IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ車体株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-車両のスライドドア装置 図1
  • 特開-車両のスライドドア装置 図2
  • 特開-車両のスライドドア装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018373
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】車両のスライドドア装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/06 20060101AFI20240201BHJP
   E05D 15/06 20060101ALI20240201BHJP
   E06B 3/50 20060101ALI20240201BHJP
   E05F 11/54 20060101ALI20240201BHJP
   E05D 15/10 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B60J5/06 H
E05D15/06 103
E05D15/06 119
E05D15/06 124Z
E05D15/06 125Z
E06B3/50
E05F11/54 A
E05D15/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121676
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】日比 和宏
(72)【発明者】
【氏名】門田 豪郎
(72)【発明者】
【氏名】坂▲崎▼ 圭一
【テーマコード(参考)】
2E014
2E034
【Fターム(参考)】
2E014AA06
2E034AA08
2E034BD01
2E034CA13
2E034FA01
(57)【要約】
【課題】スライドドアの移動時に支持ローラが車両の荷重受け面に対して擦り合わされることを抑制できる車両のスライドドア装置を提供する。
【解決手段】同装置は、車両11の前後に延びる内側ガイドレール12b及び外側ガイドレール12aと、スライドドア13を支持する支持機構14と、を備える。支持機構14は、スライドドア13に対し揺動軸18を介して水平方向に揺動可能に取り付けられたアーム17を備える。アーム17には、中心軸19を介して水平方向に揺動可能にローラユニット20が取り付けられている。ローラユニット20には、スライドドア13からの荷重を受ける支持ローラ21が車両11の荷重受け面に沿って転動できるよう支持されるとともに、第1ガイドローラ22が外側ガイドレール12aに沿って転動できるよう支持されている。アーム17には、第2ガイドローラ23が内側ガイドレール12bに沿って転動できるよう支持されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の側部で前後に延びる内側ガイドレール及び外側ガイドレールと、車両の側部にスライドドアを支持する支持機構と、を備え、
前記内側ガイドレールは、前記外側ガイドレールよりも車両の幅方向の中央寄りに位置し、
前記支持機構は、前記内側ガイドレール及び前記外側ガイドレールに沿って移動することが可能であり、
前記スライドドアは、前記内側ガイドレール及び前記外側ガイドレールに沿った前記支持機構の移動に伴って、車両の側部に位置する開口部を閉じる閉塞位置と、その開口部を開くとともに前記閉塞位置よりも車両の幅方向の外側にある開放位置と、の間で移動するものとされている車両のスライドドア装置において、
前記支持機構は、前記スライドドアに対し揺動軸を介して水平方向に揺動可能に取り付けられたアームを備え、
前記アームには、中心軸を介して水平方向に揺動可能にローラユニットが取り付けられており、
前記ローラユニットには、前記スライドドアからの荷重を受ける支持ローラが車両に形成された荷重受け面に沿って転動できるよう支持されるとともに、第1ガイドローラが前記内側ガイドレールと前記外側ガイドレールとのうちの一方に沿って転動できるよう支持されており、
前記アームには、第2ガイドローラが前記内側ガイドレールと前記外側ガイドレールとのうちの他方に沿って転動できるよう支持されている車両のスライドドア装置。
