮機10の取付構造70を簡易的な構成とすることができる。
【0033】
<本実施形態の効果>
本実施形態の効果を説明する。
(1)取付構造70によりボルト71がフレーム101に接触しない状態で圧縮機10をフレーム101に取り付けることができるうえに、弾性部材73により圧縮機10の振動がフレーム101に伝わりにくくなる。したがって、圧縮機10の騒音がフレーム101から拡散されることを抑制できる。
【0034】
(2)外側筒部材72は、第1端部721aから延びる環状のフランジ部723を有している。フランジ部723は、環状の対向面723aを有している。フランジ部723は、対向面723aがフレーム101の搭載平面101aに接触している状態でフレーム101に固定されている。圧縮機10の振動によりボルト71が傾斜するように振動する場合がある。本実施形態によれば、この場合、ボルト71が内側筒部材74ごと弾性部材73に支持される。圧縮機10の振動によりボルト71が傾斜するように振動する場合、弾性部材73を介して圧縮機10の重量が外側筒部材72に伝わるが、環状の対向面723aがフレーム101に面接触している。このため、フランジ部723により外側筒部材72に作用する応力を分散することができる。よって、圧縮機10の重量に起因する外側筒部材72の変形を抑制できる。
【0035】
(3)取付構造70は、フレーム101に固定されている。本実施形態によれば、圧縮機10の振動がボルト71を介して車体のフレーム101に伝わりにくい。よって、圧縮機10の振動が車両の車室内に伝わりにくくなるため、車室内の静粛性を向上できる。
【0036】
(4)圧縮機10の振動がボルト71に伝わると、その振動は、内側筒部材74に伝わる。しかし、内側筒部材74に伝わった振動は弾性部材73に吸収される。このため、ボルト71がフレーム101に固定される場合と比較して、内側筒部材74に対するボルト71の固定箇所を起点としてボルト71が変形することが抑制される。よって、圧縮機10の振動によるボルト71の変形が抑制される。
【0037】
また、弾性部材73の破断等により、取付足60、ボルト71、及び内側筒部材74ごと外側筒部材72から外れる方向へ圧縮機10が移動しようとしても、第2延設部742が弾性部材73に接触するとともに、弾性部材73は第1延設部722に接触する。そして、外側筒部材72はフレーム101に取り付けられているため、弾性部材73からの荷重を第1延設部722を介して外側筒部材72で支承することができる。このため、ボルト71及び内側筒部材74が外側筒部材72から外れることを抑制できる。よって、圧縮機10が外側筒部材72から外れることが抑制される。すなわち、圧縮機10がフレーム101の取付位置から離れることが抑制される。したがって、ボルト71の変形を抑制しつつ、圧縮機10がフレーム101の取付位置から離れることを抑制できる。
【0038】
(5)第1延設部722と第2延設部742は、内側筒部材74の軸方向において重なるように配置されている。このため、第1延設部722と第2延設部742とに挟まれる弾性部材73の領域が広くなる。このため、取付足60、ボルト71、及び内側筒部材74ごと外側筒部材72から外れる方向へ圧縮機10が移動しようとしても、圧縮機10がフレーム101の取付位置から離れることをより抑制できる。
【0039】
(6)本実施形態によれば、圧縮機10の振動がフレーム101に伝わりにくいことにより車室内の静粛性を向上できるうえ、圧縮機10の振動が車室内のハンドルや、シートに伝わることも抑制できる。よって、運転者の操作感に違和感を与えることを抑制できる。
【0040】
(7)ボルト71に伝わる圧縮機10の振動をフレーム101に伝えにくくする構成として、ボルト71を外側筒部材72に固定するとともに取付足60の挿通孔61の内面とボルト71との間に弾性部材73を介在させることも考えられる。しかし、挿通孔61に入れ込むために弾性部材73を小さく加工する必要がある。
【0041】
その点、本実施形態では、外側筒部材72と内側筒部材74との間に弾性部材73を挟み込む構成としている。このため、取付足60の挿通孔61に弾性部材73を入れ込む構成と比較して、弾性部材73の大きさを十分に確保できる。すると、弾性部材73に挿入孔73aも形成しやすくなるといった弾性部材73の加工性が向上する。よって、取付足60の挿通孔61に弾性部材73を入れ込む構成と比較して、取付構造70をより簡易的に実現できる。
【0042】
[変更例]
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施できる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0043】