【請求項2】
前記アームは、前記スライドドアの前記揺動軸から前記内側ガイドレール及び前記外側ガイドレールに向けて突出しており、
前記第2ガイドローラが前記内側ガイドレールに対応して位置するとともに、前記ローラユニットの前記第1ガイドローラが前記外側ガイドレールに対応して位置している請求項1に記載の車両のスライドドア装置。
【請求項3】
前記ローラユニットは、前記中心軸周りに回転することによって水平方向に揺動するものであり、
前記第1ガイドローラは、前記中心軸周りに回転することによって前記外側ガイドレールに沿って転動するものである請求項2に記載の車両のスライドドア装置。
【請求項4】
前記第1ガイドローラは前記ローラユニットに二つ設けられており、一方の第1ガイドローラが前記中心軸周りに回転するものであり、
前記支持ローラは、二つの前記第1ガイドローラの間に対応して位置している請求項3に記載の車両のスライドドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のスライドドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、車両のスライドドア装置は、車両の側部で前後に延びる内側ガイドレール及び外側ガイドレールと、車両の側部にスライドドアを支持する支持機構と、を備えている。内側ガイドレールは、外側ガイドレールよりも車両の幅方向の中央寄りに位置している。支持機構は、内側ガイドレール及び外側ガイドレールに沿って移動することが可能である。
【0003】
支持機構は、スライドドアに対し揺動軸を介して水平方向に揺動可能に取り付けられたアームを備えている。このアームには、支持ローラ、第1ガイドローラ、及び第2ガイドローラが支持されている。支持ローラは、スライドドアからの荷重を受けるためのものであり、車両の荷重受け面に沿って転動できるようアームに支持されている。第1ガイドローラ及び第2ガイドローラは、外側ガイドレール及び内側ガイドレールに沿って転動できるようアームに支持されている。
【0004】
スライドドアは、内側ガイドレール及び外側ガイドレールに沿った支持機構の移動に伴って、車両の側部に位置する開口部を閉じる閉塞位置と、その開口部を開くとともに上記閉塞位置よりも車両の幅方向の外側にある開放位置と、の間で移動する。スライドドアが上述したように移動する際、支持機構の第1ガイドローラ及び第2ガイドローラは外側ガイドレール及び内側ガイドレールに沿って転動することにより、スライドドアの上記移動を案内する。スライドドアの上記移動時、アームに支持された支持ローラは、スライドドアからの荷重を受けつつ、車両に形成された荷重受け面に沿って転動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-80468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
外側ガイドレールと内側ガイドレールとは、スライドドアの閉塞位置と開放位置との間での移動を実現できるよう湾曲している。このため、スライドドアの上記移動に伴って第1ガイドローラ及び第2ガイドローラが外側ガイドレール及び内側ガイドレールに沿って転動するとき、それらローラ同士の相対位置が外側ガイドレール及び内側ガイドレールの湾曲に応じて変化する。そして、上記相対位置の変化に伴い、支持機構のアームが揺動軸周りに揺動する。その結果、アームに支持された支持ローラが、車両の荷重受け面に対し、アームの揺動方向に擦り合わされる。これにより、アームを円滑に揺動できなくなったり、支持ローラが偏摩耗したりする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決する車両のスライドドア装置の各態様を記載する。
(態様1)
車両の側部で前後に延びる内側ガイドレール及び外側ガイドレールと、車両の側部にスライドドアを支持する支持機構と、を備え、前記内側ガイドレールは、前記外側ガイドレールよりも車両の幅方向の中央寄りに位置し、前記支持機構は、前記内側ガイドレール及び前記外側ガイドレールに沿って移動することが可能であり、前記スライドドアは、前記内側ガイドレール及び前記外側ガイドレールに沿った前記支持機構の移動に伴って、車両の側部に位置する開口部を閉じる閉塞位置と、その開口部を開くとともに前記閉塞位置よりも車両の幅方向の外側にある開放位置と、の間で移動するものとされている車両のスライドドア装置において、前記支持機構は、前記スライドドアに対し揺動軸を介して水平方向に揺動可能に取り付けられたアームを備え、前記アームには、中心軸を介して水平方向に揺動可能にローラユニットが取り付けられており、前記ローラユニットには、前記スライドドアからの荷重を受ける支持ローラが車両に形成された荷重受け面に沿って転動できるよう支持されるとともに、第1ガイドローラが前記内側ガイドレールと前記外側ガイドレールとのうちの一方に沿って転動できるよう支持されており、前記アームには、第2ガイドローラが前記内側ガイドレールと前記外側ガイドレールとのうちの他方に沿って転動できるよう支持されている車両のスライドドア装置。
【0008】
上記構成によれば、スライドドアが閉塞位置と開放位置との間で移動するとき、支持機構のローラユニットに支持された支持ローラが、スライドドアからの荷重を受けつつ、車両の荷重受け面に沿って転動する。更に、ローラユニットに支持された第1ガイドローラが外側ガイドレールと内側ガイドレールとのうちの一方に沿って転動するとともに、支持機構のアームに支持された第2ガイドローラが外側ガイドレールと内側ガイドレールとのうちの他方に沿って転動する。第1ガイドローラ及び第2ガイドローラにおける外側ガイドレール及び内側ガイドレールに沿った転動に伴い、アームがスライドドアの揺動軸周りに揺動するとき、支持ローラを支持するローラユニットがアームに対し中心軸周りに揺動することが可能である。こうしたローラユニットのアームに対する揺動により、支持ローラがアームの揺動に伴って車両の荷重受け面に対し擦り合わされることは抑制される。従って、支持ローラが車両の荷重受け面に対しアームの揺動方向に擦り合わされることにより、アームを円滑に揺動できなくなったり、支持ローラが偏摩耗したりすることを抑制できる。また、上述したように外側ガイドレールと内側ガイドレールとの他方に沿って転動する第2ガイドローラはアームに対し回転可能に支持されるという簡単な構造であるため、支持機構における第2ガイドローラの周辺構造が複雑になることはない。このため、支持機構の構造が複雑化することを抑制しつつ、上記効果を得ることができる。
【0009】
(態様2)
前記アームは、前記スライドドアの前記揺動軸から前記内側ガイドレール及び前記外側ガイドレールに向けて突出しており、前記第2ガイドローラが前記内側ガイドレールに対応して位置するとともに、前記ローラユニットの前記第1ガイドローラが前記外側ガイドレールに対応して位置している(態様1)に記載の車両のスライドドア装置。
【0010】
上記構成によれば、スライドドアが移動するとき、第2ガイドローラが内側ガイドレールに沿って転動するとともに、ローラユニットの第1ガイドローラが外側ガイドレールに沿って転動する。このため、ローラユニット及びそこに支持された支持ローラが、第2ガイドローラよりもスライドドアに近い位置で、スライドドアからの荷重を受ける。このように支持ローラが、スライドドアからの荷重を、よりスライドドアに近い位置で受けるため、支持ローラで上記荷重を受けながらのスライドドアの移動を安定したものとすることができる。
【0011】
(態様3)
前記ローラユニットは、前記中心軸周りに回転することによって水平方向に揺動するものであり、前記第1ガイドローラは、前記中心軸周りに回転することによって前記外側ガイドレールに沿って転動するものである(態様2)に記載の車両のスライドドア装置。
【0012】
上記構成によれば、ローラユニットのアームに対する揺動の中心として機能する中心軸が、第1ガイドローラの転動の中心としても機能する。これにより、支持機構の部品点数を削減することができ、支持機構の構造を簡略化することができる。
【0013】
(態様4)
前記第1ガイドローラは前記ローラユニットに二つ設けられており、一方の第1ガイドローラが前記中心軸周りに回転するものであり、前記支持ローラは、二つの前記第1ガイドローラの間に対応して位置している(態様3)に記載の車両のスライドドア装置。
【0014】
上記構成によれば、ローラユニットには、外側ガイドレールに沿って転動する二つの第1ガイドローラが支持されている。そして、スライドドアからの荷重を受ける支持ローラは、ローラユニットにおける二つの第1ガイドローラの間に対応して位置している。このため、支持ローラがスライドドアからの荷重を受ける際、二つの第1ガイドローラの外側ガイドレールに対する接触によって支持ローラの姿勢が安定しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】スライドドア装置が適用される車両を示す側面図である。