○ 本実施形態において、フランジ部723の外形は、例えば四角形状であってもよい。要するにフランジ部723は、環状であればよい。
○ 本実施形態において、フランジ部723は、環状であったが、これに限らない。例えば、フランジ部723は、例えば複数の板部により形成されていてもよい。そして、複数の板部は、筒部721の第1端部721aから筒部721の外側に向けて放射状に延びるとよい。フランジ部723を例えば、2つの板部により形成した場合、2つの板部を筒部721に対して対称的な位置に配置してもよい。なお、フランジ部723は、1つの板部により形成してもよい。要するに、フランジ部723は、フレーム101に面接触して固定できる構成であれば適宜形状を変更してもよい。
【0044】
○ 本実施形態において、フランジ部723は、省略してもよい。この場合、外側筒部材72の筒部721の第1端部721aをフレーム101に固定してもよい。
○ 本実施形態において、第1延設部722と第2延設部742とは、内側筒部材74の軸方向において重なるように配置されていなくてもよい。例えば、第1延設部722の貫通孔722aの内径が第2延設部742の外径よりも大きくてもよい。
【0045】
○ 本実施形態において、第1延設部722の貫通孔722aは、円形孔であったが、これに限らない。貫通孔722aの形状は、第1延設部722が環状をなしていればどのように変更してもよい。なお、貫通孔722aの形状は、取付足60の第2端60bに接触しないように変更する。
【0046】
○ 本実施形態において、第1延設部722は、筒部721の内面721cから内側に延びていてもよい。
○ 本実施形態において、筒部721は、例えば四角筒状であってもよい。なお、このように変更した場合でも弾性部材73が筒部721の内面721cの全周に固定されているとよい。
【0047】
○ 本実施形態において、弾性部材73は、筒部721の内面721cの全周に固定されていなくてもよい。例えば、筒部721が例えば四角筒状である場合、筒部721の内面721cを形成する4つの面の各々の一部分に接着剤により弾性部材73が固定されていればよい。また、例えば、筒部721が例えば四角筒状である場合、筒部721の内面721cを形成する4つの面の各々の一部分に弾性部材73が密着するように弾性部材73を筒部721に圧入してもよい。
【0048】
○ 本実施形態において、挿入孔73aは、例えば四角形状の孔であってもよい。この場合、挿入筒部741も四角筒状に形成することにより、挿入筒部741を弾性部材73の内面の全周に固定してもよい。
【0049】
○ 本実施形態において、挿入筒部741は、弾性部材73の内面の全周に固定されていなくてもよい。例えば、挿入孔73aが四角形状の孔である場合、挿入孔73aの内面を形成する4つの面の各々の一部分に接着剤により挿入筒部741が固定されていればよい。また、例えば、挿入孔73aが四角形状の孔である場合、挿入孔73aの内面を形成する4つの面の各々の一部分に挿入筒部741が密着するように挿入筒部741を挿入孔73aに圧入してもよい。
【0050】
○ 本実施形態において、第2延設部742は、内側筒部材74の外面741eから外側に延びていてもよい。
○ 本実施形態において、第2延設部742の外形は、例えば四角形状であってもよい。要するに第2延設部742は、環状であればよい。
【0051】
○ 本実施形態において、外側筒部材72は、第1延設部722を省略して、筒部721と、フランジ部723とにより形成されていてもよい。
○ 本実施形態において、内側筒部材74は、第2延設部742を省略して、挿入筒部741により形成されていてもよい。
【0052】
○ 本実施形態において、各取付足60に対して設けられた外側筒部材72のフランジ部723を全て一体形成してもよい。
○ 本実施形態において、取付足60の数は、3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよい。
【0053】
○ 本実施形態において、取付足60は、例えば四角筒状であってもよい。取付足60は、挿通孔61が形成される筒状であれば形状を適宜変更してもよい。
○ 本実施形態において、圧縮機10が取り付けられる車両の構成部材として車体100のフレーム101が採用されていたが、例えば、車両の構成部材としてエンジンを採用してもよい。
【0054】
○ 圧縮機10は、燃料電池車に搭載されており、燃料電池に供給される空気を圧縮部30により圧縮するものであってもよい。
【符号の説明】
【0055】
10…圧縮機、60…取付足、61…挿通孔、70…圧縮機の取付構造、71…ボルト、72…外側筒部材、73…弾性部材、74…内側筒部材、100…車体、101…車両の構成部材としてのフレーム、723…フランジ部、723a…フランジ部の対向面、741c…内側筒部材の内周面、741d…ネジ溝。