図2】上記スライドドア装置の動作を示す平面図である。
図3】上記スライドドア装置の支持機構を図2の矢印III-III方向から見た状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、車両のスライドドア装置の一実施形態について、図1図3を参照して説明する。
図1に示す車両11のスライドドア装置は、車両11の側部で前後に延びるガイドレール12と、車両11の側部にスライドドア13を支持する支持機構14と、を備えている。ガイドレール12及び支持機構14は、車両11の上部、下部、及び上下方向の中央部にそれぞれ設けられている。
【0017】
支持機構14は、ガイドレール12に沿って移動することが可能となっている。スライドドア13は、支持機構14と共にガイドレール12に沿って移動することにより、車両11の開口部15を閉塞する閉塞位置と、開口部15を開放する開放位置との間で移動する。スライドドア13は、支持機構14がガイドレール12の前端部、すなわち図1の右端部に達したとき、上述した閉塞位置に達する。また、スライドドア13は、支持機構14がガイドレール12の後端部、すなわち図1の左端部に達したとき、上述した開放位置に達する。
【0018】
車両11の下部に位置するガイドレール12は、外側ガイドレールと、その外側ガイドレールよりも車両の幅方向の中央寄りに位置する内側ガイドレールと、によって構成されている。上記ガイドレール12に対応する支持機構14は、スライドドア13からの荷重を受ける。
【0019】
<外側ガイドレール及び内側ガイドレールの詳細>
図2に示すように、外側ガイドレール12aと内側ガイドレール12bとは、車両の側部で車両の前後に延びている。外側ガイドレール12aと内側ガイドレール12bとの後端寄りの箇所では、外側ガイドレール12aと内側ガイドレール12bとの間に所定の間隔が置かれている。
【0020】
外側ガイドレール12aの前端部、すなわち図2の左端部は、前端に向かうほど車両の幅方向内側に位置するよう湾曲している。また、内側ガイドレール12bの前端部であって、外側ガイドレール12aの湾曲した箇所よりも後端寄りの箇所は、外側ガイドレール12aに向けて接近するように湾曲している。更に、内側ガイドレール12bの前端部における上記湾曲した箇所よりも前端寄りの箇所は、前端に向かうほど車両の幅方向内側に位置するよう湾曲することにより、外側ガイドレール12aの前端部に隣接している。
【0021】
外側ガイドレール12a及び内側ガイドレール12bに対応して位置する支持機構14は、外側ガイドレール12a及び内側ガイドレール12bに沿って移動する。スライドドア13は、上記支持機構14と共に外側ガイドレール12a及び内側ガイドレール12bに沿って移動することにより、閉塞位置と開放位置との間で移動する。図2には、スライドドア13及び支持機構14が外側ガイドレール12a及び内側ガイドレール12bに沿って移動する際の動きが示されている。外側ガイドレール12a及び内側ガイドレール12bの前端部における上述した湾曲は、スライドドア13の開放位置を閉塞位置よりも車両の幅方向外側に位置させるためのものである。
【0022】
<支持機構14の詳細>
スライドドア13は、ドア固定部材16を備えている。支持機構14は、アーム17を備えている。アーム17は、ドア固定部材16に対し、揺動軸18を介して水平方向に揺動可能に取り付けられている。アーム17には、中心軸19を介してローラユニット20が取り付けられている。ローラユニット20は、アーム17に対し、中心軸19周りに水平方向に揺動することが可能になっている。ローラユニット20は、外側ガイドレール12aに対応して位置している。
【0023】
ローラユニット20には、スライドドア13からの荷重を受ける支持ローラ21、及び、外側ガイドレール12aに沿って転動する二つの第1ガイドローラ22が支持されている。支持ローラ21は、二つの第1ガイドローラ22の間に対応して位置している。また、アーム17には、内側ガイドレール12bに対応して位置する第2ガイドローラ23が、内側ガイドレール12bに沿って転動できるよう支持されている。
【0024】
図3に示すように、ローラユニット20は、水平方向に延びる支持軸24を備えている。その支持軸24に対し、上記支持ローラ21が回転可能に取り付けられている。支持ローラ21は、上記支持軸24周りに回転することにより、車両11の側部に形成された荷重受け面25に沿って転動する。スライドドア13からの荷重は、アーム17、ローラユニット20、及び支持ローラ21を介して、上記荷重受け面25に作用する。
【0025】
ローラユニット20における二つの第1ガイドローラ22のうちの一方の第1ガイドローラ22は、上記中心軸19に対し回転可能に取り付けられている。この第1ガイドローラ22は、上記中心軸19周りに回転することにより、外側ガイドレール12aに沿って回動する。詳しくは、外側ガイドレール12aは、下方に向けて開口する断面形状となっている。上記第1ガイドローラ22は、外側ガイドレール12aの開口を介して、外側ガイドレール12aの内部に挿入されている。そして、上記第1ガイドローラ22は、中心軸19周りに回転することにより、外側ガイドレール12aの内壁面に沿って転動する。
【0026】
図2に示すように、ローラユニット20は、上記中心軸19と平行に延びるローラ軸26を備えている。ローラ軸26には、ローラユニット20における二つの第1ガイドローラ22のうちの他方の第1ガイドローラ22が、ローラ軸26周りに回転できるよう取り付けられている。上記第1ガイドローラ22は、ローラ軸26周りに回転することにより、外側ガイドレール12aに沿って転動する。詳しくは、上記第1ガイドローラ22も、図3に示される外側ガイドレール12aの開口を介して、外側ガイドレール12aの内部に挿入されている。そして、上記第1ガイドローラ22は、ローラ軸26(図2)周りに回転することにより、外側ガイドレール12aの内壁面に沿って転動する。
【0027】
図3に示すように、アーム17は、上記中心軸19と平行に延びるローラ軸27を備えている。ローラ軸27には、上記第2ガイドローラ23がローラ軸27周りに回転できるよう取り付けられている。第2ガイドローラ23は、ローラ軸27周りに回転することにより、内側ガイドレール12bに沿って転動する。詳しくは、内側ガイドレール12bは、下方に向けて開口する断面形状となっている。第2ガイドローラ23は、内側ガイドレール12bの開口を介して、内側ガイドレール12bの内部に挿入されている。そして、第2ガイドローラ23は、ローラ軸27周りに回転することにより、内側ガイドレール12bに沿って転動する。
【0028】
スライドドア13及び支持機構14は、図2に示すように外側ガイドレール12a及び内側ガイドレール12bに沿って移動する。これにより、スライドドア13が閉塞位置と開放位置との間で移動する。このとき、支持機構14におけるローラユニット20の二つの第1ガイドローラ22が外側ガイドレール12aに沿って転動するとともに、支持機構14の第2ガイドローラ23が内側ガイドレール12bに沿って転動する。第1ガイドローラ22及び第2ガイドローラ23が外側ガイドレール12a及び内側ガイドレール12bに沿って転動することにより、スライドドア13が外側ガイドレール12a及び内側ガイドレール12bに沿って移動するよう案内される。
【0029】
第1ガイドローラ22及び第2ガイドローラ23の外側ガイドレール12a及び内側ガイドレール12bに沿った転動時、第1ガイドローラ22と第2ガイドローラ23との相対位置が、外側ガイドレール12a及び内側ガイドレール12bの湾曲に応じて変化する。これにより、支持機構14のアーム17が、スライドドア13に対し揺動軸18を中心に図2に示すように揺動する。その結果、スライドドア13の開放位置が閉塞位置よりも車両11の幅方向外側に突出した位置となり、そうした開放位置と閉塞位置との間でのスライドドア13の移動が可能となる。言い換えれば、上述したスライドドア13の閉塞位置と開放位置との間での移動を実現できるよう、外側ガイドレール12aと内側ガイドレール12bとが湾曲している。
【0030】
次に、本実施形態における車両のスライドドア装置の動作について説明する。
スライドドア13が閉塞位置と開放位置との間で移動するとき、支持機構14のローラユニット20に支持された支持ローラ21が、スライドドア13からの荷重を受けつつ、車両11の荷重受け面25に沿って転動する。更に、ローラユニット20に支持された第1ガイドローラ22が外側ガイドレール12aに沿って転動するとともに、支持機構14のアーム17に支持された第2ガイドローラ23が内側ガイドレール12bに沿って転動する。
【0031】
第1ガイドローラ22及び第2ガイドローラ23における外側ガイドレール12a及び内側ガイドレール12bに沿った転動に伴い、アーム17がスライドドア13の揺動軸周りに揺動する。このとき、支持ローラ21を支持するローラユニット20がアーム17に対し中心軸19周りに揺動する。こうしたローラユニット20のアーム17に対する揺動により、支持ローラ21がアーム17の揺動に伴って車両11の荷重受け面25に対し擦り合わされることは抑制される。
【0032】
従って、支持ローラ21が車両11の荷重受け面25に対しアーム17の揺動方向に擦り合わされることにより、アーム17を円滑に揺動できなくなったり、支持ローラ21が偏摩耗したりすることを抑制できる。また、上述したように内側ガイドレール12bに沿って転動する第2ガイドローラ23はアーム17に対し回転可能に支持されるという簡単な構造であるため、支持機構14における第2ガイドローラ23の周辺構造が複雑になることはない。このため、支持機構14の構造が複雑化することを抑制しつつ、上記効果を得ることができる。
【0033】
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)支持機構14の構造が複雑化することを抑制しつつ、スライドドア13の移動時に支持ローラ21が車両11の荷重受け面25に対して擦り合わされることを抑制できる。
【0034】
(2)支持機構14のアーム17は、スライドドア13の揺動軸18から外側ガイドレール12a及び内側ガイドレール12bに向けて突出している。そして、支持機構14の第2ガイドローラ23が内側ガイドレール12bに対応して位置するとともに、支持機構14におけるローラユニット20の第1ガイドローラ22が外側ガイドレール12aに対応して位置している。スライドドア13が移動するとき、第2ガイドローラ23が内側ガイドレール12bに沿って転動するとともに、ローラユニット20の第1ガイドローラ22が外側ガイドレール12aに沿って転動する。
【0035】
このため、ローラユニット20及びそこに支持された支持ローラ21が、第2ガイドローラ23よりもスライドドア13に近い位置で、スライドドア13からの荷重を受ける。このように支持ローラ21が、スライドドア13からの荷重を、よりスライドドア13に近い位置で受けるため、支持ローラ21で上記荷重を受けながらのスライドドア13の移動を安定したものとすることができる。
【0036】
(3)ローラユニット20のアーム17に対する揺動の中心として機能する中心軸19が、第1ガイドローラ22の転動の中心としても機能する。これにより、支持機構14の部品点数を削減することができ、支持機構14の構造を簡略化することができる。
【0037】
(4)ローラユニット20には、外側ガイドレール12aに沿って転動する二つの第1ガイドローラ22が支持されている。そして、スライドドア13からの荷重を受ける支持ローラ21は、ローラユニット20における二つの第1ガイドローラ22の間に対応して位置している。このため、支持ローラ21がスライドドア13からの荷重を受ける際、二つの第1ガイドローラ22の外側ガイドレール12aに対する接触によって支持ローラ21の姿勢が安定しやすくなる。
【0038】
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・ローラユニット20における支持ローラ21の位置は、二つの第1ガイドローラ22の間に対応する位置である必要はない。
【0039】
・二つの第1ガイドローラ22が両方とも、中心軸19とは別にローラユニット20に対し回転可能に支持されていてもよい。
・支持機構14のアーム17に対するローラユニット20と第2ガイドローラ23との位置関係を逆にし、第1ガイドローラ22を内側ガイドレール12bに沿って転動させるとともに、第2ガイドローラ23を外側ガイドレール12aに沿って転動させてもよい。
【符号の説明】
【0040】
11…車両
12…ガイドレール
12a…外側ガイドレール
12b…内側ガイドレール
13…スライドドア
14…支持機構
15…開口部
16…ドア固定部材
17…アーム
18…揺動軸
19…中心軸
20…ローラユニット
21…支持ローラ
22…第1ガイドローラ
23…第2ガイドローラ
24…支持軸
25…荷重受け面
26,27…ローラ軸
図1
図2
図3